JPH11231285A - 液晶表示素子の駆動方法 - Google Patents

液晶表示素子の駆動方法

Info

Publication number
JPH11231285A
JPH11231285A JP3592298A JP3592298A JPH11231285A JP H11231285 A JPH11231285 A JP H11231285A JP 3592298 A JP3592298 A JP 3592298A JP 3592298 A JP3592298 A JP 3592298A JP H11231285 A JPH11231285 A JP H11231285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
voltage
state
metastable
metastable state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3592298A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiomi Ono
俊臣 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP3592298A priority Critical patent/JPH11231285A/ja
Publication of JPH11231285A publication Critical patent/JPH11231285A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Display Device Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶分子の配向状態が互いに異なる2つの表示
素子の電気光学特性を合わせ持った前記液晶表示素子
に、信頼性の高い書込みを行なわせる。 【解決手段】リセット電圧VR および第1または第2の
いずれか一方の準安定状態選択電圧VP を印加した後、
一定の期間、書込み電圧VD を印加しない状態を保って
から、その後に前記書込み電圧VD を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液晶分子の配向
状態が互いに異なる2つの表示素子の電気光学特性を合
わせ持った液晶表示素子の駆動方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子には、バックライトからの
光を利用して表示する透過型のものと、自然光や室内照
明光等の外光を利用して表示する反射型のものとがあ
る。これらの液晶表示素子は、液晶セルをはさんでその
前面側と後面側とに偏光板を配置したものであり、反射
型の液晶表示素子は、後側偏光板の後面に反射板を配置
して構成されている。なお、反射型の液晶表示素子に
は、偏光板を1枚だけ備えたものもあり、この反射型液
晶表示素子は、液晶セルの前面側に偏光板を配置し、前
記液晶セルの後面側に反射板を配置して構成されてい
る。
【0003】これらの液晶表示素子に用いられる液晶セ
ルは、内面に電極が設けられるとともにその上に配向処
理を施した配向膜が形成された一対の基板間に液晶を挟
持した構成となっており、液晶の分子は、それぞれの基
板の近傍における配向方向を前記配向膜により規制され
て、所定の配向状態(例えばツイスト配向状態)で配向
している。
【0004】上記液晶表示素子は、液晶セルの各画素部
の電極間に表示データに応じた駆動電圧を印加して表示
駆動されており、前記電極間に電圧を印加すると、液晶
分子が電圧無印加の初期配向状態から基板面に対して立
上がるように配向状態を変え、その配向状態に応じて光
の透過が制御される。
【0005】ところで、上記液晶表示素子には、単純マ
トリックス方式の液晶セルを用いるものと、アクティブ
マトリックス方式の液晶セルを用いるものとがあるが、
液晶セルの構造が極く簡単で低コストに得られるという
点では、単純マトリックス方式が有利である。
【0006】しかしながら、単純マトリックス方式の液
晶セルを用いる液晶表示素子は、液晶セルの各画素部の
電極間(走査電極と信号電極との間)への書込み電圧の
印加による駆動電圧の実効値を制御して表示駆動される
ため、光の透過状態を段階的に制御する表示を行なう場
合、時分割数が多くなると、各段階に対応する駆動電圧
の実効値の差を大きくとることができなくなり、そのた
めに、高デューティで時分割駆動しようとすると、液晶
セルを駆動する際の動作電圧マージン(各階調を表示す
るための電圧の実効値の差)が小さくなり、明確な段階
的表示ができなくなる。
【0007】このため、単純マトリックス方式の液晶セ
ルを用いる液晶表示素子は、高デューティでの時分割駆
動が難しく、したがって、画素数を多くして表示画像の
高精細化をはかることは困難であった。
【0008】そこで、出願人は、駆動電圧の実効値を制
御して駆動される液晶セルを用いるものでありながら、
その駆動デューティに対して動作電圧マージンを大きく
して、高デューティでの時分割駆動を可能とし、画素数
の多い高精細画像の表示を実現することができる液晶表
示素子について、研究開発を行なってきた。
【0009】この開発中の液晶表示素子は、互いに対向
する面それぞれに電極が形成された一対の基板の間にネ
マティック液晶層が挟持され、前記液晶層の液晶分子
が、前記一対の基板の電極間に液晶分子の分子長軸を基
板面に対してほぼ垂直に配向させるリセット電圧を印加
した後、それより低い値の第1の準安定状態選択電圧
と、この第1の準安定状態選択電圧とは異なる第2の準
安定状態選択電圧のいずれかを選択的に印加することに
より、前記液晶分子が所定の状態で配向する第1の準安
定状態と、この第1の準安定状態とは異なる配向状態で
配向する第2の準安定状態のいずれかに配向するととも
に、前記第1および第2の準安定状態のそれぞれにおい
て、前記電極間に印加される電圧の実効値に応じた書込
み配向状態に配向する液晶セルと、少なくとも一枚の偏
光板とを備えたものである。
【0010】この液晶表示素子において、前記液晶セル
の液晶層は、例えば、液晶分子がいずれか一方の基板の
配向処理方向を基準として一方の方向にほぼ0°〜ほぼ
180°のねじれ角で非ツイストまたはツイスト配向し
たスプレイ配向の初期配向状態を有しており、前記リセ
ット電圧の印加により液晶分子をほぼ垂直に立上がり配
向させた後に、前記リセット電圧よりも低い所定の値の
第1または第2のいずれか一方の準安定状態選択電圧を
印加すると、液晶分子が第1または第2のいずれかの準
安定状態に配向する。
【0011】前記第1の準安定状態は、液晶分子が前記
初期配向状態から前記一方の方向にさらにほぼ180°
ねじれて配向してスプレイ歪を解消した配向状態、前記
第2の準安定態は、液晶分子が前記初期配向状態から前
記一方の方向とは逆方向にほぼ180°ねじれて配向し
てスプレイ歪を解消した配向状態である。
【0012】この液晶表示素子は、前記液晶セルの液晶
層の液晶分子を上記第1と第2のいずれかの準安定状態
に配向させ、それぞれの準安定状態における液晶分子の
配向状態を駆動電圧の実効値に応じて変化させて光の透
過状態を制御するものであり、第1の準安定状態を選択
したときは、液晶分子が前記第1の準安定状態に配向し
た液晶セルと偏光板とからなる表示素子の電気光学特性
をもち、第2の準安定状態を選択したときは、液晶分子
が前記第2の準安定状態に配向した液晶セルと偏光板と
からなる表示素子の電気光学特性をもつ。
【0013】すなわち、この液晶表示素子は、液晶セル
の液晶分子の配向状態が互いに異なる2つの表示素子の
電気光学特性を合わせも持ったものであり、したがっ
て、段階的に制御しようとする透過状態のうちの複数の
透過状態の制御を一方の電気光学特性を利用して行な
い、他の複数の透過状態の制御を他方の電気光学特性を
利用して行なうことができる。
【0014】この液晶表示素子は、前記液晶セルの電極
間に、前記リセット電圧と前記第1および第2の準安定
状態選択電圧のいずれか一方を順に印加して前記液晶分
子を前記第1および第2の準安定状態のいずれかに配向
させ、その後に前記液晶分子を所定の書き込み配向状態
に配向させる実効電圧を得るための書込み電圧を印加し
て表示を書き替えるとともに、前記書込み電圧を周期的
に印加して前記書き込み配向状態を維持し、このような
電圧印加の繰り返しにより順次表示を書き替える方法で
駆動される。
【0015】なお、上記液晶セルが単純マトリックス方
式のものである場合、前記書込み電圧を周期的に印加し
て前記書き込み配向状態を維持する所定フレーム期間を
通じて前記電極間に印加される実効電圧は、前記書込み
電圧と、各フレームの非選択期間に印加それぞれされる
非選択電圧とによって決まる値であり、前記第1または
第2のいずれかの準安定状態に配向した液晶分子は、前
記実効電圧の値に応じて所定の書き込み配向状態に配向
する。
【0016】このように、前記液晶表示素子は、液晶分
子をほぼ垂直に立上がり配向させて前の書込み状態(準
安定状態とその状態での液晶分子の配向状態)をリセッ
トし、その液晶分子を次に選択する上記第1または第2
のいずれかの準安定状態に配向させるとともに、その準
安定状態における液晶分子の配向状態を制御して表示駆
動されるものであり、この液晶表示素子によれば、光の
透過状態の全段階数を、前記一方の電気光学特性を利用
