JPH10164782A - 積層鉄心とその製造方法及び製造用金型装置 - Google Patents

積層鉄心とその製造方法及び製造用金型装置

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JPH10164782A
JPH10164782A JP31494996A JP31494996A JPH10164782A JP H10164782 A JPH10164782 A JP H10164782A JP 31494996 A JP31494996 A JP 31494996A JP 31494996 A JP31494996 A JP 31494996A JP H10164782 A JPH10164782 A JP H10164782A
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隆彦 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄心板にスロット穴を打抜き加工する際に発
生するバリによって界磁巻線の絶縁被覆部を損傷させる
ことがないように積層した積層鉄心とその製造方法及び
製造用の順送り金型装置の提供を目的とする。 【解決手段】 スロット穴15が打抜き加工された鉄心
板17を積層固着した積層鉄心において、最下層側に積
層した鉄心板17Rには上抜きのスロット穴15Rが打
抜き加工されていると共に、最上層側に積層した鉄心板
17Fには下抜きのスロット穴15Fが打抜き加工され
ている。 【効果】 鉄心板を打抜き加工する際にバリが発生する
ことを許容し、バリによって界磁巻線の絶縁被覆部を損
傷させることがないように積層した積層鉄心を順送り金
型装置内において容易に製作することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばモータの回
転子や固定子などの回転電機に使用される積層鉄心に係
り、特に積層鉄心に巻装される界磁巻線の絶縁被覆部を
損傷して短絡事故の要因となるスロット穴開口縁部のバ
リの影響を排除するようにした積層鉄心とその製造方法
及び製造用金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の積層鉄心の製造技術では、順送
り金型装置に沿って間欠移送される帯状の薄板金属材料
(フープ材)に対し、上型側のパンチと下型側のダイを
用いて所定の鉄心形状に必要なスロット穴及び内径穴な
どの打抜き加工を行った後に、最終工程で外形打抜きし
た鉄心板を順次ダイ内へ抜き落として積層すると共に、
重合状態で上下に隣接するダイ内の各鉄心板をカシメ結
合などの連結手段で所定枚数毎に一体に固着連結し、所
定の積み厚の積層鉄心を得るようにしている。
【0003】上記積層鉄心は、金型装置から取り出した
後に界磁巻線を施してモータの回転子などの鉄心製品に
するが、スロット及び内径などの打抜き加工を行った際
に、各鉄心板の開口縁部には打抜き方向に沿って突出す
る態様でバリが発生し、特に積層鉄心の上下端部側に位
置する鉄心板からバリが突出している場合には、このバ
リが界磁巻線の絶縁被覆部を損傷させて絶縁不良による
短絡事故を生じさせる恐れがあり、この問題を解消する
手段として、例えば特公昭63−26619号公報や特
許第2527498号公報に開示された提案がなされて
いる。
【0004】従来技術の前者では、積層鉄心を上下から
加圧する専用の成形装置を用い、上下端部側に位置する
鉄心板の開口縁部に対して同時に加圧成形することによ
り、当該開口縁部を面取りする態様で丸みを付けて発生
したバリを除去しているが、この場合には順送り金型装
置などを用いて積層鉄心を製作した後に格別なバリ除去
用の成形装置を用いて加工をするために、作業性の向上
が損なわれたり全体装置として高価になる恐れがある。
【0005】従来技術の後者では、積層鉄心を製作する
