JPH10158147A

JPH10158147A - 皮膚保護用の被膜組成物とそれを用いた製品

Info

Publication number: JPH10158147A
Application number: JP8334750A
Authority: JP
Inventors: Kenji Nakamura; 憲司中村; Koji Nakamura; 興司中村
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1996-11-29
Filing date: 1996-11-29
Publication date: 1998-06-16

Abstract

(57)【要約】【課題】毛髪のセット作業や洗剤の取扱い、魚釣針へ
の餌付け、調理作業や医療作業の衛生保持などの際に皮
膚を保護するためのエマルジョン型の保護組成物及び該
組成物を使用した製品の提供。【解決手段】 500 〜3000cst 程度の中高粘度のジメチ
ルポリシロキサンと２〜10cst 程度の低粘度のジメチル
ポリシロキサンとが重量比で１：0.1 〜１：0.8で混合
されてなるジメチルポリシロキサン混合物が10〜40重量
％含有されてなるエマルジョン型の皮膚保護用の被膜組
成物とこの組成物を含浸させた製品。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】パーマネントウェーブ液によ
る毛髪のセット作業や洗剤等の取扱いによる手荒れの防
止、魚釣り等における臭いの皮膚浸透防止、調理作業や
医療現場に於ける抗菌性の衛生安全性保護などを目的と
した人体の皮膚保護用の被膜組成物及び該組成物を含浸
されてなる製品に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、皮膚保護用の被膜組成物としてニ
トロセルロース或いはアクリル系樹脂を有機溶剤に溶解
させたものが知られているが、これらを皮膜として用い
た場合に皮膚にツッパリ感が強く、使用性が悪く、手の
保護用として適当でなかった。

【０００３】さらに柔軟でツッパリ感の改良された皮膚
保護用皮膜として、特公昭63-18566号合法に記載される
アルギン酸の水溶性塩と親水性樹脂結晶を含有する第１
成分液を皮膚に塗布し、カルシウム塩含有の第２液をそ
の上に施して不溶性カルシウム塩の被膜に変換して皮膚
の火傷や床ずれのための被膜としてたもの、特開平3-18
4910号公報に記載されるヒドロキシプロピルセルロース
をアルコール溶剤により溶解し、可塑剤を加えて油仕事
用のハンドケアーフィルムとしたもの、特開平7-138143
号公報に記載されるポリビニールアルコール 100部に多
価アルコール及びエタノールアミンを50〜180 部を加
え、更に光沢防止剤として非結晶質珪酸を配合して可剥
離性の皮膚保護剤としたものなどが提案されている。こ
のように従来の被膜形成組成物は、溶剤型と水溶性型と
に大別されるが、前者の溶剤型の組成物が主であり、水
溶性性型、特に皮膚にやさしい抗菌性又は殺菌性を有す
る保護被膜については存在していなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の溶剤型の皮膚用
の保護被膜では、溶剤に毒性があったり、皮膚刺激が大
であったり、皮膚が荒れるなどの問題があり、アルコー
ル類を溶剤とした場合、皮膚の水分及び皮脂が抽出され
て皮膚荒れの原因となっていた。さらにまた、溶剤の蒸
発によって形成された被膜はツッパリ感があって、手の
表面を覆うと細かい作業が困難であり、柔軟剤を配合し
てもフィルムの違和感と感触に抵抗があり、手の保護用
として使い難いものであった。さらに保護被膜を除去す
る際には溶剤を使用するので、皮膚荒れは一層深刻であ
った。一方の水溶性型の保護組成物では、アルギン酸の
水溶性塩を塗布し、水に不溶性のカルシウム塩とする前
記特公昭63-18566号の技術は、毒性や皮膚荒れの問題は
ないが、２液を使用する繁雑さがあり、使用後に除膜す
ることが困難などの問題があって、実用には問題があっ
た。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、皮膚保護用の
被膜組成物において、取扱い使用が簡単で便利であるこ
と、毒性や皮膚荒れが全くないこと、ツッパリ感がなく
細かい手作業が可能であること、透明性がよく、外観上
の違和感のないこと、使用後に容易に除膜できることな
ど従来の問題点を解決した人体皮膚の保護用の被膜組成
物を提供するものである。また、本発明では、薬液や臭
い成分から皮膚を保護する目的以外に、抗菌性又は殺菌
性を付与することにより調理作業や医療現場で衛生安全
性の優れた抗菌性又は殺菌性の保護用被膜として使用す
ることができるように改良された被膜組成物を提供する
ものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、従来の課題を解決
するために、本発明ではジメチルポリシロキサンのエマ
ルジョンの使用により皮膚保護用の被膜組成物とするこ
とによって、取扱い使用が簡単で、被膜形成時にしっか
りと皮膚に密着して皮膚を保護する被膜が得られ、毒性
や皮膚荒れが全くなく、ツッパリ感もなく細かい手作業
が可能なこと、十分な抗菌性を付与でき、しかも使用後
は容易に除く被膜が得られた。

