JPH101690A - 塑性加工用固体潤滑剤及び固体潤滑層を有する塑性加工用金属板 - Google Patents

塑性加工用固体潤滑剤及び固体潤滑層を有する塑性加工用金属板

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JPH101690A
JPH101690A JP8157219A JP15721996A JPH101690A JP H101690 A JPH101690 A JP H101690A JP 8157219 A JP8157219 A JP 8157219A JP 15721996 A JP15721996 A JP 15721996A JP H101690 A JPH101690 A JP H101690A
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compound
salt
plastic working
solid lubricant
organic
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JP8157219A
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English (en)
Inventor
Koji Hashimoto
浩二 橋本
Matsuo Usuda
松男 臼田
Chihiro Masago
千弘 真砂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoeisha Chemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Kyoeisha Chemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 固体潤滑剤における種々の問題点を解決し、
潤滑性、脱脂性、耐水性、その他の特性において全体に
バランス良く優れた性能を有する水分散性皮膜形成成分
からなる塑性加工用固体潤滑剤及び上記水分散性皮膜形
成成分で形成され、優れた性能を有する固体潤滑層を備
えた塑性加工用金属板を提供する。 【解決手段】 ノニオン型高分子活性剤(A)と、防錆
剤(B)と、脂肪族系メルカプト化合物(C)を配合し
て合成され、必要に応じて配合される平均分子量800
〜8,000の有機低分子化合物(D)及び/又はその
塩(E)と、平均分子量8,000以上のカルボキシル
基を有する有機高分子化合物(F)及び/又はその塩
(G)とを含む水分散性皮膜形成成分からなる塑性加工
用固体潤滑剤であり、また、上記水分散性皮膜形成成分
で形成された固体潤滑層が金属板の片面又は両面に0.
5〜5g/m2 の膜厚で塗布されている塑性加工用金属
板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形用等の
塑性加工用固体潤滑剤及びこの固体潤滑剤を用いて形成
された固体潤滑層が塗布された塑性加工用金属板に関す
る。更に詳しくは、冷延鋼板、亜鉛等のめっき鋼板等の
鋼板やアルミニウム等の非鉄金属板に適用してプレス成
形時に良好な潤滑性を与えると共に、プレス前後の耐錆
性、雨水等に対する耐水性、特に重ね合わせ時のブロッ
キング性、脱脂性等の特性においてバランス良く改善さ
れている塑性加工用固体潤滑剤及び固体潤滑層を有する
塑性加工用金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板や非鉄金属板等の塑性加工用金属
板、中でも薄鋼板は深絞りその他のプレス成形を行うに
当たって、従来より一般的に、そのプレス成形直前に鉱
油を基油とした潤滑油を塗油する方法が採用されてい
る。しかしながら、この潤滑油の塗油工程は、プレス加
工メーカーにとっては必要欠くべからざる工程ではある
が、プレス加工装置外の設備であり、更に、金属板の種
類により潤滑油の選択を余儀なくされている工程である
ためにプレス成形工程の能率向上に対して著しい障害と
なっており、しかも、後処理工程での脱脂負荷の問題
や、プレス工程での作業環境劣化の問題や、組立工程で
の溶接作業におけるトラブルの原因等の種々の問題の原
因の一つになっている。
【0003】また、最近では、高速連続プレス機の導入
に伴ってプレスダイスやポンチの温度上昇が著しく、焼
付現象が起因となってプレス割れが頻発し、更には自動
車、家庭電気製品等においてモデルチェンジ競争が引き
金になって小部品化や難成形化が進み、塑性加工用に用
いられる潤滑剤についてはますます厳しい性能が要求さ
れる方向に進んでいる。
【0004】このような事態に対し、例えば特公昭44
−2017号、特公昭44−16774号、特公昭58
−65793号等の公報においては、潤滑剤として潤滑
性や防錆性に優れた常温で固形のワックス状物質(常温
で半固形のものも含む)が提案されており、予め鋼板製
造者側でこのワックス状物質を鋼板表面に塗布しておく
ことにより、最高の潤滑条件を満足するのみならず、プ
レス直前に潤滑剤を塗布する手間を省くことができ、鋼
板製造者側及びプレス施工者側において共に生産性向上
や省力化等の効果が大であると提唱されている。
【0005】しかしながら、これらの技術においては、
耐防錆性やプレス性及び脱脂性等において近年の要求に
は充分に応えていない。すなわち、最近の省エネや省コ
ストの技術的指向は急速であり、このために従来の耐錆
性、プレス性、脱脂性等の品質では充分でなく、例えば
脱脂性に着目してみると、脱脂浴の低温化、低濃度化、
短時間化等により従来より約3倍の脱脂性の向上が必要
になっている。
【0006】この点について、特開昭63−11269
3号や特開平1−207397号の各公報には、固体潤
滑剤においてこの脱脂性の改善を試みた提案がされてお
り、従来の固体潤滑剤と比べれば大幅な改良がされた固
体潤滑剤であるということもできるが、これら公報記載
の固体潤滑剤には、あまりにも脱脂性にのみ重点を置き
過ぎて、耐水性に不足するという別の問題がある。
【0007】すなわち、一般に薄板製造業者とプレス施
工者側とが同じであることはほとんどなく、薄板製造業
者側からプレス施工者側に対しては必ず何等かの輸送方
法によってその薄鋼板を運送する必要が生じる。このた
め、薄板製造業者により製造された薄鋼板は、これがプ
レス施工者に渡って実際にプレス成形されるまでの間
に、雨水に晒されたり、あるいは、その他の水滴が付着
し、これによって薄鋼板の表面に塗着された潤滑膜が脱
落したり、損傷することが考えられ、その結果、後のプ
レス成形工程におけるプレス性が損なわれ、ひいてはプ
レス割れという製品トラブルの原因にもなりかねない。
このために、塑性加工用潤滑剤には、使用前には耐水性
に優れていて使用後には脱脂性に優れているという相反
する性能を同時に備えていることが必要になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、上述した従来の固体潤滑剤における問題点、特にそ
の耐水性に着目しつつ、現在の有機合成化学及び高分子
化学の技術を駆使し、特開昭58−65793号公報に
開示されている高級脂肪酸の高級アルコールエステル、
高級脂肪酸のグリセライド等の固形ワックス類に対して
優れた潤滑性及び脱脂性を付与した新規なノニオン型高
分子活性剤(A)の合成に成功し、更に、このノニオン
型高分子活性剤(A)に防錆剤(B)や特定の有機低分
子化合物(D,E)及び有機高分子化合物(F,G)を
配合することにより、固体潤滑剤に要求される種々の特
性、すなわちプレス成形性、脱脂性、防錆性、ブロッキ
ング性、溶接性等を損なうことなく耐水性を有する水分
散性皮膜形成成分が得られることを見出し、本発明を完
成した。
【0009】従って、本発明の目的は、上述した従来の
固体潤滑剤における種々の問題点を解決し、潤滑性、脱
脂性、耐水性、その他の特性において全体にバランス良
く優れた性能を有する水分散性皮膜形成成分からなる塑
性加工用固体潤滑剤を提供することにある。また、本発
明の他の目的は、上記水分散性皮膜形成成分で形成さ
れ、優れた性能を有する固体潤滑層が金属板の片面又は
両面に所定の膜厚で塗布されている塑性加工用金属板を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ノ
ニオン型高分子活性剤(A)と、防錆剤(B)と、脂肪
族系メルカプト化合物(C)を配合して合成された平均
分子量800〜8,000の有機低分子化合物(D)及
び/又はその塩(E)と、平均分子量8,000以上の
カルボキシル基を有する有機高分子化合物(F)及び/
又はその塩(G)とを含む水分散性皮膜形成成分からな
る塑性加工用固体潤滑剤である。
【0011】また、本発明は、ノニオン型高分子活性剤
(A)と、防錆剤(B)と、平均分子量8,000以上
のカルボキシル基を有する有機高分子化合物(F)及び
/又はその塩(G)とを含む水分散性皮膜形成成分から
なる塑性加工用固体潤滑剤である。
【0012】そして、本発明は、上記水分散性皮膜形成
成分からなる固体潤滑層が金属板の片面又は両面に0.
