JPH10158742A - 真円部分と異形部分とを有する部材の焼入れ方法 - Google Patents

真円部分と異形部分とを有する部材の焼入れ方法

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JPH10158742A
JPH10158742A JP8330187A JP33018796A JPH10158742A JP H10158742 A JPH10158742 A JP H10158742A JP 8330187 A JP8330187 A JP 8330187A JP 33018796 A JP33018796 A JP 33018796A JP H10158742 A JPH10158742 A JP H10158742A
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哲一 福原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全長のうち断面の外形が真円部分と真円以外
の異形部分とにより構成される部材、たとえば自動車の
ステアリングラックバーなどを変形なく焼入れする。 【解決手段】 全長のうち断面の外形が真円部分と真円
以外の異形部分とにより構成されるとともに、前記異形
部分の先端部にも短い真円部分を有する部材の全長を焼
入れする方法において、前記短い真円部分を含む異形部
分を焼入温度に加熱し、加熱した部分を金型内で拘束し
つつ冷却して焼入れし、つぎに真円部分を焼入温度に加
熱し、真円部分をその全長が接触する複数の拘束ロール
間で保持するとともに前記短い真円部分も複数の矯直ロ
ール間で保持し、部材を回転しつつ真円部分を冷却して
焼入れすることにより、真直な焼入れされた部材を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は全長のうち断面の外
形が真円部分と真円以外の異形部分とにより構成される
部材、たとえば自動車のステアリングラックバーの焼入
れ方法にかかわり、特に焼入れ変形の問題が顕著な中空
のものに適した焼入れ方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】外形が棒状の機械部品の焼入れは非常に
多く行なわれているが、単純な回転体のような軸対称の
ものは焼入れ時に軸回転することにより冷却の均等化を
図り歪の発生を防止している。さらに特開昭54−67
504号公報にあるように丸棒材をこれに沿った長さの
3本のロールの間に挟んで回転させつつ冷却するなど拘
束を加えることにより歪の発生を防止することも行なわ
れている。
【0003】しかしながら棒材の側面にラックギアが形
成されているような異形の棒材においては冷却速度が軸
対称にならず焼入れにより曲がりが発生しやすい。しか
も上記のような回転させつつ冷却する方法は不可能であ
るから焼入れ歪を防止する方法として従来からプレスク
エンチが行なわれている。この方法は所定の焼入れ温度
に加熱された被焼入れ部材の全体または一部分を所定の
形状の凹部を有する金型に入れて加圧しつつ冷却液の槽
に入れるなどの方法で冷却するものである。
【0004】近年自動車等の軽量化のため前記ラックギ
アを形成した棒材なども中空にして管状部材にする動き
があるが、焼入れすると中実の棒に比べて極めて曲がり
が発生しやすいうえ、上記のプレスクエンチでは加圧力
により管がつぶれてしまうおそれがある。また断面が真
円の単純な円筒の場合でも、拘束ロール間で回転しなが
ら冷却する場合に材料の径方法の拘束力のため長さ方向
に延びてしまい直径が変化するなどの問題がある。
【0005】この問題の解決策として、本発明者らはさ
きに部材を金型で拘束しつつ冷却して焼入れする場合に
おいて、金型の内側を金型の型当たり面が接した状態に
おいて焼入れすべき部分の形状に一致したものとするこ
とを発明した(特開平6−200320号)。このよう
にすることにより冷却開始時の部材が高温のときには拘
束力は働かず、冷却が進行して材料が変形しようとした
ときに初めて拘束力が働くことになる。したがって冷却
が進行していれば材料自体の強度もある程度大きくなっ
ているのでつぶれ変形を防止することができる。
【0006】さらに別の解決策として本発明者らは部材
を拘束しつつ冷却して焼入れする場合において、冷却過
程での温度低下に伴なう弾性限応力の増大に対応して、
