JPH10152742A - Al合金製積層摺動部材および滑り軸受 - Google Patents

Al合金製積層摺動部材および滑り軸受

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JPH10152742A
JPH10152742A JP31231496A JP31231496A JPH10152742A JP H10152742 A JPH10152742 A JP H10152742A JP 31231496 A JP31231496 A JP 31231496A JP 31231496 A JP31231496 A JP 31231496A JP H10152742 A JPH10152742 A JP H10152742A
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alloy
layer
laminated
bearing
sliding member
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JP31231496A
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English (en)
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Hiroe Okawa
川 広 衛 大
Naoto Mizuno
野 直 人 水
Masahiko Shioda
田 正 彦 塩
Kenji Ushijima
嶋 研 史 牛
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Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
Original Assignee
NDC Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐疲労性および表面性能という特性の両方共
が従来のものにない高い水準で得ることができるAl合
金製積層摺動部材および滑り軸受を提供する。 【解決手段】 表面層として、重量%で、Sn:6〜1
5未満%、Si:0.1〜4.5%、Pb,Sbのうち
から選ばれる1種または2種:0.1〜10%、Cu,
Crのうちから選ばれる1種または2種:0.1〜2.
0%、残部が実質的にAlからなる合金Aと、第2層と
して、重量%で、Sn:0.1〜6.0%、Si,C
u,Cr,Zn,Mn,Mgのうちから選ばれる1種ま
たは2種以上:0.5〜5.0%、残部が実質的にAl
からなる合金Bを積層してなるAl合金製積層摺動部
材、および前記積層摺動部材の背面に裏金が設けられて
いる積層滑り軸受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車,工作機
械,農業機械等の各種機械装置の構造部品として使用さ
れる軸受ならびに摺動部材用の素材として適するAl合
金製積層摺動部材および滑り軸受に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、特に内燃機関用
の軸受合金として、耐熱・耐摩耗性,耐疲労性等の観点
から、ケルメット(Cu−Pb系高鉛青銅軸受合金の総
称)が広く用いられている。また、耐腐食性や軸材質へ
の対応範囲が広い等の観点からAl合金系軸受の需要も
増加傾向にある。
【0003】しかしながら、従来のケルメットおよび従
来のAl合金系軸受には以下のような問題点があった。
【0004】まず、ケルメットについては、耐疲労性等
には優れる反面、そのままでは耐焼付性に劣るため、P
b−Sn系のオーバーレイ層を表面に形成させて使用し
ている。
【0005】ところが、高速・高荷重域では、Pb−S
n系のオーバーレイ層を表面にもつものは、熱伝導性の
良いAl系合金の表面層をもつ軸受合金にくらべ著しい
摩擦増加を示すことが実験にて確認された。
【0006】本発明者らの一部は、潤滑油が高温になっ
た場合の軸受の摩擦挙動について研究を重ねた結果、高
速・高荷重域では、油が高温になると粘度が低下し、油
