JPH10155760A - 磁場発生用コイルユニット - Google Patents

磁場発生用コイルユニット

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JPH10155760A
JPH10155760A JP8316746A JP31674696A JPH10155760A JP H10155760 A JPH10155760 A JP H10155760A JP 8316746 A JP8316746 A JP 8316746A JP 31674696 A JP31674696 A JP 31674696A JP H10155760 A JPH10155760 A JP H10155760A
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JP
Japan
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magnetic field
coil
coil unit
conductor
winding
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JP8316746A
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English (en)
Inventor
Yoshitomo Sakakura
良知 坂倉
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導体の一層巻き及び不連続巻線分布の構造を維
持しつつ、導体の抵抗値を大きくせずに導体の渦電流の
時定数を下げ、高速の撮像シーケンスに好適なコイルユ
ニットを提供する。 【解決手段】導体を所定パターンに沿って巻き回した巻
線部CR1,CR2を有するコイルを備え、この導体に
電流を供給して所望分布の磁場を発生させる。導体の少
なくとも一部を複数の分岐導体Sa,Sbに分割すると
ともに、この複数の分岐導体Sa,Sbの抵抗値が互い
に等しくなるように当該複数の分岐導体Sa,Sbを形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体の原子核ス
ピンの共鳴現象を利用した磁気共鳴イメージング(MR
I)装置において所望の空間分布を有する磁場を発生さ
せるためのコイルユニットに関する。とくに、MRI装
置の傾斜磁場コイルやシムコイルに好適な磁場発生用コ
イルユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】医用のMRI装置には通常、静磁場を発
生する静磁場コイル、静磁場の均一度を補正するシムコ
イル、静磁場に重畳する傾斜磁場を発生する傾斜磁場コ
イル、高周波信号の送受用のRFコイルなどの磁場発生
用コイルが使用されている。これらのコイルには、通常
の電気回路に用いるインダクタンス素子とは異なる特殊
な条件が課されている。
【0003】MRI装置のガントリの内部には被検体や
RFコイルを挿入するスペースが必要で、そのスペース
の周囲に各種のコイル類が配置される。このため、ガン
トリ全体としては大形化し易い傾向にあるので、現在、
これを回避しつつ磁場発生能力を上げることが求められ
ている。このためには、静磁場コイル、シムコイル、傾
斜磁場コイルなどのコイル層は極力薄く巻装しなければ
ならない。特に、傾斜磁場コイルのように、既にサイズ
が決まっている静磁場コイル(例えば超伝導磁石)のボ
ア内に収めるコイルの場合、コイル層を一層巻きにする
ことが求められている。
【0004】とくに傾斜磁場コイルについては、近年、
その洩れ磁場を防止するシールド型のものが多用されて
いる。このシールド型の傾斜磁場コイルの1つに、能動
(自己)遮蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)がある。こ
のコイルアセンブリは、メインコイルの周りをシールド
コイルが囲む2重コイル構造になっているため、メイン
コイルおよびシールドコイルの各々を一層巻きにして薄
く形成することは必須の要件となっている。
【0005】また、近年の様々な電子技術や超伝導技術
の発展に伴って、従来のスピンエコー法(SE)や高速
スピンエコー法(FAST SE)よりもさらに高速な
撮像法の1つであるエコープレナー法(EPI)が主流
を占めつつある。スピンエコー法では、例えば、最大傾
