JPH10176511A - 肉盛りバルブシートおよびその製造方法 - Google Patents
肉盛りバルブシートおよびその製造方法Info
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- JPH10176511A JPH10176511A JP34002196A JP34002196A JPH10176511A JP H10176511 A JPH10176511 A JP H10176511A JP 34002196 A JP34002196 A JP 34002196A JP 34002196 A JP34002196 A JP 34002196A JP H10176511 A JPH10176511 A JP H10176511A
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Abstract
性をより一層向上させると共に点火プラグに近くないバ
ルブシート部分の材料欠陥を防止して歩留りが良くした
がって生産性のよいバルブシートとする。 【解決手段】 エンジン点火プラグPに最も近い部分を
中心に円周角θ1,θ2で30°の範囲以上90°の範
囲以下の部分に平均粒径の大きい硬質析出物が分散した
組織領域1Hを有する肉盛りバルブシート1Sとする。
Description
シート(弁座)として好適に利用される肉盛りを施した
バルブシートおよびその製造方法に関するものである。
シートとしては、銅合金粉末をアルミニウム鋳造合金製
のシリンダーヘッドのバルブシート部に肉盛りして形成
した肉盛りバルブシートがある(例えば、特開平8−3
5027号,特開昭62−150014号など)。
されているバルブシートとしては、鉄基焼結合金製のバ
ルブシートリングをシリンダーヘッドのバルブシート部
に圧入して形成した圧入バルブシートがある。
のバルブシートにおいては、シート円周方向に沿った材
料の組織が均一であったため、円周方向のどの部位にお
いても耐摩耗性が同等であったことから、実際のエンジ
ンを用いたバルブフェースとバルブシートの摩耗評価試
験では、シート円周上で最も高温になるエンジン点火プ
ラグに近い部分が、他の部分に比べて大きく摩耗する傾
向が見られた。
バルブシートにおいて耐摩耗性をより一層向上させるこ
とを狙って硬質析出物を大きく析出させた場合には、レ
ーザ肉盛り層が脆くなり、材料欠陥を発生しやすくなる
ため、点火プラグに遠い部分において必要とされる点火
プラグに近い部分の摩耗性向上との相反する特性を如実
にバランスさせることができるかという技術課題があっ
た。
決するためになされたものであって、エンジンのシリン
ダーヘッドのバルブシートにおける耐摩耗性を大幅に向
上させると共に、材料欠陥の発生が少ない生産性の高い
エンジン用肉盛りバルブシートを提供することにある。
アルミニウム鋳造合金からなるシリンダーヘッドのバル
ブシート部に銅合金粉末等の肉盛り合金粉末をレーザ肉
盛りする一連の実験とエンジン実機摩耗評価試験を鋭意
行うことにより、特定部分における優れた耐摩耗性と材
料欠陥の発生しにくい生産性の高いバルブシートを得る
試みを重ねたところ、円周方向に沿って硬質析出物の平
均粒径が異なる組織を有する肉盛りバルブシートとする
のが好ましいことを見いだした。
ートは、請求項1に記載しているように、円周方向に沿
って硬質析出物の平均粒径が異なる組織を有するものと
したことを特徴としている。
トの実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、エンジン点火プラグに近い部分に平均粒径の大きい
硬質析出物が分散した組織を有するものとすることがで
きる。
トの実施態様においては、請求項3に記載しているよう
に、エンジン点火プラグに最も近い部分を中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分に平均粒径
の大きい硬質析出物が分散した組織を有するものとする
ことができる。
トの実施態様においては、請求項4に記載しているよう
に、シリンダーヘッドがアルミニウム鋳造合金からなり
かつシリンダーヘッドのバルブシート肉盛り部が銅合金
からなっているものとすることができる。
トの実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、平均粒径の大きい硬質析出物の平均粒径が50μm
以上100μm以下である組織をエンジン点火プラグに
最も近い円周部分に有し、エンジン点火プラグに最も近
い部分を中心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲
以下の部分以外の部分の組織は硬質析出物の平均粒径が
