JPH10160114A - エマルジョン燃料の燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 加水率変更等に伴う純燃量の乱れという問題
を、簡単な構造により解決できるエマルジョン燃料の燃
焼焼装置を提供する。 【解決手段】 主燃料配管７の燃料噴射用ポンプ６の上
流側の、バーナーノズル１からの戻り燃料配管８が連通
する部分の上流側に、燃料流量センサ３を介装する。
又、主燃料配管７の戻り燃料配管８が連通する部分の下
流側で、燃料噴射用ポンプ６の上流側に、純燃料油と燃
料流量センサ３による検出燃料流量に応じて水供給配管
１０からの水とを混合して燃料をエマルジョン化し、戻
り燃料のエマルジョン状態を再生する機能を有するミキ
サー２を介装し、更に、主燃料配管７の燃料流量センサ
３の上流側に、純燃料油の流量を調整する流量調整弁４
を介装する。一方、戻り燃料配管８に、減圧弁５を介装
し、その下流側圧力が設定値以上のときに戻り燃料配管
８を閉じ、設定値未満のときに開くように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼装置に関し、
特に、エマルジョン燃料を製造する装置と、戻り油圧噴
霧式のバーナーとからなるエマルジョン燃料の燃焼装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】純燃料油に水を混合してエマルジョン化
（乳化）したエマルジョン燃料を燃料として用いた燃焼
装置は、排ガスのＮＯｘ濃度、煤塵濃度を減少させ、大
気汚染を防止する上で有効である。一方、燃料を噴霧す
るバーナーノズルを有し、このバーナーノズル先端側の
燃料旋回室に流入した燃料の一部を噴霧せずに戻して、
燃料噴霧量の制御を行う戻り油圧噴霧式バーナーは、低
燃焼量での燃焼安定性を確保できるという特徴を有して
いる。

【０００３】上述したような特徴を有するエマルジョン
燃料を製造する装置と、戻り油圧噴霧式バーナーとを用
いたエマルジョン燃料の燃焼装置が考えられている。図
２は、このエマルジョン燃料の燃焼装置の従来例を示し
ており、純燃料油供給源としての燃料タンク（図示せ
ず）から供給される純燃料油が、燃料流量センサ３を通
過し、エマルジョンミキサー２内に導入される。エマル
ジョンミキサー２には水供給配管１０を介して水が供給
され、該エマルジョンミキサー２内において、前記燃料
流量センサ３にて検出された燃料流量に応じた一定の水
が燃料油と混合され、燃料油がエマルジョン化される。

【０００４】エマルジョン燃料油は、戻り油圧噴霧式バ
ーナーの燃料回路に供給される。即ち、エマルジョン燃
料油は、燃料噴射用ポンプ６により主燃料配管７を通じ
てバーナーノズル１へと圧送される。バーナーノズル１
へと圧送されたエマルジョン燃料油の一部は、戻り燃料
配管８を通じて主燃料配管７に戻り、このとき、戻り油
量が戻り油量調整弁９により調整されることにより、バ
ーナーノズル１から噴射される燃料噴霧量が制御され
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】かかる従来の燃焼装置
にあっては、バーナーノズル１からの加水済のエマルジ
ョン燃料総噴霧量が戻り油量調整弁９により決定され
る。このため、例えば戻り油量調整弁９の開度が一定の
場合は、エマルジョン燃料総噴霧量が一定となる。

【０００６】このように加水済のエマルジョン燃料総噴
霧量が一定のもとでは、例えば、エマルジョンミキサー
２での加水量が増加した場合、相対的に純燃料油の燃焼
量が減少する。このことは、戻り油量調整弁９と、燃焼
用空気流量を制御する送風ダンパと、を電気的若しくは
機械的リンケージを組んでいる通常のバーナーの場合、
加水率の変更や、エマルジョン製造装置自体の作動停止
等によって、燃焼用空気流量に対する純燃料油量が適正
とならず、空燃比の乱れ、若しくは失火等が発生するこ
とを意味しており、信頼性に劣るものである。