するとき、つまり第1の準安定状態を選択して透過状態
を制御するときと、前記他方の電気光学特性を利用する
とき、つまり第2の準安定状態を選択して透過状態を制
御するときとに振り分けることができる。
【0017】そのため、上記液晶表示素子は、前記第1
および第2のそれぞれの準安定状態での透過状態を制御
する段階数が少なくてよいから、それぞれの準安定状態
の中で、少ない段階数の時分割駆動を行なうことがで
き、したがって、駆動デューティに対して動作電圧マー
ジンを大きくすることができる。
【0018】このように、上記液晶表示素子は、駆動電
圧の実効値を制御して駆動される液晶セルを用いるもの
であるが、その駆動デューティに対して動作電圧マージ
ンを大きくすることができるため、単位面積当たりの画
素数の多い高精細画像の表示を実現するための条件であ
る高デューティでの時分割駆動に適している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上記液晶分子の配向状
態が互いに異なる2つの表示素子の電気光学特性を合わ
せ持った液晶表示素子は、上述したように、リセット電
圧の印加により液晶分子をほぼ垂直に立上がり配向させ
た後に、第1または第2の準安定状態選択電圧の印加に
より液晶分子を第1または第2のいずれかの準安定状態
に配向させ、その後に前記液晶分子を所定の書き込み配
向状態に配向させる実効電圧を得るための書込み電圧を
印加して表示を書き替えることによって駆動されるが、
その場合、液晶の応答に時間を要するため、前記準安定
状態選択電圧を印加しても、垂直に立上がり配向した液
晶分子は直ぐには第1または第2の準安定状態に倒伏し
ない。
【0020】そのため、前記準安定状態選択電圧を印加
した後に書込み電圧を印加しても、そのときの液晶分子
の配向状態は、前記準安定状態に配列しておらず、した
がって、前記準安定状態の選択が不十分なまま実効電圧
による書込みが開始されることになる。このため、上記
液晶表示素子は、信頼性の高い書込みが行なえないとい
う問題をもっている。
【0021】この発明は、液晶分子の配向状態が互いに
異なる2つの表示素子の電気光学特性を合わせ持った液
晶表示素子に、信頼性の高い書込みを行なわせることが
できる、液晶表示素子の駆動方法を提供することを目的
としたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明は、互いに対向
する面それぞれに電極が形成された一対の基板の間にネ
マティック液晶層が挟持され、前記液晶層の液晶分子
が、前記一対の基板の電極間に液晶分子の分子長軸を基
板面に対してほぼ垂直に配向させるリセット電圧を印加
した後、それより低い値の第1の準安定状態選択電圧
と、この第1の準安定状態選択電圧とは異なる第2の準
安定状態選択電圧のいずれかを選択的に印加することに
より、前記液晶分子が所定の状態で配向する第1の準安
定状態と、この第1の準安定状態とは異なる配向状態で
配向する第2の準安定状態のいずれかに配向するととも
に、前記第1および第2の準安定状態のそれぞれにおい
て、前記電極間に印加される電圧の実効値に応じた書込
み配向状態に配向するた液晶セルと、少なくとも一枚の
偏光板とを備えた液晶表示素子を駆動する方法におい
て、前記液晶セルの電極間に、前記リセット電圧と前記
第1および第2の準安定状態選択電圧のいずれか一方と
を順に印加した後、一定の期間、前記液晶分子を所定の
書き込み配向状態に配向させる実効電圧を得るための書
込み電圧を印加しない状態を保ち、その後に前記書込み
電圧を印加して表示を書き替えることを特徴とするもの
である。
【0023】この駆動方法のように、リセット電圧と第
1および第2の準安定状態選択電圧のいずれか一方とを
順に印加した後、一定の期間、書込み電圧を印加しない
状態を保ってから、その後に前記書込み電圧を印加する
ことにより、前記書込み電圧を印加しない状態を保つ一
定の期間に液晶分子を第1または第2のいずれかの準安
定状態に配向させ、準安定状態を十分に選択した状態
で、実効電圧による書込みを開始することができる。
【0024】このため、この駆動方法によれば、液晶分
子の配向状態が互いに異なる2つの表示素子の電気光学
特性を合わせ持った液晶表示素子に、信頼性の高い書込
みを行なわせることができる。
【0025】なお、前記書込み電圧を印加しない状態を
保つ期間の長さは、液晶の応答性に応じて設定すればよ
く、少なくとも液晶分子がリセット電圧の印加によりほ
ぼ垂直に立上がり配向した状態から準安定状態選択電圧
に応じた第1または第2の準安定状態まで配向するのに
要する期間だけ書込み電圧を印加しない状態を保ってや
れば、前記準安定状態を十分に選択することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】この発明の液晶表示素子の駆動方
法は、上記のように、リセット電圧と第1および第2の
準安定状態選択電圧のいずれか一方とを順に印加した
後、一定の期間、書込み電圧を印加しない状態を保って
から、その後に前記書込み電圧を印加することにより、
液晶分子の配向状態が互いに異なる2つの表示素子の電
気光学特性を合わせ持った液晶表示素子に、信頼性の高
い書込みを行なわせるようにしたものである。
【0027】この発明の駆動方法において、前記液晶セ
ルが例えば単純マトリックス方式の液晶セルである場合
は、その各画素行の画素部の電極間に、リセット電圧と
第1および第2の準安定状態選択電圧のいずれか一方を
順に印加した後、その直後の少なくとも1つのフレーム
には書込み電圧を印加せず、その後の各フレームに前記
書込み電圧を印加すればよい。
【0028】さらに、この駆動方法において、前記書込
み電圧を印加しないフレームには、書込み電圧と非選択
電圧の両方の印加を停止してもよく、また、書込み電圧
の印加だけを停止して、前記非選択電圧は印加するよう
にしてもよい。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。まず、この発明の駆動方法により駆動する前記
液晶表示素子について説明する。図3は前記液晶表示素
子の基本構成を示す斜視図であり、(a)は初期配向状
態、(b)は第1の準安定状態、(c)は第2の準安定
状態を示している。図4は前記液晶表示素子の断面図で
ある。
【0030】この例の液晶表示素子は、図3および図4
に示すように、液晶セル10をはさんでその前面側と後
面側とに偏光板21,22を配置するとともに、後側の
偏光板22の背後に反射板30を配置して構成されてい
る。
【0031】上記液晶セル10は、図4のように、内面
に透明電極13,14が設けられるとともにその上に配
向処理を施した配向膜15,16が形成された表裏一対
の透明基板11,12間に液晶18を挟持したものであ
り、前記一対の基板11,12は枠状のシール材17を
介して接合されており、液晶18は両基板11,12間
の前記シール材17で囲まれた領域に封入されている。
なお、前記配向膜15,16はポリイミド等からなる水
平配向膜であり、その膜面を所定の方向にラビングする
ことによって配向処理されている。
【0032】この液晶セル10は、単純マトリックス方
式のものであり、その前側基板11に設けられた透明電
極13は、一方向(図4において左右方向)に沿わせて
形成された複数本の走査電極、後側基板12に設けられ
た透明電極14は、前記走査電極13とほぼ直交する方
向に沿わせて形成された複数本の信号電極である。
【0033】さらに、この液晶セル10は、その液晶1
8に、カイラル剤を添加してツイスト配向性をもたせた
ネマティック液晶を用いたものであり、その液晶層は、
初期配向状態では、液晶分子がいずれか一方の基板の配
向処理方向を基準として一方の方向に0°〜180°の
ねじれ角で非ツイスト配向またはツイスト配向したスプ
レイ配向状態にある。
【0034】そして、この液晶セル10の液晶層は、液
晶分子が基板11,12面に対してほぼ垂直に立上がり
配向する十分高い電圧値のリセット電圧を印加した後に
それより低い所定の値の選択電圧を印加することによ
り、液晶分子が初期配向状態から前記一方の方向(初期
配向状態でのツイスト配向方向と同じ方向)にさらにほ
ぼ180°ねじれてツイスト配向してスプレイ歪を解消
した第1の準安定状態になり、また前記リセット電圧の
印加後、それより低い他の所定の値の選択電圧の印加に
より、液晶分子が前記初期配向状態から前記一方の方向
とは逆方向(第1の準安定状態でのツイスト配向方向と
は逆の方向)にほぼ180°ねじった角度でツイスト配
向してスプレイ歪を解消した第2の準安定状態になると
ともに、前記第1および第2の準安定状態における液晶
分子の配向状態が、表示データに応じて印加される駆動
電圧の実効値に応じて変化する電界により誘起される配
向状態になる特性を有している。
【0035】なお、この例では、前記初期配向状態での
液晶分子のねじれ角をほぼ90°としており、したがっ
て、前記第1の準安定状態は、液晶分子がいずれか一方
の基板の配向処理方向を基準として一方の方向にほぼ2
70°のねじれ角でツイスト配向する状態であり、第2
の準安定状態は、液晶分子が前記一方の基板の配向処理
方向を基準として前記第1の準安定状態とは逆の方向に
ほぼ90°のねじれ角でツイスト配向する状態である。
【0036】図3において、11a,12aは液晶セル
10の両基板11,12の配向処理方向(配向膜15,
16のラビング方向)を示しており、この例では、前側
