JPH10152274A - ロープ式エレベータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】昇降路内に配置するのに好適な小型化されたモ
ータ・シーブ機構を備えたロープ式エレベータを提供す
る。 【解決手段】昇降路内に立設したガイドレールに沿って
昇降し、ロープを介して接続される乗りかごおよび釣り
合い錘りと、ロープを上下に駆動するモータ・シーブ機
構９と、を備えたロープ式エレベータにおいて、モータ
・シーブ機構９は、両面に永久磁石２０１を備える回転
子２と回転子２の両面に対向して設けられる固定子３と
から構成される永久磁石型同期モータ１と、回転子２の
回転子軸５に直結し、ロープを巻き取るシーブ７とから
構成する。その結果、永久磁石型同期モータ１の回転子
２およびその支持構造を簡単化でき、全体としてモータ
・シーブ機構９を小型軽量化できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はロープ式エレベータ
に係わり、特に、昇降路内に配置するのに好適なトラク
ションマシンを備えたロープ式エレベータに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、昇降路内にトラクションマシンと
してのモータ・シーブ機構を備えたロープ式エレベータ
は、例えば、特開平８−３７７６４号公報が知られてい
る。このロープ式エレベータのモータ・シーブ機構は、
モータの回転子の片面に永久磁石を設け、この面に対向
して固定子を設けた面対向モータと、このモータの回転
軸に直結したシーブから構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
のモータは、回転子の永久磁石を備えた片面とこの面に
対向して配置される固定子間で磁気的吸引力が働くた
め、回転子が固定子側に曲折する方向の力が働き、従っ
て、これに耐えるために、回転子の支持構造を大きくし
なければならないという問題があった。

【０００４】本発明は、上記の問題点に鑑みて、モータ
の回転子の支持構造を簡単化して、小型軽量化されたモ
ータ・シーブ機構を備えるロープ式エレベータを提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、次のような手段を採用した。昇降路に
立設したガイドレールと、ロープを介して接続され、前
記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごおよび釣り合
い錘りと、前記ロープを上下に駆動するモータ・シーブ
機構と、を備えたロープ式エレベータにおいて、前記モ
ータ・シーブ機構は、両面に永久磁石を備える回転子と
該回転子の両面に対向して設けられる固定子とから構成
される永久磁石型同期モータと、前記回転子の回転子軸
に直結し、前記ロープを巻き取るシーブとから構成され
ることを特徴とする。

【０００６】また、前記シーブは、前記回転子両面のい
ずれか一方の面に対向するように設けられる固定子と前
記回転子の前記一方の面とによって囲まれる空間内に配
置されることを特徴とする。

【０００７】また、前記固定子に巻回する固定子コイル
を、前記回転子の周縁の外側に配置したことを特徴とす
る。

【０００８】また、前記空間を形成する側の固定子を、
前記シーブに巻き取られる前記ロープと接触しないよう
に、複数に分割して配置したことを特徴とする。

【０００９】また、前記モータ・シーブ機構を、前記昇
降路の下部に配置したことを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】はじめに、本発明の第１の実施形
態を図１〜図３を用いて説明する。

【００１１】図１は、本発明のロープ式エレベータに用
いられるモータ・シーブ機構の回転軸を含む面で切り出
した一部断面図である。

【００１２】図において、１は永久磁石型同期モータ、
２は円盤状の回転子、２０１は回転子２の両側面の外周
部に接着した永久磁石、３は回転子２の左右の両面に対
向して、永久磁石２０１と所定のギャップを介して設け
られる固定子、３０１は固定子３に設けられる固定子コ
イル、４は固定子３を固定するフレーム、５は回転子
軸、６はフレーム４に設けられ、回転子軸５を支持する
軸受け、７は、フレーム４の外側に設けられ、回転子２
と同心状に回転子軸５に直結して設けられるシーブ、８
は回転子２と固定子３間のギャップ、９は永久磁石型同
期モータ１とシーブ７とから構成されるモータ・シーブ
機構である。