順送り金型装置の打抜き工程の後にバリ除去用のステー
ションを設け、このステーションには既に打ち抜かれた
加工形状に対応した形状の突起を装備させ、打抜き工程
で各鉄心板の開口縁部に発生したバリを当該突起の加圧
成形によって圧潰するようにしているが、この場合には
スロットや内外径などの打抜き加工孔に対して上記突起
の形状と位置を正確に整合させる必要があり、少しでも
位置ずれがあるとバリが除去されずに新たなバリが発生
して性能を低下させたり歩留まりを悪くし、場合によっ
ては使用不能にする恐れもあってその実施が容易ではな
く、高精度に加工するためには高価な装置を必要とした
り作業能率を低下させる恐れもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では上
記したような従来技術の課題を解決するために、鉄心板
を打抜き加工する際にバリが発生することを許容し、こ
のバリによって界磁巻線の絶縁被覆部を損傷させること
がないように積層した積層鉄心と、この積層鉄心を順送
り金型装置内において容易に製作することができる積層
鉄心の製造方法及び製造用の順送り金型装置の提供を目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明による積層鉄心では、スロット穴が打抜き加工
された鉄心板を積層固着した積層鉄心において、最下層
側に積層した鉄心板には上抜きのスロット穴が打抜き加
工されていると共に、最上層側に積層した鉄心板には下
抜きのスロット穴が打抜き加工されており、特に上記ス
ロット穴は、最下層に積層した1〜数枚の鉄心板に上抜
きのスロット穴が打抜き加工され、その他の鉄心板には
下抜きのスロット穴が打抜き加工されていると共に、当
該上抜きのスロット穴は下抜きのスロット穴より僅かに
大径に打抜き加工されていることが望ましい。
【0008】上記積層鉄心では、特に最下層側の鉄心板
に上抜きのスロット穴を設けたことにより、スロット穴
の開口縁部に発生するバリが上面側へ突出すると共に、
当該開口縁部の下面側は円弧状に面取りされた状態に形
成されるので、従来技術の積層鉄心のようにバリが下面
側に突出して界磁巻線の絶縁被覆を損傷する事故は改善
されると共に、絶縁被覆を薄くして界磁巻線を高密度に
した経済的で且つ高品質の巻線が可能になり、また上抜
きのスロット穴の径を下抜きのスロット穴より大きくす
ると寸法精度の誤差や打抜き時の位置ずれをある程度許
容することができるので、歩留まりが改善されて生産性
の向上にも寄与する。
【0009】また、本発明による積層鉄心の製造方法で
は、フープ材から打抜き加工した鉄心板を積層固着して
積層鉄心を製造する順送り金型装置の工程中に、下型側
から上型側へ抜き上げて鉄心板に上抜きのスロット穴を
打抜き加工する工程と、上型側から下型側へ抜き落とし
て鉄心板に下抜きのスロット穴を打抜き加工する工程と
を備え、上記下抜きスロット穴の打抜き工程の前に配設
した上記上抜きスロット穴の打抜き工程で積層鉄心の最
下層側に積層される1枚又は数枚の鉄心板に対する打抜
き加工を行うようにし、特に上記上抜きスロット穴の打
抜きを、上記下抜きスロット穴の打抜きパンチより、僅
かに大径の打抜きパンチによって打抜き加工することが
望ましい。
【0010】上記積層鉄心の製造方法では、スロット穴
の開口縁部に発生したバリを金型で圧潰成形する従来技
術に対して、順送り金型装置の工程中で一部の鉄心板の
スロット穴の打抜き方向を制御してバリの突出方向を変
えたものであり、界磁巻線の絶縁被覆を損傷しないよう
にした積層鉄心を、従来の一般的な積層鉄心の場合と同
様に順送り金型装置を用いて作業能率良く製造すること
ができると共に、一度発生したバリを圧潰状態に再成形
する従来技術の場合に比べてパンチの位置ずれによる悪
影響が少ないので歩留まり良く製造することができ、特
に上抜きスロット穴の打抜きを下抜きスロット穴より僅