基板11の配向膜15を、液晶表示素子の画面の横軸x
に対し前面側から見て左回りにほぼ45°ずれた方向で
あって前記画面の左下から右上に向かう方向に配向処理
し、後側基板12の配向膜16を、前記横軸xに対し前
面側から見て右回りにほぼ45°ずれた方向であって前
記画面の左上から右下に向かう方向に配向処理してい
る。すなわち、両基板11,12の配向処理方向11
a,12aは、互いにほぼ直交する方向である。
【0037】また、この例では、上記液晶18として、
前面側から見て左回りのツイスト配向性を有するカイラ
ル剤を添加したものを用いており、したがって、この液
晶セル10の液晶分子は、初期配向状態では、スプレイ
歪をもって、前面側から見て左回り方向(カイラル剤に
よる付与されるねじれ方向)にほぼ90°のねじれ角で
ツイスト配向している。
【0038】この初期配向状態は、液晶分子が、両基板
11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向11
a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一方の
基板の配向処理方向、例えば後側基板12の配向処理方
向12aを基準として、図3の(a)に破線矢印で示し
た方向、つまりカイラル剤により付与されるねじれ方向
に、ほぼ90°のねじれ角でツイスト配向したスプレイ
配向状態である。
【0039】上記初期配向状態は、実際に表示には使用
しない状態であり、上記液晶セル10は、その各画素部
の液晶分子の配向状態を、上述した第1および第2の準
安定状態に配向させて表示駆動される。
【0040】上記第1の準安定状態と第2の準安定状態
は、前記初期配向状態から液晶分子のねじれ角がほぼ1
80°変化してスプレイ歪を解消した状態であり、前記
後側基板12の配向処理方向12aを基準として、カイ
ラル剤により付与されるねじれ方向へのねじれ角を+の
角度、前記カイラル剤により付与されるねじれ方向とは
逆方向(カイラル剤によるねじれをほどく方向)へのね
じれ角を−の角度とすると、第1の準安定状態は、初期
配向状態に対してねじれ角が+180°変化したツイス
ト配向状態であり、第2の準安定状態は、初期配向状態
に対してねじれ角が−180°変化したツイスト配向状
態である。
【0041】上記初期配向状態から第1および第2の準
安定状態への配向状態の切換えは、液晶セル10の各画
素部の電極間(走査電極13と信号電極14との間)
に、まず液晶分子が基板11,12面に対してほぼ垂直
に立上がり配向する十分高い電圧値のリセット電圧を印
加し、その後、前記電極間に、所定の値の選択電圧を印
加することによって行なわれる。
【0042】すなわち、前記リセット電圧の印加により
液晶分子を基板11,12面に対してほぼ垂直に立上が
り配向させた後に、前記リセット電圧よりも低い所定の
値の選択電圧(以下、第1準安定状態選択電圧という)
を印加すると、液晶分子が初期配向状態でのねじれ角に
さらにほぼ180°のねじれが加わったねじれ角(90
°+180°=270°)でツイストする状態に配向し
てスプレイ歪を解消し、第1の準安定状態になる。
【0043】この第1の準安定状態は、液晶分子が、両
基板11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向
11a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一
方の基板の配向処理方向、例えば後側基板12の配向処
理方向12aを基準として、図3の(b)に破線矢印で
示したツイスト方向、つまり前面側から見て左回り方向
(カイラル剤により付与されるねじれ方向)に、ほぼ2
70°のねじれ角でツイスト配向する状態である。
【0044】また、前記リセット電圧の印加により液晶
分子を基板11,12面に対してほぼ垂直に立上がり配
向させた後に、前記リセット電圧よりも低い所定の値の
選択電圧(以下、第2準安定状態選択電圧という)を印
加すると、液晶分子が初期配向状態でのねじれ角からほ
ぼ180°のねじれを差し引いたねじれ角(90°−1
80°=−90°)でツイストする状態に配向してスプ
レイ歪を解消し、第2の準安定状態になる。
【0045】この第2の準安定状態は、液晶分子が、両
基板11,12の近傍においてそれぞれの配向処理方向
11a,12aに沿って配向するとともに、いずれか一
方の基板の配向処理方向、例えば後側基板12の配向処
理方向12aを基準として、図3の(c)に破線矢印で
示したツイスト方向、つまり前面側から見て右回り方向
(カイラル剤により付与されるねじれ方向とは逆方向)
に、ほぼ90°のねじれ角でツイスト配向した状態であ
る。
【0046】さらに、上記第1の準安定状態と第2の準
安定状態とは、その一方から他方に切換えることが可能
であり、液晶分子がいずれの準安定状態に配向している
状態でも、まず電極13,14間に液晶分子が基板1
1,12面に対してほぼ垂直に立上がり配向する十分高
い電圧値のリセット電圧を印加して前記準安定状態をリ
セットし、その後に上記第1および第2のいずれかの準
安定状態選択電圧を印加すれば、液晶分子の配向状態
を、一方の準安定状態から他方の準安定状態に切換える
ことができる。
【0047】なお、上記第1準安定状態選択電圧と第2
準安定状態選択電圧は、使用するネマティック液晶の特
性およびカイラル剤の特性と添加量によって決まるが、
第1準安定状態選択電圧はほぼ0V(ほどんど電圧を印
加しない値)であり、第2準安定状態選択電圧はほとん
どの液晶分子が初期配向状態でのプレチルト角と同程度
またはそれに近い傾き角で配向する低い値であり、前記
第1準安定状態選択電圧よりは絶対値が大きい電圧であ
る。
【0048】図5は上記初期配向状態とリセット状態と
第1および第2の準安定状態における液晶分子の配向状
態を液晶セル10の下縁方向(横軸xに対して直交する
方向)から見た模式図であり、18aは液晶分子を示し
ている。
【0049】この模式図のように、上記初期配向状態
(液晶分子が後側基板12の配向処理方向12aを基準
として前面側から見て左回り方向にほぼ90°のねじれ
角でツイスト配向している状態)は、両基板11,12
の近傍の液晶分子はそれぞれの基板11,12面に対し
てその配向処理方向11a,12aに向かって数度程度
のプレチルト角で斜めに起き上がるように配向している
が、ツイスト配向している液晶分子をそれぞれの分子長
軸が同一平面上にくるように展開して見たときのそれぞ
れの基板11,12側でのプレチルトの傾きが互いに逆
になっている状態であり、したがって液晶分子は、基板
11,12から離れるのにともなってチルト角が小さく
なり、液晶層厚の中間(チルト角が0°になる点)を境
にして基板11,12面に対する傾き方向が逆になった
状態(スプレイ歪をもった状態)のツイスト配向状態に
ある。
【0050】また、上記リセット状態は、両基板11,
12の近傍の液晶分子(図では省略している)は初期配
向状態とほとんど変わらない状態(それぞれの基板1
1,12面に対してその配向処理方向11a,12aに
向かって数度程度のプレチルト角で斜めに起き上がるよ
うに配向している状態)にあるが、基板11,12から
ある程度以上離れているほとんどの液晶分子は基板1
1,12面に対してほぼ垂直に立上がるように配向した
状態である。
【0051】さらに、第1の準安定状態(液晶分子が一
方の方向にほぼ270°のねじれ角でツイスト配向する
状態)は、両基板11,12の近傍の液晶分子の配向状
態は初期配向状態とほとんど変わらないが、液晶分子が
前記初期配向状態よりもさらにほぼ180°ねじれてツ
イスト配向した状態であり、したがって、ツイスト配向
している液晶分子をそれぞれの分子長軸が同一平面上に
くるように展開して見たときの液晶分子18aの傾き方
向は同じ方向であるから、この第1の準安定状態は、ス
プレイ歪の無いツイスト配向状態である。
【0052】また、第2の準安定状態(液晶分子が第1
の準安定状態とは逆方向にほぼ90°のねじれ角でツイ
スト配向する状態)は、両基板11,12の近傍の液晶
分子の配向状態は初期配向状態とほとんど変わらない
が、液晶分子のねじれ角が前記初期配向状態から前記第
1の準安定状態でのツイスト方向とは逆の方向にほぼ1
80°ねじれてツイスト配向した状態であり、したがっ
て、ツイスト配向している液晶分子をそれぞれの分子長
軸が同一平面上にくるように展開して見たときの液晶分
子18aの傾き方向は同じ方向であるから、この第2の
準安定状態も、スプレイ歪の無いツイスト配向状態であ
る。
【0053】上記第1と第2の準安定状態はそれぞれ、
その準安定状態における液晶分子18aのねじれ角を保
持するツイスト配向状態であるが、いずれの準安定状態
においても、液晶分子18aのチルト角、つまり基板1
1,12面に対する立上がり角度は、電極13,14間
に印加される駆動電圧の実効値に応じて変化する(ただ
し両基板11,12の近傍の液晶分子の配向状態はほと
んど変わらない)。
【0054】図5に示した第1および第2の準安定状態
における液晶分子の配向状態のうち、上側に示した配向
状態は、駆動電圧の実効値が比較的小さい値であるとき
の液晶分子の配向状態(第2の書込み状態)を示し、下
側に示した配向状態は、駆動電圧の実効値がある程度高
い値であるときの液晶分子の配向状態(第1の書込み状
態)を示しており、いずれの準安定状態においても、液
晶分子は、その準安定状態におけるツイスト配向状態を
