JPH1017422A - イモ類そうか病防除剤、防除方法および耐そうか病特性を有する種イモ - Google Patents

イモ類そうか病防除剤、防除方法および耐そうか病特性を有する種イモ

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JPH1017422A
JPH1017422A JP8174790A JP17479096A JPH1017422A JP H1017422 A JPH1017422 A JP H1017422A JP 8174790 A JP8174790 A JP 8174790A JP 17479096 A JP17479096 A JP 17479096A JP H1017422 A JPH1017422 A JP H1017422A
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JP
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potato
gliocladium
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JP8174790A
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Genshi Suzuki
源士 鈴木
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イモ類そうか病の防除効果に優れる防除剤お
よび防除方法を提供する。また、耐そうか病特性に優れ
る種イモを提供する。 【解決手段】 グリオクラディウム属に属する真菌から
なる防除剤または担体に担持したグリオクラディウム属
に属する真菌からなる防除剤を用いる。また、グリオク
ラディウム属に属する真菌を種イモまたは栽培用土に接
種する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリオクラディウ
ム属に属する真菌を使用したイモ類そうか病の防除剤、
防除方法および耐そうか病特性を有する種イモに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ジャガイモやヤマイモに発生するそうか
病は、複数のストレプトマイセス(Storeptomyces) 属放
線菌により引き起こされる、病原菌の分類的な種名は現
在のところ確定されていない病害である。ジャガイモの
場合、そうか病にかかると、ジャガイモ表面がかさぶた
状となり、外観が見苦しくなって商品価値が低下するば
かりでなく、でんぷんの含有量が低下するため、でんぷ
ん原料としてジャガイモを生産する場合の損失も大き
い。更に、収穫量の減少による損害も伴うなど、ジャガ
イモ栽培上重大な病害である。
【0003】上記ジャガイモそうか病に類似する症状を
示す病害に、スポンゴスポラ(Spongospora)属の糸状菌
により引き起こされるジャガイモ粉状そうか病がある。
ジャガイモがこの病気に感染すると、表面に丘疹状隆起
物が生じ、その病痕はコルク状の陥没となるため、市場
性を損なう。
【0004】ジャガイモそうか病及びジャガイモ粉状そ
うか病の防除方法として、前者に対してはPCNB(ペ
ンタクロロニトロベンゼン)剤が、後者に対してはチウ
ラム水和剤等の化学合成殺菌剤が使用されているが、十
分な効果は上がっていない。また、ジャガイモそうか病
は中性から弱アルカリ性の土壌で発生しやすいという性
質を利用して、土壌のpHを下げて栽培するという方法も
ある。しかし、この方法は、土壌のpHを下げることが容
易ではない上、酸性土壌では収穫高が大幅に落ちるとい
う欠点がある。更に、緑肥植物や堆肥の多量投入によっ
ても、ジャガイモそうか病の被害の軽減ができることが
知られているが、高い防除価を出すまでには至っていな
い。
【0005】ストレプトマイセス属放線菌やスポンゴス
ポラ属の糸状菌といったそうか病菌は土壌中に長期間生
存し、ジャガイモが塊茎を作り始める初期から、主にジ
ャガイモの皮目から侵入する。このため、そうか病の防
除には、長期間にわたって病原菌の増殖を防ぎ、ジャガ
イモの塊茎を保護する手段が有効である。この点で、微
生物を利用した防除方法が着目される。
【0006】微生物を利用したイモ類そうか病の防除方
法として、特開平1−193203号公報には、特定の
シュードモナス属細菌を利用したジャガイモそうか病の
防除技術が開示されている。しかし、ジャガイモの収穫
