JPH09303374A - Al合金製すべり軸受 - Google Patents

Al合金製すべり軸受

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JPH09303374A
JPH09303374A JP12495196A JP12495196A JPH09303374A JP H09303374 A JPH09303374 A JP H09303374A JP 12495196 A JP12495196 A JP 12495196A JP 12495196 A JP12495196 A JP 12495196A JP H09303374 A JPH09303374 A JP H09303374A
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JP
Japan
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alloy
layer
bearing
thickness
balance
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Application number
JP12495196A
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English (en)
Inventor
Hiroe Okawa
川 広 衛 大
Masahiko Shioda
田 正 彦 塩
Naoto Mizuno
野 直 人 水
Kenji Ushijima
嶋 研 史 牛
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NDC Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
Original Assignee
NDC Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速・高荷重下での摩擦低減と耐疲労性に優
れ、さらに、これらと優れた耐焼付性とを両立させたA
l合金製すべり軸受を提供する。 【解決手段】 表面にAl−Sn系合金のオーバーレイ
層を有するすべり軸受において、前記オーバーレイ層
が、重量%で、Sn:15〜25%、Cu:0.1〜
1.5%、残部が実質的にAlからなる合金層Iの上
に、同じく重量%で、Sn:20〜40%、残部が実質
的にAlからなる合金層IIを積層したものからなり、
合金層IIの硬さがHv70以下であるものとしたすべ
り軸受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車,工作機械,農
業機械等々の各種機械装置の構造部品として使用される
軸受ならびに摺動部材用の素材として適するAl合金製
すべり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、とくに内燃機関用の軸受合金とし
て、耐熱・耐摩耗性、耐腐食性、耐疲労性、耐焼付性等
の観点から、Al系の軸受合金が注目され、最近に至り
急速にその使用量が増加している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Al系
の軸受合金にケルメット並みあるいはケルメット以上の
耐疲労性を持たせるためには、SnやPb等の軟質成分
量を少なくする必要があり、その場合には、耐焼付性が
低下するため、ケルメットと同様に、Pb−Sn系のオ
ーバーレイ層を表面に形成させるか、Al−Sn系のオ
ーバーレイ層を表面に形成させる必要があった。
【0004】ただし、特に、高速・高荷重域では、Pb
−Sn系のオーバーレイ層を表面に形成させたものの方
が、熱伝導性の良いAl−Sn系のオーバーレイ層を表
面に形成させたものに比べて、著しい摩擦増加を示すこ
と、また、耐疲労性に劣ることにより、Al−Sn系の
オーバーレイ層を表面に形成させたものが用いられるこ
とが多い。
【0005】本発明者らの一部は、潤滑油が高温になっ
た場合の軸受の摩擦挙動について研究を重ねた結果、高
速・高荷重域では、油が高温になると粘度が低下し、油
膜が薄くなるが、油膜圧力が増大することになり、その
結果、高圧下での油粘度が著しく増大し、かえって、油
のせん断抵抗力としての摩擦が増大することを見いだし
た。また、このような条件下では、局所的な高い油膜圧
力のため、当然のことながら軸受の耐疲労性を損ねるこ
とになる。
【0006】そして、本発明者らの一部は、高速・高荷
重下での摩擦を低減するためには、メカニズムの発端で
ある油膜の温度を下げることが有効であり、そのために
は、従来は無関係とされていた軸受材質に関して、介在
する油の局所的な発熱をすばやく抜熱する役目も担って
いる軸受合金層の熱伝導率を高くすることが重要である
ことを見いだした。
【0007】ところで、Al系の軸受合金にAl系の表
面層を形成させるためには、圧延により積層する方法、
溶射による方法、スパッタリングによる方法などがある
が、他の方法に比べ、厚さ制御が容易であること、組織
が微細で均一になるため疲労強度が高いことにより、ス
パッタリング法が用いられることが多い。
【0008】しかし、スパッタリング法により形成させ