5〜5g/m2 の膜厚で塗布されている塑性加工用金属
板である。
【0013】本発明において、上記ノニオン型高分子活
性剤(A)は、プレス加工性、特に絞り加工時の潤滑性
能の向上を図り、金型が損傷し難く、しかも、高い作業
能率を達成するという観点から、そのTG/DTA法に
よる融点が45℃以上、好ましくは50〜70℃であ
り、また、Karabinos法による曇数が15以
上、好ましくは16〜18である。このようなノニオン
型高分子活性剤(A)は、ノニオン型高分子活性剤が有
するポリオキシエチレン基と疎水基であるアルキル基や
アルキレン基等との相乗効果により、優れたプレス加工
性、特に絞り加工に際しての優れた潤滑特性を発揮し、
金型の損傷を可及的に抑制し、また、作業能率を著しく
向上させる。
【0014】ここで、ノニオン型高分子活性剤(A)の
TG/DTA法による融点を45℃以上としたのは、こ
のノニオン型高分子活性剤(A)を含む水分散性皮膜成
形成分により形成された固体潤滑層を有する塑性加工用
金属板が積み重ねられて輸送され、また、搬出・搬入さ
れる際における上記固体潤滑層の損傷を低減するためで
あり、もしこのノニオン型高分子活性剤(A)のTG/
DTA法による融点が45℃未満であると、形成された
固体潤滑層の融点も低くなり、積み重ねられた際に金属
板の接触面が接着して剥がれ難くなり、これを剥がす際
に固体潤滑層が損傷し、この固体潤滑層を設けた意味が
低下してしまう場合があるからである。
【0015】また、ノニオン型高分子活性剤(A)のK
arabinos法による曇数を15以上としたのは、
ポリエチレンオキサイドの鎖長を推定するこのKara
binos法による曇数の値がノニオン型高分子活性剤
(A)の潤滑性能を良く反映していると考えられたから
であり、このKarabinos法による曇数が15未
満であると、TG/DTA法による融点が45℃以上の
ノニオン型高分子活性剤を得難くなり、このTG/DT
A法による融点が45℃未満のノニオン型高分子活性剤
では、その曽田式振子型油性試験機による摩擦係数μ
(改良法)が高くなってプレス加工性、特に絞り加工に
際しての潤滑特性が悪くなる。
【0016】ここで、以下に本発明のTG/DTA法に
よる融点について説明する。一般に、化学物質の融点を
測定する方法としては、一端が溶封された直径約1mm
のガラス管内に細粉した被測定物質を入れ、この被測定
物質が充填された先端部を加熱下に所定の速度で温度上
昇中の濃硫酸浴に浸漬し、被測定物質が溶融する時の温
度を肉眼で観察して測定するキャピラリー法や、被測定
物質を2枚のプレパラート間に挟み、これを加熱しつつ
被測定物質が溶融する温度を顕微鏡で観察して測定する
顕微鏡法が行われている。
【0017】しかしながら、これらの方法は、何れも被
測定物質が溶融する温度を測定者が肉眼で観察して測定
するものであることから、時として測定者間で測定誤差
が生じていた。そこで、本発明においては、このような
測定者間の測定誤差を避けるためにこの示差熱分析器を
用いて行うDTA法を採用したものであり、測定者間の
測定誤差なくノニオン型高分子活性剤(A)の融点
(℃)を測定することができる。
【0018】また、本発明のKarabinos法によ
る曇数について説明する。エチレンオキサイド系非イオ
ン界面活性剤の構造推定、すなわちエチレンオキサイド
付加モル数の推定には、曇点の測定による方法が採用さ
れることがある。この曇点は、親水基/疎水基(重量
比)の値と特定の関係があり、エチレンオキサイドの付
加モル数が多くなるにつれて上昇する。従って、予め既
知の試料についてこの関係を求めておけば、曇点を測定
することによりエチレンオキサイドの付加モル数を推定
することができる。しかしながら、曇点については、そ
れが0℃以下になったり、あるいは、100℃以上にな
って測定できない場合がある。
【0019】そこで、本発明においては、この曇点の測
定とは別に、Karabinos法のフェノール滴定に
よる方法を採用した。この方法は、一般的にKarab
inos法による曇数の測定法として知られており、そ
の原理は、エチレンオキサイド系非イオン界面活性剤を
フェノール溶液で滴定すると乳白色を呈し、この終点の
フェノールの量(これを曇数と称する)がエチレンオキ
サイドの鎖長に関係すると考えられており、疎水基が判
っている場合には非イオン界面活性剤のエチレンオキサ
イドの鎖長を推定できる。すなわち、この曇数の値によ
ってノニオン型高分子活性剤(A)の特性が大きく変わ
るのである。
【0020】本発明において、TG/DTA法による融
点が45℃以上であって、Karabinos法による
曇数が15以上であるノニオン型高分子活性剤(A)
は、例えば、次のようにして得ることができる。
【0021】すなわち、α)炭素数8〜22のアルキル
及び/又はアルキレンアルコール、β)炭素数8〜22
の飽和及び/又は不飽和脂肪酸、γ)12−ヒドロキシ
ステアリン酸、δ)リシノール酸、ε)水添ヒマシ油、
あるいはこれら2種以上の混合物に、触媒として水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、金属ナトリウム等のアル
カリ触媒等を0.1〜1.0重量%程度加え、5kg/
cm2 程度の加圧下に100〜200℃程度の温度で、
所定量(化合物α〜δに対しては50〜250モル、化
合物εに対しては150〜750モル)のエチレンオキ
サイドを吹き込みつつ反応させ、Α)ポリオキシエチレ
ンアルキル及び/又はアルキレンエーテル、Β)ポリオ
キシエチレン飽和及び/又は不飽和脂肪酸エステル、
Γ)ポリオキシエチレン12−ヒドロキシステアリン酸
エステルエーテル、Δ)ポリオキシエチレンリシノール
酸エステルエーテル、Ε)ポリオキシエチレン水添ヒマ
シ油エーテル、あるいはこれら2種以上の混合物からな
り、融点が45℃以上であって、Karabinos法
による曇数が15以上となるようにエチレンオキサイド
が付加されたノニオン型高分子活性剤(A)を得る。な
お、ノニオン型高分子活性剤(A)の製造に用いられる
原料化合物、触媒、反応条件等は上記のものに限定され
るものではない。
【0022】また、本発明で用いる脂肪族系メルカプト
化合物(C)を配合して合成された平均分子量800〜
8,000の有機低分子化合物(D)及び/又はその塩
(E)は、本発明の水分散性皮膜形成成分からなる塑性
加工用固体潤滑剤に対して誘起極性化合物の金属表面へ
の吸着と金属表面との反応による固体潤滑膜の生成によ
る潤滑効果を付与するものであり、また、脂肪族メルカ
プト化合物(C)は、有機低分子化合物(D)及び/又
はその塩(E)に有機硫黄を含有せしめ、金属板に対す
る付着性やプレス加工時の極圧性を向上せしめてプレス
加工性を改善する。
【0023】ここで、有機低分子化合物(D)は、不飽
和ニトリル(a)とこの不飽和ニトリル(a)と共重合
可能な他の単量体との共重合体であり、この不飽和ニト
リル(a)と共重合可能な他の単量体としては、例えば
代表的には、不飽和カルボン酸(b)や不飽和カルボン
酸エステル(c)が挙げられる。
【0024】上記不飽和ニトリル(a)としては、特に
制限されるものではないが、好ましくはアクリロニトリ
ルであり、有機低分子化合物(D)に潤滑性を付与する
と共に、金属表面に対する付着性を向上させる。
【0025】そして、上記不飽和カルボン酸(b)とし
ては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸
等を挙げることができ、好ましくはアクリル酸である。
この単量体は、有機低分子化合物(D)を水溶化する上
での重要な役割をはたし、具体的には有機低分子化合物
(D)にカルボン酸を導入するものであり、この導入さ
れたカルボン酸を塩(E)にすることにより有機低分子
化合物(D)に水溶性が付与される。
【0026】また、不飽和カルボン酸エステル(c)と
しては、例えば、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、クロトン酸メチル等を挙げることができ、好ましく
はアクリル酸エチルやクロトン酸メチルである。この単
量体は、有機低分子化合物(D)の構造の構成単位とな
ってこの有機低分子化合物(D)に皮膜形成性能を与え
る。
【0027】上記有機低分子化合物(D)を製造するた
めに用いられる各単量体の配合割合は、重量換算で、不
飽和ニトリル(a)/不飽和カルボン酸(b)/不飽和
カルボン酸エステル(c)が通常20〜60/25〜7
0/0〜30の割合であり、好ましくは25〜50/3
0〜65/5〜25の割合である。ここで、不飽和ニト
リル(a)の配合割合が、20未満の場合には本発明の
有機低分子化合物(D)の塩(E)の摩擦係数が上昇し
て潤滑性が低下し、反対に、60を超える場合には有機
低分子化合物(D)の塩(E)の水への溶解性や分散性
が低下してプレス成形後の脱脂性が悪化する。また、不
飽和カルボン酸(b)の配合割合が、25未満の場合に
は有機低分子化合物(D)の塩(E)の水への溶解性や
分散性が低下してプレス成形後の脱脂性が悪化し、反対
に、70を超える場合には有機低分子化合物(D)の塩
(E)の水への溶解性が良すぎて薄鋼板の表面に形成さ
れた潤滑膜の耐水性が不良になる。更に、不飽和カルボ
ン酸エステル(c)の配合割合が、30を超える場合に
は有機低分子化合物(D)の塩(E)の摩擦係数が上昇
して潤滑性が低下すると共に、水への溶解性や分散性が
低下する。
【0028】更に、有機低分子化合物(D)及び/又は
その塩(E)の合成時に配合される脂肪族メルカプト化
合物(C)としては、例えば、炭素数4〜18のアルキ
ル又はアルキレンメルカプタン、メルカプトエタノー
ル、α−メルカプト酢酸及びβ−メルカプトプロピオン
酸が挙げられ、好ましくは炭素数8〜12のアルキルメ
