JP2000145751A - 積層摺動部材およびすべり軸受 - Google Patents

積層摺動部材およびすべり軸受

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JP2000145751A
JP2000145751A JP10318050A JP31805098A JP2000145751A JP 2000145751 A JP2000145751 A JP 2000145751A JP 10318050 A JP10318050 A JP 10318050A JP 31805098 A JP31805098 A JP 31805098A JP 2000145751 A JP2000145751 A JP 2000145751A
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alloy
bearing
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thickness
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JP10318050A
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Hiroe Okawa
川 広 衛 大
Naoto Mizuno
野 直 人 水
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Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
Original Assignee
NDC Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害なPbを含有することなく、かつ、高温
・高面圧の厳しい条件下の使用であっても、耐焼付性お
よび耐疲労性の両方共に優れた特性を有する積層摺動部
材を提供し、さらにまた、この積層摺動部材を表面層に
もつ耐焼付性および耐疲労性に優れたすべり軸受を提供
する。 【解決手段】 重量%で、Sn:6〜15未満%、S
i:0.1〜4.5%、Cu,Crのうちから選ばれる
1種または2種:0.1〜2%を含み、残部が実質的に
Alからなる軸受合金Aの上に、表面層としてSn基合
金Bを積層してなり、表面層としてのSn基合金Bが、
重量%で、In:0.1〜15%、Cu:0.1〜5%
を含み、さらにMoS2,WS2,グラファイト,PTF
E,hBNのうちから選ばれる1種または2種以上から
なる固体潤滑剤:5〜20容量%を含有し、残部が実質
的にSnからなり、Sn基合金Bの層厚さが、軸受合金
Aの厚さの1/40以上1/10以下であるものとした
積層摺動部材、およびこの積層摺動部材を摺動面側に用
いたすべり軸受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車,工作機
械,農業機械等々の各種機械装置の構造部品として使用
される軸受ならびに摺動部材用の素材として適する積層
摺動部材およびすべり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまでに、内燃機関用の軸受合金とし
て、耐熱・耐摩耗性、耐疲労性等の観点から、ケルメッ
ト(Cu−Pb系高鉛青銅軸受合金の総称)が広く用い
られてきた。
【0003】また、耐腐食性や軸材質への適応範囲が広
い等の観点から、使用条件に応じ、Al−Sn系、Al
−Pb系等のAl合金系の軸受合金も広く適用されてき
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
環境面から、Pbの使用が規制される動きとなり、この
ため、なじみ性や耐焼付性確保のためPb基のオーバレ
イを必要とし、自身にもPbを多量に含むケルメットだ
けでなく、Pbの含有量が数%以下と少ないAl−Sn
系合金軸受に関しても、Pbレス化への対応が急務とな
っている。
【0005】そのため、一部では、Pb基オーバレイの