10μm以上30μm以下であるものとすることができ
る。
方法は、請求項6に記載しているように、円周方向に沿
って硬質析出物の平均粒径が異なる組織に肉盛りするよ
うにしたことを特徴としている。
トの製造方法の実施態様においては、請求項7に記載し
ているように、エンジン点火プラグに近い部分に平均粒
径の大きい硬質析出物が分散した組織に肉盛りするよう
になすことができる。
トの製造方法の実施態様においては、請求項8に記載し
ているように、エンジン点火プラグに最も近い部分を中
心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分
に平均粒径の大きい硬質析出物が分散した組織に肉盛り
するようになすことができる。
トの製造方法の実施態様においては、請求項9に記載し
ているように、アルミニウム鋳造合金からなるシリンダ
ーヘッドのバルブシート部に銅合金粉末を肉盛りするよ
うになすことができる。
トの製造方法の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、肉盛りに際してレーザビーム,プラズ
マアークなどの局所的加熱源を用いるようになすことが
できる。
トの製造方法の実施態様においては、請求項11に記載
しているように、銅合金粉末として、重量%で、Al:
1.0〜5.0%、元素周期律表第Va族元素のV,N
b,Taのうち1種または2種以上:0.1〜5.0
%、Si:1.0〜5.0%を少なくとも含み、その他
Co:10.0〜15.0%、Fe:1.0〜8.0
%、Ni:10.0〜15.0%、Mn:0.5〜5.
0%等を適宜に含み、残部がCuを基本組成とする粉末
を用いて肉盛りするようになすことができる。
は、円周方向に沿って硬質析出物の平均粒径が異なる組
織を有するものとしているので、例えば、耐摩耗性に優
れていることがより一層要求される部位では平均粒径の
大きい硬質析出物が析出しているものにすると共に耐摩
耗性が前記部位程要求されず材料欠陥がより一層少ない
ことが要求される部位では平均粒径がそれより小さい硬
質析出物が析出しているものとすることによって、耐摩
耗性向上の特性と材料欠陥が生じがたい特性をバランス
良く満足するバルブシートとなる。
エンジン点火プラグに近い部分に平均粒径の大きい硬質
析出物が分散した組織を有するものとすることによっ
て、耐摩耗性により一層優れていることが要求されるエ
ンジン点火プラグに近い部分においてその耐摩耗性がよ
り一層向上したバルブシートとなる。
に、エンジン点火プラグに最も近い部分を中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分に平均粒径
の大きい硬質析出物が分散した組織を有するものとする
ことによって、エンジン点火プラグに最も近い部分を中
心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分
で耐摩耗性がより一層向上したバルブシートとなる。
シリンダーヘッドがアルミニウム鋳造合金からなりかつ
シリンダーヘッドのバルブシート肉盛り部が銅合金から
なるものとすることによって、シリンダーヘッド部の軽
量化、ひいてはエンジンの軽量化がなされると共に、耐
摩耗性に劣るアルミニウム合金製シリンダーヘッド部へ
の銅合金の肉盛りによってバルブシートの耐摩耗性がよ
り一層向上したものとなる。
に、平均粒径の大きい硬質析出物の平均粒径が50μm
以上100μm以下である組織をエンジン点火プラグに
最も近い円周部分に有し、エンジン点火プラグに最も近
い部分を中心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲
以下の部分以外の部分の組織は硬質析出物の平均粒径が
10μm以上30μm以下であるものとすることによっ
て、耐摩耗性に優れていることがより一層要求される点
火プラグに近い部分において耐摩耗性がより一層向上し
たバルブシートになると共に、エンジン点火プラグに最
も近い部分を中心に円周角で30°の範囲以上90°の
範囲以下の部分以外の部分においては材料欠陥の発生が
少なく歩留りが良いことから生産性の向上に寄与しうる
バルブシートとなる。
方法では、円周方向に沿って硬質析出物の平均粒径が異
なる組織に肉盛りするようにしたから、例えば、耐摩耗
性に優れていることがより一層要求される部位では平均
粒径の大きい硬質析出物が析出しているものにすると共
に耐摩耗性が前記部位程要求されず材料欠陥がより一層
少ないことが要求される部位では平均粒径がそれより小
さい硬質析出物が析出しているものとすることによっ
て、耐摩耗性向上の特性と材料欠陥が生じがたい特性を
バランス良く満足するバルブシートが製造されることと
なる。
エンジン点火プラグに近い部分に平均粒径の大きい硬質
