JPH10146932A - 積層延伸フィルム - Google Patents

積層延伸フィルム

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JPH10146932A
JPH10146932A JP30492696A JP30492696A JPH10146932A JP H10146932 A JPH10146932 A JP H10146932A JP 30492696 A JP30492696 A JP 30492696A JP 30492696 A JP30492696 A JP 30492696A JP H10146932 A JPH10146932 A JP H10146932A
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JP
Japan
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layer
film
stretched film
laminated
acid
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Application number
JP30492696A
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English (en)
Inventor
Masayuki Kiuchi
政行 木内
Hideo Ozawa
秀生 小沢
Yutaka Kanatsuki
豊 金築
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、柔軟性、機械的強度、耐熱性、熱
収縮性および酸素ガスバリヤー性などに優れる積層延伸
フィルム、および、該積層延伸フィルムの剥離によって
得られる熱収縮率の均一性に優れた単層延伸フィルムを
提供するものである。 【解決手段】 本発明は、(A)分子鎖中に水素結合を
有する熱可塑性樹脂からなる層と、(B)プロピレンお
よび/またはブテン−1成分含有率が50重量%以上の
非晶性ポリオレフィンを20〜100重量%と結晶性ポ
リプロピレンを80〜0重量%(ただし、非晶性ポリオ
レフィンと結晶性ポリプロピレンの合計は100重量%
である)含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物から
なる層とが、少なくとも2層に積層されるフィルムで、
かつ、少なくとも1層が前記(B)層により構成されて
なる積層フィルムを延伸して得られる積層延伸フィル
ム、および、該積層延伸フィルムを剥離して得られる前
記(A)層からなる単層延伸フィルムに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも2層か
らなる積層延伸フィルムおよびそれから得られる単層延
伸フィルムに関する。さらに詳しくは、少なくとも2層
からなり、少なくともその1層が分子鎖中に水素結合を
有する熱可塑性樹脂からなる層より構成されてなる積層
フィルムを二軸延伸して得られる、延伸性に優れた積層
延伸フィルム、および、該積層延伸フィルムを剥離して
得られる、分子鎖中に水素結合を有する熱可塑性樹脂か
らなる層より構成され、熱収縮率の均一性に優れた単層
延伸フィルムに関する。
【0002】本発明の積層延伸フィルムは、軟質塩化ビ
ニルフィルムに代わり、ストレッチ包装、ストレッチシ
ュリンク包装およびシュリンク包装などの包装用材料と
して好適に使用され得る。また、該積層延伸フィルムを
剥離することによって得られる分子鎖中に水素結合を有
する熱可塑性樹脂からなる単層延伸フィルム、特にポリ
アミド樹脂からなる単層延伸フィルムは、耐熱性、機械
的強度、酸素ガスバリヤー性などに優れ、変質腐敗し易
い食品の熱滅菌保存包装用、変質を嫌う薬品類の保存包
装用などの包装用材料として好適に使用することができ
る。
【0003】
【従来の技術】近年、生鮮食品、文具などの包装には、
透明なストレッチ用またはシュリンク用軟質フィルムが
多く用いられてきた。このフィルムは塩化ビニルフィル
ムであり、透明性がよく、包装機適性もあり、広く使用
されている。しかし、軟質塩化ビニルフィルムには、可
塑剤が多量(約30重量%)に含まれており、このフィ
ルムで包装すると、可塑剤が食品へ移行し、食品を汚染
したり、水分の透過量が多いため内容物が目減りしたり
する。また、このフィルムを焼却すると、塩化水素ガス
が発生し環境汚染を起こすなど多くの問題を抱えてい
る。
【0004】そこで、この軟質塩化ビニルフィルムに代
わる軟質フィルムとしてポリオレフィンフィルムが数多
く開発されている。このポリオレフィンフィルムとして
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、低密度
ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン
(LLDPE)、中低圧法ポリエチレンなどエチレンを