代わりに、樹脂コーティングや、Pbと同様に軟質金属
であるSnを軸受合金にめっきして用いることも試みら
れている。しかし、樹脂系のものは耐摩耗性に難があ
り、また、Snは耐食性についてPbと比較し有利な反
面、そのなじみ性,潤滑性はPbに及ばない。さらに
は、Snに他の潤滑成分を配合する試みもいくつかなさ
れているが、耐焼付性をPb基オーバレイ並みに向上さ
せるためその配合量を増やすと、その配合量の増加に従
ってマトリックスの強度低下が大きくなり、このため、
特に、高面圧下での使用では早期に摩滅してしまう傾向
があった。また、これにSiC等の硬質粒子を配合する
と、耐摩耗性は向上するものの逆になじみ性が低下して
しまい、その結果として高面圧下で安定した耐焼付性、
なじみ性をもつものを得ることができなかった。
【0006】以上のような理由で、特に、一部の高出力
ディーゼルエンジンのような高温・高面圧の厳しい環境
において、従来のケルメットに代わって使用できるよう
な摺動部材はこれまでに得られていないのが実情であっ
た。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような課題にかんがみ
てなされたものであって、有害なPbを含有させること
なしに優れたなじみ性、異物埋収性、耐焼付性を長期に
わたって確保できる摺動部材用表面層と、当該表面層の
下層に設けられて耐疲労性、耐焼付性が共に優れたPb
を含有しない軸受合金とを組み合わせることにより、全
体としてPbを使用せず、かつ、高温・高面圧下での耐
焼付性、耐疲労性を従来にない高い水準で両立すること
のできる積層摺動部材およびすべり軸受を提供すること
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる積層摺動
部材は、請求項1に記載しているように、軸受合金Aの
上に、表面層としてSn基合金(例えば、めっき層)B
を積層してなる積層摺動部材であって、表面層としての
Sn基合金Bが、重量%で、In:0.1〜15%、C
u:0.1〜5%を含み、さらに固体潤滑剤:5〜20
容量%を含有し、残部が実質的にSnからなり、Sn基
合金Bの層厚さが、軸受合金Aの厚さの1/40以上1
/10以下である構成としたことを特徴としている。
【0009】そして、本発明に係わる積層摺動部材の実
施態様においては、請求項2に記載しているように、表
面層としてのSn基合金Bに含まれる固体潤滑剤が、M
oS 2,WS2,グラファイト,PTFE(ポリテトラフ
ルオロエチレン)等のフッ素系樹脂,hBN(六方晶窒
化ほう素)のうちから選ばれる1種または2種以上であ
るものとすることができる。
【0010】同じく、本発明に係わる積層摺動部材の実
施態様においては、請求項3に記載しているように、軸
受合金Aが、重量%で、Sn:6〜15未満%、Si:
0.1〜4.5%、Cu,Crのうちから選ばれる1種
または2種:0.1〜2%を含み、残部が実質的にAl
からなるものとすることができる。
【0011】同じく、本発明に係わる積層摺動部材の実
施態様においては、請求項4に記載しているように、軸
受合金AとSn基合金Bとの間に、NiまたはNi合
金、CuまたはCu合金、AgまたはAg合金、Coま
たはCo合金のいずれかよりなる中間層が設けられてい
るものとしたを特徴としている。
【0012】本発明に係わる積層すべり軸受は、請求項
5に記載しているように、請求項1ないし4のいずれか
に記載の積層摺動部材の背面に裏金等の裏当材が設けら
れているものとしたことを特徴としている。
【0013】そして、本発明に係わる積層すべり軸受の
実施態様においては、請求項6に記載しているように、
裏金が鋼板であるものとすることができ、また、請求項
7に記載しているように、軸受合金Aと裏金との間に、
純Al中間層を介在させてなるものとすることができ、
および/または、請求項8に記載しているように、軸受
合金Aと裏金との間に、重量%で、Si,Cu,Cr,
Zn,Mn,Mgのうちから選ばれる1種または2種以
上:0.5〜5%を含み、残部が実質的にAlからなる
Al合金中間層を介在させてなるものとすることができ
る。
