JPH101493A - 核酸を分離する方法 - Google Patents

核酸を分離する方法

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JPH101493A
JPH101493A JP9039135A JP3913597A JPH101493A JP H101493 A JPH101493 A JP H101493A JP 9039135 A JP9039135 A JP 9039135A JP 3913597 A JP3913597 A JP 3913597A JP H101493 A JPH101493 A JP H101493A
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可君 范
Masaaki Kitajima
政明 北島
Kiyoshi Kasai
澄 笠井
Shigeru Tamatsukuri
滋 玉造
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 検体中の標的核酸を簡便にかつ効率よく分離
または検出できる方法を提供する。 【解決手段】 (a)検体からウィルスまたは細菌を含
む液体画分を得る工程、(b)液体画分中に標的核酸を
溶出するためにウィルスまたは細菌を溶解する工程、
(c)細菌またはウィルスの標的核酸をハイブリッド形
成によって捕獲するために、特定の配列のウィルスまた
は細菌の標的核酸に対して実質上相補的である核酸プロ
ーブを比重1.1から2.5を有する粒子に化学的に結合
することによって得られる、核酸プローブを有する粒子
を(b)の工程で得られた溶解物に添加する工程、およ
び(d)工程(c)において得られた系からウィルスま
たは細菌の標的核酸を捕捉した粒子を回収する工程、よ
りなる方法であり、前記のいずれかの工程の前、或いは
途中で、蛋白質変性剤を添加することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸プローブを固
定化された微粒子を用いて核酸とヌクレアーゼが共存す
る検体から核酸を分離する方法、およびその分離方法を
用いて検体中の核酸を検出するためのキットと方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、血清、血漿中に浮遊しているウィ
ルスまたは細菌を検出するには、次のような方法によっ
ていた。まず全血液を低速遠心にかけ、血球成分を沈澱
させ、上清の血清または血漿を回収する。次いで回収さ
れた血清または血漿に高濃度グアンチュームチオシアネ
ート溶液(GTC)と微量のSH基酸化防止剤を加える
と、ウィルス殻、細菌膜が破壊されると同時に、遊離さ
れるウィルスまたは細菌の核酸の分解が抑えられる(Sa
mbrook他著、“Molecular Cloning 2nd Ed.” Sec7., C
old Spring Harbor Press, New York, USA)。血清中に
は大量の蛋白質、脂質、糖、および他の分子が含まれる
ので、前分離処理なしでは血清中の標的遺伝子を検出す
ることはできない。そこで、通常、クロロホルム/フェ
ノールまたはイソプロピルアルコール等の有機溶媒を使
って、さらに、これらの溶媒中の蛋白質と核酸の溶解度
の違いを利用して、血清中の核酸と蛋白質の分離を行っ
てから、標的遺伝子を核酸プローブ法またはポリメラー
ゼ増幅反応(PCR法)により検出していた。
【0003】前記有機溶媒を使用する核酸と蛋白質の分
離法は、血清中に存在する全ての核酸と全ての蛋白質を
分離する方法であるので、分離された核酸中には検出の
対象である標的核酸以外の核酸が大量に含まれている。
もし所定量の検査対象の検体中に標的核酸が数分子ない
し数十分子しか含まれない場合、標的遺伝子検出のバッ
クグランドが大きくなり、このため標的核酸が検出でき
ないことがある。バックグラウンドを小さくするため
に、一つの方法として検査対象の検体に使う血清または
血漿の量を減らすこともできるが、この方法には結果的
に検査感度を低下させてしまうという問題点がある。加
えて、この溶媒を使用した分離方法の操作は煩雑である
ために、大量の臨床検体の日常的な処理に対しては不向
きであった。
【0004】上記の問題点を解決するために提案された
もう一つ方法は、核酸を蛋白質と分離するために、有機
溶媒の代わりにイオン交換樹脂またはガラスビーズを使
用し、さらに異なる核酸と蛋白質間の荷電度の違いを利
用することから成る。この方法は、通常の水溶液中に混
在する核酸と蛋白質の分離には有効であるが、血清また
は血漿中に核酸とヌクレアーゼが共存する場合、特に標
的遺伝子が、例えばHIVまたはHCV中のRNAであ
るとき、検体中に大量に含まれるRNA分解酵素(RN
ase)の活性を妨げるために、少なくとも約2M/l
のGTC溶液を検体の血清に添加する必要があるが、そ
れには、検体中の電荷イオンが塩によって中和されてし
まうという効果があるので、そのような場合において、
この方法は効果がなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明によって提示さ
れる課題とは、生物学的液体から誘導された検体から、
特に検体中に核酸とヌクレアーゼが共存する場合におい
て、標的核酸を特異的に分離する方法、および、上記の
問題点のない、上記のような検体中からウィルスまたは
細菌の標的核酸を検出する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】一つの局面によれば、本
発明は生物学的液体検体または生物学的液体から誘導さ
れた検体からウィルスまたは細菌の標的核酸を分離する
方法であって、(a)検体からウィルスまたは細菌を含
む液体画分を得る工程、(b)液体画分中に標的核酸を
溶出するためにウィルスまたは細菌を溶解する工程、
(c)細菌またはウィルスの標的核酸をハイブリッド形
成によって捕獲するために、特定の配列のウィルスまた
は細菌の標的核酸に対して実質上相補的である核酸プロ
ーブを比重約1.1から約2.5を有する粒子に化学的に
結合することによって得られる、核酸プローブを有する
粒子を(b)の工程で得られた溶解物に添加する工程、
および(d)工程(c)において得られた系からウィル
スまたは細菌の標的核酸を捕捉した粒子を回収する工
程、よりなる方法であり、前記工程(a)〜(d)のい
ずれかの工程の前、或いは途中で、蛋白質変性剤を添加
することを特徴とする方法である。
【0007】本発明の方法は、長時間を必要とせず、容
易に実行に移せて、よって臨床検査センターや病院にお
ける大量の検体の日常的な処理に十分適切である技術を
使用して、生物学的液体検体または生物学的液体から誘
導された検体からウィルスまたは細菌の標的核酸を特異
的に、かつ効率的に分離することを可能とする。その分
離方法を利用することにより、特にHIV−RNAおよ
びHCV−RNAの検体において、非常に高感度な標的
核酸の検出が可能となる。本発明の方法が適用され得る
検体は、生物学的液体および生物学的液体から誘導され
た検体である。適当な生物学的液体には、例えば、血
液、尿、汗、リンパ液、組織の抽出液、細胞液、細胞培
養液、菌の溶解液が含まれる。血液が特に適当な生物学
的液体である。
【0008】生物学的液体が血液の場合は、適切なもの
には血清および/または血漿を成分として含む検体、お
よびこれらのどちらか、あるいは両方を成分として含む
検体(以下、これらを「血清等」という)が含まれる。
そのような血清等は、ヒトまたは動物の全血液から低速
の遠心分離を利用して血球成分を分離することによって
容易に調製することができる。通常の免疫検査によって
調製される血清をそのまま用いることもできる。血清等
には、もし適当であるならば、ヘパリン、クエン酸ナト
リウム、あるいはEDTAのような抗血液凝固剤が含ま
れていてもよい。本発明において分離される核酸が宿主
中に含まれる場合には、核酸を溶出するために、すなわ
ち液体画分中に核酸を溶出するために、該宿主の外殻ま