た微細で均一な膜は硬さも高いため、初期なじみがうま
くいかなかった場合や、瞬間的な油切れが発生した場合
に、低い荷重で焼付いてしまうという問題点があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、高速・高荷重下での摩擦
低減と耐疲労性に優れ、さらに、これらと優れた耐焼付
性とを両立させたAl合金製すべり軸受を提供すること
を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるAl合金製
すべり軸受は、請求項1に記載しているように、表面に
Al−Sn系合金のオーバーレイ層を有するすべり軸受
において、前記オーバーレイ層が、重量%で、Sn:1
5〜25%、Cu:0.1〜1.5%、残部が実質的に
Alからなる合金層Iの上に、同じく重量%で、Sn:
20〜40%、残部が実質的にAlからなる合金層II
を積層したものからなり、合金層IIの硬さがHv70
以下である構成としたことを特徴としている。
【0011】そして、本発明によるすべり軸受の実施態
様においては、請求項2に記載しているように、重量%
で、Sn:0.1〜12%、Pb,Sbのうちから選ば
れる1種または2種:0.1〜3.0%、Si:0.1
〜6.0%、Cu,Cr,Zn,Mnのうちから選ばれ
る1種または2種以上:0.8〜5.0%、残部が実質
的にAlからなる合金IIIの表面に請求項1に記載の
オーバーレイ層を有するものとしたり、あるいは、請求
項3に記載しているように、重量%で、Zn:4.0〜
5.5%、Mg:0.5〜2.5%を含むAl−Zn−
Mg系合金IVの表面に請求項1に記載のオーバーレイ
層を有するものとしたりすることができる。
【0012】
【発明の作用】本発明によるAl合金製すべり軸受は、
表面にAl−Sn系合金のオーバーレイ層を有するすべ
り軸受において、前記オーバーレイ層が、重量%で、S
n:15〜25%、Cu:0.1〜1.5%、残部が実
質的にAlからなる合金層Iの上に、同じく重量%で、
Sn:20〜40%、残部が実質的にAlからなる合金
層IIを積層したものからなり、合金層IIの硬さがH
v70以下であるものとしたことを特徴とするものであ
るが、以下に、合金層I,IIのそれぞれの成分および
数値の限定理由について説明する。
【0013】まず、合金層Iの成分および数値の限定理
由について説明する。
【0014】(I−1)Sn:15〜25% Snは潤滑成分として有効であり、耐焼付性に優れたも
のである。しかし、15%未満ではその効果が少なく、
25%を超えると疲労強度が低下するとともに熱伝導率
が低下し、本発明によるすべり軸受の特徴の1つである
高温の潤滑油中での摩擦損失を抑制する能力が損なわれ
る。したがって、合金層I中のSn量は15〜25%と
した。
【0015】(I−2)Cu:0.1〜1.5% Cuは耐荷重性、耐熱性を向上させるが、0.1%未満
ではその効果が少なく、1.5%を超えると耐焼付性が
低下する。したがって、合金層I中のCu量は0.1〜
1.5%とした。
【0016】次に、合金層IIの成分および数値の限定
理由について説明する。
【0017】(II−1)Sn:20〜40% Snは潤滑成分として有効であり、耐焼付性に優れたも
のである。また、表面層となる合金層IIのなじみ性、
異物埋収性を高める。しかし、Snが20%未満ではそ
の効果が少なく、40%を超えると熱伝導率が低下し、
本発明によるすべり軸受の特徴の1つである高温の潤滑
油中での摩擦損失を抑制する能力が損なわれる。したが
って、合金層II中のSn量は20〜40%とした。
【0018】(II−2)合金層IIの硬さ:Hv70
以下 合金層IIの硬さがHv70を超えると、この層の特徴
であるなじみ性、異物埋収性が損なわれる。したがっ
て、合金層IIの硬さはHv70以下とした。
【0019】そして、高速・高荷重域での摩擦低減と耐
疲労性により優れたAl合金製すべり軸受とするには、
上記オーバーレイ層を、重量%で、Sn:0.1〜12
%、Pb,Sbのうちから選ばれる1種または2種:
0.1〜3.0%、Si:0.1〜6.0%、Cu,C
r,Zn,Mnのうちから選ばれる1種または2種以
上:0.8〜5.0%、残部が実質的にAlからなるA
l−Sn系合金IIIか、重量%で、Zn:4.0〜
5.5%、Mg:0.5〜2.5%を含むAl−Zn−
Mg系合金IVの上に施すことが望ましいが、その成分
と数値の限定理由を以下に示す。
【0020】そこで、上記のうち、合金IIIの成分お
よび数値の限定理由について説明する。
【0021】(III−1)Sn:0.1〜12%、P
b,Sbのうちから選ばれる1種または2種:0.1〜
3.0% Sn、Pb、Sbは潤滑成分として有効であり、耐焼付
性に優れたものである。ただし、合金IIIの場合は、
表面層として合金層I、IIを積層するために、なじみ
性や異物埋収性は必要でなく、合金層Iが摩耗した場合
の焼付防止のためにSn、Pb、Sbを添加するもので
ある。そして、疲労強度の点からはこれらの潤滑成分は
できるだけ少ない方がよい。また、熱伝導率を高めて本
発明によるすべり軸受の特徴の1つである高温の潤滑油
中での摩擦損失の増大抑制のためにもこれらの潤滑成分
はできるだけ少ない方がよい。したがって、合金III
中のSn量は0.1〜12%とし、Pb,Sb量は0.