冷却開始から終了まで拘束力を増大させつつ加えること
により、部材のつぶれ変形を防止する技術を開発した
(特開平7−216456号)。この方法は焼入れにお
ける冷却過程においてその時の温度において許容される
最大限の拘束力を与えようとするものであり、効果的に
部材の変形を防止できる。また金型による拘束焼入れ、
拘束ロールによる拘束焼入れどちらにおいても適用可能
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで全長のうち断
面の外形が真円部分と真円以外の異形部分とにより構成
される部材、たとえば自動車のステアリングラックバー
の焼入れでは焼入れ歪を生じさせないための最適の冷却
条件が真円部分と異形部分とでは異なる。このため焼入
れ歪を防止できるような最適の作業条件を見いだすのは
難しい。この自動車のステアリングラックバーは従来は
中実材であったため焼入れは歯の部分だけで済む場合が
ほとんどで、また上記のように焼入れ中の拘束によるつ
ぶれのおそれも少なかったのであまり問題にならなかっ
た。しかしながら軽量化のため中空材にするようになっ
て強度を維持するため全長にわたって焼入れする必要が
生じ、焼入れ時の拘束によりつぶれやすいこととあいま
って従来の焼入れ技術では変形の防止が困難となった。
本発明は真円部分と異形部分とを有する部材、さらには
その中でも中空のものを全長にわたって焼入れするのに
特に適した方法を開発することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、全長のうち断面の外形が真円部分と
真円以外の異形部分とにより構成されるとともに、前記
異形部分の先端部にも短い真円部分を有する部材の全長
を焼入れする方法において、前記短い真円部分を含む異
形部分を焼入温度に加熱し、加熱した部分を金型内で拘
束しつつ冷却して焼入れし、つぎに真円部分を焼入温度
に加熱し、真円部分をその全長が接触する複数の拘束ロ
ール間で保持するとともに前記短い真円部分も複数の矯
直ロール間で保持し、部材を回転しつつ真円部分を冷却
して焼入れすることにより、真直な焼入れされた部材を
得ることを特徴とする真円部分と異形部分とを有する部
材の焼入れ方法である。ここにおいて、異形部分の先端
部の短い真円部分は、この部分に真円部分を有しない部
材に付加的な部品を取付けることによって形成されてい
ること、また部材が中空なものであることも特徴とす
る。
【0009】また上記の方法における異形部分を焼入れ
する工程および真円部分を焼入する工程の一方または両
方において、部材を拘束しつつ冷却する過程での温度低
下に伴なう弾性限応力の増大に対応して、冷却開始から
終了まで拘束力を増大させつつ加えることにより、部材
のつぶれ変形を防止することを特徴とする真円部分と異
形部分とを有する部材の焼入れ方法である。またさらに
上記の方法における異形部分を焼入れする工程におい
て、金型の型当たり面が接した状態において部材の焼入
れすべき部分の形状に一致した先端位置を持つ凸部と、
前記凸部の間の凹部に設けられた冷却液噴出口とを有す
る金型により部材を拘束しつつ冷却することにより、部
材のつぶれ変形を防止することを特徴とする真円部分と
異形部分とを有する部材の焼入れ方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は焼入れ焼戻しの熱処理工
程にかかわるものであるが、そのなかで歪の発生が特に
問題になる焼入れ工程について規定するものであり、本
発明による焼入れ後に行われる焼戻しの方法については
特に限定しない。本発明は特に中空のものに適用したと
き効果が顕著であり、以下は中空部材に適用した場合に
ついて説明する。
【0011】図2は本発明が対象とする被焼入れ部材1
の例を示す斜視図であって、全長のうち断面の外形が真
円の真円部分2と真円以外の異形部分3とにより構成さ
れるものであり、中空部材であるから真円部分について
は以下においては円筒部分と称する。本発明の部材にお
いてはさらに異形部分3の先にも円筒部分4が必要であ
るが、これは格別長い必要がないので便宜上短い円筒部
分と呼ぶことにする。短い円筒部分4は後に述べるよう
に本発明の方法を実施するために必要なものであり、直
径は円筒部分2と同じでなくてもよいが、円筒部分と同
心である必要がある。なおこの短い円筒部分は部材の設
計上設けることが困難な場合は、この部分に真円部分を