たは膜を溶解または破壊することが必要である。かくし
て本発明の方法には、ウィルス殻または細菌膜を破砕す
る方法を要する。
【0009】ウィルス殻または細菌膜を破砕する方法と
しては、通常に用いられるいかなる適当な物理的、電気
的または化学的な方法が使用できる。そのような破砕方
法の例としては、超音波破砕法、電気ショック法、浸透
圧差を利用する方法、界面活性剤を利用する方法等が挙
げられる。ウィルス殻または細菌膜を破砕するための特
に適当なものとして、“PCR Protocols: A Guide to M
ethods and Applications”(M.A. Innis et. Al., 199
0,Academic Press, NY, USA)に記載の方法がある。本
発明の方法によって分離されるべきウィルスまたは細菌
の標的核酸はRNAおよび/またはDNAでもよい。本
発明の方法は、標的核酸がHIV−RNAあるいはHC
V−RNAのようなRNAである場合に特に好適であ
る。
【0010】本発明において、ウィルスまたは細菌から
遊離される核酸が検体中のヌクレアーゼにより分解され
ることを妨げるために、蛋白質変性剤によって検体のヌ
クレアーゼ活性が抑えられる。ヌクレアーゼ、特にリボ
ヌクレアーゼ(RNase)の活性を抑える当該技術分
野における様々な方法が知られている。好適な方法の一
例としては、例えばMolecular Cloning(前期に引用)
に記載されているグアニチュームチオシアネート(GT
C)のような蛋白質変性剤を用いる方法が挙げられる。
グアニチュームチオシアネートは、通常SH基含有酸化
防止剤を含有する。
【0011】本発明が適応される血清等のGTCの濃度
は、約0.1〜5モル/l、好ましくは約0.2〜4.5
モル/lである。もしこの濃度が約0.1モル/lより
少ないと、濃度が低すぎて所定のRNase活性を抑え
ることができない。一方、約5モル/lより多い場合に
は、GTCにおいて溶液が飽和状態となり、そのような
飽和溶液の実際の使用は困難となる。SH基含有酸化防
止剤の例としては、ジチオトレイトール、メルカプト酢
酸、メルカプトエタノールが挙げられる。血清等中のS
H基含有酸化防止剤の濃度は、好ましくは約0.1〜3
00ミリモル/l、より好ましくは約1〜100mミリ
モル/lである。もしその濃度が約0.1ミリモル/l
より少ないと、濃度が低すぎてRNase活性を抑える
ことができない。
【0012】本発明において、蛋白質変性剤は、本発明
の方法における(a)〜(d)のどの工程の前、或いは
途中で添加されてもよいが、通常、その変性剤はウィル
スまたは細菌の標的核酸の液体画分中への溶出の直前あ
るいは直後に添加されるのが好ましい。本発明において
使用する核酸プローブを担持させる粒子としては、有機
高分子粒子、無機粒子、またはこれらの複合体のいずれ
でもよい。本発明において使用する核酸プローブを担持
させる粒子の比重は、約1.1〜約2.5、好ましくは約
1.2〜約2.0である。もしその比重が約1.1より小
さくなると、粒子を遠心分離により沈澱させられなくな
る。また、もしその比重が約2.5より大きくなると、
標的核酸の捕捉反応の間の短い時間内にも粒子が沈澱し
てしまい、効率的に標的核酸を回収することができな
い。
【0013】粒子を形成するために使用可能な有機高分
子の例としては、一つ以上のハロゲン原子を分子中に有
するコモノマーを他のコモノマーと共重合することによ
って得られた重合体を挙げることができる。そのような
一つ以上のハロゲン原子を分子中に有するモノマーとし
ては、例えばモノフルオロフェニル(メタ)アクリレー
ト、トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、モノブ
ロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニ
ル(メタ)アクリレート、モノイオドフェニル(メタ)
アクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペ
ンタクロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブ
ロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェ
ニルメタクリレート、α−クロロフェニルアクリレート
およびα−クロロフェニルメタクリレートが挙げられ
る。
【0014】他のコモノマーの例としては、芳香族ビニ
ル化合物、α,β−不飽和カルボン酸およびそのエステ
ル類とアミド類、α,β−不飽和ニトリル化合物、ハロ
ゲン化ビニル化合物、共役ジエン化合物、スチレン、ク
ロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコール−
ジ−(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニ
トリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール−(メタ)アクリルアミド、メチレ
ンビス(メタ)アクリルアミド、ブタジエン、イソプレ
ン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリド
ン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、および臭化ビニルの
ような低級脂肪酸ビニルエステル化合物が挙げられる。
【0015】一つ以上のハロゲン原子を分子中に有する
モノマーは、通常室温で水溶性の固体である。従って、
これらは前記したコモノマーと一緒に水性媒体中に微分
散させてエマルジョンを形成させ、次いで目的とする粒
子を得るために、乳化重合、懸濁重合、シード重合、溶
液沈澱重合、分散重合等に掛けることが好ましい。
【0016】本発明において使用するのに好適な粒子の
平均粒子径は、そのような微粒子は遠心分離等の簡便な
操作で回収できるので、好ましくは約0.05μm以
上、より好ましくは約0.1μm以上である。一方、各
粒子の単位体積当りの表面積を大きくし、その粒子がハ
イブリダイゼーションの適当な条件下で効率よく標的核
酸を捕捉できるためには、その平均粒子径は、好ましく
は約5μm以下、より好ましくは約3μm以下である。
さらに、本発明において使用する粒子は、水性媒体中で
使用されるために、不水溶性でなければならない。本発
明において使用するのに好適な無機粒子としては、例え
ばガラスビーズ、金属または金属酸化物の粒子を挙げる
ことができる。好適な複合粒子としては、例えば有機高
分子で表面被覆された無機コア粒子、あるいは有機高分
子中に分散された複数個の無機粒子が挙げられる。
【0017】本発明において、少なくとも一つの常磁性
体あるいは超常磁性体を含有する粒子(以下、「磁性粒
子」という)を使用することもできる。次いで磁性粒子
の分離は、遠心分離のほか、磁石の利用によっても、便
利に、且つ迅速に実現できる。超常磁性体の例として
は、鉄、酸化鉄(Fe23、Fe34)、窒化鉄、ニッ
ケル、酸化ニッケルの超微粒子、およびこれらの金属お
よび化合物のいずれかを含有する粒子が挙げられる。こ
のような磁性粒子は、例えば特開昭61−19103号
公報に記述されている方法によって調整できる。このよ
うに調製された磁性粒子は有機高分子で表面被覆される
ことが望ましい。これは、例えば磁性粒子を揮発性の有
機溶媒に溶解させたモノマーと開始剤からなる液に添加
し、脱溶媒と共にモノマーを磁性粒子の内に含浸させた
後に、界面活性剤の入った水溶液中に磁性粒子を分散さ
せ、粒子中に含まれるモノマーを加熱重合することによ
り都合よく実現される。このように表面被覆された粒子
を核酸プローブと結合させやすくするために、表面被覆
に使用されたモノマーの一部またはすべては、好ましく
はカルボキシル基を側鎖にもつモノマーである。
【0018】本発明に用いる粒子の表面におけるカルボ
キシル基量は、好ましくはドライ粒子の質量当り約0.
