JPH10179174A - 植物の形質転換方法および形質転換植物の作出方法 - Google Patents

植物の形質転換方法および形質転換植物の作出方法

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JPH10179174A
JPH10179174A JP9295569A JP29556997A JPH10179174A JP H10179174 A JPH10179174 A JP H10179174A JP 9295569 A JP9295569 A JP 9295569A JP 29556997 A JP29556997 A JP 29556997A JP H10179174 A JPH10179174 A JP H10179174A
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将憲 山口
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形質転換率の高い、植物の形質転換方法およ
び形質転換植物の作出方法を提供する。 【解決手段】 次の(a)〜(d)の各工程により、形
質転換植物を作出する。 (a)植物細胞又は植物細胞を含む組織を外来遺伝子お
よびウイスカとともに液体中に分散させる工程、 (b)工程(a)の後に、遠心処理を行い、前記植物細
胞にウイスカを付着させる工程、 (c)工程(b)の後に、超音波処理を行い、ウイスカ
を振動させて、前記植物細胞を穿孔せしめ、この孔から
細胞中に外来遺伝子を導入する工程。 (d)工程(c)で外来遺伝子が導入された植物細胞又
はこれを含む植物組織から植物体を再生する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、効率のよい植物の
形質転換方法および形質転換植物の作出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞に遺伝子を導入して植物細胞を形質
転換し、形質転換植物を得ようとする試みが、いくつか
知られている。
【0003】例えば、シリコンカーバイドファイバーな
どのウイスカを用いて、植物細胞を液体混合下で激しく
混合し、その操作によって穿孔して、外来遺伝子を導入
する方法(以下、「ウイスカ法」と略す)(米国特許第
5302523号明細書、米国特許第7472538号
明細書、Kaepper,H.F.ら、1992年、
「Theoretical and Applied
Genetics」、第84巻、560〜566頁、A
sano,Y.ら、1991年、「Plant Scie
nce」、第79巻、247〜252頁)、植物細胞に
超音波を照射して、細胞を部分的に損傷させ、損傷箇所
を通して遺伝子を導入する方法(Joersbo,M.
ら、1990年、「Plant Cell Repor
ts」、第9巻、207〜210頁、Joersbo,
M.ら、1992年、「Physiologia Pl
antarum」、第85巻、230〜234頁)があ
るが、いずれの方法によっても効率よく形質転換植物は
得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のウイスカ法や超
音波法による遺伝子導入方法では、形質転換体は得られ
難く、実用的な植物の形質転換方法とは言い難い。
【0005】従って、双子葉および単子葉植物細胞に効
率的に遺伝子を導入し、形質転換植物を得る方法の開発
が望まれている。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決し、形質転
換率の高い、植物の形質転換方法および形質転換植物の
作出方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
目的を達成するために鋭意研究した。その結果、植物細
胞または植物組織を外来遺伝子およびウイスカとともに
液体中に分散させた状態において、遠心処理ならびに超
音波処理を行うことにより、外来遺伝子を細胞内に導入
して、外来遺伝子が発現する形質転換細胞を効率よく得
て、これを再生することにより、形質転換植物が得られ
ることを見い出した。
【0008】すなわち、第1の本発明の要旨とするとこ
ろは、次の(a)〜(c)の各工程を含む、植物の形質
転換方法にある。 (a)植物細胞又は植物細胞を含む組織を外来遺伝子お
よびウイスカとともに液体中に分散させる工程、(b)
工程(a)の後に、遠心処理を行い、前記植物細胞にウ
イスカを付着させる工程、(c)工程(b)の後に、超
音波処理を行い、ウイスカにより、前記植物細胞を穿孔
せしめ、この孔から細胞中に外来遺伝子を導入する工
程。
【0009】また、第2の本発明の要旨とするところ
は、次の(a)〜(d)の各工程を含むことを特徴とす
る形質転換植物の作出方法にある。 (a)植物細胞又は植物細胞を含む組織を外来遺伝子お
よびウイスカとともに液体中に分散させる工程、(b)
工程(a)の後に、遠心処理を行い、前記植物細胞にウ
イスカを付着させる工程、(c)工程(b)の後に、超
音波処理を行い、ウイスカにより、前記植物細胞を穿孔
せしめ、この孔から細胞中に外来遺伝子を導入する工
程。(d)工程(c)で外来遺伝子が導入された植物細
