JPH10183360A - 無電解メッキ用前処理剤およびこれを用いた無電解メッキの前処理方法 - Google Patents

無電解メッキ用前処理剤およびこれを用いた無電解メッキの前処理方法

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JPH10183360A
JPH10183360A JP35456396A JP35456396A JPH10183360A JP H10183360 A JPH10183360 A JP H10183360A JP 35456396 A JP35456396 A JP 35456396A JP 35456396 A JP35456396 A JP 35456396A JP H10183360 A JPH10183360 A JP H10183360A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的に非導電性の物体に無電解メッキを施
す際に、高価な薬剤を使用して手間やコストのかかって
いた前処理を簡素化し、さらにメッキ液の劣化抑制を可
能とする前処理剤および前処理方法を提供すること。 【解決手段】 式Hn −Si(OR)4-n 〔ただし、R
は炭素数1〜4のアルキル基、nは1または2〕で表さ
れるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物か
らなる無電解メッキ用前処理剤およびこれを用いること
を特徴とする無電解メッキの前処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非導電性物体に無
電解メッキを施すに際し、メッキの前処理工程を簡略化
するとともにメッキ液の劣化の防止を可能とする前処理
剤、およびこれを用いる無電解メッキの前処理方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】メッキは、物体の表面に特定の金属の皮
膜を形成させることにより、装飾性や防食性を付与する
方法として広く行われているが、物体が非導電性の場合
は一般的な電気メッキ法が使えないために、無電解メッ
キ法が用いられる。無電解メッキ法では、洗浄や脱脂等
の素地の調整の後、塩化第一スズ等のメッキ金属の検出
核となる金属液を付着させるセンシタイジングと呼ばれ
る処理と、さらに塩化パラジウムまたは塩化金等の貴金
属コロイドを付着させ、メッキ金属の成長核とするアク
チベーティングと呼ばれる前処理を行った後、メッキし
たい金属のイオンと還元剤とを含む無電解メッキ液に浸
漬して素地表面にメッキを行うのが一般的な方法であ
る。
【0003】しかし、従来の無電解メッキの方法は、貴
金属コロイド等の高価な薬剤を使用するためコスト高で
ある上、センシタイジングおよびアクチベーティングと
いう2段階にわたる前処理が煩雑である等の問題点があ
った。また、このアクチベーティング液が無電解メッキ
液に混ざるとメッキ液が速やかに分解されてしまうの
で、アクチベーティング後の被メッキ物体を無電解メッ
キ液に接触させる前に十分に水洗して余剰液を除去する
必要があった。しかし、あまり洗浄をしすぎるとせっか
く付着した貴金属コロイドが取れてしまい、取れた部分
は無電解メッキができないためメッキむらができるとい
う問題や、前処理液を含んだ洗浄水による公害の恐れ等
の問題もあった。
【0004】特に被メッキ物体が、木材、繊維、紙、発
泡樹脂または発泡コンクリート等の有孔表面を持つ物体
の場合は、薬液が表面の孔から浸入して物体内部に浸透
してしまうので、前処理液やメッキ液を完全に水洗除去
することは困難であり、アクチベーティング処理の後で
メッキ液に浸漬したとき、物体から無電解メッキ液に溶
出してくるアクチベーティング液によりメッキ液が速や
かに劣化してしまったり、メッキ後に物体内部に残った
メッキ液による被メッキ物体の汚染や劣化が起きるとい
った問題があった。さらに、例えば木材の場合、松やに
等の樹脂や木材の抽出成分が溶け出してきたり、紙や繊
維ではその添加剤が溶出してメッキやその前処理に使用