斜磁場強度10mT/m、最大傾斜磁場強度までの立上
り時間1msの傾斜磁場性能が要求されている。これに
対し、エコープレナー法では、例えば、最大傾斜磁場強
度30mT/m、最大傾斜磁場強度までの立上り時間
0.2msの傾斜磁場性能が要求される。このように高
速の撮像シーケンスの場合、高速の立上がり特性やスイ
ッチング特性が必要になる。
【0006】電源装置の電源容量には一定の限界があ
り、無限のエネルギを供給できるものではない。現在、
実用可能な電源装置を用いて高速の撮像シーケンスを実
施し且つより高強度の磁場を得ようとすれば、電源装置
の負荷としてのコイルのインピーダンスを極力小さくす
る必要がある。
【0007】このような観点から、現状では、断面積を
大きくして抵抗値を下げ、かつ形状的に薄く形成するた
め、コイル導体(導線)として幅の広い線材を多用して
いる。図12にはこの一例を模式的に示す。同図は、X
チャンネルまたはYチャンネルの傾斜磁場コイルを形成
する4つのサドルコイルの内の、並置される直列接続の
2つのサドルコイルC1,C2を平面状に展開して示
す。この傾斜磁場コイルの導体は幅広(例えば、幅10
mm,厚さ2.5mm)の平板状導体であり、渦巻き状
のパターンに沿って導体全体が引き回されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように幅広の平板状導体をコイル線材として用いると、
この導体を磁束が貫くときの導体内に生じる渦電流(自
己渦)の時定数が大きい。このため撮像時には、渦電流
が十分に小さくなるまで待ってからMR信号のサンプリ
ングを開始する必要があった。つまり、高速な撮像シー
ケンスを設定することができず、とくに、EPI法など
の超高速撮像法には適さないという状況にあった。
【0009】また、コイル制作に際しては上述した平板
状の導体を実際上、離散的な位置に配置する。これは、
解析的に得られる理想的な連続的な電流分布を、上述し
た有限幅の導体を不連続なコイル位置に置いて離散化す
ることになる。したがって、実際に得られる流線関数は
粗いステップ状となり、理想流線関数からのずれが大き
く、設計した通りの磁場分布が得られないという問題が
あった。所望の磁場分布が得られないということは、傾
斜磁場の場合、傾斜磁場の線形性が劣化するなどの影響
をもたらし、MR画像の品質に直結する。
【0010】この電流分布の離散化に伴う粗さを少なく
するには、導体を密に巻けばよいことになるが、そのよ
うにすると、前述したようにコイル全体の抵抗値が増大
し、電源容量の面から、また高速化の面から好ましくな
いという矛盾が生じる。
【0011】さらに、かかる幅広の平板状導体を能動遮
蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)のシールドコイルに適
用した場合、導体の抵抗値を低減するために長さを極力
短く形成するので、コイルパターン(巻線部)内に導体
間の隙間が大きい部分ができ、この部分から磁束が漏れ
てしまい、シールド性能が下がるという問題もあった。
【0012】さらにまた、かかる幅広の平板状導体はそ
のまま設計した1ターンの比較的高い電流値(例えば1
00A)の導通を担うので、製造精度もかなり高いもの
が要求される。これにより、製造コストも上昇してい
た。
【0013】本発明は上述した従来技術に伴う様々な困
難を打破すべくなされたものである。その主目的は、導
体(コイル巻線)の一層巻き及び不連続巻線分布の構造
を維持しつつ、導体の抵抗値を大きくせずに導体の渦電
流の時定数を下げ、高速の撮像シーケンスに好適なコイ
ルユニットを提供することである。また、上述の主目的
を達成すると同時に、実際に発生させる磁場分布を、解
析的に得られる所望の連続分布に極力近づけることがで
きるコイルユニットを提供することである。さらに別の
目的は、上述した主目的を達成しつつ、コイルユニット
に電流を供給する電源の容量を格別大形化させることな
く、現在使用に供されている規模の容量の電源を使うこ
とができるようにすることである。さらに別の目的は、
上述した主目的を達成しつつ、本発明を能動遮蔽型傾斜
磁場コイルに実施したときのシールド性能の向上を図る
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した種々の目的を達
成するため、本発明の磁場発生用コイルユニットは、導
体を所定パターンに沿って巻き回した巻線部を有するコ
イルを備え、この導体に電流を供給して所望分布の磁場