胞又はこれを含む組織から植物体を再生する工程。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の方法を詳細に説明
する。本発明の植物の形質転換方法は、上記(a)〜
(c)の各工程からなり、本発明の形質転換植物の作出
方法は、上記工程にさらに(d)工程を付加したもので
ある。
【0011】以下に、(a)、(b)、(c)、(d)
の各工程を詳細に説明する。
【0012】〔1〕工程(a) 分散工程 本発明は、植物細胞又は植物組織を、外来の遺伝子とウ
イスカとともに液体中に均ーに分散し、懸濁させた状態
にする工程である。
【0013】本発明の方法が適用される植物は特に限定
されるものではなく、例えば、イネ、トウモロコシ、コ
ムギ、オオムギ、芝草、その他の単子葉植物、または、
タバコ、ダイズ、ワタ、トマト、ハクサイ、キュウリ、
レタスなどの双子葉植物などが挙げられる。
【0014】本発明に使用される植物細胞としては、例
えば、カルスや懸濁細胞などの脱分化した培養細胞、不
定胚、苗条原基などが、植物組織としては、葉、根、
茎、胚、生長点などが挙げられるが、好ましくは、カル
スおよび懸濁細胞などの植物細胞である。
【0015】また、本発明に用いられる培養細胞は、植
物由来のいかなる外殖であってもよく、例えば、胚盤、
生長点、花粉、葯、葉身、茎、葉柄、根由来のものが挙
げられる。
【0016】また、本発明に用いられる培養細胞は、上
記した外殖片をカルス形成培地、例えばMS培地(Mu
rashigeら、「Physiologia Pla
ntarum」、1962年、第15巻、473頁〜4
97頁)または、R2培地(Ojimaら、「Plan
t and Cell Physiology」、19
73年、第14巻、1113〜1121貢)、N6培地
(Chuら、1978年、「In Proc.Sym
p.Plant Tissue Culture,Sc
ience Press Peking」、43頁〜5
0頁)など、必須成分として無機塩成分およびピタミン
類を含む培地に、植物ホルモンとして、例えば、2,4
−PA(2,4−dichlorophenoxyac
eticacid)0.1〜5mg/リットル、ならび
に、炭素源として、例えば、ショ糖10〜60g/リッ
トル、ゲルライト1〜5g/リットルを添加した培地に
置床して培養することにより得られる。
【0017】カルス形成培地に外殖片を置床した後、本
発明に用いられる培養細胞が得られるまでの培養期間は
特に限定されるものではないが、形質転換植物を得よう
とする場合には、当該培養細胞からの植物体再生が可能
であること、つまり、当該植物細胞が植物体再生能力を
保有している期間内であることが重要である。
【0018】また、本発明に用いる培養細胞は植物体再
生能力を保有している培養細胞であれば、液体培地によ
る懸濁細胞であってよい。
【0019】本発明に用いるウイスカ(whisker)と
は、微細な針状の構造を持った単結晶をいう。本発明に
用いるウイスカとしては、細胞に刺さり、細胞壁を貫い
て、細胞表面に孔を形成させ、この孔を経て、外来遺伝
子を細胞内に導入することができるものであれば、なん
ら限定されるものではないが、孔の寸法が細胞の大きさ
と比較して、大きすぎるものであってはならない。具体
的には、直径が0.01〜10μm、好ましくは、0.
5〜1μm、長さが、1〜100μm、好ましくは3〜
40μmである。ウイスカ材質が、チタン酸カリウム、
炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、窒化ケイ素、酸
化亜鉛、塩基性硫酸マグネシウム、マグネシア、ホウ酸
マグネシウム、二ホウ化チタン、カーボングラファイ
ト、硫酸カルシウム、サファイア、シリコンカーバイド
などが挙げられ、好ましくはチタン酸カリウム、炭酸カ
ルシウム、ホウ酸アルミニウムである。
【0020】本発明に用いるウイスカは、表面処理を行
わなくとも単独で使用することもできるが、ウイスカ表
面に塩基性官能基を持つウイスカ、好ましくは表面処理
剤により表面処理されているウイスカを使用することに
より形質転換率を高めることができる。その際の塩基性
官能基とは、1〜4級アミン類、2価金属錯体などによ
る塩基性官能基が挙げられるが、好ましくは、アミノ基
が用いられる。
【0021】ウイスカ表面への塩基性官能基の付与に用
いる化合物は、ウイスカ表面と共有結合できる化合物で
あれば、特に限定されないが、好ましくは、シランカッ
プリング剤、より好ましくは塩基性官能基を有するシラ
ンカップリング剤である。シランカップリング剤として
は、3−(2−アミノエトキシルアミノプロピル)−ト
リメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシ
シランなどの塩基性シランカップリング剤を挙げること
ができるが、塩基性官能基を有するシランカップリング
剤であれば、これらに限定されるものではない。
【0022】本発明に用いられる外来遺伝子は、植物の
形質転換に用いられる核酸であり、DNA、RNAを問
わないが、通常はDNAが用いられる。ここで形質転換
とは、植物細胞内に遺伝子を導入することをいい、その
遺伝子の発現の有無は問わないが、植物細胞内でその遺
伝子が安定に保持されることが好ましい。また、遺伝子
は、タンパク質もしくはペプチド又はアンチセンスRN
A等をコードし、植物細胞内でこれらを発現するもので