ルカプタンやメルカプトエタノールである。これらは、
その1種のみを単独で用いても、また、2種以上を混合
して用いてもよい。ここで、脂肪族メルカプト化合物
(C)は、本発明の有機低分子化合物(D)を合成する
際に配合する過酸化物との併用によって、重合反応中、
レドックス重合と称せられる反応を生ぜしめると共に、
重合途中に生成する重合活性根に付加することにより、
生成した重合体の分子量を調整する役割も果たす。その
ために、脂肪族メルカプト化合物(C)は、生成した重
合体の末端に付加するとされているので、本発明の有機
低分子化合物(D)及び/又はその塩(E)に、金属へ
の極圧性を付与する有機硫黄結合を与え、本発明の固体
潤滑剤の潤滑性の一端を担うことになる。
【0029】この脂肪族系メルカプト化合物(C)の配
合割合は、上記不飽和ニトリル(a)、不飽和カルボン
酸(b)及び不飽和カルボン酸エステル(c)の総量1
00重量部に対して、通常4〜15重量部、好ましくは
5〜13重量部である。この配合割合が4重量部未満で
あると、平均分子量800〜8,000の有機低分子化
合物(D)を製造するのが著しく困難になってその製造
コストが高くなり、反対に、15重量部を越えると、生
成した有機低分子化合物の分子量が小さくなり過ぎて、
形成される固体潤滑層にブロッキングが残る。
【0030】また、上記有機低分子化合物(D)の塩
(E)を形成するための塩基性化合物としては、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニア及
び有機アミン化合物から選ばれた1種又は2種以上の混
合物が挙げられる。
【0031】上記アルカリ金属化合物としては、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げ
られ、また、アルカリ土類金属化合物としては水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等が挙げら
れ、また、アンモニアとしてはアンモニア水が好適に用
いられる。
【0032】また、有機アミン化合物としては、例えば
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プ
ロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミ
ン、ブチルアミン、ジブチルアミン及びトリブチルアミ
ン等の炭素数2〜4の直鎖アルキル基及び/又は側鎖ア
ルキル基を有するアルキルアミン類や、例えばモノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノー
ルアミン、トリイソプロパノールアミン、モノブタノー
ルアミン、ジブタノールアミン及びトリブタノールアミ
ン等のアンモニアに炭素数2〜4のアルキレンオキサイ
ドを1〜3モル付加させて得られるアルカノールアミン
類や、炭素数1〜6の直鎖、側鎖又は環状鎖のアルキル
基やアルキレン基を1〜2個有するモノアルキル及び/
又はアルキレンアミン類や、ジアルキル及び/又はアル
キレンアミンに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを
1〜2モル付加させて得られるモノアルキル及び/又は
アルキレンアルカノールアミン類や、ジアルキル及び/
又はアルキレンアルカノールアミン類が挙げられる。例
えば、モノアルキル及び/又はアルキレンアルカノール
アミン類には、N−メチルジエタノール及び/又はプロ
パノールアミン、N−エチルジエタノール及び/又はプ
ロパノールアミン、N−プロピルジエタノール及び/又
はプロパノールアミン、N−ブチルジエタノール及び/
又はプロパノールアミン、及びN−シクロヘキシルジエ
タノール及び/又はプロパノールアミンが挙げられ、ま
た、ジアルキル及び/又はアルキレンアルカノールアミ
ン類には、N、N−ジメチルエタノール及び/又はプロ
パノールアミン、N,N−ジエチルエタノール及び/又
はプロパノールアミン、N,N−ジプロピルエタノール
及び/又はプロパノールアミン、N,N−ジブチルエタ
ノール及び/又はプロパノールアミン等が挙げられる。
【0033】上記塩基性化合物において、アルカリ金属
化合物としては水酸化カリウムが好ましく、アルカリ土
類金属化合物としては水酸化カルシウムが好ましく、ま
た、アンモニアとしてはアンモニア水が好ましく、有機
アミン化合物としてはN−エチルジエタノール及び/又
はプロパノールアミン、N,N−ジエチルエタノール及
び/又はプロパノールアミン、及びN−シクロヘキシル
ジエタノール及び/又はプロパノールアミンが好まし
い。なお、以上の有機アミン化合物の説明において、
「及び/又は」の意味は、例えばN−エチルジエタノー
ル及び/又はプロパノールアミンの場合、N−エチルジ
エタノールアミン及びN−エチルジプロパノールアミン
の何れか一方又は双方という意味である。
【0034】また、有機低分子化合物(D)の塩(E)
を形成するために用いられる塩基性化合物のアルカリ金
属化合物、アンモニア及び有機アミン化合物は、この有
機低分子化合物(D)に水溶性を付与するが、アルカリ
土類金属化合物は逆にこの有機低分子化合物(D)の水
不溶性を増進する傾向がある。
【0035】そのため、塩基性化合物としてのアルカリ
金属化合物、アンモニア及び有機アミン化合物の使用量
は、有機低分子化合物(D)100重量部(固形分換
算)に対して8〜25重量部、好ましくは13〜22重
量部の範囲内であるのがよい。使用量が8重量部より少
ないと、有機低分子化合物(D)の塩(E)の水への溶
解・分散性が劣るという問題が生じ、また、25重量部
を超えると、潤滑性の低下や脱脂性の不良という問題が
生じる。
【0036】更に、塩基性化合物としてアルカリ土類金
属化合物を用いる場合には、その使用量は有機低分子化
合物(D)100重量部(固形分換算)に対して0.2
5〜25重量部、好ましくは0.5〜15重量部の範囲
内であるのがよい。0.25未満の場合には得られた有
機低分子化合物(D)及び/又はその塩(E)を用いて
製造された塑性加工用固体潤滑剤は、この固体潤滑剤を
用いて形成された固体潤滑層にブロッキング性が残り、
反対に、25重量部を超えると、得られた塑性加工用固
体潤滑剤の水に対する希釈安定性が悪くなり、しかも、
形成される固体潤滑層の潤滑性能が劣りプレス加工性が
悪くなる。
【0037】上記有機低分子化合物(D)の製造法につ
いては、溶液重合法や乳化重合法があるが、本発明の低
分子量の化合物を得るためには、前者の溶液重合法が好
ましい。この際に使用する重合触媒としては、通常の重
合に用いられるアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系
触媒や過硫酸アンモニア等の過酸化物系触媒等を用いる
ことができ、好ましくは過硫酸アンモニウムや過硫酸カ
リウムである。そして、この重合触媒の使用量は、不飽
和ニトリル(a)、不飽和カルボン酸(b)及び不飽和
カルボン酸エステル(c)からなる単量体総量100重
量部に対して、通常1.8〜10重量部、好ましくは
1.5〜7.2重量部である。また、重合温度は40〜
69℃、好ましくは48〜55℃の範囲で行うのがよ
く、また、重合時間は10〜36時間、好ましくは20
〜28時間であるのがよい。
【0038】更に、有機低分子化合物(D)の塩(E)
の製造時の反応温度は40〜45℃の範囲であるのがよ
い。有機低分子化合物(D)の塩(E)は、有機低分子
化合物(D)に先に説明した塩基性化合物としてのアル
カリ金属化合物、アンモニア、有機アミン化合物及びア
ルカリ土類金属化合物をそれぞれ添加して反応させるこ
とにより製造するが、その際の製造温度が40℃より低
いと、その塩(E)の生成時間がかかりすぎ、また、4
5℃より高くなると、有機低分子化合物(D)が有する
エステル結合が加水分解を起こしてこの有機低分子化合
物(D)を構成する各単量体の配合割合、すなわち不飽
和ニトリル(a)/不飽和カルボン酸(b)/不飽和カ
ルボン酸エステル(c)が通常20〜60/25〜70
/0〜30の割合、好ましくは25〜50/30〜65
/5〜25の割合を外れてしまう。
【0039】次に、本発明で用いる有機高分子化合物
(F)は、好ましくは不飽和カルボン酸の共重合体であ
って、その平均分子量が8,000以上、好ましくは
8,000〜100,000の範囲であるのがよい。こ
の平均分子量が8,000未満の場合には、得られた塑
性加工用固体潤滑剤を用いて金属板の表面上に形成され
る固体潤滑層のプレス加工時の皮膜強度が弱くなり、金
型付着が発生する場合があり、反対に、平均分子量が1
00,000を超えると形成される固体潤滑層の潤滑性
能が充分に発揮されず、プレス加工性が悪くなる場合が
ある。
【0040】不飽和カルボン酸の共重合体として製造さ
れる有機高分子化合物(F)は、好ましくは不飽和カル
ボン酸(d)、不飽和カルボン酸エステル(e)、不飽
和ニトリル(f)及び水酸基を有する不飽和カルボン酸
エステル(g)の共重合体である。
【0041】この有機高分子化合物(F)を製造するた
めに用いる不飽和カルボン酸(d)としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、
イタコン酸等が挙げられ、これらはその1種のみを単独
で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
これらのうち、好ましいものはアクリル酸、メタクリル
酸又はクロトン酸であり、特に好ましいのはクロトン酸
とアクリル酸又はメタクリル酸との併用使用である。
【0042】この不飽和カルボン酸(d)は、有機高分
子化合物(F)においてその酸基の源となって、後述の
