JPH10162774A - 金属蒸気放電灯用封入物 - Google Patents

金属蒸気放電灯用封入物

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JPH10162774A
JPH10162774A JP33302996A JP33302996A JPH10162774A JP H10162774 A JPH10162774 A JP H10162774A JP 33302996 A JP33302996 A JP 33302996A JP 33302996 A JP33302996 A JP 33302996A JP H10162774 A JPH10162774 A JP H10162774A
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lamp
iron
metal
powder
halide
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JP33302996A
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Shinichi Endo
真一 遠藤
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Iwasaki Denki KK
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光管への封入量の精度とランプの製造上の
生産性を向上させることの可能な金属蒸気放電灯用封入
物を提供する。 【解決手段】 発光管1の両端に電極2,2を備え、水
銀,希ガス,ハロゲン,及び鉄,コバルト,ニッケルの
一群の中から少なくとも一種以上を発光物質として封入
してなる金属蒸気放電灯の製造に用いる封入物を、乾燥
させた粒径2〜 200μmの鉄粉末と約 100μmの粒径の
ヨウ化鉄粉末を混合し、プレス器に振込み1kg/cm2
圧力でプレスして得られるペレットとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インキや塗料の
乾燥あるいは樹脂の硬化に使用される光化学反応用の金
属蒸気放電灯の製造に用いる封入物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光化学反応や塗料の乾燥用に用い
られる光源には、主に高圧水銀ランプが使用されている
が、高圧水銀ランプよりも紫外線域での発光効率を高め
たものに金属蒸気放電灯(メタルハライドランプとも言
う)が知られている。
【0003】上記メタルハライドランプは、石英製発光
管の両端にタングステン等からなる電極を配置してお
り、該電極はモリブデンの箔を介して外接リード線に接
続されており、両端の外接リード線から電力が発光管に
供給されるようになっている。そして発光管の中には、
水銀と希ガスと金属のハロゲン化物が封入されており、
点灯後発光管の温度上昇と共に水銀と金属ハロゲン化物
の蒸気圧があがり、放電プラズマ中で金属ハロゲン化物
が分解されて金属原子となり、電極から放出される電子
のエネルギーを受け取り励起する。励起した金属原子は
エネルギーを光として放出するため、金属元素の持つ固
有の発光スペクトルが得られるようになっている。
【0004】光化学反応やインキ、塗料の乾燥には 250
nm〜 450nmの波長の光が有効で、この波長域に発光スペ
クトルを持つ金属元素としては、ガリウム,鉛,鉄,コ
バルト,ニッケルなどが知られている。これらの金属元
素のうち、鉄,コバルト,ニッケルという鉄族のハロゲ
ン化物を添加したランプは、 250nm〜 450nmの波長域で
の発光効率が特に高く、光化学用光源として適している
【0005】光化学反応用メタルハライドランプに関す
る従来の提案例としては、特公昭58−18743号公
報、特公昭59−23420号公報、特公昭62−54
234号公報、特公平4−75623号公報などに開示
されているものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】メタルハライドランプ
の添加物、すなわち水銀や金属及び金属ハロゲン化物の
添加方法は、大別して二種類ある。ひとつはハロゲン化
水銀(例えばヨウ化水銀:HgI2 )と金属(例えば鉄:
Fe )の粒を用いる方法、もう一つはハロゲン化金属