【００１３】上記のごとく、本実施形態の永久磁石型同
期モータ１は、回転子２の両面において磁気的吸引力が
働く両側式として構成したので、回転子２には一方の固
定子側に偏った力が働かず、回転子２自体の剛性や軸受
けの強度等を特別に考慮する必要がなくなる。従って、
従来の片側式のものに比べて、回転子２の厚さおよび形
状を小さくでき、さらにはフレームの形状構造を小さく
することができる。そのため、シーブを永久磁石型同期
モータの外側に設けても、全体として、小型軽量化され
たモータ・シーブ機構を実現することができる。

【００１４】図２は、永久磁石型同期モータ１の回転子
２と固定子３の構成を説明するためのもので、図１のフ
レーム４を除く回転子軸５から任意の半径のイーイ線で
円周方向に沿って切り出した展開図である。

【００１５】図において、３０２は固定子コイル３０１
が収納される固定子スロット、ｕ，ｖ，ｗ，ｕ’，
ｖ’，ｗ’はそれぞれ固定子コイル３０１の３相の正相
の各極性および逆相の各極性、Ｎ，Ｓは永久磁石２０１
の各極性であり、その他の各構成部分は図１に示される
ものと同一である。

【００１６】固定子スロット３０２には３相の各固定子
コイル３０１が順番に配列されており、永久磁石２０１
の１極に対して固定子３の３スロットが対応するように
構成されており、毎極毎相スロット数１の分布巻きのコ
イル配置となっている。その結果、永久磁石２０１の極
性に応じて、固定子コイル３０１の通電を切り替えるこ
とにより同期モータとして動作する。

【００１７】図３は本実施形態のモータ・シーブ機構を
用いたロープ式エレベータの全体構成を示す図である。

【００１８】図において、１０は乗りかご、１１は釣り
合い錘り、１２はプーリおよびモータ・シーブ機構を介
して両端において乗りかご１０と釣り合い錘り１１を支
持するロープ、１３は釣り合い錘り１１とモータ・シー
ブ機構９間のロープ１２の方向を転換するプーリ、１４
および１５は乗りかご１０とモータ・シーブ機構９間の
ロープ１２の方向を転換するプーリ、１６は乗りかご１
０を水平方向に維持しかつ上下方向にガイドするガイド
レール、１７は釣り合い錘り１１を水平方向に維持しか
つ上下方向にガイドするガイドレール、１８はモータ・
シーブ機構９のモータの回転および停止を制御する制御
盤、１９は昇降路、である。

【００１９】なお、モータ・シーブ機構９と制御盤１８
は必要に応じて昇降路内下部の適当な場所に設置するこ
とができる。例えば、浸水等の心配がない限り、図に示
すように、昇降路最下部の床面にモータ・シーブ機構を
設けてもよい。

【００２０】運転時は、制御盤１８よりモータ・シーブ
機構９の永久磁石型同期モータに電力を供給し、モータ
・シーブ機構９を回転することにより、ロープ１２を巻
き取り、乗りかご１０および釣り合い錘り１１を昇降さ
せる。

【００２１】上記のごとく、本実施形態によれば、モー
タ・シーブ機構を９を小型軽量化することができるの
で、昇降路内に配置することができ、従来の昇降路頂部
に設けられていた機械室を取り除くことができ、また、
モータ・シーブ機構を昇降路下部に設けることができる
ので、保守点検を容易に行うことができる。次に、本発
明の第２の実施形態を図４および図５を用いて説明す
る。

【００２２】これらの図は、本実施形態に用いるモータ
・シーブ機構を示し、図４はモータ・シーブ機構の回転
軸を含む面で切り出した一部断面図、図５はフレームを
除いたシーブ側から見たモータ・シーブ機構２２の側面
図である。

【００２３】これらの図において、２０は永久磁石同期
モータ、２１はシーブが設けられる側に配置される固定
子、２１１は固定子２１に設けられる固定子コイル、２
２は、固定子２１、回転子２の片面、およびフレーム４
によって囲まれる空間に形成され、回転子２と同心状に
回転子軸５に直結して設けられるシーブ、２３は永久磁
石型同期モータ２０とシーブ２２が一体に構成されたモ
ータ・シーブ機構である。その他の各構成部分は図１に
示されるものと略同一であるので説明を省略する。