主体としたフィルムやポリプロピレンフィルム(PP)
などがある。
【0005】例えば、業務用ラップフィルムが用いられ
るストレッチ包装に塩化ビニルフィルムの代替用とし
て、EVAやLLDPEの未延伸フィルムを用いた場
合、フィルムを引き伸ばしてストレッチ包装しようとす
ると、フィルムがネッキングを起こし、フィルムに厚み
ムラが発生する。また、フィルムの弾性回復率も悪く、
十分な仕上がりのフィルム包装が得られない。また、こ
のフィルムをシュリンク包装する場合、無配向であるた
め、十分な熱収縮率が得られない。
【0006】そこで、このEVAやLLDPEの単独未
延伸フィルムを二軸延伸しようとすると、フィルムが破
断してしまうため、良好な二軸延伸フィルムが得られな
い。すなわち、エチレン系樹脂単独のフィルムでは、一
般に二軸延伸が困難であると言われており、エチレン系
樹脂単独の場合は、未延伸フィルム(原反)に放射線を
照射し、部分的に架橋させてから、高温(融点付近)で
延伸することによって二軸延伸フィルムを得ることがで
きる。例えば、特開昭59−174321号公報や特開
昭59−174322号公報には、中低圧法ポリエチレ
ンまたはこれを主成分とするエチレン系樹脂の原反の両
側から放射線を照射することによって、該原反の厚さ方
向において中方向に架橋度が低下するように、該原反の
両側から架橋し、次いでエチレン系樹脂の融点以下の温
度に加熱後延伸して得られる、防湿性および透明性に優
れた延伸ポリエチレンフィルムが開示されている。しか
し、このフィルムは、ヒートシール性が悪く、エチレン
系樹脂を架橋しないで二軸延伸できる方法が望まれてい
る。また、PPのフィルムは二軸延伸が容易にでき、そ
の延伸フィルムは、透明性良好なフィルムで、シュリン
ク特性も比較的良好である。しかし、ヒートシール温度
が高いこと、フィルムが硬いことなどにより、業務用ラ
ップフィルムやシュリンク包装用フィルムとして大きな
欠点を抱えている。
【0007】さらに、ポリオレフィンフィルムの上述し
たような欠点をポリオレフィン系積層フィルム系で改良
したものとして、特開平5−77371号公報には、非
晶質ポリオレフィンを少なくとも1層に含ませた層と結
晶性ポリプロピレンの層とを積層したフィルムで、柔軟
性良好、かつ、伸びの大きいフィルムが開示されてい
る。しかし、このフィルムは、未延伸フィルムであり、
シュリンク包装には十分なフィルムとは言えない。
【0008】ところで、熱可塑性樹脂の中の1つである
ポリアミドは、優れたガスバリヤー性、強度および剛性
を有しており、これを二軸延伸することができれば機械
的強度が増し、包装材料用としてさらに優れたものにな
ると期待される。しかしながら、ポリアミドは、水素結
合による結晶構造をとるため、分子間の相互作用が極め
て大きく、二軸延伸を行おうとすると、一段目延伸した
段階ですでに結晶化が進行してしまい、二段目延伸の
際、破断あるいはネッキングが生じたりする。また、得
られた延伸フィルムも熱収縮率が不均一となり、シュリ
ンク包装時に美観が悪いとともに、破れやすいなどの問
題が生じる。したがって、工業的価値のあるフィルムを
得ることは難しく、特に脂肪族ポリアミドの逐次二軸延
伸は工業的に実施されるに至っていない。そこで、上記
の問題を解決したものとして、ポリアミド樹脂単独の延
伸フィルムも幾つか提案されている。例えば、特公昭5
7−8646号公報には、脂肪族ポリアミド97〜80
重量%、および、メタキシリレンジアミン、もしくはメ
タキシリレンジアミンおよび全量の30%以下のパラキ
シリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと炭素
数6〜10のα、ω−脂肪族ジカルボン酸の1種以上か
らなるジカルボン酸とから得られる構成単位を分子鎖中
に少なくとも70モル%以上含有するポリアミド3〜2
0重量%の混合ポリアミドを2〜6倍に逐次二軸延伸し
て得られる二軸延伸ポリアミドが開示されている。特公
昭61−16773号公報には、(a)ε−カプロラク
タムが0〜80モル%、(b)脂肪族ジアミンの1種以
上と芳香族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボ
ン酸の1種以上とからなるポリアミド形成単位が3〜1
00モル%、および(c)メタキシリレンジアミンもし
くはパラキシリレンジアミンを30モル%まで含むメタ
キシリレンジアミンと芳香族ジカルボン酸および/また
は脂環族ジカルボン酸の1種以上とからなるポリアミド
形成単位が0〜90モル%からなる共重合体を3〜97
重量部と脂肪族ポリアミドを97〜3重量部との重合体
混合物からなるナイロン系延伸フィルムが開示されてい
る。特公昭61−16774号公報には、(a)パラキ
シリレンジアミンを全キシリレンジアミン中30モル%
含んでもよいメタキシリレンジアミンが全ジアミン中3
〜100モル%、(b)炭素数が2〜12の脂肪族ジア
ミンの1種以上が全ジアミン中97〜0モル%、(c)
炭素数が4〜36の脂肪族ジカルボン酸の1種以上が全