(例えばヨウ化鉄:FeI2 )と金属(例えば鉄:Fe )
の粒を用いる方法である。これらの方法は上記公報にお
いて開示がなされている。
【0007】また近年では、米国特許第3676534
号明細書に開示されているような製法で作られた粒
(球)状の金属ハロゲン化物が市販されるようになっ
て、メタルハライドランプの製造に用いられるようにな
ってきている。しかしながら、上記米国特許明細書に開
示されているような粒状の金属ハロゲン化物は、純粋な
金属ハロゲン化物の結晶であるため、金属元素とハロゲ
ンの化学当量の化合物しか得られない。メタルハライド
ランプでは、点灯中、金属元素が電子放出性物質(希土
類酸化物)や発光管を形成する石英ガラス(酸化珪素)
などの酸化物と化学反応して消費される特性がある。金
属元素が消費されて点灯に必要な蒸気圧が低下すると、
ランプの発光分布が変化したり、ランプ電圧が大幅に低
下するという問題点が生じる。
【0008】このような問題点に対処するため、メタル
ハライドランプにおいては製造時に予め過剰の金属元素
を添加しておくという技術は既に公知である。
【0009】上述したように、光化学反応用の放電灯に
は、鉄,コバルト,ニッケルを発光物質として添加した
メタルハライドランプが利用されているが、鉄,コバル
ト,ニッケルといった金属元素は、電極の構成物質であ
るタングステンと合金を形成する特性がある。鉄とタン
グステンは、あらゆる比率で合金を形成するが、メタル
ハライドランプの中では電極の先端部で形成される。ラ
ンプの点灯中に1500〜2000度に達する電極の先端部は、
電極の他の部位よりも高温のため合金化しやすく、鉄を
添加したランプでは点灯初期に発光物質である金属元素
が電極に固溶化(合金化)してしまう特性があり、それ
によりハロゲン化鉄の蒸気圧が低下して発光分布が変化
したり、ランプ電圧が低下して電気的特性が変化すると
いう問題がある。
【0010】鉄族元素を大量に添加したランプにおいて
は、次式(1a),(1b)で示すように、発光管内で
ハロゲンと当量で結合・分解する平衡反応と、次式(2
a),(2b)で示すように、タングステン電極中に固
溶化された金属がアークスポットで放出・結合する平衡
反応によって、管内の鉄の蒸気圧のバランスを保ってい
る。これらの反応式から判るとおり、電極に固溶化され
る鉄は、石英ガラスなどの酸化物と反応して化学的に不
活性になってしまう鉄分とは異なり、発光に寄与してい
るといえる。 Fe +2I → FeI2 ・・・・・・・・・(1a) FeI2 → Fe +2I ・・・・・・・(1b) XFe+W → Fex W ・・・・・・・・・(2a) Fex W → XFe+W ・・・・・・・・(2b)
【0011】上記米国特許明細書に開示されているよう
な粒状の金属ハロゲン化物は、先に述べたように、その
製法上金属とハロゲンの当量化合物しか得られず、粒中
に化学当量以上の過剰の金属を取り込ませることはでき
ない。そこで、寿命末期の特性を改善するために、添加
したハロゲン密度に対して数倍も多い鉄の添加量を規定
したり、鉄とタングステンとの反応量を見い出したりし
た先行技術がある。発光管に添加されるハロゲンの封入
密度は、メタルハライドランプの発光効率を高め、安定
なアークを実現するため、変えることはできないので、
この種のランプでは鉄の金属粒を大量に添加することが
必要になる。
【0012】上述した各種添加物は、吸湿や変質を防ぐ
ため不活性ガスで置換されたグローブボックス内で規定
量だけ計り取り、排気管からロートを通じて発光管内に
投入される。その後、発光管内のガスを排気して適量の
希ガスを導入して、発光管を排気装置から切り放す。上
記添加物の投入の際、添加物の粒が細かいと、排気管や
ロートに付着してしまい、発光管内に投入される量が一
定でなくなるため、ランプのスペクトルやランプ電圧が
ばらついてしまうという問題がある。特に不活性ガスで
置換されたグローブボックス内は、極めて高い乾燥状態
にあり、このような状況下では静電気を帯びやすい。し
たがって、添加物を細かくしていくと、添加物粒はグロ
ーブボックス中の器具に静電気で付着して、操作性がわ
るくなる。このように、各種添加物の秤量精度を高くす
るため添加物を細かくすることは、発光管への封入量の
精度を上げることにはつながらないという欠点がある。
したがって、添加物はハロゲン化物や金属の状態にかか
