JPH10170523A - 走査型プローブ顕微鏡および走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡および走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー

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JPH10170523A
JPH10170523A JP8332323A JP33232396A JPH10170523A JP H10170523 A JPH10170523 A JP H10170523A JP 8332323 A JP8332323 A JP 8332323A JP 33232396 A JP33232396 A JP 33232396A JP H10170523 A JPH10170523 A JP H10170523A
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JP8332323A
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Takuma Yamamoto
▲琢▼磨 山本
Hiroyuki Sugimura
博之 杉村
Nobuyuki Nakagiri
伸行 中桐
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】試料表面におけるエバネッセント光の強度の2
次元分布を、高感度かつ高空間分解能で検出する手段を
備えた走査型プローブ顕微鏡を提供する。 【解決手段】試料を搭載するための支持体と、カンチレ
バー81と、カンチレバーの先端を試料上で走査させる
走査手段と、カンチレバーの先端が位置する領域の光強
度を検出するための検出手段とを有する。カンチレバー
81は、探針27とレバー部26を有し、探針27は、
少なくとも一層の導電体膜23と、光導電体膜24を備
える。検出手段は、導電体膜と光導電体膜とを構成要素
の一部とした共振回路と、共振回路の共振周波数の変化
を検出する検出回路とを有する。この構成では、カンチ
レバーの先端が位置する領域の光強度によって、光導電
体膜の導電率が変化する。この導電率の変化を共振周波
数の変化として、検出回路が検出する。これにより、試
料上のエバネッセント光等の2次元分布像が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】先端の鋭い探針により試料表面を走査す
ることで、試料表面の情報を原子レベルの高空間分解能
で検出する技術として、様々なタイプの走査型プローブ
顕微鏡が提案されている。走査型プローブ顕微鏡の代表
的なものとしては、探針と試料との間のトンネル電流を
利用して、試料表面の凹凸画像を得る走査型トンネル顕
微鏡(STM)や、探針と試料との間に働く微小な力を
使用して試料表面の凹凸画像を得る原子間力顕微鏡(A
FM)がよく知られている。また、探針と試料との間の
静電容量を計測する走査型容量顕微鏡や、試料表面にお
けるエバネッセント光の強度をプローブを用いて検出す
ることにより光の波長以下の空間分解能で光の情報を得
る走査型近接場顕微鏡も知られている。
【0003】走査型静電容量顕微鏡は、上述の原子間力
顕微鏡(AFM)の機能を利用して、探針を試料表面に
走査させながら、探針と試料との間の静電容量の情報を
取得する。静電容量情報の検出は、探針と試料との間の
キャパシタンス変化をLC共振器の共振周波数変化とし
て検出するキャパシタンスセンサーによって行う。
【0004】また、走査型近接場顕微鏡は、試料の裏面
から全反射するような条件で試料にレーザー光を照射
し、これによって試料表面にエバネッセント光を生じさ
せる。そして、先端が鋭くとがったプローブを試料表面
に近接させ、プローブ先端から光を取り込んでその強度
を検出する。この光の強度を、試料上の位置に対応させ
ることにより、試料表面のエバネッセント光のイメージ
像を得るものである。これにより、回折限界を越える分
解能で試料像を観察できる。走査型近接場顕微鏡は、例
えば、Japanese Journal of Applied Physics Vol. 30,
2107 (1991)に記載されている。なお、プローブとして
は、先端に数十ナノメートルの微小な開口を有し、この
部分以外を金属でコートしたガラス製の光ファイバー
や、先端を鋭くとがらせた誘電体等が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】走査型近接場顕微鏡で
は、プローブの先端から取り込んだ光を、探針の先端か
ら離れたところに配置される検出器まで導いて検出しな