量増加効果は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、イモ類そうか病の防除効果に優
れるとともに収穫量を増加させる防除剤、防除方法の提
供、更には耐そうか病特性に優れるとともに収穫量を増
加させる種イモの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、グリオクラディ
ウム属に属する真菌(以下、グリオクラディウム属菌と
省略して記載する場合がある。)を、種イモあるいは栽
培用土に接種することにより、イモ類そうか病の防除効
果が向上するとともに収穫量が増加することを見出し
た。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであ
る。
【0009】すなわち、本発明の要旨は以下のとおりで
ある。 (1)グリオクラディウム属に属する真菌を含有するイ
モ類そうか病防除剤。 (2)グリオクラディウム属に属する真菌を担体に担持
したイモ類そうか病防除剤。 (3)種イモにグリオクラディウム属に属する真菌を接
種することを特徴とするイモ類そうか病の防除方法。 (4)グリオクラディウム属に属する真菌を接種した栽
培用土にイモを植えつけることを特徴とするイモ類そう
か病の防除方法。 (5)グリオクラディウム属に属する真菌を接種した、
耐そうか病特性を有する種イモ。
【0010】なお、本発明におけるイモ類そうか病と
は、ストレプトマイセス属放線菌またはスポンゴスポラ
属の糸状菌によって引き起こされる、そうか病または粉
状そうか病を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明においては、グリオクラディウム属に属す
る真菌を使用するが、菌種は特に限定されず、具体的に
は、例えば、グリオクラディウム オウレウム(Gliocl
adium aureum) 、グリオクラディウム カテニュレータ
ム(Gliocladium catenulatum)、グリオクラディウム
デリクエッセンス(Gliocladium deliquescens)、グリ
オクラディウム ニグラム(Gliocladium nigrum)、グ
リオクラディウム ペニシロイデス(Gliocladium peni
cilloides)、グリオクラディウム ロゼウム(Glioclad
ium roseum)、グリオクラディウム サガリエンシス
(Gliocladium sagariensis )、グリオクラディウム
ベルモエセニ(Gliocladium vermoeseni)、グリオクラ
ディウム ビレンス(Gliocladium virens)等を使用す
ることができる。これらは、1種を単独で用いてもよ
く、また2種以上を混合して用いてもよい。また、これ
らグリオクラディウム属に属する真菌のうちでも本発明
においては、そうか病の防除効果及び収穫量の増加の点
で特に優れるグリオクラディウム ビレンス、グリオク
ラディウム ロゼウムが好ましい。
【0012】上記グリオクラディウム属に属する真菌を
本発明に用いるに際しては、菌体をグリオクラディウム
属に属する真菌の菌体が増殖可能な培地で培養した培養
物を用いればよく、更に、培養により胞子が十分に形成
されたグリオクラディウム属に属する真菌を含有する培
養物を用いることがより好ましい。グリオクラディウム
属に属する真菌の培養は、通常の微生物の培養方法と同
様にして行うことが可能である。例えば、実験室的に
は、ポテトデキストロース寒天培地で10日間、25℃
で培養する等の培養法が挙げられる。大量培養する場合
には、通常の液体培養でも、また、フスマ等の植物由来
の固体成分、糖や窒素源を含浸させた多孔質体等を用い
た固体培養も可能である。得られたグリオクラディウム
属に属する真菌の培養物は、そのまま、あるいは、必要
に応じて、培養物を粉砕または細断してから、または培
養物から遠心分離等によって菌体を分離してから、ある
いは培養物や菌体を乾燥してからイモ類そうか病の防除
剤として使用できる。
【0013】本発明においては、グリオクラディウム属
に属する真菌を、その培養物を担体に担持させた担持物
の形でイモ類そうか病の防除剤として用いることもでき
る。上記担体としては、有機質及び無機質のいずれのも
のでも使用でき、有機質及び無機質の両方を含むもので
もよい。具体的には、例えば、アタパルジャイト、モン
モリロナイト、ゼオライト、赤玉土、鹿沼土、黒ボク
土、赤玉土、焼成赤玉土、バーミキュライト、パーライ
ト、化石貝等の無機物、または、ピートモス、木炭、パ