を発生させるようにしたユニットであって、前記導体の
少なくとも一部を複数の分岐導体に分割するとともに、
この複数の分岐導体の抵抗値が互いに等しくなるように
当該複数の分岐導体を形成したことを特徴とする。
【0015】好適には、前記複数の分岐導体は、前記導
体の前記所定パターンに沿った巻き始め端から巻き終わ
り端まで連続して形成されている。この場合、例えば、
前記コイルは、前記所定パターンとしての渦巻き状パタ
ーンに沿って巻き回された前記巻線部を2個、同一面上
に並置した構造を有する。
【0016】また好適には、前記2個の巻線部間で前記
複数の分岐導体の互いの位置を交換するように当該複数
の分岐導体を配置し、これにより当該複数の分岐導体の
互いの抵抗値を同一または略同一に設定することであ
る。これと同一も目的を達成する別の態様として、前記
所定パターンの内周側、外周側いずれの側に位置する分
岐導体であるかに応じて前記複数の分岐導体のそれぞれ
の断面積を、当該複数の分岐導体の互いの抵抗値が同一
または略同一となるようにすることもできる。
【0017】好適な一態様として、前記分岐導体の数は
2個である。
【0018】さらに好適には、前記磁場発生用コイルユ
ニットは、磁場共鳴イメージング(MRI)装置の傾斜
磁場コイルユニットとして形成することもできる。例え
ば、前記傾斜磁場コイルユニットは、Xチャンネル、Y
チャンネル、およびZチャンネルそれぞれに傾斜磁場を
発生するメインコイル部と、この3チャンネルそれぞれ
の傾斜磁場を外界に対して磁気的にシールドするシール
ド用磁場を発生するシールドコイル部とを備えた能動遮
蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)であり、前記コイル
は、前記シールドコイル部のXチャンネル、Yチャンネ
ル、およびZチャンネルの内の少なくとも1つのチャン
ネルの前記シールド用磁場を発生するコイルアセンブリ
に組み込まれている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の1つの実施の形態
に係る磁場発生用コイルを説明する。
【0020】この実施形態では、磁場発生用コイルユニ
ットとしてMRI装置の能動(自己)遮蔽型傾斜磁場コ
イル(ASGC:Actively Shielded Gradient Coil )
のX,Y,およびZチャンネルのコイルアセンブリの各
シールドコイルを例示する。なお、本発明はASGCの
メインコイルにも、さらにはシム(静磁場補正)コイル
などにも好適に実施できる。また本発明の磁場発生用コ
イルは、円筒型や対向型、さらにサーフェイス型、オー
プン型と言ったコイルの形状や磁場発生方式に無関係に
実施できる。
【0021】図1にMRI装置のガントリ1の概略断面
を示す。このガントリ1はその全体が円筒状に形成され
ており、中心部のボアが診断用空間として機能し、診断
時にはそのボア内に被検体Pが挿入可能になっている。
【0022】ガントリ1は、略円筒状の静磁場コイルユ
ニット11、このコイルユニット11のボア内に配置さ
れた略円筒状の傾斜磁場コイルユニット12、このユニ
ット12の例えば外周面に取り付けられたシムコイルユ
ニット13、および傾斜磁場コイルユニット12のボア
内に配置されたRFコイル14を備える。被検体Pは図
示しない寝台天板に載せられて、RFコイル14が形成
するボア(診断用空間)内に遊挿される。
【0023】静磁場コイルユニット12は超伝導磁石で
形成されている。つまり、外側の真空容器の中に、複数
個の熱輻射シールド容器および単独の液体ヘリウム容器
が収められ、液体ヘリウム容器の内部に超伝導コイルが
巻装・設置されている。
【0024】傾斜磁場コイルユニット12は、ここでは
能動遮蔽(アクティブシールド)型に形成されている。
このコイルユニット12はX軸方向、Y軸方向、Z軸方
向毎にパルス状の傾斜磁場を発生させるため、X,Y,
Zチャンネル別々にコイルアセンブリを有し、しかも、
そのコイルアセンブリは各チャンネル毎に傾斜磁場を外
界に殆ど洩らさないシールド構造になっている。
【0025】具体的には、能動遮蔽型傾斜磁場コイル
(ASGC)ユニット12は図2に示すように、X,
Y,ZチャンネルのXコイルアセンブリ12X,Yコイ
ルアセンブリ12Y,Zコイルアセンブリ12Zがコイ
ル層毎に絶縁されながら積層され、全体として略円筒状
を成している。Xコイルアセンブリ12X,Yコイルア
センブリ12YおよびZコイルアセンブリ12Zの各々