01〜0.8meq/gであり、より好ましくは約0.0
2〜0.5meq/gである。カルボキシル基量が約0.
01meq/g以下になると、核酸プローブの固定化に
おける粒子の効率が著しく低下し、また、核酸プローブ
が固定された粒子の安定性も低下する。このような粒子
は、一粒子あたり数分子ないし数十分子の標的核酸の捕
捉を行うという本発明の目標にとっては好ましくない。
しかしながら、その一方では、カルボキシル基量が約
0.8meq/g以上になると、実質的にこのような粒
子を調製することは容易ではない。粒子表面のカルボキ
シル基量の範囲は、本発明の用途および粒子調製のコス
トとのバランスを考慮して選択される。
【0019】本発明に用いる粒子の表面にカルボキシル
基を導入する手段としては、前述のように重合または表
面被覆する工程において、適量のカルボキシル基を有す
るモノマーを添加することにより達成できる。少なくと
も本発明に用いる粒子の表面は、前述したように、有機
高分子材料で被覆されることが望ましい。そのような有
機高分子材料には、例えばスチレン、ジビニルベンゼ
ン、(メタ)アクリル酸、ハロゲン化ビニル化合物、お
よびそれらの派生化合物が含まれる。また、このように
表面被覆された粒子を核酸プローブと化学的に結合させ
やすくするために、粒子表面にカルボキシル基を導入す
ることが望ましい。
【0020】本発明において使用する核酸プローブは、
固定化部位とハイブリッド形成部位により構成される。
核酸プローブ中のハイブリッド形成部位の配列は、標的
核酸の特定の配列と実質的に相補的である配列を含んで
いる。本発明において特に好適である検体である血清等
には、通常、大過剰な望ましくない核酸、蛋白質、脂
質、糖、および他の分子が、例えば標的核酸の数千倍〜
数百万倍の濃度で含まれているので、標的核酸を特異的
に、迅速に、且つ効率的に抽出、分離および検出するた
めに、核酸プローブ中のハイブリッド形成部位の配列
は、少なくとも15個、より好ましくは少なくとも20
個のヌクレオチドを含んでいることが望ましい。一方、
ハイブリッド形成部位の配列中のヌクレオチド数の上限
は特に制限されないが、通常100個以下、好ましくは
80個以下である。この上限は、ヌクレオチドの合成に
おける経済面および効率を考慮して選択される。
【0021】本発明において使用する核酸プローブの固
定化部位の配列は、第1級アミノ基を有する少なくとも
1個のヌクレオチドを含有する。その配列は、通常1〜
20個、好ましくは3〜15個のヌクレオチドから構成
される。核酸プローブの固定化部位の配列中の第1級ア
ミノ基を有するヌクレオチドとしては、例えばデオキシ
アデニル酸(dA)、デオキシシチジル酸(dC)、デ
オキシグアニル酸(dG)が挙げられるが、担体粒子表
面に存在するカルボキシル基との反応性が高いという点
で、dAおよびdCが好ましい。第1級アミノ基を有す
るオリゴヌクレオチドは、一種類のヌクレオチドで構成
されていてもよいし、2種類以上のヌクレオチドで構成
されていてもよいが、ハイブリッド形成の相手となる標
的核酸中の特定の配列以外の配列と偶然に相補的な配列
の発生を避けるために、1種類のヌクレオチド、特にd
AまたはdC、で構成されることが望ましい。本発明で
使用される核酸プローブが標的核酸の検出工程における
酵素反応に影響を与えないために、粒子と核酸プローブ
との接合部位がプローブの配列の3’末端の塩基である
ことが好ましい。さらに、3’末端の塩基を化学修飾す
ることによって、その意図する効果がさらに増大するか
もしれない。この化学修飾には、例えばアルキル基、ア
ミノ基、ニトロ基等の官能基を3’末端の塩基に導入す
る方法がある。
【0022】[核酸プローブ粒子の調製]本発明におい
て使用する核酸プローブを担体粒子へ固定する法とし
て、例えば特開平7−75599号公報および特開平6
−335380号公報に記述されている方法が適用され
る。簡潔に述べれば、核酸プローブ1当量分と核酸プロ
ーブのハイブリッド形成部位と相補的であるDNA1当
量分とをアニーリング緩衝液中で混合し、80℃で5分
間加熱した後、徐々に室温に戻し、2本鎖のDNAを形
成する。この2本鎖のDNAをヒドロキシアパタイトカ
ラムに通して精製した後に、脱水縮合剤と共に担体粒子
の分散に添加し、加熱することによって、核酸プローブ
の固定化部位の配列中の第1級アミノ基がアミド結合に
より粒子表面に存在するカルボキシル基に固定される。
【0023】ここで言う脱水縮合剤とは、例えば1−エ
チル−3−(N,N’−ジメチルアミノ)プロピルカル
ボジイミドのようなカルボジイミド類、そしてN−エチ
ル−5−フェニルイソキサゾリウム−3’−スルホネー
ト、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−
ジヒドロキノリン等も含有する水溶性の脱水縮合剤が好
ましいものとして挙げられるが、これらに加えて、油溶
性の脱水縮合剤も使用することができる。粒子の使用量
は、通常核酸プローブ1ミリモル当り、約0.1〜50
0g、好ましくは約5〜50gである。核酸プローブの
粒子への固定化は、約pH3〜11程度の水性媒体中、
4〜70℃において、5分から一夜の間で実行されれば
よい。
【0024】次に、この粒子に固定化された核酸プロー
ブ中のハイブリッド形成部位に結合した相補的な配列を
離脱させることによって、本発明において使用する核酸
プローブを有する粒子が得られる。上記のこの際、前記
の相補的な配列の離脱は、熱またはアルカリ変性により
達成されることができ、その後このように離脱された相
補的な配列は、遠心分離、濾過等の手段によって除去す
ることができる。標的核酸の捕捉を実現するために、核
酸プローブを有する粒子が、前記に示す方法において処
理された生物学的液体、特に血清等の検体に、核酸プロ
ーブと標的核酸の特定の配列との間においてハイブリッ
ド形成を可能とする条件下において添加される。
【0025】本発明において、ハイブリッド形成の条件
は、標的核酸の形態および特定の配列によって異なる