かに大径の打抜きパンチで打抜き加工すると、上記位置
ずれによる悪影響を一段と軽減した積層鉄心が得られ
る。
【0011】さらに本発明による積層鉄心の製造用金型
装置では、フープ材から打抜き加工した鉄心板を積層固
着して積層鉄心を製造する順送り金型装置において、鉄
心板に下抜きのスロット穴を打抜き加工する工程と、こ
の前工程に配備した鉄心板に上抜きのスロット穴を打抜
き加工する工程に対し、上記上抜きスロット穴の打抜き
工程には下型側に打抜きパンチを上型側に打抜きダイを
設け、上記下抜きスロット穴の打抜き工程には上型側に
打抜きパンチを下型側に打抜きダイを設け、上記各パン
チは打抜き可能な稼働位置と打抜き不能な待機位置の間
を移動させる昇降手段を介して下型側と上型側へそれぞ
れ装着されると共に、積層鉄心の最下層側に積層される
1枚又は数枚の鉄心板に対しては上記下型側の打抜きパ
ンチを、それ以降の鉄心板に対しては上記上型側の打抜
きパンチをそれぞれ稼働位置へ移動すべく、上記昇降手
段の切り換え制御手段を設けた構成とし、特に上記上抜
きスロット穴の打抜き加工を行うスロット用上抜きパン
チは、上記下抜きスロット穴の打抜き加工を行うスロッ
ト用下抜きパンチより、僅かに大径とすることが望まし
く、この場合には該下抜きパンチと先に打ち抜かれた上
抜きスロット穴とが干渉することがないので、前述の昇
降手段を有さずに打抜き位置に下抜きパンチを固定して
おいてもよい。
【0012】上記積層鉄心の製造用金型装置では、従来
技術のように製造後の積層鉄心に対してバリを除去する
ために格別な圧潰成型用の装置を必要とせず、また一旦
発生したバリを除去するために順送り金型装置内に格別
な圧潰成形用のステーションを別個に設けたりする必要
が無いので、比較的安価な装置で作業能率を低下させる
ことなく製造することができると共に、パンチに多少の
位置ずれを生じても、圧潰成形の場合のように製品に重
大な欠陥を与えることもなく、特に上抜きスロット穴を
僅かに大径の打抜きパンチで打抜き加工すれば、この位
置ずれを一層許容することができるようになる。
【0013】
【実施の形態】以下に、本発明による積層鉄心とその製
造方法及び製造用金型装置に付いて、図1〜4で図示し
たモータの回転子に適用した実施の形態に基づいて詳細
に説明するが、図1は積層鉄心の製造方法と装置であっ
て製造用の順送り金型装置の要部断面図を示し、図2は
フープに対する工程毎の打抜き加工状態を示し、図3は
従来技術による積層鉄心の積層状態を示し、図3は本発
明による積層鉄心の積層状態を示す。
【0014】順送り金型装置10は、上型10Aと下型
10Bで構成された金型の間に帯状の薄板金属材料11
即ちフープ材が供給され、この薄板金属材料11に対し
て最初の工程(1)ではパイロット用のパンチ12とダ
イ13によってパイロット穴14,14の打抜き加工が
行われ、その後はパイロット穴14をガイドにしてフー
プ材は矢印方向へ所定の時間間隔で間欠的に順次移送さ
れ スロット穴15と内径穴16の打抜き加工を行った
後に、最終工程では外形の打抜きをした所定枚数の各鉄
心板17を積層状態で固着連結する。
【0015】従来の製造方法は、パイロット穴抜き工程
(1)の次工程では工程(3)で示すように、上型10
A側に装着したスロット用下抜きパンチ18と下型10
B側に装着したスロット用下抜きダイ19によってスロ
ット穴15の打抜き加工が行われ、更にその次工程では
工程(5)で示すように、上型10A側に装着した内径
用下抜きパンチ20と下型10B側に装着した内径用下
抜きダイ21によって内径穴16の打抜き加工が行わ
れ、最終工程では工程(6)で示すように上型10A側
に装着した外形用パンチ22と下型10B側に装着した
外形用ダイ23によって外形24の打抜き加工を行っ
て、順次抜き落とされた各鉄心板17に対する積層固着
が外形用ダイ23内で行われていた。