する薬液を汚染し、薬液の再使用を困難にしたりする
上、該薬剤の減りが速くて消費量が多くなる等の多数の
問題点があった。
【0005】これらの有孔表面を持つ非導電性物体は、
例えば木材のように一般的に適度な柔らかさと風合いの
良さがあり、軽くて重量当たりの強度が大きい等の長所
を有するために、建材やきょう体等に用いられる場合が
多いが、一方で表面の耐候性が低く、生物劣化により腐
朽や白蟻の食害が起き易いという欠点を有する。そこ
で、何らかの方法で表面に金属をメッキすると、紫外線
劣化の防止や電磁波遮蔽効果等が生じ、また金属が銅や
ニッケル等の場合は、さらに防腐、防蟻効果が大きくな
るという効果も付与されるため、無電解メッキに関する
期待は大きく、先に挙げた欠点の改良が強く望まれてい
た。
【0006】このような問題に対して、例えば特開昭62
-17197号では、有孔表面を持つ物体に導電塗料を塗布し
て導電層を形成した後、該導電層表面に電気メッキを施
す方法が提案された。しかし塗装により被メッキ物体本
来の表面の風合いが失われてしまうという本質的な問題
の他に、導電塗料の塗膜は厚みがあるために塗装後の寸
法精度を確保し難く、さらに木材や繊維、紙等の寸法変
化の大きい材料に応用した場合は塗膜が被メッキ物体の
寸法変化に追従できずに塗膜にひびが生じたりといった
問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかゝる現状に
鑑み、電気的に非導電性の物体に無電解メッキを施す際
に、高価な薬剤を使用して手間やコストのかかっていた
前処理を簡素化し、さらにメッキ液の劣化抑制を可能と
する前処理剤および前処理方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の問題に
対して鋭意検討した結果、一般式Hn −Si(OR)
4-n 〔ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは1
または2〕で表されるアルコキシシランまたはその部分
加水分解縮合物からなる無電解メッキ用前処理剤で物体
の表面を処理した後、無電解メッキ液で処理することに
より、センシタイジングやアクチベーティングといった
前処理を必要とせず、無電解メッキ液に浸漬または塗布
するだけで良好なメッキが得られることを見出した。ま
た、被メッキ物体が有孔表面を持つときは、本発明の前
処理剤の使用によりメッキ液の吸収と物体内成分の溶出
の両方を抑えることができるため、メッキ液の吸収によ
る浪費および物体内成分の溶出によるメッキ液の劣化が
抑制され、メッキ液にかかるコストが低減できることを
見出した。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いるアルコキシ
シランは、後述するように加水分解反応により硬化して
シリカ状ガラスとなり、被メッキ物体の表面に被膜を形
成する。アルコキシシランを示す一般式におけるRの具
体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチル基が挙げ
られる。アルコキシシランの1分子中に2または3個あ
るRは同じでも違う種類でもよいが、製造が容易なこと
から同じ種類の方が好ましい。また、Rの異なる複数種
類のアルコキシシランを混合使用することもできる。
【0010】Rで示されるアルキル基は炭素数の少ない
ものほど加水分解反応が起き易いため、被メッキ物体に
付着させた後の硬化が早く進み、t−ブチルのように嵩
高い場合は、加水分解反応が起き難く、硬化させるのに
時間がかかる反面、例えば前処理剤を水系エマルジョン
化したときの安定性が高まるという傾向がある。
【0011】Rの炭素数としては、大きくなるほど硬化
反応が遅くなることから、炭素数1〜3個を有するアル
キル基が好ましいが、反応が早くて安価である点ではR
がメチルの場合が好ましく、同様に反応は速くて硬化反
応副成物が無害なエタノールであるという点では、Rが
エチル基の場合が好ましい。
【0012】nの数は1または2であるが、n=2の場
合は、部分加水分解を起こす前のモノマーが化学的に不