保ちながら、駆動電圧の実効値に応じて立上がり配向す
る。
【0055】なお、上記駆動電圧は、その実効値が上記
リセット電圧の電圧値よりも低い範囲で変化する電圧で
あり、上記第1および第2の準安定状態は、駆動電圧の
実効値に応じて液晶分子のチルト角が変化するが、ツイ
スト配向状態はそのまま維持する状態であり、いずれの
準安定状態も、上記リセット電圧の印加により液晶分子
18aを基板11,12面に対してほぼ垂直に立上がり
配向させて準安定状態をリセットするまで保持される。
【0056】また、図3において、21a,22aは、
液晶セル10をはさんでその前面側と後面側とに配置し
た一対の偏光板21,22の透過軸を示しており、この
例では、前側偏光板21を、その透過軸21aを液晶セ
ル10の前側基板11の配向処理方向11aとほぼ平行
な方向またはほぼ直交する方向(図ではほぼ平行な方
向)に向けて配置し、後側偏光板22を、その透過軸2
2aを前記前側偏光板21の透過軸21aに対してほぼ
直交する方向に向けて配置している。
【0057】この液晶表示素子は、自然光や室内照明光
等の外光を利用し前面側から入射する光を後面側に配置
した反射板30で反射させて表示するものであり、その
表示駆動は、図3に示した駆動系40により液晶セル1
0を駆動して行なわれる。
【0058】この駆動系40は、液晶セル10の各画素
行を所定の選択順で選択し、選択した画素行の各画素部
の電極13,14間に、上記リセット電圧と、第1と第
2の準安定状態のいずれかを選択するための第1および
第2の準安定状態選択電圧のいずれかと、書込みデータ
に応じた書込み電圧を印加するものであり、液晶セル1
0の各画素部の液晶の分子は、前記リセット電圧の印加
によりほぼ垂直に立上がるように配向してその前の書込
み状態(準安定状態とその状態での液晶分子の配向状
態)をリセットされ、その後に印加される準安定状態選
択電圧に応じて第1と第2のいずれかの準安定状態に配
向するとともに、その準安定状態において、前記書込み
電圧と非選択期間に印加される非選択電圧とによって決
まる駆動電圧の実効値に応じて配向状態を変える。
【0059】なお、液晶表示素子の駆動開始前は、液晶
セル10の全ての画素部の液晶分子が上述した初期配向
状態(スプレイ歪をもった配向状態)に配向している
が、表示駆動を開始すると、最初のリセット電圧が印加
されたときに液晶分子がほぼ垂直に立上がるように配向
し、前記準安定状態をリセットしたときと同じ状態にな
る。
【0060】上記液晶表示素子は、液晶セル10の各画
素部の液晶分子を上記第1と第2のいずれかの準安定状
態に配向させ、それぞれの準安定状態における液晶分子
のチルト角を駆動電圧の実効値に応じて変化させて光の
透過状態を制御するものであり、第1の準安定状態を選
択したときは、液晶分子がいずれか一方の基板の配向処
理方向を基準として一方の方向にほぼ270°のねじれ
角でツイスト配向した液晶セルと偏光板とからなる表示
素子の電気光学特性をもち、第2の準安定状態を選択し
たときは、液晶分子が前記一方の基板の配向処理方向を
基準として前記第1の準安定状態とは逆の方向にほぼ9
0°のねじれ角でツイスト配向した液晶セルと偏光板と
からなる表示素子の電気光学特性をもつ。
【0061】すなわち、この液晶表示素子は、液晶セル
の液晶分子の配向状態が異なる2つの表示素子の電気光
学特性を合わせ持ったものであり、したがって、段階的
に制御しようとする透過状態のうちの複数の透過状態の
制御を一方の電気光学特性を利用して行ない、他の複数
の透過状態の制御を他方の電気光学特性を利用して行な
うことができる。
【0062】この場合、上記液晶表示素子では、前側偏
光板21の透過軸21aの方向を液晶セル10の前側基
板11の配向処理方向11aとほぼ平行またはほぼ直交
する方向にし、後側偏光板22の透過軸22aを、前記
前側偏光板21の透過軸21aに対してほぼ直交する方
向に設定しているため、第1の準安定状態を選択して透
過状態を制御するときも、第2の準安定状態を選択して
透過状態を制御するときも、ツイステッドネマティック
モード(以下、TNモードと記す)による表示を行なう
ことができる。
【0063】すなわち、第1と第2のいずれの準安定状
態においても、前側偏光板21を透過して入射した直線
偏光が、液晶セル10を透過する過程で液晶層の複屈折
作用により液晶分子のツイスト配向状態に応じて旋光さ
れ、その光が後側偏光板22に入射して、この後側偏光
板22により透過を制御される。そして、後側偏光板2
2を透過した光は、反射板30で反射され、前記後側偏
光板22と液晶セル10と前側偏光板21とを順に透過
して出射する。
【0064】そして、この液晶表示素子では、上記第1
の準安定状態を選択したときの液晶分子の配向状態が、
ねじれ角がほぼ270°と大きいツイスト配向状態であ
るため、液晶層の複屈折作用における旋光分散により旋
光性が各波長光ごとに異なるため、各波長光が異なる透
過率で後側偏光板22を透過して、この後側偏光板22
を透過した光が、その光を構成する各波長光の強度の比
に応じた色の着色光になる。
【0065】このように、上記第1の準安定状態を選択
したときのTNモードによる表示は、着色した表示が得
られるカラー表示であり、その表示色は、電極13,1
4間に印加される駆動電圧の実効値に応じて変化する。
【0066】すなわち、液晶分子は、駆動電圧の実効値
に応じて前記準安定状態における配向状態を保ちながら
立上がり配向するが、このように液晶分子の配向状態が
変化すると、それに応じた液晶層の複屈折性の変化に応
じた旋光分散の変化によって各波長の旋光性が変化する
ため、前記駆動電圧の実効値を制御することにより着色
光の色を変化させることができ、したがって、1つの画
素で複数の色を表示することができる。
【0067】なお、上記カラー表示は、液晶セル10の
液晶層の複屈折作用と一対の偏光板21,22の偏光作
用とを利用して光を着色するものであり、したがってカ
ラーフィルタを用いて光を着色するものに比べて光の吸
収が少ないから、反射型の液晶表示素子であっても、表
示光の透過率を高くして明るい着色表示を得ることがで
きる。
【0068】一方、上記第2の準安定状態を選択したと
きの液晶分子の配向状態は、ねじれ角がほぼ90°のツ
イスト配向状態であるため、このときのTNモードによ
る表示は、通常のTN型液晶表示素子の場合と基本的に
同じであり、この液晶表示素子では、前側偏光板21と
後側偏光板22とをそれぞれの透過軸21a,22aを
互いにほぼ直交させて配置しているため、液晶分子のチ
ルト角がプレチルト角に近いときは無彩色の明表示であ
る白が表示され、液晶分子のチルト角が大きくなのにと
もなって光の透過率が少なくなって、最終的に無彩色の
暗表示である黒が表示される。
【0069】この場合は、駆動電圧の実効値に応じて液
晶分子が立上がり配向し、それに応じて液晶層の複屈折
性が変化するため、前記駆動電圧の実効値を制御するこ
とにより光の透過状態を段階的に制御して階調のある白
黒表示を行なうことができる。
【0070】なお、上記初期配向状態、つまり液晶分子
がスプレイ歪をもってほぼ90°のねじれ角でツイスト
配向している状態は、実際の表示には使用しないが、こ
の初期配向状態もTNモードによる白黒表示が得られる
状態である。
【0071】図6〜図8は、液晶セル10の両基板1
1,12の配向処理方向11a,12aと表裏の偏光板
21,22の透過軸21a,22aを図3に示したよう
に設定し、液晶セル10のΔnd(液晶の屈折率異方性
Δnと液晶層厚dとの積)の値を約1000nmに選ん
だ液晶表示素子の駆動電圧に対する光の出射率と表示色
の変化を示しており、図6の(a),(b)は初期配向
状態における電圧−出射率特性図およびCIE色度図、
図7の(a),(b)は第1の準安定状態における電圧
−出射率特性図およびCIE色度図、図8の(a),
(b)は第2の準安定状態における電圧−出射率特性図
およびCIE色度図である。なお、各図の(b)の色度
図において、Wは無彩色点を示している。
【0072】まず、初期配向状態について説明すると、
初期配向状態での電圧−出射率特性は図6の(a)のよ
うな特性であり、駆動電圧に対する表示色の変化は、図
6の(b)のように、電圧が0V(電圧無印加状態)の
ときで白、液晶分子がほぼ垂直に立上がり配向する実効
値(例えば約5V)の電圧を印加したときで黒である。
【0073】なお、液晶分子の立上がり配向状態は、上
述したリセット電圧を印加したときに最も垂直に近くな
り、そのときに表示が最も黒くなるが、リセット電圧の
印加時間は極く短いため、リセット状態での表示は人間
の目にはほとんど認識されない。
【0074】また、第1の準安定状態での電圧−出射率
特性は図7の(a)のような特性であり、駆動電圧に対
する表示色の変化は、図7の(b)のように、実効値が
1.95Vの電圧を印加したときで赤、実効値が2.9
8Vの電圧を印加したときで青である。
【0075】なお、上記赤のx,yコーディネイト値
は、x=0.353、y=0.350であり、Y値(明
るさ)は28.54である。また、上記青のx,yコー
ディネイト値は、x=0.274、y=0.296であ
り、Y値は11.64である。
【0076】さらに、第2の準安定状態での電圧−出射
率特性は図8の(a)のような特性であり、駆動電圧に
対する表示色の変化は、図8の(b)のように、実効値
が1.55Vの電圧を印加したときで白、実効値が3.
