JPH10151120A - 核磁気共鳴を用いた検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴を用いた検査装置

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JPH10151120A
JPH10151120A JP8314503A JP31450396A JPH10151120A JP H10151120 A JPH10151120 A JP H10151120A JP 8314503 A JP8314503 A JP 8314503A JP 31450396 A JP31450396 A JP 31450396A JP H10151120 A JPH10151120 A JP H10151120A
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Japan
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magnetic field
signal
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magnetic resonance
nuclear magnetic
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JP8314503A
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English (en)
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Yukari Onodera
由香里 小野寺
Kenichi Okajima
健一 岡島
Tetsuhiko Takahashi
哲彦 高橋
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Hitachi Ltd
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Medical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Z偶数次チャンネルのシム電流の変化時にZ
0誤差項が生じる場合でも、最適なシミング結果を得る
核磁気共鳴を用いた検査装置を提供する。 【解決手段】 ファントムの絶対値画像501の特定の
ラインのプロファイル502において、信号レベルS
maxとノイズレベルSminの半値となる位置Eをファント
ムのエッジと見做し、位置ずれ量を検出してシム電流値
の変化後の静磁場強度分布画像の位置補正を行う。50
3はプロファイル502のうち、ファントム左側のエッ
ジを含む部分の拡大であり、R、L、RX、LXの関係を
示す。一点鎖線504は、503上で(x−1、L)と
(x、R)を通る直線とsignal=Shalfとの交点
Eはファントムの左側のエッジ位置である。 【効果】 正確な静磁場変化量マップが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核磁気共鳴を用い
た件さ装置係わり、特に検査対象内部の静磁場強度分布
を正確に計測する静磁場均一度補正を行なう装置に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】静磁場強度の均一性向上処理(以下、シ
ミングと略記)を行うために、静磁場発生用磁石内には
通常シムコイルと呼ばれる多チャンネルの磁場発生機構
が内蔵されており、様々な特性のシム磁場を静磁場コイ
ルの発生する静磁場に重畳して、撮影領域の静磁場強度
を均一にしている。超高速撮影法やスペクトロスコピッ
クイメージング等では、通常の撮影では問題にならない
数ppm以下の静磁場強度の不均一により、S/Nやス
ペクトル分解能が著しく劣化する。静磁場コイル内の静
磁場強度分布は、磁石自身の特性、周辺の磁性体の影響
の他、検査対象自身の透磁率分布等によって歪められる
ため、上記の撮影では静磁場中に検査対象が入った状態
で静磁場強度の均一性を向上させることが望ましい。異
なる位相情報を含む2枚の核磁気共鳴画像を計測して演
算により求めた静磁場強度分布に基づいてシミングが行
われている。2枚の核磁気共鳴画像から位相画像を求
め、さらに静磁場強度分布を得る手法については、例え
ばJournal of Magnetic Reso
nance、77、pp.40−52(1988)に記
載されている。撮影領域の静磁場強度分布をHi(x、
y、z)とすると、シミングを行う時にはシムコイルの
発生する磁場の和が−Hi(x、y、z)になるように
各チャンネルに流す電流値を調節する。即ち、
【0003】
【数1】 −Hi(x、y、z)=Σmmm(x、y、z) …(数1) 但し、Sm(x、y、z)はシムコイルのチャンネルm
に単位電流を流した場合に位置(x、y、z)において
発生する磁場、Imはチャンネルmに流す電流値、Σm
mに関する和である。Sm(x、y、z)を以下、シム
コイルの特性関数と記述する。Imを求めるためにはSm
(x、y、z)が既知でなければならない。具体的に
は、単位電流当たりの静磁場強度分布の変化量をシムコ
イルのチャンネル毎に計算または計測により求めておく
必要がある。シムコイルは、Z0、Z1、Z2、Z3、
X、Y、XY、ZX、ZYなどの複数チャンネルを有す
る。例えばZ1チャンネルコイルは、理想的にはz方向
に直線的に強度が変化するような特性を持つ磁場を発生
する。但し、zは静磁場印加方向である。fnを球面調
和関数(z、x、y、z2−(x2+y2)/2、xy、
yz、xz、x2−y2…)、anを展開係数として、Z
1チャンネルの特性関数SZ1(x、y、z)を(数2)
に示すように球面調和関数に展開すると、このような理
想的な場合にはfn=z以外の項の係数はゼロになる
(Σnはnに関する和である)。
【0004】
【数2】 SZ1(x、y、z)=Σnnn(x、y、z) …(数2) しかし、実際には他項の係数が無視できない場合がある