析出物が分散した組織に肉盛りするようになすことによ
って、耐摩耗性により一層優れていることが要求される
エンジン点火プラグに近い部分においてその耐摩耗性が
より一層向上したバルブシートが製造されることとな
る。
に、エンジン点火プラグに最も近い部分を中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分に平均粒径
の大きい硬質析出物が分散した組織に肉盛りするように
なすことによって、エンジン点火プラグを中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分で耐摩耗性
がより一層向上したバルブシートが製造されることとな
る。
アルミニウム鋳造合金からなるシリンダーヘッドのバル
ブシート部に銅合金粉末を肉盛りするようになすことに
よって、比重の小さいアルミニウムを素材とすることに
よるエンジンの軽量化がなされると共に、耐摩耗性に劣
るアルミニウム合金製シリンダーヘッド部への銅合金粉
末の肉盛りによって耐摩耗性により一層優れたバルブシ
ートが製造されることとなる。
うに、肉盛りに際してレーザビーム,プラズマアークな
どの局所的加熱源を用いるようになすことによって、熱
影響部を小さくした局所的な急速加熱がなされると共に
急速加熱後の自己冷却がなされることによって、硬質析
出物が適量に析出したバルブシートが製造されることと
なる。
うに、銅合金粉末として、重量%で、Al:1.0〜
5.0%、元素周期律表第Va族元素のV,Nb,Ta
のうち1種または2種以上:0.1〜5.0%、Si:
1.0〜5.0%を少なくとも含み、その他Co:1
0.0〜15.0%、Fe:1.0〜8.0%、Ni:
10.0〜15.0%、Mn:0.5〜5.0%等を適
宜に含み、残部がCuを基本組成とする粉末を用いて肉
盛りすることによって、肉盛り部に硬質析出物が析出し
た耐摩耗性に優れた肉盛りバルブシートが製造されるこ
ととなる。
れば、円周方向に沿って硬質析出物の平均粒径が異なる
組織を有するものとしているので、例えば、耐摩耗性に
優れていることがより一層要求される部位では平均粒径
の大きい硬質析出物が析出しているものにすると共に耐
摩耗性が前記部位程要求されず材料欠陥がより一層少な
いことが要求される部位では平均粒径がそれより小さい
硬質析出物が析出しているものとすることによって、耐
摩耗性向上の特性と材料欠陥が生じがたい特性をバラン
ス良く満足するバルブシートにすることが可能であると
いう著しく優れた効果がもたらされる。
エンジン点火プラグに近い部分に平均粒径の大きい硬質
析出物が分散した組織を有するものとすることによっ
て、耐摩耗性により一層優れていることが要求されるエ
ンジン点火プラグに近い部分においてその耐摩耗性をよ
り一層向上させたバルブシートとすることが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
に、エンジン点火プラグに最も近い部分を中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分に平均粒径
の大きい硬質析出物が分散した組織を有するものとする
ことによって、エンジン点火プラグに最も近い部分を中
心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分
で耐摩耗性がより一層向上したバルブシートとすること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
シリンダーヘッドがアルミニウム鋳造合金からなりかつ
シリンダーヘッドのバルブシート肉盛り部が銅合金から
なるものとすることによって、シリンダーヘッド部の軽
量化、ひいてはエンジンの軽量化が可能であると共に、
耐摩耗性に劣るアルミニウム合金製シリンダーヘッド部
への銅合金の肉盛りによってバルブシートの耐摩耗性を
より一層向上したものとすることが可能であるという著
しく優れた効果がもたらされる。
に、平均粒径の大きい硬質析出物の平均粒径が50μm
以上100μm以下である組織をエンジン点火プラグに
最も近い円周部分に有し、エンジン点火プラグに最も近
い部分を中心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲
以下の部分以外の部分の組織は硬質析出物の平均粒径が
10μm以上30μm以下であるものとすることによっ
て、耐摩耗性に優れていることがより一層要求される点
火プラグに近い部分において耐摩耗性がより一層向上し
たバルブシートにすることが可能であると共に、エンジ
ン点火プラグに最も近い部分を中心に円周角で30°の
範囲以上90°の範囲以下の部分以外の部分においては
材料欠陥の発生が少なく歩留りが良いことから生産性の