あってもよいし、染色体中の遺伝子内部に挿入され、そ
の遺伝子の正常な発現を阻害するものであってもよい。
【0023】本発明に用いられるDNAの形態として
は、二本鎖DNA及び一本鎖DNA、環状DNA(プラ
スミド)、直鎖状DNAのいずれであってもよい。本発
明の遺伝子を植物細胞に導入した後に、その遺伝子を発
現させようとする場合には、その遺伝子固有のプロモー
ター又はターミネーターが機能可能な場合にはそのまま
用いてもよいが、植物細胞内で効率よくあるいは特異的
に機能するプロモーター又はターミネーターと入れ替え
てもよい。
【0024】例えば、植物体内で機能するプロモーター
としてカリフラワーモザイクウイルス由来のCaMV3
55プロモーター(Odellら、1988年、「Pl
ant Mol. Biol.」、第10巻、263〜
272貢)が挙げられ、ターミネーターとして、カリフ
ラワーモザイクウイルス由来のターミネーターや、アグ
ロバクテリウムのノパリン合成酵素遺伝子由来のターミ
ネーターが挙げられる。
【0025】本発明に用いる外来遺伝子として具体的に
は、例えば除草剤耐性遺伝子、昆虫耐性遺伝子、ウイル
ス抵抗性遺伝子、耐病性遺伝子、貯蔵タンパク遺伝子、
さらに選抜マーカーとしての薬剤耐性遺伝子などが挙げ
られるが、植物体内で機能する外来遺伝子であれば特に
限定されるものではない。
【0026】本発明に用いられる外来遺伝子はそのまま
使用することもできるが、塩基性物質と静電的にイオン
結合した複合体を形成させることにより、形質転換率を
高めることができる。
【0027】外来遺伝子と結合し、複合体を形成するこ
とのできる塩基性物質としては、例えば、スペルミン、
スペルミジン、di−リジン、tri−リジン、ポリリ
ジン、di−アルギニン、tri−アルギニン、ポリア
ルギニン、di−オルニチン、tri−オルニチン、ポ
リオルニチン、ヒストンH1、ヒストンH2、ヒストン
H3、ヒストンH4などが挙げられ、水溶液中で正電荷
を持つ物質であれば特に限定されないが、ポリオルニチ
ン、スペルミン、スペルミジン、ヒストン、di−リジ
ン、tri−リジンが好ましい。またこれらの塩基性物
質は2種以上混合して使用してもよい。
【0028】これらの塩基性物質は外来遺伝子は、外来
遺伝子を植物細胞内で安定に保つことと、染色体に組み
込みやすくするために使用する。外来遺伝子に対する塩
基性物質の量は、外来遺伝子が10μgに対して塩基性
物質が0.1〜300μg、好ましくは1〜80μg使
用される。
【0029】次に、植物細胞または、植物組織、ウイス
カおよび外来遺伝子を分散させる液体は、植物細胞とウ
イスカとを懸濁させ、外来遺伝子を溶解させる目的で使
用され、蒸留水、等張液、緩衝液、組織培養用培地など
が挙げられる。
【0030】その際の等張液としては、例えばKCl、
NaCl、CaCl2、MgCl2などの無機塩を添加し
て0.01〜7M、好ましくは、0.5〜2Mにした液
体が挙げられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリ
ス緩衝液、MES緩衝液などが挙げられる。
【0031】組織培養用培地としては、例えばMS培地
としては、例えばMS培地、ガンボルグのB5培地、R
2培地、ホワイト培地、ニッチ−ニッチ培地、N6培地
などが挙げられる。
【0032】等張液または組織培養用培地を用いる場合
は糖類を添加して用いるのがよく、その際の糖類として
は、例えばショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、マ
ンニトールなどが挙げられ、糖類の濃度は0.01〜7
M、好ましくは0.5〜2Mで使用される。
【0033】本発明に用いる液体のpHは、pH4〜
8、好ましくはpH5〜7である。本発明に用いる液体
の容量は、特に限定されるものではないが、植物細胞の
容量(圧縮細胞量:Packed Cell Volu
me、以下、「PCV」と略す)がPCV 1mlに対
して、10μl〜2ml、好ましくは、300〜700
μlになるよう調整して用いる。
【0034】本発明に用いる植物細胞の容量は、特に限
定されるものではないが、植物細胞と共に液体中に混合
されるウイスカの量は植物細胞の容量に伴い調整され、
植物細胞量のPCV 1ml当たり、ウイスカ1〜10
0mg、好ましくは、4〜40mgになるように添加さ
れる。
【0035】本発明に用いる外来遺伝子、または外来遺
伝子の塩基性物質との複合体の量は、PCV 1mlに
対して、0.1〜1000μg、好ましくは、10〜2
00μgになるように添加される。
【0036】このようにして得られた上記植物細胞、ウ
イスカおよび外来遺伝子は液体と一緒に同一容器に加え
て混合する。本発明で使用する容器は、例えば、遠心
管、ガラス試験管、ポリプロピレン製試験管、シャー
レ、フラスコなどが使用できるが、無菌で取り扱える容
器であれば、これらに限定されるものではない。
【0037】植物細胞、ウイスカおよび外来遺伝子は、
液体中で均一に混合され、分散されるよう容器を振って
撹拌するが、特に激しく撹拌する必要はない。このよう
にして、液体中に分散させた植物細胞、ウイスカおよび
外来遺伝子の混合物(以下、「混合物」と略す)を得る
ことができる。
【0038】〔2〕エ程(b) 遠心処理 本工程は、混合物を遠心処理することによりウイスカを
