JPH10156922A - 熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡体の製造法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡体の製造法

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JPH10156922A
JPH10156922A JP8321275A JP32127596A JPH10156922A JP H10156922 A JPH10156922 A JP H10156922A JP 8321275 A JP8321275 A JP 8321275A JP 32127596 A JP32127596 A JP 32127596A JP H10156922 A JPH10156922 A JP H10156922A
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JP
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resin
thermoplastic polyester
polyester resin
extruder
foam
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JP8321275A
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English (en)
Inventor
Mikiyoshi Nakamichi
幹芳 中道
Masaaki Nakamura
政明 中村
Tatsuo Kumagai
竜夫 熊谷
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂の含有水分量の経時的変化に起因する押
出不安定性を防止し、品質の安定した熱可塑性ポリエス
テル系樹脂発泡体を簡易且つ安価に提供する。 【解決手段】 溶融した熱可塑性ポリエステル系樹脂と
発泡剤を高温高圧下で混合した後、低圧帯への押し出し
発泡体を製造する方法において、前記熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の含有水分量にあわせて、樹脂溶融特性調整
剤を定量混合することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂の発泡体の製造方法に関し、更に詳しくは、
樹脂中の含有水分量の経時変化による押出しの不安定性
を防止し、品質の安定した発泡体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル系樹脂は、優れた
特性を保持し、さらに安価であるため、多種多様な用途
に広く利用されている。たとえば、耐熱性、寸法安定性
などが優れているため射出成形や、その透明性を生かし
て延伸ブローのボトル、耐候性・耐摩耗性・高い強度な
どから繊維などに利用されている。
【0003】この熱可塑性ポリエステル系樹脂の優れた
特性を生かして、発泡体を製造する試みが種々実施され
てきた。しかし、熱可塑性ポリエステル系樹脂は吸湿性
であって、吸湿した樹脂を高温で溶融すると加水分解を
起こすという欠点を持っている。
【0004】したがって、特公平2−150434で
は、樹脂を予め乾燥して、含有水分量を200ppm以
下にすることが好ましく、具体的方法として熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を除湿熱風乾燥機で処理することが記
載されている。また、特開平8−183083では、予
め乾燥して樹脂の含有水分を除去する必要がない代わり
に、吸湿樹脂の含有水分を押出機のバレルから減圧吸引
して除去する方法を開示している。
【0005】このように、押出機を用いて熱可塑性ポリ
エステル系樹脂発泡体を製造する場合には、樹脂中の含
有水分を除去し、加水分解による樹脂の溶融粘度の低下
を防止する必要があると考えられており、従来、水分を
含む系での熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造は
実施されていないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を押出発泡させる場合において、予め
乾燥された樹脂中の含有水分量が、外部環境によって経
時的に変化することが原因で発生する押出しの不安定性
を防止するとともに、得られる発泡体の品質を安定化さ
せる熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法を提
供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱可塑性
ポリエステル系樹脂を用いて押出発泡する際の変動要因
について種々検討を行ったところ、外部環境により熱可
塑性ポリエステル系樹脂の含有水分量が大きく変化して
いることに起因していることを突き止めた。
【0008】しかし、予め樹脂溶融特性調整剤とブレン
ドされた樹脂を使用する従来の押出発泡方法ではこの経
時変化に対応することができない。そこで、本発明者ら
は、押出ホッパー中の熱可塑性ポリエステル系樹脂の含
有水分量をモニタリングし、押出機のバレルの途中に別
に設けられた添加剤供給口より樹脂含有水分量にあわせ
て樹脂溶融特性調整剤の添加量を調整し供給する方法に
より押出しの安定性が図れることを見出し、本発明を完
成した。
【0009】すなわち、本発明は、溶融した熱可塑性ポ
リエステル系樹脂と発泡剤を高温高圧下で混練した後、
低圧下へ押出発泡させる押出発泡体の製造方法におい
て、押出機へ供給される熱可塑性ポリエステル系樹脂の
含有水分量を測定し、押出機のバレルの途中に設けられ
た添加剤供給口から樹脂溶融特性調整剤を定量供給する
ことを特徴とする熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡
体の製造法を内容とする。
【0010】また、好ましい態様として、本発明は、熱
可塑性ポリエステル系樹脂の溶融特性調整剤として、酸
無水物を使用する。
【0011】更に好ましい態様として、本発明は、熱可
塑性ポリエステル系樹脂として、分岐状ポリエステルを
用いる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる熱可塑性ポリ