わらず、 0.1〜 5.0mgの粒(粒径は 0.2〜 1.0mm)が用
いられている。
【0013】また、上述の米国特許明細書開示の金属ハ
ロゲン化物は、 0.1〜 2.0mgの球状の粒で利用されるこ
とが多いのではあるが、一粒あたりの重量のばらつきが
±20%と大きい問題を有する。したがって、金属ハロゲ
ン化物の粒の秤量作業を簡素化して生産性並びに操作性
を上げるため、上記粒の秤量をせずに個数管理を適用す
ると、ハロゲンの封入量が設計値から外れてランプの特
性に影響を及ぼす。ハロゲン元素の封入量の設計量を中
心値として、ハロゲンが多い側にばらつきがあると、ア
ークが不安定になったり、発光にムラが生じたりする。
一方、少ない側にばらつきがあると、金属の発光が十分
に得られなくなり、発光効率が悪くなるという問題があ
る。
【0014】また、このような鉄を添加するメタルハラ
イドランプにおいては、添加金属の量が多いと、金属粒
と電極の固溶化反応に長時間を要し、初期のランプ電圧
や発光分布特性がばらつき、歩留まりが悪くなる問題が
ある。
【0015】本発明は、従来の金属蒸気放電灯における
上記問題点を解消するためになされたもので、封入量の
精度を向上させ更にランプの製造において生産性を向上
させることの可能な金属蒸気放電灯用の封入物を提供す
ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、発光管の両端に電極を備え、水銀,希ガ
ス,ハロゲン,及び鉄,コバルト,ニッケルの一群の中
から少なくとも一種以上を発光物質として封入してなる
金属蒸気放電灯の製造に用いる封入物において、鉄,コ
バルト,ニッケルの一群の中から選択した少なくとも一
種以上の封入金属元素の全部又は一部を2〜 200μmの
粒径の粉末状にしたものと、前記封入金属元素の残りが
ある場合、その残りのハロゲン化物を含む粉末状の金属
ハロゲン化物の結晶とを混合し圧粉成形してペレットと
して金属蒸気放電灯用の封入物を構成するものである。
【0017】このように金属蒸気放電灯用の封入物をペ
レットとすることにより、封入量の精度が向上し、更に
ランプの製造において封入物の操作性がよいため生産性
が向上する。またこのような構成のペレットを封入物と
して用いることにより、鉄族元素が微粒子として添加さ
れることになるため、表面積が大きくハロゲン蒸気と反
応しやすくなり、電極先端部に固溶化する鉄族元素の反
応を促進するので、電極先端部における平衡反応が早期
に成立し、点灯中のハロゲン化金属の蒸気圧が安定に保
たれるので、点灯初期におけるランプ電圧のばらつきが
少なく、寿命特性のよいランプを得ることが可能とな
る。
【0018】
【発明の実施の形態】次に実施の形態について説明す
る。まず、本発明に係る金属蒸気放電灯用封入物を用い
る一般的な紫外線硬化用メタルハライドランプ(以下U
Vランプという)の構成例を、図1に基づいて説明す
る。このUVランプは、石英ガラス製の発光管1の両端
に、タングステンまたは酸化トリウムを1%程度含有さ
せたトリエーテッドタングステンからなる直径 1.5mm長
さ20mmの電極心棒2aのまわりに、直径 0.7mmのタング
ステン線をコイル状に数回巻いて形成した一対の電極2
を配置し、該電極2はモリブデン箔3を介して外接リー
ド線4に接続されており、水銀と希ガスと、鉄,コバル
ト,ニッケル,のうち少なくとも一種類の金属とハロゲ
ンが添加されて構成されている。このUVランプの発光
管1は、管内径20mm,電極間距離 250mm,発光管内容積
78.5cm3 となっている。なお、発光管1に封入する添加
物については、沃素密度が5×10-7mol/cm3 で、鉄原子
と沃素原子の比が3:1となっており、発光管内に封入
される各元素は、沃素が 5.0mg,鉄が 6.6mg,水銀が75
mg,アルゴンガスが2kPaである。この構成例の場合、
効率よく寿命末期まで安定な紫外線出力を得るため、鉄
は沃素の密度の3倍としたが、これは発光に必要なヨウ
化鉄,電極に固溶化される鉄,点灯中酸化物と反応して
消費される鉄分を総計したものであり、ランプの形状や
出力によって変わる設計値であり、鉄は封入する沃素よ
りも多い量が必要となる。このような構成のUVランプ
の安定時のランプ電圧は 350Vである。
【0019】次に、上記構成のUVランプの製造に用い
る本発明に係る封入物の実施の形態を、その製造方法に
基づいて説明する。UVランプへの各種添加物は発光管