07Vの電圧を印加したときで黒である。
【0077】なお、上記白のx,yコーディネイト値
は、x=0.317、y=0.341であり、Y値は3
4.41である。また、上記黒のx,yコーディネイト
値は、x=0.271、y=0.290であり、Y値は
1.83である。
【0078】すなわち、上記液晶表示素子は、第1の準
安定状態を選択して赤と青を表示し、第2の準安定状態
を選択して白と黒を表示するものであり、したがって、
表示の基本である白と黒の表示に加えて、赤と青の2色
のカラー表示を行なうことができる。
【0079】なお、液晶表示素子の電源を切ると、第1
または第2の準安定状態にある液晶分子の配向状態が、
自然放電により数秒〜数分(使用するネマティック液晶
の特性およびカイラル剤の特性と添加量によって異な
る)で初期配向状態に戻り、画面全体が、初期配向状態
における電圧無印加時の状態(上記例では白)になる。
【0080】そして、上記液晶表示素子は、液晶セルの
液晶分子の配向状態が異なる2つの表示素子の電気光学
特性を合わせ持ったものであって、段階的に制御しよう
とする透過状態のうちの複数の透過状態の制御を一方の
電気光学特性を利用して行ない、他の複数の透過状態の
制御を他方の電気光学特性を利用して行なうことができ
るものであるため、透過状態の全段階数を、前記一方の
電気光学特性を利用するとき、つまり第1の準安定状態
を選択して透過状態を制御するときと、前記他方の電気
光学特性を利用するとき、つまり第2の準安定状態を選
択して透過状態を制御するときとに振り分けることがで
きる。
【0081】そのため、上記液晶表示素子は、前記第1
および第2のそれぞれの準安定状態での透過状態を制御
する段階数が少なくてよいから、それぞれの準安定状態
の中で、少ない段階数の時分割駆動を行なうことがで
き、したがって、駆動デューティに対して動作電圧マー
ジンを大きくすることができる。
【0082】すなわち、上述した白と黒の表示に加えて
赤と青の2色のカラー表示を行なう液晶表示素子の場合
は、その駆動電圧の実効値を、第1の準安定状態を選択
して赤と黒を表示するときは1.95Vと2.98Vの
2通りに設定し、第2の準安定状態を選択して青と白を
表示するときは1.55Vと3.07Vの2通りに設定
すればよく、したがって、それぞれの準安定状態におけ
る2通りの駆動電圧の実効値の差、つまり動作電圧マー
ジンを、第1の準安定状態で1.03V(=2.98V
−1.95V)、第2の準安定状態で1.52V(=
3.07V−1.55V)と充分に大きくとることがで
きる。
【0083】このように、上記液晶表示素子は、駆動電
圧の実効値を制御して駆動される単純マトリックス方式
の液晶セル10を用いるものであるが、その駆動デュー
ティに対して動作電圧マージンを大きくすることができ
るため、単位面積当たりの画素数の多い高精細画像の表
示を実現するための条件である高デューティでの時分割
駆動に適している。
【0084】なお、上記液晶表示素子は、第1の準安定
状態を選択したときの表示色が赤と青になるものである
が、その表示色は、液晶セル10のΔndの値を変える
ことによって任意に選ぶことができる。
【0085】また、上記液晶表示素子は、第1と第2の
いずれの準安定状態を選択したときもTNモードによる
表示を行なうものであって、第1の準安定状態での表示
がカラー表示となり、第2の準安定状態での表示が白黒
表示となるものであるが、少なくとも前側偏光板21の
透過軸21aの方向を、液晶セル10の前側基板11の
配向処理方向11aに対して斜めに交差する方向にすれ
ば、第1と第2の両方の準安定状態における表示をそれ
ぞれ複屈折効果モードによるカラー表示とすることがで
きる。
【0086】さらに、上記液晶表示素子において、液晶
セル10の初期配向状態は、上記の例に限られるもので
はなく、液晶分子がいずれか一方の基板の配向処理方向
を基準として一方の方向にほぼ0°〜ほぼ180°のね
じれ角で非ツイストまたはツイスト配向したスプレイ配
向状態にあればよい。
【0087】なお、例えば、初期配向状態が、全ての液
晶分子が一方の基板の配向処理方向に沿って配向した、
ねじれ角がほぼ0°の非ツイスト配向状態である場合、
第1の準安定状態は、前記一方の基板の配向処理方向を
基準として一方の方向にほぼ180°のねじれ角でツイ
スト配向してスプレイ歪を解消した状態であり、第2の
準安定状態は、前記一方の基板の配向処理方向を基準と
して前記第1の準安定状態とは反対の方向にほぼ180
°のねじれ角でツイスト配向してスプレイ歪を解消した
状態である。
【0088】また、例えば、初期配向状態が、液晶分子
が一方の基板の配向処理方向を基準として一方の方向に
ほぼ180°のねじれ角で配向したツイスト配向状態で
ある場合、第1の準安定状態は、前記一方の基板の配向
処理方向を基準として一方の方向にほぼ360°のねじ
れ角でツイスト配向してスプレイ歪を解消した状態であ
り、第2の準安定状態は、全ての液晶分子が前記一方の
基板の配向処理方向に沿って非ツイスト配向してスプレ
イ歪を解消した状態である。
【0089】このように液晶セル10の初期配向状態と
第1および第2の準安定状態を選んだ場合も、液晶セル
10をはさんで配置した一対の偏光板21,22のうち
の少なくとも前側偏光板21の透過軸21aの方向を前
記液晶セル10の前側基板11の配向処理方向11aに
対して斜めに交差する方向に設定すれば、第1の準安定
状態を選択して透過状態を制御するときも、第2の準安
定状態を選択して透過状態を制御するときも、複屈折効
果モードによるカラー表示を行なうことができる。
【0090】さらに、上記液晶表示素子は、液晶セル1
0の液晶層の複屈折作用と一対の偏光板21,22の偏
光作用とを利用して表示するものであるが、それに加え
て、表裏の偏光板21,22のいずれか一方または両方
と液晶セル10との間に位相差板を配置してもよい。
【0091】この位相差板の付加は、特に、複屈折効果
モードによるカラー表示を行なう液晶表示素子において
効果的であり、この液晶表示素子に位相差板を付加すれ
ば、各波長光が前記位相差板と液晶セル10の液晶層と
の両方の複屈折作用によりそれぞれの偏光状態を大きく
変えて後側偏光板22に入射するため、後側偏光板22
を透過する各波長光の透過率の差が大きくなり、したが
って、後側偏光板22を透過した光が、その光を構成す
る各波長光の強度の差が大きい鮮明な着色光になるし、
また、駆動電圧の実効値に応じた液晶分子の配向状態の
変化にともない、前記各波長光の透過率とその透過率差
が大きく変化して前記着色光の色が変化するため、表示
色数も多くなる。
【0092】また、上記液晶表示素子は、その後面側に
反射板30を配置した反射型のものに限らず、バックラ
イトの光を利用して表示する透過型の液晶表示素子であ
っても、前記反射板30に代えて半透過反射板を配置し
た、外光を利用する反射型表示とバックライトの光を利
用する透過型表示との両方を行なういわゆる2ウエイ表
示型のものでもよい。
【0093】さらに、反射型の液晶表示素子の場合は、
偏光板を1枚だけ備え、液晶セルの前面側に偏光板を配
置し、前記液晶セルの後面側に反射板を配置してもよ
く、その場合は、液晶セルの後側基板の外面に反射板を
配置してもよいし、あるいは、前記後側基板の内面に設
ける電極を金属膜で形成し、この電極で反射板を兼用し
てもよい。
【0094】次に、この発明による上記液晶表示素子の
駆動方法を説明する。図1はこの発明の駆動方法の第1
の実施例を示す、前記液晶セル10の走査電極13およ
び信号電極14に供給する走査信号およびデータ信号
と、前記電極13,14間に印加される電圧の波形図で
あり、ここでは、各画素行のうちの第1行の画素部に対
応する走査電極13に供給する走査信号Cと、各画素列
のうちの1つの画素列に対応する信号電極14に供給す
るデータ信号Sと、前記走査電極13と信号電極14と
の間に印加される電極間電圧C−Sを示している。
【0095】なお、図1に示した波形は、液晶セル10
の画素行数(走査電極数)が13行であるときの例であ
り、この実施例では、1つの画素行の画素部を表示を1
4フレーム目ごとに1回書き替えるようにしている。
【0096】図1において、Tは1フレーム、t1,t
2,t3,…t13は各フレームT中における第1行,
第2行,第3行…第13行(最終行)の画素行の選択期
間であり、各フレームTに付した()内の数字はフレー
ム番号であり、図では、第13フレームから第16レー
ムまでを示している。
