JPH10182702A - プロテオグルカン及びそれからなる抗糖尿病薬剤 - Google Patents

プロテオグルカン及びそれからなる抗糖尿病薬剤

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JPH10182702A
JPH10182702A JP9165098A JP16509897A JPH10182702A JP H10182702 A JPH10182702 A JP H10182702A JP 9165098 A JP9165098 A JP 9165098A JP 16509897 A JP16509897 A JP 16509897A JP H10182702 A JPH10182702 A JP H10182702A
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JP
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proteoglycan
insulin
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proteoglucan
drug
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JP9165098A
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Inventor
Hiroaki Nanba
宏彰 難波
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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    • C07KPEPTIDES
    • C07K9/00Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K9/001Peptides having up to 20 amino acids, containing saccharide radicals and having a fully defined sequence; Derivatives thereof the peptide sequence having less than 12 amino acids and not being part of a ring structure
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
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    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロテオグルカン及びこれを有効成分として
含む抗糖尿病薬剤を提供する。 【解決手段】 本発明のプロテオグルカンは、グルカン
部が下記式(I)に示す一般式で表され、アンスロン反
応及びローリー反応が陽性であり、平均分子量約2×1
5であって、β−1, 6結合を主鎖としα−1,4分
岐鎖を有することを特徴とする。このプロテオグルカン
は、インスリン非依存型糖尿病の治療・予防薬剤として
大変有用である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高血糖症の改善を
行うことができるプロテオグルカン、及びこのプロテオ
グルカンを有効成分とする抗糖尿病薬剤に関する。本発
明の物質及び薬剤は、糖尿病、特に、いわゆるインスリ
ン非依存型糖尿病(non-insulin-dependent diabetes m
ellitus ;以下、「NIDDM」と略記する。)の治療
及び予防に有効であり、且つ経口投与可能なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】糖尿病の中でもNIDDMに多数の人々
がわずらわされており、従来それを改善せんとする薬剤
も多数が提供されている。この薬剤の1つに、各種のス
ルホニルウレア系薬剤が挙げられる。これらは膵臓のラ
ンゲルハンス島β細胞を刺激してインスリン分泌を促す
ものである。しかし、上記薬剤処理では、インスリンが
暫くは補充されても、β細胞を絶えず刺激することによ
り、やがては膵臓が衰退してインスリン分泌が減衰する
という問題がある。
【0003】また、他の薬剤としてはビグアナイド系薬
剤が提示されている。しかし、このビグアナイド系薬剤