エステル系樹脂とは、230〜300℃で熱可塑性を有
し、この範囲の温度域から選ばれる加工温度における溶
融粘度が100〜10000Pa・s、好ましくは50
0〜10000Pa・sである。たとえば、多価カルボ
ン酸と多価アルコールとからなるポリエステルを主たる
成分とするものである。
【0013】なお、溶融粘度は、JIS K 7199
「熱可塑性プラスチックのキャピラリ−レオメーターに
よる流れ特性試験方法」に準拠して測定される、剪断速
度60.8sec-1における粘度のことをいう。
【0014】また、多価カルボン酸と多価アルコールと
からなるポリエステルを主たる成分とするとは、多価カ
ルボン酸および多価アルコールとからなるポリエステル
が100重量%のものの他、20重量%以内の範囲で前
記ポリエステルと相溶性のある樹脂を加えたものである
ことを意味する。
【0015】多価カルボン酸と多価アルコールとからな
るポリエステルの例としては、たとえば芳香族ジカルボ
ン酸とジオール成分との重縮合により得られる線状ポリ
エステル、該線状ポリエステルと少なくとも3個、好ま
しくは3〜6個のエステル生成基を有する分岐生成性成
分とを共重合した分岐性ポリエステルなどが挙げられ、
これらは単独でまたは組み合わせて用いられる。
【0016】芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などが挙げ
られ、これらは単独で用いてもよく、また2種以上を併
用してもよい。
【0017】ジオール成分としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、シクロヘキサンジメチロール、トリシ
クロデカンジメチロール、2,2−ビス(4−β−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン、4,4−ビス(β
−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホンなどが挙げ
られ、これらは単独で用いてもよく、または2種以上を
併用してもよい。
【0018】線状ポリエステルの具体例としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタ
レート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンイ
ソフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げら
れ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いら
れるが、これらの中でも工業的利用価値の高さや取扱い
やすさなどの観点からポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレートが好適に用いられる。
【0019】また線状ポリエステルの固有粘度は、容易
に発泡体を製造しうる溶融粘弾性を発現させる点から、
0.4〜1.1dl/gが好ましく、0.5〜1.0d
l/gであることが更に好ましい。
【0020】なお、本明細書における樹脂の固有粘度と
は、フェノールとテトラクロロエタンとの混合物(重量
比1/1)を溶媒として23℃で測定した値をいう。
【0021】分岐生成性成分は、熱可塑性ポリエステル
の主鎖に分岐構造を生成させやすくするために用いられ
る成分であって、該分岐生成性成分が水酸基および/ま
たはカルボキシル基を少なくとも3個有することによっ
て前記目的が達成される。線状ポリエステルの主鎖に分
岐を導入することにより、熱可塑性ポリエステル系樹脂
の溶融粘度や溶融弾性を高くすることができ、微細な気
泡を有する発泡体が製造されやすくなる。
【0022】分岐生成性成分の具体例としては、たとえ
ばトリメリット酸、ピロメリット酸などのトリまたはテ
トラカルボン酸類およびそれらの低級アルキルエステ
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールエタン、ペンタエリスリトールなどのトリまたはテ
トラオール類、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシオ
クタデカン酸などのジヒドロキシカルボン酸、ヒドロキ
シイソフタル酸、リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸
およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらは単独で
用いてもよく2種以上を併用してもよい。前記分岐生成
性成分のなかでは、分岐状ポリエステルの重合度が調整
しやすいという観点から、グリセリンが好適に用いられ
る。
【0023】なお、分岐状ポリエステルにおいて、分岐
生成性成分によって分岐状ポリエステルに付与される溶
融粘弾性の保持安定性を充分に向上させるためには、芳
香族ジカルボン酸単位の総モル数100モルに対して分
岐生成性成分単位が0.1モル以上が好ましく、0.3
モル以上になるように調整することが更に好ましい。ま
た、分岐状ポリエステルなどの樹脂組成物の溶融混合物
の加工をより容易にするためには、芳香族ジカルボン酸
単位の総モル数100モルに対して分岐生成性成分単位
が5モル以下が好ましく、3モル以下となるように調整
することが更に好ましい。
【0024】分岐状ポリエステルの具体例としては、テ
レフタル酸、エチレングリコール、グリセリンからなる
分岐状ポリエステル、テレフタル酸、エチレングリコー
ル、ペンタエリストールからなる分岐状ポリエステル、
テレフタル酸、エチレングリコール、トリメチロールプ
ロパンからなる分岐状ポリエステル、テレフタル酸、ブ
タンジオール、グリセリンからなる分岐状ポリエステ
ル、ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、グ
リセリンからなる分岐状ポリエステルが挙げられ、この
なかでも、工業的利用価値が高い、取扱いやすいなどの
観点から、テレフタル酸、エチレングリコール、グリセ
リンからなる分岐状ポリエステル、テレフタル酸、ブタ
ンジオール、グリセリンからなる分岐状ポリエステルが
好適に用いられる。
【0025】また、分岐状ポリエステルの固有粘度は、
容易に発泡体を製造しうる溶融粘弾性を発現させる点か
ら、0.4〜1.1dl/gが好ましく、0.5〜1.