ため、シムコイル毎の特性を計測することが望ましい。
計測により特定のチャンネルのシムコイルの特性を求め
る場合には、まず基準となる静磁場強度分布を計測し、
次に特定のチャンネルのシム電流値のみ規定量変化させ
て、レファレンス用の静磁場強度分布を計測する。レフ
ァレンス用の静磁場強度分布と、基準となる静磁場強度
分布との差を取り、シム電流の変化量で割ることにより
単位電流変化当たりの静磁場変化量マップが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】シムコイルの特性関数
は球面調和関数により表現されるが、特定のシムコイル
に電流を流した場合、対応する関数以外の項が混在する
ため注意を要する。この多項混在の程度はシムコイルセ
ットにより異なる。この影響が最も顕著なのは、Z2や
Z4チャンネル等のシムコイルの発生する磁場に混在す
る静磁場オフセットの項である。但し、zは静磁場印加
方向である。静磁場オフセットはZ0チャンネルコイル
から発生されるので、以下Z0項と記述する。また、Z
0チャンネルコイル以外のシムコイルに混在するZ0項
を、以下Z0誤差項と記述する。Z2及びZ4チャンネ
ルコイルは主にz2及びz4に比例して磁場強度が変化す
る特性を有するので、以下これらをZ偶数次チャンネル
と記述する。静磁場オフセットが変化すると、シム電流
値変化前後で撮影領域がリードアウト方向にずれてしま
う。シム電流の変化前後で静磁場強度分布の差を取る際
に、このような位置ずれが生じていると、正確な静磁場
変化量マップが得られないという問題があった。また、
0誤差項は位置ずれを生じるだけでなく、磁場変化量
自体に影響を与える。Z偶数次チャンネルだけでなく、
どのチャンネルでも数パーセント程度のコンタミネーシ
ョンは存在し、通常はこの状態でシミングを行ってい
る。つまり、本来の特性に対して他項の寄与が十分小さ
ければ、他項が混在した状態を、そのチャンネルの特性
であると見做して静磁場変化量マップを作成し、この静
磁場変化量マップをもとにシミングを行っても問題は無
い。しかし、Z0誤差項による位相変化が2πを越える
場合、計測で得られた位相画像は実際に変化したZ0
差項を正しく反映していないので、正確な静磁場強度分
布を決定できないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の核磁気共鳴を用
いた検査装置では、シムコイル特性の作成過程におい
て、Z偶数次チャンネルのシム電流の変化時に生じる画
像の位置ずれを補正し、Z偶数次チャンネルの静磁場変
化量マップに含まれるZ0誤差項を除去する。また、シ
ム電流値の計算値にZ0誤差項を打ち消すようなZ0シム
電流値を加算する。本発明では位相画像作成前の核磁気
共鳴画像のプロファイルにおいて、信号レベルとノイズ
レベルの間の所定のレベルとなる位置を検査対象物質の
エッジと見做し、このエッジ位置の変化から、シム電流
の変化の前後におけるリードアウト方向の位置ずれ量を
見積もり、シム電流の変化後の画像の位置を補正する点
に特徴がある。また、シム電流の変化前後のエコー信号
1、F2の位相差、arg{F2(tx、ty)}−ar
g{F1(tx、ty)}、が式arg{F2(tx
y)}−arg{F1(tx、ty)}=iγ(GxxΔ
x+GyyΔy)(但し、Gx:リードアウト傾斜磁場
強度、Gy:位相エンコード傾斜磁場強度、Δx:リー
ドアウト方向の位置ずれ、Δy:位相エンコード方向の
位置ずれ、tx:エコー中心からの時間、ty:位相エン
コード傾斜磁場の印加時間、γ:磁気回転比)で与えら
れることを利用し、位相差平面の勾配からシム電流値の
変化前後に生じる画像の位置ずれΔx、Δyを補正する
ことを特徴とする。さらに、位置ずれ量とリードアウト
傾斜磁場強度からZ0誤差項を算出し、Z偶数次チャン
ネルの静磁場変化量マップからZ0誤差項を除去する点
に特徴がある。
【0007】本発明の核磁気共鳴を用いた検査装置での
静磁場均一度補正では、シミングを行う際に必要となる
シムコイル特性の作成過程において、Z偶数次チャンネ
ルのシム電流の変化時に生じる画像の位置ずれを補正す
る点に特徴がある。画像の位置ずれはリードアウト方向
の位置ずれであり、Z偶数次チャンネルのシム電流の変
化時にZ0誤差項が生じることに起因している。シムコ
イルの特性は一般にはファントムを用いて計測するの
で、位相画像作成前のファントムの絶対値画像プロファ
イルにおいて、信号レベルとノイズレベルの間の所定の
レベルとなる位置をファントムのエッジと見做し、位置
ずれ量を検出してシム電流の変化後の静磁場強度分布画
像の位置補正を行う。これにより、シムコイル特性の作
成時に、シム電流の変化前後の静磁場強度分布の対応す
るピクセル間での演算が可能になる。さらに、シム電流
値の変化前後のエコー信号の位相差平面の勾配を利用す
る方法もある。また、位置ずれ量とリードアウト傾斜磁
場強度との積からZ0誤差項を算出し、Z偶数次チャン
ネルの静磁場変化量マップに含まれるZ0誤差項を除去
する点に特徴がある。Z0誤差項による位相変化が2π
を超える場合、2πの整数倍に対応する成分は静磁場強
度分布画像には現れないないので、位置ずれ量から算出
したZ0誤差項から2πの整数倍の成分を除去する。こ
れにより、Z0誤差項のコンタミネーションによる位相
変化が2πを越える場合でも、正確な静磁場変化量マッ
プを決定できる。また、本発明の核磁気共鳴を用いた静
磁場均一度補正では、計測領域の静磁場強度分布を最適
化するシム電流値を求めた後、シム電流により発生する
0誤差項を打ち消すようなZ0シム電流値を、位置ずれ
量から求めたZ0誤差項に基づき算出し、シム電流値の
計算値に加算する点に特徴がある。これにより、静磁場
のオフセット項まで正確に補正できる。
【0008】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施例を図に基づい
て説明する。図1は本発明を実施するための核磁気共鳴
を用いた検査装置の一例を示す構成図である。図1にお