向上に寄与しうるバルブシートにすることが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
方法では、円周方向に沿って硬質析出物の平均粒径が異
なる組織に肉盛りするようにしたから、例えば、耐摩耗
性に優れていることがより一層要求される部位では平均
粒径の大きい硬質析出物が析出しているものにすると共
に耐摩耗性が前記部位程要求されず材料欠陥がより一層
少ないことが要求される部位では平均粒径がそれより小
さい硬質析出物が析出しているものとすることによっ
て、耐摩耗性向上の特性と材料欠陥が生じがたい特性を
バランス良く満足するバルブシートを製造することが可
能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
エンジン点火プラグに近い部分に平均粒径の大きい硬質
析出物が分散した組織に肉盛りするようになすことによ
って、耐摩耗性により一層優れていることが要求される
エンジン点火プラグに近い部分においてその耐摩耗性が
より一層向上したバルブシートを製造することが可能で
あるという著しく優れた効果がもたらされる。
に、エンジン点火プラグに最も近い部分を中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分に平均粒径
の大きい硬質析出物が分散した組織に肉盛りするように
なすことによって、エンジン点火プラグを中心に円周角
で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分で耐摩耗性
がより一層向上したバルブシートを製造することが可能
であるという著しく優れた効果がもたらされる。
アルミニウム鋳造合金からなるシリンダーヘッドのバル
ブシート部に銅合金粉末を肉盛りするようになすことに
よって、比重の小さいアルミニウムを素材とすることに
よるエンジンの軽量化が可能であると共に、耐摩耗性に
劣るアルミニウム合金製シリンダーヘッド部への銅合金
粉末の肉盛りによって耐摩耗性により一層優れたバルブ
シートを製造することが可能であるという著しく優れた
効果がもたらされる。
うに、肉盛りに際してレーザビーム,プラズマアークな
どの局所的加熱源を用いるようになすことによって、熱
影響部を小さくした局所的な急速加熱が可能であると共
に急速加熱後の自己冷却が可能となることによって、硬
質析出物が適量に析出したバルブシートを製造すること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
うに、銅合金粉末として、重量%で、Al:1.0〜
5.0%、元素周期律表第Va族元素のV,Nb,Ta
のうち1種または2種以上:0.1〜5.0%、Si:
1.0〜5.0%を少なくとも含み、その他Co:1
0.0〜15.0%、Fe:1.0〜8.0%、Ni:
10.0〜15.0%、Mn:0.5〜5.0%等を適
宜に含み、残部がCuを基本組成とする粉末を用いて肉
盛りすることによって、肉盛り部に硬質析出物が析出し
た耐摩耗性に優れた肉盛りバルブシートを製造すること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
酸ガスレーザを用い、アルミニウム系鋳造合金であるJ
IS AC2A材よりなる図1に示すアルミニウム合金
製シリンダーヘッド1のシリンダーヘッドポート部1P
にある吸気側バルブシート部1Aおよび排気側バルブシ
ート部1Eのうち、排気側バルブシート部1Eに合金肉
盛りを施してバルブシート1Sを形成した場合を示す
が、この実施例には限定されない。そして、この実施例
において、肉盛り合金粉末としては、特開平8−350
27号公報に記載の下記成分系組成を有する銅合金粉末
を用いた。
5%Co−6.4%Fe−12.7%Ni−1.9%V
−2.2%Nb−1.2%Mn 本発明の実施例において、アルミニウム合金製シリンダ
ーヘッドのバルブシート部への合金肉盛りは、上記した
ように、バルブシート温度が高くなる排気側バルブシー
ト部1Eにのみ適用したが、この際の具体的なレーザ肉
盛り方法としては、表1に示す硬質粒子(硬質相)を小
さく析出させる条件で肉盛り層を形成させてゆき、図1
に示すように点火プラグPの付近の必要な領域で同じく
表1に示す硬質粒子(硬質相)を大きく析出させる条件
に切り替えて排気側バルブシート部1Eに肉盛り層を形
成させた。
と、硬質粒子を大きく析出させる条件とにおいて切り替
えのタイミングと時間を調整することにより、表3に示
すように、硬質粒子が大きく析出した断面組織を有する
領域(図1において円周角θ1,θ2の領域)や硬質粒
子の大きさ(平均粒径)の異なる種々の排気側バルブシ
ート部1Eを作製した。
ては、各実施例および比較例において1つの条件により