有しない部材に付加的な部品を取付けることによって形
成してもよい。すなわち外周が円筒で部材の外形に合う
穴があいた部品を着脱可能にはめ込み、焼入れ終了後取
り外すなどの方法が行なえる。そしてこのような部材の
全長をほぼ均一に焼入れするものであるが、全長の一
部、たとえば異形部分と円筒部分との境界部や短い円筒
部分の一部分や全部に焼入れされない部分がある場合も
本発明は適用可能である。
【0012】図1は本発明の工程の概念を(a)から
(d)の順に示すものである。(a)図のようにまず異
形部分3すなわちラックがある部分を誘導加熱コイル5
に入れて焼入れ温度に加熱する。このとき短い円筒部分
4も同時に加熱して焼入れするかどうかは任意である。
すなわち端部は曲げモーメントがあまりかからないなど
の理由で強化する必要がないということであれば加熱し
ないでもよい。加熱手段は特に限定しないが誘導加熱は
加熱速度が大きく作業能率の点で好ましい。加熱は酸化
スケール発生を防止するため、N2 、Ar、H2 、C
O、CO2 などまたはこれらの混合ガスの保護雰囲気中
で行なうことが望ましい。次ぎに(b)図に示すように
ただちに金型6、7に入れて拘束しつつ水冷して焼入れ
する。この段階で部材の少なくとも異形部分3は曲がり
がない状態になる。
【0013】さらにこんどは(c)図に示すように円筒
部分2を誘導加熱コイル8に入れて焼入れ温度に加熱す
る。加熱方法については先の異形部分の場合と同様であ
る。次ぎに(d)図のように加熱された円筒部分2をそ
の全長が接触する複数の拘束ロール9間で保持するとと
もに、短い円筒部分4も複数の矯直ロール10間で保持
し、部材1を回転しつつ円筒部分2を水冷して焼入れす
る。拘束ロール9は円筒部分2の円周の3方向以上から
接触することによりその間で部材を拘束して真直ぐにす
るものである。拘束ロールは部材の円筒部分の長さ方向
には飛び飛びではなく連続して接触するほうが均等に加
圧でき、特に内部が中空な円筒では局部的な加圧による
つぶれの発生がないので好ましい。また矯直ロール10
も拘束ロール9と同様に円周の3方向以上から接触して
短い円筒部分4を円筒部分2と同心になるように拘束す
る。このようにして焼入れすることにより円筒部分2が
真直ぐになるとともに、異形部分3を含めた被焼入れ部
材1の全体を真直ぐにできる。なお拘束ロール9と矯直
ロール10は一般には図1(d)に示したように別個の
ものを設けるが、円筒部分と短い円筒部分の直径が同じ
場合には拘束ロールをそのまま延長して矯直ロールを兼
ねることもできる。
【0014】図3は図2に示したような一連の動作を自
動的に行なうときの動作シーケンスを示すフローチャー
トである。このように部材の移動と各装置の動作を自動
的に行なうことにより能率的に本発明を実施できる。図
3に示す例では焼入れ温度への加熱は異形部分、円筒部
分いずれも誘導加熱によっている。また円筒部分の焼入
れにおいては、拘束ロールで部材を保持して回転しつつ
別に設けた矯直ロールを後から短い円筒部分に当てて冷
却水を噴射する。この装置においては拘束ロールを駆動
して部材を回転しており、矯直ロールはこれに伴って自
由回転するようになっている。なおこの例においては、
焼入れ後の焼戻しについては加熱炉によって全体を一度
に加熱する普通の方法によっている。
【0015】さらに本発明においては特に薄肉の中空部
材の場合、焼入れ冷却時における拘束力を被焼入れ材の
温度変化による弾性限応力の変化に対応して変化させる
のが好ましい。これにより従来のプレスクエンチなどで
用いられていたのよりはるかに小さい拘束力で材料の焼
入れ変形を防止することができ、中空部材においても拘
束力によるつぶれを生ずることがない。材料の弾性限応
力は温度により著しく変化する。図4はその例を示す
が、温度上昇と共に低下し、800℃位になると著しく
低くなる。一方焼入れの冷却過程では再び弾性限応力は
大きくなるが、焼入れ硬化により加熱時の同じ温度にお
ける値より大きくなっている。そこで本発明においては
被焼入れ材の冷却過程の温度低下に伴なう弾性限応力の
増大に対応して冷却開始から終了まで拘束力を増大させ
つつ加え、拘束力を常に弾性限応力内に維持しつつ冷却
を行なう。これにより材料のつぶれを防止しつつ冷却に
よる材料強度の増加に見合った有効な拘束力を与えるこ
とができ、焼入れ変形を効果的に防止できる。
【0016】部材の外径の変化を防止しつつ曲がりを防