ルプ、藁、バガス、油かす、魚かす、骨粉、血粉、カニ
がら等の有機物あるいはそれらの混合物が挙げられる。
その中では、保水能、保肥能あるいは使用上の利便性の
観点より、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ゼオ
ライト、ピートモス、木炭等の多孔質担体が好ましい。
【0014】また、本発明のイモ類そうか病防除剤およ
び担体に担持した防除剤は、任意成分として炭などの土
壌改良剤や肥料成分等を含有してもよい。
【0015】本発明において防除の対象となるのは、ジ
ャガイモそうか病、ヤマイモそうか病等のイモ類そうか
病およびジャガイモ粉状そうか病等のイモ類粉状そうか
病である。
【0016】本発明のイモ類そうか病防除剤は、上記の
病害を防除する目的でイモ類に施用されるが、その方法
は、剤型等の使用形態や作物の栽培形態によって適宜選
択され、例えば、地上液剤散布、地上固形散布、土壌混
和施用、表面処理(種子粉衣、塗布処理等)、株元処理
等の方法を挙げることができる。これらの施用方法の内
では、種イモの表面処理(種子粉衣、塗布処理等)、イ
モ類の植穴への添加、イモ類を植える畝への筋状添加、
土壌全体への混和施用が好ましい。特に、コスト的に
は、粉衣処理、植穴処理、筋状処理が好ましく、また、
施肥機を用いて筋状処理する場合には、防除作業の効率
化が図れる点で好ましい。
【0017】本発明のイモ類そうか病防除用の担体含有
防除剤の施用方法も作物の栽培形態等により適宜選択さ
れるが、例えば、地上固形散布、土壌混和施用、株元処
理等の方法を挙げることができる。これらの施用方法の
内では、イモ類の植穴への添加、イモ類を植える畝への
筋状添加、土壌全体への混和施用が好ましい。特に、コ
スト的には、植穴処理、筋状処理が好ましく、また、施
肥機を用いて筋状処理する場合には、防除作業の効率化
が図れる点で好ましい。
【0018】また、グリオクラディウム属菌を粉衣した
種イモおよびグリオクラディウム属菌を含有する懸濁液
等に浸漬した種イモは、耐そうか病特性を有する種イモ
となる。
【0019】グリオクラディウム属菌の使用量は、そう
か病が防除できる量であればよいが、防除剤1g当たり
コロニー形成単位として1×108 CFUの濃度を有す
る防除剤(グリオクラディウム属菌の担持物)の場合、
10アール当たり防除剤を0.5〜40kg配合すること
が好ましく、特に、1〜30kg配合することが好まし
い。この場合、0.5kg未満の配合量では、そうか病の
防除効果が不十分となる可能性があり、40kgを越えて
配合しても、更に大きな防除効果が期待できない可能性
がある。
【0020】種イモにグリオクラディウム属菌接種する
場合も、耐そうか病特性を発揮するだけの量が担持され
ればよい。例えば、種イモ1個当たり、1×104 〜1
×1010CFU担持される程度であればよい。この種イ
モは室温で1年程度の保存期間内であれば、植え付け後
のそうか病発生率は効果的に抑制される。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。 実施例1、2および比較例1、2 ポテトデキストロース培地を500ミリリットル容の坂
口フラスコに100ミリリットルずつ分注し、120℃
で15分間殺菌した。この培地にグリオクラディウム
ビレンス(ATCC 13213)を1白金耳植菌し、
28℃で10日間振盪培養した。培養終了後、ブフナー
ロートにロ紙を敷き、減圧下で培養液をロ過して菌体を
集めた。ゼオライトとアタパルジャイトを重量比で1:
1の割合で混合した無機担体4kgをポテトデキストロー
ス培地3リットルに投入し、余分な培地を除去した後、
40×60×10cmの蓋付きステンレスバットに入れ、
120℃で15分間殺菌した。放冷後、ステンレスバッ
トに上記のロ過収集菌体をまぶし、28℃の恒温槽に入
れ、1日1回内部を攪拌しながら10日間培養した。上
記と同じ方法により合計10個のステンレスバット培養
物を調製し、均一に混合して防除剤とした。この防除剤
中の生菌数は、防除剤1g当たり2.8×108 CFU
の濃度であった。
【0022】ジャガイモそうか病の発生する連作圃場
に、半分に切断した種イモ(ジャガイモ)を植えつけ
た。植えつけに際し、種イモの下に上記の防除剤を種イ
モ1片当たり、2.5gおよび5g施用する区を設け、
実施例1、2とした。対照として、バリダマイシン粉剤
を種イモ重量に対して0.3%粉衣処理した区(比較例
1)および無処理区(比較例2)を設けた。各区を0.