【0014】
【発明の作用】本発明に係わる積層摺動部材は、請求項
1に記載しているように、軸受合金Aの上に、表面層と
してSn基合金(例えば、めっき層)Bを積層してな
り、表面層としてのSn基合金Bが、重量%で、In:
0.1〜15%、Cu:0.1〜5%を含み、さらに固
体潤滑剤:5〜20容量%を含有し、残部が実質的にS
nからなり、Sn基合金Bの層厚さが、軸受合金Aの厚
さの1/40以上1/10以下である構成としたもので
あるが、以下に、表面層としてのSn基合金Bの成分お
よび数値の限定理由について各元素の作用と共に説明す
る。
【0015】In:0.1〜15重量% Inは潤滑成分として有効であり、耐焼付性に優れたも
のとするのに効果がある。また、表面層としてのSn基
合金Bのなじみ性、異物埋収性を高める作用がある。
【0016】しかし、Inが0.1%未満ではその効果
が少なく、15%を超えると表面層としてのSn基合金
Bの融点および高温強度が低下し、高温・高面圧下で使
用した場合の耐久性に悪影響を及ぼす。
【0017】Cu:0.1〜5重量% CuはSnマトリックス中でCu−Sn化合物をつく
り、表面層としてのSn基合金Bの高温強度向上、耐摩
耗性向上に寄与するが、0.1%未満ではその効果が少
なく、逆に5%を超えるとCu−Sn化合物を多量に析
出し、表面層としてのSn基合金Bの硬度が硬くなるす
ぎるため、なじみ性、異物埋収性が低下してしまう。
【0018】固体潤滑剤:5〜20容量% 表面層としてのSn基合金Bに固体潤滑剤を配合して軸
受合金Aの上に例えば複合めっきすることにより、表面
層のなじみ性、耐焼付性をその融点を低下させることな
く高めることができる。しかし、固体潤滑剤の配合量が
5容積%未満ではその効果が十分に得られず、逆に20
%を超えるとマトリックスのSn合金が固定潤滑剤粒子
を十分に保持できなくなり、表面層その早期摩滅の原因
となる。
【0019】表面層としてのSn基合金Bの層厚さ:軸
受合金Aの厚さの1/40以上1/10以下 上述のよ
うに各成分の配合を調整することで、なじみ性、異物埋
収性、高温・高面圧下での耐久性に優れた表面層として
のSn基合金Bを得ることができるが、その厚さが軸受
合金Aの1/40未満では特に高面圧下での使用時にS
n基合金Bの有するなじみ効果を十分に得ることができ
ず、逆に1/10を超えると軸受全体としての強度に悪
影響を及ぼし、耐疲労性が低下してしまう。
【0020】次に、本発明に係わる積層摺動部材は、請
求項2に記載しているように、表面層としてのSn基合
金Bに含まれる固体潤滑剤が、MoS2,WS2,グラフ
ァイト,PTFE,hBNのうちから選ばれる1種また
は2種以上であるものとすることができる。そしてこの
場合に、広い温度域で安定した潤滑性を発揮するMoS
2,WS2,特に耐熱性の高いグラファイト,hBN(六
方晶窒化ほう素)、比較的低荷重領域で特に優れた低摩
擦性を示すPTFE(ポリ4フッ化エチレン)等のフッ
素系樹脂などから使用環境に応じ適宜選択しそして適宜
量配合して用いることで、より幅広い条件下で安定した
効果を得ることが可能となる。
【0021】さらに、本発明に係わる積層摺動部材は、
請求項3に記載しているように、軸受合金Aが、重量%
で、Sn:6〜15未満%、Si:0.1〜4.5%、
Cu,Crのうちから選ばれる1種または2種:0.1
〜2%を含み、残部が実質的にAlからなるものとする
ことができる。
【0022】以下に、軸受合金Aのより好ましい成分お
よび数値の限定理由について各元素の作用と共に説明す
る。
【0023】Sn:6〜15未満% Snは潤滑成分として有効であり、耐焼付性を向上させ
るのに効果があるが、軸受合金Aの場合は、これを第2
層としかつSn基合金Bを表面層として積層するときに
なじみ性や異物埋収性はそれ程必要でなく、表面層とし
てのSn基合金Bが摩耗した場合の焼付防止のために添
加するものである。しかし、添加量が6%未満ではその
効果が少なく、15%以上となると軸受合金Aのマトリ
ックスの強度が低下して耐疲労性が低下してしまう傾向
となる。
【0024】Si:0.1〜4.5重量% SiはSnと同様に軸受合金Aの耐焼付性の向上に寄与