植物細胞ヘ付着させる工程である.本発明ににおける遠
心処理は、遠心加速度が3,000〜50,000×
g、好ましくは、10,000〜30,000×gで、
遠心時間が、10秒〜40分、好ましくは、5〜10分
間行う。また、植物細胞へのウイスカの付着量を高める
ために同様の遠心処理を1〜20回、好ましくは、3回
繰り返して行うのよい。
【0039】〔3〕工程(c) 超音波処理 本工程は、遠心処理を行った後、混合物を超音波照射す
ることによりウイスカを振動させ、ウイスカにより細胞
を穿孔し、外来遺伝子を孔から細胞内に導入させる工程
である。
【0040】本発明に用いる超音波処理は、前記した従
来技術よりも穏やかな条件、すなわち、周波数が1k〜
1MHz、好ましくは、10〜60kHzで、照射時間
が0.2秒〜20分間、好ましくは、30秒〜2分間
で、強度は、0.01〜10W/cm2、好ましくは、
0.1〜1W/cm2で照射を行う。
【0041】超音波処理を行った後、外来遺伝子を細胞
内に侵入させ拡散させるのに十分な時間、混合物を静置
する。その際の温度は0〜28℃、好ましくは4℃で、
静置時間は1分〜3時間、好ましくは5〜10分間静置
するほうがよい。
【0042】本発明においてば、ウイスカの使用と超音
波処理を組み合わせてウイスカを振動させることによ
り、従来技術よりも穏やかな条件でウイスカを細胞内に
侵入させることができるため、細胞に重大な損傷を与え
ることなく高い形質転換効率が得られると推定される。
【0043】〔4〕工程(d) 植物体再生工程 本工程は、(c)工程で得られた形質転換細胞から植物
体を再生させて形質転換植物の作出を行う工程である。
【0044】本工程を行うにあたって、発現可能な外来
遺伝子を植物細胞に導入した場合には、上述の如く、遠
心処理と超音波処理を行った後、予め植物細胞を培養し
て外来遺伝子を発現させる。
【0045】上記のようにして超音波処理された混合物
は、そのまま培養することもできるが、好ましくは、混
合物からウイスカと外来遺伝子を取り除くため洗浄を行
う。その際に用いる洗浄液は、蒸留水、等張液、緩衝
液、培地などが挙げられるが、好ましくは、前述の等張
液または培地を用いる。
【0046】洗浄は、滅過等の操作によって、混合物か
ら植物細胞を取り出すことができればよく、特に操作が
限定されることはないが、例えば、40μmのナイロン
メッシュ等の節いを用いて混合物を洗浄し、植物細胞を
取り出すことができる。
【0047】このようにして得られた植物細胞を、植物
組織培養用培地を用いて、培養する。この際用いられる
培地は、前述した植物組織培養用培地に必要に応じて、
植物ホルモンとして、例えば、2,4−PA、ナフタレ
ン酢酸、インドール酢酸などのオーキシン類、ベンジル
アデニン、カイネチンなどのサイトカイニン類を単独も
しくは混合して用い、炭素源として、例えば、ショ糖、
グルコースなどを添加して用いることができるが、形質
転換の目的とする植物種に応じて培地の選択をすること
ができる。
【0048】培養は、液体培地もしくは、固体培地で1
5〜30℃、好ましくは、20〜28℃、培養期間は6
時間〜7日間、好ましくは、2〜3日間で行うことによ
って、外来遺伝子を植物細胞内で発現させた分裂細胞を
得ることができる。
【0049】この際、これらの分裂細胞は、外来遺伝子
が導入され、形質転換された形質転換細胞と非形質転換
細胞とが混在しており、効率的に形質転換植物を得るた
めに、形質転換細胞を分裂細胞の中から選抜し、分離す
ることが望ましい。
【0050】例えば、導入に用いた外来遺伝子上に選抜
マーカーとなる薬剤耐性遺伝子、例えば、抗生物質ハイ
グロマイシン耐性遺伝子を保有させておくことにより、
薬剤による細胞の代謝阻害効果を利用して、形質転換細
胞を選抜することができる。この選抜を行うためには、
前記に得られた分裂細胞をあらかじめ指標となる薬剤を
添加した植物組織培養用培地から成る固体もしくは液体
の選抜培地に置床、もしくは懸濁し、20〜60日間、
好ましくは30〜40日間培養する。
【0051】選抜培地に添加される薬剤は、例えばハイ
グロマイシン、カナマイシンなどを用いることができ、
濃度は1〜300mg/リットル、好ましくは25〜5
0mg/リットルで用いるが、薬剤の種類、濃度は植物
種に応じて選択することができ、特にこれらに限定され
るものではない。
【0052】また、外来遺伝子の種類により形質転換細
胞数も変動する。例えば、ハイグロマイシン耐性遺伝子
を用いた場合、GUS遺伝子よりも形質転換細胞が減少
する傾向にある。
【0053】本発明における植物体再生方法としては、
上記のようにして得られた形質転換細胞を公知の植物体
再生用培地に置床することにより行うことができる。
【0054】植物体再生用培地に置床された形質転換細
胞は15〜30℃、好ましくは、20〜28℃で、光照
射は500〜2,000ルクス、好ましくは、800〜
1,000ルクスで、培養期間は、20〜60日間、好
ましくは30〜40日間培養すると、個々の細胞から目
的とする外来遺伝子が導入され、形質転換された植物体
が再生する。
【0055】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示して具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものでは
ない。
【0056】
【実施例1】 <1>工程(a) (1)供試植物細胞の調製 イネ(品種目本晴)完熟種子の籾を脱穀し、70%エタ
ノール溶液に10秒間、次いで有効塩素約1%次亜塩素
酸ナトリウム溶液に6分間浸漬して殺菌処理した後、滅
菌水で洗浄した。
【0057】MS培地の無機成分組成にショ糖30g/
リットル、2,4−PA 2mg/リットル、寒天8g
/リットルを添加して得た培地(pH5.8)を直径9
0mmのシャーレに入れて固化させて固体培地を調製し
た。
【0058】この固体培地に上記で得た種子を1シャー
レに9個置床し、28℃で14日間、明所(2,000
ルクス、1日当たり16時間照明)にて培養し、カルス
を得た。R2培地の無機成分組成にショ糖30g/リッ
トル、2,4−PA 2mg/リットル、カサミノ酸2
g/リットルを添加して得た液体培地(pH5.8)を
100ml容の三角フラスコに50ml入れて、オート
クレーブにより滅菌処理を行い、液体培地を調製した
(以下、この液体培地を「R2D2培地」と略す。)
【0059】このR2D2培地に上記で得たカルスを胚
乳から切りだし、これを1フラスコ当たり10個移植
し、温度28℃で、明所(2,000ルクス、1日当た
り16時間照明)にて、ロータリーシェーカー(100
rpm/分)を用いて振盪培養することによって懸濁培
養細胞を得た。この懸濁培養細胞は7日ごとに、PCV
で3mlを新鮮なR2D2培地に移植し、継代培養し
た。継代培養28日後のイネカルスを、孔1mmのステ
ンレスメッシュの篩を用いて、1mm以下のカルスを1
シャーレ当たりPCVで3ml得た。
【0060】得られた1mm以下のイネカルスはR2D
2培地で3回洗浄し、試験に供した。
【0061】(2)ウイスカの調製 チタン酸カリウム製ウイスカ(チタン工業株式会社の製
品「LS20」)5mgを1.5ml容のチューブ(エ
ッペンドルフ社製)に入れ、エタノールを0.5ml加
えて、一晩放置後、エタノールを完全に蒸発させて、殺
菌されたウイスカを得た。このウイスカの入ったチュー
ブに減菌水1mlを入れ、よく撹拌した後、これを30
00rpm/分、5分間遠心分離し、上清の水を捨てウ
イスカを洗浄した。この洗浄操作を3回行った後、同チ
ューブ内にR2D2培地を0.5ml加えてウイスカ懸
濁液を得た。
【0062】(3)外来遺伝子の調製 外来遺伝子はβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子保
有のpBI221(クローンテック社製)を用いた。
【0063】プラスミド(PBI221)は1mg/m
lの濃度でTE緩衝液(Tris−HCl 10mM、
EDTA 1mM、pH8.0)に溶解し、使用した。
【0064】(4)GUS遺伝子の導入操作 上記(2)で得られたウイスカ懸濁液の入ったチューブ
に上記(1)で得られた1mm以下のカルスをPCVで
250μl入れて、撹拌後、1,000rpm/分で1
0秒間遠心を行い、カルスとウイスカを沈殿させ、上清
を捨てて、カルスとウイスカの混合物を得た。
【0065】また、上記(3)で得たGUS遺伝子溶液
20μl(20μg含有)に対してR2D2培地10μ
lを加え、混合した後、上記のカルスとウイスカの混合
物の入ったチューブに加え、カルス、ウイスカおよび外
来遺伝子が添加された混合物を十分振り混ぜて混合物を
得た。
【0066】<2>工程(b) 次に、この混合物の入ったチューブを18,000xg
で5分間遠心分離し、遠心後、再度振り混ぜた。この遠
心分離し、再度振り混ぜる操作を3回行った。
【0067】<3>工程(c) (1)超音波処理 このようにして得た混合物の入ったチューブを超音波発
生機(浴槽型:媒体として水を使用)の浴槽にチューブ
が十分浸かるように設置し、周波数40kHz、強度
0.25W/cm2で1分間超音波を照射し、照射後、
30分間、4℃で放置した。
【0068】このように超音波処理し混合物を40μm
孔のナイロンメッシュで濾過し、さらに、R2D2培地
5mlを加えて洗浄しこの操作を3回くりかえし、GU
S遺伝子を導入したカルスを得た。
【0069】(2)分裂細胞の培養 GUS遺伝子を導入したカルスを3.5cmのシャーレ
に入れ、R2D2培地を3ml加えて、28℃、明所
(2,000ルクス、1日当たり16時間照明)にて、
ロータリーシェーカー(50rpm/分)を用いて培養
し、分裂細胞を得た。
【0070】(3)形質転換細胞数の選抜 GUS遺伝子が導入された細胞数の測定は、次のように
して行った。すなわち、上記(2)の分裂細胞の培養に
おいて、培養2日目にR2D2液体培地のみを取り除
き、シャーレ中にカルスのみを残し、1mM X−Gl
u(5−Bromo−4−chloro−3−indo
lyl−β−D−glucronide)溶液300μ
lをシャーレ中へ添加し、36℃、暗所で、24時間放
置し、酵素反応を行った。このGUSアッセイにより、
カルス中の、GUS遺伝子が導入され形質転換された細
胞のみが青く発色されるので、これらの細胞を顕微鏡下
で選抜し、形質転換細胞数を調べた。その結果を表1に
示した。
【0071】
【実施例2】チタン酸カリウム製ウイスカ(チタン工業
株式会社の製品「LS20」)1gを500ml容ナス
型フラスコに入れ、トルエン100mlを加え、さらに
3−(2−アミノエトキシルアミノプロピル)−トリメ