【０００７】中高粘度(500〜3000cst)のジメチルポリシ
ロキサンは、撥水性があり、耐水性を有するがべたつき
が大きくて手の保護用被膜として使用することはできな
い。一方、低粘度(2〜10cst)のジメチルポリシロキサン
はさらさらしており、べたつきはないが、耐水性の被膜
を得ることはできない。しかし、上記中高粘度(500〜30
00cst)のジメチルポリシロキサン１に対して上記低粘度
(2〜10cst)のジメチルポリシロキサンを 0.1〜0.8 の重
量比率で混合することにより前記問題点を改良すること
ができ、べたつきのない耐水性の被膜が得られるエマル
ジョンとすることができた。低粘度(2〜10cst)のジメチ
ルポリシロキサンの配合が 0.1以下の比率の混合では、
べたつきが改良されない上にエマルジョンの形成が困難
で、低粘度ジメチルポリシロキサンが 0.8以上の比率の
配合になると、被膜の耐水性が不良となって保護用被膜
として使用に適さなくなる。

【０００８】本発明の皮膚保護用の被膜組成物は、上記
ジメチルポリシロキサン混合物10〜40重量％、水20〜40
重量％、グリコール類10〜20重量％及びアルコール類20
〜50重量％の混合物を、非イオン界面活性剤を用いてエ
マルジョンとした組成物であるが、抗菌性を得るために
銀ゼオライトを0.05〜0.5 重量％配合することが好適で
ある。また、上記の銀ゼオライト抗菌剤とともに、汎用
の殺菌剤を用いて殺菌性を付与することもできる。

【０００９】即ち、ジメチルポリシロキサン混合物が10
重量％以下では、ジメチルポリシロキサン自体の付着量
が少ないため皮膚の保護効果が不十分であり、逆に40重
量％以上では多過ぎて、エマルジョンとすることが困難
であり、仮にエマルジョンが得られたとしても、被膜形
成したときに違和感と感触に問題を生ずる等の問題を生
ずる。従って、本発明の保護用組成物には、ジメチルポ
リシロキサン混合物が10〜40重量％含まれることが好ま
しい。

【００１０】上記被膜組成物に用いるアルコール類は、
メチルアルコール、エチルアルコール又はプロピルアル
コールを用いることによって使用時の速乾性をよくする
ので、アルコールの単独使用でもよいが、アルコール類
による皮膚刺激や皮膚荒れを防止するために、さらに
1,3ブチレングリコール又はグリセリンなどのグリコー
ル類を併用することが有効である。

【００１１】本発明で用いる抗菌性を得るときに用いる
銀系抗菌剤は、銀ゼオライトを使用するが、ゼオライト
は１μ程度のゼオライトの結晶体に銀をイオン交換させ
た微細粉末状のものが適当であり、これに替えて銀燐酸
ジルコニウム粉末を使用してもよい。また、本発明では
エマルジョンとするときに非イオン性界面活性剤を用い
るが、ホモミキサーで乳化するにはポリプロピレンオキ
サイドを含有する非イオン性界面活性剤を用いるのが好
ましい。

【００１２】本発明のエマルジョン型の皮膚保護組成物
は、乳液として容器に入れて用いるが、該組成物を不織
布に含浸してウェット製品として使用するのが簡便な使
用法である。また、上記含浸不織布を適当なテープライ
ナーに貼着して上記組成物を皮膚に転写して用いること
もできる。この発明のエマルジョン型の組成物を皮膚に
直接的に塗布又はスプレーした後、室温で30秒程度で乾
燥しても、形成された被膜は柔軟であり、ツッパリや違
和感が全くない。更にこの被膜を除去する際には一般家
庭用の洗剤によって十分容易に除去できる利点がある。

