JPH10180452A - ティンフリー鋼板の高速無研磨溶接方法 - Google Patents

ティンフリー鋼板の高速無研磨溶接方法

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JPH10180452A
JPH10180452A JP35633296A JP35633296A JPH10180452A JP H10180452 A JPH10180452 A JP H10180452A JP 35633296 A JP35633296 A JP 35633296A JP 35633296 A JP35633296 A JP 35633296A JP H10180452 A JPH10180452 A JP H10180452A
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wire
welding
tin
steel sheet
welded
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JP35633296A
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Mikiyuki Ichiba
幹之 市場
Yoshinori Yomura
吉則 余村
Akihiko Kohiyama
昭彦 小檜山
Naoyuki Oba
直幸 大庭
Toyofumi Watanabe
豊文 渡辺
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤシーム溶接により缶胴を製造する際
に、無研磨のティンフリー鋼板をチリ発生等の問題を生
じることなく適切且つ安定的に高速溶接すること 【解決手段】 鋼板の表面に特定のクロム付着量の金属
クロム層とその上層のクロム水和酸化物層とからなる皮
膜を有する無研磨のティンフリー鋼板を、15m/分以
上のワイヤ送り速度でワイヤシーム溶接して缶胴を製造
する方法において、缶胴内外面で用いる各電極のワイヤ
の断面積が0.5〜3.0mm2であって、鋼板と接触
すべき部分の溶接部幅方向における外形が鋼板の板厚の
1.0〜4.0倍の長さの直線状部を有し、溶接部にお
ける鋼板の重ね幅Wと各電極のワイヤの前記直線状部の
長さLが、L≦W<L+1.5を満足することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、ティンフリー鋼
板をワイヤシーム溶接することにより金属容器の缶胴を
製造する際の高速無研磨溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属容器の缶胴を製造する際に板厚0.
13〜0.5mm程度の薄めっき鋼板をワイヤシーム溶
接する方法として、鋼板のラップ幅(重ね幅)を溶接ビ
ード幅(ワイヤ幅)より広くとる方法が知られている。
この方法は、主として初期のワイヤシーム溶接で用いら
れていた方法であり、溶接ビード位置と鋼板のラップ幅
の制御技術が十分に確立されていなかったため、ラップ
幅を小さくすることができなかったものである。しか
し、この方法ではラップ幅が溶接ビード幅より大き過ぎ
ると、薄板両縁部の溶接されないエッジ部分が溶接部を
中心として反り曲がり、溶接部の補修不良や缶胴の耐食
性劣化の原因となる。
【0003】また、溶接条件を安定化させることができ
なかったため、使用できる鋼板は表層に金属錫を有し、
電気抵抗(接触抵抗)が小さく溶接電流の変動に有利な
ぶりきが主であった。また、接触抵抗の高いティンフリ
ー鋼板(TFS)を5m/分以上のワイヤ送り速度で溶
接する場合は、溶接部の絶縁性皮膜(金属クロム層およ
びクロム水和酸化物層)を溶接前に研磨などの方法で除
去し、接触抵抗を小さくすることが必要であった。ま
た、このように溶接電流の変動に有利な接触抵抗の小さ
い材料を溶接対象とするため、ワイヤと鋼板の接触面積