カルボン酸中10〜97モル%および(d)芳香族ジカ
ルボン酸または脂環族ジカルボン酸が全カルボン酸中9
0〜3モル%よりなる共重合ポリアミドを3〜50重量
部と脂肪族ポリアミドを97〜50重量部との重合体混
合物からなるナイロン系の延伸されたフィルムが提案さ
れている。そして、特公昭57−8647号公報には、
ε−カプロラクタムと、ヘキサメチレンジアミンと脂肪
族または芳香族カルボン酸とからなるポリアミド形成単
位0.5〜20モル%との共重合体の二軸延伸フィルム
が提案されている。
【0009】また、積層延伸フィルムとして、特開平7
−232417号公報には、プロピレンおよび/または
ブテン−1成分含有率が50重量%以上の非晶質ポリオ
レフィンを20〜80重量%と結晶性ポリプロピレンを
80〜20重量%含有してなる樹脂組成物からなる
(A)層、および、結晶性ポリプロピレンまたはエチレ
ン系樹脂からなる(B)層とが、少なくとも2層に積層
され、延伸されたフィルムで片方の外層または両外層が
(B)層より構成されたポリオレフィン系熱収縮性積層
フィルムが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ポリアミド樹脂単独の延伸フィルムにおいては、脂肪族
ポリアミド形成モノマーと特定なポリアミド形成モノマ
ーとから得られる共重合体、あるいは、脂肪族ポリアミ
ドと特定なポリアミド共重合体との混合物とすることに
よって、良好な延伸性を得ることができるが、ポリアミ
ド樹脂のホモポリマーから得られる延伸フィルムに比較
して、耐熱性、機械的強度、酸素ガスバリヤー性などに
劣るなどの問題がある。また、原料のジアミン成分とし
て、高価なメタキシリレンジアミンを使用しており、経
済的にも不利である。一方、上述のポリオレフィン系積
層延伸フィルムは、酸素ガスバリヤー性や耐熱性がなお
不十分である。また、この積層延伸フィルムは、各層間
の密着性が極めて良好なため、積層された各層を剥がす
ことが困難であるが、本発明の積層延伸フィルムでは、
積層された各層を極めて容易に剥がすことができ、所望
により、延伸後に、分子鎖中に水素結合を有する熱可塑
性樹脂、例えば、後述するようなポリアミド樹脂からな
るフィルム層を剥がすことによって、耐熱性、機械的強
度、酸素ガスバリヤー性などに優れるとともに均一な熱
収縮性を有し、食品などの包装用材料として好適な単層
の延伸フィルムを容易に得ることができる。したがっ
て、本発明の目的は、分子鎖中に水素結合を有するため
に延伸性に劣る熱可塑性樹脂の積層フィルムの二軸延伸
物、ならびに該二軸延伸物を剥がして得られる、熱収縮
率の均一性が向上した前記熱可塑性樹脂の単層延伸フィ
ルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミ
ド樹脂単独の延伸フィルムやポリオレフィン系積層延伸
フィルムにおける上記の課題を解決するために鋭意検討
を重ねた結果、脂肪族ポリアミドからなる層と、特定の
性状を有する非晶性ポリオレフィンと結晶性ポリプロピ
レンとを特定の割合で含有してなるポリオレフィン系樹
脂組成物からなる層とを少なくとも2層に積層し、逐次
二軸延伸することによって、意外にも、分子鎖中に水素
結合を有するために延伸性に劣る前記脂肪族ポリアミド
からなる層の延伸性が向上し、極めて容易に二軸延伸フ
ィルムを得ることができ、また、得られた二軸延伸フィ
ルムから容易に剥離して得られる前記脂肪族ポリアミド
からなる層は熱収縮率の均一性が向上しており、したが
って、上記の目的が達成できることを見いだし、本発明
を完成するに至ったのである。
【0012】すなわち、本発明における第1の発明は、
(A)分子鎖中に水素結合を有する熱可塑性樹脂からな
る層と、(B)プロピレンおよび/またはブテン−1成
分含有率が50重量%以上の非晶性ポリオレフィンを2
0〜100重量%および結晶性ポリプロピレンを80〜
0重量%(ただし、非晶性ポリオレフィンと結晶性ポリ
プロピレンの合計は100重量%である)含有してなる
ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層とが、少なくと
も2層に積層されるフィルムで、かつ、少なくとも1層
が前記(B)層により構成されてなる積層フィルムを延
伸して得られる積層延伸フィルムを提供することによっ
て達成できるのである。
【0013】本発明における第2の発明は、延伸が二軸
延伸である第1の発明に係わる積層延伸フィルムを、そ
して、本発明における第3の発明は、二軸延伸が逐次二
軸延伸である第2の発明に係わる積層延伸フィルムを、
それぞれ、提供することによって達成できる。
【0014】また、本発明における第4の発明は、第
1、第2または第3の発明に係わる積層延伸フィルムを
剥離して得られる(A)分子鎖中に水素結合を有する熱
可塑性樹脂からなる層を提供することによって達成でき
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の(A)層に用いられる熱可塑性樹脂は、分