【0016】この従来技術による製造方法の場合は、図
3に示すように各鉄心板17には、スロット穴15及び
内径穴16の開口縁部に抜き方向Fに沿って突出するバ
リ15b,16bが発生すると共に、外形24の縁部に
は逆抜き方向Rに沿って突出するバリ24bが発生し、
これらの鉄心板17(17−1〜n)を外形用ダイ23
内で積層してカシメ固着すると、特に最初に打抜きされ
て最下層に積層された鉄心板17−1のバリ15b,1
6bが界磁巻線の絶縁被覆部を損傷させる。
【0017】そこで本発明では、スロット穴15の打抜
き工程の前に工程(2)として上型10A側に装着した
スロット用上抜きダイ25と、下型10B側に装着した
スロット用上抜きパンチ26によって、工程(3)で打
ち抜かれるスロット穴15(下抜きスロット穴15F)
とは打抜き方向を逆にした状態で、即ち下型10B側か
ら上型10A側へスロット穴15(上抜きスロット穴1
5R)の打抜き加工を行うスロット逆抜き工程を設け、
最初の1枚目の鉄心板17−1又は数枚の鉄心板17−
1〜3に対して上抜きスロット穴15Rを打抜き加工
し、その後の鉄心板17−2〜n又は17−4〜nに対
しては従来と同様に工程(3)において下抜きスロット
穴15Fを打抜き加工するようにした。
【0018】上記パンチ26とダイ25によってスロッ
ト穴15(15R)が打抜き加工されると、図4で示す
ように従来と同様に上型A側から下型B側へ工程(3)
で打抜きされるスロット穴15Fの場合とは反対側へ、
即ち鉄心板17の上面側へ突出する態様でスロット穴1
5Rの開口縁部にバリ15bが発生すると共に、当該ス
ロット穴15Rの開口縁部は円弧状に面取りされた状態
に形成されるので、このスロット穴15Rを備えた鉄心
板17Rを積層鉄心の最下層側へ1〜数枚配設させてお
けば、バリ15bによって界磁巻線の絶縁被覆部が損傷
されることを回避することができる。
【0019】また工程(2)で逆抜きする上抜きスロッ
ト穴15Rは、工程(3)で打抜きする下抜きスロット
穴15Fに比べて、僅かに(例えば、片側で0.02〜
0.03mm)径を大きくすることが望ましく、そのた
めにパンチ18とダイ19に対するパンチ26とダイ2
5の径を0.05mm程度大径にし、仮に双方のパンチ
又はダイに多少の位置ずれがあっても、パンチ26で打
抜いたスロット穴15Rとパンチ18が干渉しない構成
にしているので、積層した際におけるスロット穴15R
とスロット穴15Fとの位置合わせに支障を来さないも
のである。
【0020】工程(2)のスロット用上抜きパンチ26
と工程(3)のスロット用下抜きパンチ18は、打抜き
可能な稼働位置と打抜き不能な待機位置との間を例えば
油圧や空気圧を用いて流体圧シリンダなどによる昇降手
段27,28で移動できるようにすると共に、これらの
昇降手段27,28はプレスのストロークに連動させて
作動する流体圧回路(図示を省略)などによる切り換え
制御手段によって、所望のスロット穴打抜きパンチが稼
働位置へ移動されるように構成し、また上抜きパンチ2
6の打抜きによって上抜きダイ25内に生じたスクラッ
プは真空ポンプなどを用いた吸引排出手段29を介して
型外へ排出される。
【0021】上記切り換え制御手段による昇降手段2
7,28の制御は、スロット用パンチ26が稼働位置で
積層鉄心の最下層側へ配設する1〜数枚の鉄心板17R
に対して上抜きスロット穴15Rの打抜きを行っている
間は、スロット用下抜きパンチ18が待機位置に移動さ
れ、上抜きスロット穴15Rの打抜きを終えたスロット
用上抜きパンチ26は次の積層鉄心の上抜きスロット穴
15Rの打抜きまで待機位置へ移動させ、それまで待機
位置にあったスロット用下抜きパンチ18を代わって稼
働位置へ移動させ、その間に1〜数枚以降の鉄心板17
Fに対して下抜きスロット穴15Fの打抜きを行うよう
にする。
【0022】以上に説明した切り換え制御手段による昇