が大きいと適正発熱に必要な溶接電流が大きくなり過ぎ
るという問題が生じる。このような問題を回避するた
め、ワイヤと鋼板との接触面積を安定して比較的小さく
とれるように、鋼板と接触すべき部分の溶接部幅方向に
おける外形が弧状のワイヤが使用されていた。
【0004】このような旧来のワイヤシーム溶接法(広
幅ラップ溶接)に対して、現在主流となっている缶胴の
ワイヤシーム溶接法は、特公昭54−26213号に示
されるような狭幅ラップ溶接である。これは鋼板のラッ
プ幅を溶接ビード幅の1/2以下に狭くして溶接する方
法であり、ラップ管理技術の進歩がこのような溶接方法
を可能にした。このワイヤシーム溶接法の利点は、鋼板
のラップ幅が溶接ビード幅より小さいために薄板両縁部
のエッジ部分も含めて溶接され、このため溶接部の補修
不良や缶胴の耐食性劣化の心配がないという点である。
また、電流が板/板界面に効果的に集中するため、接触
抵抗の小さい材料であっても小さな電流で適正発熱を得
ることができる。
【0005】ところで、近年容器に対する異物混入への
規制が厳しくなり、溶接環境のクリーン化が求められる
ようになってきた。このため、従来では溶接直前に溶接
部を研磨して溶接されてきたTFSを無研磨で、しかも
作業性の面から高速で溶接したいというニーズが高まり
つつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
狭幅ラップ溶接により接触抵抗の高いTFSを無研磨で
高速溶接した場合、直ぐに板/板界面でチリとよばれる
溶接欠陥が発生するという問題がある。すなわち、この
溶接法は鋼板のラップ幅が小さいために鋼板のエッジ部
分を含めたラップ部全体が溶接され、しかも高加圧で溶
接部をマッシュするため、過剰発熱した際に直ぐにチリ
が発生してしまう。このため従来の狭幅ラップ溶接は、
TFSのような接触抵抗の高い材料の無研磨高速溶接に
は不向きであった。
【0007】一方、上述したような旧来の広幅ラップ溶
接によりTFSを無研磨で高速溶接した場合には、板/
板界面での適正発熱を確保できる電流条件ではワイヤ/
板界面でチリが発生するという問題がある。これは狭幅
ラップ溶接では、ワイヤ/板界面に比較して板/板界面
の通電面積が狭いためワイヤ/板界面の電流密度を小さ
くし発熱を抑制できるが、広幅ラップ溶接ではワイヤ/
板界面に比較して板/板界面の通電面積が大きいためワ
イヤ/板界面の電流密度が大きくなり、過剰発熱してし
まうためである。
【0008】また、ワイヤシーム溶接法は、溶接機の構
造上の制約から缶胴内面側のワイヤ/板界面の冷却能力
を向上させることが難しいため、高速溶接を行うと特に
缶胴内面側でチリを生じ易く、このようなチリの発生に
よって缶内への異物混入や溶接可能電流範囲が確保でき
ないといった問題を生じていた。このように従来のワイ
ヤシーム溶接法では、ティンフリー鋼板を無研磨高速溶
接して缶胴を製造することは事実上困難であった。した
がって本発明の目的は、ワイヤシーム溶接により金属容
器の缶胴を製造する際に、無研磨のティンフリー鋼板を
チリ発生等の問題を生じることなく適切且つ安定的に高
速溶接することができるワイヤシーム溶接法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明のワイヤシーム溶接法は以下のような特
徴を有する。 (1) 鋼板の表面に金属クロム層とその上層のクロム水和
酸化物層とからなる皮膜を有し、該皮膜の金属クロム換
算での総付着量が鋼板片面当たり30〜250mg/m
2、クロム水和酸化物層の金属クロム換算での付着量が
鋼板片面当たり0.5〜15mg/m2であるティンフ
リー鋼板を、研磨することなく15m/分以上のワイヤ
送り速度でワイヤシーム溶接することにより缶胴を製造
する方法において、缶胴内面側および缶胴外面側で用い
る各電極のワイヤが、その長手方向と直角な断面での断
面積が0.5〜3.0mm2であって、被溶接ティンフ