は、各軸方向の傾斜磁場を発生する複数の巻線部を有す
るメインコイルと、このメインコイルの巻線部が発生す
る傾斜磁場(パルス)を磁気的に外界に洩らさないよう
にシールドする複数の巻線部を有するシールドコイルと
を有する。
【0026】この内、Yコイルアセンブリ12Yはメイ
ンコイル側およびシールドコイル側ともに、ボビンBに
巻装された4個のサドル型巻線部CR1,CR2,CR
Y3,およびCRY4を備える(図3参照)。Xコイル
アセンブリ12Xも、Yコイルアセンブリ12YをZ軸
に関して90度回転させた状態で同様に配置される。
【0027】このYコイルアセンブリ12Yは図3に示
すようにシールドコイル12Ysを備え、このシールド
コイル12Ysは、Z軸方向に並置され且つ直列接続さ
れる2つのサドル型の巻線部CR1,CR2(CR3,
CR4)を有するコイル素子CEを、2組対向配置させ
ている。一方のコイル素子CEを平面状に展開した様子
を図4に示す。このコイル素子CEに対向配置されるも
う一方のコイル素子も同一の構造を有する。
【0028】一方のコイル素子CEについて図4を用い
て説明すると、このコイル素子CEは、それぞれが渦巻
き状のコイルパターンに沿って巻き回された2つの巻線
部CR1、CR2と、これらの巻線部CR1,CR2を
電気的に直列に接続するリード線LD1,LD2とを備
える。リード線LD1,LD2はそれぞれ傾斜磁場電源
(図示せず)の給電端に接続されている。
【0029】リード線LD1,LD2および巻線部CR
1,CR2は平板状の導体から成る。一方の給電端に接
続されたリード線LD1は図4に示すように、その幅が
Waの平板状導体から成る。このリード線LD1は一方
の巻線部CR1の巻き始め端P1で同一厚さのまま、2
つの分岐導体Sa,Sbに分割される。分岐導体Sa,
Sbのそれぞれも平板状導体に形成され、その幅Wb
(=Wa/2)はそれぞれ、リード線LD1の幅Waの
半分(例えば5mm)になっている。分岐導体Sa,S
bはそのまま四角い渦巻き状のコイルパターンにしたが
って巻き回されて一方の巻線部CR1を形成する。
【0030】巻線部CR1の中心部からは2つの分岐導
体Sa,Sbがその分岐状態のままもう一方の巻線部C
R2に渡される。もう一方の巻線部CR2に渡された2
つの分岐導体Sa,Sbは分岐状態のまま四角い渦巻き
状のコイルパターンにしたがって巻き回されてもう一方
の巻線部CR2を形成する。ただし、巻き方向は両方の
巻線部CR1,CR2で互いに反対であり、一方の巻線
部CR1では図上で反時計方向に、もう一方の巻線部C
R2では図上で時計方向である。もう一方の巻線部CR
2の中心部の巻き終わり端P2において、2つの分岐導
体Sa,Sbは再び幅Waのもう一方のリード線LD2
に合流する。このリード線LD2はそのまま給電端側の
巻線部CR1側に渡され、もう一方の給電端に接続接続
される。
【0031】またXチャンネルのXコイルアセンブリ1
2Xのシールドコイルも同様のコイル構造を有し、Z軸
に関して90度回転させた位置に配置されている。
【0032】さらに、ZチャンネルのZコイルアセンブ
リ12Zは図5にその概略を示すように、コイル素子と
してのシールドコイル12Zsを備える。このシールド
コイル12Zsでは、平板状の導体をボビンB上にソレ
ノイド状のコイルパターンに沿って巻装している。この
導体は、幅Wcの2本のリード線LDc,LDdおよび
ソレノイド状の2つの巻線部CRc,CRdに供してい
る。リード線LDc,LDdは巻線部CRc,CRdに
それぞれ繋がり、巻線部CRc,CRdはその繋がり位
置で夫々分岐している。巻線部CRc,CRdの分岐導
体のそれぞれは同一厚さのまま幅Wd(=Wc/2)に
形成されている。ボビンBのZ軸方向中心部で一方から
他方の巻線部に分岐状態のまま渡されている。但し、こ
の渡しのときに、2本の分岐導体を互いに絶縁状態で交
差させ、各々の巻き位置を交換している。
【0033】このように構成されたX,Y,およびZチ
ャンネルのシールドコイル12Xs,12Ys,12Z
sは図6に示すように、渡り線の部分(例えば図4の仮
想線Cの部分)がなるべく厚さを増加させないようにし
て積層されている。つまり、X,Yチャンネルのシール
ドコイル12Xs,12YsはZ軸方向に関して互いに
90度ずれて配置されているので、自己のコイルの渡り
線が相手のコイルの切れ目Cx(Cy)に位置するよう
にしている。
【0034】本実施形態の能動遮蔽型傾斜磁場コイルに
よれば以下のような作用効果を有する。