塩基性化合物であるアルカリ金属化合物、アルカリ土類
金属化合物、アンモニア及び有機アミン化合物により、
この有機高分子化合物(F)の塩(G)を形成するもの
であり、有機高分子化合物(F)に水分散性を付与する
役割や、固体潤滑層を形成せしめた際に金属板表面との
間の付着性を発揮する役割を果たす。
【0043】また、不飽和カルボン酸エステル(e)と
しては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸等の1種又は2種以上の混合物に炭素数 1〜5 の直鎖
及び/又は側鎖のアルコール、例えばメチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、あるいはア
ミルアルコール等とを反応させて得られたエステルや、
マレイン酸、イタコン酸等のジカルボン酸に上記と同様
の炭素数1〜5の直鎖及び/又は側鎖のアルコールとを
反応させて得られたジエステル及び/又はモノエステル
等が挙げられるが、好ましくはアクリル酸エチル、メタ
クリル酸メチル、クロトン酸メチル及びマレイン酸ジメ
チルから選ばれた1種又は2種以上の混合物がよく、ま
た、より好ましくはクロトン酸メチルとマレイン酸ジメ
チルとの併用使用がよい。
【0044】この不飽和カルボン酸エステル(e)は、
有機高分子化合物(F)に皮膜形成性を付与すると共
に、この有機高分子化合物(F)を用いて得られた塑性
加工用固体潤滑剤により金属板の表面に塗布され形成さ
れた固体潤滑層がプレス加工時に膜切れを起こすのを防
止する役割をも有する。
【0045】更に、不飽和ニトリル(f)としては、容
易に安価に入手できることから、好ましくはアクリロニ
トリルであり、これを配合して合成された有機高分子化
合物(F)及び/又はその塩(G)に良好な皮膜形成性
を与え、更に、金属板の表面上に形成される固体潤滑層
に対してプレス加工に耐える皮膜強度を与える1つの要
素ともなる。
【0046】また、上記水酸基を有する不飽和カルボン
酸エステル(g)としては、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−又は3
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシ
ブチルアクリレート及び4−ヒドロキシブチルメタクリ
レートが挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシアクリレ
ート及び2−ヒドロキシメタクリレートであり、これら
はその1種のみを使用できるほか、2種以上の混合物を
使用するができる。
【0047】この水酸基を有する不飽和カルボン酸エス
テル(g)は、この有機高分子化合物(F)に皮膜形成
性を付与すると共に、形成される固体潤滑層に優れた皮
膜強度を与える役割を担い、本発明の塑性加工用固体潤
滑剤が金属板の表面に塗布されて固体潤滑層が形成され
た際に、この固体潤滑層に対してプレス加工時における
伸長性を与え、プレス加工時における膜切れを防止す
る。
【0048】この有機高分子化合物(F)を構成する単
量体比は、重量比で、不飽和カルボン酸(d)/不飽和
カルボン酸エステル(e)/不飽和ニトリル(f)/水
酸基を有する不飽和カルボン酸エステル(g)が12〜
33/25〜60/8〜25/15〜30の範囲であ
り、好ましくは15〜25/30〜45/12〜18/
18〜23の範囲である。不飽和カルボン酸(d)の単
量体比が12以下の場合は、有機高分子化合物(F)の
塩(G)の水分散性を付与する役割が不足し、プレス加
工後の脱脂不足を招くほか、固体潤滑層を形成せしめた
際の金属板表面との間の付着性不足を招き、反対に、3
3以上の場合には、有機高分子化合物(F)のガラス転
移温度が上昇して固体潤滑剤の摩擦係数を高め、潤滑性
の低下を招き、更に、形成される固体潤滑層の皮膜強度
不足を招来する。また、不飽和カルボン酸エステル
(e)の単量体比が25以下の場合は、皮膜形成性不足
及び固体潤滑膜の強度不足を生じ、固体潤滑層がプレス
加工時に膜切れする要因になり、反対に、60以上の場
合には、有機高分子化合物(F)自体の極性が減少し、
有機高分子化合物(F)の耐油性不足を引起したり、有
機高分子化合物(F)の塩(G)の水分散性が不足し、
プレス加工後の脱脂不足を招く。更に、不飽和ニトリル
(f)の単量体比が8以下の場合は、有機高分子化合物
(F)の潤滑性と耐油性の低下を招き、反対に、25以
上の場合には、有機高分子化合物(F)自体の弾力性不
足を招いてプレス加工時に固体潤滑膜の強度不足が生
じ、パウダリングの要因となる。そして、水酸基を有す
る不飽和カルボン酸エステル(g)の単量体比が15以
下の場合は、有機高分子化合物(F)の皮膜形成性の不
足により、形成される固体潤滑層の皮膜強度不足を招く
と共に、この固体潤滑層に対してプレス加工時における
伸長性の不足が生じ、プレス加工時に膜切れを引き起こ
す要因になり、反対に、30以上の場合には、有機高分
子化合物(F)の塩(G)の水分散性が不足し、プレス
加工後の脱脂不足を招く。
【0049】また、上記有機高分子化合物(F)の塩
(G)を形成するための塩基性化合物としては、アルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニア及
び有機アミン化合物から選ばれた1種又は2種以上の混
合物が挙げられる。
【0050】上記アルカリ金属化合物としては、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げ
られ、また、アルカリ土類金属化合物としては水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等が挙げら
れ、また、アンモニアとしてはアンモニア水が好適に用
いられる。
【0051】更に、有機アミン化合物としては、例えば
トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の炭素数2〜
3のアルキル基を有するトリアルキルアミン類や、例え
ばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノ
ールアミン、トリプロパノールアミン等の炭素数2〜3
のアルキレンオキサイドとアンモニアより製造されるア
ルカノールアミン類や、例えばN−メチルジエタノール
アミン、N−メチルプロパノールアミン、N,N−ジメ
チルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノール
アミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N−
シクロヘキシルプロパノールアミン等の炭素数1〜6の
モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、シクロヘキシ
ルアミンにエチレンオキサイドを付加させて製造される
N−アルキルアルカノールアミン類、N−シクロヘキシ
ルアルカノールアミン類等が挙げられ、これらはその1
種蚤を単独で使用できるほか、2種以上を併用使用する
こともできる。
【0052】上記塩基性化合物において、アルカリ金属
化合物としては水酸化カリウムが好ましく、アルカリ土
類金属化合物としては水酸化カルシウムが好ましく、ま
た、アンモニアとしてはアンモニア水が好ましく、有機
アミン化合物としてはジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、ジプロパノールアミン、N−エチルジエタ
ノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン
が好ましい。
【0053】また、有機高分子化合物(F)の塩(G)
を形成するために用いられる塩基性化合物のアルカリ金
属化合物、アンモニア及び有機アミン化合物は、この有
機高分子化合物(F)に水溶性を付与するが、アルカリ
土類金属化合物は逆にこの有機高分子化合物(F)の水
不溶性を増進する傾向がある。
【0054】そのため、塩基性化合物としてのアルカリ
金属化合物、アンモニア及び有機アミン化合物の使用量
は、有機高分子化合物(F)100重量部(固形分換
算)に対して0.1〜4.8重量部、好ましくは0.3
〜2.9重量部の範囲内であるのがよい。0.1重量部
より少ないと、本発明の固体潤滑剤の水分散性のバラン
スが崩れ、プレス加工後の脱脂トラブルが発生し易くな
るという問題があり、また、4.8重量部を超えると、
薄鋼板の表面に塗着された潤滑膜の乾燥性が悪くなり、
薄鋼板の巻取りコイルの巻き戻し時に薄鋼板どうしの付
着によって、薄鋼板の表面に塗着された潤滑膜が脱落し
たり、損傷する虞があり、その結果、後のプレス成形工
程でプレス性が損なわれるという問題がある。
【0055】更に、塩基性化合物としてアルカリ土類金
属化合物を用いる場合には、その使用量は有機高分子化
合物(F)100重量部(固形分換算)に対して0.1
〜12.5重量部、好ましくは0.25〜7.5重量部
の範囲内であるのがよい。0.1未満の場合には得られ
た有機高分子化合物(F)及び/又はその塩(G)を用
いて製造された塑性加工用固体潤滑剤は、この固体潤滑
剤を用いて形成された固体潤滑層にブロッキング性が残
り、反対に、12.5重量部を超えると、得られた塑性
加工用固体潤滑剤の水に対する希釈安定性が悪くなり、
しかも、形成される固体潤滑層の潤滑性能が劣りプレス
加工性が悪くなる。
【0056】次に、この不飽和カルボン酸の共重合体で
ある有機高分子化合物(F)及びその塩(G)の製造法
について説明する。有機高分子化合物(F)の重合法と
しては、溶液重合法と乳化重合法とが挙げられるが、本
発明の塑性加工用固体潤滑剤に用いるために必要か平均