1〜3.0%とした。
【0022】(III−2)Si:0.1〜6.0% SiはAlマトリックスを強化すると共に、Sn、P
b、Sbと同様に、合金層IIが摩耗した場合の焼付、
摩耗防止に寄与する。しかし、0.1%未満ではその効
果が少なく、6.0%を超えると機械的性質、特に、伸
びを減じ、軸受性能を低下させる。したがって、合金I
II中のSi量は0.1〜6.0%とした。
【0023】(III−3)Cu,Cr,Zn,Mnの
うちから選ばれる1種または2種以上:0.8〜5.0
% Cu,Cr,Zn,Mnは、Alマトリックスの強度を
高めるのに有効であるが、0.8%未満ではその効果が
少なく、5.0%を超えるとSiと同様に機械的性質、
特に、伸びを減じ、軸受性能を低下させる。したがっ
て、合金III中のCu,Cr,Zn,Mn量は0.8
〜5.0%とした。
【0024】次に、合金IVの成分および数値の限定理
由について説明する。
【0025】(IV−1)Zn:4.0〜5.5% ZnはAl合金の強度を高めるの有効である。しかし、
4.0%未満ではその効果が少なく、5.5%を超える
と圧延などの加工性が低下する。したがって、合金IV
中のZn量は4.0〜5.5%とした。
【0026】(IV−2)Mg:0.5〜2.5% MgはAl合金の強度を高めるのに有効である。しか
し、0.5%未満ではその効果が少なく、2.5%を超
えると圧延などの加工性が低下する。したがって、合金
IV中のMg量は0.5〜2.5%とした。
【0027】
【発明の効果】本発明によるAl合金製すべり軸受は、
表面にAl−Sn系合金のオーバーレイ層を有するすべ
り軸受において、前記オーバーレイ層が、重量%で、S
n:15〜25%、Cu:0.1〜1.5%、残部が実
質的にAlからなる合金層Iの上に、同じく重量%で、
Sn:20〜40%、残部が実質的にAlからなる合金
層IIを積層したものからなり、合金層IIの硬さがH
v70以下であるものとしたから、耐疲労性および表面
性能という二律背反的な特性の両方共が従来にない高い
水準で実現され、特に、高温の潤滑条件において、流体
潤滑性能の向上による耐疲労性の向上、および軸受合金
の抜熱性向上による油膜温度上昇の抑制などが従来のす
べり軸受に比べてかなり優れているという格別顕著な効
果がもたらされる。
【0028】そして、請求項2に記載しているように、
重量%で、Sn:0.1〜12%、Pb,Sbのうちか
ら選ばれる1種または2種:0.1〜3.0%、Si:
0.1〜6.0%、Cu,Cr,Zn,Mnのうちから
選ばれる1種または2種以上:0.8〜5.0%、残部
が実質的にAlからなる合金IIIの表面に請求項1に
記載のオーバーレイ層を有するものとすることによっ
て、高速・高荷重域での摩擦低減と耐疲労性により優れ
たAl合金製すべり軸受とすることができ、また、請求
項3に記載しているように、重量%で、Zn:4.0〜
5.5%、Mg:0.5〜2.5%を含むAl−Zn−
Mg系合金IVの表面に請求項1に記載のオーバーレイ
層を有するものとすることによっても、高速・高荷重域
での摩擦低減と耐疲労性により優れたAl合金製すべり
軸受とすることができるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0029】
【実施例】次に実施例について説明する。
【0030】(実施例1)重量%で、Sn:6.5%、
Sb:0.5%、Si:4.0%、Cu:1.0%、C
r:0.3%、Zn:2.0%、残部実質的にAlから
なる組成を有するAl−Sn系合金IIIを連続鋳造に
より厚さ20mmの板状材として鋳造し、鋳造材の上下
面を1mm面切削し、続いて冷間圧延により1mmの厚
さまで圧下した。この状態で200〜300℃の熱処理
を行なってひずみを除去した。
【0031】その後、この合金IIIを裏金となる鋼板
の上にクラッドした後、表面を機械的に除去し、鋼板の
厚さ約1.2mm、Al−Sn系合金IIIの厚さ約
0.3mmで合計厚さが約1.5mmのクラッド材を得
た。
【0032】続いて、このクラッド材に脱脂等の前処理
を施した後、マグネトロンスパッタ装置を用い、真空度
6×10−4Paにおいて、Sn:20%、Cu:1.