すると共に、耐摩耗性を高める効果もある。しかし、添
加量が0.1%未満ではその効果が少なく、4.5%を
超えると効果が飽和すると共になじみ性、圧延等の加工
性が低下する傾向となる。
【0025】Cu,Crのうちから選ばれる1種または
2種:0.1〜2重量% Cu,Crは軸受合金Aの耐荷重性、耐熱性を向上させ
る。しかし、0.1%未満ではその効果が少なく、2%
を超えるとなじみ性、圧延等のの加工性が低下する傾向
となる。
【0026】そして、本発明に係わる積層摺動部材は、
請求項4に記載しているように、軸受合金AとSn基合
金(表面層)Bとの間に、NiまたはNi合金、Cuま
たはCu合金、AgまたはAg合金、CoまたはCo合
金のいずれかよりなる中間層が設けられているものとす
ることができ、これによって、軸受合金AとSn基合金
(表面層)Bとの間での含有成分の相互拡散を防止する
と共に密着性も安定に保ち、移動部材としての特性をよ
り安定したものとすることが可能となる。
【0027】本発明に係わる積層すべり軸受は、請求項
5に記載しているように、請求項1ないし4のいずれか
に記載の積層摺動部材の背面に裏金等の裏当材が設けら
れている構成としたことを特徴とするものである。この
ような構成のものとすることによって、Pbを含有させ
ることなしに、高温・高面圧の厳しい条件下において
も、なじみ性、異物埋収性、耐焼付性等の表面性能と耐
疲労性を従来にない高い水準で両立しうることとなる。
【0028】そして、この場合の裏金としては、請求項
6に記載しているように、鋼板であるものとすることが
でき、鋼板を用いることによって、軸受として必要な強
度および剛性を備えたものとすることができる。
【0029】また、軸受合金A中のSn含有量が多くな
ると、クラッド条件によっては、裏金との密着性が悪く
なることがある。この場合は、請求項7,8に記載して
いるように、軸受合金Aと裏金との間に、例えば1〜3
0μm程度の純Al中間層を介在させたり、重量%で、
Si,Cu,Cr,Zn,Mn,Mgのうちから選ばれ
る1種または2種以上:0.5〜5%を含み、残部が実
質的にAlからなるAl合金中間層を介在させたりする
ことによって、軸受合金Aと裏金との間の密着性を向上
させるようにしてもよい。ここで、Si,Cu,Cr,
Zn,Mn,MgはAlマトリックスの強度向上に有効
であり、特に垂直荷重の高い条件で用いられる場合に
は、これらを必要に応じ添加することで軸受としての耐
疲労性をさらに高レベルに維持することができる。しか
し、これらの添加量が0.5%未満ではその効果が十分
でなく、5%を超えると硬くなりすぎて圧延等の加工性
が低下すると共に密着性が却って低下してしまう傾向と
なる。
【0030】
【発明の効果】本発明に係わる積層摺動部材は、請求項
1に記載しているように、軸受合金Aの上に、表面層と
してSn基合金(例えば、めっき層)Bを積層してなる
積層摺動部材であって、表面層としてのSn基合金B
が、重量%で、In:0.1〜15%、Cu:0.1〜
5%を含み、さらに固体潤滑剤:5〜20容量%を含有
し、残部が実質的にSnからなり、Sn基合金Bの層厚
さが、軸受合金Aの厚さの1/40以上1/10以下で
ある構成としたものであるから、表面層にPbを含有さ
せることなしに、優れたなじみ性、異物埋収性、耐焼付
性を長期間にわたって確保できる摺動部材を提供するこ
とが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0031】そして、本発明に係わる積層摺動部材の実
施態様においては、請求項2に記載しているように、表
面層としてのSn基合金Bに含まれる固体潤滑剤が、M
oS 2,WS2,グラファイト,PTFE,hBNのうち
から選ばれる1種または2種以上であるものとすること
によって、より幅広い条件下で安定した潤滑効果を得る
ことが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0032】同じく、本発明に係わる積層摺動部材の実
施態様においては、請求項3に記載しているように、軸