【0035】従来のように幅広の平板状導体を巻装する
場合とは異なり、巻線部はこの導体を2分割した幅の狭
い分岐導体で巻装してあるため、各分岐導体は従来の電
流値(例えば100[A])の半分ずつの電流値(例え
ば50[A])の通電を担う。このようにコイル全体の
抵抗値を分岐導体を使用しない状態での値と同一に保持
しつつ、1本(ターン)の通電電流値を下げることがで
きる。これにより、コイルの製造精度に対する条件が緩
和され、製造の容易化が図られる。これは強いては製造
コスト低減に寄与することとなる。
【0036】また、巻線部の各巻線(分岐導体)の幅が
狭くなっているので、自己渦による渦電流の時定数が従
来コイルに比べて格段に下がる。したがって、MR信号
のサンプリング開始時刻を早めに設定でき、より高速な
撮像が可能になる。とくに、EPI法などの超高速の撮
像法に好適となる。
【0037】また、2分割された分岐導体は2つの巻線
部のそれぞれにおいて互いの巻装位置が交換されてい
る。例えば図4のYチャンネルのシールドコイル12Y
sの場合、一方の巻線部CR1で外周側に位置していた
一方の分岐導体Saは、もう一方の巻線部CR2では内
周側に位置している。もう一方の分岐導体Sbはその反
対に位置している。この結果、2本の分岐導体Sa,S
bのトータルの長さは同じであるから(幅および厚さも
同じ)、互いの抵抗値が同じまたは略同一値になる。こ
れにより、2本の分岐導体Sa,Sbに流れる電流値が
互いに等しく、所望のコイル特性を発揮できる。
【0038】各分岐導体の断面積は分岐前の導体(リー
ド線)のそれの「1/分岐数」になっており、トータル
の抵抗値は分岐前と同じになっている。このため、電源
装置の容量を各別に大形化する必要もなく、従来実用に
供している電源装置をそのまま使用できる。
【0039】また2分割された分岐導体Sa,Sbの等
価回路は図7に模式的に示すように表される。2つの巻
線部CR1,CR2間で分岐導体Sa,Sbの位置を互
いに交換していることから、分岐導体Sa,Sbから成
る閉路を磁束が通過した場合、その磁束に因り閉路を流
れる電流は同図に矢印で示すように互いに反対になって
打ち消し合い、無用な電流も流れない。したがって、こ
の分岐導体Sa,Sbによる閉路は外来磁束にも耐性を
発揮する。
【0040】さらに、1本の導体を2本に分岐し、かつ
その分岐導体相互の抵抗値を揃えているので、このシー
ルドコイルが発生する実際の電流分布を理想的な電流分
布に近付けることができる。この様子をX、Yチャンネ
ルの流線関数を用いて図8、9に示す。これらの図に
は、所望の電流分布を実現するために解析的に得られた
理想流線関数をそれぞれ示す。この理想流線関数を従来
の幅広でターン数の少ないコイルで離散化したときの実
際の流線関数を図8に示す。同図に示すように、従来の
場合、実際の流線関数は粗いステップ状にしかならず、
この粗いステップ状の流線関数から得られる電流分布
は、粗い分だけ理想状態からずれたものにしかならな
い。
【0041】しかし、図9に示すように、設定電流値
(例えば100[A])を半分(例えば50[A])ず
つ担う幅の狭い2つの分岐導体の構造を採用したこと
で、理想状態の流線関数を再現する自由度が増える。こ
の結果、図8記載の従来のものよりも、より密で且つ細
かなステップ状の流線関数を得ることができ、理想流線
関数に近付けることができる。つまり、実際に発生する
磁場も所望分布に非常に近いものとなり、より高精度の
MRイメージングに寄与可能になる。分岐導体数を増や
すほど、コイル配置による離散化の粗さが少なくなり、
理想流線関数に近い流線関数となる。
【0042】このように流線関数が従来よりも連続的と
なるので、かかる分岐導体構造をシールドコイル12X
s,12Ys,12Zsに適用したときには、導体が空
間的に密に巻装される。これにより、巻線(ターン)間
の隙間が少なくなり、漏れ磁束が減少して、シールド効
果も高まる。
【0043】上述した利点は、本発明者が行ったシミュ
レーションからも明らかである。これはASGCのYチ
ャンネルのコイルに関するもので、Yチャンネルのシー
ルドコイルから外側に5[mm]離れた位置での漏れ磁
場をターンを分割しない場合と、2分割した場合とで比
較するシミュレーションを行ったところ、分割しない場
合に比べて、2分割した場合は、2倍以上のシールド効
果があることが判明した。この結果からターン分割の有
効性が分かる。
【0044】(そのほかの実施形態)図10、11に本
発明のそのほかの実施形態に係る分岐導体の構成をそれ