ければならないため、光信号にノイズがのる原因とな
る。また、これを避けるために、プローブにフォトダイ
オード等の光検出機構を作り込もうとすると、プローブ
の素材や、特殊で微小な大きさを考えると非常に困難で
ある。また、先端に微小な開口を有する光ファイバー等
のプローブを安定して作製するのは困難である。
【0006】本発明は、以上の点を顧みたものであり、
試料表面におけるエバネッセント光の強度の2次元分布
を、高感度かつ高空間分解能で検出する手段を備えた走
査型プローブ顕微鏡を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、以下のような走査型プローブ顕微
鏡が提供される。
【0008】すなわち、試料を搭載するための支持体
と、カンチレバーと、前記カンチレバーの先端を試料上
で相対的に走査させる走査手段と、前記カンチレバーの
先端が位置する領域の光強度を検出するための検出手段
とを有し、前記カンチレバーは、探針とレバー部を有
し、前記探針は、導電体膜と、光導電体膜とを備え、前
記検出手段は、前記導電体膜と光導電体膜とを構成要素
の一部とした共振回路と、前記共振回路の共振周波数の
変化を検出する検出回路とを有することを特徴とする走
査型プローブ顕微鏡である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態の走
査型プローブ顕微鏡について説明する。
【0010】まず、本発明の第一の実施の形態の走査型
プローブ顕微鏡の構成について、図8、図9を用いて説
明する。
【0011】本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡は、
図8のように、試料83を搭載するための石英板92
と、これに対向するように配置される探針付きカンチレ
バー81とを有する。カンチレバー81は、積層型ピエ
ゾ素子82を介して、3次元駆動機構85により支持さ
れている。カンチレバー81の詳しい構造は後述する。
3次元駆動機構85には、カンチレバー81に光を照射
するための半導体レーザー86が取り付けられている。
また、カンチレバー81で反射される光の光路上には、
2分割光検出器87が配置されている。2分割光検出器
87には、ロックインアンプ88が接続されている。
【0012】積層型ピエゾ素子82は、カンチレバー8
1を試料83の表面に対して垂直方向に伸縮方向を有す
る素子であり、その伸縮を制御する電圧信号を入力する
ために、信号発生装置84が接続されている。また、カ
ンチレバー81は、銅線89によりキャパシタンスセン
サー90に接続されている。キャパシタンスセンサ90
の詳しい構成は後述する。キャパシタンスセンサ90に
は、ロックインアンプ91が接続されている。
【0013】一方、試料83を支持する石英板92は、
ホルダー93に搭載されている。石英板92の裏面側か
ら対物レンズ94および光源95が配置されている。対
物レンズ94と光源95との間には、光チョッパー96
が配置されている。
【0014】なお、ロックインアンプ88、91には、
それぞれ予め設定した周波数の参照信号を入力するため
に信号発生装置84が接続される。また、光チョッパー
96にも、予め設定した周波数の動作指示信号を入力す
るために信号発生装置84が接続される。
【0015】また、ロックインアンプ88、91、3次
元駆動機構85、および、信号発生装置84には、制御
装置97が接続されている。ここで、本実施の形態で用
いるカンチレバー81およびキャパシタンスセンサ90
の構成について図2、図3を用いて説明する。
【0016】カンチレバー81は、図2に示されるよう
にパイレックスガラスの支持体21と、この支持体21
に片持ち支持されるレバー部26と、レバー部26の先
端に成形される探針27とからなる。レバー部26およ
び探針27は、窒化シリコン膜22、金属膜23、光導
電体膜24の積層体によって形成されている。金属膜2
3は、厚さ2nmのニッケルクロム膜と厚さ30nmの
金膜との積層膜からなる。また、光導電体膜24は、厚
さ30nmのセレン化カドミウム膜である。
【0017】光導電体膜24は、光が照射されない時は
絶縁体であるため、この状態では、カンチレバーの金属
膜23は、周囲の導体との間に、図3中の(ア)にしめ
したようにある量のキャパシタンスを形成している。
【0018】一方、探針27の先端の領域25が、試料
83のエバネッセント領域内に位置するときには、領域
25に光が照射されることにより、領域25は導体とし
て振る舞う。よって、金属膜23と周囲の導体との間の
キャパシタンスは、図3中の(イ)で示されるように導
電性の領域25のために増加する。
【0019】この金属膜23と周囲の導体との間に形成