【0097】また、図1において、Rは第1行の画素部
のリセット期間、Pは前記リセット期間に続く準安定状
態選択期間であり、この実施例では、各画素行の画素部
のリセット期間Rおよび準安定状態選択期間Sを、13
フレームおきに1回の周期で確保している。
【0098】すなわち、第1行の画素部のリセット期間
Rおよび準安定状態選択期間Pは、第1フレームの前、
第13フレームと第14フレームとの間、第26フレー
ムと第27フレームとの間、第39フレームと第40フ
レームとの間というように、13フレームおきに1回の
周期で確保してある。
【0099】図1に示した走査信号Cとデータ信号Sお
よび電極間電圧C−Sについて説明すると、前記走査信
号Cは、図のような波形のパルス信号であり、13フレ
ームおきに1回の周期で確保されたリセット期間Rに十
分大きいリセット電位VCRになり、前記リセット期間R
に続く準安定状態選択期間Pに所定の準安定状態選択電
位VCPになる。また、この走査信号Cは、前記準安定状
態選択期間Pの直後のフレーム(図1では第14フレー
ム)Tでは、このフレームTの全期間を通じて0電位を
維持し、前記直後のフレームを除く他のフレームTで
は、前記第1行の画素部の選択期間t1に書込み電位V
CDになる。
【0100】一方、前記データ信号Sは、図のような波
形のパルス信号であり、前記リセット期間Rに前記走査
信号Cのリセット電位VCRに対して十分大きい電位差
(液晶分子をほぼ垂直に立上がり配向させるのに十分な
電位差)を有するリセット電位VSRになり、前記準安定
状態選択期間Pに前記走査信号Cの準安定状態選択電位
VCPに対して所定の電位差を有する第1または第2のい
ずれかの準安定状態選択電位VSPになる。
【0101】前記準安定状態選択電位VSPは、第1の準
安定状態を選択するときと、第2の準安定状態を選択す
るときとで異なり、上述したように、第1準安定状態選
択電圧がほぼ0Vで、第2準安定状態選択電圧が第1準
安定状態選択電圧よりも絶対値が大きい電圧である場
合、第1の準安定状態を選択するための準安定状態選択
電位VSPは、前記走査信号Cの準安定状態選択電位VCP
と同極性で絶対値がほぼ同じ電位であり、第2の準安定
状態を選択するときの準安定状態選択電位VSPは、前記
走査信号Sの準安定状態選択電位VCPとは逆極性の電位
(図に示した電位)である。
【0102】また、前記データ信号Sは、前記準安定状
態選択期間Pの直後のフレーム(図1では第14フレー
ム)Tでは、その全期間を通じて0電位を維持し、前記
直後のフレームを除く他のフレームTでは、各画素行の
選択期間t1,t2,t3,…t13ごとに、その電位
が画像データに応じて変化する。
【0103】なお、上記走査信号Cとデータ信号VSPは
いずれも、前記書込み電位VCDおよび画像データに応じ
た電位の極性が1フレームTごとに反転する信号であ
り、前記リセット電位VCR,VSRおよび準安定状態選択
電位VCP,VSPの極性も、リセット期間Rおよび準安定
状態選択期間Pごとに反転する。
【0104】前記電極間電圧C−Sは、前記走査信号C
とデータ信号Sとの電位差に応じた波形のパルス電圧で
あり、第1フレームの前に1回、その後13フレームお
きに1回の周期で確保された各リセット期間Rに、前記
走査信号Sのリセット電位VCRとデータ信号Sのリセッ
ト電位VSRとの電位差に相当するリセット電圧VR にな
り、前記リセット期間Rに続く準安定状態選択期間P
に、前記走査信号Cの準安定状態選択電位VCPとデータ
信号Sの準安定状態選択電位VSPとの電位差に相当する
第1または第2のいずれかの準安定状態選択電圧VP に
なる。
【0105】さらに、この電極間電圧C−Sは、前記準
安定状態選択期間Pの直後のフレーム(図1では第14
フレーム)Tでは、その全期間を通じてほぼ0Vにな
り、前記直後のフレームを除く他のフレームTでは、前
記第1行の画素部の選択期間t1に、前記走査信号Cの
書込み電位VCDと前記データ信号Sの画像データに応じ
た電位との差に相当する書込み電圧VD になり、前記走
査信号Cの電位が0電位である非選択期間(第2行〜第
13行の画素部の選択期間t2〜t13)に、前記デー
タ信号Sの画像データに対応する電位に応じた非書込み
電圧になる。
【0106】この実施例の駆動方法は、液晶セル10の
各画素行の画素部の電極13,14間に図1に示したよ
うな波形の電極間電圧C−Sを印加することにより、各
画素行の画素部の表示をそれぞれ、14フレーム目ごと
に1回書き替えるものであり、前記第1行の画素部の表
示は次のようにして書き替えられる。
【0107】すなわち、前記第1行の画素部の電極間に
は、その画素行のリセット期間Rに前記リセット電圧V
R が印加され、このリセット電圧VR により、前記画素
部の液晶分子が基板11,12面に対してほぼ垂直に立
上がり配向して、その前の書込み状態がリセットされ
る。
【0108】また、次の準安定状態選択期間Pになる
と、前記電極間に、前記リセット電圧VR よりも十分に
絶対値が小さい第1または第2のいずれかの準安定状態
選択電圧VP が印加され、それに応じて、前記画素部の
液晶分子が、基板11,12面に対して倒伏するように
配向し始める。
【0109】ただし、液晶18の応答の遅れにより、準
安定状態選択電圧VP を印加しても、垂直に立上がり配
向した液晶分子は、直ぐには第1または第2の準安定状
態に倒伏しないため、準安定状態選択期間P内に行なわ
れる準安定状態の選択は不十分であり、したがって、前
記準安定状態選択期間Pに続くフレーム(図1では第1
4フレーム)Tに入ったときの液晶分子の配向状態は、
前記準安定状態よりは垂直に近い状態である。
【0110】しかし、この実施例では、前記準安定状態
選択期間Pの直後のフレーム(図1では第14フレー
ム)Tに、その全期間を通じて走査信号Cとデータ信号
Sとをそれぞれ0電位にすることにより、無期間書込み
電圧と非選択電圧の両方の印加を停止しているため、電
極間電圧C−Sがほぼ0Vになり、このフレームTの期
間中に、液晶分子が前記準安定状態選択期間Pに印加さ
れた第1または第2のいずれかの準安定状態選択電圧V
P に応じて第1または第2のいずれかの準安定状態に倒
伏配向する。
【0111】そして、前記準安定状態選択期間Pの直後
のフレームに続くフレーム(図1では第15フレーム)
から、次のリセット期間Rの直前のフレームまでは、そ
の各フレームTごとに、前記第1行の画素部の選択期間
t1には書込み電圧VD が、非選択期間(第2行〜第1
3行の画素部の選択期間t2〜t13)には非書込み電
圧が電極間に印加され、これらの各フレームTごとに周
期的に印加される前記書込み電圧VD と非書込み電圧と
によって決まる実効電圧に応じた書込み状態に液晶分子
が配向して表示が書き替えられる。なお、液晶分子が所
定の書込み状態に配向するのに要するフレーム数は液晶
18の応答性によって決まり、その配向状態が前記実効
電圧の印加中維持される。
【0112】以下は、上述した駆動の繰り返しであり、
次のリセット期間Rになると、リセット電圧VR の印加
により液晶分子がほぼ垂直に立上がり配向して前の書込
み状態がリセットされ、それに続く準安定状態選択期間
Pからその直後のフレームTにおいて、液晶分子が、前
記準安定状態選択期間Pに印加された準安定状態選択電
圧VP に応じて第1または第2の準安定状態に配向し、
その後の各フレームに、実効電圧に応じた書込み状態に
液晶分子が配向して表示が書き替えられる。
【0113】すなわち、この駆動方法は、液晶セル10
の電極13,14間に、リセット電圧VR と第1および
第2の準安定状態選択電圧のいずれか一方の電圧VP を
順に印加した後、一定の期間(上記実施例では、準安定
状態選択期間Pの直後の1フレームT)は、液晶分子を
所定の書き込み配向状態に配向させる実効電圧を得るた
めの書込み電圧VD と非選択電圧との両方の印加を行な
わずに電極間電圧C−Sをほぼ0Vとした状態を保ち、
その後に前記書込み電圧VD および非選択電圧を印加し
て表示を書き替えるものである。
【0114】この駆動方法のように、リセット電圧VR
と第1および第2のいずれか一方の準安定状態選択電圧
VP とを順に印加した後、一定の期間、書込み電圧VD
および非選択電圧を印加しない状態を保ってから、その
後に前記書込み電圧VD および非選択電圧を印加すれ
ば、前記書込み電圧VD を印加しない状態を保つ一定の
期間に液晶分子を第1または第2のいずれかの準安定状
態に配向させ、準安定状態を十分に選択した状態で、実
