JPH1017240A - 手摺り装着式運搬機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通行部の曲がり角においても円滑に走行する
ことができるとともに、通行部周囲を傷める虞れもな
く、さらに安定的に走行するため付き添いも不要で安全
な手摺り装着式運搬機を提供する。 【解決手段】 通行部３に設けられた手摺り１を利用し
て走行できるようにした手摺り装着式運搬機であり、手
摺り１の上縁に載置する２組の滑車１３、１４を２組の
フレーム部１１、１２で夫々回転可能に保持し、このフ
レーム部の下方には手摺り１より下部に存するガード２
を挟持するようにガイド部１５、１６が設けられ、フレ
ーム部１１、１２同士を所定間隔離した状態で連結部２
１で連結すると共に回動部１９を介して荷台２０を載置
し、フレーム部１１、１２及び荷台２０の内少なくとも
一方にワイヤ２４を取り付け、このワイヤーを引張して
走行させるようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は手摺りに装着して使
用する運搬機に関し、更に詳細には通行部に設けられた
通行者用の手摺りを利用して荷物の運搬ができるように
工夫された簡易な運搬機に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、トンネルの施工や建設中の建造
物の階段を施工する場合等には、通行部に通行者のため
の仮設又は恒久の手摺りを設ける場合が多い。このよう
な現場では、資材やセメント袋等の搬送が大量になされ
ているのが普通であり、当然前記した通行部を利用して
これらの搬送が行われる場合も多い。

【０００３】このような場合、従来では人力で資材等を
運んでいるが、現場によっては小型の汎用機器又はそり
等を使用して搬送することも行われている。この小型の
汎用機は、具体的にはキャタピラで階段を走行するもの
が知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人力で
搬送する場合には、資材類の重量や搬送距離によっては
困難となることもある。特に、数百段の階段ともなれば
人力で搬送するには大変な労力を要する。

【０００５】他方、小型の汎用機器では、通行部の曲が
り角での方向転換が難しく、また、階段のステップ長さ
が大きい場所（傾斜が緩い場所）ではキャタピラ長がス
テップ長に足りなくなる事態が起こり円滑な走行が困難
となる場合がある。

【０００６】また、そりを使用することもあるが、車輪
式と異なり方向性が定まらないため、常時作業員が付き
添って方向を修正しなければならない。しかし、積載の
結果重量物となっているそりの近くに作業員を配置させ
ておくことは、安全性の面から好ましいことではない。

【０００７】しかも、ワイアでそりを引き上げるもので
あるためワイヤが階段と接触し双方が摩耗する虞れがあ
る。また、通行部の曲がり角ではワイヤの取り回しが困
難となる。このように、汎用機器やそりを使用して搬送
した場合にも種々の問題が生じ、採用が困難であった。

【０００８】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解
決するためになされたもので、通行部に設けられた手摺
りを利用して資材等を機械的に搬送することのできる簡
易な運搬機を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は手摺り装着式運
搬機であり、前述した技術的課題を解決するために以下
のように構成されている。すなわち、本発明の手摺り装
着式運搬機は、通行部に設けられた手摺りの上縁に載置
される少なくとも２つの滑車と、前記各滑車をそれぞれ
回転可能に保持する下端開放のフレーム部と、このフレ
ーム部の下方に延出され、前記手摺りの下部に存するガ
ードを挟持するよう設けられたガイド部と、前記フレー
ム部同士を所定間隔離した状態で連結する連結部と、前
記各フレーム部に回動部を介して載置された荷台と、前
記フレーム部及び荷台の内少なくとも一方に取り付けら
れたワイヤとを備えていることを特徴とする。以下、こ
の発明の重要な構成要素について更に説明する。

【００１０】手摺り１は、作業員が通行部３を通る際の
安全のために設けられたもので、通常は丸パイプや角パ
イプで作られているが、特に好適なのは丸パイプであ
る。また、ガード２は手摺り１よりも下方に手摺り１と
平行に設けられるもので、作業員が足を踏み外した場合
でも外部に落下しないようにするためのものである。丸
パイプや角パイプが好適であるが作業員が直接触れるも
のではないためＬアングル等の使用も可能である。