子鎖中に水素結合を有する熱可塑性樹脂であり、ジアミ
ン成分とジカルボン酸成分またはこれらから得られる塩
の重縮合、ω−アミノカルボン酸の重縮合、あるいは三
員環以上のラクタムの開環重合などによって得られる脂
肪族ポリアミドやセミ芳香族ポリアミドなどのポリアミ
ド樹脂、あるいは、これらポリアミド樹脂の2種以上の
共重合体または混合物の他、ポリビニルアルコールなど
を例示することができる。上記ジアミン成分としては、
例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメ
チレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレン
ジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘ
キサメチレンジアミン、2−エチルオクタメチレンジア
ミンおよび3−t−ブチルヘキサメチレンジアミンなど
の脂肪族ジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、
1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジ
ン、N−アミノエチルピペラジン、2,5−ジメチルピ
ペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンお
よび2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プ
ロパンなどの脂環族ジアミン、および、メタキシリレン
ジアミンおよびパラキシリレンジアミンなどの芳香族ジ
アミンなどを挙げることができる。
【0016】上記ジカルボン酸成分としては、例えば、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピ
ン酸、3−メチルアジピン酸、3−t−ブチルアジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオ
ン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラ
デカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカン
ジオン酸、アイコサンジオン酸、リンデル酸の2量体の
ジカルボン酸およびオレイン酸の2量体のジカルボン酸
などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、ヘキサヒドロイソフタル酸およびヘキサヒドロフタ
ル酸などの脂環族ジカルボン酸、および、テレフタル
酸、イソフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、1,
2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフ
タレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、1,3−アントラセンジカルボン
酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,5−アン
トラセンジカルボン酸、1,9−アントラセンジカルボ
ン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、9,10−
アントラセンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジ
カルボン酸、ビフェニル−2,3’−ジカルボン酸およ
び3−(4−カルボキシフェニル)1,1,3−トリメ
チル−5−インダンカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸を挙げることができる。そして、前記ジアミン成分と
ジカルボン酸成分から得られる塩としては、上記ジアミ
ン成分と上記ジカルボン酸から得られる等モル塩を挙げ
ることができる。
【0017】一方、ω−アミノカルボン酸としては、例
えば、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノへプタン酸、
ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンデカン酸およびω
−アミノドデカン酸などを挙げることができ、三員環以
上のラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、
ω−エナントラクタム、α−ピロリドン、δ−メチルピ
ロリドン、α−ピペリドン、ω−ウンデカンラクタムお
よびω−ドデカラクタムなどを挙げることができる。
【0018】したがって、本発明の(A)層に用いられ
る前記脂肪族ポリアミドとして、具体的には、ナイロン
4、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン66、ナイロン