に投入する直前まで、不活性ガスで満たされたボックス
内で操作される。まず予め乾燥させた鉄粉末をふるいに
かけ、粒径が約 100μm(75μm〜 150μm)の粉末を
得る(分級作業)。これは、 200メッシュ(75μmパ
ス)のふるいの上に 100メッシュ( 150μmパス)のふ
るいを重ねて粉末を分級することによって、 200メッシ
ュのふるいの上に75〜 150μmの粉末が容易に得られ
る。また、この鉄粉末とは別に、予めよく乾燥させたヨ
ウ化鉄を用意し、瑪瑙乳鉢ですりつぶす。そして鉄粉と
同様にふるいにかけて分級し、約 100μm(75μm〜 1
50μm)の粒径の粉末を得る。
【0020】次に、これらの粉末を混合する。この際、
分級された鉄粉とヨウ化鉄を、重量比で47.4%,52.6%
の比率でV形混合器に入れ混合する。混合された粉末
は、鉄原子とハロゲン原子の比率が3:1になる。この
混合粉末を上述したUVランプの封入物とするため、内
径 1.5mm,深さ 2.7mmのプレス器に投入振込み、1kg/
cm2 の圧力でプレスする(圧粉成形)。その後、プレス
器から押し出すと、直径1.5mm,長さ 0.9mm,質量11.6m
gの円筒状の封入物が得られる。これをペレットと呼
ぶ。
【0021】このように封入物をペレット化することに
より、個々のUVランプ毎に各種添加物を精密に秤量し
なくても、±5%の精度でばらつきの少ない添加物を得
ることができ、また混合比も一定となるため、ランプの
特性が安定する。更に、金属ハロゲン化物や金属の粒が
秤量器具に付着することがなく、操作性・生産性が向上
する。
【0022】このようにして得られた11.6mgのペレット
と75mgの水銀が、発光管に設けられた接続管から漏斗を
用いて、予め排気装置に接続された発光管内に投入さ
れ、その後2kPaのアルゴンガスを封入した後、接続管
を切り放すことによって、蒸気構成例のUVランプとし
て動作する発光管が得られる。
【0023】水銀蒸気放電灯や金属蒸気放電灯は、一般
に排気装置からランプを切り離した後、数十分〜1時間
の点灯を行う。これは特性の安定化と品質検査のためで
あるが、本発明に基づくペレットを封入して製造したU
Vランプ(試作本数10本)の特性を比較検討するため、
従来の封入物の封入方法によるUVランプ1,2,3
を、それぞれ10本試作し、排気装置から切り離した直後
の試験点灯から約2000〜3000時間に至るまでのランプ電
圧のばらつきの変化を測定した結果を図2に示す。図2
において、aは本発明によるペレットを封入して製造し
たUVランプのランプ電圧のばらつきの変化を示し、b
は従来のUVランプ1,2のランプ電圧のばらつきを、
cは従来のUVランプ3のランプ電圧のばらつきの変化
をそれぞれ示している。
【0024】なお、従来のUVランプ1は、前記米国特
許明細書に開示されている方法で球状に製造されたヨウ
化水銀を 9.0mgと、 0.1mgの粒状の鉄を 6.6mgと、水銀
71mgを各々天秤で秤量し、発光管に封入したものであ
る。また、従来のランプ2は同じく前記米国特許明細書
に開示されている方法で球状に製造されたヨウ化鉄を
6.1mgと、 0.1mgの粒状の鉄を 5.5mgと、水銀75mgを各
々天秤で秤量し、発光管に封入したものである。また、
従来のランプ3は、鉄を沃素に対して化学当量だけ添加
した設計のランプで、ヨウ化鉄を 6.1mgと水銀75mgを各
々天秤で秤量し、発光管に封入したものである。なお、
従来のランプ1,2は、いずれも 0.1mgの粒状の鉄を用
いているが、これは、これ以下に粒を細かくすると、秤
量瓶や発光管に接続された接続管や封入物を投入するた
めのロートに、殆どの粒状の鉄が付着してしまうため、
ランプの発光スペクトルやランプ電圧や寿命特性をばら
つかせる要因となるためである。
【0025】これらの各UVランプを実際に点灯させる
ためには、発光管の両端のリード線にトランスとチョー
クからなる安定器を接続し、電力を供給する。これらの
UVランプには始動直後に約15Aの電流が流される。こ
れにより発光管内の水銀がまず蒸発し、次に金属ヨウ化
物が蒸発する。この状態でUVランプは、ほぼ 350Vの
ランプ電圧を示し、ランプ電力3kW,ランプ電流10A
で点灯を維持する。
【0026】金属ヨウ化物は、アーク内で分解・再結合
を繰り返す。このとき、解離した沃素の一部は過剰に添
加された鉄の表面から徐々に鉄原子を取り除いていく