リー鋼板と接触すべき部分の溶接部幅方向における外形
が被溶接ティンフリー鋼板の板厚の1.0〜4.0倍の
長さの直線状部を有し、溶接部における被溶接ティンフ
リー鋼板の重ね幅W(mm)が、缶胴内面側および缶胴
外面側で用いる各電極のワイヤの前記直線状部の長さL
(mm)との関係で、 L≦W<L+1.5 を満足することを特徴とするティンフリー鋼板の高速無
研磨溶接方法。
【0010】(2) 上記(1)の溶接方法において、缶胴内
面側および缶胴外面側で用いる各電極のワイヤが、被溶
接ティンフリー鋼板と接触すべき部分の溶接部幅方向に
おける直線状部の両端部に、曲率半径Rが0.1mm以
上の弧状部を有することを特徴とするティンフリー鋼板
の高速無研磨溶接方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、ティンフリー鋼板
(以下、TFSという)を無研磨高速溶接する際の板/
板界面でのチリ発生の抑制に最適な鋼板の重ね幅(ラッ
プ幅)について検討を行い、その結果、板/板界面のマ
ッシュを避けてチリの発生を抑制するために、鋼板の重
ね幅を溶接部幅方向におけるワイヤ/板界面の接触幅と
同等かまたはそれ以上とすることにした。但し、鋼板の
重ね幅がワイヤ/板界面の接触幅よりも1.5mm以上
広くなると、鋼板エッジ部分の反りの問題を生じるため
溶接部の補修が難しくなる。このため鋼板の重ね幅をワ
イヤ/板界面の接触幅よりも1.5mm以上広くするこ
とは好ましくない。
【0012】ここで、上記のように鋼板の重ね幅を溶接
部幅方向におけるワイヤ/板界面の接触幅と同等かまた
はそれ以上とした場合、ワイヤ/板界面の通電量を低減
することが難しく、ワイヤ/板界面の過剰発熱が問題と
なる。そこで、ワイヤ/板界面の電流密度を下げるため
の検討を行った結果、ワイヤ/板界面の電流密度を下げ
て過剰発熱を抑制するには、鋼板と接触すべき部分の溶
接部幅方向における外形が直線状部を有するワイヤ、つ
まり溶接部幅方向での鋼板との接触部が直線状になるよ
うなワイヤを使用することが効果的であることが判っ
た。
【0013】低接触抵抗のぶりきやTFSの研磨材を溶
接する際に上記のような鋼板との接触部が直線状となる
ワイヤを使用すると、通電経路が広くなるため過大な電
流が必要になり、溶接機の電源容量をオーバーしたり、
溶接焼け部が不必要に拡大して外観を損なう等の問題を
生じてしまう。これに対して、無研磨のTFSのような
高接触抵抗の材料を溶接する場合は、上記のような鋼板
との接触部が直線状となるワイヤを使用しても、板の表
面抵抗により板/板界面の通電経路の過剰な拡大は起ら
ない。また、ワイヤと鋼板との接触が平面的な接触とな
ることで加圧が均等にかかるため、弧状ワイヤに比較し
て通電面積が拡大し、ワイヤ/板界面のチリ発生も抑制
される。
【0014】TFSのような高接触抵抗の材料をワイヤ
シーム溶接する場合、形成されるナゲットの幅はぶりき
などの低接触抵抗の材料に比較して狭い。このためワイ
ヤの溶接部幅方向における上記直線状部の長さLが鋼板
の板厚の1.0倍未満では、形成されるナゲットの幅が
狭く、実缶として必要な溶接強度が十分に得られない。
直線状部の長さLが大きくなるとナゲットの幅が広くな
り、溶接時における条件変動時でも安定した溶接強度が
得られる。特に、高接触抵抗の材料は通電幅が狭くなる
ためナゲットの幅を広くすることは重要である。一方、
上記直線状部の長さLが鋼板の板厚の4.0倍を超える
とナゲット幅の拡大効果が飽和するだけでなく、溶接に
必要な加圧力および電流が不必要に大きくなるため好ま
しくない。
【0015】したがって本発明の溶接法では、缶胴内面
側および缶胴外面側で用いる各電極のワイヤについて、
被溶接TFSと接触すべき部分の溶接部幅方向における
外形が被溶接TFSの板厚の1.0〜4.0倍の長さの
直線状部を有することを条件とし、さらに、溶接部にお
ける被溶接TFSの重ね幅W(mm)は、ワイヤの前記