されるキャパシタンスの変化を、LC共振回路34のリ
アクタンス(L)31の変化として検出するために、図
3のように、発振回路33と、共振回路34と、検波回
路35とによりキャパシタンスセンサ90を構成してお
く。共振回路34のリアクタンス31と、金属膜23と
は、図8で説明したように導線89により接続する。
【0020】カンチレバー81の探針27の先端に試料
83のエバネッセント光があたると、共振回路34の一
部を構成する金属膜23と周囲の導体との間のキャパシ
タンスが変化し、共振回路34の共振周波数がシフトす
る。これにより、発振回路33で発生した高周波のう
ち、検波回路35に伝わる高周波の振幅が変化する。検
波回路35は、これを電圧の変化に変換し、ロックイン
アンプ91へ出力する構成である。
【0021】つぎに、本実施の形態の走査型プローブ顕
微鏡によって、試料83の光強度の分布を検出する際の
動作について説明する。
【0022】図2の形状のカンチレバー81は、上述の
ように、積層型ピエゾ素子82に取り付けられている。
なお、図2のカンチレバー81の共振周波数は、本実施
の形態では、39kHzである。積層型ピエゾ素子82
には信号発生装置84から、カンチレバー81の共振周
波数39kHz付近の周波数ω1(本実施の形態では、
ω1=40kHz)の交流電圧信号が供給される。これ
により、ピエゾ素子82は、周波数ω1で伸縮し、これ
にともないカンチレバー81は、試料83に対して垂直
方向に振動する。試料83としては、例えば高分子膜を
用いる。カンチレバー81および積層型ピエゾ素子82
は、3次元駆動機構85により、試料83に対して3次
元的に変位される。なお、信号発生装置84の出力する
周波数および3次元駆動機構85の動作は、制御装置9
7により制御されている。
【0023】一方、カンチレバー81には、半導体レー
ザー86からレーザ光が照射され、その反射光の位置を
2分割光検出器87によって検出することにより、カン
チレバー81のレバー部26の振動振幅が検出される。
カンチレバー81は、周波数ω1で振動しているため、
レバー部26の振動のうち周波数ω1の成分の振動振幅
を、ロックインアンプ88により計測する。ロックイン
アンプ88には、信号発生装置84から周波数ω1の参
照信号が入力される。
【0024】カンチレバー81の探針27が、試料83
に近接すると、探針と試料83との間に働く力のために
カンチレバー81の振動振幅は、小さくなるので、制御
装置97は、ロックインアンプ88の出力する振動振幅
が一定になるように3次元駆動機構85のZ方向(試料
と垂直方向)の駆動量をフィードバック制御しながら、
XY方向(試料と水平方向)に走査する駆動信号を出力
する。これにより、カンチレバー81の探針27の先端
と試料83とを一定の間隔を保った状態で、探針27に
より試料83表面を走査させる。カンチレバー81の金
属膜23は、上述のように銅線89によりキャパシタン
スセンサー90の共振回路34のリアクタンス31に接
続されている。
【0025】試料83は、透明な石英板92上に載せら
れ、ホルダー93により支持されている。試料83に
は、石英板92を通して対物レンズ94より水銀ランプ
の光源95からの光が光チョッパー96により周波数ω
2(本実施の形態では、ω2=100kHz)で強度変
調されて照射される。これにより、試料83の表面に
は、周波数ω2で強度変調されたエバネッセント光が生
じる。なお、光チョッパー96には、強度変調の周波数
を指示するための周波数ω2の信号が、信号発生装置8
4から入力されている。
【0026】試料83のエバネッセント光の強度は、試
料83表面からの距離が増加するにつれて急激に減少す
る。この様子を図9に示す。よって、カンチレバー81
の振動により、探針27先端と試料83との間の距離が
d1とd2の間で周波数ω1で変化したとき、探針27
の先端の光導電体膜24の領域25に照射される光の強
度は、図9のa1とa2の間で周波数ω1で変化する。
これにより、図3の(イ)の金属膜23と周囲の導体と
の間のキャパシタンスの間の領域25の誘電率が、周波
数ω1で変化する光の強度に応じて変化するため、金属
膜23と周囲の導体との間のキャパシタンスが周波数ω
1で変化する。よって、周波数ω1でのキャパシタンス
変化をキャパシタンスセンサ90で検出することによ
り、エバネッセント光の強度を検出できる。
【0027】ところが、金属膜23と周囲の導体との間
のキャパシタンスの変化は、この光導電体膜24の誘電
率の変化によるもの以外に、カンチレバー81の振動に
よる金属膜23と周囲の導体との距離の変化によっても
生じる。しかも、これら両者のキャパシタンスの変化の
周波数は、いずれもカンチレバー81の振動の周波数ω
1と等しい。したがって、単に、周波数ω1のキャパシ