いて、101は静磁場を発生するコイル、102は傾斜
磁場を発生するコイル、103はシムコイル、104は
検査対象である。検査対象104は静磁場を発生するコ
イル101及び傾斜磁場を発生するコイル102内に配
置される。シーケンサ(シーケンス制御手段(装置))
105はシム電源106、傾斜磁場電源107、高周波
発信器108に命令を送り、傾斜磁場及び高周波パルス
を検査対象104に印加する。高周波パルスは、高周波
変調器109、高周波増幅器110を経て高周波送信器
111により、検査対象104に印加される。検査対象
から発生したMR(核磁気共鳴)信号は受信器112に
よって受波され、増幅器113、位相検波器114、A
D変換器115を通ってCPU(演算処理装置)116
に送られ信号処理が行われる。必要に応じて、記憶媒体
117に信号や測定条件を記憶できる。なお、シーケン
サ(シーケンス制御手段(装置))105は、上記の核
磁気共鳴を用いた検査装置の各部を制御して、以下に説
明する実施例の内容を実行する。
【0009】図2に本発明を実施するためのパルスシー
ケンスの一例を示す。本パルスシーケンスは、スピンエ
コー法に基づいている。図2において、201及び20
1’は励起高周波(RF)パルス、202及び202’
はスライス傾斜磁場、203及び203’は位相エンコ
ード傾斜磁場、204及び204’は反転高周波(R
F)パルス、205及び205’はスライス傾斜磁場、
206及び206’はリードアウト傾斜磁場、207及
び207’はエコー信号である。励起高周波パルス20
1とスライス傾斜磁場202を同時に印加して、特定の
スライス内の磁化のみを励起する。続いて、スライス傾
斜磁場202と垂直方向に位相エンコード傾斜磁場20
3を印加して、位相エンコード方向の位置情報を付与す
る。その後、核磁化は静磁場不均一等の影響を受け位相
角のバラツキを生じるが、この位相角のバラツキの程度
は励起から信号検出までの時間に比例する。一定の時間
の後に、反転高周波パルス204とスライス傾斜磁場2
05を同時に印加して、励起された核磁化の位相を反転
する。これ以後、位相角はコヒーレンシーを回復する方
向に向かう。その後、スライス傾斜磁場及び位相エンコ
ード傾斜磁場に垂直な方向にリードアウト傾斜磁場20
6を印加し、リードアウト傾斜磁場方向の位置情報を有
するエコー信号を読み出す。上記の操作を位相エンコー
ド傾斜磁場203の印加量を変化させ所定の回数繰り返
して、画像再構成に必要なエコー信号を計測できる。
【0010】上記のパルスシーケンスにおいて、励起高
周波パルス印加時と反転高周波パルスの印加時との時間
差をTE1、反転高周波パルスの印加時とエコー信号発
生時との時間差をTE2とすると、TE1=TE2とする
ことにより静磁場不均一の影響を相殺できる。しかし、
静磁場強度分布を計測することが目的であるため、故意
にTE1≠TE2としてエコー信号に静磁場不均一による
位相情報を付与する。但し、この位相情報には高周波磁
場の不均一等、静磁場不均一以外の要因に起因する位相
項が含まれているため、図2に示すようなTE1とTE2
との時間差の異なる2つのパルスシーケンスを用いて2
枚の画像を計測し、両者の位相差を求め静磁場不均一以
外の項の影響を除去する。図2において、2つのパルス
シーケンスはリードアウト傾斜磁場206及び206’
の印加タイミングのみ異なっており、このためエコー信
号の発生時刻がΔTEだけずれる。従って、上記の2つ
のパルスシーケンスにより得られた画像の位相差は、時
間差ΔTEの間に静磁場不均一により生じた位相差であ
る。図2において、TE2、TE2’(TE2≠TE2’)
とする2回の計測により得られた2つのエコー信号を用
いて、静磁場強度分布を求める場合を説明する。各々の
エコー信号をフーリエ変換して得られる画像をそれぞれ
A(x、y)及びSB(x、y)とすると、エコー時間
の差ΔTEの間に生じる位相の空間分布θ(x、y)は
(数3)となる。
【0011】
【数3】 θ(x、y)=arg{SA(x、y)}−arg{SB(x、y)}…(数3) 磁気回転比をγとすると、静磁場強度分布H0(x、
y)は(数4)で与えられる。
【0012】
【数4】 H0(x、y)=θ(x、y)/γΔTE …(数4) 図3に示すように、2つのパルスシーケンスを実行する
場合と等しい情報を、1つのパルスシーケンスだけで得
ることもできる。図3において、301は励起高周波
(RF)パルス、302はスライス傾斜磁場、303は
位相エンコード傾斜磁場、304は反転高周波(RF)
パルス、306はリードアウト傾斜磁場、307、30
8、309はエコー信号である。励起高周波パルス30
1とスライス傾斜磁場302を同時に印加して、特定の
スライス内の磁化のみを励起する。続いて、スライス傾
斜磁場302と垂直方向に位相エンコード傾斜磁場30
3を印加して、位相エンコード方向の位置情報を付与す
る。その後、核磁化は静磁場不均一等の影響を受け位相
角のバラツキを生じるが、この位相角のバラツキの程度
は励起から信号検出までの時間に比例する。一定の時間
の後に、反転高周波パルス304とスライス傾斜磁場3
05を同時に印加することにより、励起された核磁化の
位相を反転する。これ以後、位相角はコヒーレンシーを
回復する方向に向かう。その後、スライス傾斜磁場及び
位相エンコード傾斜磁場に垂直な方向にリードアウト傾
斜磁場306を印加し、リードアウト傾斜磁場方向の位
置情報を有するエコー信号を読み出す。このとき、リー
ドアウト傾斜磁場306の極性を複数回反転して、1回
の励起中にTE2の異なる複数のエコー信号307、3
08、309をほぼ同時に取得できる。上記の操作を位
相エンコード傾斜磁場303の印加量を変化させ所定の
回数繰り返すことにより、画像再構成に必要なエコー信
号を計測できる。エコー信号307と309はエコー発
生時刻がΔTEだけ異なるので、これらのエコー信号を
フーリエ変換して得られた画像をSA(x、y)及びSB
(x、y)として、上記と同様に(数3)により位相の
空間分布が得られ、(数4)より静磁場強度分布H