直線状部の長さL(mm)との関係で、 L≦W<L+1.5 を満足することを条件とする。
【0016】図1は、このような本発明法による溶接状
況の一例を、溶接部を断面した状態で示したもので、1
が缶胴内面側の電極(上電極輪)のワイヤ、2が缶胴外
面側の電極(下電極輪)のワイヤであり、前記ワイヤ1
およびワイヤ2の鋼板に接触すべき部分の溶接部幅方向
における外形は直線状部3を有している。なお、比較の
ために従来法による溶接状況(溶接部の断面)を図3に
示す。図3において、5が缶胴内面側の電極(上電極
輪)のワイヤ、6が缶胴外面側の電極(下電極輪)のワ
イヤであり、これらワイヤ5,6の鋼板に接触すべき部
分の溶接部幅方向における外形はいずれも弧状である。
【0017】また、ワイヤの溶接部幅方向における上記
直線状部の両端部には円弧状等の弧状部(凸弧状部)を
形成することが好ましい。図2はこのような弧状部を有
するワイヤを用いた本発明法による溶接状況の一例を、
溶接部を断面した状態で示したもので、4がワイヤ1お
よびワイヤ2の直線状部3の両端部に形成された弧状部
である。ワイヤ1にこのような弧状部4がないと、上下
電極輪の垂直軸がずれているような場合に溶接ビードの
端部に疵をつけてしまい、溶接後のフランジ成形等の際
に上記疵部分から割れを生じるおそれがある。特に、T
FSが板厚0.5mm以下の薄物材の場合にはそのよう
な割れを生じ易いので、直線状部3の両端部には弧状部
4を形成することが好ましい。また、この弧状部の曲率
半径Rは、上記の効果を得るために0.1mm以上とす
ることが好ましい。
【0018】TFSは鋼板面に金属クロム層とその上層
のクロム水和酸化物層とからなる皮膜を有するが、この
ようなTFSの素材としての高速無研磨溶接性は、主と
して表層のクロム水和酸化物量および総クロム量に依存
する。溶接において鋼板が電極間に噛込まれ、表層の絶
縁皮膜が破壊されて通電が開始するまでには、絶縁性皮
膜の付着量に依存した時間が必要と考えられる。また、
クロムは高融点金属であるため、その量は溶接性に若干
の影響を与える。このため15m/分以上での高速溶接
では溶接可能な皮膜付着量の上限が存在する。
【0019】具体的には、皮膜の金属クロム換算での総
付着量(総クロム量)が鋼板片面当り250mg/m2
以下、クロム水和酸化物層の金属クロム換算での付着量
が鋼板片面当り15mg/m2以下であることが高速無
研磨溶接にとって必要である。付着量がこれらの上限を
上回ると、溶接条件に拘りなく溶接可能電流範囲が存在
しなくなる。また、皮膜の金属クロム換算での総付着量
(総クロム量)が鋼板片面当り30mg/m2未満、ク
ロム水和酸化物層の金属クロム換算での付着量が鋼板片
面当り0.5mg/m2未満では、溶接補修部の耐食性
が維持できなくなる。したがって、本発明で用いるTF
Sは、皮膜の金属クロム換算での総付着量(総クロム
量)が鋼板片面当たり30〜250mg/m2、クロム
水和酸化物層の金属クロム換算での付着量が鋼板片面当
たり0.5〜15mg/m2であることを条件とする。
【0020】缶胴内面側および缶胴外面側で使用される
ワイヤの断面積(ワイヤ長手方向と直角な断面での断面
積)は0.5〜3.0mm2とする。このワイヤの断面
積が0.5mm2未満では熱容量が小さく、ワイヤ/板
界面の冷却を十分に行うことができない。一方、ワイヤ
の断面積が3.0mm2を超えると熱伝導の面からの冷
却効果が飽和するだけでなく、高価な銅ワイヤを不必要
に使用することになるため経済性を損なう。なお、ワイ
ヤは熱伝導の面から銅を主成分とするものが望ましい。
【0021】なお、本発明において缶胴内面側および缶
胴外面側の各電極に使用するワイヤの断面形状は、上記
の条件を満足する限りにおいて任意であり、例えば、図
4に示すような断面形状(ワイヤ長手方向に対して直角
な断面での断面形状)とすることもできる。これらのう
ち(a)と(b)が上記図1に示すワイヤ断面形状の変形
