JPH10184672A - 動圧軸受ユニット - Google Patents

動圧軸受ユニット

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Publication number
JPH10184672A
JPH10184672A JP33952796A JP33952796A JPH10184672A JP H10184672 A JPH10184672 A JP H10184672A JP 33952796 A JP33952796 A JP 33952796A JP 33952796 A JP33952796 A JP 33952796A JP H10184672 A JPH10184672 A JP H10184672A
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JP
Japan
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bearing
dynamic pressure
rotating shaft
thrust
bearing ring
Prior art date
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Pending
Application number
JP33952796A
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English (en)
Inventor
Shotaro Mizobuchi
庄太郎 溝渕
Masakazu Uesugi
正和 上杉
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THK Co Ltd
Original Assignee
THK Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】回転軸に作用する外部荷重に抗して、かかる回
転軸の軸方向の変位を抑えることが可能であると共に、
回転軸の軸方向への変位量を任意に調整することがで
き、この動圧軸受ユニットを工作機械のスピンドル装置
に使用した場合等において、工具のワークに対する切り
込み量を細かく調整可能であり、また、軸の熱膨張によ
る切り込み量の変化を吸収することが可能な動圧軸受ユ
ニットを提供する。 【解決手段】回転軸1と、この回転軸1の外径と所定の
軸受隙間を介して対向する円筒状の軸受リング5を備え
たハウジング2と、上記軸受リング5をその軸方向から
挟み込むようにして上記回転軸1に固定され、該軸受リ
ング5と相俟ってスラスト動圧軸受を構成する一対のス
ラスト板4a,4bとを備えた動圧軸受ユニットにおい
て、スラスト板4bと上記軸受リング5との間には、上
記回転軸1に遊嵌すると共に該スラスト板4b及び軸受
リング5と相俟ってスラスト動圧軸受を構成するフリー
円板6を設け、更に、このフリー円板6に任意の回転数
を与える円板駆動手段7を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸の回転に伴って
高圧の流体潤滑膜を発生させ、かかる潤滑膜によって上
記回転軸を支承する動圧軸受ユニットに係り、詳細に
は、外力や熱膨張による回転軸の軸方向への変位を防止
し、かかる回転軸に対してより高精度の回転運動を与え
るための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】軸の回転に伴い発生する高圧の流体潤滑
膜によって該軸の回転を支承する動圧軸受ユニットとし
ては、特開平6−249236号公報、特開平8−42
563号公報等に開示されたものが知られている。かか
る動圧軸受ユニットは、回転軸と、この回転軸の外径と
所定の軸受隙間を介して対向し、該回転軸と相俟ってラ
ジアル動圧軸受を構成する円筒状の軸受リングと、上記
軸受リングをその軸方向から挟み込むようにして上記回
転軸に固定され、該軸受リングと相俟ってスラスト動圧
軸受を構成する一対のスラスト板とを備えており、上記
回転軸の外周面及び各スラスト板の軸受リングとの対向
面には深さ10〜15μm程度の動圧発生用溝が所定の
パターンで形成されている。
【0003】このように構成された動圧軸受ユニットに
おいては、上記回転軸の起動に伴いラジアル動圧軸受及
びスラスト動圧軸受の各軸受隙間に介在する潤滑流体が
動圧発生用溝によって加圧され、かかる回転軸は高圧の
流体潤滑膜によって浮揚状態となり、その状態のままで