安定であり、工業的に取扱いが難しいことから、n=1
であるトリアルコキシシランが好ましい。本発明の前処
理剤としては、該アルコキシシラン、特にトリアルコキ
シシランの部分加水分解縮合物の使用が、揮発性が低く
臭気の問題がないとの理由から特に好ましい。
【0013】部分加水分解縮合物は、前記式で表される
アルコキシシランモノマーに水を加えて攪拌することに
より調製することができる。なお、部分加水分解縮合物
の重合鎖は、分岐状でも直線状でも作ることができるが
そのどちらでも使用することができる。部分加水分解縮
合物の平均重合度は、2〜100量体が好ましく用いら
れる。重合度が高くなるほど揮発性は小さくなって、硬
化が早くなるが、あまり大きくなると粘度が高くなって
有孔表面を持つ物体への含浸性が悪くなるため、さらに
好ましくは2〜50量体であり、特に好ましくは2〜1
0量体である。
【0014】当該アルコキシシランまたはその部分加水
分解縮合物は、無溶剤で被メッキ物体の前処理に使うこ
とができるほか、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、ヘキサン、トルエン、ミネラルスピリット、四
塩化炭素、クロロホルムまたはトリクロロエタン等の有
機溶媒と任意の割合で混合して使用することもできる。
当該アルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物
は、無電解メッキしたい表面に極少量付着させるだけで
十分な効果をもたらすために、主として経済的な理由か
ら前記有機溶媒で任意の濃度に希釈して使用することが
好ましい。すなわち前処理剤を吸収し難い表面の処理の
ときには、無溶剤または高濃度で使用し、該薬剤の吸収
が大きな有孔表面を持つ物体の場合は、安価な有機溶媒
で濃度を下げる方が経済的となる。また、適当な乳化剤
やpH調整剤等を用いることによって安定なエマルジョ
ンを形成できるので、水系エマルジョンの前処理剤とす
ることも可能である。
【0015】本発明により無電解メッキが可能となる有
孔表面を持つ物体の具体的な例としては、広葉樹・針葉
樹その他各種の多岐に亘る樹材、木質ファイバー・木綿
・麻等の天然繊維、ポリエステル・ナイロン等の合成繊
維、各種繊維からなる布・不織布・紙等、発泡ウレタン
・発泡スチロール等の発泡樹脂、岩石・砂・コンクリー
ト・モルタル等の無機系の物体、該無機系の物体からな
るタイル・レンガ・瓦・発泡コンクリート等が挙げられ
る。また本発明の無電解メッキ用前処理剤は、無孔表面
を持つ物体、具体的には、塩化ビニル・ポリエチレン等
の合成樹脂、合成樹脂からなるシート・フィルム・チュ
ーブ・ブロック等の成形品、塗膜表面(塗料硬化物)、
ガラス等にも、当然ながら使用できる。なお、本発明の
無電解メッキ用前処理剤は、導電性の物体に施してもよ
いが、該物体は安価で高品質の導電メッキが使用できる
ので、経済的ではない。
【0016】本発明の無電解メッキの前処理方法では、
無電解メッキをしたい物体に該前処理剤を塗布または含
浸する。被メッキ物体が有孔表面を持っていてもいなく
ても基本的な処理方法は同じであるが、被メッキ物体が
木材や紙のような有孔表面を持つ場合、被メッキ物体の
表面の孔の中にまで前処理剤を浸透させるためには、減
圧含浸法、加圧含浸法等のほかに前処理剤の蒸気で含浸
させる等の方法を採ることもできる。塗布する場合はス
プレーまたは刷毛塗り等、公知の方法を使用することが
できる。また、印刷等の手法を用いて、被メッキ表面の
メッキをしたい部分だけを部分的に処理すると、メッキ
は処理された部分にだけ選択的に起こるので、望みの形
状にメッキ膜を形成することもでき、装飾的形状やプリ
ント配線板等の回路等をメッキによって形成することも
可能である。
【0017】本発明の前処理剤は、これを物体に塗布ま
たは含浸して放置するだけで速やかに硬化し、無電解メ
ッキ処理に進むことができる。また、加熱することによ
り硬化を促進し処理時間を短縮することもできる。加熱
する場合の温度は、高いほど硬化が早く進み、さらに前