【０００７】このため、戻り油圧噴霧式バーナーへのエ
マルジョン製造装置の適用に問題があり、広く普及され
るに至っていないのが実情である。本発明は上記の課題
を解決するためなされたものであり、エマルジョン燃料
製造装置と戻り油圧噴霧式バーナーとからなるエマルジ
ョン燃料の燃焼装置であって、加水率変更等に伴う純燃
料油燃焼量の乱れという問題を、戻り油量調整機構と燃
焼用空気流量制御機構とのリンケージの変更等を不要と
した簡単な構造により解決することのできるエマルジョ
ン燃料の燃焼装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】このため、請求項１に係
る発明は、純燃料油に水を混合してエマルジョン化する
エマルジョン燃料製造装置と、燃料を噴霧するバーナー
ノズルを有し、このバーナーノズルに供給された燃料の
一部を噴霧せずに燃料供給側に戻して、燃料噴霧量の制
御を行う戻り油圧噴霧式バーナーとを含んで構成される
エマルジョン燃料の燃焼装置において、純燃料油供給源
から前記バーナーノズルに燃料を供給する主燃料通路の
該バーナーノズルからの戻り燃料通路が連通する部分の
上流側に、燃料流量検出手段を介装し、前記主燃料通路
の前記戻り燃料通路が連通する部分の下流側に、前記主
燃料通路の前記戻り燃料通路が連通する部分の下流側
に、純燃料油と前記燃料流量検出手段により検出された
燃料流量に応じた所定量の水とを混合して燃料をエマル
ジョン化する機能と、戻り燃料のエマルジョン状態を再
生する機能とを有するミキサーを介装し、前記主燃料通
路の前記燃料流量検出手段の上流側に、純燃料油の流量
を調整する燃料流量調整手段を介装する一方、前記戻り
燃料通路に、減圧弁を介装し、前記減圧弁を、その下流
側圧力が設定値以上のときに戻り燃料通路を閉じ、設定
値未満のときに戻り燃料通路を開く構成としたことを特
徴とする。

【０００９】かかる請求項１に係る発明の作用を説明す
ると、主燃料通路の戻り燃料通路が連通する部分の下流
側に、ミキサーを介装したことによって、バーナーノズ
ルから戻ってきたエマルジョン（乳化）状態の悪化した
エマルジョン燃料は、再度ミキサーにて乳化状態が良好
に再生される。この場合、主燃料通路の戻り燃料通路が
連通する部分の上流側に、燃料流量検出手段を介装した
ことによって、バーナーノズルから戻ってきたエマルジ
ョン燃料、即ち、例えば予め設定された加水率に応じて
一度加水された状態のエマルジョン燃料の流量は燃料流
量検出手段により検出されず、加水されていない状態の
純燃料油の流量のみが燃料流量検出手段により検出され
る。

【００１０】つまり、バーナーノズルから戻ってきたエ
マルジョン燃料は、ミキサーにて、その量に対応する加
水が再度行われず、再生のみが行われ、純燃料分だけ
に、設定加水率に応じて水がミキサーにおいて加水さ
れ、安定した加水率に設定される。一方、主燃料通路の
燃料流量検出手段の上流側に、純燃料油の流量を調整す
る燃料流量調整手段を介装したことにより、純燃料の流
量、つまり純燃料の燃焼量のみが調整されるので、加水
量設定によらない、安定した純燃料油燃焼量制御が実現
できる。即ち、加水率変更等に伴う純燃料油燃焼量の乱
れという問題が解消される。

【００１１】又、戻り燃料通路に減圧弁を介装すること
によって、例えば、燃料流量調整手段により純燃料油燃
焼量を増加させた場合、減圧弁下流側の圧力が上昇して
設定値以上となると、減圧弁が閉じて戻り燃料通路を閉
じる。この結果、減圧弁上流側の戻り燃料通路の圧力が
上昇し、バーナーノズルからの噴射量増加が促進され
る。

【００１２】逆に、燃料流量調整手段により純燃料油燃
焼量を減少させた場合、減圧弁下流側の圧力が降下して
設定値未満となると、減圧弁が開いて戻り燃料通路を開
く。この結果、戻り燃料通路における戻り燃料量が増加
し、戻り油圧噴霧式バーナーノズルの特徴である、低燃
焼量での燃焼安定性を確保できる。又、ミキサー内の圧
力は減圧弁の設定値以上には上昇しないため、ミキサー
内の主燃料通路中の圧力と水供給ライン側の圧力とのバ
ランスが崩れずに保たれ、加水量制御の安定化を図れ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳述する。図１は、本発明のエマルジョン燃料
の燃焼装置の一実施形態のシステム構成を示している。
この図において、エマルジョン燃料の燃焼装置は、純燃
料油に水を混合してエマルジョン化するエマルジョン燃
料製造装置と、燃料を噴霧するバーナーノズル１を有
し、このバーナーノズル１に供給された燃料の一部を噴
霧せずに燃料供給側に戻して、燃料噴霧量の制御を行う
戻り油圧噴霧式バーナーとを含んで構成される。