ぞれ示す。
【0045】図10には、2つの分岐導体Sa,Sbの
抵抗値を単独の巻線部だけで揃えることのできる形態を
模式的に示す。例えば前述した図4中の右側巻線部CR
1の分岐導体Sa,Sbにおいて、渦巻き状パターンの
外周側に位置する一方の分岐導体Saの幅Woutを、
内周側に位置するもう一方の分岐導体Sbの幅Winよ
りも広くする。これにより、外周側を回ることで分岐導
体が長くなって上がる分の抵抗値は、断面積が大きいこ
とに拠る抵抗値の減少によって相殺される。内側を回る
分岐導体はその反対になる。幅Wout,Winを相違
させる割合は、外周側、内周側の位置に拠る長さの違い
から来る抵抗値の違いを相殺可能な値とする。
【0046】この結果、両方の分岐導体の抵抗値を単独
の巻線部だけでも同一または略同一に設定することがで
きる。前述した実施形態のものと同等の作用効果を得る
とともに、分岐導体構造を設計する際、その設計の選択
枝を広げることができる。
【0047】また図11は、前述した分岐導体の構造
を、巻線部の一部にのみ採用した場合を示している。同
図の渦巻き状の巻線部は、傾斜磁場コイルのXチャンネ
ルやYチャンネルの実際のコイル配置を模式的に例示す
るものである。つまり、巻線間に隙間が大きく空く部分
ができるので、その部分のみ1本の平板状の導体を例え
ば2本の分岐導体Sa′,Sb′に分割するものであ
る。この分岐導体Sa′,Sb′の抵抗値も前述した手
法によって揃える。このため、同図のように、巻線部の
一部のみ分岐導体構造にする場合も前述したと同等の利
点を得ることができる。
【0048】なお、本発明で実施する分岐導体の数は
「2」に限定されることなく、「3」以上の任意数であ
ってもよく、分岐数を増やすほど、全体の抵抗値は変え
ずに幅をより狭くでき、渦電流に対する時定数が一段と
下がるなどの前述した効果を享受できる。
【0049】また、本発明に係る磁場発生用コイルユニ
ットを適用できるコイルユニットは、能動遮蔽型傾斜磁
場コイルに限定されずに、シールド機能を各別には備え
ていない傾斜磁場コイルであってもよい。また、静磁場
補正用のシムコイルであってもよい。
【0050】さらに、前記各実施形態において、分岐導
体間の抵抗値を揃える精度は所望のコイル特性が得られ
る許容範囲であればよく、必ずしも数値的に厳密に一致
させることを意味していないし、その必要もない。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁場発生
用コイルユニットでは、導体の少なくとも一部を複数の
分岐導体に分割するとともに、この複数の分岐導体の抵
抗値が互いに等しくなるように当該複数の分岐導体を形
成したので、導体(コイル巻線)の一層巻き及び不連続
巻線分布の構造を維持しつつ、導体の抵抗値を大きくせ
ずに導体の渦電流の時定数を下げ、高速の撮像シーケン
スに好適なコイルユニットを提供することができる。
【0052】また、同時に、実際に発生させる磁場分布
を、解析的に得られる所望の連続分布に極力近づけるこ
とができる。さらに、同時に、コイルユニットに電流を
供給する電源の容量を格別大形化させることなく、現在
使用に供されている規模の容量の電源を使うことができ
る。さらにまた、本発明を能動遮蔽型傾斜磁場コイルに
実施すると、そのシールド性能を向上させることもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁場発生用コイルユニットを実施した
MRI装置のガントリの概略断面図。
【図2】能動遮蔽型傾斜磁場コイルのZ軸方向に直交す
る面の概略断面図。
【図3】能動遮蔽型傾斜磁場コイルのシールドコイル
(またはメインコイル)の巻線部の配置状況を説明する
模式図。
【図4】シールドコイルのYチャンネルの4つの巻線部
の内、2つの並置された巻線部の組(コイル素子)をX
Z面に展開して示す図。
【図5】シールドコイルのZチャンネルの2つの並置さ
れた巻線部の組(コイル素子)を模式的に示す図。
【図6】シールドコイルのX,Y,Zチャンネルのコイ
ル配置を概略的に示す図。
【図7】一実施形態に係る分岐導体の部分の等価回路。
【図8】本発明の利点との対比に用いた、従来の幅広の
コイル導体に拠る理想的流線関数および実際の流線関数
を示す図。
【図9】本発明の一実施形態における、幅の狭い分岐導
体に拠る理想的流線関数および実際の流線関数を示す
図。
【図10】そのほかの実施形態の一例を示す分岐導体の
図。
【図11】そのほかの実施形態の別の一例を示す分岐導