が、一般的に塩濃度が0.2モル〜10モル、温度が1
0℃〜70℃、時間が10分〜100分であるように選
択される。本発明により分離される標的核酸がウィルス
または細菌のゲノムから誘導される場合、標的核酸を含
むゲノムの高次三次元構造を破壊するために、核酸プロ
ーブを有する粒子を加える前または加えてから反応系全
体を約50℃〜約75℃で一度加熱することが望まし
い。ゲノムはウィルスまたは細菌のゲノムでもよいし、
または検体が収集され、そして標的核酸が注入されるヒ
トまたは動物のゲノムであってもよい。
【0026】ハイブリッド形成反応中は、界面活性剤、
好ましくはノニオン性界面活性剤を、系の核酸プローブ
粒子の安定性および分散性を維持するために、ハイブリ
ッド形成反応系に加えられることが望ましい。例えば、
ノニオン性界面活性剤の約0.1重量%〜20重量%が
系に加えられてもよい。適当なノニオン性界面活性剤の
例には、TRITON(r) X シリーズ、TWEEN(r) シリーズ、B
RIJ(r) シリーズ(全てシグマ社製)が含まれる。それ
らのノニオン性界面活性剤のいずれも上記の濃度におい
て系に加えられてもよい。また、それらの界面活性剤と
同様な分子構造を有する反応性モノマーのいずれも重合
時に粒子に加えられることによって、界面活性剤を粒子
表面に予め含有させていてもよい。
【0027】本発明の方法による粒子によって捕捉され
た標的核酸は、もし必要であれば、熱やアルカリにより
粒子から分離することができる。さらなる局面によれ
ば、本発明は生物学的液体検体中または生物学的液体か
ら誘導された検体中のウィルスまたは細菌の標的核酸を
検出する方法に関するものであり、該方法は(a)上記
の方法でウィルスまたは細菌の標的核酸を分離する工
程、および(b)ウィルスまたは細菌の標的核酸を検出
する工程よりなる方法である。
【0028】本発明の方法により捕捉された標的核酸の
検出は、当該技術分野において知られている検出方法
(特に、ラベル化された核酸プローブまたは増幅された
核酸プローブとのハイブリッド形成と核酸プローブの検
出を用いる方法)のいずれを用いても実行できる。もし
必要であれば、予め粒子から標的核酸を溶出させること
なしに実行することもできる。標的核酸量が多い場合に
は、例えば、放射性、蛍光性、或いは化学発光性の標識
を有する核酸プローブに対するハイブリッド形成反応に
基づく方法によって核酸を検出することが適切である。
本発明の好ましい実施態様によれば、核酸プローブを有
する粒子によって捕捉された標的核酸は、粒子に固定さ
れた核酸プローブに対するハイブリッド形成の領域以外
の標的核酸の領域に対して実質上相補的である、上記の
ようにラベル化されたもう一つの核酸プローブにハイブ
リッド形成化される。しかる後、核酸プローブを有する
粒子を遠心分離を用いて、または磁性粒子である場合に
は、磁気により分離される。この方法によって、標的核
酸の有無を検出することができる。
【0029】検体中に存在する標的核酸が極く微量であ
る場合、例えばポリメラーゼ増幅反応(PCR)または
逆転写ポリメラーゼ増幅反応(RT−PCR法)のよう
な核酸増幅法を利用し、増幅された核酸を検出すること
が好ましい。そのような核酸増幅法において、予め粒子
から標的核酸を溶出させることなしに、標的核酸を捕捉
した粒子を直接ポリメラーゼ増幅反応系に加えることが
適切である。検体中の他の成分と標的核酸との先立って
行われた特定の分離処理のため、その核酸増幅反応は、
検体中に存在し得るいかなる反応抑制剤からも影響を受
けない。特に血清等に対して、PCR法或いはRT−P
CR法は血清成分由来の反応抑制剤の影響を受けず、通
常の溶液系反応で検出される時のものと同等の感度にお
いて標的核酸の検出を可能とする。
【0030】増幅された核酸の検出は、当該技術分野に
おいて知られているいかなる検出方法、特に紫外線下に
おいてビジュアル化する方法、或いはラベル化された核
酸プローブとのハイブリッド形成反応を利用する方法の
いずれによっても実施できる。特に簡単に利用できる方
法は、アガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲル上
で電気泳動を行い、臭化エチジウムで染色し、紫外線下
において増幅産物を検出することから構成される。この
方法において、核酸プローブ粒子を増幅反応産物と共に
ゲルに加えてもよい。また、もし必要であれば、予め増
幅領域に対応するプローブが固定されたウェルを有する
プレートを使用することも可能である。そのようなプレ
ートを使用する場合、増幅産物のある領域がウェルに固
定化されているプローブとハイブリッドを形成しやす
く、増幅産物のその他の領域に対応するもう一つのラベ
ル化されたプローブが使用されれば、前記同様の方法で
増幅産物を検出できる。
【0031】さらなる局面によると、本発明は上記の核
酸プローブを有する粒子からなる、生物学的液体検体中
または生物学的液体から誘導された検体中のウィルスま
たは細菌の標的核酸を検出するためのキットと標的核酸
を検出する方法に関するものである。さらに、そのキッ
トは適切に、標的核酸を増幅する方法、特にPCRまた
はRT−PCR法による増幅による方法を包括する。本
発明を以下の実施例に基づき具体的に説明する。
【0032】
【実施例】
実施例1 ポリマー粒子の生成 1) 高比重ポリマー粒子 スチレン50g、2,4,6−トリブロムフェニルメタク
リレート45g、メタクリル酸5g、過硫酸カリウム1
g、ラウリル硫酸ナトリウム1g、水1000gを窒素
雰囲気下に70℃で10時間乳化重合することで、粒子
径約0.3μm、粒子比重約1.4を有するカルボキシル
基変性された高比重ポリマー粒子を得た。 2)磁性ポリマー粒子 スチレン50g、メタクリル酸5g、ジビニルベンゼン
3g、油性の磁性流体(松本油脂(株)MA200)3
0g、ベンゾイルペルオキシド3gを均一に混合し、次
いでこれをラウリル硫酸ナトリウム5gを含む水溶液1
000ml中に分散し、70℃で10時間の重合を行っ