受合金Aが、重量%で、Sn:6〜15未満%、Si:
0.1〜4.5%、Cu,Crのうちから選ばれる1種
または2種:0.1〜2%を含み、残部が実質的にAl
からなるものとすることによって、摺動部材としてPb
を全く使用せず、かつまた高温・高面圧下での耐焼付
性、耐疲労性を従来にない高い水準で両立する摺動部材
を提供することが可能になるという著しく優れた効果が
もたらされる。
【0033】同じく、本発明に係わる積層摺動部材の実
施態様においては、請求項4に記載しているように、軸
受合金AとSn基合金Bとの間に、NiまたはNi合
金、CuまたはCu合金、AgまたはAg合金、Coま
たはCo合金のいずれかよりなる中間層が設けられてい
るものとすることによって、軸受合金AとSn基合金B
との間での含有成分の相互拡散を防止すると共に、密着
性も安定に保ち、摺動部材としての特性をより安定させ
たものにすることが可能であるという著しく優れた効果
がもたらされる。
【0034】本発明に係わる積層すべり軸受は、請求項
5に記載しているように、請求項1ないし4のいずれか
に記載の積層摺動部材の背面に裏金等の裏当材が設けら
れている構成としたものであるから、Pbを使用するこ
となく、高温・高面圧の厳しい条件下であっても、なじ
み性、異物埋収性、耐焼付性等の表面性能と耐疲労性を
従来にない高い水準で両立するすべり軸受を提供するこ
とが可能になるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0035】そして、本発明に係わる積層すべり軸受の
実施態様においては、請求項6に記載しているように、
裏金が鋼板であるものとすることによって、軸受として
必要な強度および剛性を備えたものとすることが可能に
なるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0036】同じく、本発明に係わる積層すべり軸受の
実施態様においては、請求項7に記載しているように、
軸受合金Aと裏金との間に、純Al中間層を介在させて
なるものとし、および/または、請求項8に記載してい
るように、軸受合金Aと裏金との間に、重量%で、S
i,Cu,Cr,Zn,Mn,Mgのうちから選ばれる
1種または2種以上:0.5〜5%を含み、残部が実質
的にAlからなるAl合金中間層を介在させてなるもの
とすることによって、軸受合金Aと裏金との間における
密着性をより一層向上させた積層すべり軸受を提供する
ことが可能になるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例について比較例と共に
説明するが、本発明は以下に示す実施例のみに限定され
ないことはいうまでもない。。
【0038】(実施例1〜4,比較例2,比較例4,比
較例6〜7,比較例11〜12)表1の軸受合金Aの欄
に示す実施例1〜4,比較例2,比較例4,比較例6〜
7および比較例11〜12の組成を有するAl−Sn系
合金を連続鋳造により厚さ20mmの板状材として鋳造
し、各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削し、続いて
冷間圧延により8mmの厚さまで圧下した。この状態で
200〜300℃の熱処理を行ってひずみを除去した。
【0039】この後、上記軸受合金Aと、純Al中間層
として厚さ1mmの純Al板とを用いて、各々密着面を
清浄にした後クラッドし、続いてこれを冷間圧延により
1mmの厚さまで圧下した。
【0040】そして、ここで得た積層材を焼鈍した後、
裏金となる鋼板の上に前記軸受合金Aが表面層側となる
ようクラッドし、寸法調整を行なった。さらに続いて軸
受合金A層の表面に脱脂,亜鉛置換等の前処理を施し、
この上に0.1〜1μmの厚さでNiめっきを施して中
間層を形成した後、めっき浴中に固体潤滑剤を分散させ
たSn−Cu合金めっきを施した後にInめっきを施
し、続いて150℃で熱処理を行い、表1のSn基合金
Bの欄に示す実施例1〜4,比較例2,比較例4,比較
例6〜7および比較例11〜12の組成を有するSn合
金めっきを形成した。このときのめっき厚さは、実施例