1つの気筒のフロント側とリヤ側の2ケの排気側バルブ
シート部1Eに形成し、また、肉盛りの生産性を見るた
めの実験用としては、1台のシリンダーヘッドの排気側
(実験に用いたエンジンが直列DOHC4気筒エンジン
であるので2×4=)8ケ所の排気側バルブシート部1
Eに形成した。
リンダーヘッドの吸気,排気バルブシート部の加工を行
った凹部合計16箇所に3mm以上の厚さで肉盛りを施
した。
粗材に機械加工を行って所定の寸法,表面粗さに仕上げ
ることによってバルブシート1Sに形成した。ここで、
レーザ肉盛りの生産性を見るため同一材料をシリンダー
ヘッド1台の8箇所に肉盛りしたバルブシート部につい
て、加工面をカラーチェックすることにより、引け巣,
ポア,マイクロクラックなどといった肉盛り層の材料欠
陥の有無を調べた。各材料において欠陥を発生したシー
ト部の個数を表3にまとめて示す。
よび比較例のバルブシート部を形成したシリンダーヘッ
ドを用いて実機エンジン試験を実施した。なお、1台の
シリンダーヘッドには4仕様の排気側バルブシート部し
か組み込めないために、実施例1〜4、実施例5〜比較
例8および比較例9〜比較例11の仕様を有する3台の
シリンダーヘッドを作製した。また、比較例12と13
については、肉盛り層の欠陥発生率が高すぎるため摩耗
試験に供試できるシリンダーヘッドを作製することがで
きなかった。そして、作製した3台のシリンダーヘッド
をエンジンに載せて、下記表2の同一条件で3回のエン
ジン実機摩耗試験を実施した。
火プラグ最近接部(表3では「プラグ部」として表す)
とその反対側の部分(表3では「反プラグ部」と表す)
の摩耗深さを測定した。なお、相手のバルブフェース部
の摩耗には外観上顕著な違いが見られなかったので摩耗
量の測定を省いた。
実験結果とともにまとめて表3に示す。
〜7においては、実施例6と7のみバルブシート部に欠
陥を発生したもののその個数は1個と少なく、エンジン
実機試験後の点火プラグ近傍のバルブシート部の摩耗量
はいずれも小さく抑えることができたという良好なる結
果が得られた。また、バルブシート部の摩擦摺動面の外
観もほぼ平滑であり、シール性を阻害するような摩耗痕
や欠落ピットも見られなかった。
せていない(すなわち、析出範囲θ1,θ2が0°であ
る)比較例8においては、点火プラグ近傍のバルブシー
ト部の耐摩耗性が不十分であるため、バルブシート部全
体の摩耗が著しく大きくなっていた。
プラグ最近接部の15°の範囲しか存在しない比較例9
においては、比較例8よりも点火プラグ近傍のバルブシ
ート部の耐摩耗性が改善されてはいるものの、それでも
まだ反プラグ側の摩耗量よりもかなり大きく摩耗してい
るものとなっていた。
火プラグ最近接部の25°の範囲しか存在しない比較例
10においても、比較例9と同様の摩耗状況にあった。
されるように、大きな硬質相析出組織の領域が点火プラ
グ最近接部の30°以上必要なことが分かった。
μmを超える大きな硬質相析出組織の領域が点火プラグ
最近接部の90°を超えて存在しているため、バルブシ
ート部の耐摩耗性は良好であるものの、肉盛り時の欠陥
発生率が30%と高く、生産性は著しく悪化してしまう
ものとなっていた。
大きな硬質相を広範囲に析出させたために、欠陥発生率
はさらに悪化したことから、エンジン試験に供試できる
シリンダーヘッドを作製することができなかった。
な硬質相を析出する条件で全周肉盛りしたため、健全な
肉盛り層を形成させることはできなかった。
リンダーポート部を示す平面説明図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 円周方向に沿って硬質析出物の平均粒径
が異なる組織を有することを特徴とする肉盛りバルブシ
ート。 - 【請求項2】 エンジン点火プラグに近い部分に平均粒
径の大きい硬質析出物が分散した組織を有する請求項1
に記載の肉盛りバルブシート。 - 【請求項3】 エンジン点火プラグに最も近い部分を中
心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分
に平均粒径の大きい硬質析出物が分散した組織を有する
請求項1または2に記載の肉盛りバルブシート。 - 【請求項4】 シリンダーヘッドがアルミニウム鋳造合
金からなりかつシリンダーヘッドのバルブシート肉盛り
部が銅合金からなる請求項1ないし3のいずれかに記載
の肉盛りバルブシート。 - 【請求項5】 平均粒径の大きい硬質析出物の平均粒径
が50μm以上100μm以下である組織をエンジン点
火プラグに最も近い円周部分に有し、エンジン点火プラ
グに最も近い部分を中心に円周角で30°の範囲以上9
0°の範囲以下の部分以外の部分の組織は硬質析出物の
平均粒径が10μm以上30μm以下である請求項3に