【００１３】

【発明の実施の形態】

【実施例１】シリコーンKF96-1000(粘度1000cst のジメ
チルポリシロキサン。信越化学工業株式会社製品) 10重
量％、シリコーンKF96L-5(粘度5cstのジメチルポリシロ
キサン。信越化学工業株式会社製品) ７重量％、ニッコ
ールPBC-44 (ポリプロピレンオキサイドを含有する非イ
オン界面活性剤、日光ケニカル株式会社製品) ３重量
％、 1,3ブチレングリコール10重量％、グリセリン４重
量％、エチルアルコール30重量％及び精製水36重量％を
混合し、ホモミキサーを用いて高速攪拌によりエマルジ
ョン組成物とした。該エマルジョン組成物を手に均一に
塗布したところ、30秒程度で乾燥し、ツッパリ感や被膜
形成への抵抗感は全くなかった。このエマルジョンの被
膜を設けたときには、パーマネントウェーブ液を用いた
セットの細かい手作業が支障なく行うことができ、手を
十分に保護することができた。該被膜は家庭用の水性洗
剤により容易に除去することができた。

【００１４】

【実施例２】シリコーンKF96-500 (粘度500cstのジメチ
ルポリシロキサン。信越化学工業株式会社製品) 15重量
％、シリコーンKF96L-5(粘度5cstのジメチルポリシロキ
サン。信越化学工業株式会社製品) ５重量％、ニッコー
ルPBC-44 (ポリプロピレンオキサイドを含有する非イオ
ン界面活性剤、日光ケニカル株式会社製品) ３重量％、
1,3ブチレングリコール10重量％、グリセリン５重量
％、エチルアルコール35重量％、AJ-10N (銀ゼオライ
ト、シナネンゼオミック株式会社製品)0.1重量％及び精
製水26.9重量％を混合し、ホモミキサーを用いて攪拌し
てエマルジョンとした。得られたエマルジョン組成物を
手に塗布したときも、同様の感触が得られ、除膜も通常
の洗剤で容易であった。

【００１５】

【使用例】エマルジョンを目付40g/L のコットン不織布
に不織布重量の３倍を含浸してウェット製品として使用
したときも同様の結果が得られた。即ち、該ウェット製
品を用いて手に均一に塗布した結果、30秒程度で乾燥
し、ツッパリ乾や感触の抵抗は全くなかった。保護膜は
手を保護すると同時に抗菌性を有するので調理現場や医
療現場に於いて衛生安全対策として有効である。

【発明の効果】この発明のジメチルポリシロキサン混合
物を使用したエマルジョン組成物は、皮膚被膜を形成し
たとき、しっかりと皮膚に密着する。また、該エマルジ
ョン組成物は被膜形成したときに透明性が高く、外観
上、第三者に使用の有無がわからず、不快感を与えない
利点もある。また、形成被膜にツッパリ感がなく、細か
い作業にも支障がなく、抗菌性又は殺菌性を付与するこ
とができ、しかも使用後は容易に除膜することが可能
で、かつ事後に毒性や被膜荒れが残らないという顕著な
効果が発揮される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＣ０８Ｌ 83/04 Ｃ０８Ｌ 83/04 (72)発明者中村興司大阪府大阪市東淀川区西淡路６丁目３番41 号中村物産株式会社淡路工場内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エマルジョン型の皮膚保護用の被膜組成
物において、500 〜3000cst 程度の中高粘度のジメチル
ポリシロキサンと２〜10cst 程度の低粘度のジメチルポ
リシロキサンとが重量比で１：0.1 〜１：0.8 で混合さ
れてなるジメチルポリシロキサン混合物が10〜40重量％
含有されてなるエマルジョンであることを特徴とする皮
膚保護用の被膜組成物。
【請求項２】水30〜40重量％、グリコール10〜20重量
％及びアルコール20〜50重量％が含有されることを特徴
とする請求項１の皮膚保護用の被膜組成物。
【請求項３】ポリオキシプロピレン含有の非イオン界
面活性剤が１〜５重量％含有されることを特徴とする請
求項１又は請求項２の皮膚保護用の被膜組成物。
【請求項４】抗菌剤又は／及び殺菌剤が含有されるこ
とを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１の皮
膚保護用の被膜組成物。
【請求項５】銀ゼオライト抗菌剤が0.05〜0.5 重量％
含有されることを特徴とする請求項４の皮膚保護用の被
膜組成物。
【請求項６】請求項１乃至請求項５のいずれか１の皮
膚保護用の被膜組成物を含浸せしめた不織布を使用した
皮膚保護用の製品。