効電圧による書込みを開始することができる。
【0115】このため、この駆動方法によれば、液晶分
子の配向状態が互いに異なる2つの表示素子の電気光学
特性を合わせ持った液晶表示素子に、信頼性の高い書込
みを行なわせることができる。
【0116】しかも、この駆動方法では、リセット電圧
VR と第1および第2のいずれか一方の準安定状態選択
電圧VP とを順に印加した後、一定の期間、書込み電圧
VDおよび非選択電圧を印加しない状態を保ってから、
その後に前記書込み電圧VDおよび非選択電圧を印加し
て実効電圧による書込みを行なうようにしているため、
液晶分子がリセット状態から実効電圧に応じて書込み状
態に配向するまでの応答速度も速い。
【0117】すなわち、リセット電圧VR と第1および
第2のいずれか一方の準安定状態選択電圧VP とを順に
印加した後、直ちに書込み電圧VD および非選択電圧を
印加して書込みを行なう場合は、液晶分子がリセット状
態から実効電圧に応じて書込み状態に配向するまでの応
答速度が、約450msec である。
【0118】これに対して、上記駆動方法のように、準
安定状態選択期間Pの直後の1フレームTには書込み電
圧VD および非選択電圧を印加せず、その次のフレーム
Tから書込み電圧VD および非選択電圧を印加する場合
は、液晶分子がリセット状態から実効電圧に応じて書込
み状態に配向するまでの応答速度が、約180msecで
あり、したがって、表示を書き替える際の、前の配向状
態のリセットから次の書込みまでを極く短時間で行なえ
る。
【0119】また、上記駆動方法では、書込み電圧VD
および非選択電圧の印加を停止する期間を、準安定状態
選択期間Pの直後の1フレームTだけにし、その次のフ
レームTから次のリセット期間Rの直前のフレームTま
での期間に、書込み電圧VDおよび非選択電圧を周期的
に印加するようにしているため、書込み電圧VD および
非書込み電圧によって決まる実効電圧に対して液晶分子
を十分に応答動作させ、確実な書込みを行なうことがで
きる。
【0120】なお、上記第1の実施例の駆動方法では、
書込み電圧VD の印加を停止するフレーム(上記実施例
では準安定状態選択期間Pの直後の1フレーム)には、
書込み電圧VD と非選択電圧との両方の印加を停止し
て、電極間電圧C−Sをほぼ0Vにしているが、前記書
込み電圧VD の印加を停止するフレームには、非選択電
圧の印加も停止して、電極間電圧C−Sをほぼ0Vにし
ているが、前記書込み電圧VD の印加を停止する期間に
は、書込み電圧VD の印加だけを停止し、非選択電圧は
印加するようにしてもよい。
【0121】図2はこの発明の駆動方法の第2の実施例
を示す、前記液晶セル10の走査電極13および信号電
極14に供給する走査信号およびデータ信号と、前記電
極13,14間に印加される電圧の波形図であり、ここ
では、各画素行のうちの第1行の画素部に対応する走査
電極13に供給する走査信号Cと、各画素列のうちの1
つの画素列に対応する信号電極14に供給するデータ信
号Sと、前記走査電極13と信号電極14との間に印加
される電極間電圧C−Sを示している。
【0122】なお、図2に示した波形は、液晶セル10
の画素行数(走査電極数)が13行であるときの例であ
り、この実施例でも、1つの画素行の画素部を表示を1
4フレーム目ごとに1回書き替えるようにしている。
【0123】この実施例の駆動方法は、書込み電圧VD
の印加を停止するフレームには、書込み電圧VD の印加
だけを停止し、非選択電圧は印加するようにしたもので
あり、前記走査信号Cの波形は上述した第1の実施例と
同じであるが、データ信号Sの波形は、準安定状態選択
期間Pの直後のフレーム(図2では第14フレーム)T
を含む全てのフレームTにおいて、各画素行の選択期間
t1,t2,t3,…t13ごとに、その電位が画像デ
ータに応じて変化する波形である。
【0124】したがって、電極間電圧C−Sは、前記準
安定状態選択期間Pの直後のフレームTに、その全期間
を通じて、前記データ信号Sの画像データに応じた電位
に応じた非書込み電圧になり、他のフレームTでは、前
記第1行の画素部の選択期間t1に、走査信号Sの書込
み電位VCDとデータ信号Sの画像データに応じた電位と
の差に相当する書込み電圧VD になり、前記走査信号S
の電位が0電位である非選択期間(第2行〜第13行の
画素部の選択期間t2〜t13)に、前記データ信号S
の画像データに対応する電位に応じた非書込み電圧にな
る。
【0125】なお、前記走査信号Cおよびデータ信号S
と電極間電圧C−Sのリセット期間Rおよび準安定状態
選択期間Pの波形は上述した第1の実施例と同じである
から、その説明は省略する。
【0126】すなわち、この実施例の駆動方法は、液晶
セル10の電極13,14間に、リセット電圧VR と第
1および第2のいずれか一方の準安定状態選択電圧VP
を順に印加した後、一定の期間(この実施例では、準安
定状態選択期間Pの直後の1フレームT)液晶分子を所
定の書き込み配向状態に配向させる実効電圧を得るため
の書込み電圧VD を印加しない状態を保ち、その後に前
記書込み印加VD を印加して表示を書き替えるものであ
る。
【0127】この駆動方法においては、書込み電圧の印
加を停止するフレームにも非選択電圧の印加を継続する
が、この場合でも、リセット電圧VR と第1および第2
のいずれか一方の準安定状態選択電圧VP とを順に印加
した後、一定の期間、書込み電圧VD を印加しない状態
を保ってから、その後に前記書込み電圧VD を印加すれ
ば、前記書込み電圧VD を印加しない状態を保つ一定の
期間に液晶分子を第1または第2のいずれかの準安定状
態に配向させ、準安定状態を十分に選択した状態で、実
効電圧による書込みを開始することができるため、液晶
分子の配向状態が互いに異なる2つの表示素子の電気光
学特性を合わせ持った液晶表示素子に、信頼性の高い書
込みを行なわせることができる。
【0128】また、この駆動方法でも、リセット電圧V
R と第1および第2のいずれか一方の準安定状態選択電
圧VP とを順に印加した後、一定の期間、書込み電圧V
D を印加しない状態を保ってから、その後に前記書込み
電圧VD を印加して実効電圧による書込みを行なうよう
にしているため、液晶分子がリセット状態から実効電圧
に応じて書込み状態に配向するまでの応答速度が速い。
【0129】この実施例の駆動方法の場合、液晶分子が
リセット状態から実効電圧に応じて書込み状態に配向す
るまでの応答速度は、約180msec であり、したがっ
て、表示を書き替える際の、前の配向状態のリセットか
ら次の書込みまでを極く短時間で行なえる。
【0130】なお、上記第1および第2の実施例では、
書込み電圧VD の印加を停止する期間を、準安定状態選
択期間Pの直後の1フレームTだけにしているが、前記
書込み電圧VD の印加を停止する期間は、その後の実効
電圧による書込み期間の長さが液晶分子が十分に応動動
作し得る長さでありさえすれば、例えば準安定状態選択
期間Pに続く2〜3フレームとしてもよい。
【0131】すなわち、前記書込み電圧VD を印加しな
い状態を保つ期間の長さは、液晶の応答性に応じて設定
すればよく、少なくとも液晶分子がリセット電圧VR の
印加によりほぼ垂直に立上がり配向した状態から準安定
状態選択電圧VP に応じた第1または第2の準安定状態
まで配向するのに要する期間だけ書込み電圧VD を印加
しない状態を保ってやれば、前記準安定状態を十分に選
択することができる。
【0132】また、上記各実施例では、液晶セル10の
画素行数(走査電極数)が13行であり、1つの画素行
の画素部を表示を14フレーム目ごとに1回書き替える
場合の駆動方法を例にとって説明したが、前記液晶セル
10の画素行数は13行でなくてもよく、また表示の書
き替え終期も任意でよい。
【0133】さらに、上記各実施例では、表示の書き替
えを行なうフレームTとその前のフレームTとの間にリ
セット期間Rと準安定状態選択期間Pとを確保している
が、前記リセット期間Rと準安定状態選択期間Pは、表
示の書き替えを行なうフレームT中の初期に挿入して
も、あるいは、表示の書き替えを行なうフレームの前の
フレームT中の終期に挿入してもよい。
【0134】また、上記各実施例の駆動方法は、単純マ
トリックス方式の液晶セル10を用いた液晶表示素子を
対象としたものであるが、この発明は、液晶分子の配向
状態が互いに異なる2つの表示素子の電気光学特性を合
わせ持った液晶表示素子の駆動に広く適用することがで
きる。
【0135】