記載の肉盛りバルブシート。 - 【請求項6】 円周方向に沿って硬質析出物の平均粒径
が異なる組織に肉盛りすることを特徴とする肉盛りバル
ブシートの製造方法。 - 【請求項7】 エンジン点火プラグに近い部分に平均粒
径の大きい硬質析出物が分散した組織に肉盛りする請求
項6に記載の肉盛りバルブシートの製造方法。 - 【請求項8】 エンジン点火プラグに最も近い部分を中
心に円周角で30°の範囲以上90°の範囲以下の部分
に平均粒径の大きい硬質析出物が分散した組織に肉盛り
する請求項6または7に記載の肉盛りバルブシートの製
造方法。 - 【請求項9】 アルミニウム鋳造合金からなるシリンダ
ーヘッドのバルブシート部に銅合金粉末を肉盛りする請
求項6ないし8のいずれかに記載の肉盛りバルブシート
の製造方法。 - 【請求項10】 肉盛りに際してレーザビーム,プラズ
マアークなどの局所的加熱源を用いる請求項6ないし9
のいずれかに記載の肉盛りバルブシートの製造方法。 - 【請求項11】 銅合金粉末として、重量%で、Al:
1.0〜5.0%、元素周期律表第Va族元素のV,N
b,Taのうち1種または2種以上:0.1〜5.0
%、Si:1.0〜5.0%を少なくとも含み、その他
Co:10.0〜15.0%、Fe:1.0〜8.0
%、Ni:10.0〜15.0%、Mn:0.5〜5.
0%を適宜に含み、残部がCuを基本組成とする粉末を
用いて肉盛りする請求項9に記載の肉盛りバルブシート
の製造方法。
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---|---|---|---|
JP34002196A JP3642136B2 (ja) | 1996-12-19 | 1996-12-19 | 肉盛りバルブシートおよびその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34002196A JP3642136B2 (ja) | 1996-12-19 | 1996-12-19 | 肉盛りバルブシートおよびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10176511A true JPH10176511A (ja) | 1998-06-30 |
JP3642136B2 JP3642136B2 (ja) | 2005-04-27 |
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ID=18332993
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JP34002196A Expired - Fee Related JP3642136B2 (ja) | 1996-12-19 | 1996-12-19 | 肉盛りバルブシートおよびその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3642136B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10786871B2 (en) | 2017-02-02 | 2020-09-29 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Wear-resistant member and wear-resistant member production method |
CN114525504A (zh) * | 2020-11-23 | 2022-05-24 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 汽车气缸盖阀座 |
-
1996
- 1996-12-19 JP JP34002196A patent/JP3642136B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN114525504A (zh) * | 2020-11-23 | 2022-05-24 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 汽车气缸盖阀座 |
CN114525504B (zh) * | 2020-11-23 | 2023-08-11 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 汽车气缸盖阀座 |
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---|---|
JP3642136B2 (ja) | 2005-04-27 |
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