例、(c)と(d)が上記図2に示すワイヤ断面形状の変形
例である。ぶりきやTFSの研磨材のような低接触抵抗
の材料を本発明の溶接条件で溶接した場合、ナゲット幅
が広くなり過ぎて外観を損ねたり、過剰な電流が必要と
なるため溶接機電源への負荷が大きくなり過ぎて溶接が
困難となる。したがって、本発明のワイヤシーム溶接法
を既存の溶接機を用いて実施するに当っては、操業性の
観点からぶりきの溶接やTFSの研磨材も同じ溶接機を
用いて行われることを考慮し、缶胴内面側電極と缶胴外
面側電極の直前に、それぞれ複数の別々のワイヤフォー
ミングロールを配置し、適宜ワイヤの切換えが行えるよ
うにしたり、或いは複数の溝を有するフォーミングロー
ルを缶胴内面側電極と缶胴外面側電極の直前にそれぞれ
配置することが望ましい。
【0022】
【実施例】無研磨のTFSまたはぶりきを素材とし、溶
接ワイヤ幅に比較して鋼板の重ね幅の大きい富士ウェル
ダー型溶接機を用いて缶胴のワイヤシーム溶接を行っ
た。本実施例では溶接速度10〜30m/分で4〜10
0缶の連続製缶を実施し、溶接可能電流範囲(ACR)
の有無と得られた缶胴の耐食性を評価した。なお、缶の
評価において電流の安定しない始終缶(缶胴を連続製缶
した際に最初と最後に製缶された缶胴)は評価の対象外
とした。
【0023】各電極のワイヤは、電極にワイヤが供給さ
れる直前のワイヤフォーミングロールに複数の溝を設
け、所望の断面形状になるようにした。本実施例で用い
たワイヤの断面形状(ワイヤ長手方向に対して直角な断
面での断面形状)を図5に示す。これらのうち、Aは従
来法で使用されている断面形状のワイヤ、また、B,C
は本発明法で使用される断面形状のワイヤである。本発
明例では、これらワイヤA〜Cを図1および図2に示す
ような組み合わせで使用した。
【0024】ACRは、適正溶接強度が得られなくなる
電流下限設定と過剰発熱を生じる電流上限設定の間の電
流範囲とし、テア試験による下限電流評価とスプラッシ
ュやチリ発生の有無による上限電流評価を実施し、下記
により評価した。 ○:十分な溶接可能電流範囲あり △:溶接可能電流範囲はあるが狭い ×:溶接可能電流範囲なし
【0025】また、耐食性は、始終缶を除く各缶胴をも
とに製造された容器に水溶性内容物を充填して室温で3
ヵ月貯蔵した後の溶接補修部の発錆状況を、下記により
評価した。 ○:発錆なし ×:発錆あり なお、溶接可能電流範囲が存在しなかった実施例につい
ては、実質的な製缶を行うことができなかったため、耐
食性の評価を行うことができなかった。ACRと耐食性
を評価した結果を、素材鋼板の種類および溶接条件とと
もに表1〜表6に示す。
【0026】表1〜表6において、本発明例はいずれも
十分な溶接可能電流範囲があり、また製造された缶胴は
耐食性にも優れている。これに対して、鋼板に接触すべ
き部分の溶接部幅方向における外形が弧状であるワイヤ
(ワイヤA)を缶胴内面側と缶胴外面側の両電極に使用
した比較例4、比較例5は、ワイヤ/板界面で過剰発熱
を生じるため、ACRが適切に得られていない。また、
比較例1〜比較例3、比較例6〜比較例10は、缶胴内
面側および缶胴外面側の電極のワイヤとして、鋼板と接
触すべき部分の溶接部幅方向における外形が直線状部を
有するワイヤを用いているが、他の条件が本発明範囲を
満足していないため本発明の効果が十分に得られていな
い。
【0027】このうち比較例2は、ワイヤの直線状部の
長さL(mm)と鋼板の重ね幅W(mm)の関係がW>
L+1.5であるため溶接部の鋼板エッジ部分が浮き上
がり、溶接部のシール性に問題を生じるため耐食性が劣
っている。比較例1と比較例3は、ワイヤの断面積が
0.5mm2未満であるためワイヤ/板界面の冷却能力
が不足し、チリを生じてしまう。このため適正なACR
が得られていない。また、比較例3はワイヤの直線状部
の長さLが鋼板の板厚の1.0倍未満であるため、実缶
として必要な溶接強度が十分に得られない。さらに、比