0dl/gであることが更に好ましい。
【0026】樹脂溶融特性調整剤の添加量を押出機に供
給される熱可塑性ポリエステル系樹脂の含有水分量に合
わせて調整し供給する本発明において、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の含有水分量は800ppm以下に調整す
ることが望ましい。これは、含有水分量が800ppm
より大きくなると、含有水分での加水分解による溶融粘
度の低下が著しく、溶融特性調整剤の微増添加によって
も発泡体を製造しうる溶融粘弾性を発現されなくなるた
め、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有水分量を800p
pm以下にすることが必要で、さらには600ppm以
下にすることが望ましい。
【0027】本発明において、熱可塑性ポリエステル系
樹脂を基材樹脂とし、他に樹脂溶融特性調整剤、気泡調
整剤、安定剤、顔料、充填剤、難燃剤、帯電防止剤など
を必要に応じて熱可塑性ポリエステル系樹脂に対して適
宜使用しうる。
【0028】樹脂溶融特性調整剤は、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂が溶融時の粘度が低くそのまま発泡基材とす
ることが困難であるため、発泡時の樹脂溶融粘弾性を高
くし、破泡等を起き難くするための成分として添加する
ものであり、その具体例としては、ピロメリット酸二無
水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物のよう
な1分子中に2個以上の酸無水物基を有する化合物が挙
げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用
いられる。
【0029】樹脂溶融特性調整剤の配合量は、該樹脂溶
融特性調整剤を用いたことによる、たとえば押出発泡成
形に適した溶融粘弾性を付与する効果を充分に発現させ
るためには、熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部
に対して0.1重量部以上、なかんずく0.5重量部以
上であることが好ましく、また熱可塑性ポリエステル系
樹脂や樹脂溶融特性調整剤から得られる樹脂組成物のゲ
ル化の進行を充分に防ぐためには、熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂100重量部に対して5重量部以下、なかんず
く3重量部以下であることが好ましい。
【0030】さらに、本発明において、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の含有水分量に合わせて樹脂溶融特性調整
剤の添加量を調整し供給することから、樹脂溶融特性調
整剤の配合量は含有水分量に対し下記の式に従うのが好
ましい。
【0031】 y=a+b・x x:熱可塑性ポリエステル系樹脂含有水分量(ppm) 0≦x≦800 y:樹脂溶融特性調整剤の配合量(重量部) 0.1≦y≦5.0 −2.0≦a≦3.0 1.0×10-5≦b≦5.0×10-1 なお、上記式の係数a,bは用いる熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂の種類、分子量及び押出し条件などによって上
記範囲で変化する。
【0032】前記気泡調整剤の具体例としては、タル
ク、重炭酸ソーダ−クエン酸のような造核剤があげられ
る。
【0033】なお、本発明においては、たとえば押出発
泡成形をより容易に行なえる樹脂の溶融粘弾性特性の好
ましい範囲として230〜300℃の範囲の温度域から
選ばれる加工温度における溶融粘度が100〜1000
0Pa・sが好ましく、500〜10000Pa・sと
することが更に好ましいが、このような溶融粘弾性特性
を目的に応じて容易に調整しやすいという点から、発泡
シート用の熱可塑性ポリエステル系樹脂として線状ポリ
エステルと分岐生成性成分との共重合によって得られる
分岐状ポリエステルを用いることが好ましく、さらに付
与された溶融粘弾性特性を安定的に保持でき、より均一
微細な気泡を有する発泡体を製造しやすいという点か
ら、前記分岐状ポリエステルに樹脂溶融特性調整剤を加
えて用いるのが好ましい。
【0034】本発明では、熱可塑性ポリエステル系樹脂