止するためには被焼入れ材の各温度における弾性限応力
の20%を超えない範囲の拘束力に止めるのが良く、た
とえば10%程度で良好な結果を得られる。図5は弾性
限応力に対する拘束力の比率すなわち負荷係数を一定と
した場合における温度と拘束力との関係を示すグラフで
ある。焼入れの冷却時間の例も温度とあわせ示してあ
る。実際の焼入れ作業において拘束力を変化させるため
には冷却途中の温度の変化を把握する必要があるが、こ
れにはあらかじめ同一形状の部材で熱電対などにより実
測しておき、焼入れの経過時間で制御する方法や、放射
温度計などで個々の部材の温度を計測しながら作業する
方法により行なえる。
【0017】本発明の焼入れ冷却方法を実施するための
装置は、円筒部分については先に述べたように複数の拘
束ロールを設けてこれにより回転させつつ拘束力を加
え、この状態で冷却水噴射ノズルなどの冷却手段により
冷却を行なうようになっている。図6はこのような焼入
れ冷却装置の例を示す正面図である。2は部材の円筒部
分で、21、22、23、24は拘束ロールであり、符
号24のものはモータ25により回転駆動され、他のも
のは自由回転できるようになっている。一方、拘束ロー
ル21、22は油圧シリンダ26により進退できるよう
になっている。そして加圧力を焼入れによる温度低下に
伴なう弾性限応力の増大に対応して調節する場合、加圧
力設定入力信号発生装置27により油圧の圧力調整弁2
8を作動させればよい。図中29は水の噴射ノズルであ
る。なお拘束ロール21ないし24は単純な円筒状でな
く部分的に接触するような長さ方向に断続した外周面を
有するものでも良く、この場合冷却水の流通は良くなる
が被焼入れ材との接触面積が減少した分だけ加圧力は低
減する必要がある。なお、短い円筒部分を拘束する矯直
ロールについては図示していないが、モータにより駆動
することなく自由回転とする以外は図6の拘束ロール2
1ないし24と同様である。なお短い円筒部分は円筒部
分の焼入れ時には加熱されないのでつぶれるおそれは無
く、焼入れの冷却開始時から十分な加圧力を加えること
ができる。
【0018】また異形部分を焼入れする装置としては部
材の焼入れすべき部分の形状に沿った金型内にこれを入
れて拘束しつつ冷却するようにする。図7はこの場合に
おける本発明の方法を実施するための装置の例を示す断
面図である。3は円筒の側面にラックが設けられている
異形部分であり、図中31は紙面に垂直に並んだラック
の歯の1つを示している。この装置は上型32と下型3
3とを有し、油圧プレスなどの加圧手段に取り付けられ
ている。金型の内側は通常被焼入れ材の形状に一致した
先端位置をもつ凸部34を有する。凸部は図7において
は紙面と垂直方向に連続したものであるか、または断続
的に配置されている。金型の凸部間における部材との非
接触部分、すなわち金型の凹部35には冷却液噴出口3
6が配置されている。冷却液噴出口は少なくとも1つの
型の1箇所にあればよいが、複数の冷却液噴出口の配置
により冷却速度を部分によって適宜変えられ、これによ
っても変形を抑制できる。図中37は冷却液供給室であ
り、図示しない配管に接続されている。
【0019】上記装置においては金型の上型と下型の型
当り面38が接した状態、すなわち金型が完全に閉じた
状態で被焼入れ部材には焼入れ開始時点で圧縮力が事実
上かからないようにする。すなわち金型の内側は被焼入
部材の形状に一致した先端位置を持つ複数の凸部34を
持ち、この凸部は金型が閉じた状態で部材3に軽く接触
するか、わずかの隙間をもって対向する状態に置かれ
る。
【0020】このようにすることによりプレスにより圧
縮されることがないので中空の部材においても変形のお
それがなく拘束焼入れが可能になる。もっとも冷却が進
んで変形しようとするとこれにより部材には力がかかる
ことになるが、このときには温度低下により硬度も十分
上昇しているので表面が凹んだりすることはなくなる。
すなわち従来の装置が焼入れ開始に先立ってあらかじめ
部材を加圧拘束するのに対し、図7の装置においては焼
入れ開始時には部材に大きな拘束力を加えることなく、
温度が低下して変形をしようとするときに初めてこれを
防止するような拘束力が加わるようにするものである。
【0021】また異形部分を焼入れするための本発明の
第二の方法としては、図7の装置に類似しているので改
めて図示しないが、被焼入れ部材を入れて型をいちばん
閉じた状態においても上下の型の型当り面38が接触せ