は、ブドウ糖の消費経路として嫌気醗酵を生じうるとも
言われ、そのため副作用として乳酸アシドーシスを引き
起こす恐れがある。また、糖質水解酵素の阻害を狙いと
する薬剤も提供されている。しかし、この薬剤による
と、身体の活動の基本栄養源であるブドウ糖が消化管を
素通りすることとなる。従って、一応は血中ブドウ糖濃
度の上昇を抑制できるとしても、これにより身体構成細
胞へのブドウ糖の供給が減少するため、細胞は止むを得
ず自身の蛋白質を消耗することとなる。更に同時に、脂
質の分解を促進し、血漿遊離脂肪酸値を上昇させるとい
う問題もある。
【0004】一方、インスリンは糖尿病治療に重要な物
質であり、殊に、インスリン依存型糖尿病(insulin-de
pendent diabetes mellitus,以下、「IDDM」と略記
する。)に於いては、必須の物質である。しかし、この
場合は、注射による投与をとらねばならず、また、投与
時期及びその投与量等の管理にも細心の注意を必要とす
る。このため、インスリン分泌活性を多少とも保有する
NIDDM患者に於いては、できれば経口摂取の可能な
薬剤を開発提供する必要がある。
【0005】近時、NIDDMの原因が、末梢組織、特
に心筋、骨格筋、脂肪組織細胞等、即ちブドウ糖の主要
消費細胞(以下、「標的細胞」と略記する。)に於ける
ブドウ糖の取り込み機能の低下にあるとする考えがあ
る。この機能低下を改善する薬剤として、いわゆるthia
zolidine誘導体の1つである、5-〔4-(1-Methylcyclohe
xylmethoxy)benzyl 〕thiazolidine-2,4-dione等が提案
されたが、眼の白内障が発症するという疑いが指摘さ
れ、実用化されるに至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明は、NIDDM患者の標的細胞のブドウ糖の取り込
みと利用能を改善する作用を有し且つより副作用の少な
いプロテオグルカン、及びそれを有効成分として含む抗
糖尿病薬剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決する物質の起源を、食品及び生薬等の従来安全に
摂取されてきた材料中に求めて、広く探索を進めて来
た。
【0008】従来、糖尿病治療に推されている生薬とし
て、薬用ニンジン(Ginseng Rodix)、ヨク苡仁(ヨクイ
ニン;学名 Coicis Semen 、英語名 Coix seed)等があ
る。また、霊芝等の坦子菌類の菌糸体若しくは子実体に
血糖降下作用物質が含まれるとの報告もある。本発明者
は、古来から伝承的にキノコ類の或る物が薬用として珍
重されていることから、各種の坦子菌子実体を用いて、
これから得られる有用物質を探索した。その結果、マイ
タケから得られる物質が血糖降下作用を有し、しかもこ
の血糖降下作用は、NIDDM患者の標的細胞に於ける
ブドウ糖取り込み及び利用能の改善によって生じること
を見出して、本発明を完成するに至った。マイタケは、
食用茸として永年、摂取されて来たものであって、副作
用に関して危惧する必要がない。従って、本発明による
と、NIDDM症例に対し治療及び予防効果を提供する
ことができる。
【0009】請求項1記載のプロテオグルカンは、グル
カン部が下記式(I)に示す一般式で表され、アンスロ
ン反応及びローリー反応が陽性であり、平均分子量約2
×105であって、β−1,6結合を主鎖としα−1,
4分岐鎖を有することを特徴とする。
【0010】
【化3】 (但し、式中の数字は位置を表し、a及びbは分岐で、
その位置は変わってもよい。また、nは100〜200
の整数である。)
【0011】請求項2記載のプロテオグルカンは、請求
項1記載のプロテオグルカンであって、マイタケ及びチ
ョレイマイタケのうちの少なくとも一方を熱水抽出して
得たものである。ここで、熱水の温度は、抽出効率及び
抽出時間等を考慮して適宜選択されるが、通常、60℃
以上であり、好ましくは80〜200℃程度、更に好ま
しくは80〜150℃程度又は100〜150℃程度の
温度が用いられる。尚、40〜60℃の温度であっても
長時間掛ければ抽出することもできる。
【0012】また、請求項3記載の抗糖尿病薬剤は、グ
ルカン部が下記式(I)に示す一般式で表され、アンス
ロン反応及びローリー反応が陽性であり、平均分子量約
2×105であって、β−1,6結合を主鎖としα−
1,4分岐鎖を有するプロテオグルカンを有効成分とす
ることを特徴とする。
【0013】
【化4】 (但し、式中の数字は位置を表し、a及びbは分岐で、