膜が薄くなるが、油膜圧力が増大することになり、その
結果、従来の常識とは異なり、高圧下での油粘度が著し
く増大し、かえって、油のせん断抵抗力としての摩擦が
増大すること、および、これがケルメットの高速・高荷
重域での摩擦増加のメカニズムであることを見いだし
た。
【0007】一方、Al合金系軸受についても、高強度
化のために合金を硬くすると、表面性能として必要な耐
焼付性,なじみ性等が低下するため、常用域でケルメッ
トに匹敵するものを得ようとすると、ケルメットと同様
にPb−Sn系のオーバーレイ層を表面に形成させる必
要があった。また、合金が硬くなりすぎると圧延等の加
工性が著しく低下してしまうため、従来技術ではケルメ
ットに比較して十分な強度をもつものは得られていない
のが実情であった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたもので、高速,高荷重域での摩擦を低減
するためには、メカニズムの発端である油膜の温度を下
げることが有効であり、そのためには、従来は無関係と
されていた軸受材質に関して、軸受合金の熱伝導率を高
くし、介在する油の局所的な発熱をすばやく抜熱するこ
とが重要である。
【0009】こうした観点から見ると、Al系合金の表
面層を持つ軸受は熱伝導率が高いため本質的に有利であ
り、従来ケルメットが使用されてきた部位にPb−Sn
系オーバーレイ層をもたないAl合金系軸受を適用でき
れば、当該部位の発熱による摩擦損失を低減させること
ができる。
【0010】したがって、本発明の目的は、従来のAl
合金系摺動部材および滑り軸受に対し、加工性等を損ね
ずに基地層を強化することにより、強度特性をケルメッ
ト並に向上させ、さらに、Pb−Sn系オーバレイ層を
設けずに軸受として必要な表面性能を確保することによ
り、摩擦損失の低減も同時に図り、耐疲労性および表面
性能という特性の両方共が従来のものにはない高い水準
で得ることができるAl合金製積層摺動部材および滑り
軸受を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるAl合金
製積層摺動部材は、請求項1に記載しているように、表
面層として、重量%で、Sn:6〜15未満%、Si:
0.1〜4.5%、Pb,Sbのうちから選ばれる1種
または2種:0.1〜10.0%、Cu,Crのうちか
ら選ばれる1種または2種:0.1〜2.0%、残部が
実質的にAlからなる合金Aと、第2層として、重量%
で、Sn:0.1〜6.0%、Si,Cu,Cr,Z
n,Mn,Mgのうちから選ばれる1種または2種以
上:0.5〜5.0%、残部が実質的にAlからなる合
金Bを積層してなる構成としたことを特徴としている。
【0012】そして、本発明に係わるAl合金製積層摺
動部材の実施態様においては、請求項2に記載している
ように、積層加工終了後に合金Bの硬度向上のための熱
処理が施されているものとすることができる。
【0013】本発明に係わる積層滑り軸受は、請求項3
に記載しているように、請求項1または2に記載された
積層摺動部材の背面に裏金が設けられている構成とした
ことを特徴としている。
【0014】そして、本発明に係わる積層滑り軸受の実
施態様においては、請求項4に記載しているように、裏
金は鋼板であるものとすることができ、また、請求項5
に記載しているように、合金Aと合金Bとの間および合
金Bと裏金との間のうち少なくともいずれかの間に純A
l層を介在させてなるものとしたり、あるいは、請求項
6に記載しているように、合金Aと合金Bとの間および
合金Bと裏金との間のうち少なくともいずれかの間にS
n,Pb,Sbを含まないAl合金層を介在させてなる
ものとすることができる。
【0015】
【発明の作用】本発明に係わるAl合金製積層摺動部材
は、請求項1に記載しているように、表面層として、重
量%で、Sn:6〜15未満%、Si:0.1〜4.5
%、Pb,Sbのうちから選ばれる1種または2種:
0.1〜10.0%、Cu,Crのうちから選ばれる1
種または2種:0.1〜2.0%、残部が実質的にAl
からなる合金Aと、第2層として、重量%で、Sn:
0.1〜6.0%、Si,Cu,Cr,Zn,Mn,M
gのうちから選ばれる1種または2種以上:0.5〜