0(x、y)を算出できる。また、エコー信号307又
は309の代わりにエコー信号308を用いても同様に
静磁場強度分布を決定できるが、この場合はエコー信号
308のデータ配列を並び替える必要がある。また、図
2、図3ではスピンエコーを基本としたパルスシーケン
スを用いているが、本発明が適用可能なパルスシーケン
スはこれに限定されるものではなく、グラディエントエ
コー等を用いても良い。
【0013】図2、図3に示したパルスシーケンスで
は、励起から反転までの時間をTE1、反転からエコー
検出までの時間をTE2とすると、TE1とTE2の時間
差に比例した位相角のバラツキが生じるが、このバラツ
キが主に静磁場不均一によるものと仮定して、位相分布
から静磁場強度分布を求める。しかし生体を検査対象と
する場合、位相のバラツキは静磁場不均一だけでなく水
と脂肪の核スピンの共鳴周波数差によっても生じるた
め、静磁場強度分布を位相分布から求める場合には、こ
の共鳴周波数差の影響を除去する必要がある。そこで、
図2、3に示したパルスシーケンスにおいて、TE1
TE2の時間差を水と脂肪の核スピンの磁気共鳴周波数
の位相差が2πの整数倍となる時間に設定する。
【0014】上記のように求めた静磁場分布を用いてシ
ミングを行う手順について説明する。一般的なMRI装
置にはシムコイルと呼ばれる静磁場均一度調整用の多チ
ャンネルのコイルが内蔵されており、静磁場コイルの発
生する主磁場にこのシムコイルの発生する付加的な静磁
場を重畳させて、計測領域の静磁場均一度を向上させ
る。従って、ファントムや人体等の計測対象内の静磁場
強度分布を上記の方法等で計測し、この静磁場強度分布
を平坦にするような付加的な静磁場をシムコイルにより
発生させてシミングを行う。この時、各シムコイルに単
位電流を流した時の静磁場強度分布の変化量が既知でな
ければならない。シムコイルの発生する静磁場の特性は
基本的には球面調和関数で表現される。しかし、実際に
は対応する関数以外の項が混在するため実際の静磁場強
度の変化量を計測することが望ましい。
【0015】図4により、計測により特定のチャンネル
のシムコイルの特性を求める手順を説明する。まず基準
となる静磁場強度分布401を計測し、次に特定のチャ
ンネルのシム電流値をΔIだけ変化させて、レファレン
ス用の静磁場強度分布402を計測する。レファレンス
用の静磁場強度分布402と、基準となる静磁場強度分
布401との差を取り、シム電流の変化量ΔIで割るこ
とにより、単位電流変化当たりの静磁場変化量マップ4
03が得られる。上記の操作をシミングに用いる全シム
チャンネルについて行い、静磁場変化量Ajkを要素とす
る特性マトリクスAを作成する。但し、jはボクセル、
kはシムチャンネルを示す。静磁場強度分布401及び
402は、通常は水等の均質な物質で満たされたファン
トムの画像を用いる。検査領域内の静磁場強度分布が平
坦な分布を示すようなシム電流値を決定するには、例え
ば次に示すよう最小二乗法的手法を用いる。即ち、シミ
ング前の静磁場強度分布の静磁場強度の中心値からのず
れをEsj、シムチャンネルkに電流Ikを流した時にj
番目のボクセルに作られる磁場をBjkで表すと、(数
5)で表されるSを最小とするIkを求める。
【0016】
【数5】 S=Σj(−Esj−Σkjk2 …(数5) この時、Bjkは(数6)で表され、Ajkはシムコイルの
特性マトリクスAの(j、k)番目の要素であり、Esj
は上記の中心値からのずれを表わすマトリクスEsのj
番目の要素である。(数5)においてΣj、Σkはそれぞ
れj、kに関する和を表わす。
【0017】
【数6】 Bjk=Ajkk …(数6) この時、k成分がIkであるシム電流ベクトルΔIは、
(数7)により求められる。
【0018】
【数7】 ΔI=−(A’A)~1A’Es …(数7) なお、(数7)でA’はAの転置行列を示す。Z2、Z4
等のZ偶数次チャンネルでは、コイル巻線形状の特性
上、Z0項のコンタミネーションが大きく、装置によっ
てはZ偶数次チャンネルのシム電流の変化により、リー
ドアウト方向に位置ずれが生じる場合がある。特性マト
リクスAを作成する際には、シム電流の変化前後の静磁
場強度分布画像の差分を取るが、このような位置ずれが
生じた状態では対応するピクセル間での差分が取れず、
正確な特性マトリクスAが得られない。また、Z0誤差
項は位置ずれを生じるだけでなく、磁場変化量自体に影
響を与える。Z偶数次チャンネルだけでなく、どのチャ
ンネルでも数パーセント程度の多項混在は存在するの
で、通常はこの状態でシミングを行っている。つまり、
本来の特性に対して他項の寄与が十分小さければ、他項
が混在した状態を、そのチャンネルの特性であると見做
して静磁場変化量マップを作成し、この静磁場変化量マ
ップをもとにシミングを行っても問題は無い。しかし、
0誤差項のコンタミネーションによる位相変化が2π
を越える場合、計測で得られた位相画像は実際に変化し
たZ0誤差項を正しく反映していないので、正確な静磁
場強度分布を決定できない。従って位置ずれの補正だけ
でなく、Z偶数次チャンネルに含まれるZ0誤差項を除
去し、また実際に変化したZ0項を算出して(数7)で
得られたシム電流値にフィードバックする必要がある。
【0019】図5、図6に基づいて、位置ずれ量の算出
方法を説明する。図5は位置ずれ量を算出する方法を説
明する模式図、図6は位置ずれ量を算出するフローチャ
ートである。図5において、501は円筒状容器に水等
の均質な物質が満たされたファントムの絶対値画像、5
02は特定のライン(Y=Y1)での絶対値画像501
のプロファイルを示す。このプロファイルにおいて、信
号レベルとノイズレベルの半値となる位置をファントム
のエッジと見做し、このエッジ位置の変化から位置ずれ
量を見積もる。信号レベルとノイズレベルの求め方は、
例えばプロファイル502上で信号値の大きい順から特
定数のピクセルを選び、その平均値を信号レベルとして
用いる。同様にプロファイル502上で信号値の小さい
順から特定数のピクセルを選び、その平均値をノイズレ