【００２４】また、図５に示すように、シーブ２２には
ロープ１２が掛かっており、また、円盤状の回転子２の
外周部に設けられた各永久磁石２０１に対向する位置に
は、固定子コイル３０１が巻かれた固定子３と、固定子
コイル２１１が巻かれた固定子２１が配置されている。
この実施形態では、シーブ２２が設けられていない側の
固定子３は６個設置されているが、シーブ２２が設けら
れている側の固定子２１は、ロープ１２と干渉しないよ
うに、点線で示した部分の固定子を除いた３個が設置さ
れている。

【００２５】なお、本実施形態では特に図示していない
が、据え付け時等にロープ１２が固定子３や回転子２と
直接接触しないように、ロープ１２との間に、カバーが
取り付けられている。

【００２６】このように構成することにより、シーブ２
２を固定子２１と回転子２の片面の空間に配置できるの
で、軸長を大幅に短くしたモータ・シーブ機構を実現す
ることができる。なお、片側の固定子数は半分となり、
回転子両面での磁気的吸引力は約１／３が相殺しないで
残ることになるが、従来の片側式に比べる磁気的吸引力
は大幅に改善され、軸受けなどの回転子支持構造を簡単
化することができる。

【００２７】また、本実施形態では、シーブ２２が設け
られる側の固定子２１と、シーブ２２が設けられない側
の固定子３の個数を異ならせたが、両固定子の個数を合
わせるように構成することもできる。その場合は、磁気
的吸引力は相殺されるので軸受けなどの回転子支持構造
をより簡単にすることができる。

【００２８】なお、本実施形態の永久磁石型同期モータ
も、第１の実施形態の図３で説明したと同様に、固定子
スロットには３相の各固定子コイルを順番に配列して、
永久磁石の１極に対して固定子の３スロットが対応する
毎極毎相スロット数１の分布巻きとして構成する。その
結果、永久磁石の極性に応じて、固定子コイルの通電を
切り替えて、同期モータとして動作させることができ
る。上記のごとく、本実施形態によれば、シーブ２２が
永久磁石型同期モータ２０内に一体に構成されるので、
第１の実施形態に比べて、さらにモータ・シーブ機構２
３を小型化でき、昇降路内下部の適当な箇所に配置する
のに好適である。

【００２９】次に、本発明の第３の実施形態を図６およ
び図７を用いて説明する図６は本実施形態のモータ・シ
ーブ機構の回転軸を含む面で切り出した一部断面図であ
る。

【００３０】図において、２４は永久磁石型同期モー
タ、２５は断面形状が略コ字状に形成された固定子、２
５１は回転子２の周縁の外側に配置された固定子部分に
巻回される固定子コイル、２６はモータ・シーブ機構で
あり、その他の各構成部分は図１に示されるものと略同
一であるので説明を省略する。

【００３１】上記のごとく、本実施形態では、回転子２
周縁の外側の固定子部分に固定子コイル２５１を設けた
ので、回転子２の両面に対向する固定子部分の厚さを薄
くでき、その結果、永久磁石型同期モータ１の厚さが薄
くなり、モータ・シーブ機構２６全体を小型化すること
ができる。図７は、永久磁石型同期モータ２６の回転子
２と固定子２５の構成を説明するためのもので、図６の
フレーム４を除く回転子軸５から任意の半径のローロ線
で円周方向に沿って切り出した展開図である。

【００３２】図において、ｕ，ｖ，ｗ，ｕ’，ｖ’，
ｗ’は固定子コイル２５１の３相の正相の各極性および
逆相の各極性、Ｎ，Ｓは永久磁石２０１の各極性であ
り、その他の各構成部分は図６に示すものと同一であ
る。

【００３３】固定子２５の各極性に相当する固定子部分
にはそれぞれ１相分の固定子コイル２５１が巻かれる集
中巻きで構成されており、回転子２の各面には、対向す
る各固定子２５に対応して互いに逆極性となるように永
久磁石２０１が設けられている。固定子２５の各相ｕ，
ｖ，ｗ，ｕ’，ｖ’，ｗ’は永久磁石の極ピッチに対し
て、１２０度ずつ位相をずらして設けられており、永久
磁石の極性Ｎ，Ｓに対して各相ｕ，ｖ，ｗ，ｕ’，
ｖ’，ｗ’の通電を順次切り替えることにより同期モー
タとして動作する。