回転を支承される。このため、上記回転軸の回転に対し
ては極僅かな回転抵抗しか作用せず、しかも回転時にお
ける振動も殆ど発生しないことから、該回転軸に対して
毎分1万回転以上の高速回転を与えて使用することも可
能といった優れた特質を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
動圧軸受ユニットにおいて、上記流体潤滑膜の圧力は上
記回転軸の回転数と該流体潤滑膜の形成されている軸受
隙間の大きさの双方に影響を受けることから、回転軸の
回転数を変えることなく該回転軸に対して軸方向の外部
荷重を作用させると、上記外部荷重と均衡する圧力の流
体潤滑膜をスラスト動圧軸受の軸受隙間に形成すべく、
かかる回転軸はスラスト動圧軸受の軸受隙間を減少させ
る方向へ変位することとなる。
【0005】しかし、外部荷重の作用に伴って回転軸が
軸方向へ変位してしまったのでは、かかる回転軸を工作
機械のスピンドル主軸や精密測定テーブルの主軸として
利用した場合等に、サブミクロン単位の精密加工や精密
位置決めを行うことができなくなるといった問題点があ
った。
【0006】一方、このような動圧軸受ユニットは前述
の特開平6−249236号公報に示される如く工作機
械の主軸として利用され、上記回転軸に砥石等の工具を
装着してワークの研削加工等に供されるが、近年では、
半導体集積回路の基板となるシリコンウェハの研削加工
においてサブミクロン単位の加工誤差が要求されてお
り、ワークに対する砥石の切り込み量の微細化の要請が
高い。従って、このような要請を実現するためには、上
記回転軸の回転中において該回転軸の軸方向への変位量
をサブミクロン単位又はナノメータ単位で調整できると
都合が良い。
【0007】また、回転軸が高速で回転すると、ラジア
ル動圧軸受及びスラスト動圧軸受の各軸受隙間に介在す
る潤滑流体に剪断摩擦熱が発生し、この剪断摩擦熱によ
って回転軸が膨張することから、この動圧軸受ユニット
を工作機械の主軸として用いた場合には、ワークに対す
る工具の切り込み量が徐々に狂ってしまうという問題点
もあった。従って、熱膨張による工具切り込み量の変化
を吸収するという観点からしても、かかる回転軸の軸方
向への変位量をナノメータ単位で調整できると都合が良
い。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、回転軸に作用す
る外部荷重に抗して、かかる回転軸の軸方向の変位を抑
えることが可能な動圧軸受ユニットを提供することにあ
る。
【0009】また、本発明の他の目的は、回転軸の軸方
向への変位量を任意に調整することができ、この動圧軸
受ユニットを工作機械のスピンドル装置に使用した場合
等において、工具のワークに対する切り込み量を細かく
調整可能であり、また、軸の熱膨張による切り込み量の
変化を吸収することが可能な動圧軸受ユニットを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の動圧軸受ユニットは、回転軸と、この回転
軸の外径と所定の軸受隙間を介して対向する円筒状の軸
受リングを備えたハウジングと、上記軸受リングをその
軸方向から挟み込むようにして上記回転軸に固定され、
該軸受リングと相俟ってスラスト動圧軸受を構成する一
対のスラスト板とを備えた動圧軸受ユニットを前提と
し、少なくとも一方のスラスト板と上記軸受リングとの
間には、上記回転軸に遊嵌すると共に該スラスト板及び
軸受リングと相俟ってスラスト動圧軸受を構成するフリ
ー円板を設け、更に、このフリー円板に任意の回転数を
与える円板駆動手段を設けたことを特徴とするものであ
る。
【0011】このような技術的手段によれば、上記ハウ
ジングに対して回転軸が回転を開始すると、ハウジング
側の軸受リングと回転軸との間に存在する潤滑流体、該
軸受リングとスラスト板との間に存在する潤滑流体が夫
々加圧され、回転軸はこれらラジアル動圧軸受及びスラ
スト動圧軸受に形成された高圧の流体潤滑膜によってそ
の回転を支承される。
【0012】このとき、スラスト動圧軸受における流体
潤滑膜の圧力は、上記回転軸の回転数及び軸受隙間の大
きさによって決まることから、回転軸の回転数が一定の
場合、回転軸に対して外部荷重が作用すると、かかる外
部荷重に釣り合う圧力の流体潤滑膜を形成すべく、回転
軸が軸方向に変位して軸受隙間が変動する。
【0013】しかし、この発明の動圧軸受ユニットで
は、回転軸の回転数を変化させずとも、フリー円板を回
転させることによって該フリー円板に対するスラスト板