トキシシラン(カップリング剤)1gを加え溶解した
後、このフラスコ内のトルエンの温度を120℃となる
ようにしてシリコンオイルバス中で撹拌し、トルエンを
留去し、スラリーを得た。
【0072】反応後、スラリーを90%メタノールで洗
浄し、過剰のカップリング剤を取り除いた。さらに洗浄
に用いたメタノールの残液をロータリーエバポレーター
で完全に留去し、表面塩基性ウイスカを得た。
【0073】上記で得た表面塩基性ウイスカは実施例1
と同様の方法で殺菌した後、R2D2培地を加えて混合
物を得た。
【0074】GUS遺伝子20μgを含むTE緩衝液2
0μlにR2D2培地40μlを加え、この溶液にポリ
オルニチン2.5μg、スペルミジン50μg、スペル
ミン18μg、ヒストンH2 20μgを、それぞれ単
独にR2D2培地60μlに溶解して加え、室温で10
分間静置し、4種類のGUS遺伝子の塩基性複合体を調
製した。
【0075】これらのGUS遺伝子の塩基性複合体と上
記の表面塩基性ウイスカの混合物を用いて実施例1と同
様の方法で形質転換細胞を得て、GUSアッセイを行い
形質転換細胞数を調べた。その結果を表1に示した。
【0076】
【比較例1】遺伝子導入時に遠心処理のみを行い、超音
波処理を省いた以外は、実施例1に準じて分裂細胞のG
USアッセイを行い形質転換細胞をえた。その結果を表
1に示した。
【0077】
【比較例2】遺伝子導入時に遠心処理を省き、超音波処
理のみを行った以外は、実施例1に準じて、分裂細胞の
GUSアッセイを行い形質転換細胞を得た。その結果を
表1に示した。
【0078】
【比較例3】遺伝子導入時にウイスカの添加を省き、
1.5ml容チューブに1mm以下のカルスPCV 2
50μlと外来遺伝子溶液20μl、R2D2培地10
0μlを入れて得た混合物を用いた以外は、実施例1と
同様にして分裂細胞のGUSアッセイを行い、形質転換
細胞を得た。その結果を表1に示した。
【0079】
【表1】
【0080】
【実施例3】 (1)供試植物細胞の調製」は実施例1に準じて行っ
た。 (2)ウイスカの調製は実施例1に準じて行った。 (3)外来遺伝子の調製 外来遺伝子は、ハイグロマイシン耐性遺伝子保有のプラ
スミドpCH(東京大学より分譲)を用いた。 (4)ハイグロマイシン耐性遺伝子の導入操作は、実施
例1に準じて行った。
【0081】(5)分裂細胞の培養 ハイグロマイシン耐性カルスを3.5cmのシャーレに
入れ、R2D2培地を3ml加えて、28℃、明所
(2,000ルクス、1日当たり16時間照明)にて、
ロータリーシェーカー(50rpm/分)を用いて培養
し、分裂細胞を得た。
【0082】(6)形質転換細胞の選抜 上記(5)に準じて培養を行い、培養3日目に、これら
の分裂細胞の懸濁液3mlを2,4−PA 2mg/リ
ットル、ショ糖30g/リットル、ゲルライト3g/リ
ットル、およびハイグロマイシン50mg/リットルを
含むN6培地(pH5.8)30mlを直径9cmの大
きさのシャーレ中で固化させた固体培地上に均一に広げ
た後、ピペットで懸濁液の液体を吸い取った。
【0083】これを28℃、明所(2,000ルクス、
1日当たり16時間照明)で20日間培養し、ハイグロ
マイシン耐性の形質転換細胞を得た。
【0084】(7)形質転換細胞から植物体再生 上記により得た形質転換培養細胞169個(直径約5m
mに生育)をペンジルアデニン2mg/リットル、ナフ
タレン酢酸1mg/リットル、ショ糖30g/リット
ル、ソルビトール30g/リットル、ゲルライト3g/
リットルを含むMS培地30mlを直径9cmの大きさ
のシャーレで固化させた再生用培地上に1シャーレ当た
り10個置床し、28℃、明所(2,000ルクス、1
日当たり16時間照明)で30日間培養すると、形質転
換細胞から芽と根が再生した。
【0085】再生した芽と根を含む幼芽(長さ10〜3
0mmに生育)をショ糖3%、ゲルライト3g/リット
ルを含むMS培地50mlをプラントボックス(縦5c
m×横5cm×高さ10cm)中で固化させた固体培地
に各々1本づつ移植し、20日間培養して形質転換植物
を135個体得た。その結果を表2に示す。
【0086】(8)形質転換植物の遺伝子解析 PCR(polymerase chain reac
tion)法によるハイグロマイシン耐性遺伝子を保持
する植物体の解析を行った。
【0087】上記(7)で得た再生植物体の葉50mg
を1.5ml容のマイクロチューブに入れ、10mM
EDTAを含む20mM Tris−HCl緩衝液(p
H7.5)300μlを添加し、これを磨砕した後、2
0%SDSを20ml加えて、65℃で10分間加温し
た。これに5M酢酸カリウムを100μl加え、氷中に
20分間置いた後、1,7000×gの遠心加速度で2
0分間遠心分離を行い、得られた上清にイソプロパノー
ル200μlを加え、転倒撹拌し、これを再び1,70
00×gの遠心加速度で20分間遠心分離し、この沈殿
を減圧下で乾燥させ、100μlのTE緩衝液に溶解し
DNAを得た。
【0088】PCR用のプライマーとして、公知のハイ
グロマイシン耐性遺伝子の配列を基に、配列番号1及び
2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成し
た。次に、これらのオリゴヌクレオチド各1μMをプラ
イマーとし、上記植物体由来のDNA5μlをテンプレ