0%、残部実質的にAlからなる合金Iをターゲットと
し、Arガス圧を0.3Paとして3時間コーティング
した。この時、基板とした軸受合金には水冷を実施し
た。
【0033】続いて、Sn:35%、残部実質的にAl
からなる合金IIをターゲットとし、Arガス圧を0.
3Paとして40分間コーティングした。この時は水冷
を実施しなかった。
【0034】これにより、クラッド材(合金III)の
表面に、厚さ12μmの合金層Iと厚さ4μmの合金層
IIからなるオーバレイ層を形成させたAl合金製すべ
り軸受を得た。このとき、合金層IIの硬さはビッカー
ス硬度換算値でHv52であった。
【0035】(実施例2)重量%で、Zn:4.5%、
Mg:1.2%、残部実質的にAlからなる組成を有す
るAl−Zn−Mg系合金IVを連続鋳造により厚さ2
0mmの板状材として鋳造し、鋳造材の上下面を1mm
面切削し、続いて冷間圧延により1mmの厚さまで圧下
した。この状態で200〜300℃の熱処理を行なって
ひずみを除去した。
【0036】その後、この合金IVを裏金となる鋼板の
上にクラッドした後、表面を機械的に除去し、鋼板の厚
さ約1.2mm、Al−Zn−Mg系合金IVの厚さ約
0.3mmで合計厚さが約1.5mmのクラッド材を得
た。
【0037】続いて、このクラッド材に脱脂等の前処理
を施した後、マグネトロンスパッタ装置を用い、真空度
6×10−4Paにおいて、Sn:20%、Cu:1.
0%、残部実質的にAlからなる合金Iをターゲットと
し、Arガス圧を0.3Paとして3時間コーティング
した。この時、基板とした軸受合金には水冷を実施し
た。
【0038】続いて、Sn:25%、残部実質的にAl
からなる合金IIをターゲットとし、Arガス圧を0.
3Paとして40分間コーティングした。この時は水冷
を実施しなかった。
【0039】これにより、クラッド材(合金IV)の表
面に、厚さ12μmの合金層Iと厚さ4μmの合金層I
Iからなるオーバレイ層を形成させたAl合金製すべり
軸受を得た。このとき、合金層IIの硬さはビッカース
硬度換算値でHv61であった。
【0040】(比較例1)実施例1のクラッド材に、脱
脂等の前処理を施した後、マグネトロンスパッタ装置を
用い、真空度6×10−4Paにおいて、Sn:20
%、Cu:1.0%、残部実質的にAlからなる合金I
をターゲットとし、Arガス圧を0.3Paとして3時
間コーティングした。この時、基板とした軸受合金には
水冷を実施した。
【0041】これにより、クラッド材(合金III)の
表面に、厚さ12μmの合金層Iのみからなるオーバレ
イ層を形成させたAl合金製すべり軸受を得た。このと
き、合金層Iの硬さはビッカース硬度換算値でHv95
であった。
【0042】(比較例2)実施例2のクラッド材に、脱
脂等の前処理を施した後、マグネトロンスパッタ装置を
用い、真空度6×10−4Paにおいて、Sn:20
%、Cu:1.0%、残部実質的にAlからなる合金I
をターゲットとし、Arガス圧を0.3Paとして3時
間コーティングした。この時、基板とした軸受合金には
水冷を実施した。
【0043】続いて、Sn:25%、残部実質的にAl
からなる合金IIをターゲットとし、Arガス圧を0.