1〜4,比較例2,比較例4,比較例6〜7については
約20μm、比較例11は約5μm、比較例12は約4
0μmとした。この際、Sn基合金B中への固体潤滑剤
の配合量をめっき液中への添加量で調整すると共に、こ
れらが均一にめっき層中に共析出するように、めっき作
業中にはめっき液の攪拌を行なった。
【0041】以上の結果、裏金としての鋼板の厚さが約
1.2mm、表面層を含めた軸受合金層の層厚さが約
0.3mmで合計厚さが約1.5mmのすべり軸受を得
た。
【0042】(比較例1)表1の軸受合金Aの欄に示す
比較例1の組成を有するAl−Sn系合金を連続鋳造に
より厚さ20mmの板状材として鋳造し、各鋳造ビレッ
トの上下面を1mm面切削し、続いて冷間圧延により8
mmの厚さまで圧下した。この状態で200〜300℃
の熱処理を行ってひずみを除去した。
【0043】この後、上記軸受合金Aと、純Al中間層
として厚さ1mmの純Al板とを用いて、各々密着面を
清浄にした後クラッドし、続いてこれを冷間圧延により
1mmの厚さまで圧下した。
【0044】そして、ここで得た積層材を焼鈍した後、
裏金となる鋼板の上に前記軸受合金Aが表面層側となる
ようクラッドし、寸法調整を行なった。さらに続いて軸
受合金A層の表面に脱脂,亜鉛置換等の前処理を施し、
この上に0.1〜1μmの厚さでNiめっきを施して中
間層を形成した後、約20μmの厚さで表1のSn基合
金Bの欄に示す比較例1の組成を有するSn合金めっき
を形成した。この際、Sn基合金B中への固体潤滑剤の
配合量をめっき液中への添加量で調整すると共に、これ
らが均一にめっき層中に共析出するように、めっき作業
中にはめっき液の攪拌を行なった。
【0045】以上の結果、裏金としての鋼板の厚さが約
1.2mm、表面層を含めた軸受合金層の層厚さが約
0.3mmで合計厚さが約1.5mmのすべり軸受を得
た。
【0046】(比較例3)表1の軸受合金Aの欄に示す
比較例3の組成を有するAl−Sn系合金を連続鋳造に
より厚さ20mmの板状材として鋳造し、各鋳造ビレッ
トの上下面を1mm面切削し、続いて冷間圧延により8
mmの厚さまで圧下した。この状態で200〜300℃
の熱処理を行ってひずみを除去した。
【0047】この後、上記軸受合金Aと、純Al中間層
として厚さ1mmの純Al板とを用いて、各々密着面を
清浄にした後クラッドし、続いてこれを冷間圧延により
1mmの厚さまで圧下した。
【0048】そして、ここで得た積層材を焼鈍した後、
裏金となる鋼板の上に前記軸受合金Aが表面層側となる
ようクラッドし、寸法調整を行なった。さらに続いて軸
受合金A層の表面に脱脂,亜鉛置換等の前処理を施し、
この上に0.1〜1μmの厚さでNiめっきを施して中
間層を形成した後、めっき浴中に固体潤滑剤を分散させ
たSnめっきを施し、続いてInめっきを行った後に1
50℃で熱処理を行い、表1のSn基合金Bの欄に示す
比較例3の組成を有するSn合金めっきを約20μmの
厚さで形成した。この際、固体潤滑剤の配合量をめっき
液中への添加量で調整すると共に、これらが均一にめっ
き層中に共析出するように、めっき作業中にはめっき液
の攪拌を行なった。
【0049】以上の結果、裏金としての鋼板の厚さが約
1.2mm、表面層を含めた軸受合金層の層厚さが約
0.3mmで合計厚さが約1.5mmのすべり軸受を得
た。
【0050】(比較例5)表1の軸受合金Aの欄に示す
比較例5の組成を有するAl−Sn系合金を連続鋳造に
より厚さ20mmの板状材として鋳造し、各鋳造ビレッ
トの上下面を1mm面切削し、続いて冷間圧延により8
mmの厚さまで圧下した。この状態で200〜300℃
の熱処理を行ってひずみを除去した。
【0051】この後、上記軸受合金Aと、純Al中間層
として厚さ1mmの純Al板とを用いて、各々密着面を
清浄にした後クラッドし、続いてこれを冷間圧延により
1mmの厚さまで圧下した。
【0052】そして、ここで得た積層材を焼鈍した後、
裏金となる鋼板の上に前記軸受合金Aが表面層側となる
ようクラッドし、寸法調整を行なった。さらに続いて軸
受合金A層の表面に脱脂,亜鉛置換等の前処理を施し、