を基材樹脂とする発泡体が製造されるが、その製造方法
としては、発泡シートが工業的に簡便に連続生産できる
ことから押出発泡法が適している。
【0035】押出発泡は、たとえば次のように実施でき
る。熱可塑性ポリエステル系樹脂及び必要に応じ添加剤
を押出機に入れて溶融し、押出機の途中から熱可塑性ポ
リエステル系樹脂の含有水分量に合わせて樹脂溶融特性
調製剤を定量供給し、さらに押出機の途中の供給口より
発泡剤を圧入して溶融した熱可塑性ポリエステル系樹脂
に発泡剤を含有させる。押出機の先端には口金を付設
し、口金に直線状、円環状などの断面形状を有する押出
孔を設け、この押出孔から発泡剤を含有した熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を大気圧などの低気圧下へ押出して発
泡体を得る。
【0036】押出発泡に用いる押出機としては、例えば
単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機などの押出成
形機を用いることができる。
【0037】本発明に用いられる押出機は、樹脂供給口
に樹脂抜き取り口が併設されており、そこから樹脂を抜
き取り、カールフィッシャー水分測定器のような水分定
量測定装置にて樹脂含有水分量を測定することができ
る。さらに押出機のバレル途中には別に樹脂添加剤供給
口が設けられ、その供給口には樹脂溶融特性調整剤を定
量供給するフィーダー装置が接続されており、樹脂供給
口の熱可塑性ポリエステル系樹脂の含有水分量に合わせ
て樹脂溶融特性調整剤を定量供給することができる。
【0038】さらに、本発明に用いる押出機には樹脂溶
融特性調整剤を定量供給するフィーダーが接続された供
給口よりさらに押出し方向下流側に発泡剤圧入口が設け
られている。
【0039】発泡剤としては、加熱によって分解してガ
スを発生する固体の分解型発泡剤、加熱によって気化す
る液体の揮発型発泡剤、加圧下で樹脂に溶解しうる気体
のガス型発泡剤のいずれも用いることができる。
【0040】分解型発泡剤の具体例としては、アゾジカ
ルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、
ヒドラゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどが挙
げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用
いられる。
【0041】揮発型発泡剤の具体例としては、ブタン、
ペンタン、ヘキサンのような飽和脂肪族炭化水素、シク
ロヘキサンのような飽和脂環族炭化水素、ベンゼン、キ
シレンのような芳香族炭化水素などが挙げられ、これら
は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0042】さらに、ガス型発泡剤の具体例としては、
窒素、二酸化炭素などが挙げられ、これらは単独でまた
は2種以上組み合わせて用いられる。
【0043】発泡剤の使用量は、得られる熱可塑性ポリ
エステル系樹脂発泡体が所望の発泡倍率を有するために
必要な量である。すなわち、熱可塑性ポリエステル系樹
脂を溶融混合させた溶融混合物100重量部に対して、
0.5重量部以上、なかんずく1重量部以上とすること
が好ましく、押出発泡シートの押出成形時の寸法安定性
が低下しないようにするには、前記溶融混合物100重
量部に対して10重量部以下、なかんずく7.5重量部
以下とするのが好ましい。
【0044】発泡剤の熱可塑性ポリエステル系樹脂に対
する分散溶解性を向上させ、均一な分散をさせるため
に、熱可塑性ポリエステル系樹脂と発泡剤との押出機内
での混練時間は、5分以上確保することが望ましく、1
0分以上確保することがさらに望ましい。
【0045】また、1時間以上の長時間押出機内で混練
することは、生産性および熱可塑性ポリエステル系樹脂
の熱および剪断による溶融粘度の低下などの基材樹脂の
品質の低下などから好ましくない。
【0046】つまり、押出機の混練時間は5分以上1時
間未満、さらには10分以上1時間未満である条件が望
ましく、その時間での熱可塑性ポリエステル樹脂の含有
水分量のばらつきが小さいことが発泡体物性のばらつき
を小さくすることにつながるのである。
【0047】本発明の製造方法によって得られる発泡体
は、その密度を0.7g/cm3以下、好ましくは0.