ベルとして用いる。平均値を求めるのに用いるピクセル
数は、例えば10点とする。信号レベルとノイズレベル
の求め方の他の例では、プロファイルの中心から所定の
範囲を選び、この範囲内のピクセルの信号絶対値の平均
値を求め、この平均値をファントムの信号レベルとす
る。同様にして、プロファイルの両端又は左右どちらか
の端から所定の範囲を選び、この範囲内のピクセルの信
号絶対値の平均値を求め、この平均値をノイズレベルと
する。所定の範囲は、例えばプロファイルの5分の1と
する。又は、プロファイルを見ながら、ユーザーが平均
値を求める範囲を指定しても良い。信号レベルとノイズ
レベルの求め方の他の例は、プロファイルのヒストグラ
ムを作成し、このヒストグラムにおいて信号値の大きい
ピークの中心値をファントムの信号レベルとし、信号値
の小さいピークの中心値をノイズレベルとする。又は、
ピークの中心値のかわりに、ピーク中心近傍の所定の範
囲の信号値の平均値を用いても良い。
【0020】図5では、信号レベルをSmax、ノイズレ
ベルをSmin、SmaxとSminの平均値をShalfで示して
いる。プロファイル502上で信号値がShalfとなる位
置を見つける。この手順を図6を用いて説明する。プロ
ファイル上の位置をxで表し、flag=1として左
端、即ちx=0から信号値の判定を行う。flagは信
号値が初めてShalfを超えたか否かの判定に用いる。位
置xにおける信号値signal(x)がShalfを超
え、かつ一つ左の位置の信号値signal(x−1)
がShalf以下であり、かつflag=1である時、L=
signal(x−1)、R=signal(x)、L
X=x−1、RX=xとする。503はプロファイル50
2のうち、ファントム左側のエッジを含む部分の拡大で
あり、R、L、LX、RXの位置関係を示している。図5
において一点鎖線で示した直線504は、プロファイル
503上で(x−1、L)及び(x、R)を通る直線で
あり、この直線とsignal=Shalfとの交点の位置
をEとする。Eはファントムの左側のエッジ位置であ
り、(数8)により求められる。
【0021】
【数8】 E=(Shalf−L)/(R−L)+LX …(数8) シム電流の変化前後で上記の方法を用いてエッジ位置を
求め、エッジ位置の変化量Δxを求める。シム電流の変
化後の静磁場強度分布画像をリードアウト方向にΔxだ
けシフトさせ、シム電流の変化前の静磁場強度分布画像
に合わせる。上記では、ファントムの左側のエッジ位置
の変化から位置ずれΔxを求めたが、ファントムの右側
のエッジ位置の変化からも同様にして位置ずれΔxを決
定できる。この場合は、位置xにおける信号値sign
al(x)がShalfを超え、かつ一つ右の位置の信号値
signal(x+1)がShalf以下であり、かつfl
agが1である時、R=signal(x−1)、L=
signal(x)、RX=x+1として、(数9)に
よりファントム右側のエッジ位置を求める。
【0022】
【数9】 E=(Shalf−R)/(L−R)+RX …(数9) 次に、シム電流値の変化に伴う画像の位置ずれ量を求め
る他の実施例について述べる。前述のように、静磁場強
度分布を求める時には、例えば図2や図3に示すパルス
シーケンスにより得られる、TE2の異なる2つの画像
を用いる。これらの画像のうち、図2におけるエコー信
号207、又は図3におけるエコー信号307をフーリ
エ変化して得られる画像は静磁場不均一の影響を含まな
い。ここでは、静磁場不均一の影響を含まないエコー信
号の位相変化から位置ずれ量を算出する方法を述べる。
リードアウト方向をx、位相エンコード方向をyとする
と、シム電流の変化前後のエコー信号F1及びF2は、そ
れぞれ(数10)及び(数11)で与えられる。
【0023】
【数10】 F1(tx、ty) =∫ρ(x、y)exp{iγ(Gxxtx+Gyyty)}dxdy…(数10)
【0024】
【数11】 F2(tx、ty) =∫ρ(x、y)exp{iγ((Gxx+ΔH(x、y))tx+(Gyy +ΔH(x、y))ty)}dxdy …(数11)
【0025】
【数12】 E2(x、y)−E1(x、y)=ΔH(x、y) …(数12) ここで、ρ(x、y)はプロトン密度、γは磁気回転
比、Gxはリードアウト傾斜磁場強度、Gyは位相エンコ
ード傾斜磁場強度、txはエコー中心からの時間、ty
位相エンコード傾斜磁場の印加時間、E1(x、y)及
びE2(x、y)はシム電流の変化前後の静磁場強度分
布である。リードアウト方向の位置ずれ量をΔx、位相
エンコード方向の位置ずれ量をΔyで表すと、
【0026】
【数13】 Δx=ΔH(x、y)/Gx …(数13)
【0027】
【数14】 Δy=ΔH(x、y)/Gy …(数14) となる。(数10)〜(数14)からF1及びF2の位相
差を求めると、(数15)が得られる。
【0028】
【数15】 arg{F2(tx、ty)}−arg{F1(tx、ty)}=iγ(GxxΔx+ GyyΔy) …(数15) Gx、Gyは既知の量であるから、計測したエコー信号の
中から適当なtx、tyにおけるエコー信号を選び、Δx
及びΔyを独立に決定できる。シム電流値の変化前後の
エコー信号の位相差平面の勾配を導出する方法として
は、(tx−ty)座標系の位相差平面の一部平面を抽出
し、この平面に最適にフィットする平面を最小二乗法に
より導出し、その平面の勾配を導出する方法や、tx
又はty軸に平行な軸に沿った一部の位相データに対
し、最小二乗法により関数を導出し、その傾きから勾配
を算出する方法もある。前述したファントムのエッジの
変化を用いる方法と異なり、この方法では位相エンコー
ド方向の位置ずれにも対応可能である。本実施例では、
スピンエコー法に基づいたパルスシーケンスを用いて静
磁場強度分布を算出する場合について述べた。このよう
なパルスシーケンスではZ0誤差項の影響は主にリード
アウト方向又はスライス方向の位置ずれとして表れ、位
相エンコード方向の位置ずれは顕著ではない。従って、
位相エンコード方向の位置ずれ量Δyを求める必要は無
い。しかし、例えばエコープラナー法のようなパルスシ