その位置は変わってもよい。また、nは100〜200
の整数である。)
【0014】請求項4記載の抗糖尿病薬剤は、請求項3
記載の抗糖尿病薬剤において、その中に有効成分として
含有されるプロテオグルカンが、マイタケ及びチョレイ
マイタケのうちの少なくとも一方を熱水抽出して得たも
のであることを特徴とする。この熱水の温度としては、
上述した請求項2の説明において示したものと同様の温
度が適用される。請求項3及び請求項4記載の薬剤は、
いわゆるインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治
療及び予防薬剤として極めて有効である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプロテオグルカンは、サルノコシカケ科に属す
るマイタケ(Grifolafrondosa) の子実体及び/又は菌糸
体を熱水処理し、後述する実施例1に記載した方法によ
り取得された。更に、実施例2に記載した方法によっ
て、その構造が明らかにされたものである。以下、本物
質を「本プロテオグルカン」と略記する。
【0016】尚、請求項1記載のプロテオグルカン、及
び請求項3記載の抗糖尿病薬剤中に有効成分として含ま
れるプロテオグルカンは、請求項2及び請求項4に示す
ように、マイタケ及びチョレイマイタケのうちの少なく
とも一方を熱水抽出して得たものに限定されず、前記式
(I)に示す一般式で表される構造を有するものであれ
ばよい。
【0017】本発明の抗糖尿病薬剤は、所定の構造を有
する本プロテオグルカンを有効成分として含むものであ
ればよく、例えば、本プロテオグルカンをそのまま用い
てもよいし、これに固体若しくは液体の稀釈剤、又は賦
形剤を配合してもよい。そして、この抗糖尿病薬剤の剤
形態及び投与形態は、液状、ペースト状又は固体状でも
よく、通常は、散剤、錠剤、顆粒、カプセル剤、シロッ
プ剤、乳剤等として内服せしめる。また、舌下錠、膣錠
とすることも可能である。更にまた、注射剤の形で投与
してもよい。更に、投与方法及び投与量としては、本プ
ロテオグルカン換算にて、1日当たり1〜100mg、
通常は5〜50mg(又は5〜10mg)を、1回若し
くは2〜3回に分けて内服等の方法で投与することがで
き、これにより効力を発揮する。
【0018】ここで使用される上記稀釈剤並びに賦形剤
材料の具体例としては、乳糖、澱粉、デキストリン、リ
ン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、
ステアリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸
アルミニウム、水酸化アルミニウム、乾燥酵母、水、牛
乳等が挙げられる。
【0019】尚、プロテオグルカンを含有するマイタケ
粉末、その成型剤又は抽出液を、含有プロテオグルカン
量が医薬的な治療効果を現さない量で且つ健康維持のた
めの量で健康食品として用いることができる。その際の
剤形としては、錠剤、顆粒剤、軟カプセル剤、液剤、茶
剤等が好適である。
【0020】
【実施例】以下、実施例及び実験例により本発明を具体
的に説明する。
【0021】(実施例1)下記(1)〜(2)に従って本発明
のプロテオグルカンの取得方法を説明する。 (1) マイタケの子実体を乾燥し粉砕する。その粉末1k
gに蒸留水10リットルを加え、1.2気圧、120℃
で30分間オートクレーブで処理する。冷却後、遠心分
離法によって上澄液を得、この上澄液に等量のエタノー
ルを加えて4℃で12時間放置した後、液面上に析離浮
遊する物質を8000rpm、15分間の遠心分離で脱
液捕集する。 (2) 上記により得た物質を水に溶解し、これをDEAE
−Sepharose CL−6B Column (2.5cmφ×62
cm)に通してクロマト分析を行い、非吸着画分からア
ンスロン(anthrone)陽性のフラクションのみを集める。
このフラクションを透析脱塩した後、低温下で減圧濃縮
する。次いで、濃縮液をSepharose CL−4B Column
(3cmφ×98cm)に通してクロマト分析を行い、
蒸留水留出液についてアンスロン陽性のフラクションの
みを集める。このフラクションを透析後、低温下で減圧
濃縮して、本プロテオグルカンを得る。
【0022】(実施例2)上記実施例1により得られた
標品につき、下記(1)〜(8)の通り諸特性値を測定し、化
学構造を明らかにした。 (1) 本品はアンスロン反応陽性、且つローリー反応陽性
であり、糖と蛋白質との量比(糖:蛋白質)は、20.