ず隙間があるものを使用する。この方法においては焼入
れ開始時点から部材に拘束力が及ぶが、先に円筒部分の
焼入れにおいて説明したのと原理的に同じ方法により拘
束力を与える。すなわち焼入れ冷却時における拘束力を
被焼入れ部材の温度変化による弾性限応力の変化に対応
して変化させる。この場合において部材を加圧するとき
の加圧力の制御の方法は先に図6の円筒部分の焼入れ装
置について述べたのと同様で、加圧手段が油圧プレスで
あれば油圧シリンダを図6の装置と同様に制御すればよ
い。この方法においては先の型当たり面が接触したもの
を使用する場合に比べて余計な付帯設備が必要である
が、より強力な拘束力を与えることができ、変形をさら
に効果的に防止できる。
【0022】なお図7においては一式の金型が上型32
と下型33とに2分割されている例を示したが、たとえ
ば3分割など分割数を増やすことは型当たり面が接触す
る方法、接触しない方法、すなわち前記第一第二いずれ
の方法においても好ましい。これは2分割の場合、被焼
入れ部材が焼入れ終了時に型にはまり込んでしまい取り
出すのが困難な場合があるが、3分割以上の型ならこれ
が防止できるからである。また型の分割数を増やすこと
により、型当たり面が接触しない方法において部材に対
して多方向から加圧できるので好ましい。
【0023】
【実施例】図2に示したような円筒の一部分にラックが
設けられている部材の全体を焼入れした。材質はJIS
の機械構造用炭素鋼S40C相当である。部材の概略の
寸法は、短い円筒部分4および異形部分すなわちラック
3が設けられて断面が欠円になっている部分は管の外径
が23mm、内径19mmであり、長さは短い円筒部分
は30mm、異形部分は270mmである。なお異形部
分のうち実際にラックの歯が形成されている部分の長さ
は180mmである。また円筒部分2は外径25mm、
内径21mm、長さ450mmである。
【0024】上記の部材に対して図1に示したような工
程の順序で本発明の焼入れ方法を実施した。すなわちま
ず図1(a)のように誘導加熱コイル5により部材の異
形部分3を焼入れ温度950℃に加熱した。なお短い円
筒部分4ついてはその端の一部は加熱範囲に入れなかっ
た。ついでただちに図1(b)のように凸部の先端を部
材の異形部分3の形状に合わせた上型6と下型7とから
なる金型に入れて加圧力を加えつつ冷却水を噴射して焼
入れした。加圧力は負荷係数、すなわち弾性限に対する
比が常に0.1になるように部材の冷却の進行と共に増
加させた。
【0025】つぎに図1(c)のように円筒部分2を誘
導加熱コイル8により焼入れ温度950℃に加熱した。
その後ただちに図1(d)のように円筒部分2を拘束ロ
ール9の間に、また短い円筒部分を矯直ロール10の間
に挟んで回転させつつ、円筒部分に冷却水を噴射して焼
入れした。拘束ロールの加圧力は前記の異形部分の焼入
れの場合と同様に常に負荷係数が0.1になるように部
材の冷却の進行と共に増加させた。上記焼入れ後の部材
の両端をナイフエッジで支持して回転しつつ中間位置で
の振れ幅を計測して求めた曲がり量は0.25mmであ
った。これは実用上満足できる値である。また円筒部分
における外径変化率は0.024%であって全く問題な
い値である。
【0026】一方上記部材について、異形部分の焼入
れ、円筒部分の焼入れとも加圧力を950℃における弾
性限に等しくしたまま冷却中変えなかった以外は上記方
法と同じ条件で焼入れを行なった。この場合の曲がり量
は0.95mmで、円筒部分における外径変化率は0.
17%であり、上記の方法に比較すると劣る結果になっ
た。本発明の方法においても中空部材に適用する場合に
は、材料の弾性限応力に見合って加圧力を増大する方法
がつぶれのおそれがなく十分な加圧力を与えることがで
き好ましいことがわかる。
【0027】また比較のため上記と同じ部材について、
短い円筒部分を保持するための矯直ロールを取り外して
使用せずに円筒部分の焼入れを行なった以外は最初に記
載した焼入れ方法と同一の条件で焼入れを行なった。そ
の結果は円筒部分における外径変化率は0.026%で
問題ないが、曲がり量が4.3mmで使用上問題になる
結果になった。
【0028】また比較のため上記と同じ部材について、
上記とは別の設備で部材全長を誘導加熱装置で950℃
に加熱して全体をプレスで加圧しつつ水を噴射して冷却
した。なお加圧力は950℃における弾性限に等しくし
たまま冷却中変えなかった。この場合の曲がり量は3.