【００１１】通行部３は作業員が実際に通行する部分で
階段や踏み板となっている。滑車１３、１４は手摺り１
上を走行するものであり、その走行面は手摺り１の断面
と一致するような断面となっていることが望ましい。各
フレーム部１１、１２は滑車１３、１４の車軸を支持す
るためのもので、例えば、鉄板をコ字状あるいは箱状に
形成したものが好適である。

【００１２】ガイド部１５、１６はフレーム部１１、１
２から下方へ延出したもので、滑車１３、１４の転倒を
防ぐ作用がある。連結部２１は前後のフレーム部１１、
１２を連結するためのもので、水平方向に曲げることが
できる屈曲部を設けるのが望ましい。回動部１９はフレ
ーム部１１、１２と荷台２０を接続するもので、フレー
ム部１１、１２に自由度を与えて手摺り１のカーブ部分
でも滑車１３、１４の走行を円滑にするためのものであ
る。

【００１３】荷台２０は、資材等を積載する部分でカゴ
状あるいは箱状となっている。更に、前記ガイド部１
５、１６は具体的に以下の場合であっても成立する。そ
の具体的要素とは、前記ガイド部１５、１６に、ガード
２へ当接して回転するローラー１８を設けることであ
る。

【００１４】ローラー１８は、ガード２に直交する軸で
回転自在に保持されている。装置全体が多少上下しても
ガード２から外れないよう幅を広くしてある。なお、ガ
ード２に損傷を与えないよう表面を柔軟性材料を覆うと
よい。

【００１５】このように構成された本発明の手摺り装着
式運搬機によると、少なくとも２つの滑車１３、１４は
正確に手摺り１上をトレースしながら運転されるため搬
送の無人化が可能となる。また、手摺り１が屈曲した曲
がり角でも各滑車１３、１４が別々な方向を向き走行に
影響を与えない。そしてワイヤ２４は通行部３と十分に
離すことができることから、双方が接触して損傷するこ
ともない。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の手摺り装着式運搬
機を図１ないし図３に示される実施形態について更に詳
細に説明する。本実施形態はダム工事において、途中勾
配が変動する４００段の階段で構成される通行部３に適
用したものである。

【００１７】この通行部３を構成する階段の両側には丸
パイプ製の手摺り１が設けられ、この手摺り１より下方
には手摺り１と平行にガード２が設けられている。な
お、このガード２も丸パイプ製となっている。このよう
な通行部３に設けられた手摺り１を利用して本発明の一
実施形態に係る運搬機１０が走行し得るように構成され
ている。すなわち、この手摺り１の上縁に本実施形態の
運搬機１０が着脱可能に載置される。

【００１８】この運搬機１０は、開放部を下に向けたコ
字形のフレーム部１１、１２を２組備えて構成され、各
フレーム部１１、１２の内部には夫々滑車１３、１４が
回転自在に軸支されている。この滑車１３、１４は、各
フレーム部１１、１２を手摺り１の上に被せるように装
着する時、図２に示されるように手摺り１の上面に載置
されて走行するものである。

【００１９】このフレーム部１１、１２の両側板にはガ
イド部１５、１６がボルト１７により固定されている。
このガイド部１５、１６は長方形の箱型をなしており、
内部にはローラー１８が配置され、これらのローラー１
８は、ガード２の長手方向と直交する方向に向いた回転
軸により図２に示されるようにガード２を両側から挟持
するように軸支され、運搬機の走行に伴って回転するよ
うになっている。

【００２０】これらのローラー１８の表面にはゴムが張
ってあり、ガード２の塗装を保護すると共に走行時の異
音も防止するようになっている。そして、ローラー１８
は図示のように幅広となっており、装置全体が多少上下
してもローラー１８がガード２から外れないようにして
ある。