6:1であった。 (2) 光学活性 比旋光度〔α〕D=+98.04(c=0.15,H
2O,15℃) (3) 分子量 分子篩ゲルクロマトグラフィーにより分子量を測定し
た。 MW=(1.9〜2.0)×105 尚、日立282超遠心機(ローターRA−60Hシュリ
ーレン)により沈降速度を測定し、次の沈降定数Sを得
た。 S (10.4℃,W)=17.4
【0023】(4) 構成糖の種類 本品1mgを採り、5%塩酸−メタノール1mlに溶解
し、温度100℃で6時間封管分解した。分解物を繰返
し減圧濃縮乾涸させて完全に脱塩酸した後、SE−20
(シリコンゴムGE)充填剤カラムでアセトニトリルを
溶媒として展開したところ、グルコースのみが検出され
た。即ち、上記(1) 及び(4) から、本品がプロテオグル
カンであることが判る。
【0024】(5) 本品1mgをマッキュルビン(McIlvai
n)緩衝液(0.1M、pH7.0)に溶解し、下記〜
の酵素を、表1に示すように、それぞれ0.1mg添
加し、52℃において1時間反応させた。 endo- β-glucosidase endo- α-glucosidase exo-β-glucosidase、次いでexo-α-glucosidase 生成したグルコース量を、グルコースオキシダーゼ法に
より測定した。その結果を下記表1に示す。
【0025】 表 1 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 実験No. 供試酵素 遊離グルコース量(mg) ――――――――――――――――――――――――――――――――― 1 endo- β-glucosidase 0.23 2 endo- α-glucosidase 0.15 3 exo-β-glucosidase →exo-α-glucosidase 0.11 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0026】(6) メチル化分析 糖鎖中の構成単糖の結合位置を明らかにするため、箱守
(Hakomori)の方法によって完全メチル化を行った。生成
物を精製した上で、5%塩酸−メタノールを加え、封管
中100℃で加水分解した。これをネオペンチルグリコ
ールサクシネート(Neopentylglycol succinate) を充填
剤とするガスクロマトグラフにより分析したところ、下
記表2に示す結果を得た。
【0027】 表 2 ―――――――――――――――――――――――――――― 検出化学種 モル比 ―――――――――――――――――――――――――――― 2,3,4,6-tetra-o-methyl D-glucopyranoside 1.00 2,3,4-tri-o-methyl D-glucopyranoside 1.97 2,3-di-o-methyl-D-glucopyranoside 0.98 ――――――――――――――――――――――――――――
【0028】(7) 核磁気共鳴分析 バリアンXL−200(50.3MHz)を用いて、13
C−NMRスペクトルを測定した。NaOH濃度0.2
Mとした重水0.8mlに標品10mgを溶解し、アセ
トニトリルを標準として測定したところ、下記表3に示
すシグナルを認めた。尚、単位はppmである。
【0029】 表 3 ――――――――――――――――――――――――― 100.5, 99.2, 78.8, 73.9, 72.1, 71.0, 70.1, 61.1 ―――――――――――――――――――――――――
【0030】上記において、78.8ppmは1,4結
合に、70.1ppmは1,6結合に帰属するものであ
る。
【0031】(8) 構造式 以上の結果より、特に上記(5) 、(6) 及び(7) の結果か
ら、本品の化学構造を、前記一般式に示す通り決定し
た。
【0032】(実施例3)次に、本発明のプロテオグル
カンの薬理効果を示す。
【0033】(1)試験動物 日本クレア株式会社より自然発症糖尿病マウスKK−A
yの7週令雌を購入し、温度25±1℃、湿度55%の
飼育室内で更に1週間予備飼育した後、8週令で検体投
与に入る。尚、KK−Ayマウスとは、糖尿病を自然発
症することが1962年に報告されたKKマウスに肥満
遺伝子Ayを導入したもので、NIDDMのモデル動物
である。このKK−Ayマウスは、4週令から肥満と高
血糖を示す。
【0034】(2)検体及び対照 Charles River Co. より購入のCRF−1飼料の粉末1
kgに、実施例1で得られた本プロテオグルカン標品の
0.025%水溶液800mlを加え、これらを完全に
練り合せた後に約3cm角に切断し、80℃で約20時
間乾燥したものを検体飼料とした。この検体試料中のプ
ロテオグルカン含有量は0.02%である。一方、対照
試料としては、CRF−1飼料粉に蒸留水を加えて練り
合わせ、同様に調製したものを用いた。予備飼育及び試
験飼育中において、対照試料、検体試料及び水は自由に
摂取させた。
【0035】(3)試験と成績 8週令の時点で、試験群は本プロテオグルカン濃度0.