較例3はワイヤの直線状部の長さL(mm)と鋼板の重
ね幅W(mm)の関係がW>L+1.5であり、本発明
範囲から外れている。
【0028】比較例6と比較例7は、TFSのクロム水
和酸化物量と金属クロム量(総クロム量)がそれぞれ本
発明の規定する上限値を超えているため、適正なACR
が得られていない。一方、比較例8と比較例10は、T
FSのクロム水和酸化物量と金属クロム量(総クロム
量)がそれぞれ本発明の規定する下限値未満であるた
め、耐食性が劣っている。また、比較例9は本発明の規
定する溶接条件でぶりきを溶接した例であるが、無研磨
TFSを対象とする本発明例と違って適正なACRが得
られていない。なお、従来例は15m/分以下の遅い溶
接速度でワイヤシーム溶接を行った例であり、このよう
に溶接速度が遅い場合には、従来技術でもTFSの無研
磨溶接が可能であることを示している。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、TF
Sを素材としてワイヤシーム溶接により金属容器の缶胴
を製造する際に、チリ発生等の問題を生じることなく無
研磨のTFSを適切且つ安定的に高速溶接することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法による溶接状況の一例を、溶接部を断
面した状態で示す説明図
【図2】本発明法による溶接状況の他の例を、溶接部を
断面した状態で示す説明図
【図3】従来法による溶接状況を、溶接部を断面した状
態で示す説明図
【図4】本発明法において缶胴内面側に用いるワイヤの
断面形状例を示す説明図
【図5】実施例で用いたワイヤの断面形状を示す説明図
【符号の説明】
1,2…ワイヤ、3…直線状部、4…弧状部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大庭 直幸 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 豊文 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に金属クロム層とその上層の
    クロム水和酸化物層とからなる皮膜を有し、該皮膜の金
    属クロム換算での総付着量が鋼板片面当たり30〜25
    0mg/m2、クロム水和酸化物層の金属クロム換算で
    の付着量が鋼板片面当たり0.5〜15mg/m2であ
    るティンフリー鋼板を、研磨することなく15m/分以
    上のワイヤ送り速度でワイヤシーム溶接することにより
    缶胴を製造する方法において、 缶胴内面側および缶胴外面側で用いる各電極のワイヤ
    が、その長手方向と直角な断面での断面積が0.5〜
    3.0mm2であって、被溶接ティンフリー鋼板と接触
    すべき部分の溶接部幅方向における外形が被溶接ティン
    フリー鋼板の板厚の1.0〜4.0倍の長さの直線状部
    を有し、 溶接部における被溶接ティンフリー鋼板の重ね幅W(m
    m)が、缶胴内面側および缶胴外面側で用いる各電極の
    ワイヤの前記直線状部の長さL(mm)との関係で、 L≦W<L+1.5 を満足することを特徴とするティンフリー鋼板の高速無
    研磨溶接方法。
  2. 【請求項2】 缶胴内面側および缶胴外面側で用いる各
    電極のワイヤが、被溶接ティンフリー鋼板と接触すべき
    部分の溶接部幅方向における直線状部の両端部に、曲率
    半径Rが0.1mm以上の弧状部を有することを特徴と
    する請求項1に記載のティンフリー鋼板の高速無研磨溶
    接方法。
JP35633296A 1996-12-25 1996-12-25 ティンフリー鋼板の高速無研磨溶接方法 Pending JPH10180452A (ja)

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