イトとして、これらを含む反応液(10mM Tris
−HCl(pH8.3),1.0mM MgCl2,5
0mM KCl,0.01%ゼラチン,pH8.3,d
NTP 各0.2mM mixture,Taq DN
A polymerase 2.5ユニット)100μ
lで、増幅反応を行った。反応液は、PCRキット(P
CR AmplificationKit(宝酒造
(株)社製)を用いて調製した。
【0089】増幅反応は、PCR反応装置(Progr
am Temp ControlSystem PC−
700(アズテック社製))を用いて、変性94℃、1
分、アニーリング60℃、30秒、伸張(extent
ion)72℃、1分の3つの反応条件を30回繰り返
して行った。
【0090】PCR反応液を常法によりアガロース電気
泳動で分析したところ、再生植物から抽出したDNAか
ら375bpの増幅されたDNAバンドが確認された。
このDNAバンドパターンより、イネ再生植物体135
個体中の全てにハイグロマイシン耐性遺伝子が組み込ま
れていることが確認できた。その結果を表2に示す。
【0091】
【実施例4】 (1)供試植物細胞の調製 トウモロコシ(品種A188)の交配10日日の未熟胚
(1〜1.2mm長)を無菌状態に取り出し、N6培地
の無機成分組成にショ糖20g/リットル、2,4−P
A 2mg/リットル、L−プロリン2.9g/リット
ル、カサミノ酸100mg/リットル、寒天9g/リッ
トルを添加して得た培地(pH5.8)を直径9cmの
大きさのシャーレ中で固化させた固体培地(以下、「N
6S2培地」と略す)上に、1シャーレ当たり9個置床
し、28℃、暗所で、21日間培養し、カルスを得た。
【0092】「(2)ウイスカの調製」および「(4)
ハイグロマイシン耐性遺伝子の導入操作」は実施例1に
準じて、また、「(3)外来遺伝子の調製」は実施例2
に準じて行った。
【0093】(5)分裂細胞の培養 ハイグロマイシン耐性カルスを個々にピンセットでN6
S2培地上に置床し、28℃、暗所で7日間培養し分裂
細胞を得た。
【0094】(6)形質転換細胞の選抜 上記(5)に準じて培養し、培養7日目のカルスを分割
せずにそのままハイグロマイシン50mg/リットルを
添加したN6S2培地に移植し、28℃暗所で30日間
培養しハイグロマイシン耐性の形質転換細胞を得た。
【0095】(7)形質転換細胞からの植物体の再生 上記(6)により得た形質転換培養細胞101個(直径
約5mmに生育)を、ショ糖10g/リットル、ゲルラ
イト3g/リットルを含む1/2無機塩濃度のN6培地
(pH5.8)に直径9cmの大きさの1シャーレ当た
り6個のカルスを置床し、28℃、明所(2,000ル
クス、1日当たり16時間照明)で30日培養すると、
形質転換培養細胞から芽と根が再生した。
【0096】再生した芽と根を含む幼芽(長さ10〜3
0mmに生育)をショ糖30g/リットル、ゲルライト
3g/リットルを含むMS培地50mlをプラントボッ
クス(縦5cm×横5cm×高さ10cm)中で固化さ
せた固体培地に各々1本づつ移植し、20日間培養して
形質転換植物を30個体得た。その結果を表2に示す。
【0097】(8)形質転換植物の遺伝子解析 実施例2の方法に準じて解析を行ったところ、トウモロ
コシ再生植物体30個体中26個体にハイグロマイシン
耐性遺伝子が組み込まれていることが確認された。その
結果を表2に示す。
【0098】
【比較例4】遺伝子導入時に遠心処理のみを行い、超音
波処理を省いた以外は、実施例3と同様にして分裂細胞
のハイグロマイシン耐性の形質転換細胞数を調査し、そ
の結果を表2に示した。
【0099】
【比較例5】遺伝子導入時に遠心処理を省き、超音波処
理のみを行った以外は、実施例3と同様にして分裂細胞
のハイグロマイシン耐性の形質転換細胞数を調査し、そ
の結果を表2に示した。
【0100】
【比較例6】遺伝子導入時にウイスカの添加を省き、
1.5ml容チューブに1mm以下のカルスPCV 2
50μlと外来遺伝子溶液20μl、R2D2培地10
0μlを入れて得た混合物を用いた以外は、実施例3と
同様にして分裂細胞のハイグロマイシン耐性の形質転換
細胞数を調査し、その結果を表2に示した。
【0101】
【比較例7】遺伝子導入時に遠心処理のみを行い、超音
波処理を省いた以外は、実施例4と同様にして分裂細胞
のハイグロマイシン耐性の形質転換細胞数を調査し、そ
の結果を表2に示した。
【0102】
【比較例8】遺伝子導入時に遠心処理を省き、超音波処
理のみを行った以外は、実施例4と同様にして分裂細胞
のハイグロマイシン耐性の形質転換細胞数を調査し、そ
の結果を表2に示した。
【0103】
【比較例9】遺伝子導入時にウイスカの添加を省き、
1.5ml容チューブに1mm以下のカルスPCV 2
50μlと外来遺伝子溶液20μl、N6S2培地10
0μlを入れて得た混合物を用いた以外は、実施例4と
同様にして分裂細胞のハイグロマイシン耐性の形質転換
細胞数を調査し、その結果を表2に示した。
【0104】
【実施例5】 (1)供試植物細胞の調製 芝草ベントグラス(品種ペンクロス)の完熟種子を70
%エタノール溶液に10秒間、次いで有効塩素約1%次
亜塩素酸ナトリウム溶液に20分間浸漬して殺菌処理を
した後、滅菌水で洗浄し、B5培地の無機成分組成にシ
ョ糖30g/リットル、2,4−PA 3mg/リット