た。重合後、そのポリマー混合物を市販磁石を用いた磁
気沈澱精製と溶剤精製にかけることで、粒子径約0.8
μm、磁性体含量約30重量%、粒子比重約1.25を
有する磁性ポリマー粒子を得た。
【0033】実施例2 1) HIV核酸プローブを有するポリマー粒子の調製 HIV−RNAを標的核酸とする核酸プローブは、 Sci
ence Vol.227,484-495,1985にて記載されたHIVタイ
プ−1の配列に基づき、下記のように調整された。オリ
ゴヌクレオチド A(+) は以下の配列を有する。 5'-GTT TAG CAT GGT GTT TAA ATC TTG TGG GGT GGC TC
C TTC CCC CCC CCC -3' 前記配列において、5’末端の38塩基分はHIV−R
NAに対応し、ハイブリッド形成領域を構成するもの
で、3’末端の10塩基分はプローブ粒子表面の固定反
応に使用される領域であり、固定化部位を構成する。A
(+)およびその相補鎖A(−)は通常の化学固相合成
法で調整された。A(−)の配列はA(+)のハイブリ
ッド形成領域に対し相補的であるが、3’末端の10C
塩基分に欠ける。これらのA(+)およびA(−)は下
記の実験に先立って、OPCカラム(Oligonucleotide
Purification Cartridge column; Perkin Elmer)で精
製された。合成ポリヌクレオチドA(+)およびA
(−)をそれぞれ60nmol取り、2mlのエッペン
ドルフチューブに入れ、(60mM 塩化マグネシウ
ム、60mM β−メルカプトエタノール、500mM
塩化ナトリウムよりなる、100mM トリス塩酸塩
緩衝液、pH8を有する)10倍アニーリング溶液を1
0μl加え、減菌蒸留水で100μlに調製した。
【0034】これを80℃のウオーターバスで10分間
加温し、その後室温になるまで静置した(所要時間5時
間)。この反応によりA(+)とA(−)が、2本鎖DN
Aを形成した(以下、2本鎖核酸Aという)。次に、ハ
イブリッド形成されていない1本鎖オリゴヌクレオチド
を除去するため、上記で得られた反応生成物を10ml
のヒドロキシアパタイト(Bio Rad社製AG501−X
8&MSZ501)を含有するカラムに通した。その
後、0.15mMと0.5mMのリン酸緩衝液で展開さ
れ、各画分の260nmにおける吸光度が測定された。
この方法によって、ハイブリッド形成されていない1本
鎖核酸と反応生成物の2本鎖核酸が別々に分離され集め
られた。2本鎖核酸の回収率は約91%であり、回収さ
れた画分の2.5容量分のエタノールが反応生成物に加
えられ、その後−70℃で20分間静置後、10,00
0rpmで10分間遠心分離して、沈澱物を回収、70
℃容量%エタノール溶液でリンスした後、(10mM
トリス塩酸塩緩衝液および1mM EDTA、pH8.0より
なる )TE緩衝液に溶かして、260nmにおける吸
光度を測定することにより定量され、以下の固定化反応
において使用された。
【0035】実施例1の1)で生成された高比重ポリマ
ー粒子の10(w/v)%を含む0.0001N塩酸懸
濁液を1000μl、上記で調製された2本鎖核酸プロ
ーブAを10nmol、1−エチル−3−(N,N’−
ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミドの0.5(w
/v)%を含む0.0001N塩酸溶液を500μlを
エッペンドルフ遠心管に入れ、10℃に設定した恒温槽
中で一晩混合することにより、2本鎖核酸Aをアミド結
合の形成を利用して1本鎖の固定化領域を介して粒子に
結合させた。次に、5,000rpm(rotatio
ns per minute)で2分間遠心分離にかけら
れ、粒子の沈澱が回収された。沈澱分は減菌蒸留水で再
分散され、80℃のウオーターバス中で加温されてか
ら、直ちに、0℃の氷水に浸され、5分間放置後、−2
0℃で5,000rpmで3分間遠心分離され、分離し
た上清が除去された。この操作により核酸プローブA
(+)の相補鎖A(−)が粒子から除去された。次に、
(500mM 塩化ナトリウム、0.1(w/v)%
ドデシル硫酸ナトリウム、1mM エチレンジアミン四
酢酸よりなる,10mM トリス塩酸塩緩衝液、pH8
を有する)結合用緩衝液を粒子沈殿物に1 ml添加す
ることにより、ハイブリッド形成用担体粒子を緩衝液内
に再分散させた後、5,000rpmで3分間遠心分離
し、ハイブリッド形成用担体粒子を回収した。この操作
を3回繰り返して、毎回ハイブリッド形成用担体粒子を
洗浄し、最終的に担体は再度(10mM トリス塩酸塩
緩衝液および1mM EDTA、pH8.0よりなる )TE
緩衝液1000mlに再分散された。
【0036】2) HIV−RNAの分離および検出 a)イソプロピルアルコール抽出法による分離 HIV−1タイプウィルスを含有するヒト血清の検体
を、正常なヒト血清を用いて10倍ずつの希釈列を調製
した。これらの希釈された血清0.3mlづつに、5M
のグアニジニウムチオシアネート(GTC)および10
mMのジチオトレイトール(DTT)0.1mlを加え
て、70℃で5分間放置後、イソプロピルアルコール1
mlを加えて、室温で5分間静置後、15000rpm
で15分間遠心分離し、上清を除去してから残ったペレ
ットを1mlの減菌蒸留水中に再分散し、続いてその中
の50mlを鋳型として、以下に示すようにRT−PC
R反応およびNestedPCR反応により増幅した。 b)本発明の粒子法による分離 上記の希釈されたHIV−1ウィルス含有血清の0.3
mlづつに、5M GTCおよび10mM DTTを含
む溶液0.5mlを加えて、70℃で5分間放置後、上
記で調製したHIV核酸プローブを有するポリマー粒子
分散液(5重量%)10μlと界面活性剤Triton X-100
の20%溶液100μlを加えて、室温で10分間静置
後、2000rpmで3分間遠心分離して沈澱した粒子
を回収した。その粒子を0.2Mの塩化ナトリウム水溶
液1mlに再分散し、遠心洗浄し、ペレットを50μl