処理剤の硬化物が焼きしまって改質効果が高くなるが、
あまり高いと被メッキ物体自体の変色や変質等が起きる
恐れがあるので加熱する場合の好ましい温度は20℃〜
350℃で、さらに好ましくは30〜200℃である。
本発明の前処理剤は反応性が高いため硬化触媒を添加す
ることなく硬化反応を完結することができるが、前処理
剤に触媒を加えたり、予め被メッキ物体に触媒を付着さ
せておいたり、あるいは前処理剤を付着させた後、触媒
を作用させることによって硬化を速めることも可能であ
る。この場合の触媒としては、例えば塩酸・リン酸等の
無機酸、ギ酸・酢酸・p−トルエンスルホン酸等の有機
酸、さらにジブチル錫ジラウリレート・ナフテン酸鉛・
ジルコノセンクロリド・チタノセンクロリド等の有機金
属化合物や、アミノシラン、アミン、アミン塩等が挙げ
られ、これらは単独または2種以上を混合して用いても
良い。
【0018】また、前処理剤が溶剤成分を含むときの該
溶剤の蒸発、或いは前処理剤の硬化反応に伴って副生す
るアルコールを蒸発させるためには、常温で放置するよ
り、加熱する方が蒸発の時間を短縮することができるの
で好ましい。本発明の前処理剤は、硬化反応終了後は熱
的に安定なので、乾燥時の加熱温度は被メッキ物体自体
に変質のない程度において自由に設定することができ
る。一方、減圧にして乾燥を速める方法も可能である。
具体的に好ましい乾燥温度は0〜350℃、さらに好ま
しくは30〜200℃である。乾燥時間は、物体の形状
や乾燥温度等により大きく変動するため一概には言えな
いが、該前処理剤の溶剤あるいは硬化に伴って副生する
アルコールが無電解メッキ液を劣化させない場合には、
短時間の乾燥やあるいは乾燥しないで無電解メッキ処理
に進むことも可能であり、センシタイジング、アクチベ
ーティングとその間の水洗を必要とする従来の方法に比
べて前処理時間が大幅に短縮できる。
【0019】本発明の前処理剤を使用するときの物体へ
の付着量は、物体が有孔表面を有する場合とそうでない
場合、あるいは物体の材質、形状等により大きく変化す
るため好ましい量を一律的に特定することは難しい。当
該前処理剤は有孔表面を持つ物体への浸透性が高く、表
面から深い部分まで浸透して厚い処理層を形成できる
が、例えば当該前処理剤を木材に使用するとき、木口か
らの浸透速度は横側からの浸透速度に比べてかなり高く
なるため、処理乾燥後の重量増加率で表される付着量
は、同じ処理条件でも被処理材の木取りの仕方や大きさ
によってかなり異なってくる。
【0020】好適な付着量は、被メッキ物体に応じて簡
単な予備試験を行うことにより容易に確認できるが、比
較的低い付着量の段階から明らかな効果が現れるのが本
発明の前処理剤の特長であり、一例を挙げると一般的に
木口試験片と呼ばれる木口が3cm×3cmで厚さが5mmの
試験片を用いて、気乾状態(含水率約18%)で内部ま
で本発明の前処理剤を含浸させる場合、樹種にもよる
が、処理乾燥後の重量増加率が元の試験片重量に対して
0.1%以上になるとき明らかな効果が現れる。付着量
をもっと多くすることも容易にできるが、あまり高める
と薬剤コストや処理時間等の経済面で不利になる。
【0021】
【作用】本発明の前処理剤で被メッキ物体を処理したと
き、前処理剤に含まれる該アルコキシシランまたはその
部分加水分解縮合物は、被メッキ物体の表面のOH基や
吸着水分との反応によりシリカガラス状に硬化して、有
孔表面の微細な孔をその開口部でまたは内部に充填され
た状態で塞ぎ、無電解メッキ液の吸収を妨げるために、
メッキ液が物体内部に吸収されて浪費されることを防
ぎ、また物体内のメッキ操作に悪影響を及ぼす成分の溶
出を抑えるためにメッキ液の劣化といった不都合な現象
を防止することができる。また、この硬化被膜は分子内
にSi−H結合を含むために、還元力が高く、無電解メ
ッキ液中の金属イオンを還元してメッキ金属の成長核を
生成するためにセンシタイジングやアクチベーティング
といった通常の無電解メッキの前処理は不要になる。ま
た、当該処理剤の硬化物は水や溶剤に不溶なため、無電
解メッキ液中に溶出することはなく、アクチベーティン
グ液のように無電解メッキ液を劣化させる恐れはないた