【００３４】上記のごとく、本実施形態のものも、永久
磁石型同期モータを薄くできるので、前記各実施形態と
同様に、モータ・シーブ機構を小型化でき、モータ・シ
ーブ機構を昇降路内下部の適当な箇所に配置するのに好
適である。

【００３５】なお、上記各実施形態では、ブレーキにつ
いて特に説明しなかったが、各実施形態の回転子の外周
部を摺動部として、挟み込み式のブレーキを取り付ける
ことが可能である。また、別途ブレーキ用円盤をシーブ
と同軸に設けて、これを挟み込み式のブレーキで制動し
てもよい。

【００３６】

【発明の効果】以上のごとく、本発明は、永久磁石型同
期モータの回転子両面において磁気的吸引力が働く両側
式としたので、回転子には一方の固定子側に偏った力が
働かず、回転子自体の剛性や軸受けの強度等を特別に考
慮する必要がなくなり、その結果、回転子およびフレー
ムの形状構造を小さくでき、小型軽量化されたモータ・
シーブ機構を備えたロープ式エレベータを実現すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施形態に係わる、モータ・シーブ機構
の回転軸を含む面で切り出した一部断面図である。

【図２】図１に示す、フレームを除く永久磁石型同期モ
ータの回転子軸から任意の半径のイーイ線で円周方向に
切り出した展開図である。

【図３】第１の本実施形態に係わる、モータ・シーブ機
構を用いたロープ式エレベータの全体構成図である。

【図４】第２の実施形態に係わる、モータ・シーブ機構
の回転軸を含む面で切り出した一部断面図である。

【図５】第２の実施形態に係わる、モータ・シーブ機構
のフレームを除いた側面図である。

【図６】第３の実施形態に係わる、モータ・シーブ機構
の回転軸を含む面で切り出した一部断面図である。

【図７】図６に示す、フレーム４を除く永久磁石型同期
モータの回転子軸５から任意の半径のローロ線で円周方
向に切り出した展開図である。

【符号の説明】

１，２０，２４ 永久磁石型同期モータ ２ 回転子 ３，２１，２５ 固定子 ５ 回転子軸 ７，２２ シーブ ９，２３，２６ モータ・シーブ機構 １０ 乗りかご １１ 釣り合い錘り １２ ロープ １６，１７ ガイドレール １９ 昇降路 ２０１ 永久磁石 ２１１，２５１，３０１ 固定子コイル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒堀 昇 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路に立設したガイドレールと、 ロープを介して接続され、前記ガイドレールに沿って昇
   降する乗りかごおよび釣り合い錘りと、 前記ロープを上下に駆動するモータ・シーブ機構と、を
   備えたロープ式エレベータにおいて、 前記モータ・シーブ機構は、両面に永久磁石を備える回
   転子と該回転子の両面に対向して設けられる固定子とか
   ら構成される永久磁石型同期モータと、前記回転子の回
   転子軸に直結し、前記ロープを巻き取るシーブとから構
   成されることを特徴とするロープ式エレベータ。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記シーブは、前記回転子両面のいずれか一方の面に対
   向するように設けられる固定子と前記回転子の前記一方
   の面とによって囲まれる空間内に配置されることを特徴
   とするロープ式エレベータ。
3. 【請求項３】 請求項１において、 前記固定子に巻回する固定子コイルを、前記回転子の周
   縁の外側に配置したことを特徴とするロープ式エレベー
   タ。
4. 【請求項４】 請求項２において、 前記空間を形成する側の固定子を、前記シーブに巻き取
   られる前記ロープと接触しないように、複数に分割して
   配置したことを特徴とするロープ式エレベータ。
5. 【請求項５】 請求項１ないしは請求項４のいずれか１
   つの請求項において、 前記モータ・シーブ機構を、前記昇降路の下部に配置し
   たことを特徴とするロープ式エレベータ。