の減菌蒸留水に再分散した後、そのまま上記のイソプロ
ピルアルコール分離法によって調整された検体と同様に
RT−PCR増幅反応処理およびNestedPCR増幅反応
処理にかけられた。
【0037】c)RT−PCR反応およびNestedPCR
反応による増幅 RT−PCR増幅には、Gene Amp rTth RT PCRキット
(パーキンエルマー社製)が使用された。使用された試
薬組成および反応条件は、キットの製造者によって提供
されたマニュアルに従った。また、RT−PCRに使用
されたプライマーは、下記の配列を有するものが使用さ
れた。 プライマーSK145Aの配列(逆転写反応兼用):
5’−CCCACAAGATTTAAACACCA−
3’ プライマーSK451Aの配列:5’−TGAAGGG
TACTAGTAGTTCC−3’ 1st PCRの産物を5μlを取り、2nd PCR増
幅(NestedPCR)を行った。2nd PCRのプライ
マーは以下の通りである。 SK145:5’−AGTGGGGGGCATAAGA
GCCATGCAAAT−3’ SK431:5’−TGCTATGTCAGTTCCC
TTGGTTCTCT−3’
【0038】なお、上記の増幅反応において、サーモー
サイクラーGene Amp 9600(パーキンエルマー社製)が
使用された。RT−PCR法およびNestedPCR法によ
って増幅された各反応産物を2%のアガロースゲル(Ag
arose 1600、和光純薬製)を用いてTBE緩衝液(50
mMホウ酸からなる緩衝液、pH8.2)中でMupi
d型電気泳動装置で電気泳動にかけて、エチジウムブロ
マイドで染色後に紫外線(254nm)照射下で検出し
た。4つの別個の検体を使用して得られた結果を表1に
示した。表1は、本発明の粒子法を用いてヒト血清とH
IV−RNAとを分離する場合に、イソプロピルアルコ
ール抽出法を用いて分離するよりも、少なくとも100
倍以上の希釈倍率においてHIV−RNAの検出が可能
であることを示している。
【0039】
【表1】
【0040】実施例3 HCV−RNAの検出 1)HCV核酸プローブを有する磁性ポリマー粒子の調
製 実質的に実施例2の1)と同様な手順で、様々なHCV
核酸プローブを調製した。その核酸プローブの配列は、
岡本らの論文(Okamoto, H. et al., Japan. J. Exp. M
ed., Vol. 60, pp.167-177. 1990)に掲載されたHC−
1株の配列を参考にした。コンピューターシュミレーシ
ョン(ソフト Geuetyx、 SOC社製)による二次構
造、GC含有率、融点温度(Tm)および他のパラメー
ターを考慮し、以下のプローブを選定した。
【0041】プローブ PA:5'- GTG AAG ACA GTA GTT
CCT CAC AGG GGA GTG ATC TAC CCC CCC CCC -3' プローブ PB:5'- GGA ACT TGA CGT CCT GTG GGC GGC
GGT TGG TGT TAC GTT TGG TTT TTC TTTGAG GTT TAG GCC
CCC CCC CC -3' プローブ PC:5'- GGT AAA CTC CAC CAA CGA TCT GAC
CAC CGC CCG GGA ACT TCC CCC CCC CC-3' プローブ PD:5'- GCG ACC GCT CGG AAG TCT TCC TAG
TCG CGC GCA CAC CCA TCC CCC CCC CC-3’ プローブ PE:5'- AAA TTG CGC GAC CTA CGC CGG GGG
TCC GTG GGG CCC CAA CCC CCC CCC C -3' プローブ PF:5'- GGT CCC TGT TGC ATA GTT CAC GCC
GTC TTC CAG AAC CCG GCCC CCC CCCCCC -3' プローブ PG:5'- ACA GCA CTA CCA GGA CCT TCG CCC
AGT TCC CCA TGG ACC CCC CCC CC-3' プローブ PH:5'- ACG CCA TGG CTA CAC CCT TTC TGC
GTG AAG ACA GTA GTT CCC CCC CCCC-3'
【0042】なお、DNA製造に使用されるカラムのう
ち、 PAおよびPBには3’DNP−ON(TM) CPG、PC
およびPDには3’−Acridine−ON(TM) CP
G、PE、PF、PGおよびPHには3’−DMT−C6Ami
no−ON(TM) CPG(いずれもクロンテック(株)
製)を使用した。それぞれが対応するプローブの3’末
端の10C塩基分を欠く、これらプローブの相補鎖も、
上記に示される手順で調製した。実施例2の1)に示さ
れるように、各々の核酸プローブをその相補鎖と同当比
で混ぜ合わせ、アニリングし、二本鎖核酸を形成し、精
製後、使用に供した。続いて、実施例1の2)で調製し
た磁性ポリマー粒子を用いて、上記のプローブPA 〜 PH
の二本鎖核酸をそれぞれ磁性ポリマー粒子に化学結合さ
せ、これらのプローブの一つを有する磁性ポリマー粒子
の分散液を得るために、実施例2の1)に示されるよう
に処理した。 このように、プローブPA 〜 PHのそれぞ
れについて、それらのプローブが固定された磁性ポリマ
ー粒子の分散液を得た。
【0043】2)相補的オリゴヌクレオチドを捕獲およ
び分離するためのキャパシティーに関する、HCV核酸
プローブを有する磁性ポリマー粒子の評価 相補的オリゴヌクレオチドの32Pによる標識 プローブPA 〜 PHのそれぞれについて、(実施例2に示
されるような)3’末端を欠く相補鎖オリゴヌクレオチ
ドPA(−)〜 PH(−)を次のようにして32Pにより標
識した。2nmolのA(−)を含有する水溶液を1μ
l、8Uの酵素活性を有するT4ポリヌクレオチドキナ
ーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を1μl、γ−32
P−標識付きアデノシン三リン酸(10μCi/μl