め、アクチベーティング処理のように処理後の水洗を行
う必要もなく無電解メッキ液の寿命は長くなる。
【0022】
【実施例】以下、実施例および比較例を掲げて、本発明
をより具体的に説明する。 (実施例1)トリエトキシシラン5重量部にミネラルス
ピリット95重量部を加えて無電解メッキの前処理剤と
した。木口縦30mm×横30mm×長さ100mmの2方ま
さスギ辺材(気乾材)9個を、常温常圧で該前処理剤に
10分間浸漬した後、常温で24時間乾燥し、9個の試
験片を得た。試験片の重量当たりの重量増加率は9個の
平均で1.7%だった。次に市販の無電解ニッケルメッ
キ液(塩化ニッケル30g/リットル、次亜リン酸ナト
リウム10g/リットルおよびオキシ酢酸ナトリウム5
0g/リットルの水溶液)に60℃で10分間浸漬し
た。浸漬直後の木材の重量増加率は9個の試験片の平均
で9.6%だった。メッキ処理後の試験片を流水で10
分間洗浄し、60℃で1時間乾燥したところ、試験片の
重量は無電解メッキ液に浸漬する直前の重量に戻ってい
た。すなわち、水洗でメッキ液は完全に取り除かれたこ
とを示す。そして、試験片の表面は木質感や木目感を残
したままブロンズ色の金属光沢色になっており、良好な
外観を示していた。また、使用後の無電解メッキ液を室
温で24時間保存したが、液は透明なまま変化がなく、
メッキ液に劣化が起きないことを示した。
【0023】(実施例2)トリエトキシシラン100重
量部に水5重量部を加え、10℃で3時間攪拌した後、
加水分解縮合反応で副生したエタノールを200mmHgで
減圧蒸留して除き、平均重合度2.3のトリエトキシシ
ラン部分加水分解縮合物を得た。該トリエトキシシラン
部分加水分解縮合物5重量部に、ミネラルスピリットを
95重量部加えて希釈したものを無電解メッキの前処理
剤として使用した。木口縦30mm×横30mm×長さ10
0mmの2方まさスギ辺材(気乾材)9個を、常温常圧で
該前処理剤に10分間浸漬した後、常温で24時間乾燥
し、9個の試験片を得た。処理前の木材の全重量に対す
る処理後の重量増加率は9個の試験片の平均で2.4%
であった。次に実施例1と同じ無電解ニッケルメッキ液
に60℃で10分間浸漬した。浸漬直後の木材の重量増
加率は9個の試験片の平均で8.1%だった。メッキ処
理後の試験片を流水で10分間洗浄し、60℃で1時間
乾燥したところ、試験片の重量は無電解メッキ液に浸漬
する直前の重量に戻っていた。そして、試験片の表面は
木質感や木目感を残したままブロンズ色の金属光沢色に
なっており、良好な外観を示していた。
【0024】(実施例3)トリメトキシシラン100重
量部に水7重量部を加え、10℃で3時間攪拌して、平
均重合度2.7のトリメトキシシラン部分加水分解縮合
物を得た。このトリメトキシシラン部分加水分解縮合物
を、ロールコーターで市販のPETフィルムの片面に塗
布し、100℃で1分間乾燥した。乾燥機は密閉構造と
して、内部は窒素ガスを循環させ、発生蒸気を含んだ循
環ガスからは冷却器によってメタノールを回収した。乾
燥後のPETフィルムの重量増加率は0.3g/m2だっ
た。乾燥後のフィルムは、無電解銅メッキ液(硫酸銅2
9g/リットル、炭酸ナトリウム25g/リットル、酒
石酸カリウムナトリウム140g/リットル、EDTA
トリエタノールアミン17g/リットル、苛性ソーダ4
0g/リットルおよび37%ホルマリン166g/リッ
トルの水溶液)に60℃で1時間浸漬し、約1μmの厚
さの銅メッキを施した。この銅メッキの外観はピンホー
ル等のメッキ未着部分がない無欠点の均一な金属光沢で
あった。さらに通常の電気メッキ法により厚さ20μm
の銅メッキを形成させて銅張り板を作製した。
【0025】(実施例4)トリエトキシシラン100重
量部に水5重量部を加え、10℃で3時間攪拌して平均
重合度2.3のトリエトキシシラン部分加水分解縮合物
を得た。該トリエトキシシラン部分加水分解縮合物10
重量部にイソプロパノールを90重量部加えて希釈した
液を用い、スクリーン印刷の方法を応用して予め貫通穴
を開けたガラスエポキシ基板の表面にプリント回路のテ