ーケンスを用いると、Z0誤差項による位相エンコード
方向の位置ずれは無視できず、ΔxだけでなくΔyを補
正する必要があるので、上述した位相差平面の勾配を用
いる方法が適している。
【0029】リードアウト方向の位置ずれΔxの補正と
同様に、シム電流の変化後の静磁場強度分布画像を位相
エンコード方向にΔyだけシフトさせ、シム電流の変化
前後の静磁場強度分布画像に合わせる。次に上記の方法
により得られた位置ずれ量から、Z0誤差項を求める方
法を図7を用いて説明する。図7において、横軸は位置
x、縦軸は磁場強度である。701はシム電流の変化前
のリードアウト傾斜磁場であるが、シム電流値を変化さ
せたことによりZ0誤差項が生じ、702に示すように
リードアウト傾斜磁場にオフセットΔH0が付加され
る。このオフセットΔH0は、傾斜磁場強度Gr、Z0
差項による位置ずれΔxを用いて(数16)のように表
される。
【0030】
【数16】 ΔH0=GrΔx …(数16) 例えば、Z2シム電流値を0.25A変化させた時、
0.36cmの位置ずれが生じたとする。静磁場強度H
0=1.5T(0.015G/ppm)、傾斜磁場強度
r=0.2G/cm、シム特性計測値から得られたZ0
特性を16.4ppm/Aと仮定すると、
【0031】
【数17】 ΔH0=(0.2G/cm)×0.36cm=0.072G …(数17)
【0032】
【数18】 ΔH0/H0=4.8ppm …(数18)
【0033】
【数19】 ΔI=0.3A …(数19) となり、Z2シム電流値を0.25A変化させた時に
は、Z0項を4.8ppm補正する必要があり、これは
シム電流値の変化量ΔIに換算すると0.3Aに相当す
る。この値をもとにZ偶数次チャンネルに含まれるZ0
誤差項を除去する。また、計測領域の静磁場強度分布を
最適化するシム電流値を(数7)により求めた結果、例
えばZ2シム電流値を0.5A変化させる場合には、
(数10)により0.6Aに相当するZ0誤差項が生じ
ることになるので、Z0シム電流値の設定値を0.6A
少なくする。Z0シム電流値の設定値の符号は、Z2シム
電流値の変化により生じるZ0誤差項の符号とZ0シムの
特性により決定される。リードアウト傾斜磁場による磁
場勾配が画像の右方向に向かって高くなる場合、Z2
ム電流値の変化により画像が右方向に移動すればZ0
差項の符号は正であり、同様に画像が左方向に移動すれ
ばZ0誤差項の符号は負である。Z0シムが正の電流値に
対して正のオフセットを生じるような特性を持つ場合、
0誤差項の符号が正であれば、これを打ち消すための
0シム電流値の符号は負となる。Z4等他のZ偶数次チ
ャンネルを用いる場合も同様にしてZ0誤差項を除去
し、シム電流値の変化量に応じてZ0シム電流値へのフ
ィードバックを行う。
【0034】次に、図8を用いてリードアウト方向の位
置ずれから求められるZ0項と、静磁場強度分布画像に
含まれるZ0項との関係を説明する。シム電流の変化前
後の静磁場強度分布画像の差分は、図8の801に示す
ように非オフセット成分803とオフセット成分804
からなる。シム電流の変化前後のZ0項の変化は、本来
は、804に示すΔHと、2πの整数倍の位相項に起因
するオフセット成分、即ち805に示すΔHcとの和で
あるが、上述したように位相画像から静磁場強度分布画
像を得る場合、2π以上の位相変化が生じても静磁場強
度分布画像には反映されないため、ΔHcの情報が欠落
している。一方、リードアウト方向の位置ずれから求め
られるZ0誤差項ΔH0は802に示すように、本来のZ
0項の変化量であるΔHとΔHcとの和になっている。Z
偶数次チャンネルに含まれるZ0誤差項はΔHだけであ
るので、位置ずれから求められたZ0誤差項のうち、2
πの整数倍のオフセット成分を除外する必要がある。位
相差2πに相当するオフセット成分ΔH(2π)は、以
下のようにして求める。位相量をθ、位相回りが生じる
時間をτとすると、位相θに対応するオフセット成分は
(数20)で与えられる。
【0035】
【数20】 ΔH=θ/(2πγ’τ) …(数20) 但し、γ’=4257.5Hz/Gである。τ=12m
sとすると、θ=2πに相当するオフセット成分は、
【0036】
【数21】 ΔH(2π)/H0=1.3ppm …(数21) となる。ここで(数18)のように、Z2シム電流値を
0.25A変化させた時のZ0項変化量を4.8ppm
とすると、図8のΔHcに対応するのはΔH(2π)の
整数倍である3.9ppmとなり、ΔHは両者の差から
0.9ppmと求められる。図9はZ0誤差項の除去を
説明する概念図である。図9で901は、シム電流値の
変化前後の静磁場強度分布の差を示す。901から上記
の方法で求めたオフセット成分ΔH(902)を差し引
いて、Z0誤差項を含まない静磁場強度の変化量分布9
03が得られる。
【0037】以上説明したように、Z偶数次チャンネル
のシム電流の変化に伴う画像の位置ずれの補正には大別
して次の(1)、(2)の問題がある。(1)Z偶数次
チャンネルの磁場特性を得る際に、シム電流の変化前後
の静磁場強度分布の差分を取るが、両者に位置ずれが生
じているために対応する画素間で差分を取ることができ
ない。(2)Z偶数次チャンネルのシム電流の変化によ
り位相差にして2πを超えるZ0誤差項を生じる場合、
このZ0誤差項を除去しなければ、シミングにより正確
なZ0シム電流値を決定できない。以上の実施例では、
Z偶数次チャンネルのシム電流の変化に伴う画像の位置
ずれを補正し、位置ずれからZ0誤差項を算出して、Z
偶数次チャンネルの磁場特性からZ0誤差項を除去する
こと、静磁場強度分布を最適化するシム電流値の計算結
果からZ0誤差項の影響を除去することを説明したが、
0シム電流値が正確でないことの影響は、中心周波数
のずれとして現れるので、Z0誤差項の除去を行わずに
シミング後に周波数調整を行っても良い。この場合も位
置ずれの補正は行うべきである。
【0038】また、以上の実施例では、リードアウト方
向及び位相エンコード方向の位置ずれのみを考慮した
が、スライス方向にも同様の位置ずれが生じる。しかし