の相対的な回転数を変化させることができるので、回転
軸を軸方向へ変位させることなくスラスト動圧軸受にお
ける流体潤滑膜の圧力を外部荷重と釣り合わせることが
できるものである。
【0014】尚、フリー円板が回転すると該フリー円板
と軸受リングとの間にも流体潤滑膜が形成されることか
ら、回転軸の軸方向の変位が防止されても、かかる流体
潤滑膜の厚さ分だけフリー円板とスラスト板の軸受隙間
は減じており、結果的にはスラスト板の見かけ上の回転
数の増加と該軸受隙間の減少とにより流体潤滑膜の圧力
が外部荷重と釣り合ったことになる。
【0015】一方、前述のようにスラスト動圧軸受にお
ける流体潤滑膜の圧力は軸受隙間の大きさと回転軸の回
転数によって決まることから、回転軸に対して作用する
軸方向の荷重が変動しないのであれば、回転軸の回転数
を変えることによって軸受隙間の大きさが変動すること
となる。
【0016】しかし、本発明ではフリー円板を回転させ
ることによって該フリー円板に対するスラスト板の相対
的な回転数を変化させることができるので、一定の回転
数で回転している回転軸に対してフリー円板の回転数を
適宜変更してやれば、かかるフリー円板の回転数に応じ
て流体潤滑膜の形成された軸受隙間の大きさを変化させ
ることができ、回転軸に対してμm単位又はナノメータ
単位の任意の軸方向の変位量を与えることができるもの
である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の動圧軸受ユニットを詳細に説明する。図1は作動流体
として液体を用いた本発明の動圧軸受ユニットの第1実
施例を示すものである。同図において、符号1は回転
軸、符号2はこの回転軸1を固定部(図示せず)に取り
付けるためのハウジング、符号3は上記回転軸1の外径
に接着で固定されたジャーナル部、符号4a,4bはこ
のジャーナル部3を挟むようにして上記回転軸1に固定
された一対のスラスト板、符号5は上記ハウジング2の
内径に焼き嵌めで固定されると共に、上記ジャーナル部
3及びスラスト板4aと所定の軸受隙間を介して対向す
る軸受リング、符号6は上記回転軸1に遊嵌すると共
に、僅かな隙間を保持して上記軸受リング5及びスラス
ト板4bの間に挟み困れたフリー円板、符号7はこのフ
リー円板6を上記回転軸1とは別個独立に回転させるた
めの円板駆動手段である。
【0018】ここで、上記ジャーナル部3は軸受リング
5と相俟ってラジアル動圧軸受を構成しており、図2に
示すように、かかるジャーナル部3の外周面には上記軸
受リング5と対向してヘリングボーン状の動圧発生用溝
(以下、ヘリングボーン溝)31aが形成されている。
このヘリングボーン溝31aは軸受隙間に介在する潤滑
流体を軸端方向へ付勢する所謂ポンプアウト型に形成さ
れており、上記回転軸1の回転に伴って潤滑流体を加圧
し、ジャーナル部3と軸受リング5との間に高圧の流体
潤滑膜を形成する。また、上記フリー円板6と対向する
ジャーナル部3の外周面にもポンプアウト型のヘリング
ボーン溝31bが形成されている。尚、図2中の矢線は
回転軸1の回転方向を示している。
【0019】また、図1において軸受リング5よりも上
方に位置する一方のスラスト板4aは軸受リング5と相
俟ってスラスト動圧軸受を構成しており、図3に示すよ
うに、かかるスラスト板4aと対向する軸受リング5の
面にはスパイラル状の動圧発生用溝(以下、スパイラル
溝)51が形成されている。このスパイラル溝51は軸
受隙間に介在する潤滑流体をスラスト板4aの外径方向
へ付勢する所謂ポンプアウト型に形成されており、スラ
スト板4aの回転に伴ってスラスト板4aと軸受リング
5との間に高圧の流体潤滑膜を形成する一方、かかる潤
滑流体を軸受隙間から軸受外へと排出する。尚、図3中
の矢線は軸受リング5に対するスラスト板4aの相対的
な回転方向を示している。
【0020】更に、上記フリー円板6もスラスト板4b
と相俟ってスラスト動圧軸受を構成しており、図4に示
すように、かかるフリー円板6のスラスト板4bと対向
する面にはスパイラル状の動圧発生用溝(以下、スパイ
ラル溝)61が形成されている。このスパイラル溝61
は、上記フリー円板を静止させた状態でスラスト板4b
を回転させると、これらフリー円板6とスラスト板4b
との軸受隙間に介在する潤滑流体をスラスト板4bの外
径方向へ付勢する所謂ポンプアウト型に形成されてお
り、かかる回転に伴って該スラスト板4bとフリー円板
6との間に高圧の流体潤滑膜が形成される。尚、図4中
の矢線はフリー円板6が静止していると仮定した場合
の、該フリー円板6に対するスラスト板4bの相対的な