〔(1a)式で示す反応動作〕。この反応において、従
来のUVランプ1,2においては金属鉄の粒が大きく、
トータルの表面積が小さいため沃素蒸気と反応しにく
く、約1時間の試験点灯では金属鉄粒から電極先端部へ
至る鉄原子の反応と、電極先端部での鉄の固溶化反応が
完了しない。そのため初期のランプ電圧がばらついてし
まうという特性がある。すなわち、(2a)式で示した
鉄がタングステン電極の先端部に固溶化するためには、
金属鉄粒の表面からヨウ素によって鉄原子が放電プラズ
マ中に持ち出され、その後電極先端部の近傍まで移動し
なければならない。このプロセスの速度は、主として
(1a)式の反応速度に依存する。この反応速度は金属
鉄粒の表面積に依存し、したがってトータルの表面積が
小さい粒状鉄を封入した従来のUVランプ1,2は、反
応に時間がかかり、初期のランプ電圧にばらつきが生じ
る。
【0027】一方、本発明によるペレットを封入したU
Vランプでは、投入されたペレットがヨウ化鉄の蒸発に
伴い、金属鉄粉末の表面が露出する。本発明に係るペレ
ットにおいては、金属鉄が微粒子として添加されている
ため、トータルの表面積が大きくハロゲン蒸気と反応し
やすく、約1時間の試験点灯において金属鉄粒から電極
先端部への鉄原子の反応を促進するので、電極先端部に
おける固溶化、そして平衡反応がエージング時間内に完
全に成立し、その後のヨウ化鉄の蒸気圧が安定に保たれ
るので、ランプ電圧の安定した特性のランプを実現する
ことができる。
【0028】なお、従来のUVランプ1,2は、2000〜
3000時間点灯後においてもランプ電圧のばらつきが大き
いのは、一般に金属蒸気放電灯のランプ電圧はHg ,F
e ,ハロゲンの封入量によって決まるものであり、従来
のUVランプ1,2において用いられている前記米国特
許明細書開示の方法に基づくハロゲン化物の製造精度
が、±10%と大きいためによるものである。また、従来
のUVランプ3のランプ電圧のばらつき幅が点灯時間の
経過と共に大きくなるのは、従来のUVランプ1,2に
比べて鉄の封入量が少ないためと、前記米国特許明細書
開示の方法に基づくハロゲン化物のばらつきが大きいた
めに、タングステン電極中に固溶化する鉄の濃度に差異
が生じるからである。
【0029】図3は、同じく本発明によるペレットを封
入して製造したUVランプと、従来の封入物の封入方法
によるUVランプ1,2,3における紫外線( 250〜 4
50nm)出力の経時変化を測定した結果を示す図であり、
a,b,cは本発明によるUVランプ、従来のUVラン
プ1,2,従来のUVランプ3の特性をそれぞれ示して
いる。図3からわかるように、本発明によるUVランプ
は紫外線出力の変化は極めて小さく、これに対して従来
のUVランプ3の出力変化は極めて大きい。これは、従
来のUVランプ3においては、鉄の消費過程は他のUV
ランプと同じであるが、(2b)式に示す平衡反応によ
って供給される鉄の量が少ないため、プラズマ中の鉄の
濃度が小さくなり、鉄の発光が相対的に小さくなって、
発光分布が変化するためである。
【0030】また、鉄を発光物質として封入する場合、
前述の特公昭58−18743号公報などに開示されて
いるように、発光管内に錫,マグネシウム,タリウム,
ビスマス,ガリウムのうち少なくとも一種以上の元素
を、補助添加剤として更に封入することにより、紫外線
出力の改善を図れることが知られているが、これらの金
属はタングステンとの反応性が極めて小さい。したがっ
て、発光管の容積1cm3あたり1×10-7〜1×10-9mol
に相当する量を封入すれば、上記公報開示のものと同様
に紫外線出力の改善効果が得られる。よって本発明にお
いても、上記補助添加金属をハロゲン化物又は金属の粉
末(粒径:約 100μm)としてペレット材料(混合粉
末)に加えて圧粉成形し、封入物ペレットを形成するこ
とができる。
【0031】上記実施の形態においては、鉄粉とヨウ化
鉄の混合粉末でペレットを形成したものを示したが、鉄
のほかコバルトやニッケルといった鉄族の元素はタング
ステンとの反応について、鉄と同じ反応性を示すため、
鉄と同様に用いることができ同様な特性が得られる。ま
た、上記実施の形態においては、ハロゲン化物としてヨ
ウ化物を用いたものを示したが、臭化物,塩化物などの
他のハロゲン化物を用いてペレットを形成した場合も同
様な特性が得られる。
【0032】また上記実施の形態においては、封入鉄を
金属鉄とヨウ化鉄に分けて、鉄粉とヨウ化鉄粉末の混合