タンス変化をキャパシタンスセンサ90で検出した場合
には、エバネッセント光強度の変化によるキャパシタン
スの変化と、導体の距離の変化によるキャパシタンスの
変化とを分離することができない。そこで、本実施の形
態では、試料83に照射する光を周波数ω2で変調させ
て、ω2−ω1の成分を検出することにより、この問題
を解決する。
【0028】すなわち、試料83に照射する光を周波数
ω2で変調しているため、探針27先端に照射される光
の強度は、ある定数Aを用いて、 Asin(ω1・t)・sin(ω2・t) と表される。これは、 (A/2)・{sin(ω1+ω2)tーcos(ω1
ーω2)t} と変形される。探針27先端への光の照射以外の要因に
よる周波数ω1でのキャパシタンス変化は、試料83に
照射する光強度の変調では変調されないのでω1とω2
の和成分ならびに差成分には寄与しない。よって、金属
膜23と周囲の導体との間のキャパシタンス変化のう
ち、ω2−ω1の成分を検出することにより、試料83
のエバネッセント光の強度の変化によるキャパシタンス
変化のみを検出できる。
【0029】具体的には、本実施の形態では、ω1=4
0kHz、ω2=100kHzとしているので、キャパ
シタンスセンサー90の出力信号のうち、ω2ーω1=
60kHzのキャパシタンス変化をロックインアンプ9
1により検出する。なお、キャパシタンスセンサ90の
発振回路33の発振周波数は、ω1、ω2のいずれより
も十分に高い周波数である必要があるため、本実施の形
態では、発振回路33の発振周波数を1GHzにしてい
る。ただし、ω1およびω2の周波数はこれに限られる
ものではない。また、ω1をω2よりも高い周波数と
し、ω1ーω2成分での変化を検出することも可能であ
る。また、ω1+ω2成分での変化を検出することも可
能であるし、ω1とω2の和成分と差成分での変化を同
時に検出することも可能である。
【0030】制御装置97は、ロックインアンプ91の
出力を、三次元駆動機構85に出力した試料83のXY
方向の位置信号と対応させることにより、試料83表面
でのエバネッセント光の強度分布を表す画像を作成し、
不図示の表示装置に出力する。これによって、試料83
の表面でのエバネッセント光の強度分布を表す画像が得
られる。
【0031】また、制御装置97は、信号発生装置84
がロックインアンプ88、ロックインアンプ91、ピエ
ゾ素子82のそれぞれに出力する信号の周波数を設定す
る。
【0032】なお、石英板からの透過光が、測定に悪影
響を及ぼす場合には、石英板をプリズムとして、全反射
条件を満たす角度で光を光源からガラスプリズムに入射
させる構成とすることができる。
【0033】なお、本実施の形態では、カンチレバー8
1として、図2に示す構成のものを用いたが、図1のよ
うに、光導電体膜24と金属膜23との間に、絶縁膜1
4を備えた構成のカンチレバーを用いることもできる。
この場合にも、キャパシタンスセンサー90の構成を変
化させることなく、同様にエバネッセント光の分布を検
出することができる。
【0034】次に、本発明の第2の実施の形態の走査型
プローブ顕微鏡について説明する。
【0035】第2の実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
は、試料102を搭載するための石英板109と、試料
に対向するように配置されるカンチレバー101とを有
する。カンチレバー101は、ホルダー105に保持さ
れている。ホルダー105には、3次元駆動機構106
が取り付けられている。ホルダー105には、カンチレ
バー101に光を照射するための半導体レーザー107
が取り付けられ、カンチレバー101により反射された
光の光路上には、2分割光検出器108が配置されてい
る。石英板109は、ホルダー110に保持されてい
る。石英板109の裏面側には、対物レンズ111と、
光チョッパー113と、光源112と順に配置されてい
る。カンチレバー101は、銅線103によりキャパシ
タンスセンサ104に接続されている。キャパシタンス
センサ104は、ロックインアンプ114に接続され、
ロックインアンプ114は、制御装置115に接続され
ている。ロックインアンプ114は、光チョッパー11
3にも接続されている。また、2分割光検出器108
も、制御装置115に接続されている。
【0036】カンチレバー101の詳しい構成について
説明する。本実施の形態では、図4に示されるカンチレ
バーを用いている。すなわち、カンチレバー101は、
シリコンの支持体41と、レバー部49と、探針48と
からなる。レバー部49は、窒化シリコン膜42と光導
電体膜44を積層体により形成され、探針48は、光導
電体膜44により形成されている。支持体41の裏面に