【発明の効果】この発明の駆動方法によれば、リセット
電圧と第1および第2の準安定状態選択電圧のいずれか
一方とを順に印加した後、一定の期間、書込み電圧を印
加しない状態を保ってから、その後に前記書込み電圧を
印加するようにしているため、液晶分子の配向状態が互
いに異なる2つの表示素子の電気光学特性を合わせ持っ
た液晶表示素子に、信頼性の高い書込みを行なわせるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の駆動方法の第1の実施例を示す、走
査信号およびデータ信号と電極間印加電圧の波形図。
【図2】この発明の駆動方法の第2の実施例を示す、走
査信号およびデータ信号と電極間印加電圧の波形図。
【図3】この発明の駆動方法により駆動する液晶表示素
子の基本構成を示す、初期配向状態と第1の準安定状態
と第2の準安定状態の斜視図。
【図4】前記液晶表示素子の断面図。
【図5】前記液晶表示素子の初期配向状態とリセット状
態と第1および第2の準安定状態における液晶分子の配
向状態を示す模式図。
【図6】前記液晶表示素子の初期配向状態における電圧
−出射率特性図およびCIE色度図。
【図7】前記液晶表示素子の第1の準安定状態における
電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【図8】前記液晶表示素子の第2の準安定状態における
電圧−出射率特性図およびCIE色度図。
【符号の説明】
10…液晶セル 11a…前側基板の配向処理方向 12a…後側基板の配向処理方向 18…カイラル剤が添加されたネマティック液晶 21,22…偏光板 21a,22a…透過軸 30…反射板 40…駆動系 T…フレーム R…リセット期間 P…準安定状態選択期間 t1…第1行のの画素行の選択期間 VR …リセット電圧 VP …準安定状態選択電圧 VD …書込み電圧

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向する面それぞれに電極が形成さ
    れた一対の基板の間にネマティック液晶層が挟持され、
    前記液晶層の液晶分子が、前記一対の基板の電極間に液
    晶分子の分子長軸を基板面に対してほぼ垂直に配向させ
    るリセット電圧を印加した後、それより低い値の第1の
    準安定状態選択電圧と、この第1の準安定状態選択電圧
    とは異なる第2の準安定状態選択電圧のいずれか一方を
    選択的に印加することにより、前記液晶分子が所定の状
    態で配向する第1の準安定状態と、この第1の準安定状
    態とは異なる配向状態で配向する第2の準安定状態のい
    ずれかに配向するとともに、前記第1および第2の準安
    定状態のそれぞれにおいて、前記電極間に印加される電
    圧の実効値に応じた書込み配向状態に配向するた液晶セ
    ルと、少なくとも一枚の偏光板とを備えた液晶表示素子
    を駆動する方法において、 前記液晶セルの電極間に、前記リセット電圧と前記第1
    および第2の準安定状態選択電圧のいずれか一方とを順
    に印加した後、一定の期間、前記液晶分子を所定の書き
    込み配向状態に配向させる実効電圧を得るための書込み
    電圧を印加しない状態を保ち、その後に前記書込み電圧
    を印加して表示を書き替えることを特徴とする液晶表示
    素子の駆動方法。
  2. 【請求項2】前記液晶セルは、単純マトリックス方式の
    液晶セルであり、各画素行の画素部の電極間に、前記リ
    セット電圧と前記第1および第2の準安定状態選択電圧
    のいずれか一方を順に印加した後、その直後の少なくと
    も1つのフレームには前記書込み電圧を印加せず、その
    後の各フレームに前記書込み電圧を印加することを特徴
    とする請求項1に記載の液晶表示素子の駆動方法。
  3. 【請求項3】前記書込み電圧を印加しないフレームに
    は、書込み電圧と非選択電圧の両方の印加を停止するこ
    とをことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子の
    駆動方法。
  4. 【請求項4】前記書込み電圧を印加しないフレームに
    は、書込み電圧の印加だけを停止し、非選択電圧は印加
    することをことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示
    素子の駆動方法。
JP3592298A 1998-02-18 1998-02-18 液晶表示素子の駆動方法 Pending JPH11231285A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3592298A JPH11231285A (ja) 1998-02-18 1998-02-18 液晶表示素子の駆動方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3592298A JPH11231285A (ja) 1998-02-18 1998-02-18 液晶表示素子の駆動方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11231285A true JPH11231285A (ja) 1999-08-27

Family

ID=12455537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3592298A Pending JPH11231285A (ja) 1998-02-18 1998-02-18 液晶表示素子の駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11231285A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5274484A (en) Gradation methods for driving phase transition liquid crystal using a holding signal
US7019795B2 (en) Liquid crystal device operable in two modes and method of operating the same
US6057817A (en) Liquid crystal display device having bistable nematic liquid crystal and method of driving the same
US6320571B1 (en) Bistable liquid crystal display device
JPH10239664A (ja) 液晶ディスプレイ
JP3641907B2 (ja) 液晶表示装置
JP3775089B2 (ja) 液晶装置および電子機器
JPH0764056A (ja) 反強誘電性液晶表示素子及び反強誘電性液晶表示素子の駆動方法
JP3518873B2 (ja) 相転移形液晶表示装置駆動方法
JPH11337922A (ja) 液晶表示装置
JPH11231285A (ja) 液晶表示素子の駆動方法
JPH11231284A (ja) 液晶表示素子の駆動方法
JPH028814A (ja) 液晶装置
JP3557570B2 (ja) 液晶表示装置
JP3557569B2 (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JPH10186306A (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JP3528481B2 (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JP3557568B2 (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JP3610421B2 (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JP3570130B2 (ja) 液晶表示装置およびその液晶セルの駆動方法
JP3528449B2 (ja) 液晶表示装置
JPH1124032A (ja) 液晶表示装置
JPH1152360A (ja) 液晶表示素子
JPH1062749A (ja) 液晶表示装置
JPH1152358A (ja) 液晶表示素子