)を5μl 、10倍濃度の5’−リン酸化用緩衝液を
5μlおよび減菌水39μlを、2mlエッペンドルフ
遠心管に入れ、混合し、37℃で30分間インキュベー
トした。なお、上記で用いた10倍濃度の5’−リン酸
化用緩衝液は、次の組成を有するものである。
【0044】組成: 0.5M/l トリス塩酸塩緩衝液、pH7.6 0.1M/l 塩化マグネシウム 50mM/l ジチオスレイトール 1mM/l スペルミジン 1mM/l エチレンジアミン四酢酸 次に、反応混合物からT4ポリヌクレオチドキナーゼを
フェノール抽出法(see Sambrook at al.,“Molecular
Cloning” reference cited above, P458)によって除
去した後、反応混合物を(10mM トリス塩酸塩緩衝
液および1mMEDTA、pH8.0よりなる)TE緩衝液
と均衡を保つセファデックスG−50(ファルマシア社
製)を有する1mlのカラム通じてゲル濾過に供した。
ゲル濾過により溶出され分割された100μlずつの各
画分を順に摂取し、各画分の放射線量をチェレンコフー
カウント法によって測定して、カラムを通過した画分を
判別し集めた。その結果、32Pによって標識された2つ
のオリゴヌクレオチドのそれぞれを有するTE緩衝液2
00μlが得られた。これらは、各々が1μl当り40
0,000cpmのカウントの放射線量を有する溶液で
あった。
【0045】上記1)下において調整された核酸プロー
ブPAを有する磁性ポリマー粒子の10(w/v)%分散
液(100pmoleプローブ核酸含有)の100μl
を8本のエンペドルフチューブにそれぞれ入れた。標的
核酸として、上記で調整された32Pによって標識された
(約400,000cpmのチェレンコフカウントを有
し、10pmolに相当する)PA(−)を1μl、およ
び上記1)下において調整された10、30、50、7
0、90、110、130、150pmolの未標識の
A(−)をそれぞれ、8本のエペンドルフチューブのそ
れぞれに加えた。減菌蒸留水を加えて全体の容量を18
0μlとし、各チューブのチェレンコフカウントを測っ
て、それらの値をカウント1とした。上記のように調製
した8本のエペンドルフチューブすべてを80℃のウォ
ーターバスに入れ、10分間加熱後、直ちに氷水に入
れ、5分間静置後に、5M塩化ナトリウム20μlを各
チューブに加えて、次いで40℃のウォーターバスで5
分間加熱し、ハイブリット形成体を調製した。次に、結
合した核酸と遊離している核酸とを分離するために、各
チューブに市販磁石を1分間あて、未反応の標的核酸を
含む上清を除去し、沈澱物を結合用緩衝液で2回洗浄
し、最終的に(10mM トリス塩酸塩緩衝液および1
mM EDTA、pH8.0よりなる )TE緩衝液に再分散
し、全体の容量を100μlとし、チュレンコフカウン
トを測定した。それらの値をそれぞれのチューブのカウ
ント2とした。
【0046】次に、各検体を磁気分離して、沈澱物を減
菌蒸留水100μl中に再分散し、全体の容量を100
μlとし、65℃のウォーターバス中で10分間静置
後、直ちに氷水により冷却した。5分後、10,000
rpmで3分間遠心洗浄し、上清を除去した後、沈澱物
を減菌蒸留水に再分散し、全体の容量を100μlと
し、チュレンコフカウントを測定した。それらの値をそ
れぞれのチューブのカウント3とした。標的核酸の捕獲
率([捕獲核酸量]/[標的核酸量]×100%)およ
び捕獲した核酸の分離率([分離核酸量]/[捕獲核酸
量]×100%)を以下の表2にまとめた。他の核酸プ
ローブPBからPHまでについても、同様な手順で処理およ
び評価を行い、それらの結果も以下の表2にまとめた。
表2は、商用検定に適応する時間内および条件下におい
て、相補的なオリゴヌクレオチドの90%以上を捕獲す
る、および捕獲されたオリゴヌクレオチドの90%以上
を分離するためのHCV核酸プローブを有する考察され
る個々のポリマー粒子のキャパシティーを示している。
それらの検定結果は、それらの粒子を用いた商用検定に
おいて、高いパーセンテージのHCV−RNAの捕獲お
よび分離が見込めるということを証明している。
【0047】
【表2】
【0048】3) HCV核酸プローブを有する磁性ポ
リマー粒子によるHCV−RNAの抽出および検出 上記で調整されたHCV核酸プローブを有する磁性ポリ
マー粒子を用いて、HCV−RNAが分離された。抽出
実験は、遠心分離操作の代わりに市販磁石を、粒子を含
有する懸濁液に1分間当てることを除いて、実施例2の
2)のb)に示される手順で実行される。簡潔に述べる
と、HCV−RNAを含有するヒト血漿300μlに、
Lysis buffer( AmpliconTM HC
Vキット、Roche Diagnostic Syst
ems社製、Branchburg、USA)600μ
lを加え、室温にて10分間静置後、10重量%のHC
V核酸プローブを有する磁性ポリマー粒子を含む懸濁液
10μlおよびハイブリ緩衝液(30% Triton X-100
溶液)300μlを入れ、そのまま60℃で10分間、
25℃で10分間静置し、磁気分離後、0.4Mの塩化
ナトリウム溶液1mlで分離された粒子を洗浄し、再分
散後、再度磁気分離を行ってから、沈澱分に上記キット
の検体希釈剤を加えて、希釈剤中に再分散させた。該分
散液はそのままPCRの鋳型として使用された。なお、
RT−PCRの増幅は、上記キットの操作方法に示され
る手順で行われた。
【0049】核酸プローブPAからPHまでを有する磁性ポ
リマー粒子を用いて得られた実験結果を以下の表3にま
とめた。該実験結果は、プローブPB、PE、およびPFを有
する粒子は、少なくとも5つのHCVウィルスを有する
サンプルのすべてからHCVウィルスの検出を可能にす
るということを証明している。該粒子は、本発明による
HCV−RNAの分離および検出に特に有益である。
【0050】
【表3】
【0051】実施例4 HIV核酸プローブを有するポリマー粒子は、上記にお
いて使用されたポリマー粒子の代わりに、粒径が約0.