粉末でペレットを形成したものを示したが、封入鉄の全
部を金属鉄とし、鉄粉とヨウ化水銀の粉末の混合粉末
で、同様な方法によりペレットを形成してもよい。この
場合においても、上記のように鉄のほかコバルト,ニッ
ケルなどの鉄族の元素は、タングステンとの反応につい
て、鉄と同じ反応性を示すため、鉄と同様に用いること
ができる。また、ハロゲン化物としてヨウ化物を用いた
ものを示したが、臭化物,塩化物などの他のハロゲン化
物を用いてペレットを形成した場合も、同様な特性が得
られる。
【0033】また、本発明においては、ペレットを形成
する封入金属の粉末の粒径を2〜 200μmと規定してい
るが、これは、封入金属の微粉末は、粒径が2μmより
小さくなると発火性を有するので、2μm未満の粉末の
取り扱いは金属蒸気放電灯の製造上好ましくない。また
200μmを越えると微粉末による表面積の増大効果が薄
れ、従来のランプと特性上の差異がなくなってしまうと
いう理由による。なお、ペレットを形成する金属ハロゲ
ン化物の粉末の粒径については、上記実施の形態におい
ては約 100μmとしたものを示しているが、金属ハロゲ
ン化物の粉末の粒径は、これに限らず、上記封入金属の
粉末の粒径(2〜 200μm)に対応させて同程度に設定
するのが好ましい。
【0034】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、本発明によれば、金属蒸気放電灯用封入物をペレッ
トとして形成しているので、発光管への封入物の封入量
の精度を向上させることができ、また混合比も一定とな
るため、ランプの特性が安定し、更にランプの製造上封
入物の操作性がよいため生産性を向上させることがてき
る。また鉄族元素を2〜 200μmの粒径の微粉末にして
ペレットを形成しているため、表面積が大きくハロゲン
蒸気と反応しやすく、電極先端部に固溶化する鉄族元素
の反応が促進され、電極先端部における平衡反応が早く
成立し、点灯中のハロゲン化金属の蒸気圧を安定に保つ
ことができるので、点灯初期におけるランプ電圧のばら
つきが少なく、寿命特性の良いランプを提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる封入物ペレットを封入して用い
る一般的なUVランプの構成例を示す断面図である。
【図2】本発明に係わる封入物ペレットを封入して作製
したUVランプと従来の製法によるUVランプのランプ
電圧の経時変化を示す図である。
【図3】本発明に係わる封入物ペレットを封入して作製
したUVランプと従来の製法によるUVランプの 250〜
450nmの紫外線出力の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 発光管 2 電極 2a 電極心棒 3 モリブデン箔 4 外接リード線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光管の両端に電極を備え、水銀,希ガ
    ス,ハロゲン,及び鉄,コバルト,ニッケルの一群の中
    から少なくとも一種以上を発光物質として封入してなる
    金属蒸気放電灯の製造に用いる封入物において、鉄,コ
    バルト,ニッケルの一群の中から選択した少なくとも一
    種以上の封入金属元素の全部又は一部を2〜 200μmの
    粒径の粉末状にしたものと、前記封入金属元素の残りが
    ある場合、その残りのハロゲン化物を含む粉末状の金属
    ハロゲン化物の結晶とを混合し圧粉成形してペレットと
    したことを特徴とする金属蒸気放電灯用封入物。
  2. 【請求項2】 前記金属ハロゲン化物は、水銀,鉄,コ
    バルト,ニッケル,錫,マグネシウム,タリウム,ビス
    マス,マンガン,ガリウムのうちの少なくとも一種以上
    のハロゲン化物であることを特徴とする請求項1記載の
    金属蒸気放電灯用封入物。
  3. 【請求項3】 錫,マグネシウム,タリウム,ビスマ
    ス,マンガン,ガリウムのうちの少なくとも一種類以上
    の元素が、発光管内容積1cm3 あたり1×10-7〜1×10
    -9mol に相当する量をペレット中に含有していることを
    特徴とする請求項1又は2記載の金属蒸気放電灯用封入
    物。
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