は、窒化シリコン膜46が形成されている。カンチレバ
ー101全体は、金属膜43、45により全体が覆わ
れ、探針48の先端の金属膜45に微小開口47が設け
られている。窒化シリコン膜42は、厚さ0.7μmで
あり、金属膜43は、厚さ2nmのニッケルクロム膜
と、厚さ200nmの金膜の積層膜である。また、光導
電体膜44は、厚さ30nmのカドミウムセレン膜であ
り、金属膜45は、厚さ20nmのアルミニウム膜であ
る。
【0037】ここで、カンチレバー101の製造工程を
図7により説明するが、膜厚等の各パラメータはこれに
限定されるものではない。
【0038】まず、支持体41となる厚さ250μmの
(100)方位のシリコンウェハーの両面に、LPCV
Dにより0.7μmの窒化シリコン膜42、46を成膜
する。そして、探針48を形成するために、6μm角の
開口72をフォトリソグラフィー法により表の窒化シリ
コン膜42に形成する。開口72によりむき出しになっ
たシリコンはTMAH(テトラメチルアンモニウムハイ
ドロオキサイド)により異方性エッチングし、ピラミッ
ド型のピットを作成する。(図7(a))。その後、ピ
ラミッド型のピットの部分のシリコンを熱酸化する(図
7(b))。表の窒化シリコン膜42をフォトリソグラ
フィー法により再びパターンニングし、ピットが先端に
くるようにカンチレバー49を形成する。また、支持体
41の部分以外の余分なシリコンをエッチングするため
に、裏面の窒化シリコン膜46にもパターンニングを施
す(図7(c))。光導電体膜44および金属膜43を
パターンニングするためのレジストパターンをフォトリ
ソグラフィーにより形成した後、セレン化カドミウムに
より光導電体膜42を蒸着し、さらに、厚さ2nmのニ
ッケルクロム膜と厚さ200nmの金膜を蒸着すること
により金属膜43を形成する(図7(d))。支持体4
1が、レバー部49を片持ち支持するように、KOHに
より余分なシリコンをエッチングした後、探針48側よ
り、アルミニウムを厚さ20nmを蒸着し、金属膜45
を形成する(図7(e))。最後に、微小開口47を形
成するために、導電性を有する試料に探針48接触さ
せ、この状態で金属膜45と試料間にパルス電圧を印加
することにより、金属膜45に微小開口47を形成す
る。微小開口47は、数十ナノメートル以下の大きさの
ものが形成可能である。
【0039】このような構成のカンチレバー101は、
探針48の先端に光が照射されると、光導電体膜44の
うち、微小開口47から光が照射された領域は、導電性
を持ち金属膜43と金属膜45とが電気的に導通し、金
属膜43と金属膜45との間のインピーダンスが変化す
る。したがって、キャパシタンスセンサー104を、図
6に示すような、発振回路61、共振回路62、検波回
路63を有する構成にしておき、カンチレバー101の
金属膜43を共振回路62に接続しておくことで、探針
48への光の照射を、共振回路62の共振周波数の変化
として検出することが出来る。
【0040】つぎに、図10の走査型プローブ顕微鏡を
用いて、試料102のエバネッセント光の強度分布を検
出するための動作について説明する。
【0041】カンチレバー101の金属膜44は、上述
のように銅線103によりキャパシタンスセンサー10
4の共振回路62に接続されている。また、金属膜45
はキャパシタンスセンサー104のアースと接続されて
いる。カンチレバー101は、セラミックのホルダー1
05を介して3次元駆動機構106に取り付けられてお
り3次元駆動機構106により例えばグレーティングの
ような試料102に対して走査される。カンチレバー1
01のレバー部49には、半導体レーザー107からレ
ーザ光が照射され、その反射光の位置を2分割光検出器
108により検出することにより、カンチレバー101
の撓みが検出される。制御装置115は、撓み量が一定
になるように3次元駆動機構106のz方向の駆動量を
フィードバック制御することにより、カンチレバー10
1の探針の先端を、試料102に対して一定の力で接触
させながら走査させる。
【0042】試料102は、透明な石英板109上に乗
せられており、ホルダー110により支持されている。
試料102には石英板109通して、対物レンズ111
より光源112からの光が照射される。光源112とし
ては水銀ランプ等の白色光源を用いてもよく、またレー
ザーのように特定の波長の光のみを発する光源を用いて
もよい。光源112から試料102に照射される光はチ
ョッパー113により周波数ωで強度変調されているた
め、探針48の先端のエバネッセント光の強度は周波数
ωが変化する。よって、金属膜43、45間のキャパシ
タンスの変化を、キャパシタンスセンサ104の検波回
路63の電圧信号として検出し、ロックインアンプ11