5アールとして種イモ180個を植えつけ、2反復で試
験した。植えつけ後120日目に新塊茎を堀り取り、そ
うか病の発生状況とジャガイモの収穫量を比較した。結
果を第1表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】第1表及び第2表において、発病度は下記
の式1により、防除価は下記の式2により算出した。
【0025】
【数1】
【0026】 指数0:病斑なし 指数1:病斑少(病斑面積率3%以下) 指数2:病斑中(病斑面積率13%以下) 指数3:病斑多(病斑面積率25%以下) 指数4:病斑甚(病斑面積率25%以上)
【0027】
【数2】
【0028】第1表より、グリオクラディウム防除剤処
理区は、そうか病の発生が軽減され、高収穫量が得られ
ることが確認された。
【0029】実施例3および比較例3、4 グリオクラディウム ビレンスに代えてグリオクラディ
ウム ロゼウム(ATCC 14801)を用い、実施
例1と同様の方法を用いて防除剤を作成した。この防除
剤中の生菌数は、防除剤1g当たり2.8×108 CF
Uの濃度であった。
【0030】ジャガイモそうか病の発生する連作圃場
に、1アールを1区2反復として、グリオクラディウム
防除剤処理区(実施例3)、PCNB処理区(比較例
3)、無処理区(比較例4)の3区を設けて効果を比較
した。1アール当たり種イモ360片を植え付け、実施
例3では種イモの下に防除剤を種イモ1片当たり5g施
用し、比較例3ではPCNBを1アール当たり2.2kg
全面土壌混和した後に種イモを植えつけた。植えつけ後
120日目に新塊茎を堀り取り、そうか病の発生状況と
ジャガイモの収穫量を比較した。結果を第2表に示す。
【0031】
【表2】
【0032】第2表より、グリオクラディウム防除剤処
理区は、そうか病の発生が軽減され、高収穫量が得られ
ることが確認された。
【0033】
【発明の効果】本発明の防除剤、種イモまたは防除方法
を採用した場合、イモ類そうか病の発病率が低減し、防
除価が向上するとともに、収穫量が増加するという効果
を有する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリオクラディウム属に属する真菌を含
    有するイモ類そうか病防除剤。
  2. 【請求項2】 グリオクラディウム属に属する真菌を担
    体に担持したイモ類そうか病防除剤。
  3. 【請求項3】 種イモにグリオクラディウム属に属する
    真菌を接種することを特徴とするイモ類そうか病の防除
    方法。
  4. 【請求項4】 グリオクラディウム属に属する真菌を接
    種した栽培用土にイモを植えつけることを特徴とするイ
    モ類そうか病の防除方法。
  5. 【請求項5】 グリオクラディウム属に属する真菌を接
    種した、耐そうか病特性を有する種イモ。
JP8174790A 1996-07-04 1996-07-04 イモ類そうか病防除剤、防除方法および耐そうか病特性を有する種イモ Pending JPH1017422A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000018241A1 (en) * 1998-09-30 2000-04-06 Her Majesty The Queen In Right Of Agriculture Of Canada As Represented By The Minister Of Agriculture And Agri-Food Canada Gliocladium roseum strains useful for the control of fungal pathogens in plants
JP2009209108A (ja) * 2008-03-05 2009-09-17 National Agriculture & Food Research Organization 塊茎植物におけるそうか病の防除方法

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WO2000018241A1 (en) * 1998-09-30 2000-04-06 Her Majesty The Queen In Right Of Agriculture Of Canada As Represented By The Minister Of Agriculture And Agri-Food Canada Gliocladium roseum strains useful for the control of fungal pathogens in plants
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