降手段27,28の制御は、スロット穴15R及びスロ
ット穴15Fが同一寸法で打ち抜く際を示しているが、
前述した最下層側の1〜数枚のスロット穴15Rを僅か
に大径に形成する場合には、図1に示されている昇降手
段28は必要なく、打抜き位置にパンチ18が固定され
ていても良い。即ち、前工程で大径に打ち抜かれた後に
パンチ18が降下するので、パンチ18と打抜きスロッ
ト穴15Rが干渉することがなく、わざわざパンチ18
を昇降手段28で後退させなくても良いからである。
【0023】次に、工程(4)と工程(5)では内径穴
16の打抜き加工を行うが、この内径穴16には例えば
モータの回転子用積層鉄心の場合にはモータ回転軸が、
モータの固定子用積層鉄心の場合には回転子が挿着され
るので、それに必要な穴径を確保するための手段とし
て、従来と同様に上型10A側に装着した内径用基準パ
ンチ20と下型10B側に装着した内径用基準ダイ21
によって内径穴16(基準内径穴16N)の打抜き加工
を行う内径打抜き工程(5)の前に、積層鉄心の最下層
側及び最上層側に位置する若干枚数の鉄心板17に対し
て、基準内径穴16Nより僅かに径の大きい拡大内径穴
16Lの打抜き加工を行う内径打抜き工程(4)を設け
ている。
【0024】即ち、内径穴16の開口縁部にバリ16a
が突出したり、各穴の打抜き精度によって内径穴16の
軸心がずれた状態で積層されると、例えば回転子用積層
鉄心の場合にはモータ回転軸の挿着が困難になるので、
打抜きした各鉄心板17を積層した際に十分な内径穴1
6を確保する必要があり、そこで工程(4)には、基準
内径穴16Nを打抜く工程(5)のパンチ20より僅か
に径の大きい内径用拡大パンチ30を上型10A側に装
着すると共に、これに適合する内径用拡大ダイ31を下
型10B側に装着し、このパンチ30とダイ31によっ
て積層鉄心の最下層側及び最上層側に位置する若干枚数
の鉄心板17に拡大内径穴16Lを設けることによっ
て、基準内径穴16Nが確保されるようにした。
【0025】工程(4)に設けた内径用拡大パンチ30
は、打抜き可能な稼働位置と打抜き不能な待機位置との
間を昇降手段32によって移動可能な構成とし、積層鉄
心の最下層側及び最上層側に位置する若干枚数の鉄心板
17に対して拡大内径穴16Lを打抜き加工する際に稼
働位置へ移動されるように昇降手段32が制御され、工
程(5)に設けた内径用基準パンチ20は、上記以外の
鉄心板17に対して基準内径穴16Nを打抜くと共に、
既に内径穴16Lが打抜かれた上記若干枚数の鉄心板1
7に対しては、当該内径穴16Lに遊嵌した状態で空抜
きする。
【0026】以上の工程(2)〜(5)によって、薄板
金属材料11に積層鉄心の鉄心板17として必要な加工
が施された後に、直接加工を行わないアイドルステージ
を経て最終工程である工程(6)へ順次移送され、上型
10A側に装着した外形用パンチ22と下型10B側に
装着した外形用ダイ23によって外形24の打抜き加工
が行われると共に、順次抜き落とされた各鉄心板17は
工程中に予め連結手段として加工されたカシメ用突起
(図示を省略)を介して外形用ダイ23内において所定
枚数毎に積層固着が行われ、図4で示すように一体の積
層鉄心33が得られる。
【0027】この積層鉄心33は、少なくとも最初に打
ち抜かれて最下層に位置して一般に計量用として使用さ
れる鉄心板17R又は、当該計量用の鉄心板を含む数枚
の鉄心板17に対して、上記スロット逆抜き工程(2)
において下型10B側から上型10A側へ上抜きスロッ
ト穴15Rを打抜き加工したので、当該スロット穴15
Rの開口縁部にはバリ15bが上向きに発生して積層鉄
心33の下端面から突出せず、また最後に打ち抜かれて
最上層に位置する鉄心板を含むその他の鉄心板17Fに
は、従来技術の場合と同様にスロット抜き工程(3)に
おいてバリ15bが積層鉄心33の上端面から突出しな
い方向へ下向きスロット穴15Fの打抜き加工がされる
