JPH10159530A - オイルフィルターのリリーフ弁構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】リリーフブケラット自体に濾過機能を持たせる
ことにより、異物等の内燃機関への進入を確実に防止し
得る、オイルフィルターのリリーフ弁構造を提供する。 【解決手段】一端が開口した筒状のケースの底部にバネ
部材を介して略円筒形状の濾材の端部が支持されたオイ
ルフィルターにおいて、濾材の端部中央内側に少なくと
もその外周面部に濾過部材を有するリリーフブラケット
を配置すると共に、リリーフブラケット内にスプリング
を介してリリーフ弁を支持する。濾過部材は、例えば網
状部材によって形成されたり、多孔板によって形成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のエ
ンジン等の内燃機関に取り付られて使用されるオイルフ
ィルターのリリーフ弁構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的に、内燃機関用のオイルフィルタ
ーは、例えば図６に示す如く構成されている。すなわ
ち、オイルフィルター１は、一端に開口部２ａが形成さ
れた有底略円筒形状のケース２を有し、このケース２内
には、濾材としてのフィルターエレメント３が収納され
ている。フィルターエレメント３は、多数の通気孔３ｂ
が穿設された円筒形状の中央筒３ａを有し、この中央筒
３ａの外周面は、交互に反対方向に折り曲げて形成され
た濾紙３ｃで覆われている。

【０００３】また、フィルターエレメント３は、その下
側の端板３ｄがケース２の底部２ｂとの間に配設された
バネ部材としてのスプリング４によってケース２に支持
されると共に、上側の端板３ｅは、その中央部分が上方
（ケース２の開口部２ａ方向）に筒状に突出している。
そして、端板３ｅの突出部には、外側からゴム等の弾性
部材からなる環状体５が嵌着され、この環状体５には、
ダイヤフラム形状に形成されオイルの逆流を阻止する逆
止弁５ａが一体的に設けられている。

【０００４】上記ケース２の開口部２ａには、フィルタ
ー取付プレート６が設けられ、このフィルター取付プレ
ート６には、円周方向に等間隔で複数個設けられたオイ
ル入口７と、内面に雌ネジ部８ａを有するオイル出口８
が設けられている。また、フィルター取付プレート６の
外周部６ａの上面には、円環状のガスケット保持プレー
ト９が密着状態で固定され、このガスケット保持プレー
ト９には、ゴム等の弾性材からなるリング状のガスケッ
ト１０が嵌装されて保持されている。一方、フィルター
エレメント３の端板３ｄには、例えばキャップ形状のリ
リーフ弁１２（逃がし弁）が配設されている。

【０００５】従来、このリリーフ弁１２は、図７及び図
８に示すように、リリーフブラケット１３の、底壁１４
ａを有する円筒部１４内に嵌挿されたスプリング１６に
よって支持され、リリーフブラケット１３の開口１４ｂ
側に設けた鍔状の固定部１５が、端板３ｄの中央部に設
けられた弁座１７に溶接等により固定されている。ま
た、リリーフブラケット１３の円筒部１４の外周面の対
向する位置には、一対の切欠凹部１９が形成されてい
る。

【０００６】そして、リリーフ弁１２は、通常スプリン
グ１６の付勢力で弁座１７方向に付勢されて、弁座１７
に設けられた孔１８を閉塞し、オイルの粘度が高い起動
時やフィルターエレメント３が目詰まりを起こした時
に、オイルの流量を確保するため、スプリング１６の付
勢力に抗して反弁座１７方向（図６の矢印イ方向）に移
動することにより、孔１８が開くように設定されてい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このオ
イルフィルター１のリリーフ弁構造にあっては、リリー
フブラケット１３が単にリリーフ弁１２の支持部材とし
て機能するのみで、濾過機能を有さないため、フィルタ
ー取付プレート６のオイル入口７から浸入する内燃機関
で使用され汚れたオイル内に、比較的大きな塵や異物等
（以下、これらを異物等という）が混入していた場合、
この異物等がリリーフ弁１２が作動した際に、リリーフ
ブラケット１３の切欠凹部１９から弁座１７の孔１８を
介して中央筒３ａ内に浸入する。

【０００８】その結果、この異物等がフィルター取付プ
レート６のオイル出口８から再び内燃機関に供給される
ことになり、内燃機関に悪影響を与える虞があるという
問題点があった。