分子量8,000以上のものを得るために、好ましくは
乳化重合法である。この乳化重合法を採用することによ
り、有機高分子化合物(F)の平均分子量を容易に必要
な8,000以上とすることができ、これによって皮膜
強度が高くなり、プレス加工時の膜切れによる金型付着
の問題を可及的に防止でき、連続的なプレス加工が可能
になる。
【0057】また、上記乳化重合法には、一般に行われ
ているラジカル重合とレドックス重合とがあるが、前者
のラジカル重合ではその重合温度が高くて目的とする高
い平均分子量の有機高分子化合物(F)を得難いので、
好ましくは低い重合温度でも重合が進むレドックス重合
である。
【0058】乳化重合法により本発明の有機高分子化合
物(F)を製造するに際しては、上記不飽和カルボン酸
(d)、不飽和カルボン酸エステル(e)、不飽和ニト
リル(f)及び水酸基を有する不飽和カルボン酸エステ
ル(g)に加えて、乳化剤であるノニオン型高分子活性
剤(A)とアニオン型高分子活性剤(H)とが配合され
る。
【0059】ここで、ノニオン型高分子活性剤(A)に
ついては既に説明しているので、アニオン型高分子活性
剤(H)について説明する。このアニオン型高分子活性
剤(H)は、ノニオン型高分子活性剤(A)の燐酸エス
テル塩であり、上記ノニオン型高分子活性剤(A)に燐
酸を反応させ、次いで塩基を反応させて得られた燐酸エ
ステル塩である。
【0060】具体的には、ノニオン型高分子活性剤
(A)1モルに燐酸又は無水燐酸を1/2〜3モル反応
させて得られたノニオン型高分子活性剤(A)の燐酸エ
ステルに、アンモニア、有機アミン及びアルカリ金属か
ら選ばれた塩基を反応させて得られる燐酸エステル塩で
あって、ポリオキシエチレンアルキル及び/又はアルキ
レンエーテルフォスフェートアシッド塩、ポリオキシエ
チレン飽和及び/又は不飽和脂肪酸エステルフォスフェ
ートアシッド塩、ポリオキシエチレン12−ヒドロキシ
ステアリン酸エステルエーテルジフォスフェートアシッ
ド塩、ポリオキシエチレンリシノール酸エステルエーテ
ルジフォスフェートアシッド塩及びポリオキシエチレン
ヒマシ油エーテルトリフォスフェートアシッド塩が挙げ
られ、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル
フォスフェートアシッド塩、ポリオキシエチレン飽和脂
肪酸エステルフォスフェートアシッド塩、12−ヒドロ
キシステアリン酸エステルエーテルジフォスフェートア
シッド塩及びポリオキシエチレンヒマシ油エーテルトリ
フォスフェートアシッド塩である。この燐酸エステル化
については、特に、無水燐酸と反応させた後に水でP−
O−P結合を分解する方法が容易であって好ましい。
【0061】また、上記アニオン型高分子活性剤(H)
の燐酸エステル塩を製造する際に用いる塩基としては、
アンモニア、有機アミン及びアルカリ金属が用いられる
が、有機アミンとしてはアルキルアミン類、アルカノー
ルアミン類及びN−アルキルアルカノールアミン類が挙
げられるが、好ましくはアルカノールアミン類のトリエ
タノールアミンや、N−アルキルアルカノールアミン類
のN−エチルジエタノールアミン及びN−シクロヘシル
ジエタノールアミンである。更に、アルカリ金属として
は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリ
ウムが挙げられるが、好ましくは水酸化カリウムであ
る。
【0062】また、乳化重合法により有機高分子化合物
(F)を製造する際に用いられるノニオン型高分子活性
剤(A)とアニオン型高分子活性剤(H)の配合割合
は、有機高分子活性剤(F)を構成する不飽和カルボン
酸(d)、不飽和カルボン酸エステル(e)、不飽和ニ
トリル(f)及び水酸基を有する不飽和カルボン酸エス
テル(g)の総量100重量部に対して、ノニオン型高
分子活性剤(A)が10〜30重量部、好ましくは15
〜28重量部であって、アニオン型高分子活性剤(H)
が12〜45重量部、好ましくは24〜38重量部であ
る。ノニオン型高分子活性剤(A)の配合割合が少なす
ぎたり、また、多すぎると、有機高分子化合物(F)の
製造時に乳化重合のバランスが崩れ、重合が進むにつれ
てゲル化が生じ、製造の続行が困難になるほか、このゲ
ル化の状態が穏やかな場合には、ゲル状粒子の発生が起
こって製造された有機高分子化合物(F)を構成する不
飽和カルボン酸(d)、不飽和カルボン酸エステル
(e)、不飽和ニトリル(f)及び水酸基を有する不飽
和カルボン酸エステル(g)の重合比率が変化し、本発
明の有機高分子化合物(F)以外の有機高分子化合物が
生成して固体潤滑剤としての機能を果たさなくなるとい
う問題が生じる。また、アニオン型高分子活性剤(H)
のの配合割合が少なすぎても、また、多すぎても、ノニ
オン型高分子活性剤である有機高分子化合物(F)の場
合と同様に、ゲル化又はゲル状粒子の発生という製造上
の重大な問題が生じる。
【0063】更に、本発明の有機高分子化合物(F)を
製造する際に用いる重合触媒としては過酸化水素、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物が挙げら
れ、好ましくは過硫酸カリウム及び/又は過硫酸アンモ
ニウムである。この重合触媒の使用量は、有機高分子化
合物(F)を構成する不飽和カルボン酸(d)、不飽和
カルボン酸エステル(e)、不飽和ニトリル(f)及び
水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル(g)の総量
100重量部に対して、通常0.3〜5重量部、好まし
くは0.5〜3重量部である。この重合触媒の使用量が
0.3重量部より少ないと、有機高分子化合物(F)の
製造時における重合速度が遅くなって製造時間が極端に
長くなり、有機高分子化合物(F)の製造コストが高く
なったり、有機高分子化合物(F)の平均分子量が10
0,000以上になって形成される固体潤滑層の潤滑性
能が充分に発揮されず、プレス加工性が悪くなる場合が
あり、反対に、5重量部より多くなると、有機高分子化
合物(F)の平均分子量が8,000未満になって得ら
れる塑性加工用固体潤滑剤を用いて金属板の表面に形成
される固体潤滑層の皮膜強度が弱くなり、金型付着の問
題が生じる。
【0064】本発明の有機高分子化合物(F)をレドッ
クス重合で製造する場合には助触媒の使用が必要である
が、この助触媒としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カ
リウム、酸性亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸カリウム等
が挙げられ、好ましくは酸性亜硫酸ナトリウム及び/又
は酸性亜硫酸カリウムである。この助触媒の使用量は、
有機高分子化合物(F)を構成する不飽和カルボン酸
(d)、不飽和カルボン酸エステル(e)、不飽和ニト
リル(f)及び水酸基を含有する不飽和カルボン酸エス
テル(g)の総量100重量部に対して、0.01〜2
重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部である。こ
の助触媒の使用量が0.01重量部より少ないと、有機
高分子化合物(F)の平均分子量が100,000以上
になって形成される固体潤滑層の潤滑性能が充分に発揮
されず、プレス加工性が悪くなる場合があり、また、2
重量部より多くなると、有機高分子化合物(F)の平均
分子量が8,000未満になって得られる塑性加工用固
体潤滑剤を用いて金属板の表面に形成される固体潤滑層
の皮膜強度が弱くなり、金型付着の問題が生じる。
【0065】本発明の有機高分子化合物(F)を製造す
る場合の重合温度は、通常40〜70℃の範囲、好まし
くは52〜62℃の範囲で行うのがよい。また、その場
合の重合時間は15〜40時間の範囲、好ましくは24
〜36時間の範囲である。
【0066】そして、有機高分子化合物(F)の塩
(G)の製造法としては、上記の方法で先ず有機高分子
化合物(F)を製造し、その後、アルカリ土類金属化合
物を用いる場合には、先ずこのアルカリ土類金属化合物
を反応後、アルカリ金属化合物、アンモニア及び有機ア
ミン化合物を加えて製造し、また、アルカリ土類金属化
合物を用いない場合には、アルカリ金属化合物及び/又
はアンモニア及び有機アミン化合物を加えて製造する方
法が採用される。
【0067】更に、本発明の塑性加工用固体潤滑剤にお
いては、潤滑性と乳化性とを有する防錆剤(B)が添加
される。本発明で用いるノニオン型高分子活性剤(A)
は固体物質として得られ、有機低分子化合物(D)及び
/又はその塩(E)は水溶性物質として得られ、また、
有機高分子化合物(F)及び/又はその塩(G)は乳化
分散状物質として得られる。そして、これらを配合し、
更に使用時には水で希釈し、塗布後常温〜70℃の間で
乾燥させる必要が生じることから、適用される金属板は
必然的に水と接触することになり、金属板の腐食の問題
を回避するために防錆剤(B)の使用が必要になる。
【0068】この防錆剤(B)については、本発明の塑
性加工用固体潤滑剤における水分散性皮膜形成性能を維
持するために、潤滑性や乳化性を低下させることなく防
錆性を付与するものである必要があり、好適には下記一
般式 R−SO2 NH(CH2 n COOMe (但し、式中、Rは炭素数10〜18のアルキル又はア
ルキレン基を示し、Meはアルカリ金属、又はモノ、ジ
若しくはトリアルキルあるいはアルキロールアミンを示
し、nは1〜3の整数である)で表され、潤滑性及び乳
化性を有するアルキル又はアルキレンスルホンアミドカ
ルボン酸塩型の防錆剤が挙げられ、その使用量は、ノニ
オン型高分子活性剤(A)45〜95重量部(固形分換
算)に対して、0.1〜4.0重量部、好ましくは0.