46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1
1、ナイロン12などのホモポリアミド、ナイロン6/
66共重合体、ナイロン6/610共重合体、ナイロン
6/612共重合体、ナイロン6/11共重合体、ナイ
ロン6/12共重合体、ナイロン66/610共重合
体、ナイロン6/66/610三元共重合体、ナイロン
6/66/612三元共重合体、ナイロン6/66/1
1三元共重合体、ナイロン6/66/12三元共重合体
などのコポリアミド、および、これらホモポリアミドお
よび/またはコポリアミドの混合物などが挙げられる。
また、本発明の(A)層に用いられる前記セミ芳香族ポ
リアミドとして、具体的には、ポリヘキサメチレンテレ
フタラミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソ
フタラミド(ナイロン6I)、ポリメタキシリレンアジ
パミド(ナイロンM6)、ポリメタキシリレンセバカミ
ド、ポリメタキシリレンスベラミドなどの単独重合体、
および、ナイロン6T/6I共重合体、メタキシリレン
/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン
/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン
/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン
/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン
/パラキシリレン・アジパミド/セバカミド共重合体な
どの共重合体、および、これら単独重合体および共重合
体の混合物などが挙げられる。さらにまた、本発明の
(A)層に用いられるポリアミド樹脂としては、例え
ば、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン6/6I共重
合体、ナイロン6/M6共重合体、ナイロン66/6T
共重合体、ナイロン66/6I共重合体、ナイロン66
/M6共重合体、ナイロン6/11/6T三元共重合
体、ナイロン6/12/6T三元共重合体、ナイロン6
6/11/6T三元共重合体、ナイロン66/12/6
I三元共重合体、ナイロン6/6T/6I三元共重合
体、ナイロン66/6T/6I三元共重合体、ナイロン
11/6T/6I三元共重合体およびナイロン12/6
T/6I三元共重合体などの脂肪族ポリアミドとセミ芳
香族ポリアミドとの共重合体も好適に挙げることができ
る。もちろん、これら脂肪族ポリアミドとセミ芳香族ポ
リアミドの共重合体の混合物であってもよい。本発明の
(A)層に用いられるポリアミド樹脂としては、上記脂
肪族ポリアミドおよび/またはセミ芳香族ポリアミドの
中でも、経済性や入手の容易さなどを考慮すれば、ナイ
ロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナ
イロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミドおよ
びこれらの共重合体、ナイロン6T、ナイロン6Iなど
のセミ芳香族ポリアミド、および、ナイロン6/6T、
ナイロン6/6I、ナイロン66/6T、ナイロン66
/6Iなどの脂肪族ポリアミドとセミ芳香族ポリアミド
との共重合体などが好ましい。
【0019】本発明で使用される上記ポリアミド樹脂
は、例えば、原料として前述のジアミン成分とジカルボ
ン酸成分を用いる場合は、これら成分のほぼ当量をあら
かじめ混合した水溶液または水分散液の形で、また、原
料として前述のジアミン成分とジカルボン酸成分の等モ
ル塩、ω−アミノカルボン酸および三員環以上のラクタ
ムを用いる場合は、これら原料の水溶液または水分散液
の形で、通常のオートクレーブ中で重縮合して低次縮合
物を製造した後、さらに、該低次縮合物を、二軸押出機
や二軸ニーダーなどの汎用の溶融混練機を用いて溶融重
合し、ペレット化後真空乾燥する方法、あるいはブレン
ダーやナウターミキサーなどを用いて固相重合し、溶融
ペレット化後真空乾燥する方法など、それ自体公知の方
法で製造できる。また、本発明で使用される上記ポリア
ミド樹脂の混合物は、上述のようにして得られた2種以
上のポリアミド樹脂のペレットをV型または円筒型ブレ
ンダーにより所定の割合で混合し、必要に応じてさらに
溶融再ペレット化すればよい。
【0020】そして、本発明の(A)層に用いられるポ
リアミド樹脂の分子量については、特に限定されるもの
ではないが、98重量%硫酸中のポリマー濃度が1重量
%の溶液について25℃で測定した相対粘度が1.5〜
5.0の範囲内、好ましくは2.0〜4.0の範囲内に
あるものが望ましい。相対粘度が1.5未満の場合、得
られる積層延伸フィルム、または該積層延伸フィルムを
剥がして得られるポリアミド樹脂からなる単層延伸フィ
ルムの機械的強度が不十分であるとともに、成形性が不
安定になるなどの問題があるし、また、相対粘度が5.