5.0%、残部が実質的にAlからなる合金Bを積層し
てなる構成としたものであるが、以下に、それぞれの成
分および数値の限定理由について各元素の作用と共に説
明する。
【0016】まず、表面層としての合金Aの成分および
数値の限定理由について、各元素の作用と共に説明す
る。
【0017】(A−1)Sn:6〜15未満% Snは潤滑成分として有効であり、耐焼付性に優れたも
のである。また、表面層として用いる合金Aのなじみ
性,異物埋収性を高める。
【0018】しかし、Snが6%未満ではその効果が少
なく、Snが15%以上となると熱伝導率が低下し、本
発明の積層摺動部材および滑り軸受の特徴の1つである
高温の潤滑油中での摩擦損失の増大を抑制する能力が損
なわれる。
【0019】(A−2)Si:0.1〜4.5% Siは表面層である合金Aの耐焼付性,耐摩耗性の向上
に寄与するが、0.1%未満ではその効果が少なく、
4.5%を超えるとなじみ性,圧延等の加工性が低下す
る。
【0020】(A−3)Pb,Sbのうちから選ばれる
1種または2種:0.1〜10.0% Pb,Sbは潤滑成分として有効であり、耐焼付性に優
れたものである。また、表面層として用いる合金Aのな
じみ性,異物埋収性を高める。
【0021】しかし、Pb,Sbの合計が0.1%未満
ではその効果が少なく、Pb,Sbの合計が10.0%
を超えると熱伝導率が低下し、本発明の積層摺動部材お
よび滑り軸受の特徴の1つである高温の潤滑油中での摩
擦損失の増大を抑制する能力が損なわれる。
【0022】(A−4)Cu,Crのうちから選ばれる
1種または2種:0.1〜2.0% Cu,Crは表面層である合金Aの耐荷重性,耐熱性を
向上させるが、0.1%未満ではその効果が少なく、
2.0%を超えるとなじみ性,圧延等の加工性が低下す
る。
【0023】次に、第2層としての合金Bの成分および
数値の限定理由について、各元素の作用と共に説明す
る。
【0024】(B−1)Sn:0.1〜6.0% Snは潤滑成分として有効であり、耐焼付性を向上させ
るものであるが、合金Bの場合は、これを第2層とし合
金Aを表面層として積層するときになじみ性や異物埋収
性はそれ程必要でなく、合金Aが摩耗した場合の焼付低
減のために添加するものである。
【0025】しかし、添加量が0.1%未満ではその効
果が少なく、6.0%を超えると合金Bの強度や積層加
工時の密着性が低下することに加え、熱伝導率が低下
し、本発明の積層摺動部材および滑り軸受の特徴の1つ
である高温の潤滑油中での摩擦損失の増大を抑制する能
力が損なわれる。
【0026】(B−2)Si,Cu,Cr,Zn,M
n,Mgのうちから選ばれる1種または2種以上:0.
5〜5.0% Si,Cu,Cr,Zn,Mn,MgはAlマトリック
スの強度を高めるのに有効である。特にCu,Zn,M
gの添加は熱処理を施すことで著しく硬度,強度を向上
させる。また、Siには、Snと同様に、合金Aを表面
層として積層するときにこの合金Aが摩耗した場合の焼
付・摩耗防止に寄与する効果もある。しかし、これらの
添加量が0.5%未満ではその効果が少なく、5.0%
を超えると機械的性質、特に、伸びを減じ、摺動性能な
いしは軸受性能を低下させる。
【0027】次に、本発明による積層摺動部材におい
て、表面層として使用する合金Aの製造法については、
通常は板状の鋳造材を圧延していく方法をとるが、Pb
が4%を超えると鋳造法では偏析が生じ、均一な材料組
織となりにくいため、板材を粉末圧延,焼結法で作って
も良いし、溶射により合金Bの上に直接に積層すること
も可能である。
【0028】一方、第2層として使用する合金Bの製造
法については、通常は板状の鋳造材を圧延していく方法
をとるが、加工前に焼鈍を施せば圧延が容易となり、製
造安定性に優れたものとすることができ、さらに、請求
項2に記載しているように、積層加工終了後に熱処理を
施して硬さを向上させることにより、摺動部材として必
要な強度を同時に得ることが可能となる。
【0029】本発明に係わる積層滑り軸受は、請求項3
に記載しているように、請求項1または2に記載された
積層摺動部材の背面に、裏金が設けられている構成を有
するものであり、このような構成のものとすることによ