5μmで、表面積1nm2当り5個のカルボキシル基を
有する、比重が約1.05のポリスチレンラテックスが
使用されたこと以外は、実施例2の1)において記述さ
れるように調整された。簡潔に述べると、核酸プローブ
は2本鎖核酸に変換されるように、上記に示されるよう
に処理された後に、粒子に化学的に固定化され、最終的
に核酸プローブの相補鎖を熱処理により除去し、HIV
核酸プローブを有するポリマー粒子の分散液が得られ
た。手順は実施例2の2)のb)の方法と同様である
が、上記において得られたポリマー粒子を使用した。し
かしながら、HIV−RNAの捕捉およびPCR反応に
よる検出を行ったが、0.3mlの血清検体と0.5M/
lのGTCおよび10mM/lのDTTを含有する溶液
0.6ml加えた系において、5000rpm×3分間
では粒子の回収ができず、該系をさらに過酷な条件下、
15000rpm×15分において遠心分離したときで
さえ、粒子は遠心管の下部に行かず、血清/GTC/D
TT混合液の上部に集まり、粒子相と溶液相の2相に分
かれたが、その境界面が不明瞭で、回収後、粒子相の容
量は約0.3mlとなった。これを、実施例2の2)の
c)において示されるようなRT−PCR反応系および
PCR反応系で処理したが、HIV−RNAに対応する
増幅された核酸は検出できなかった。上記の例は、ポリ
マー粒子の比重の重要性を特に示している。比重約1.05
を有するポリマー粒子を用いても、低速遠心では粒子を
沈殿させることはできない。
【0052】実施例5 実施例4で回収された遠心管上部にある粒子相0.3m
lに、減菌蒸留水を150Mlずつ加えて、再度150
00rpm×10分で遠心分離を行った。この操作を5
回繰り返したところ、0.3mlの粒子相溶液への0.7
5mlの減菌蒸留水の添加に対応して、系の遠心分離に
よって粒子をペレットとして回収することができた。こ
のときの系はGTC/DTT溶液を2.5倍希釈したも
のからなっていた。回収された粒子のペレットを実施例
2の2)のc)に示されるように、 RT−PCR反応
系およびPCR反応系で処理したが、以下の表4に示さ
れるように、HIV−RNAに対応する増幅された核酸
は検出できなかった。コントロールとして、 GTC/
DTTの非希釈系、GTC/DTT系の0.5、1.0、
1.5、2.0、2.5倍希釈した溶液が調整され、血清
に添加された。これらは実施例2の1)のa)に示され
るようなイソプロピルアルコール抽出方法に従って処理
および評価された。その結果も表4に示す。
【0053】表4は、0.5mM/lのGTCを含有す
るGTC/DTT溶液を少なくとも1.0倍以上希釈し
た場合、検体の一つに、増幅産物の減少が見られること
を示している。この減少は、おそらく血清検体中に存在
するリボヌクレアーゼによるHIV−RNAの分解によ
るものと思われる。前述の部分において詳細に示される
本発明によると、特定の核酸プローブを有する粒子を使
用して、生物学的液体の検体から誘導される検体に含有
されるウィルスまたは細菌の標的核酸を容易に分離でき
る。特異的に、本発明による粒子を用いる標的核酸の捕
捉は、高感度で簡便に、且つ短時間で済む。加えて、本
発明の方法によると、捕捉された標的核酸を粒子から解
離することなく、単に標的核酸を捕捉した粒子をポリメ
ラーゼ増幅反応系に加えることによって捕捉された標的
核酸を容易に検出できる。このように、本発明の方法は
臨床検査センターや病院の検査において有利に利用でき
る。
【0054】
【表4】
【0055】以下、本発明並びにその好ましい実施態様
についてまとめて説明する。 1. 生物学的液体検体または生物学的液体から誘導され
た検体からウィルスまたは細菌の標的核酸を分離する方
であって、(a)検体からウィルスまたは細菌を含む液
体画分を得る工程、(b)液体画分中に標的核酸を溶出
するためにウィルスまたは細菌を溶解する工程、(c)
細菌またはウィルスの標的核酸をハイブリッド形成によ
って捕獲するために、特定の配列のウィルスまたは細菌
の標的核酸に対して実質上相補的である核酸プローブを
比重1.1から2.5を有する粒子に化学的に結合するこ
とによって得られる、核酸プローブを有する粒子を
(b)の工程で得られた溶解物に添加する工程、および
(d)工程(c)において得られた系からウィルスまた
は細菌の標的核酸を捕捉した粒子を回収する工程、より
なる方法であり、前記工程(a)〜(d)のいずれかの
工程の前、或いは途中で、蛋白質変性剤を添加すること
を特徴とする方法。 2. 核酸プローブを有する粒子の担体粒子が、その表面
上にカルボキシル基を有する水不溶性のポリマー粒子で
ある、前記1の方法。 3. 核酸プローブを有する粒子が磁性粒子である、前記
1および2の方法。 4. 核酸プローブを有する粒子の平均サイズが約0.0
5〜5μm、好ましくは約0.1〜3μmである、前記
1〜3のいずれかの方法。 5. 検体が血清等である、前記1〜4のいずれかの方
法。
【0056】6. 蛋白質変性剤が約0.1〜5モル/
l、好ましくは約0.2〜4.5Mモル/lの濃度で使用
されるグアニチュームチオキシアネート(GTC)であ
る、前記5の方法。 7. 標的核酸がRNAである、前記1〜6のいずれかの
方法。 8. 標的核酸がHIV−RNAまたはHCV−RNAで
ある、前記7の方法。 9. 生物学的液体検体または生物学的液体から誘導され
た検体からウィルスまたは細菌の標的核酸を検出する方
法であって、(a)前記1〜8のいずれかの方法によっ
てウィルスまたは細菌の標的核酸を分離する工程および
(b)ウィルスまたは細菌の標的核酸を検出する工程、
よりなることを特徴とする方法。 10. 工程(b)が、前もって核酸プローブを有する粒
子から標的核酸を溶出することなしに実施される、前記
9の方法。 11. 工程(b)に先立って標的核酸が増幅される、前
記9または前記10の方法。
【0057】12. 標的核酸がPCR法またはRT−P
CR法によって増幅される、前記11の方法。 13. 標的核酸が核酸プローブを有する粒子から溶出さ
れること無しに増幅される、前記11または前記12の
方法。 14. 前記1〜4のいずれでも定義される粒子からな
る、生物学的液体検体または生物学的液体から誘導され
る検体中のウィルスまたは細菌の標的核酸を検出するた
めのキット、および標的核酸を検出するための方法。 15. さらに標的核酸を増幅するための方法を含む、前
記14のキット。 16. PCR法またはRT−PCR法によって標的核酸
が増幅する方法を含む、前記15のキット。 17. 標的核酸がHIV−RNAまたはHCV−RNA
である、前記14〜16のいずれかのキット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉造 滋 アメリカ合衆国 ニュージャージー州 ベ ッドミンスター ロングメドウロード259

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的液体検体または生物学的液体か
    ら誘導された検体からウィルスまたは細菌の標的核酸を
    分離する方であって、(a)検体からウィルスまたは細
    菌を含む液体画分を得る工程、(b)液体画分中に標的
    核酸を溶出するためにウィルスまたは細菌を溶解する工
    程、(c)細菌またはウィルスの標的核酸をハイブリッ
    ド形成によって捕獲するために、特定の配列のウィルス
    または細菌の標的核酸に対して実質上相補的である核酸
    プローブを比重1.1から2.5を有する粒子に化学的に
    結合することによって得られる、核酸プローブを有する
    粒子を(b)の工程で得られた溶解物に添加する工程、
    および(d)工程(c)において得られた系からウィル
    スまたは細菌の標的核酸を捕捉した粒子を回収する工
    程、よりなる方法であり、前記工程(a)〜(d)のい
    ずれかの工程の前、或いは途中で、蛋白質変性剤を添加
    することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 生物学的液体検体または生物学的液体か
    ら誘導された検体中のウィルスまたは細菌の標的核酸を
    検出する方であって、(a)請求項1の方法によってウ
    ィルスまたは細菌の標的核酸を分離する工程、および
    (b)ウィルスまたは細菌の標的核酸を検出する工程よ
    りなることを特徴とする方法。
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