5g/cm3以下にすることによって、発泡体の利点で
ある軽量性などを実現できる。なお、密度の下限は0.
02g/cm3程度である。さらに、発泡シート中に存
在する気泡の独立気泡率を70%以上、好ましくは80
%以上とすることで断熱性をより高めることができる。
また、発泡体中の気泡の大きさは、直径で0.5mm以
下が好ましく、0.3mm以下にすることで断熱性をよ
り高めることができる。
【0048】このようにして製造される発泡体は、外観
が美麗で、押出発泡成形における経時の発泡体物性のば
らつきが小さく、たとえば耐熱容器、断熱容器、緩衝包
装剤などの用途に好適に用いられる。
【0049】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて更に具体的に
説明をするが、本発明はこれに限定されるものではな
い。尚、以下の記載において、特に断らない限り、
「部」は「重量部」を示す。
【0050】実施例1 極限粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とグリセリンとを、常法に従って液相重縮合を
行い、グリセリン単位をテレフタル酸単位の総モル数1
00モルに対して1モルの割合で含有する極限粘度0.
63dl/gの分岐状のグリセリン変性PET樹脂を得
た。得られた分岐状のポリエステル系樹脂を除湿乾燥機
(松井製作所製DMZ-200)にて140℃、4時間乾燥
後、発泡核剤であるタルク(日本タルク社製ミクロエースK1)
0.25部及びブレンドオイル(越谷化成工業社製スーハ゜
ーイース゛)0.05部をブレンダーで混合し、30分放置
することにより含有水分量205ppmの樹脂を得た。
【0051】この樹脂を二軸−単軸タンデム押出機で溶
融し、発泡剤と混合・冷却後サーキュラーダイスより押
出し、マンドレルでシート成形を行った。なお、押出し
時の条件は下記の通りである。押出し中にホッパー下部
より樹脂を抜き出し、その含有水分量を追跡したところ
205〜270ppmの範囲で変動しており、この間添
加剤供給口よりサイドフィーダーを用いて下記の式に基
づいて無水ピロメリット酸二無水物を定量供給した。押
出し状態は安定しており、良好な発泡シートを得ること
ができた。
【0052】 押出機条件: 二軸押出機シリンダー温度 :260℃〜280℃ 二軸押出機と単軸押出機継続管温度:290℃ 単軸押出機シリンダー温度 :270℃ 単軸押出機ヘッド温度 :260℃〜270℃ 押出量 :18Kg/hr サーキュラーダイス: 口径φ75、流路φ54、絞り角19゜ (外筒30゜、内筒49゜) マンドレル:φ210 発泡剤 発泡剤:イソリッチブタン 添加部数:溶融混合物100gに対し1.9gの割合 無水ピロメリット酸二無水物添加部数: y=0.5+1.2×10-3・x x:熱可塑性ポリエステル系樹脂含有水分量(ppm) y:無水ピロメリット酸二無水物添加部数(部)
【0053】実施例2 極限粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とグリセリンとを、常法に従って液相重縮合を
行い、グリセリン単位をテレフタル酸単位の総モル数1
00モルに対して1モルの割合で含有する極限粘度0.
63dl/gの分岐状のグリセリン変性PET樹脂を得
た。得られた分岐状のポリエステル系樹脂をタルク0.