ル、ゲルライト3g/リットルを添加して得た培地(p
H5.8)を直径9cmの大きさのシャーレ中で固化さ
せて固体培地(以下、「B5D3培地」と略す)上に、
1シャーレ当たり100個置床し、28℃、明所(2,
000ルクス、1日当たり16時間照明)で、60日間
培養し、カルスを得た。
【0105】「(2)ウイスカの調整」および「(4)
ハイグロマイシン耐性遺伝子の導入操作」は実施例1に
準じて、また、「(3)外来遺伝子の調製」は実施例2
に準じて行った。
【0106】(5)分裂細胞の培養 ハイグロマイシン耐性カルスを個々にピンセットでB5
D3培地上に置床し、28℃、明所(2,000ルク
ス、1日当たり16時間照明)で7日間培養し分裂細胞
を得た。
【0107】(6)形質転換細胞の選抜 上記(5)に準じて培養し、培養7日目のカルスを分割
せずにそのままハイグロマイシン50mg/リットルを
添加したB5D3培地に移植し、28℃、明所(2,0
00ルクス、1日当たり16時間照明)で40日間培養
しハイグロマイシン耐性の形質転換細胞を得た。
【0108】(7)形質転換細胞からの植物体の再生 上記(6)により得た形質転換培養細胞57個(直径約
1cmに生育)をショ糖30g/リットル、ソルビトー
ル30g/リットル、ベンジルアデニン0.3mg/リ
ットル、ナフタレン酢酸0.3mg/リットル、ゲルラ
イト3g/リットルを含む1/2無機塩濃度のMS培地
(pH5.8)に直径9cmの大きさのシャーレ当たり
6個のカルスを置床し、28℃、明所(2,000ルク
ス、1日当たり16時間照明)で50日間培養すると、
形質転換培養細胞から芽が再生した。
【0109】再生した芽(長さ3〜5mmに生育)をシ
ョ糖30g/リットル、ゲルライト3g/リットルを含
む1/2無機塩濃度のMS培地30mlを試験管(縦1
5cm×直径4cm)中で固化させた固体培地に各々1
本づつ移植し、30日間培養すると、生育した芽の基部
に根が形成した形質転換植物を49個体得た。その結果
を表2に示す。
【0110】(8)形質転換植物の遺伝子解析 実施例3の方法に準じて解析を行ったところ、芝草の再
生植物体49個体中44個体にハイグロマイシン耐性遺
伝子が組み込まれていることが確認された。その結果を
表2に示す。
【0111】
【比較例10】遺伝子導入時に遠心処理のみを行い、超
音波処理を省いた以外は、実施例5と同様にして分裂細
胞のハイグロマイシン耐性の形質転換細胞数を調査し、
その結果を表2に示した。
【0112】
【比較例11】遺伝子導入時に遠心処理を省き、超音波
処理のみを行った以外は、実施例5と同様にして分裂細
胞のハイグロマイシン耐性の形質転換細胞数を調査し、
その結果を表2に示した。
【0113】
【比較例12】遺伝子導入時にウイスカの添加を省き、
1.5ml容チューブに1mm以下のカルスPCV25
0μlと外来遺伝子溶液20μl、B5D3溶液100
μlを入れて得た混合物を用いた以外は、実施例5と同
様にして分裂細胞のハイグロマイシン耐性の形質転換細
胞数を調査し、その結果を表2に示した。
【0114】
【表2】
【0115】
【発明の効果】本発明によれば植物の種、品種、系統に
左右されず、容易かつ短時間に植物の形質転換を行うこ
とができ、効率よく形質転換植物を作出することができ
る。
【0116】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:NO 配列 GCTGGGGCGT CGGTTTCCAC TATCCG 26
【0117】配列番号:2 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:YES 配列 CGCATAACAG CGGTCATTGA CTGGAGC 27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(a)〜(c)の各工程を含むこと
    を特徴とする植物の形質転換方法。 (a)植物細胞又は植物細胞を含む組織を外来遺伝子お
    よびウイスカとともに液体中に分散させる工程、(b)
    工程(a)の後に、遠心処理を行い、前記植物細胞にウ
    イスカを付着させる工程、(c)工程(b)の後に、超
    音波処理を行い、ウイスカにより、前記植物細胞を穿孔
    せしめ、この孔から細胞中に外来遺伝子を導入する工
    程。
  2. 【請求項2】 前記外来遺伝子が、塩基性物質と複合体
    を形成している遺伝子である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 次の(a)〜(d)の各工程を含むこと
    を特徴とする形質転換植物の作出方法。 (a)植物細胞又は植物細胞を含む組織を外来遺伝子お
    よびウイスカとともに液体中に分散させる工程、(b)
    工程(a)の後に、遠心処理を行い、前記植物細胞にウ
    イスカを付着させる工程、(c)工程(b)の後に、超
    音波処理を行い、ウイスカにより、前記植物細胞を穿孔
    せしめ、この孔から細胞中に外来遺伝子を導入する工
    程。(d)工程(c)で外来遺伝子が導入された植物細
    胞又はこれを含む植物組織から植物体を再生する工程。
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