ので、界磁巻線の絶縁被覆を損傷する事故を図3で示す
従来技術のものに比べて著しく軽減させることができ
る。
【0028】
【発明の効果】本発明の積層鉄心では、特に最下層側の
鉄心板に上抜きのスロット穴を設けたことにより、スロ
ット穴の開口縁部に発生するバリが上面側へ突出すると
共に、当該開口縁部の下面側は円弧状に面取りされた状
態に形成されるので、従来技術の積層鉄心のようにバリ
が下面側に突出して界磁巻線の絶縁被覆を損傷する事故
は改善されると共に、絶縁被覆を薄くして界磁巻線を高
密度にした経済的で且つ高品質の巻線が可能になり、ま
た上抜きのスロット穴の径を下抜きのスロット穴より大
きくすると寸法精度の誤差や打抜き時の位置ずれをある
程度許容することができるので、歩留まりが改善されて
生産性の向上にも寄与する。
【0029】本発明の積層鉄心の製造方法では、スロッ
ト穴の開口縁部に発生したバリを金型で圧潰成形する従
来技術に対して、順送り金型装置の工程中で一部の鉄心
板のスロット穴の打抜き方向を制御してバリの突出方向
を変えたものであり、界磁巻線の絶縁被覆を損傷しない
ようにした積層鉄心を、従来の一般的な積層鉄心の場合
と同様に順送り金型装置を用いて作業能率良く製造する
ことができると共に、一度発生したバリを圧潰状態に再
成形する従来技術の場合に比べてパンチの位置ずれによ
る悪影響が少ないので歩留まり良く製造することがで
き、特に上抜きスロット穴の打抜きを下抜きスロット穴
より僅かに大径の打抜きパンチで打抜き加工すると、上
記位置ずれによる悪影響を一段と軽減した積層鉄心が得
られる。
【0030】本発明の積層鉄心の製造用金型装置では、
従来技術のように製造後の積層鉄心に対してバリを除去
するために格別な圧潰成型用の装置を必要とせず、また
一旦発生したバリを除去するために順送り金型装置内に
格別な圧潰成形用のステーションを別個に設けたりする
必要が無いので、比較的安価な装置で作業能率を低下さ
せることなく製造することができると共に、パンチに多
少の位置ずれを生じても、圧潰成形の場合のように製品
に重大な欠陥を与えることもなく、特に上抜きスロット
穴を僅かに大径の打抜きパンチで打抜き加工すれば、こ
の位置ずれを一層許容することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をモータ回転子用積層鉄心の製造方法と
装置に適用した製造用の順送り金型装置の要部断面図
【図2】図1の順送り金型装置を用いて打抜き加工され
るフープ材のレイアウト図。
【図3】従来技術による積層鉄心の積層状態を示す簡略
説明図。
【図4】本発明による積層鉄心の積層状態を示す簡略説
明図。
【符号の説明】
10 順送り金型装置 10A 上型 10B 下型 11 薄板金属材料 12 パイロット用パンチ 13 パイロット用ダイ 14 パイロット穴 15 スロット穴 15F 下抜きスロット穴 15R 上抜きスロット穴 16 内径穴 16L 拡大内径穴 16N 基準内径穴 17 積層鉄心 18 スロット用下抜きパンチ 19 スロット用下抜きダイ 20 内径用基準パンチ 21 内径用基準ダイ 22 外形用パンチ 23 外形用ダイ 24 外形 25 スロット用上抜きダイ 26 スロット用上抜きパンチ 27 昇降手段(スロット用上抜きパンチの) 28 昇降手段(スロット用下抜きパンチの) 29 吸引排出手段 30 内径用拡大パンチ 31 内径用拡大ダイ 32 昇降手段(内径用拡大パンチの) 33 積層鉄心

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スロット穴が打抜き加工された鉄心板を
    積層固着した積層鉄心において、最下層側に積層した鉄
    心板には上抜きのスロット穴が打抜き加工されていると
    共に、その他の鉄心板には下抜きのスロット穴が打抜き
    加工されていることを特徴とした積層鉄心。