回転方向を示している。
【0021】一方、図5に示すように、上記フリー円板
6の軸受リング5との対向面にもスパイラル状の動圧発
生用溝(以下、スパイラル溝)62が形成されており、
かかるフリー円板6と軸受リング5とがスラスト動圧軸
受を構成している。このスパイラル溝62は上記フリー
円板6を回転軸1とは逆方向に回転させた際に、かかる
フリー円板6と軸受リング5との軸受隙間に介在する潤
滑流体をフリー円板6の外径方向へ付勢する所謂ポンプ
アウト型に形成されており、かかる回転に伴って該フリ
ー円板6と軸受リング5の間に高圧の流体潤滑膜が形成
される。尚、図5中における矢線は上記回転軸1の回転
方向、すなわち図4中に示したスラスト板4bの回転方
向と同一方向を示している。
【0022】図4及び図5に示すフリー円板6はこれを
相反する方向から観察したものであるから、スラスト板
4b側に形成されたスパイラル溝61の捩じれ方向と、
軸受リング5側に形成されたスパイラル溝62の捩じれ
方向は同一である。従って、図4中に裏面側のスパイラ
ル溝62を示すと、破線のように表すことができる。
【0023】上記ジャーナル部3、各スラスト板4a,
4b、軸受リング5及びフリー円板6は同一のセラミク
ス材から形成されており、ヘリングボーン溝31a,3
1b及びスパイラル溝51,61,62は何れもショッ
トブラスト加工によって深さ10μmに形成されてい
る。また、上記軸受リング5の軸方向の中央には上記ラ
ジアル動圧軸受の軸受隙間とハウジング2外の雰囲気と
を連通する潤滑流体の供給流路52が開設されている。
尚、図1中において、符号8a,8bは上記スラスト板
4a,4bを回転軸1に固定するための止めナットであ
る。
【0024】また、上記フリー円板6を回転軸1とは別
個独立に回転させる円板駆動手段7は、かかるフリー円
板6の外径に固定されたロータ7aと、このロータ7a
と対向すると共に上記ハウジング2に固定されたステー
タ7bとから構成されたサーボモータであり、上記ステ
ータ7bに対する入力信号に応じてフリー円板6を任意
の方向に任意の回転数で回転させ得るようになってい
る。
【0025】そして、以上のように構成された本実施例
の動圧軸受ユニットにおいては、図示外のモータあるい
はタービンによって回転軸を回転させると、それに伴っ
て上記ジャーナル部3と軸受リング5の軸受隙間、上記
スラスト板4aと軸受リング5の軸受隙間、上記スラス
ト板4bとフリー円板の軸受隙間では潤滑流体が加圧さ
れ、各軸受隙間には高圧の流体潤滑膜が形成される。こ
れにより、上記回転軸1は上記軸受リング5に対して浮
揚状態となり、回転抵抗や振動が殆ど作用することなく
その回転を支承される。
【0026】ここで、上記回転軸1に対して軸方向の外
部荷重Fが下方から作用した場合を想定すると、かかる
外部荷重Fに抗して回転軸の浮揚状態か維持されるため
には、その分だけスラスト板4bとフリー円板6の間の
流体潤滑膜の圧力を高める必要があり、フリー円板6を
未だ回転させず且つ回転軸1の回転数も変更しない場
合、回転軸が軸方向へ変位することでスラスト板4bと
フリー円板6の軸受隙間が狭まり、これによって流体潤
滑膜の圧力が高まることとなる。
【0027】しかし、この動圧軸受ユニットにおいては
フリー円板6を回転軸1とは逆方向に回転させることに
より、回転軸1の回転数を変更せずともフリー円板6に
対するスラスト板4bの見かけ上の回転数が高まるの
で、回転軸1を軸方向へ変位させることなくスラスト板
4bとフリー円板6の間の流体潤滑膜の圧力を高めるこ
とができ、かかる流体潤滑膜の圧力を外部荷重と釣り合
わせることができるものである。
【0028】図6は回転軸1の軸方向の変位量を0とし
た場合における外部荷重Fとフリー円板6の回転数を示
すグラフである。フリー円板6の回転方向は回転軸1と
は逆方向とし、回転軸1の回転数は5000rpmで一
定とした。このグラフは、例えば回転軸1に対して56
0Nの外部荷重Fを作用させた場合に、フリー円板6を
400rpmで回転させると、外部荷重Fの作用前後に
おける回転軸1の軸方向の変位が防止されることを示し
ている。
【0029】従って、この実施例の動圧軸受ユニットに
おいては、上記円板駆動手段7を用いてフリー円板6に
適当な回転方向及び回転数を与え、これによってフリー
円板6に対するスラスト板4bの相対的な回転数を任意
に調整するようにすれば、回転軸に作用する外部荷重F
に抗して回転軸の変位量を0に抑えることができ、回転
軸を高い剛性で支承することができるものである。