この上に0.1〜1μmの厚さでNiめっきを施して中
間層を形成した後、Sn−Cu合金めっきを施し、続い
てInめっきを施した後に150℃で熱処理を行い、表
1のSn基合金Bの欄に示す比較例5の組成を有するS
n合金めっきを約20μmの厚さで形成した。
【0053】以上の結果、裏金としての鋼板の厚さが約
1.2mm、表面層を含めた軸受合金層の層厚さが約
0.3mmで合計厚さが約1.5mmのすべり軸受を得
た。
【0054】(比較例8〜9)表1の軸受合金Aの欄に
示す比較例8および比較例9の組成を有するAl−Sn
系合金を連続鋳造により厚さ20mmの板状材として鋳
造し、各鋳造ビレットの上下面を1mm面切削し、続い
て冷間圧延により8mmの厚さまで圧下した。この状態
で200〜300℃の熱処理を行ってひずみを除去し
た。
【0055】この後、上記軸受合金Aと、純Al中間層
として厚さ1mmの純Al板とを用いて、各々密着面を
清浄にした後クラッドし、続いてこれを冷間圧延により
1mmの厚さまで圧下した。
【0056】そして、ここで得た積層材を焼鈍した後、
裏金となる鋼板の上に前記軸受合金Aが表面層側となる
ようクラッドし、寸法調整を行なった。
【0057】この結果、裏金としての鋼板の厚さが約
1.2mm、軸受合金層の層厚さが約0.3mmで合計
厚さが約1.5mmのすべり軸受を得た。
【0058】(比較例10)表1の軸受合金Aの欄に示
す比較例10の組成を有するCu−Pb系合金を溶解
し、連続的に鋼板上に注湯し、注湯後すぐに鋼板の下面
より水冷却により急冷し、鋼板上にデンドライト組織を
持つ鋳造ケルメット合金を積層した材料を作成した。こ
れに寸法調整を施した後、ケルメット表面に脱脂等の前
処理を施し、その上に0.1〜1μmの厚さでNiめっ
きを施した後、表1のPb基合金Bの欄に示す比較例1
0の組成を有するPb−Sn−Cuめっきを約20μm
の厚さで施し、合計厚さが約1.5mmのすべり軸受を
得た。
【0059】
【表1】
【0060】(耐焼付性試験)実施例1〜4、比較例1
〜12で得た各すべり軸受から、幅35mm×長さ35
mmの試験片を切り出し、鈴木式摩耗試験機を用いて、
表2に示す条件で耐焼付性試験を行った。その結果を表
3に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】表3より明らかなように、本発明実施例1
〜4のすべり軸受は、従来より耐焼付性に優れるとされ
てきた比較例10のすべり軸受と同等であるかあるいは
それ以上の耐焼付性を有していることがわかる。
【0064】一方、表面層であるSn基合金Bの成分が
本発明から外れる比較例1,4,5のすべり軸受は、本
発明実施例のすべり軸受よりも耐焼付性が劣っている。
【0065】また、Sn基合金Bに相当する表面層を設
けず、Al−Sn系軸受合金Aを表面層とした比較例8
および比較例9のすべり軸受においても、本発明実施例
のすべり軸受と比較して耐焼付性が低下しているが、特
にその成分も本発明から外れている比較例9のすべり軸
受では著しく耐焼付性が劣っており、仮にこの上に本発
明実施例のすべり軸受と同様の表面層を設けたとして
も、表面層が摩耗した場合に軸受として必要な摺動性能
の維持が難しいことがわかる。 (耐疲労試験)実施例1〜4、比較例1〜12で得たす
べり軸受をエンジン部品として適用するべく半割軸受形
状に加工し、表4に示す条件でアンダーウッド耐疲労性
試験を行った。その結果を表5に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】表5より明らかなように、表面層(Sn基
合金B)の成分が本発明から外れる比較例1〜6のすべ
り軸受は、本発明実施例のすべり軸受よりも耐疲労性が
低下している。特に、比較例2,比較例3および比較例
6については、表面層の耐摩耗性不足により十分ななじ
み効果が得られず、その結果として耐疲労性の低下が大
きくなっている。
【0069】また、第2層(軸受合金A)の成分が本発
明から外れる比較例7、さらにSn基合金Bに相当する
表面層を設けない比較例8および比較例9のすべり軸受
も、本発明実施例のすべり軸受と比べて耐疲労性が低下