3Paとして40分間コーティングした。そして、この
時も基板とした軸受合金には水冷を実施した。
【0044】これにより、クラッド材(合金IV)の表
面に、厚さ12μmの合金層Iと厚さ4μmの合金層I
Iからなるオーバレイ層を形成させたAl合金製すべり
軸受を得た。このとき、合金層IIの硬さはビッカース
硬度換算値でHv84であった。
【0045】(比較例3)実施例2のAl−Zn−Mg
系合金IVを1mmの厚さまで圧延し、200〜300
℃の熱処理を行なってひずみを除去した。
【0046】その後、裏金となる鋼板の上にこの合金I
Vをクラッドした後、表面を機械的に除去し、鋼板の厚
さ約1.2mm、表面層としてのAl−Zn−Mg系合
金IVの層厚さ約0.3mmで合計厚さが約1.5mm
のクラッド材を得た。さらにその表面に脱脂等の前処理
を施した後、亜鉛置換処理を施し、無電解ニッケルめっ
きを1μmの厚さで施し、その上にSn:10%、C
u:2%を含むPb−Sn−Cuメッキを20μmの厚
さで施したすべり軸受を得た。
【0047】(比較例4)Pb:25%、Sn:3%、
残部実質的にCuからなる合金(ケルメット対応の合
金)を溶解し、連続的に鋼板上に注湯し、注湯後すぐに
鋼板の下面より水冷却により急冷し、鋼板上にデンドラ
イト組織をもつCu−Pb−Sn合金を積層した材料を
作製した。そして、さらに寸法調整した後、無電解ニッ
ケルめっきを1μmの厚さで施し、その上にSn:10
%、Cu:2%を含むPb−Sn−Cuメッキを20μ
mの厚さで施し、合金厚さが約1.5mmのすべり軸受
を得た。
【0048】(耐焼付性試験)実施例1,2、比較例1
〜4で得た各すべり軸受から、幅35mm,長さ35m
mの試験片を切り出し、リングオンプレート型の鈴木式
摩耗試験機を用いて、表1に示す条件で耐焼付性試験を
行なった。その結果を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表2より明らかなように、本発明による実
施例1,2のすべり軸受は、比較例1〜4のすべり軸受
以上の優れた耐焼付性を有していることがわかる。
【0052】(高温摩擦性)実施例1,2、比較例3,
4で得た各すべり軸受を半割軸受形状に加工し、本発明
者らの一部が開発した軸受単体試験機(日本機械学会
第71期全国大会講演論文集 vol.D,1993年
p332−334)により、表3に示す条件で、摺動
面が高温になった場合の摩擦力を測定した。摺動面が1
30℃の時の摩擦トルクを表4に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】表4より明らかなように、本発明による実
施例1,2のすべり軸受は、表面にPb−Sn−Cuオ
ーバーレイ層を有する比較例3,4のすべり軸受に比べ
てより一層優れた耐摩擦性を有することがわかる。
【0056】(耐疲労試験)次に、実施例1,2、比較
例1〜3で得た各すべり軸受をエンジン部品として適用
するべく半割軸受形状に加工し、表5に示す条件でアン
ダーウッド試験を行なった。その結果を表6に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】表6より明らかなように、実施例1,2の
すべり軸受は、比較例3のすべり軸受に比べて耐疲労性
により一層優れていることがわかる。
【0060】これら3種の試験結果より、本発明による
すべり軸受が耐焼付性、耐疲労性および高温潤滑油中で
の摩擦損失の低減を同時に成立させていることが明らか
であり、従来の各種軸受合金では不可能であった性能を
有していることがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水 野 直 人 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 牛 嶋 研 史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にAl−Sn系合金のオーバーレイ
    層を有するすべり軸受において、前記オーバーレイ層
    が、重量%で、Sn:15〜25%、Cu:0.1〜
    1.5%、残部が実質的にAlからなる合金層Iの上
    に、同じく重量%で、Sn:20〜40%、残部が実質
    的にAlからなる合金層IIを積層したものからなり、
    合金層IIの硬さがHv70以下であることを特徴とす
    るすべり軸受。
  2. 【請求項2】 重量%で、Sn:0.1〜12%、P
    b,Sbのうちから選ばれる1種または2種:0.1〜
    3.0%、Si:0.1〜6.0%、Cu,Cr,Z
    n,Mnのうちから選ばれる1種または2種以上:0.
    8〜5.0%、残部が実質的にAlからなる合金III
    の表面に請求項1に記載のオーバーレイ層を有すること
    を特徴とするすべり軸受。
  3. 【請求項3】 重量%で、Zn:4.0〜5.5%、M
    g:0.5〜2.5%を含むAl−Zn−Mg系合金I
    Vの表面に請求項1に記載のオーバーレイ層を有するこ
    とを特徴とするすべり軸受。
JP12495196A 1996-05-20 1996-05-20 Al合金製すべり軸受 Pending JPH09303374A (ja)

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