今問題としているのは、ファントムの静磁場強度分布を
用いてシムの磁場特性を作成する際の誤差であるから、
例えば円筒形のファントムを用いれば、スライス方向に
数ミリの位置ずれが生じても、静磁場強度分布の変化量
は無視しうる。さらに、以上の実施例では、信号レベル
とノイズレベルの半値における座標位置をエッジとして
位置ずれ量の導出法を説明したが、これに限定されるも
のではなく、信号レベルとノイズレベルの間の所定のレ
ベルとなる位置をエッジとみなせばよい。
【0039】
【発明の効果】本発明の核磁気共鳴を用いた検査装置の
静磁場均一度補正では、位相画像作成前の核磁気共鳴画
像のプロファイルにおいて、信号レベルとノイズレベル
の半値となる位置を検査対象物質のエッジと見做し、こ
のエッジ位置の変化からシム電流値の変化によるリード
アウト方向の位置ずれ量を見積もり、この位置ずれ量に
基づいてシム電流の変化後の静磁場強度分布画像の位置
補正を行うので、静磁場強度分布の対応するピクセル同
志の差を取ることができ、正確な静磁場変化量マップが
得られる。また、位置ずれ量とリードアウト傾斜磁場強
度からZ0誤差項を算出し、Z偶数次チャンネルの静磁
場変化量マップからZ0誤差項を除去するので、Z0誤差
項のコンタミネーションによる位相変化が2πを越える
場合でも、正確な静磁場変化量マップを決定できる。さ
らに、計測領域の静磁場強度分布を最適化するシム電流
値の計算値に、Z0誤差項を打ち消すようなシム電流値
を加算するので、静磁場のオフセット項まで正確に補正
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための検査装置の構成を示す
図。
【図2】本発明を実施するためのパルスシーケンスを示
す図。
【図3】本発明を実施するための他のパルスシーケンス
を示す図。
【図4】本発明を実施するためのシムコイル特性の求め
方を示す図。
【図5】本発明による位置ずれ量の算出方法を説明する
模式図。
【図6】本発明による位置ずれ量のを算出方法を示すフ
ローチャート図。
【図7】本発明によるZ0誤差項の求め方を説明する
図。
【図8】本発明における静磁場強度分布によるZ0誤差
項と位置ずれによるZ0誤差項を説明する図。
【図9】本発明によるZ0誤差項の除去を説明する概念
図。
【符号の説明】
101…静磁場発生コイル、102…傾斜磁場発生コイ
ル、103…シムコイル、104…検査対象、105…
シーケンサ、106…シム電源、107…傾斜磁場電
源、108…高周波発信器、109…高周波変調器、1
10…高周波増幅器、111…高周波送信器、112…
受信器、113…増幅器、114…位相検波器、115
…AD変換器、116…CPU、117…記憶媒体、2
01、201’、301…励起高周波パルス、202、
202’、205、205’、302、305…スライ
ス傾斜磁場、203、203’、303…位相エンコー
ド傾斜磁場、204、204’、304…反転高周波パ
ルス、206、206’、306…リードアウト傾斜磁
場、207、207’、307、308、309…エコ
ー信号、401…基準となる静磁場強度分布、402…
レファレンス用の静磁場強度分布、403…単位電流変
化当たりの静磁場変化量マップ、501…絶対値画像、
502…絶対値画像のプロファイル、503…左側エッ
ジ部分のプロファイル拡大、504…エッジ位置を決定
するための直線、701…シム電流の変化前のリードア
ウト傾斜磁場、702…シム電流の変化後のリードアウ
ト傾斜磁場、801…静磁場強度分布画像に含まれるZ
0項、802…リードアウト方向の位置ずれから求めら
れるZ0項、803…非オフセット成分、804…オフ
セット成分、805…オフセット成分(2πの整数
倍)、901…シム電流値の変化前後の静磁場強度分布
の差、902…オフセット成分、903…Z0誤差項を
含まない静磁場強度の変化量分布。
フロントページの続き (72)発明者 高橋 哲彦 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の各磁場を
    発生する磁場発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴信
    号を検出する信号検出手段と、前記静磁場に付加して印
    加する球面調和関数シム磁場を発生し、前記静磁場の均
    一度を補正するシム磁場発生手段と、前記各手段を制御
    するシーケンス制御手段とを有し、前記静磁場の強度分
    布画像を求めて前記シム磁場を発生するシムコイルに流
    すシム電流値を変化させて、前記静磁場の前記均一度を
    補正する核磁気共鳴を用いた検査装置において、前記シ
    ーケンス制御手段は、前記シム電流値を変化させる前後
    の前記強度分布画像の差分から、前記シムコイルが単位
    電流当たりに発生する磁場特性を求め、前記静磁場の印
    加方向をZとする時に、Z偶数次チャンネルの前記シム
    電流の変化時に生じるリードアウト方向の画像の位置ず
    れ量を補正した後に、前記磁場特性を求める制御を行な
    うことを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、ファントムの核磁気共鳴画像から前記強
    度分布画像を得ることを特徴とする核磁気共鳴を用いた
    検査装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記位置ずれ量と前記リードアウト方向
    に印加する傾斜磁場強度との積からZ0誤差項を求め、
    前記Z偶数次チャンネルの前記磁場特性から、前記Z0
    誤差項を除去することを特徴とする核磁気共鳴を用いた
    検査装置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記強度分布を最適化する前記シム電流
    値を求めた後、前記シム電流により発生するZ0誤差項
    を打ち消すようなZ0シム電流値を、前記位置ずれ量か