って、耐疲労性および表面性能という特性の両方共が従
来にない高い水準で得られることとなる。
【0030】そして、この場合の裏金としては、請求項
4に記載しているように、鋼板を用いることによって、
軸受として必要な剛性を備えたものとなる。
【0031】また、クラッド条件によっては、合金Aと
合金B、あるいは裏金と合金Bとの密着性が悪くなるこ
とがある。この場合は、請求項5に記載しているよう
に、合金Aと合金Bとの間および合金Bと裏金との間の
うち少なくともいずれかの間に1〜15μm程度の純A
l層、または、請求項6に記載しているように、合金A
と合金Bとの間および合金Bと裏金との間のうち少なく
ともいずれかの間に1〜15μm程度のSn,Pb,S
bを含まないAl合金層を密着性向上のために介在させ
てもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明に係わるAl合金製積層摺動部材
は、請求項1に記載しているように、表面層として、重
量%で、Sn:6〜15未満%、Si:0.1〜4.5
%、Pb,Sbのうちから選ばれる1種または2種:
0.1〜10.0%、Cu,Crのうちから選ばれる1
種または2種:0.1〜2.0%、残部が実質的にAl
からなる合金Aと、第2層として、重量%で、Sn:
0.1〜6.0%、Si,Cu,Cr,Zn,Mn,M
gのうちから選ばれる1種または2種以上:0.5〜
5.0%、残部が実質的にAlからなる合金Bを積層し
てなる構成としたものであるから、耐疲労性および表面
性能という特性の両方共が従来にない高い水準で実現さ
れ、さらに高温の潤滑条件においては、流体潤滑性能の
向上による耐疲労性の向上、および、摩擦発熱の低減に
よる温度上昇の抑制、などが従来の摺動部材に比べ著し
く優れているという顕著な効果がもたらされる。
【0033】そして、本発明に係わるAl合金製積層摺
動部材の実施態様においては、請求項2に記載している
ように、積層加工終了後に合金Bの硬度向上のための熱
処理が施されているものとすることによって、積層加工
時には加工性が良く製造安定性に優れ、加工後の熱処理
により使用時には摺動部材としての強度特性が一段と優
れたものになるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0034】また、本発明に係わる積層滑り軸受は、請
求項3に記載しているように、請求項1または2に記載
された積層摺動部材の背面に裏金が設けられている構成
としたものであるから、耐疲労性および表面性能という
特性の両方共が従来にない高い水準で実現され、さら
に、高温の潤滑条件においては、流体潤滑性能の向上に
よる耐疲労性の向上、および、軸受合金の抜熱性向上に
よる油膜温度上昇の抑制、などが従来の滑り軸受に比
べ、著しく優れているという顕著な効果がもたらされ
る。
【0035】そして、本発明に係わる積層滑り軸受の実
施態様においては、請求項4に記載しているように、裏
金は鋼板であるものとすることによって軸受として必要
な強度を得ることが可能となり、さらに必要に応じ、請
求項5に記載しているように、合金Aと合金Bとの間お
よび合金Bと裏金との間のうち少なくともいずれかの間
に純Al層を介在させてなるものとしたり、あるいは、
請求項6に記載しているように、合金Aと合金Bとの間
および合金Bと裏金との間のうち少なくともいずれかの
間にSn,Pb,Sbを含まないAl合金層を介在させ
てなるものとすることによって、合金Aと合金Bとの間
や、合金Bと裏金との間における密着性をより一層向上
させることが可能になるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0036】
【実施例】次に、実施例について比較例と共に説明す
る。
【0037】実施例1〜4,比較例1〜4 まず、表1の合金A(表面層)の欄に示す実施例1〜
4,比較例1〜4の組成を有するAl−Sn系合金を溶
製し、連続鋳造により厚さ20mmの板状材として鋳造
し、各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削し、続いて
冷間圧延により8mmの厚さまで圧下した。この状態で