02%の検体飼料に切り換え、対照群については、その
まま対照飼料の供与を続ける。検体飼料マウス及び対照
マウスから定期的に採血し、血中グルコース濃度(mg
/dl)を測定する。各群の平均値を下記表4に示す。
【0036】 表 4 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 採血時 試験開始時 7日後 14日後 21日後 28日後 試験群 (0日) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 対照飼料群 291 322 379 411 392 検体飼料群 292 231 202 220 211 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0037】表4より、対照群の血中グルコース濃度
は、週を追って上昇を続け高値域に到るが、本プロテオ
グルカン0.02%混入飼料を摂食している試験群は明
らかに血中グルコース濃度の上昇から免れていることが
判る。
【0038】(実施例4)一週間の予備飼育を含めて8
週令のKK−Ay雌マウスに、実施例3に示した本プロ
テオグルカン0.02%混入飼料又は対照飼料を14日
間自由摂食させた。次いで、18時間絶食させた後、
0.1g/mlのグルコース溶液を、体重10g当たり
0.2ml経口投与し、投与直前及び投与後15、3
0、60分毎に採血して、血糖値(mg/dl)を測定
した。各群の平均値を表5に示す。
【0039】 表 5 ――――――――――――――――――――――――――――――― 採血時間 糖液投与直前 15分後 30分後 60分後 試験群 (0分) ――――――――――――――――――――――――――――――― 対照飼料群 115 611 502 398 検体飼料群 114 403 320 281 ―――――――――――――――――――――――――――――――
【0040】近年、NIDDM患者において、空腹時の
血糖値は健常者と殆ど差がないが、糖負荷下において高
血糖値に上昇し、且つその降下が甚だ緩慢な状況を呈す
る患者が、特に老年者において、増加している。このた
め、患者は結果的に長時間高血糖に遭遇することとな
り、症状の悪化に至る。上記表5に示す成績から、本プ
ロテオグルカンが糖尿病の症状を軽くするという改善効
果を有することが判る。
【0041】次に、下記実験例1、2により本プロテオ
グルカンの作用機作を検討した。 (実験例1)本実験例は、血中インスリン濃度と血糖濃
度との関係を検討したものである。従来、抗糖尿病薬と
して用いられてきた薬剤のうちスルホニルウレア系薬剤
は、膵臓のランゲルハンス島β細胞を刺激してインスリ
ンの分泌を促し、これによる血中インスリン濃度の増大
によって血糖濃度を降下させるものといわれている。本
プロテオグルカンに、この作用が有るか無いかについて
検討した。実施例3の試験マウスについて、血糖値と併
せて血中インスリン濃度(μU/ml)を測定した。各
群平均値を表6に示す。
【0042】 表 6 ――――――――――――――――――――――――――――― 採血日 試験開始時 7日後 14日後 21日後 試験群 ――――――――――――――――――――――――――――― 対照飼料群 251 302 397 1610 検体飼料群 252 240 301 352 ―――――――――――――――――――――――――――――
【0043】上記表6と実施例3の表4との比較から、
本プロテオグルカン混入飼料を与えた検体飼料群の方
が、血中インスリン濃度が低いにも拘わらず、血糖値は
低いことが判る。即ち、本品による血糖値の低下又は血
糖値上昇の抑制は、血中インスリンの増加に依存するも
のではない。少なくともインスリン分泌の亢進が寄与し
たとは言えない。そもそも糖尿病発症の一因として、イ
ンスリンの不足が言われているが、症例の初期には、健
常値よりも血中インスリン濃度がむしろ上昇し、これが
標的細胞のいわゆるインスリン抵抗性を増進して症状を
悪化させている。従って、異常に高い血中インスリン濃
度を矯正することが求められており、実験例1において
明示された本プロテオグルカンのこの効果は従来の血糖
降下剤にない優れた特徴である。
【0044】(実験例2)NIDDMについての研究進
展は、インスリンの供給側から受手側へ視点を向けるこ
ととなった。本実験例において、本発明者はこの観点か
ら本プロテオグルカンについて検討を試みた。8週令K
K−Ayマウス雌に、実施例3に記載の本プロテオグル
カン0.02%混入飼料と対照飼料とをそれぞれ自由摂
食させ、14日間飼育後、肝細胞を単離した。この肝細
胞を24時間単層初代培養したものを標的細胞として、