0を越えると、ポリアミド樹脂の流動性が損なわれるの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0021】一方、本発明の(A)層に用いられる熱可
塑性樹脂としてのポリビニルアルコールとは、ポリ酢酸
ビニルのケン化物であり、ポリマー主鎖に反復するビニ
ル単量体〔−CH2 CH(OH)−〕の構造単位を有す
る水溶性の、あるいは少なくとも水分散性のポリマーを
総称するものである。そして、重合度や加水分解の程度
(ケン化度)を異にする数多くの銘柄のものが市販され
ている。本発明では、ポリビニルアルコールとしての性
質を示す範囲のものであれば特に制限されるものではな
く、市販されている全ての銘柄のものを使用することが
できるが、平均重合度が200〜5,000の範囲であ
り、ケン化度が70〜100モル%のものが特に好適で
ある。
【0022】次に、本発明の(B)層に用いられる非晶
性ポリオレフィンは、プロピレン成分および/またはブ
テン−1成分の含有率が50重量%以上である非晶性の
ポリオレフィンであればよい。例えば、非晶性のポリプ
ロピレンやポリブテン−1、あるいはプロピレンやブテ
ン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を用いること
ができる。非晶性ポリオレフィン中のプロピレン成分お
よび/またはブテン−1成分の含有率が50重量%未満
の場合には、ポリオレフィン系樹脂組成物を構成するも
う一つの成分である結晶性ポリプロピレンとの相溶性が
低下するので好ましくない。
【0023】本発明の非晶性ポリオレフィンは、以下の
条件を同時に満たすものである。上記非晶性ポリオレフ
ィンとは、沸騰n−ヘプタン不溶分、すなわち、沸騰n
−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70重量%
以下、好ましくは60重量%以下のものである。沸騰n
−ヘプタン不溶分が70重量%より大きいと、非晶質部
分の比率が少なくなり、得られる積層延伸フィルムに目
的とする十分な柔軟性を付与することができない。ま
た、上記非晶性ポリオレフィンの溶融粘度は、190℃
において、100〜100,000cps、好ましくは
400〜50,000cpsである。溶融粘度が100
cpsより小さいと、得られるポリオレフィン系樹脂組
成物から積層フィルムを成形する際、例えば押出成形が
安定せず、また、積層フィルムの二軸延伸時、フィルム
が頻繁に破れる。一方、溶融粘度が100,000cp
sを越えると、得られるポリオレフィン系樹脂組成物か
らの積層延伸フィルムの成形が難しいので好ましくな
い。また、上記非晶性ポリオレフィンは、好ましくは数
平均分子量が1,000〜200,000、さらに好ま
しくは1,500〜100,000である。数平均分子
量が200,000を越えると、得られるポリオレフィ
ン系樹脂組成物よりの積層延伸フィルムの成形が難し
く、1,000未満では、得られる積層延伸フィルムの
機械的強度が低下する。さらにまた、冷キシレン可溶分
は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上であ
る。冷キシレン可溶分が80重量%より少ないと、上記
非晶性ポリオレフィンの結晶性が増加し、ポリオレフィ
ン系樹脂組成物の弾性率および収縮応力が大きくなり、
該樹脂組成物から得られる積層延伸フィルムの柔軟性が
失われていく。なお、得られる積層延伸フィルムなどに
おける上述したような好ましくない現象の発現を確実に
抑えるには、上記非晶性ポリオレフィンの沸騰n−ヘプ
タン不溶分、溶融粘度、数平均分子量、冷キシレン可溶
分などは、それぞれ、上述の好ましい範囲内とすべきで
ある。本発明において、上記非晶性ポリオレフィンは、
前述した非晶性ポリプロピレン、非晶性ポリブテン−
1、プロピレンと他のα−オレフィンとの非晶性共重合
体およびブテン−1と他のα−オレフィンとの非晶性共
重合体などの1種または2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0024】前記非晶性ポリプロピレンとしては、結晶
性ポリプロピレンの製造時に副生するアタクチックポリ
プロピレンを用いてもよいし、原料から目的生産して用
いてもよい。この際、プロピレンまたはブテン−1と他
のα−オレフィンとの共重合体は、所定のプロピレン成
分またはブテン−1成分を含有するように原料から生産
して用いることができる。また、目的生産する場合、例
えば、塩化マグネシウムに担持したチタン担持型触媒と
トリエチルアルミニウムを用いて水素の存在下/または
水素の不存在下で、原料モノマーを重合して得ることが
できる。 原料供給の安定性および品質の安定性の観点
から、目的生産された所定の非晶性ポリオレフィンを使
用するのが好ましい。また、該当する好適な市販品があ
れば、適宜市販品を選択して用いることができる。
【0025】本発明の(B)層のポリオレフィン系樹脂
組成物の調製に用いる上記非晶性ポリオレフィンとし
て、具体的には、前記プロピレン成分含有量など所定の
特性を有するポリプロピレン、プロピレン・エチレン共
重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン
・ブテン−1・エチレン三元共重合体、プロピレン・ヘ
キセン−1・オクテン−1三元共重合体、プロピレン・
ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1三元共重合体な