5〜2.0重量部である。0.1重量部未満では防錆性
が低下し、反対に、4.0重量部を超えると金属板の表
面に形成された固体潤滑膜にブロッキングが残るという
問題が生じる。
【0069】本発明において、塑性加工用固体潤滑剤を
構成する上記ノニオン型高分子活性剤(A)と、防錆剤
(B)と、有機低分子化合物(D)及び/又はその塩
(E)と、有機高分子化合物(F)及び/又はその塩
(G)との配合割合は、固形分重量換算で、ノニオン型
高分子活性剤(A)が45〜95重量部、好ましくは5
5〜85重量部であり、防錆剤(B)が0.1〜4重量
部、好ましくは0.5〜2重量部であり、有機低分子化
合物(D)及び/又はその塩(E)が0〜15重量部、
好ましくは0〜12重量部であり、また、有機高分子化
合物(F)及び/又はその塩(G)が3.5〜175重
量部、好ましくは10〜120重量部である。ノニオン
型高分子活性剤(A)が上記範囲を外れると耐水性不良
や潤滑性不良という問題が発生し、防錆剤(B)が上記
範囲を外れると防錆性不良や潤滑膜にブロッキングが残
るという問題が発生し、有機低分子化合物(D)及び/
又はその塩(E)の使用量が上記範囲を超えると潤滑膜
にブロッキングが残ったり、プレス加工性不良という問
題が発生し、また、有機高分子化合物(F)及び/又は
その塩(G)が上記範囲を外れると潤滑膜の強度不足か
らくるプレス加工性不良や潤滑膜自体の潤滑性不良の問
題が発生する場合がある。
【0070】本発明の塑性加工用固体潤滑剤を用いて金
属板上に固体潤滑層を形成する方法としては、例えば、
金属板上に形成する固体潤滑層の膜厚等に応じて水に3
〜12.5重量%濃度の範囲で溶解し、これをスプレー
法や溝付きロールコーター法等の方法で金属板上に塗布
し、塗布後に常温〜70℃の間で乾燥させ、所望の膜厚
の固体潤滑層を形成せしめる。そして、この際の乾燥後
の固体潤滑層の膜厚は、防錆性の確保や優れたプレス成
形性の確保という観点から0.5g/m2 を下限とし、
また、溶接性、耐ブロッキング性、潤滑性、脱脂性等の
性能の劣化を防止するという観点から5.0g/m2
上限とするのがよい。
【0071】また、本発明で用いる金属板としては、冷
延鋼板、亜鉛等のめっき鋼板、アルミニウム等の非鉄金
属板等が挙げられ、通常は薄板材として使用される。ま
た、この金属板の表面に形成される固体潤滑層について
は、金属板の両面に互いに等しい膜厚であるいは互いに
異なる膜厚で形成されていてもよく、更には、金属板の
片面のみに形成されて、他方の面については固体潤滑層
を形成しない無処理面としてもよい。
【0072】
【発明の実施の形態】本発明の塑性加工用固体潤滑剤に
よれば、これを金属板に被覆することにより、潤滑性の
高い固体潤滑層(潤滑皮膜)が形成される。この高い潤
滑性は、ノニオン型高分子活性剤(A)の分子中に導入
された極端に長いポリエチレンオキサイド鎖に起因する
ものである。また、このノニオン型高分子活性剤(A)
中に有するアルキル又はアルキレン基等の油性基が、ポ
リエチレンオキサイド鎖と絡むこともその高い潤滑性を
示す要因である。これは、同一分子量のポリエチレンオ
キサイド単独よりも高い潤滑性が発揮されることから判
明する。
【0073】また、この潤滑皮膜は、ポリエチレンオキ
サイドという高い水溶性を有しているにもかかわらず、
雨水等によりその脱落が生じない。これは、乳化重合法
による高い分子量を有する有機高分子化合物(F)及び
/又はその塩(G)によって保護されているからであ
る。
【0074】更に、この有機高分子化合物(F)及び/
又はその塩(G)は、その平均分子量が8,000以上
であることにより、固体潤滑層の皮膜強度を上昇させて
いる。このことは、同じ単量体配合であっても、平均分
子量の低い場合には、プレス加工時に金型付着が生じる
ことから明かである。
【0075】以上のことから、本発明の塑性加工用固体
潤滑剤の潤滑性は、従来の潤滑剤の潤滑性が油性物質の
存在に起因するという考えとは全く異なるものである。
また、使用後に不必要になった潤滑皮膜については、大
きな親水性を有するカルボン酸基又はその塩が残存する
ので、温水又は希アルカリ性液により容易に洗浄して除
去することが可能である。また、有機低分子化合物
(D)及び/又はその塩(E)中に含まれる脂肪族メル
カプト化合物(C)由来の有機硫黄の存在により、金属
に対する極圧性が付与され、これによって更に潤滑性が
向上する。
【0076】従って、本発明の塑性加工用固体潤滑剤に
よれば、冷延鋼板、亜鉛等のめっき鋼板等の鋼板やアル
ミニウム等の非鉄金属板に適用してプレス成形時に良好
な潤滑性を与えると共に、プレス前後の耐錆性が優れて
おり、かつ固体潤滑剤がエマルジョン性であるから、そ
の潤滑膜は雨水等の水滴に対して耐水性を有し、かつ、
金属板を重ね合わせてもブロッキングがないため、積層
保存、貯蔵性に優れている。更に、本発明の塑性加工用
固体潤滑剤を用いて表面に固体潤滑層が積層された塑性
加工用金属板は、その潤滑膜がアルカリ可溶型であるこ
とから、自動車製造等の化成処理ラインの前処理工程で
の完全除去性を備えている。
【0077】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
をより具体的に説明する。
【0078】〔ノニオン型高分子活性剤(A)の製造〕
表1中のノニオン型高分子活性剤A1 を例にして、ノニ
オン型高分子活性剤(A)の製造法を説明すると、以下
の通りである。すなわち、ドデシルアルコール0.1モ
ルと、エチレンオキサイド10モルと、水酸化カリウム
0.002モルとをオートクレーブ中に仕込み、反応温
度120〜160℃で7時間付加反応させ、白色固体状
のノニオン型高分子活性剤A1を得た。他のノニオン型
高分子活性剤A2 〜A6 についても同様にして製造し
た。
【0079】なお、ノニオン型高分子活性剤(A)の製
造に用いた化合物及び得られたノニオン型高分子活性剤
1 〜A6 の構造式を以下に示す。 〔ドデシルアルコール〕 CH3 (CH2 10CH2 OH 〔オクタデシルアルコール〕 CH3 (CH2 16CH2 OH 〔ドデセノイックアシッド〕 CH3 (CH2 9 CH2 COOH 〔オクタデセノイックアシッド〕 CH3 (CH2 15CH2 COOH
【0080】〔12−ヒドロキシオクタデセノイックア
シッド〕
【化1】
【0081】〔水添ヒマシ油〕
【化2】
【0082】〔ノニオン型高分子活性剤A1 〕 [ポリオキシエチレン(100)ドデシルエーテル] CH3 (CH2 10CH2 O(CH2 CH2 O)100 H 〔ノニオン型高分子活性剤A2 〕 [ポリオキシエチレン(200)オクタデシルエーテ
ル] CH3 (CH2 16CH2 O(CH2 CH2 O)200 H 〔ノニオン型高分子活性剤A3 〕 [ポリオキシエチレン(100)ドデセノイックエステ
ル」 CH3 (CH2 9 CH2 COO(CH2 CH2 O)
100 H 〔ノニオン型高分子活性剤A4 〕 [ポリオキシエチレン(200)オクタデセノイックエ
ステル] CH3 (CH2 15CH2 COO(CH2 CH2 O)
200
【0083】〔ノニオン型高分子活性剤A5 〕 [ポリオキシエチレン(200)12−ヒドロキシオク
タデセノイックエーテルエステル]
【化3】
【0084】〔ノニオン型高分子活性剤A6 〕 [ポリオキシエチレン(750)水添ヒマシ油エーテ
ル]
【化4】
【0085】得られた上記ノニオン型高分子活性剤A1
〜A6 について、その曇数(Karabinos 法)、融点(TG
/DTA法)及び摩擦係数μを測定した。結果を表1に示
す。
【0086】
【表1】
【0087】〔アニオン型高分子活性剤(H)の製造〕
次に、表2中のアニオン型高分子活性剤H1 を例にし
て、アニオン型高分子活性剤(H)の製造を説明する
と、以下の通りである。ノニオン型高分子活性剤A
1 0.2モル、無水燐酸0.1モル、トルエン900
g、イオン交換水0.05モル及び10%水酸化カリウ
ム水溶液0.2モル(水酸化カリウムとして)をグラス
ライニング製の反応釜に仕込み、35〜65℃で8時間
反応させた後、トルエンを減圧下に留去させ, 水酸化カ
リウムでpH調整して無色透明の粘稠物を得た。
【0088】また、アニオン型高分子活性剤H2 〜H4
についても同様にして製造した。以下に、得られたアニ
オン型高分子活性剤H1 〜H4 及び使用した中和剤の構
造式を示す。 〔アニオン型高分子活性剤H1 〕 [ポリオキシエチレン(100)ドデシルエーテル燐酸
エステル−カリウム塩]
【化5】
【0089】〔アニオン型高分子活性剤H2 〕 [ポリオキシエチレン(100)ドデセノイックエステ
ル燐酸エステル−カリウム−N−エチルジエタノールア
ミン塩]
【化6】
【0090】〔アニオン型高分子活性剤H3 〕 [ポリオキシエチレン(200)12−ヒドロキシオク
タデセノイックエステルエーテル燐酸エステル−トリエ
タノールアミン塩]
【化7】
【0091】〔アニオン型高分子活性剤H4 〕 [ポリオキシエチレン水添ヒマシ油エーテル燐酸エステ
ル−N−シクロヘキシルジエタノールアミン塩]
【化8】
【0092】〔N−エチルジエタノールアミン〕 CH3 CH2 N(CH2 CH2 OH)2 〔トリエタノールアミン〕 N(CH2 CH2 OH)3
【0093】〔N−シクロヘキシルジエタノールアミ
ン〕
【化9】
【0094】得られたアニオン型高分子活性剤H1 〜H
4 について、そのpH及び濃度(%)を測定した。結果
を表2に示す。
【表2】
【0095】〔有機低分子化合物(D)及びその塩
(E)の製造〕次に、表3及び表4中の有機低分子化合
物(D1 )及びその塩(E1 )を例にして、有機低分子
化合物(D)及びその塩(E)の製造を説明すると、以
下の通りである。アクリル酸(AA)0.905モル、
アクリロニトリル(AN)0.444モル、アクリル酸
エチル(EA)0.200モル、メルカプトエタノール
0.09モル、20%含水メタノール100g及び過硫
酸アンモニウム3.51gを重合反応器に仕込み、窒素
気流中48〜58℃で36時間重合させ、次いで未反応
原料、溶媒及び水を減圧下に除去して淡黄色粘稠物を得
た。これに水酸化カルシウム0.1モルを加えて50〜
52℃で2時間反応させた後、水酸化ナトリウム0.8
モル、アンモニア0.1モル及び水を加えてpH調整と
濃度調整をした。有機低分子化合物(D2 〜D4 )及び
その塩(E2 〜E4 )についても同様にして製造した。
【0096】使用した単量体、脂肪族系メルカプト化合
物(C)及び塩基性化合物について、その構造式を以下