これにインスリンを終濃度が0〜10-4μU/mlの各
濃度となるように加え、その後、125I−インスリンを
7.4KBqになるように添加し、4℃で18時間培養
する。次いで、充分に洗浄した後に、0.2MのNaO
Hで細胞を溶解させ、取り込まれた125I−インスリン
を測定した。この結果を表7に示す。
【0045】 表 7 125I−インスリン結合レベル(10-3cpm) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― インスリン濃度(μU/ml) 0 10-7 10-6 10-5 10-4 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 対照飼料群 2.6 1.2 1.2 1.0 0.9 検体飼料群 10.0 2.3 1.0 1.1 1.2 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0046】近時の知見によれば、標的細胞のインスリ
ンレセプターにインスリンが結合した場合にグルコース
の細胞内への取り込みが起こる。従って、血流中のイン
スリン濃度が低くても、インスリンレセプターとの結合
が充分量行われれば、インスリンの作働効率は良好であ
る。しかし、インスリンレセプターとの結合に、高い血
流インスリン濃度が必要となる場合にはグルコースの取
り込みが困難となる。
【0047】対照飼料飼育マウスに於いて、特にインス
リン低濃度下でインスリンレセプターの結合性が低いこ
とは、グルコース取り込みに障壁となり血液は高血糖と
なることを示す。一方、本プロテオグルカン含有飼料飼
育マウスにおいて、インスリン低濃度下でもインスリン
結合レセプターが発現されることは、糖尿病が改善され
ることを示唆する。即ち、本プロテオグルカンは、標的
細胞のインスリン抵抗性を解除することで、高血糖改善
に機能することが明確になった。
【0048】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明の所定の構造を持つ本プロテオグ
ルカンは、実施例3に示すように優れた血糖降下作用を
有し、且つ、従来、糖尿病治療薬剤として提供されてき
たスルホニルウレア剤のようにインスリン分泌を刺激亢
進させるものではない。更に、本プロテオグルカンは、
実施例4に示すように、グルコースの消費細胞、即ち心
筋、骨格筋、脂肪組織細胞等の標的細胞に於けるグルコ
ースの利用を改善するというものである。従って、本プ
ロテオグルカン及びこれを有効成分として含む抗糖尿病
薬剤によれば、標的細胞のインスリン抵抗性を解除し、
或いは予防することによって高血糖症の改善を行うこと
ができる。そのため、本プロテオグルカン及び本抗糖尿
病薬剤は、根本的な糖尿病の治療及び予防薬剤として広
く利用され得る。
【0050】また、請求項2記載のプロテオグルカン、
及び請求項4記載の抗糖尿病薬剤中に有効成分として含
まれるプロテオグルカンは、マイタケ及びチョレイマイ
タケのうちの少なくとも一方の子実体及び/又は菌糸体
に存在し、これを熱水抽出することにより容易に得るこ
とができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グルカン部が下記式(I)に示す一般式
    で表され、アンスロン反応及びローリー反応が陽性であ
    り、平均分子量約2×105であって、β−1,6結合
    を主鎖としα−1,4分岐鎖を有することを特徴とする
    プロテオグルカン。 【化1】 (但し、式中の数字は位置を表し、a及びbは分岐で、
    その位置は変わってもよい。また、nは100〜200
    の整数である。)
  2. 【請求項2】 上記プロテオグルカンは、マイタケ及び
    チョレイマイタケのうちの少なくとも一方を熱水抽出し
    て得たものである請求項1記載のプロテオグルカン。
  3. 【請求項3】 グルカン部が下記式(I)に示す一般式
    で表され、アンスロン反応及びローリー反応が陽性であ
    り、平均分子量約2×105であって、β−1,6結合
    を主鎖としα−1,4分岐鎖を有するプロテオグルカン
    を有効成分とすることを特徴とする抗糖尿病薬剤。 【化2】 (但し、式中の数字は位置を表し、a及びbは分岐で、
    その位置は変わってもよい。また、nは100〜200
    の整数である。)
  4. 【請求項4】 上記プロテオグルカンは、マイタケ及び
    チョレイマイタケのうちの少なくとも一方を熱水抽出し
    て得たものである請求項3記載の抗糖尿病薬剤。
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