【００１４】図示しない純燃料油供給源としての燃料タ
ンクからバーナーノズル１に燃料を供給する主燃料通路
としての主燃料配管７が設けられており、この主燃料配
管７途中には、燃料噴射用ポンプ６が介装されている。
又、主燃料配管７の燃料噴射用ポンプ６の上流側には、
バーナーノズル１からの戻り燃料通路としての戻り燃料
配管８が連通される。

【００１５】そして、前記主燃料配管７の戻り燃料配管
８が連通する部分の上流側には、燃料流量検出手段とし
ての燃料流量センサ３が介装されている。又、主燃料配
管７の戻り燃料配管８が連通する部分の下流側であっ
て、燃料噴射用ポンプ６の上流側には、純燃料油と燃料
流量センサ３により検出された燃料流量に応じて水供給
配管１０から供給される所定量の水とを混合して燃料を
エマルジョン化する機能と、戻り燃料のエマルジョン状
態を再生する機能とを有するミキサー２が介装されてい
る。

【００１６】更に、主燃料配管７の燃料流量センサ３の
上流側には、純燃料油の流量を調整する燃料流量調整手
段としての流量調整弁４が介装されている。一方、戻り
燃料配管８には、減圧弁５が介装されており、この減圧
弁５は、その下流側圧力が設定値以上のときに戻り燃料
配管８を閉じ、設定値未満のときに戻り燃料配管８を開
くように構成されている。

【００１７】次に、かかる構成の燃焼装置の作用・効果
について説明する。主燃料配管７の戻り燃料配管８が連
通する部分の下流側に、ミキサー２を介装したことによ
って、バーナーノズル１から戻ってきたエマルジョン
（乳化）状態の悪化したエマルジョン燃料は、再度ミキ
サー２にて乳化状態が良好に再生される。

【００１８】この場合、主燃料配管７の戻り燃料配管８
が連通する部分の上流側に、燃料流量センサ３を介装し
たことによって、バーナーノズルから戻ってきたエマル
ジョン燃料、即ち、例えば予め設定された加水率に応じ
て一度加水された状態のエマルジョン燃料の流量は燃料
流量センサ３により検出されず、加水されていない状態
の純燃料油の流量のみが燃料流量センサ３により検出さ
れる。

【００１９】つまり、バーナーノズル１から戻ってきた
エマルジョン燃料は、ミキサー２にて、その量に対応す
る加水が再度行われず、再生のみが行われ、純燃料分だ
けに、設定加水率に応じて水がミキサー２において加水
され、安定した加水率に設定される。一方、主燃料配管
７の燃料流量センサ３の上流側に、流量調整弁４を介装
したことにより、純燃料の流量、つまり純燃料の燃焼量
のみが調整されるので、加水量設定によらない、安定し
た純燃料油燃焼量制御が実現できる。即ち、加水率変更
等に伴う純燃料油燃焼量の乱れという問題が解消され
る。

【００２０】又、戻り燃料配管８に減圧弁５を介装する
ことによって、例えば、流量調整弁４により純燃料油燃
焼量を増加させた場合、減圧弁５下流側の圧力が上昇し
て設定値以上となると、減圧弁５が閉じて戻り燃料配管
８を閉じる。この結果、減圧弁５上流側の戻り燃料配管
８の圧力が上昇し、バーナーノズル１からの噴射量増加
が促進される。

【００２１】逆に、流量調整弁４により純燃料油燃焼量
を減少させた場合、減圧弁５下流側の圧力が降下して設
定値未満となると、減圧弁５が開いて戻り燃料配管８を
開く。この結果、戻り燃料配管８における戻り燃料量が
増加し、戻り油圧噴霧式バーナーノズルの特徴である、
低燃焼量での燃焼安定性を確保できる。又、ミキサー２
内の圧力は減圧弁５の設定値以上には上昇しないため、
ミキサー２内の主燃料配管７中の圧力と水供給ライン側
の圧力とのバランスが崩れずに保たれ、加水量制御の安
定化を図れる。