しているが、特に、第2層((軸受合金A)の強度が不
足する比較例7、なじみ性、耐焼付性が大きく劣る比較
例9については、耐疲労性の低下代が著しく大きくなっ
ている。
【0070】さらに、表面層(Sn基合金B)の厚さが
本発明実施例よりも薄い比較例11では、表面層の有す
るなじみ効果が十分に得られず、その結果として耐疲労
性が低下しており、逆に表面層の厚さが本発明実施例よ
りも厚い比較例12では、軸受全体としての強度低下に
より耐疲労性が低下しているのがわかる。
【0071】これら2種の試験結果により、本発明によ
るすべり軸受では、Pbを一切用いることなく、耐焼付
性、耐疲労性を高い水準で同時に成立させていることが
明らかであり、従来の各種軸受合金では不可能であった
性能を有していることがわかった。
フロントページの続き (72)発明者 水 野 直 人 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA20 KA02 NA01 SB03 SB05 SC04 SE02 3J033 AA05 AB04 AC01 FA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受合金Aの上に、表面層としてSn基
    合金Bを積層してなる積層摺動部材であって、表面層と
    してのSn基合金Bが、重量%で、In:0.1〜15
    %、Cu:0.1〜5%を含み、さらに固体潤滑剤:5
    〜20容量%を含有し、残部が実質的にSnからなり、
    Sn基合金Bの層厚さが、軸受合金Aの厚さの1/40
    以上1/10以下であることを特徴とする積層摺動部
    材。
  2. 【請求項2】 表面層としてのSn基合金Bに含まれる
    固体潤滑剤が、MoS2,WS2,グラファイト,PTF
    E,hBNのうちから選ばれる1種または2種以上であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の積層摺動部材。
  3. 【請求項3】 軸受合金Aが、重量%で、Sn:6〜1
    5未満%、Si:0.1〜4.5%、Cu,Crのうち
    から選ばれる1種または2種:0.1〜2%を含み、残
    部が実質的にAlからなることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の積層摺動部材。
  4. 【請求項4】 軸受合金AとSn基合金Bとの間に、N
    iまたはNi合金、CuまたはCu合金、AgまたはA
    g合金、CoまたはCo合金のいずれかよりなる中間層
    が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の積層摺動部材。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の積
    層摺動部材の背面に裏金が設けられていることを特徴と
    する積層すべり軸受。
  6. 【請求項6】 裏金が鋼板であることを特徴とする請求
    項5に記載の積層すべり軸受。
  7. 【請求項7】 軸受合金Aと裏金との間に、純Al中間
    層を介在させてなることを特徴とする請求項5または6
    に記載の積層すべり軸受。
  8. 【請求項8】 軸受合金Aと裏金との間に、重量%で、
    Si,Cu,Cr,Zn,Mn,Mgのうちから選ばれ
    る1種または2種以上:0.5〜5%を含み、残部が実
    質的にAlからなるAl合金中間層を介在させてなるこ
    とを特徴とする請求項5または6に記載の積層すべり軸
    受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014500394A (ja) * 2010-09-09 2014-01-09 フェデラル−モーグル ヴィースバーデン ゲーエムベーハー 摺動構成部品用層状複合材料、その製造方法及びその使用

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