200〜300℃の熱処理を行ってひずみを除去した。
【0038】次に、表1の合金B(第2層)の欄に示す
実施例1〜4,比較例1〜4の組成を有するAl−Sn
系合金を溶製し、連続鋳造により厚さ20mmの板状材
として鋳造し、各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削
し、続いて冷間圧延により1mmの厚さまで圧下した。
この状態で200〜300℃の熱処理を行ってひずみを
除去した。
【0039】次いで、この2種の合金A,Bにおいて各
々密着面を清浄にした後クラッドを行い、続いて1mm
の厚さまで冷間圧延した。
【0040】その後、この積層材を焼鈍した後、裏金と
なる鋼板の上に合金Bを第2層とし合金Aを表面層とし
てクラッドした。クラッド終了後、これを連続的に48
0℃の加熱炉で10分間保持した後ガス吹き付けにより
急冷し、続いて180℃の温度で時効処理を施し、合金
B層を硬化させた。続いて、さらに表面を機械的に除去
し、その結果、裏金としての鋼板の厚さが約1.20m
m、第2層としての合金Bの層厚さが約0.05mm、
表面層としての合金Aの層厚さが約0.25mmで合計
厚さが約1.5mmの滑り軸受を得た。
【0041】比較例5 表1の合金B(第2層)の欄に示す比較例5の組成を有
するAl−Sn系合金を溶製し、連続鋳造により厚さ2
0mmの板状材として鋳造し、鋳造ビレットの上下面を
1mm面切削し、続いて冷間圧延により1mmの厚さま
で圧下した。この状態で200〜300℃の熱処理を行
ってひずみを除去した。
【0042】その後、裏金となる鋼板の上に合金Bをク
ラッドし、クラッド終了後、これを連続的に480℃の
加熱炉で10分間保持した後ガス吹き付けにより急冷
し、続いて180℃の温度で時効処理を施し、合金B層
を硬化させた。
【0043】さらに、表面を機械的に除去し、寸法調整
した後、合金B層の表面に脱脂等の前処理を施し、その
上に表1の合金A(表面層)の欄に示す比較例5の組成
を有する10重量%Sn,2重量%Cuを含むPb−S
n−Cuめっきを20μmの厚さで施し、その結果、裏
金としての鋼板の厚さが約1.2mmで合計厚さが約
1.5mmの滑り軸受を得た。
【0044】比較例6 表1の合金A(表面層)の欄に示す比較例6の組成を有
するAl−Sn系合金を溶製し、連続鋳造により厚さ2
0mmの板状材として鋳造し、鋳造ビレットの上下面を
1mm面切削し、続いて冷間圧延により1mmの厚さま
で圧下した。この状態で200〜300℃の熱処理を行
ってひずみを除去した後、裏金となる鋼板の上にクラッ
ドした。その後、表面を機械的に除去し、その結果、裏
金としての鋼板の厚さが約1.2mm、表面層としての
合金Aの層厚さが約0.3mmで合計厚さが約1.5m
mの滑り軸受を得た。
【0045】比較例7 表1の合金B(第2層)の欄に示す比較例7の組成を有
するCu−Pb系(ケルメット)合金を溶製し、連続的
に鋼板上に注湯し、注湯後すぐに鋼板の下面から水冷却
により急冷し、鋼板上にデンドライト組織を持つ鋳造ケ
ルメット合金を積層した材料を作製した。さらに、寸法
調整した後、ケルメット表面に脱脂等の前処理を施し、
その上に表1の合金A(表面層)の欄に示す比較例7の
組成を有する10重量%Sn,2重量%Cuを含むPb
−Sn−Cuめっきを20μmの厚さで施し、合計厚さ
が約1.5mmの滑り軸受を得た。
【0046】
【表1】
【0047】(耐焼付性試験)実施例1〜4、比較例1
〜7で得た各滑り軸受から、幅35mm,長さ35mm
の試験片を切り出し、鈴木式摩耗試験機を用いて、表2
に示す条件で耐焼付性試験を行った。その結果を表3に
示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表3より明らかなように、本発明実施例1
〜4の滑り軸受は、従来より耐焼付性に優れるとされて
きた比較例7の滑り軸受と同等であるかあるいはそれ以
上の耐焼付性を有していることがわかる。
【0051】一方、表面層である合金Aの成分組成が本
発明から外れる比較例1,2の滑り軸受は、本発明実施
例の滑り軸受よりも耐焼付性が劣っていることがわか
る。
【0052】(高温摩擦性)実施例1〜4,比較例5お