【００２２】ここで、本発明者らは、図２に示した従来
の燃焼装置と図１の本発明の燃焼装置の燃焼性能を比較
するべく、次の実験を行った。実験に用いた戻り油圧噴
霧式バーナーとして、最大燃焼量２４７Ｌ／ｈのものを
用い、純燃料として、Ａ重油を用いた。従来の燃焼装置
において、純燃料油燃焼量１５０Ｌ／ｈ一定で加水率を
０％から４０％へと変更した場合、途中で純燃料油燃焼
量が徐々に減少し、失火に至った。

【００２３】これは、戻り油量調整弁の開度一定のもと
では、バーナーノズルからの総噴射量が一定となるの
で、加水の分だけ純燃料油燃焼量が減少し、失火に至っ
たと考えられる。例えば、戻り油量調整弁の開度一定の
ままで、加水率を０％から４０％まで変更すると、純燃
料油燃焼量は、計算上元の値の１／（１００％＋４０
％）＝７１％程度まで減少する。

【００２４】これに対して、本発明の燃焼装置において
は、純燃料油燃焼量は流量調節弁の調節のみで一義的に
決定され、加水率を４０％まで設定しても、純燃料油燃
焼量には影響がなく、失火等の発生がない安定した燃焼
が可能となった。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係る発
明によると、加水量設定によらない、安定した純燃料油
燃焼量制御が実現でき、加水率変更等に伴う純燃料油燃
焼量の乱れという問題が解消される結果、空燃比の乱
れ、若しくは失火等が発生することがなく、安定した燃
焼状態を得られ、信頼性に向上を図ることができる。

【００２６】又、バーナーノズルから戻ってきたエマル
ジョン（乳化）状態の悪化したエマルジョン燃料を、再
度ミキサーにて乳化状態を良好に再生できると共に、純
燃料分だけに、設定加水率に応じて水がミキサーにおい
て加水され、安定した加水率に設定できる。更に、戻り
油圧噴霧式バーナーノズルの特徴である、低燃焼量での
燃焼安定性を確保でき、加水量制御の安定化を図ること
ができる。

【００２７】これにより、請求項１に係る発明は、戻り
油圧噴霧式バーナーへのエマルジョン製造装置の適用を
問題なく行え、エマルジョン燃料の燃焼装置の普及を促
進するに有効である技術と言うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のエマルジョン燃料の燃焼装置の一実
施形態を示す燃料系統フロー図

【図２】 従来のエマルジョン燃料の燃焼装置の一例を
示す燃料系統フロー図

【符号の説明】

１ バーナーノズル ３ 燃料流量センサ ４ 流量調整弁 ５ 減圧弁 ６ 燃料噴射用ポンプ ７ 主燃料配管 ８ 戻り燃料配管 １０ 水供給配管

フロントページの続き (72)発明者 竹中 勇 新潟県新潟市高志１−23−12 (72)発明者 関口 申一 東京都文京区千石１−６−24−706

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】純燃料油に水を混合してエマルジョン化す
   るエマルジョン燃料製造装置と、燃料を噴霧するバーナ
   ーノズルを有し、このバーナーノズルに供給された燃料
   の一部を噴霧せずに燃料供給側に戻して、燃料噴霧量の
   制御を行う戻り油圧噴霧式バーナーとを含んで構成され
   るエマルジョン燃料の燃焼装置において、 純燃料油供給源から前記バーナーノズルに燃料を供給す
   る主燃料通路の該バーナーノズルからの戻り燃料通路が
   連通する部分の上流側に、燃料流量検出手段を介装し、 前記主燃料通路の前記戻り燃料通路が連通する部分の下
   流側に、純燃料油と前記燃料流量検出手段により検出さ
   れた燃料流量に応じた所定量の水とを混合して燃料をエ
   マルジョン化する機能と、戻り燃料のエマルジョン状態
   を再生する機能とを有するミキサーを介装し、 前記主燃料通路の前記燃料流量検出手段の上流側に、純
   燃料油の流量を調整する燃料流量調整手段を介装する一
   方、 前記戻り燃料通路に、減圧弁を介装し、 前記減圧弁を、その下流側圧力が設定値以上のときに戻
   り燃料通路を閉じ、設定値未満のときに戻り燃料通路を
   開く構成としたことを特徴とするエマルジョン燃料の燃
   焼装置。