    ら求めたZ0誤差項から得られる前記シム電流値の計算
    値に加算することを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査
    装置。
  5. 【請求項5】請求項2に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記ファントムの前記核磁気共鳴画像の
    信号絶対値のプロファイルにおいて、前記信号絶対値が
    前記ファントムを表わす信号の平均値とノイズの平均値
    との間の所定の信号レベルとなる位置をファントムのエ
    ッジ位置と見做し、前記エッジ位置の変化から前記位置
    ずれ量を検出することを特徴とする核磁気共鳴を用いた
    検査装置。
  6. 【請求項6】請求項2に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、リードアウト傾斜磁場強度をGx、位相
    エンコード傾斜磁場強度をGy、前記位置ずれ量をΔ
    x、位相エンコード方向の位置ずれ量をΔy、エコー中
    心からの時間をtx、位相エンコード傾斜磁場の印加時
    間をty、γを磁気回転比とする時、前記エコー中心に
    おいて静磁場強度分布の不均一の影響が含まれない計測
    条件で得る、前記シム電流の変化前後のエコー信号
    1、F2から、位相差、arg{F2(tx、ty)}−
    arg{F1(tx、ty)}=iγ(GxxΔx+Gy
    yΔy)を求め、前記エコー信号F1、F2の位相差平面
    の勾配から前記Z偶数次チャンネルの前記シム電流の変
    化時に生じる前記位置ずれ量Δx、Δyを求めることを
    特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  7. 【請求項7】請求項3に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記プロファイル上で前記信号絶対値の
    大きい順に所定の数のピクセルを選択して前記ピクセル
    の前記信号絶対値の平均値を求め、該平均値を前記信号
    の平均値とし、前記プロファイル上で前記信号絶対値の
    小さい順に所定の数のピクセルを選択して前記ピクセル
    の前記信号絶対値の平均値を求め、該平均値を前記ノイ
    ズの平均値とすることを特徴とする核磁気共鳴を用いた
    検査装置。
  8. 【請求項8】請求項3に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記プロファイルの中心から所定の範囲
    を選び、該所定の範囲のピクセルの前記信号絶対値の平
    均値を求め、該平均値を前記信号の平均値とし、前記プ
    ロファイルの両端又は何れかの端において所定の範囲を
    選び、該範囲内のピクセルの前記信号絶対値の平均値を
    求め、該平均値を前記ノイズの平均値とすることを特徴
    とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  9. 【請求項9】請求項3に記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記プロファイルのヒストグラムを作成
    し、該ヒストグラムのピークのうち、信号値の大きいピ
    ークの中心値又はピーク中心近傍の所定の範囲の信号値
    の平均値を前記信号の平均値とし、前記信号値の小さい
    ピークの中心値又はピーク中心近傍の所定の範囲の信号
    値の平均値を前記ノイズの平均値とすることを特徴とす
    る核磁気共鳴を用いた検査装置。
  10. 【請求項10】請求項3に記載の核磁気共鳴を用いた検
    査装置において、前記プロファイル上の位置xにおいて
    信号値(R)が初めて前記信号の平均値(Shalf)を超
    え、前記位置xより1ピクセル大きい位置のピクセルの
    信号値(L)が前記信号の平均値(Shalf)以下である
    時、前記ファントムの一方のエッジ位置(E)を、E=
    (Shalf−L)/(R−L)+xで示される式から求め
    ることを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の核磁気共鳴を用いた
    検査装置において、前記位置ずれ量から算出したZ0
    差項から2πの整数倍の成分を除去した後に、前記Z偶
    数次チャンネルの前記磁場特性からZ0誤差項を除去す
    ることを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  12. 【請求項12】請求項3に記載の核磁気共鳴を用いた検
    査装置において、前記プロファイル上の位置xにおいて
    信号値(L)が初めて前記信号の平均値(Shalf)を超
    え、前記位置xより1ピクセル小さい位置のピクセルの
    信号値(R)が前記信号の平均値(Shalf)以下である
    時、前記ファントムの一方のエッジ位置(E)を、E=
    (Shalf−R)/(L−R)+xで示される式から求め
    ることを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  13. 【請求項13】請求項12に記載の核磁気共鳴を用いた
    検査装置において、前記位置ずれ量から算出したZ0
    差項から2πの整数倍の成分を除去した後に、前記Z偶
    数次チャンネルの前記磁場特性からZ0誤差項を除去す
    ることを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1392163A1 (en) * 2001-06-07 2004-03-03 The University Of Sydney A map of a property

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