に示す。 〔アクリル酸〕 CH2 =CHCOOH 〔アクリロニトリル〕 CH2 =CHCN 〔アクリル酸エチル〕 CH2 =CHCOOCH2 CH3 〔クロトン酸メチル〕 CH3 CH=CHCOOCH3 〔メルカプトエタノール〕 HOCH2 CH2 SH 〔オクチルメルカプタン〕 CH3 (CH2 6 CH2 SH 〔デシルメルカプタン〕 CH3 (CH2 8 CH2 SH 〔ドデシルメルカプタン〕 CH3 (CH2 10CH2 SH 〔ジエタノールアミン〕 HN(CH2 CH2 OH)2
【0097】得られた有機低分子化合物及びその塩E1
〜E4 について、そのpH、濃度(%)、粘度(mPa
・s)、硫黄元素含有量(%)をそれぞれ調べた。結果
を表3及び表4に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】〔有機高分子化合物(F)及びその塩
(G)の製造〕また、表5及び表6中に示した有機高分
子化合物(F1 )及びその塩(G1 )を例にして、有機
高分子化合物(F)及びその塩(G)の製造を説明する
と、以下の通りである。イオン交換水254g、クロト
ン酸(CA)0.058モル、メタクリル酸(MAA)
0.211モル、クロトン酸メチル(MCA)0.16
モル、マレイン酸ジメチル(DMM)0.278モル、
アクリロニトリル(AN)0.321モル、メタクリル
酸2ヒドロキシエチルエステル(HEMA)0.177
モル、ノニオン型高分子活性剤A1 0.022モル、ア
ニオン型高分子活性剤H1 0.063モル、過硫酸カリ
ウム(K2 2 8 )0.22モル及び重亜硫酸ソーダ
(NaHSO3 )0.006モルを重合反応器に仕込
み、窒素気流中60〜62℃で3時間乳化重合させ、淡
黄色白濁粘稠物の有機高分子化合物(F1 )を得た。
【0101】この有機高分子化合物(F1 )100gに
水酸化カルシウム0.031モルを加えて50〜52℃
で2時間反応させた後、冷却し、水酸化カリウム0.8
62モル及びアンモニア0.145モル(但し、25重
量%アンモニアを用いた)を35〜38℃で反応させ、
淡黄色白濁粘稠物の有機高分子化合物(F1 )の塩(G
1 )を得た。これに水を加えて濃度を調整した。有機低
分子化合物(F2 〜F8 )及びその塩(G2 〜G8 )に
ついても同様にして製造した。なお、表5に説明の不飽
和カルボン酸誘導体の種類中の記号で、上記に説明され
ていないものはアクリル酸(AA)、アクリル酸エチル
(EA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル
(HEA)及びメタクリル酸メチルエステル(MMA)
である。
【0102】使用した化合物について、上で示された化
合物以外のものの構造式を以下に示す。 〔クロトン酸〕 CH3 CH=CHCOOH 〔メタクリル酸〕 CH2 =C(CH3 )COOH 〔マレイン酸ジメチル〕 H3 COOCCH=CHCOOCH3 〔 2−ヒドロキシエチルメタクリレート〕 CH2 =C(CH3 )COOCH2 CH2 OH 〔メタクリル酸メチル〕 CH2 =C(CH3 )COOCH3 〔 2−ヒドロキシエチルアクリレート〕 CH2 =CHCOOCH2 CH2 OH
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】実施例1〜31 以上のようにして得られたノニオン型高分子活性剤
(A)、有機低分子化合物(D)及びその塩(E)、有
機高分子化合物(F)及びその塩(G)、並びに防錆剤
(B)としてボールミッテル・ヘキスト(ヘキストジャ
パン株式会社製)を用い、表7に示す割合で配合し、濃
度を5重量%にして本発明の実施例に係る固体潤滑剤を
調製した。
【0106】得られた各実施例1〜31の固体潤滑剤を
JIS SPCE相当の冷延鋼板0.80mmに塗布し
た後、室温に放置して乾燥させ、固体潤滑層が塗布され
た被覆金属板を得た。これらの被覆金属板について、そ
の塗装性、ブロッキング性、防錆性、耐水性、脱脂性、
型付着性、摩擦係数(μ)、TZP値(%)、LDH値
(mm)、及び付着量(g/m2 )を調べた。結果を表
8に示す。
【0107】塗装性の評価は、固体潤滑剤を金属板に塗
布した際におけるその乗り具合(ハジキの有無)を肉眼
で観察し、○:ハジキなしのもの、△:一部にハジキが
認められたもの、×:ハジキが著しいもの、の3段階で
評価した。
【0108】ブロッキング性の評価は、100mm×1
00mmの試験片を重ね合わせて12kgfの荷重を加
え、その状態を維持しながら50℃で2時間放置し、そ
の後に試験片同士の付着の有無の状態を肉眼で観察し、
○:全く付着しないもの、△:一部付着したもの、×:
付着量の多いもの、の3段階で評価した。
【0109】防錆性の評価は、各実施例の固体潤滑剤に
ついて固形分換算1重量%、5重量%及び10重量%の
水溶液を調製し、この固体潤滑剤水溶液に試験片を14
日間浸漬し、その際の発錆状態を肉眼で観察し、○:発
錆なしのもの、△:一部発錆が認められたもの、×:発
錆が著しいもの、の3段階で評価した。
【0110】耐水性の評価は、3kg/cm2 の圧力に
加圧された水道水をスプレーで金属板の固体潤滑層に3
0秒間吹き付け、その際の固体潤滑層(皮膜)の脱落状
態を肉眼で観察し、○:ほとんど影響を受けていないも
の、△:一部皮膜が脱落したもの、×:水流によって金
属地肌が露出しているもの、の3段階で評価した。
【0111】脱脂性の評価は、日本パーカー製FCL4
460の3%溶液に、液温45℃、浸漬時間120秒の
条件で処理した後、水洗60秒を行った後の水濡れ率で
評価し、○:80%以上、△:50〜80%、×:50
%未満の3段階で評価した。
【0112】摩擦係数は、図1に簡略に示したように、
二つの工具鋼SKD−11製の平板ビード引き抜き工具
(接触面積:780mm2 =長さ26mm×幅30m
m)の間に、各固体潤滑剤の皮膜(固体潤滑層)が塗布
されたJIS SPCE相当の冷延鋼板(厚さ:0.8
0mm)製の供試材を挟み込み、この帯板を押し付け力
(P)900kgfで加圧しながら200mm/分の速
度で引き抜いた時の引き抜き抵抗力(F)を測定し、計
算式〔摩擦係数μ=F/(2×P)〕で計算し、得られ
た値を○:μ<0.10、△:0.10≦μ<0.1
5、×:0.15≦μの3段階で評価した。なお、図1
において、符号1は平板ビード引き抜き工具であり、符
号2はロードセルであり、符号3は加圧装置であり、ま
た、符号4は供試材である。そして、符号Pは押し付け
荷重の大きさを示し、また、符号Fは引き抜き荷重の大
きさを示す。
【0113】成形性の評価として、深絞り性を示すTZ
P値と張出し性を示すLDH値とを求める評価試験を行
った。深絞り性を示す尺度として用いたTZP値は、図
2に示すような円筒工具を用いて、最初は緩いしわ押さ
え圧で絞り成形を行い、最大成形荷重(Pm)を越えた
後で一旦ポンチを停止させ、しわ押さえ圧を最大にして
流入を抑えてから成形を再開して破断荷重(Pr)を求
め、下記計算式 TZP値(%)={(Pr−Pm)/Pr}×100 により求めた。このTZP値はその値が大きいほど絞り
性が優れていることになる。
【0114】図2において、符号5はポンチであり、符
号6はダイスであり、符号7はブウランクホルダーであ
り、符号8はしわ押さえ板であり、また、符号9は供試
材であって、実際の評価試験に用いた工具及び試験の条
件は、ポンチ径50mmφ、ポンチ肩半径5.0mm、
ダイス径51.9mmφ、ダイス肩半径5.0mm、ブ
ランク径100mmφ、初期しわ押さえ圧1トン、破断
させるときのしわ押さえ圧10トン、及び成形速度10
mm/分であった。
【0115】また、張出し性を示すLDH値は、図4に
示すように、直径(Dp)50mmφの半球状ポンチ、
及びダイス径(Dd)51.9mmの金型工具を用い、
各固体潤滑剤の皮膜(固体潤滑層)が塗布されたJIS
SPCE相当の0.80mm厚さの冷延鋼板を、しわ
押さえ力(P)10トン(又は最大能力の12トン)を
負荷して外周をロックビードで拘束し、破断するまで張
出し成形した成形品の成形高さを測定してその値(m
m)をLDHとし、○:機械の最大能力である12トン
を負荷しても材料流入してしまったもの、△:LDH値
が30mm以上のもの、×:LDH値が30mm未満の
もの、の3段階で評価した。なお、図3において、符号
10はポンチであり、符号11はダイスであり、符号1
2は供試材であり、また、符号13はしわ押さえ板であ
る。また、符号Pはしわ押さえ荷重を示す。
【0116】
【表7】
【0117】
【表8】
【0118】比較例1〜6 表9に示すように、ノニオン型高分子活性剤A1 〜A6
100重量部、上記実施例で用いた防錆剤B1重量部、
有機低分子化合物の塩E1 20重量部、及び、有機高分
子化合物の塩G1 を構成する不飽和カルボン酸誘導体と
同一モノマーの水溶液重合体のナトリウム塩20重量%
からなる溶液重合体の塩220重量部とを配合し、これ
に水2639重量部を混合して固形分濃度5重量%の潤
滑剤組成物を得た。
【0119】
【表9】
【0120】得られた各潤滑剤組成物について、上記実
施例と同様にして、その塗装性、ブロッキング性、防錆
性、耐水性、脱脂性、型付着性、摩擦係数(μ)、TZ
P値(%)、LDH値(mm)、及び付着量(g/
2 )を調べた。結果を表11に示す。
【0121】比較例7〜15 表10に示す潤滑剤を表9の割合で水と混合し、得られ
た潤滑剤組成物について、上記実施例と同様にして、そ
の塗装性、ブロッキング性、防錆性、耐水性、脱脂性、
型付着性、摩擦係数(μ)、TZP値(%)、LDH値
(mm)、及び付着量(g/m2 )を調べた。結果を表
11に示す。
【0122】
【表10】
【0123】
【表11】
【0124】上記表8(実施例の結果)及び表11(比
較例の結果)から明らかなように、本発明の固体潤滑剤
は、塗装性、ブロッキング性、防錆性、耐水性、脱脂
性、及び型付着性においてバランス良く優れた性能を発
揮すると共に、潤滑性としての平板引き抜き試験による
摩擦係数、深絞り成形性としてのTZP値、及び張出し
成形性としてのLDH値においても良好な結果を示して
いる。これに対して、比較例の潤滑剤は、塗装性、ブロ
ッキング性、防錆性、耐水性、脱脂性、型付着性、摩擦
係数、TZP値、及びLDH値の何れか3以上の物性に
おいてその性能が劣っている。
【0125】
【発明の効果】本発明の塑性加工用固体潤滑剤及び固体
潤滑層を有する金属板は、潤滑性に優れ、深絞りや張出
し等の成形性に対して極めて有効であり、かつ、塗装
性、ブロッキング性、防錆性、耐水性、脱脂性、型付着
性をも十分に満足するものであって、その工業的価値の
高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、摩擦係数の測定方法を説明するため
の説明図である。