どのプロピレン成分が主成分である非晶性ポリオレフィ
ンが挙げられる。また、前記ブテン−1成分含有量など
所定の特性を有するポリブテン−1、ブテン−1・エチ
レン共重合体、ブテン−1・プロピレン共重合体、ブテ
ン−1・プロピレン・エチレン三元共重合体、ブテン−
1・ヘキセン−1・オクテン−1三元共重合体、ブテン
−1・ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1三元共重
合体などのブテン−1成分が主成分である非晶性ポリオ
レフィンも挙げられる。
【0026】上記非晶性ポリオレフィンがプロピレン・
エチレン共重合体の場合には、エチレン成分の含有量が
30重量%以下、好ましくは1〜20重量%のものが好
ましい。エチレン成分の含有量が30重量%より大きく
なると、得られる樹脂組成物が柔らかくなりすぎる。
【0027】本発明の(B)層のポリオレフィン系樹脂
組成物の調製に用いる上記非晶性ポリオレフィンがプロ
ピレン・ブテン−1共重合体の場合には、プロピレンが
主成分の共重合体と、ブテン−1が主成分の共重合体が
あるが、いずれも引張伸びや凝集力が大きく、得られる
ポリオレフィン系樹脂組成物を構成する非晶性ポリオレ
フィンとして好適に用いられる。具体的には、例えば、
米国のレキセン(Rexene)社のレクスタック(R
EXTAC)などの市販品を用いることができる。
【0028】次に、本発明の(B)層に用いられるポリ
オレフィン系樹脂組成物を構成するもう一つの成分であ
る結晶性ポリプロピレンは、押出成形用、射出成形用、
ブロー成形用などとして通常市販されているポリプロピ
レンを包含し、沸騰n−ヘプタン不溶性のアイソタクチ
ックポリプロピレンをいう。この場合、プロピレン単独
重合体でもよく、また、立体規則性を有するアイソタク
チックポリプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合
体であってもよい。上記結晶性ポリプロピレンは、市販
品を用いてもよいし、また、ポリオレフィン系樹脂組成
物の調製に際し、製造してもよい。結晶性ポリプロピレ
ンの製造方法は、特に制限されるものではなく、例え
ば、三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を塩化マグ
ネシウムなどに担持した固体状チタン触媒成分と有機金
属化合物(例えば、トリアルキルアルミニウム、アルキ
ルアルミニウムハライドなどの有機アルミニウム化合物
など)触媒成分とさらに必要に応じて電子供与体(窒素
原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ホウ素原子な
どを有するエステル化合物やエーテル化合物など)とを
組み合わせてなる触媒(いわゆる立体規則性チーグラー
・ナッタ触媒)を用いて重合する方法など、従来の結晶
性ポリプロピレンの製造方法の中から適宜選択して適用
することができる。
【0029】また、結晶性ポリプロピレンとの共重合に
用いられるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα
−オレフィン、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテ
ン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1な
どが好ましい。これらの中でも、特にエチレンまたはブ
テン−1が好適である。
【0030】本発明においては、前記結晶性ポリプロピ
レンとして、好ましくは、プロピレン単独重合体、エチ
レン成分を30重量%以下、好ましくは1〜25重量%
含有するプロピレン・エチレンのランダム共重合体また
はブロック共重合体、ブテン−1を20重量%以下含有
するプロピレン・ブテン−1のランダム共重合体または
ブロック共重合体が挙げられる。これらのうち、本発明
のポリオレフィン系樹脂組成物を前記(A)層と少なく
とも2層に積層後二軸延伸して得られる積層延伸フィル
ムなどの用途から、エチレンまたはブテン−1とプロピ
レンとの共重合体が特に好ましい。本発明の(B)層の
ポリオレフィン系樹脂組成物の調製に用いる上記結晶性
ポリプロピレンは、1種または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0031】さらにまた、本発明の(B)層のポリオレ
フィン系樹脂組成物を構成する非晶性ポリオレフィンお
よび/または結晶性ポリプロピレンは、変性したものを
使用することができる。この場合、変性は、溶融状態あ
るいは溶液状態において、前記非晶性ポリオレフィンお
よび/または結晶性ポリプロピレンと変性剤とをラジカ
ル開始剤とともに加熱攪拌する方法など、従来公知の種
々の方法で行うことができる。
【0032】前記変性剤としては、アクリル酸、メタク
リル酸、メチルメタクリル酸、クロトン酸、イソクロト
ン酸、α−エチルアクリル酸、β−エチルアクリル酸、
フラン酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、マレイン酸、フ
マル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5
−エン−2,3−ジカルボン酸(商品名:ナジック
酸)、クエン酸、アコニット酸などのα、β−不飽和カ
ルボン酸および/またはそれらの誘導体、例えば酸ハラ
イド、アミド、イミド、酸無水物、金属塩(ナトリウム