【0030】一方、上記回転軸1に対してつねに一定の
外部荷重Fが作用している場合を想定すると、スラスト
板4bとフリー円板6の間に形成される流体潤滑膜の圧
力は上記外部荷重Fと釣り合っているので、かかる流体
潤滑膜の圧力も常に一定となる。
【0031】ここで、スラスト板4bとフリー円板6の
間に形成される流体潤滑膜の圧力は、これらの間におけ
る軸受隙間の大きさと回転軸1の回転数に依存している
ことから、フリー円板6を回転させることによって該フ
リー円板6に対するスラスト板4bの見かけ上の回転数
が変化すると、かかる流体潤滑膜の圧力を一定に保持す
べく、スラスト板4bとフリー円板6の軸受隙間が変動
し、結果として回転軸が軸方向へ変位することとなる。
【0032】図7は上記フリー円板6の回転数を変化さ
せた場合における回転軸1の変位量を示したグラフであ
り、フリー円板6の回転方向は回転軸1とは逆方向と
し、回転軸1の回転数は5000rpmで一定とした。
この場合、フリー円板6に対するスラスト板4bの相対
的な回転数が軸受リング5に対するスラスト板4aのそ
れよりも高くなることから、前者の軸受隙間に形成され
る流体潤滑膜の圧力が後者の軸受隙間に形成される流体
潤滑膜のそれよりも大きくなり、回転軸1はスラスト板
4bの固定された軸端方向へと変位する。また、このグ
ラフから明らかなように、本実施例の動圧軸受ユニット
ではフリー円板6の回転数の増加に伴い、回転軸1の変
位量が増加している。
【0033】従って、この実施例の動圧軸受ユニットに
おいては、フリー円板6に対して適当な回転方向及び回
転数を与えることにより、回転軸1を軸方向に任意の量
だけ自由に変位させることができる。例えばフリー円板
6の回転数を500rpmから2000rpmに変化さ
せることで、回転軸1を高剛性の下で約1μmだけ軸方
向へ変位させられることから、この動圧軸受ユニットを
工作機械の主軸に使用すればワークに対する工具の切り
込み量をサブミクロン単位で制御することができる他、
精密測定テーブルの主軸として利用すればナノメータ単
位で該テーブルの位置決めを行うことも可能となる。
【0034】次に、図8は本発明の動圧軸受ユニットの
第2実施例を示すものである。前述の第1実施例では荷
重Fの作用位置に近接したスラスト板4bと軸受リング
との間にフリー円板を配設したが、この第2実施例では
荷重Fの作用位置とは反対側のスラスト板4aと軸受リ
ングとの間にフリー円板を配設した。その他の構成は第
1実施例と同一なので、図8中に同一符号を付してその
詳細な説明は省略する。
【0035】この実施例の動圧軸受ユニットにおいても
上記回転軸1はフリー円板6の回転数に応じてその軸方
向へと変位するが、かかるフリー円板6が静止状態から
回転を開始すると、スラスト板4aとフリー円板6との
間の潤滑流体の圧力が高まることから、フリー円板6の
回転に伴う回転軸1の変位方向は第1実施例とは逆方
向、すなわちスラスト板4aの固定された軸端方向であ
る。
【0036】従って、この実施例の動圧軸受ユニットで
は、回転軸1がその回転に伴う熱膨張によって荷重Fの
作用端に向かって伸びを生じる場合であっても、上記フ
リー円板6を回転させて回転軸1を変位させることによ
り、かかる伸びを吸収することができる。これにより、
回転軸1が熱膨張を生じたとしても、荷重Fが作用して
いる回転軸1の端部を常に一定の位置に保持することが
可能となり、例えば該回転軸1を工作機械のスピンドル
主軸として利用した場合、回転軸1の伸びの影響を受け
ることなく工具を常に一定の位置精度で保持することが
可能となる。
【0037】次に、図9は本発明の動圧軸受ユニットの
第3実施例を示すものである。前述の第1実施例及び第
2実施例では一方のスラスト板と軸受リングの間にのみ
フリー円板6を配設したが、この第3実施例では各スラ
スト板4a,4bと軸受リング5との間に夫々フリー円
板を配設した。その他の構成は第1実施例と同一なの
で、図9中に同一符号を付してその詳細な説明は省略す
る。
【0038】そして、この実施例の動圧軸受ユニットに
よれば、一対のフリー円板6,6の回転数を個々に調整
することにより、スラスト板4aに面した軸受隙間の潤
滑流体の圧力と、スラスト板4bに面した軸受隙間に面
した潤滑流体の圧力とのバランスを任意に変更すること
ができるので、この実施例では前述の各実施例と異な
り、回転軸1をそのいずれの軸端方向へも変位させるこ
とができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の動圧
軸受ユニットによれば、軸受リングとスラスト板との間