【図2】 図2は、TZP値の測定方法を説明するため
の説明図である。
【図3】 図3は、LDH値の測定方法を説明するため
の説明図である。
【符号の説明】
1…平板ビード引き抜き工具、2…ロードセル、3…加
圧装置、4,9,12…供試材、P…押し付け荷重(し
わ押さえ荷重)、F…引き抜き荷重、5,10…ポン
チ、6,11…ダイス、7…ブウランクホルダー、8,
13…しわ押さえ板。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 135:22 149:08) C10N 20:00 20:04 30:00 30:06 30:12 40:24 50:02 (72)発明者 臼田 松男 千葉県富津市新富20−1、新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 真砂 千弘 奈良県奈良市西九条町5丁目2番地の5、 共栄社化学株式会社奈良研究所内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノニオン型高分子活性剤(A)と、防錆
    剤(B)と、脂肪族系メルカプト化合物(C)を配合し
    て合成された平均分子量800〜8,000の有機低分
    子化合物(D)及び/又はその塩(E)と、平均分子量
    8,000以上のカルボキシル基を有する有機高分子化
    合物(F)及び/又はその塩(G)とを含む水分散性皮
    膜形成成分からなることを特徴とする塑性加工用固体潤
    滑剤。
  2. 【請求項2】 ノニオン型高分子活性剤(A)と、防錆
    剤(B)と、平均分子量8,000以上のカルボキシル
    基を有する有機高分子化合物(F)及び/又はその塩
    (G)とを含む水分散性皮膜形成成分からなることを特
    徴とする塑性加工用固体潤滑剤。
  3. 【請求項3】 ノニオン型高分子活性剤(A)は、TG
    /DTA法による融点が45℃以上であって、Kara
    binos法による曇数が15以上である請求項1又は
    2に記載の塑性加工用固体潤滑剤。
  4. 【請求項4】 ノニオン型高分子活性剤(A)は、炭素
    数8〜22のアルキル及び/又はアルキレンアルコー
    ル、炭素数8〜22の飽和及び/又は不飽和脂肪酸、1
    2−ヒドロキシステアリン酸、及びリシノール酸から選
    ばれた1種又は2種以上の混合物にエチレンオキサイド
    を50〜250モルの範囲で付加させて合成されたポリ
    オキシエチレンアルキル及び/又はアルキレンエーテ
    ル、ポリオキシエチレン飽和及び/又は不飽和脂肪酸エ
    ステル、ポリオキシエチレン12−ヒドロキシステアリ
    ン酸エステルエーテル、及びポリオキシエチレンリシノ
    ール酸エステルエーテル、並びに、水添ヒマシ油にエチ
    レンオキサイドを150〜250モルの範囲で付加させ
    て合成されたポリオキシエチレン水添ヒマシ油エーテル
    から選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1
    〜3の何れかに記載の塑性加工用固体潤滑剤。
  5. 【請求項5】 防錆剤(B)が、下記一般式 R−SO2 NH(CH2 n COOM (但し、式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又は
    炭素数10〜18のアルキレン基を示し、Mはアルカリ
    金属を示し、nは1〜3の整数である)で表され、潤滑
    性及び乳化性を有するアルキル又はアルキレンスルホン
    アミドカルボン酸塩型防錆剤である請求項1又は2に記
    載の塑性加工用固体潤滑剤。
  6. 【請求項6】 防錆剤(B)が、ノニオン型高分子活性
    剤(A)45〜95重量部(固形分換算)に対して、
    0.1〜4重量部の範囲内で含有されている請求項1又
    は2に記載の塑性加工用固体潤滑剤。
  7. 【請求項7】 脂肪族系メルカプト化合物(C)が、炭
    素数4〜18のアルキル及び/又はアルキレンメルカプ
    タン、炭素数2〜3のメルカプトアルキレン酸、メルカ
    プトモノエタノール並びにメルカプトジエタノールから
    選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1に記
    載の塑性加工用固体潤滑剤。
  8. 【請求項8】 有機低分子化合物(D)が、不飽和ニト
    リル(a)の共重合体である請求項1に記載の塑性加工
    用固体潤滑剤。
  9. 【請求項9】 有機低分子化合物(D)が、不飽和ニト
    リル(a)、不飽和カルボン酸(b)及び不飽和カルボ
    ン酸エステル(c)の共重合体である請求項1に記載の
    塑性加工用固体潤滑剤。
  10. 【請求項10】 不飽和ニトリル(a)が、アクリロニ
    トリルである請求項8又は9に記載の塑性加工用固体潤
    滑剤。
  11. 【請求項11】 有機低分子化合物(D)の塩(E)
    が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウ
    ム塩及び有機アミン塩から選ばれた1種又は2種以上の
    混合物である請求項1及び7〜10の何れかに記載の塑
    性加工用固体潤滑剤。
  12. 【請求項12】 有機低分子化合物(D)及び/又はそ
    の塩(E)が、ノニオン型高分子活性剤(A)45〜9
    5重量部(固形分換算)に対して、0〜15重量部(固
    形分換算)の範囲内で含有されている請求項1及び7〜
    11の何れかに記載の塑性加工用固体潤滑剤。
  13. 【請求項13】 有機高分子化合物(F)が、不飽和カ
    ルボン酸(d)の共重合体である請求項1又は2に記載
    の塑性加工用固体潤滑剤。
  14. 【請求項14】 有機高分子化合物(F)が、不飽和カ
    ルボン酸(d)、不飽和カルボン酸エステル(e)、不
    飽和ニトリル(f)及び水酸基含有不飽和カルボン酸エ
    ステル(g)の共重合体である請求項1又は2に記載の
    塑性加工用固体潤滑剤。
  15. 【請求項15】 有機高分子化合物(F)を構成する不
    飽和カルボン酸(d)が、アクリル酸、メタクリル酸及
    びクロトン酸から選ばれた1種又は2種以上の混合物で
    ある請求項1、2、13及び14の何れかに記載の塑性
    加工用固体潤滑剤。
  16. 【請求項16】 有機高分子化合物(F)の塩(G)
    が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウ
    ム塩及び有機アミン塩から選ばれた1種又は2種以上の
    混合物である請求項1、2及び13〜15の何れかに記
    載の塑性加工用固体潤滑剤。
  17. 【請求項17】 有機高分子化合物(F)及び/又はそ
    の塩(G)が、ノニオン型高分子活性剤(A)45〜9
    5重量部(固形分換算)に対して、3.5〜175重量
    部の範囲内で含有されている請求項1、2及び13〜1
    6の何れかに記載の塑性加工用固体潤滑剤。
  18. 【請求項18】 ノニオン型高分子活性剤(A)と、防
    錆剤(B)と、有機低分子化合物(D)及び/又はその
    塩(E)と、有機高分子化合物(F)及び/又はその塩
    (G)との配合比が、固形分重量換算で、A/B/D・
    E/F・G=45〜95/0.1〜4/0〜15/3.
    5〜175である請求項1又は2に記載の塑性加工用固
    体潤滑剤。
  19. 【請求項19】 ノニオン型高分子活性剤(A)と、防
    錆剤(B)と、脂肪族系メルカプト化合物(C)を配合
    して合成された平均分子量800〜8,000の有機低
    分子化合物(D)及び/又はその塩(E)と、平均分子
    量8,000以上のカルボキシル基を有する有機高分子
    化合物(F)及び/又はその塩(G)とを含む水分散性
    皮膜形成成分で形成された固体潤滑層が、金属板の片面
    又は両面に0.5〜5g/m2 の膜厚で塗布されている
    ことを特徴とする塑性加工用金属板。
  20. 【請求項20】 ノニオン型高分子活性剤(A)と、防
    錆剤(B)と、平均分子量8,000以上のカルボキシ
    ル基を有する有機高分子化合物(F)及び/又はその塩
    (G)とを含む水分散性皮膜形成成分で形成された固体
    潤滑層が、金属板の片面又は両面に0.5〜5g/m2
    の膜厚で塗布されていることを特徴とする塑性加工用金
    属板。
  21. 【請求項21】 防錆剤(B)が、ノニオン型高分子活
    性剤(A)45〜95重量部(固形分換算)に対して、
    0.1〜4重量部の範囲内で含有されている請求項19
    又は20に記載の塑性加工用金属板。
  22. 【請求項22】 有機高分子化合物(F)及び/又はそ
    の塩(G)が、不飽和カルボン酸(d)、不飽和カルボ
    ン酸エステル(e)、不飽和ニトリル(f)及び水酸基
    含有不飽和カルボン酸エステル(g)の共重合体及び/
    又はその塩である請求項19〜21に記載の塑性加工用
    金属板。
JP8157219A 1996-06-18 1996-06-18 塑性加工用固体潤滑剤及び固体潤滑層を有する塑性加工用金属板 Withdrawn JPH101690A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6706411B2 (en) 1999-12-24 2004-03-16 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Rust-preventing lubricated steel materials and coating compositions therefor
JP4659220B2 (ja) * 1999-03-05 2011-03-30 株式会社Moresco 塑性加工用水性潤滑離型剤組成物
KR20150020236A (ko) 2012-02-03 2015-02-25 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 성형 가공용 알루미늄판
CN110405421A (zh) * 2019-08-01 2019-11-05 上海工程技术大学 一种车用有色金属壳体零件的冷镦挤复合成形方法

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