  2. 【請求項2】 上記スロット穴は、最下層側に積層した
    1〜数枚の鉄心板に上抜きのスロット穴が打抜き加工さ
    れ、その他の鉄心板には下抜きのスロット穴が打抜き加
    工されていると共に、当該上抜きのスロット穴は下抜き
    のスロット穴より僅かに大径に打抜き加工されている請
    求項1に記載した積層鉄心。
  3. 【請求項3】 フープ材から打抜き加工した鉄心板を積
    層固着して積層鉄心を製造する順送り金型装置の工程中
    に、下型側から上型側へ抜き上げて鉄心板に上抜きのス
    ロット穴を打抜き加工する工程と、上型側から下型側へ
    抜き落として鉄心板に下抜きのスロット穴を打抜き加工
    する工程とを備え、上記下抜きスロット穴の打抜き工程
    の前に配設した上記上抜きスロット穴の打抜き工程で積
    層鉄心の最下層側に積層される1枚又は数枚の鉄心板に
    対する打抜き加工を行うことを特徴とした積層鉄心の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上記上抜きスロット穴の打抜きを、上記
    下抜きスロット穴の打抜きパンチより、僅かに大径の打
    抜きパンチによって打抜き加工する請求項3に記載した
    積層鉄心の製造方法。
  5. 【請求項5】 フープ材から打抜き加工した鉄心板を積
    層固着して積層鉄心を製造する順送り金型装置におい
    て、鉄心板に下抜きのスロット穴を打抜き加工する工程
    と、この前工程に配備した鉄心板に上抜きのスロット穴
    を打抜き加工する工程に対し、上記上抜きスロット穴の
    打抜き工程には下型側に打抜きパンチを上型側に打抜き
    ダイを設け、上記下抜きスロット穴の打抜き工程には上
    型側に打抜きパンチを下型側に打抜きダイを設け、上記
    各パンチは打抜き可能な稼働位置と打抜き不能な待機位
    置の間を移動させる昇降手段を介して下型側と上型側へ
    それぞれ装着されると共に、積層鉄心の最下層側に積層
    される1枚又は数枚の鉄心板に対しては上記下型側の打
    抜きパンチを、それ以降の鉄心板に対しては上記上型側
    の打抜きパンチをそれぞれ稼働位置へ移動すべく、上記
    昇降手段の切り換え制御手段を設けたことを特徴とした
    積層鉄心の製造用金型装置。
  6. 【請求項6】 フープ材から打抜き加工した鉄心板を積
    層固着して積層鉄心を製造する順送り金型装置におい
    て、鉄心板に下抜きのスロット穴を打抜き加工する工程
    と、この前工程に配備した鉄心板に上抜きのスロット穴
    を打抜き加工する工程に対し、上記上抜きスロット穴の
    打抜き工程には下型側に打抜きパンチを上型側に打抜き
    ダイを設け、上記下抜きスロット穴の打抜き工程には上
    型側に打抜きパンチを下型側に打抜きダイを設け、上記
    下型側の打抜きパンチは打抜き可能な稼働位置と打抜き
    不能な待機位置の間を移動させる昇降手段を介して下型
    側へ装着されると共に、積層鉄心の最下層側に積層され
    る1枚又は数枚の鉄心板に対しては上記下型側の打抜き
    パンチを稼働位置へ移動すべく、上記昇降手段の切り換
    え制御手段を設けたことを特徴とした積層鉄心の製造用
    金型装置。
  7. 【請求項7】 上記上抜きスロット穴の打抜き加工を行
    うスロット用上抜きパンチ及びダイは、上記下抜きスロ
    ット穴の打抜き加工を行うスロット用下抜きパンチ及び
    ダイより、僅かに大径とした請求項6に記載した積層鉄
    心の製造用金型装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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