体の図。
【図12】従来の幅広の導体を用いた巻線部の組をXZ
面に展開して示す図。
【符号の説明】
12 能動遮蔽型傾斜磁場コイルのユニット(磁場発生
用コイルユニット) 12X Xコイルアセンブリ 12Y Yコイルアセンブリ 12Z Zコイルアセンブリ 12Xs Xチャンネルのシールドコイル 12Ys Yチャンネルのシールドコイル 12Zs Zチャンネルのシールドコイル CR1〜CR4 巻線部 CRc,CRd 巻線部 LD1,LD2 リード線 LDc,LDd リード線 Sa,Sb 分岐導体 Sa′,Sb′ 分岐導体 CE コイル素子
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 24/06 520J

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体を所定パターンに沿って巻き回した
    巻線部を有するコイルを備え、この導体に電流を供給し
    て所望分布の磁場を発生させるようにした磁場発生用コ
    イルユニットにおいて、 前記導体の少なくとも一部を複数の分岐導体に分割する
    とともに、この複数の分岐導体の抵抗値が互いに等しく
    なるように当該複数の分岐導体を形成したことを特徴と
    する磁場発生用コイルユニット。
  2. 【請求項2】 前記複数の分岐導体は、前記導体の前記
    所定パターンに沿った巻き始め端から巻き終わり端まで
    連続して形成されている請求項1記載の磁場発生用コイ
    ルユニット。
  3. 【請求項3】 前記コイルは、前記所定パターンとして
    の渦巻き状パターンに沿って巻き回された前記巻線部を
    2個、同一面上に並置した構造を有する請求項2記載の
    磁場発生用コイルユニット。
  4. 【請求項4】 前記2個の巻線部間で前記複数の分岐導
    体の互いの位置を交換するように当該複数の分岐導体を
    配置し、これにより当該複数の分岐導体の互いの抵抗値
    を同一または略同一に設定した請求項3に記載の磁場発
    生用コイルユニット。
  5. 【請求項5】 前記所定パターンの内周側、外周側いず
    れの側に位置する分岐導体であるかに応じて前記複数の
    分岐導体のそれぞれの断面積を、当該複数の分岐導体の
    互いの抵抗値が同一または略同一となるように設定した
    請求項3に記載の磁場発生用コイルユニット。
  6. 【請求項6】 前記分岐導体の数は2個である請求項1
    乃至5のいずれか1項に記載の磁場発生用コイルユニッ
    ト。
  7. 【請求項7】 前記磁場発生用コイルユニットは、磁場
    共鳴イメージング(MRI)装置の傾斜磁場コイルユニ
    ットとして形成されている請求項1記載の磁場発生用コ
    イルユニット。
  8. 【請求項8】 前記傾斜磁場コイルユニットは、Xチャ
    ンネル、Yチャンネル、およびZチャンネルそれぞれに
    傾斜磁場を発生するメインコイル部と、この3チャンネ
    ルそれぞれの傾斜磁場を外界に対して磁気的にシールド
    するシールド用磁場を発生するシールドコイル部とを備
    えた能動遮蔽型傾斜磁場コイル(ASGC)であり、 前記コイルは、前記シールドコイル部のXチャンネル、
    Yチャンネル、およびZチャンネルの内の少なくとも1
    つのチャンネルの前記シールド用磁場を発生するコイル
    アセンブリに組み込まれている請求項7記載の磁場発生
    用コイルユニット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009201980A (ja) * 2008-01-30 2009-09-10 Toshiba Corp 傾斜磁場コイル、磁気共鳴イメージング装置、及び傾斜磁場コイルの製造方法
JP2013039152A (ja) * 2011-08-11 2013-02-28 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴イメージング装置
WO2023194328A1 (en) * 2022-04-01 2023-10-12 Deepspin Gmbh A coil and a method of specifying a geometry of the coil

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