25部及びブレンドオイル0.05部とブレンダーにて
混合した後、除湿乾燥機で140℃、4時間乾燥した。
その時の含有水分量は60ppmであった。この乾燥樹
脂をアルミ内張り袋に入れ保存し、都度開封しながら押
出ホッパーへ供給し、実施例1と同様に押出発泡成形を
行った。押出し中にホッパー下部より樹脂を抜き出し、
その含有水分量を追跡したところ60〜180ppmの
範囲で変動しており、この間添加剤供給口よりサイドフ
ィーダーを用いて下記の式に基づいて無水ピロメリット
酸二無水物を定量供給した。押出し状態は安定してお
り、良好な発泡シートを得ることができた。
【0054】無水ピロメリット酸二無水物添加部数: y=0.37+1.4×10-3・x x:熱可塑性ポリエステル系樹脂含有水分量(ppm) y:無水ピロメリット酸二無水物添加部数(部)
【0055】実施例3 実施例2において、グリセリン単位をテレフタル酸単位
の総モル数100モルに対し1モルの割合で含有する極
限粘度0.63dl/gの分岐状グリセリン変性PET
を用いる代わりに、極限粘度0.65dl/gの直鎖状
のポリエチレンテレフタレートを用いた以外は、実施例
2と同様に押出し成形を行った。押出し中にホッパー下
部より樹脂を抜き出し、その含有水分量を追跡したとこ
ろ75〜250ppmの範囲で変動しており、この間添
加剤供給口よりサイドフィーダーを用いて下記の式に基
づいて無水ピロメリット酸二無水物を定量供給した。押
し出し状態は若干の変動はあったがほぼ安定しており、
良好な発泡シートを得ることができた。
【0056】無水ピロメリット酸二無水物添加部数: y=0.38+7.5×10-4・x x:熱可塑性ポリエステル系樹脂含有水分量(ppm) y:無水ピロメリット酸二無水物添加部数(部)
【0057】比較例1 極限粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とグリセリンとを、常法に従って液相重縮合を
行い、グリセリン単位をテレフタル酸単位の総モル数1
00モルに対して1モルの割合で含有する極限粘度0.
63dl/gの分岐状のグリセリン変性PET樹脂を得
た。得られた分岐状ポリエステル系樹脂を除湿乾燥機で
140℃、4時間乾燥し、無水ピロメリット酸二無水物
0.75部、タルク0.25部及びブレンドオイル0.
05部とをブレンダーで混合した後、30分放置するこ
とで含有水分量205ppmの樹脂を得た。この樹脂を
アルミ内張り袋に入れ保存し、都度開封しながら押出ホ
ッパーへ供給した。この樹脂を二軸−単軸タンデム押出
機で溶融し、発泡剤と混合、冷却後サーキュラーダイス
より押出しマンドレルにてシート成形を行った。押出し
中ホッパー下部より樹脂を抜き出し、含有水分量を追跡
したところ205〜580ppmの範囲で変動してい
た。押出し状態は非常に不安定であり、良好なシートを
安定的に得ることはできなかった。
【0058】比較例2 極限粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とグリセリンとを、常法に従って液相重縮合を
行い、グリセリン単位をテレフタル酸単位の総モル数1
00モルに対して1モルの割合で含有する極限粘度0.
63dl/gの分岐状のグリセリン変性PET樹脂を得
た。得られた分岐状ポリエステル系樹脂を無水ピロメリ
ット酸二無水物0.45部、タルク0.25部及びブレ
ンドオイル0.05部とブレンダーで混合した後、除湿
乾燥機で140℃、4時間乾燥した。その時の含有水分
量は60ppmであった。この乾燥樹脂をアルミ内張り
袋に入れ保存し、都度開封しながら押出ホッパーへ供給
した。この樹脂を二軸−単軸タンデム押出機で溶融し、
発泡剤と混合、冷却後サーキュラーダイスより押出しマ
ンドレルにてシート成形を行った。押出し中ホッパー下
部より樹脂を抜き出し、含有水分量を追跡したところ6
0〜180ppmの範囲で変動していた。押出し状態は
不安定であり、良好なシートを安定的に得ることはでき
なかった。
【0059】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明によれば、熱可塑
性ポリエステル系樹脂を押出発泡させる際に、予め乾燥
された樹脂中の含有水分量が外部環境によって経時的に
変化することが原因で発生する押出しの不安定性を防止
するとともに、品質の安定した発泡体を簡易設備、低運
転費用にて製造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル系樹脂に樹脂溶融
    特性調整剤を添加し、押出機を用いて押出発泡体を製造
    する方法において、樹脂溶融特性調整剤の添加量を押出
    機に供給される熱可塑性ポリエステル系樹脂の含有水分
    量に応じて調整し供給することを特徴とする熱可塑性ポ
    リエステル系樹脂押出発泡体の製造法。
  2. 【請求項2】 樹脂溶融特性調整剤が酸無水物である請
    求項1記載の熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡体の
    製造法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル系樹脂が分岐状ポ
    リエステルである請求項1または請求項2記載の熱可塑
    性ポリエステル系樹脂押出発泡体の製造法。
JP8321275A 1996-12-02 1996-12-02 熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡体の製造法 Pending JPH10156922A (ja)

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