ストパターンを印刷した後、150℃で5分間乾燥し
た。次に裏面にも同様にしてプリント回路のテストパタ
ーンを印刷し、150℃で5分間乾燥した。そして、該
基板を実施例3と同じ無電解銅メッキ液に60℃で20
時間浸したところ、印刷されたパターン通りに厚さ20
μmの銅メッキ回路が形成されていた。そして、貫通穴
の導通試験をしたところ、すべての貫通穴で導通があっ
た。
【0026】(実施例5)ジエトキシシラン100重量
部に水8重量部を加え、0℃で3時間攪拌した後、加水
分解縮合反応で副生したエタノールを200mmHgで減圧
蒸留して除き、平均重合度3.4のジエトキシシラン部
分加水分解縮合物を得た。該ジエトキシシラン部分加水
分解縮合物10重量部にケロシンを90重量部加えて希
釈したものを無電解メッキの前処理剤とした。木口縦3
0mm×横30mm×長さ100mmの2方まさスギ辺材(気
乾材)9個を、常温常圧で該前処理剤に10分間浸漬し
た後、常温で24時間乾燥し、9個の試験片を得た。処
理前の木材の全重量に対する処理後の重量増加率は9個
の試験片の平均で5.1%であった。次に実施例1と同
じ無電解ニッケルメッキ液に60℃で10分間浸漬し
た。浸漬直後の木材の重量増加率は9個の試験片の平均
で6.8%だった。メッキ処理後の試験片を流水で10
分間洗浄し、60℃で1時間乾燥したところ、試験片の
重量は無電解メッキ液に浸漬する直前の重量に戻ってい
た。そして、試験片の表面は木質感や木目感を残したま
まブロンズ色の金属光沢色になっており、良好な外観を
示していた。
【0027】(比較例1)木口縦30mm×横30mm×長
さ100mmの2方まさスギ辺材(気乾材)9個を、一般
的な無電解メッキの方法に従って次の手順で処理した。
60℃で30秒水洗、センシタイザー液(塩化第一
錫3.5g/リットルおよび濃塩酸10ミリリットル/
リットルの水溶液)に60℃で30秒浸漬、過剰のセ
ンシタイザー液を除くため60℃で5秒水洗、アクチ
ベーター液(塩化パラジウム0.07g/リットルおよ
び濃塩酸17ミリリットル/リットルの水溶液)に60
℃で30秒浸漬、60℃で1時間乾燥、実施例1と
同じ無電解ニッケルメッキ液に60℃で10分間浸漬、
60℃で2分間水洗、60℃で1時間乾燥。その結
果、木口、板目、柾目面ともにきれいなニッケルメッキ
が形成された。
【0028】通常の無電解メッキでは、アクチベーター
液に浸漬した後で余剰液を除くために水洗を行うが、木
材ではアクチベーター液浸漬後に水洗をすると金属核が
とれてメッキの付かない部分ができ易いため水洗はせ
ず、乾燥によってアクチベーターの無電解メッキ液への
混入を抑えたが、それでもこのメッキ処理を行なった3
0分後に無電解メッキ液を観察したところ、容器の底に
黒色のニッケル粉末が多量に沈澱しているのが見られた
ことからこの方法では無電解メッキ液の劣化が激しいこ
とが分かった。
【0029】
【発明の効果】非導電性である物体に無電解メッキを施
す場合、本発明の前処理剤で被メッキ物体を処理するこ
とにより、煩雑な従来のメッキの前処理工程を簡略化す
るとともにメッキ液の劣化を防止することができ、安価
で簡便な方法でメッキを行うことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式Hn −Si(OR)4-n 〔ただし、R
    は炭素数1〜4のアルキル基、nは1または2〕で表さ
    れるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物か
    らなる無電解メッキ用前処理剤。
  2. 【請求項2】 請求項1の前処理剤を、非導電性物体に
    塗布または含浸させることを特徴とする無電解メッキの
    前処理方法。
JP35456396A 1996-12-19 1996-12-19 無電解メッキ用前処理剤およびこれを用いた無電解メッキの前処理方法 Expired - Fee Related JP3339338B2 (ja)

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