【０００９】そこで、本発明はこのような事情に鑑みて
なされたもので、リリーフブケラット自体に濾過機能を
持たせることにより、異物等の内燃機関への進入を確実
に防止し得る、オイルフィルターのリリーフ弁構造を提
供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項１記載の発明は、一端が開口し
た筒状のケースの底部にバネ部材を介して略円筒形状の
濾材の端部が支持されたオイルフィルターにおいて、濾
材の端部中央内側に少なくともその外周面部に濾過部材
を有するリリーフブラケットを配置すると共に、リリー
フブラケット内にスプリングを介してリリーフ弁が支持
されていることを特徴とする。

【００１１】このように形成することにより、ケース内
に供給されたオイル内に比較的大きな異物等が混入して
いても、この異物等は、フィルターエレメント自体によ
って濾過されると共に、リリーフブラケットに設けられ
た濾過部材によっても濾過され、内燃機関に悪影響を与
える異物等の内燃機関への浸入が確実に防止される。

【００１２】また、請求項２記載の発明は、濾過部材
が、網状部材によって形成されていることを特徴とし、
請求項３記載の発明は、濾過部材が、多孔板で形成され
ていることを特徴とする。このように形成することによ
り、網状部材の網目や多孔板の孔によって、異物等が濾
過され内燃機関への浸入が確実に防止される。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて詳細に説明する。図１〜図３は、本発
明に係わるオイルフィルターのリリーフ弁構造を示し、
図１がその一部を破断した斜視図、図２がそのリリーフ
ブラケットの平面図、図３がその断面図である。なお、
図６と同一部位には同一符号を付して説明する。

【００１４】図１〜図３において、リリーフブケット２
３は、底壁２５ａを有する円筒部２５と、この円筒部２
５の開口２５ｂ（図３参照）側に固定部２６が一体的に
設けられた、例えば金属製の網状部材２４で形成されて
いる。この網状部材２４の多数の網目２４ａによって、
リリーフブラケット２３の内外が連通している。

【００１５】そして、網状部材２４の固定部２６の例え
ば直径方向の対向する二箇所を、端板３ｄの弁座１７に
スポット溶接等することにより、リリーフブラケット２
３が端板３ｄに固定されており、このリリーフブラケッ
ト２３内には、スプリング１６をよって、リリーフ弁１
２（図６参照）が収納支持されている。

【００１６】このリリーフブラケット２３によれば、網
状部材２４が濾過機能を有し、汚れたオイル内の所定以
上の大きさ（網目２４ａの大きさ）の異物等が網目２４
ａを通過することがなく、異物等のリリーフブラケット
２３内への浸入、すなわち弁座１７の孔１８を介して、
フィルターエレメント３の中央筒３ａ内への浸入が防止
される。

【００１７】したがって、オイルの粘度が高い起動時や
フィルターエレメント３の濾紙３ｃが目詰まりを起こ
し、フィルターエレメント３の外側の圧力が中央筒３ａ
内の圧力より所定値以上高くなって、リリーフ弁１２が
作動した場合であっても、オイル内の異物等が濾材内、
すなわちフィルターエレメント３の中央筒３ａ内への浸
入が防止されることになる。

【００１８】このように、上記実施例のリリーフ弁構造
にあっては、リリーフブラケット２３自体を網状部材２
４で形成することにより、リリーフブラケット２３に濾
過機能を持たせることができるため、リリーフ弁１２の
作動時に、比較的大きな異物等のフィルターエレメント
３の中央筒３ａ内への浸入が防止され、フィルターエレ
メント３の濾紙３ｃによる濾過と併せ、オイルフィルタ
ー１の濾過性能を向上させることができ、異物等の浸入
による内燃機関への悪影響を防止することが可能にな
る。

【００１９】また、リリーフブラケット２３が、網状部
材２４を例えばプレスにより単に折曲加工するだけで形
成することができるため、従来のような切欠凹部１９の
加工が不要となり、リリーフブラケット２３の製造を容
易に行うことができると共に、安価な網状部材２４を使
用することができるため、リリーフブラケット２３自体
のコストダウンを図ることが可能になる。

【００２０】図４及び図５は、本発明に係わるリリーフ
弁構造に使用し得るリリーフブラケットの他の実施例を
示し、図４がその平面図、図５がその断面図である。こ
の実施例のリリーフブラケット３３は、多数の孔３４ａ
が穿設された薄い金属製の多孔板３４で形成され、この
多孔板３４を例えばプレス加工等にすることにより、底
壁３５ａを有する円筒部３５と固定部３６とが一体的に
形成されている。

【００２１】このリリーフブラケット３３においても、
多孔板３４によって異物等のリリーフブラケット３３内
（フィルターエレメント３の中央筒３ａ内）への浸入が
確実に防止され、オイルフィルター１の濾過性能を向上
させることができる等、上記実施例のリリーフブラケッ
ト２３と同様の作用効果を得ることが可能になる。