【００２１】フレーム部１１、１２の上面には、回動部
１９が回動自在に取り付けられ、この回動部１９を介し
て荷台２０が設けられている。従って、荷台２０を介し
て２つのフレーム部１１、１２が回動自在に連結された
状態となっている。同時に、フレーム部１１、１２同士
は、連結部２１によっても所定間隔離した状態で連結さ
れている。

【００２２】この連結部２１は水平方向に屈曲するよう
中央部に垂直な枢軸２２が設けられていると共に、連結
部２１の基端部は枢軸２２とは直角方向、即ち、垂直方
向に屈曲する水平軸２３で支持されている。フレーム部
１１には２本のワイヤ２４が取り付けてられており、図
示しないウインチに連結されている。

【００２３】前記した構成において、実際に使用するに
あたっては、図１に示されるように連結部２１及び荷台
２０で連結された２組のフレーム部１１、１２を手摺り
１に被せるように装着すると、２つの滑車１３、１４は
手摺り１上に載る。そして、荷台２０上に適宜資材等を
載せた上でウインチを起動する。

【００２４】すると、滑車１３、１４は正確に手摺り１
上をトレースしながら上方へと移動する。このとき図３
に示されるように、手摺り１が屈曲した曲がり角でもフ
レーム部１１、１２が開放部を下に向けたコ字形を呈し
ているため、フレーム部１１、１２に対する手摺り１の
実質的な角度変更が許容され、その結果走行に影響を与
えることはない。

【００２５】実際の装置では高低差のある２５０メート
ルの階段部を９分で往復させることができた。例えば、
土のう３５０袋のコンクリートガラ搬出が１．２５日
（７人工）で済み、３．７ｔの資機材搬入が１．００日
（１０人工）で済んだ。これにより大幅な省人化が可能
となった。

【００２６】なお、ワイヤ２４は手摺り１近傍に位置し
ているため、手摺り１のカーブ部分においても、別段人
手を煩わせることはないが、カーブ半径が小さい場合等
では別途ワイヤ２４のガイドを設けてもよい。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の手摺り装
着式運搬機によれば、少なくとも２つのフレーム部に夫
々滑車を設け、これら２つのフレーム部を連結すると共
にこれらに荷台を取り付け、各滑車を手摺りの上縁に回
転自在に載置するようにフレーム部を手摺りに装着して
使用できるようにしたので、手摺りの曲がり角において
も円滑に走行させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態である手摺り装着式運搬機
を手摺り上に載せた状態で示す側面図である。

【図２】本発明の一実施形態である手摺り装着式運搬機
を手摺り上に載せた状態で示す正面図である。

【図３】本発明の一実施形態である手摺り装着式運搬機
を屈曲した手摺り上に載せた状態で示す側面図である。

【符号の説明】 １ 手摺り ２ ガード ３ 通行部 １０ 手摺り装着式運搬機 １１、１２ フレーム部 １３、１４ 滑車 １５、１６ ガイド部 １８ ローラー １９ 回動部 ２０ 荷台 ２１ 連結部 ２２ 枢軸 ２３ 水平軸 ２４ ワイヤ

フロントページの続き (72)発明者 赤川 久二 栃木県黒磯市島方658 株式会社赤川索道 内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通行部に設けられた手摺りの上縁に載置
   される少なくとも２つの滑車と、前記各滑車をそれぞれ
   回転可能に保持する下端開放のフレーム部と、このフレ
   ーム部の下方に延出され、前記手摺りの下部に存するガ
   ードを挟持するよう設けられたガイド部と、前記フレー
   ム部同士を所定間隔離した状態で連結する連結部と、前
   記各フレーム部に回動部を介して載置された荷台と、前
   記フレーム部及び荷台の内少なくとも一方に取り付けら
   れたワイヤとを備えていることを特徴とする手摺り装着
   式運搬機。
2. 【請求項２】 前記ガイド部が前記ガードへ当接して回
   転するローラーを備えていることを特徴とする請求項１
   に記載の手摺り装着式運搬機。