4で周波数ωの成分を検出することにより、エバネッセ
ント光の強度を検出することができる。制御装置115
は、このエバネッセント光強度を、3次元駆動機構10
6に出力した試料のXY方向の位置信号と対応させるこ
とにより、試料102上のエバネッセント光強度の分布
を表す2次元画像を作成し、不図示の表示装置に出力す
る。これにより、試料表面のエバネッセント光の強度分
布を表す画像が得られる。
【0043】なお、半導体レーザー107からの光が、
エバネッセント光の測定に悪影響を及ぼす場合には、半
導体レーザー107およびフィードバック機構を切っ
て、高さ一定モードによりカンチレバー101を試料1
02上で走査させながら測定を行ってもよい。
【0044】また、第2の実施の形態では、図4の構成
のカンチレバー101を用いたが、図5のように、金属
膜45の代わりにITO、SnO2、ZnO等の透明導
電膜50を備えたカンチレバーを用いることも可能であ
る。この場合、透明導電膜48をエバネッセント光が透
過するので、探針48の先端に微小開口47を設ける必
要はない。なお、図5のカンチレバーの作製プロセス
は、図7に示されるプロセスと同様である。
【0045】上述してきたように、第1、第2の実施の
形態では、探針の先端を試料と一定の位置関係に保った
状態で、試料表面のエバネッセント光の光強度の分布を
検出できるため、光強度の2次元分布を高分解能に検出
することができる。また、本実施の形態では、従来の走
査型近接場顕微鏡と異なり、カンチレバーで光強度の変
化をキャパシタンスの変化という電気特性の変化に変換
しているため、光を伝搬する必要がなく、ノイズがのり
にくい。よって、光強度の分布を高感度に検出できる。
しかも、光強度を電気特性の変化に変換するために、受
光素子等を用いず、光導電体による誘電率変化を利用し
てキャパシタンスに変化に変換し、これを共振周波数の
変化として検出しているため、カンチレバーおよびキャ
パシタンスセンサの構成が簡単である。
【0046】また、カンチレバーをフォトリソグラフィ
の工程で製造できるため、製造が容易であり、安定して
量産することが可能である。
【0047】なお、第1の実施の形態では、図1、図2
のカンチレバーを用いたが、これらの代わりに図3、図
4のカンチレバーを用いることが可能である。同様に、
第2の実施の形態の走査型プローブ顕微鏡に、図1、図
2のカンチレバーを用いることも可能である。
【0048】なお、第1、第2の実施の形態で、カンチ
レバー81、101を構成する金属膜、絶縁膜、光度電
体膜、透明導電膜の材質は、上述した材質に限られるも
のではない。例えば、金属膜としてチタンや銅を用いて
もよく、絶縁体膜として窒化シリコン等を用いてもよ
い。また、光導電体膜として酸化鉛、アモルファスS
i、フタロシアニンに代表される有機半導体等を用いて
もよい。
【0049】また、第1、第2の実施の形態では、試料
83、102のエバネッセント光の分布を測定する場合
について説明したが、本実施の形態の走査型プローブ顕
微鏡では、試料表面近傍の光の分布を検出できるので、
エバネセント光に限らず、試料83、102の透過光の
分布についても検出することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明により、試料表面におけるエバネ
ッセント光もしくは透過光の強度の2次元分布を高感度
かつ高空間分解能で検出することのできる走査型プロー
ブ顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
で用いられるカンチレバーの形状を示す断面図。
【図2】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
で用いられるカンチレバーの形状を示す断面図。
【図3】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
のキャパシタンスセンサーの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
で用いられるカンチレバーの形状を示す断面図。
【図5】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
で用いられるカンチレバーの形状を示す断面図。
【図6】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
のキャパシタンスセンサーの構成を示すブロック図。
【図7】(a),(b),(c),(d),(e)図4のカンチレバーの製
造工程を示すための断面図。
【図8】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微鏡