に設けられたフリー円板に対して任意の回転数を与える
ことにより、回転軸の回転数を一定に保持したままの状
態で該回転軸の外部荷重に対する軸方向変位を防止する
ことができるので、かかる回転軸を工作機械のスピンド
ル主軸や精密測定テーブルの主軸として利用した場合等
に、サブミクロン単位又はナノメータ単位の精密加工や
精密位置決めを行うことが可能となる。
【0040】また、フリー円板に対して任意の回転数を
与えることにより、スラスト板とフリー円板の間におけ
る軸受隙間の大きさを任意に変化させ、上記回転軸を軸
方向へ所望量だけ変位させることも可能となるので、か
かる変位を利用して熱膨張による回転軸の軸方向への伸
びを吸収したり、かかる回転軸を工作機械のスピンドル
主軸や精密測定テーブルの主軸として利用した場合等
に、サブミクロン単位又はナノメータ単位の送りを工具
やテーブルに対して与えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の動圧軸受ユニットの第1実施例を示
す断面図である。
【図2】 第1実施例に係るジャーナル部を示す斜視図
である。
【図3】 第1実施例に係る軸受リングの端面を示す側
面図である。
【図4】 第1実施例に係るフリー円板のスラスト板側
の面を示す平面図である。
【図5】 第1実施例に係るフリー円板の軸受リング側
の面を示す平面図である。
【図6】 回転軸の軸方向変位が0となる場合における
フリー円板の回転数と外部荷重Fとの関係を示すグラフ
である。
【図7】 フリー円板の回転数と回転軸の軸方向の変位
量との関係を示すグラフである。
【図8】 本発明の動圧軸受ユニットの第2実施例を示
す断面図である。
【図9】 本発明の動圧軸受ユニットの第3実施例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1…回転軸、2…ハウジング、4a,4b…スラスト
板、5…軸受リング、6…フリー円板、7…円板駆動手

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸と、この回転軸の外径と所定の軸
    受隙間を介して対向する円筒状の軸受リングを備えたハ
    ウジングと、上記軸受リングをその軸方向から挟み込む
    ようにして上記回転軸に固定され、該軸受リングと相俟
    ってスラスト動圧軸受を構成する一対のスラスト板とを
    備えた動圧軸受ユニットにおいて、 少なくとも一方のスラスト板と上記軸受リングとの間に
    は、上記回転軸に遊嵌すると共に該スラスト板及び軸受
    リングと相俟ってスラスト動圧軸受を構成するフリー円
    板を設け、更に、このフリー円板に任意の回転数を与え
    る円板駆動手段を設けたことを特徴とする動圧軸受ユニ
    ット。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動圧軸受ユニットにおい
    て、上記フリー円板は回転軸と相俟ってラジアル動圧軸
    受を構成していることを特徴とする動圧軸受ユニット。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の動圧軸受ユ
    ニットにおいて、上記円板回転手段はフリー円板を任意
    の回転方向へ回転させることを特徴とする動圧軸受ユニ
    ット。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の動圧軸受ユニットにおいて、各スラスト板と上記軸受
    リングとの間に上記フリー円板を夫々設け、かくフリー
    円板を夫々別個の円板駆動手段で回転させることを特徴
    とする動圧軸受ユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108188417A (zh) * 2018-02-06 2018-06-22 中国计量大学 一种多重节流式静压气浮电主轴及其使用方法

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108188417A (zh) * 2018-02-06 2018-06-22 中国计量大学 一种多重节流式静压气浮电主轴及其使用方法
CN108188417B (zh) * 2018-02-06 2024-03-08 中国计量大学 一种多重节流式静压气浮电主轴及其使用方法

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