【００２２】なお、上記各実施例のリリーフブラケット
２３、３３においては、網状部材２４や多孔板３４の、
円筒部２５、３５の外周面及び底壁２５ａ、３５ａと固
定部２６、３６の全てに網目２４ａや孔３４ａを設けた
場合について説明したが、本発明はこれに限定されるも
のでもなく、例えば円筒部２５、３５の外周面にのみ、
あるいは円筒部２５、３５の外周面と底壁２５ａ、３５
ａにのみ、網目２４ａや孔３４ａを設けるようにしても
良い。

【００２３】また、上記実施例においては、リリーフブ
ラケット２３、３３を形成する網状部材２４及び多孔板
３４に、網目２４ａや孔３４ａを設ける場合について説
明したが、例えば円筒部分の外周面や底壁に大きな開口
を有する枠状のブラケット本体（図示せず）を使用し、
このブラケット本体の円筒部分の外周面もしくは内周面
等に、上記網状部材２４や多孔板３４等からなる濾過部
材を固着して、リリーフブラケットを形成するようにし
ても良い。

【００２４】さらに、上記実施例においては、濾過部材
として、金属製の網状部材２４や多孔板３４を使用する
場合について説明したが、多数の孔や開口を有しスプリ
ング１６を介してリリーフ弁１２を収納支持し得る、例
えば布製、合成樹脂製等の適宜の材質からなる濾過部材
を使用することができる。

【００２５】また、上記実施例における、リリーフブラ
ケット２３、３３の形状及びその取付構造、オイルフィ
ルター１の構造等も一例であって、本発明の要旨を逸脱
しない範囲において、種々変更可能であることは言うま
でもない。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１ないし請
求項３記載の発明によれば、リリーフ弁を支持するリリ
ーフブラケットに濾過部材を設けることにより、リリー
フブラケット自体に濾過機能を持たせることができ、汚
れたオイル内に混入している比較的大きな異物等をこの
リリーフブラケットで濾過することができて、内燃機関
への悪影響を確実に防止できる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるオイルフィルターのリリーフ弁
構造を示す一部破断した斜視図

【図２】同そのリリーフブラケットの平面図

【図３】同その断面図

【図４】本発明に係わるリリーフ弁構造に使用し得るリ
リーフブラケットの他の実施例を示す平面図

【図５】同その断面図

【図６】オイルフィルターの一部を破断した半断面図

【図７】従来のリリーフ弁構造を示す斜視図

【図８】同その分解斜視図

【符号の説明】

１・・・・・・・・・オイルフィルター ２・・・・・・・・・ケース ２ａ・・・・・・・・開口部 ２ｂ・・・・・・・・底部 ３・・・・・・・・・フィルターエレメント ３ａ・・・・・・・・中央筒 ３ｂ・・・・・・・・通気孔 ３ｃ・・・・・・・・濾紙 ３ｄ、３ｅ・・・・・端板 ４・・・・・・・・・スプリング ６・・・・・・・・・フィルター取付プレート １２・・・・・・・・リリーフ弁 １３・・・・・・・・リリーフブラケット １６・・・・・・・・スプリング １７・・・・・・・・弁座 １８・・・・・・・・孔 ２３、３３・・・・・リリーフブラケット ２４・・・・・・・・網状部材 ２４ａ・・・・・・・網目 ２５・・・・・・・・円筒部 ２５ａ・・・・・・・底壁 ２６・・・・・・・・固定部 ３４・・・・・・・・多孔板 ３４ａ・・・・・・・孔 ３５・・・・・・・・円筒部 ３５ａ・・・・・・・底壁 ３６・・・・・・・・固定部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が開口した筒状のケースの底部にバネ
   部材を介して略円筒形状の濾材の端部が支持されたオイ
   ルフィルターにおいて、 前記濾材の端部中央内側に、少なくともその外周面部に
   濾過部材を有するリリーフブラケットを配置すると共
   に、該リリーフブラケット内にスプリングを介してリリ
   ーフ弁が支持されていることを特徴とするオイルフィル
   ターのリリーフ弁構造。
2. 【請求項２】前記濾過部材が、網状部材によって形成さ
   れていることを特徴とする、請求項１記載のオイルフィ
   ルターのリリーフ弁構造。
3. 【請求項３】前記濾過部材が、多孔板で形成されている
   ことを特徴とする、請求項１記載のオイルフィルターの
   リリーフ弁構造。