の工程を示すブロック図。
【図9】試料表面におけるエバネッセント光の光強度と
試料表面からの距離との関係を示すグラフ。
【図10】本発明の一実施の形態の走査型プローブ顕微
鏡の工程を示すブロック図。
【符号の説明】
21、41・・支持体 22、42、46・・窒化シリコン膜 23、43、45・・金属膜 14・・絶縁体膜 24、44・・光導電体膜 25・・領域 47・・微小開口 50・・透明導電膜 81、101・・・カンチレバー 82・・・積層型ピエゾ素子 83、102・・・試料 84・・・電源 85、106・・・3次元駆動機構 86、107・・・半導体レーザー 87、108・・・2分割光検出器 88・・・ロックインアンプ 89、103・・・銅線 90、104・・・キャパシタンスセンサー 91、114・・・ロックインアンプ 92、109・・・石英板 93、105、110・・・ホルダー 94、111・・対物レンズ 95、112・・光源 96、113・・チョッパー 97、115・・制御装置。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料を搭載するための支持体と、カンチレ
    バーと、前記カンチレバーの先端を前記試料上で相対的
    に走査させる走査手段と、前記カンチレバーの先端が位
    置する領域の光強度を検出するための検出手段とを有
    し、 前記カンチレバーは、探針とレバー部を有し、 前記探針は、導電体膜と、光導電体膜とを備え、 前記検出手段は、前記導電体膜と光導電体膜とを構成要
    素の一部とする共振回路と、前記共振回路の共振周波数
    の変化を検出する検出回路とを有することを特徴とする
    走査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記共振回路は、リア
    クタンスとキャパシタンスとを有する共振回路であるこ
    とを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記共振回路は、前記
    導電体膜を前記キャパシタンスの構成要素の一部とする
    回路であることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記探針は、前記光導
    電体膜を挟んで前記導電体膜と対向する位置にさらに導
    電体膜を有することを特徴とする走査型プローブ顕微
    鏡。
  5. 【請求項5】支持体と、前記支持体に片持ち支持された
    レバー部と、前記レバー部の先端に配置された探針とを
    有し、 前記レバー部および探針は、導電体膜を有し、 前記探針の少なくとも先端部には、光導電体膜が形成さ
    れていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用カン
    チレバー。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記光導電体膜と前記
    導電体膜とは、接するように配置されていることを特徴
    とする走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー。
  7. 【請求項7】請求項5において、前記光導電体膜と前記
    導電体膜との間には、絶縁体膜が配置されていることを
    特徴とする走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー。
  8. 【請求項8】支持体と、前記支持体に片持ち支持された
    レバー部と、前記レバー部の先端に配置された探針とを
    有し、 前記レバー部および探針は、2枚の導電体膜を有し、
    前記探針の部分には、前記2枚の導電体膜の間に光導電
    体膜が配置されていることを特徴とする走査型プローブ
    顕微鏡用カンチレバー。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記探針の先端部分に
    は、前記2枚の導電体膜のうち前記試料側に位置する導
    電体膜に開口が設けられていることを特徴とする走査型
    プローブ顕微鏡用カンチレバー。
  10. 【請求項10】請求項8において、前記2枚の導電体膜
    のうち試料側に位置する導電体膜は、前記探針の先端が
    位置する領域の光を透過する特性を有する材料で形成さ
    れていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用カン
    チレバー。
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