1mmで円筒部分における外径変化率は0.41%であ
り、従来の設備による焼入れ方法では変形の防止が困難
であることがわかる。
【0029】
【発明の効果】本発明の真円部分と異形部分とを有する
部材の焼入れ方法によれば、全長のうち断面の外形が真
円部分と異形部分とにより構成される部材の焼入れが変
形なく行なえる。とくに上記部材のなかでもつぶれやす
い中空のものに対しては、冷却する過程での温度低下に
伴なう弾性限応力の増大に対応して冷却開始から終了ま
で拘束力を増大させつつ加えるかまたは部材が冷却して
変形しようとしたときに初めて拘束力が加わるようにす
る方法によりさらに良好に変形防止ができる。したがっ
て自動車のステアリングラックバーのような真円部分と
異形部分とを有する部材の焼入れ時の変形を有効に防止
でき、従来は焼入れ変形の問題から中空にするのが困難
であった部材を中空にできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程の概念を示す図で、(a)から
(d)は工程の順序を示す。
【図2】本発明が対象とする被焼入れ部材の例を示す斜
視図
【図3】本発明の工程を自動的に行う場合の動作を示す
フローチャート
【図4】鋼材の加熱、焼入れ時の温度変化による弾性限
応力の変化を示すグラフ
【図5】負荷係数を一定としたときの温度と拘束力との
関係を示すグラフ
【図6】本発明において真円部分を焼入れするための装
置の例を示す正面図
【図7】本発明において異形部分を焼入れするための装
置の例を示す断面図
【符号の説明】
1 被焼入れ部材 2 真円部分(円筒部分) 3 異形部分 4 短い円筒部分 5 誘導加熱コイル 6、7 金型 8 誘導加熱コイル 9 拘束ロール 10 矯直ロール 21、22、23、24 拘束ロール 25 モータ 26 油圧シリンダー 27 加圧力設定入力信号発生装置 28 圧力調整弁 29 噴射ノズル 31 ラックの歯 32 上型 33 下型 34 凸部 35 凹部 36 冷却液噴出口 37 冷却液供給室 38 型当り面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 淳一 神奈川県平塚市田村5893 高周波熱錬株式 会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全長のうち断面の外形が真円部分と真円
    以外の異形部分とにより構成されるとともに、前記異形
    部分の先端部にも短い真円部分を有する部材の全長を焼
    入れする方法において、前記短い真円部分を含む異形部
    分を焼入温度に加熱し、加熱した部分を金型内で拘束し
    つつ冷却して焼入れし、つぎに真円部分を焼入温度に加
    熱し、真円部分をその全長が接触する複数の拘束ロール
    間で保持するとともに前記短い真円部分も複数の矯直ロ
    ール間で保持し、部材を回転しつつ真円部分を冷却して
    焼入れすることにより、真直な焼入れされた部材を得る
    ことを特徴とする真円部分と異形部分とを有する部材の
    焼入れ方法。
  2. 【請求項2】 異形部分の先端部の短い真円部分は、こ
    の部分に真円部分を有しない部材に付加的な部品を取付
    けることによって形成されていることを特徴とする請求
    項1に記載の真円部分と異形部分とを有する部材の焼入
    れ方法。
  3. 【請求項3】 部材が中空なものであることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の真円部分と異形部分とを有
    する部材の焼入れ方法。
  4. 【請求項4】 異形部分を焼入れする工程および真円部
    分を焼入する工程の一方または両方において、部材を拘
    束しつつ冷却する過程での温度低下に伴なう弾性限応力
    の増大に対応して、冷却開始から終了まで拘束力を増大
    させつつ加えることにより、部材のつぶれ変形を防止す
    ることを特徴とする請求項3に記載の真円部分と異形部
    分とを有する部材の焼入れ方法。
  5. 【請求項5】 異形部分を焼入れする工程において、金
    型の型当たり面が接した状態において部材の焼入れすべ
    き部分の形状に一致した先端位置を持つ凸部と、前記凸
    部の間の凹部に設けられた冷却液噴出口とを有する金型
    の間で部材を拘束しつつ冷却することにより、部材のつ
    ぶれ変形を防止することを特徴とする請求項3または4
    に記載の真円部分と異形部分とを有する部材の焼入れ方
    法。
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