よび比較例7で得た各滑り軸受を半割軸受形状に加工
し、本発明者らの一部が開発した軸受単体試験機(日本
機械学会 第71期全国大会講演論文集 vol.D,
1993年 p332−334)により、表4に示す条
件で、摺動面が高温になった場合の摩擦力を測定した。
摺動面が130℃の時の摩擦トルクを表5に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】表5より明らかなように、本発明実施例1
〜4の滑り軸受は、表面にPb−Sn−Cuオーバーレ
イ層を有する比較例5および比較例7の滑り軸受よりも
優れた摩擦特性を有することがわかる。
【0056】(耐疲労試験)実施例1〜4,比較例1〜
6で得た各滑り軸受をエンジン部品として適用するべく
半割軸受形状に加工し、表6に示す条件でアンダーウッ
ド試験を行った。その結果を表7に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】表7より明らかなように、表面層(合金
A)の成分が本発明から外れる比較例1,2および第2
層(合金B)の成分が本発明から外れる比較例3,4、
さらに合金Aに相当する表面層をPb−Sn−Cuオー
バーレイ層とした比較例5および第2層を設けない比較
例6の滑り軸受は、実施例の滑り軸受よりも耐疲労性が
劣っている。
【0060】これら3種の試験結果により、本発明によ
る滑り軸受が耐焼付性,耐疲労性および高温潤滑油中で
の摩擦損失の低減を同時に成立させていることが明らか
であり、従来の各種軸受合金では不可能であった性能を
有していることがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩 田 正 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 牛 嶋 研 史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層として、重量%で、Sn:6〜1
    5未満%、Si:0.1〜4.5%、Pb,Sbのうち
    から選ばれる1種または2種:0.1〜10.0%、C
    u,Crのうちから選ばれる1種または2種:0.1〜
    2.0%、残部が実質的にAlからなる合金Aと、第2
    層として、重量%で、Sn:0.1〜6.0%、Si,
    Cu,Cr,Zn,Mn,Mgのうちから選ばれる1種
    または2種以上:0.5〜5.0%、残部が実質的にA
    lからなる合金Bを積層してなることを特徴とするAl
    合金製積層摺動部材。
  2. 【請求項2】 積層加工終了後に合金Bの硬度向上のた
    めの熱処理が施されている請求項1に記載のAl合金製
    積層摺動部材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載された積層摺動
    部材の背面に裏金が設けられていることを特徴とする積
    層滑り軸受。
  4. 【請求項4】 裏金は鋼板である請求項3に記載の積層
    滑り軸受。
  5. 【請求項5】 合金Aと合金Bとの間および合金Bと裏
    金との間のうち少なくともいずれかの間に純Al層を介
    在させてなる請求項3または4に記載の積層滑り軸受。
  6. 【請求項6】 合金Aと合金Bとの間および合金Bと裏
    金との間のうち少なくともいずれかの間にSn,Pb,
    Sbを含まないAl合金層を介在させてなる請求項3ま
    たは4に記載の積層滑り軸受。
JP31231496A 1996-11-22 1996-11-22 Al合金製積層摺動部材および滑り軸受 Pending JPH10152742A (ja)

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US7862768B2 (en) 2004-03-31 2011-01-04 Daido Metal Company Ltd Plain bearing and method of manufacturing the same

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