塩、亜鉛塩など)およびエステルなどが挙げられる。こ
れらα、β−不飽和カルボン酸誘導体の具体例として
は、塩化マロニル、アクリルアミド、マレイミド、N−
フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
グルタコン酸、無水シトラコン酸、エンドシス−ビシク
ロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物(商品名:無水ナジック酸)、無水アコニッ
ト酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルマレ
エート、ヒドロキシメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好
適に用いられ、より好適には無水マレイン酸が用いられ
る。
【0033】前記変性剤、すなわち、前記α、β−不飽
和カルボン酸および/またはそれらの誘導体の使用量
は、前記非晶性ポリオレフィンおよび/または結晶性ポ
リプロピレン100重量部に対し、0.1〜5重量部で
あることが好ましい。使用量が前記非晶性ポリオレフィ
ンおよび/または結晶性ポリプロピレン100重量部に
対し、0.1重量部未満である場合、変性効果が十分で
はなく、また、5重量部を越える場合、変性効率(すな
わち、α、β−不飽和カルボン酸および/またはそれら
の誘導体の反応率)の低下に伴い、未反応モノマーが増
加するので、いずれの場合も好ましくない。
【0034】また、前記非晶性ポリオレフィンおよび/
または結晶性ポリプロピレンの前記α、β−不飽和カル
ボン酸および/またはそれらの誘導体による変性反応に
際しては、有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカル開
始剤が一般的に用いられる。有機過酸化物の代表例を挙
げれば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジクロ
ルベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、シ
クロヘキサノンパーオキシド、ラウロイルパーオキシ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキ
シアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイドなど
である。また、アゾ化合物としては、具体的には、アゾ
ビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート
などが挙げられる。前記ラジカル開始剤の添加量は、前
記非晶性ポリオレフィンおよび/または結晶性ポリプロ
ピレン100重量部に対し、0.05〜1重量部である
ことが望ましい。添加量が前記非晶性ポリオレフィンお
よび/または結晶性ポリプロピレン100重量部に対し
0.05重量部未満では、変性効率が十分期待できない
ので好ましくない。また、1重量部を越えると、前記非
晶性ポリオレフィンおよび/または結晶性ポリプロピレ
ンの劣化や着色が著しくなり好ましくない。
【0035】非晶性ポリオレフィンおよび/または結晶
性ポリプロピレンの変性物は、前記非晶性ポリオレフィ
ンおよび/または結晶性ポリプロピレン、前記α、β−
不飽和カルボン酸および/またはそれらの誘導体ならび
に前記ラジカル開始剤の三者を前述の所定割合で混合
し、押出機やバンバリーミキサーなどを用いて、180
〜250℃の温度で1〜20分程度溶融混練する方法、
あるいは、反応容器中で前記所定量の非晶性ポリオレフ
ィンおよび/または結晶性ポリプロピレンをトルエンや
キシレンなどの溶媒に加熱溶解させた後、前記のα、β
−不飽和カルボン酸および/またはそれらの誘導体とラ
ジカル開始剤とをそれぞれ所定割合で添加し、攪拌下で
反応する方法などによって製造することができる。特に
前者の方法が簡便であり、工業的プロセスとして適して
いる。
【0036】本発明の(B)層のポリオレフィン系樹脂
組成物中の前記非晶性ポリオレフィンの含有量は、20
〜100重量%、好ましくは20〜80重量%であり、
したがって、前記結晶性ポリプロピレンの含有量は、8
0〜0重量%、好ましくは80〜20重量%である。前
記非晶性ポリオレフィンの含有量が20重量%未満で
は、得られる積層延伸フィルムに十分な柔軟性を付与す
ることができない。また、前記非晶性ポリオレフィンの
含有量が80重量%を越えるようになると、前記結晶性
ポリプロピレンとの配合によって得られる本発明の
(B)層のポリオレフィン系樹脂組成物の溶融粘度が非
常に小さくなり、得られる積層延伸フィルムの成形安定
性が低下したり、耐熱性が不十分になるなどの問題が生
じることがある。
【0037】また、本発明では、前記(A)層を構成す
る熱可塑性樹脂および/または前記(B)層を構成する
ポリオレフィン系樹脂組成物に、所望に応じて、本発明
の目的を損なわない程度の量において、通常樹脂組成物
に配合される各種の添加剤、改質剤および充填材、例え
ば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、粘着性付
与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可
塑剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤、炭酸カルシウム、マイ
カ、タルク、ガラス繊維、着色剤(顔料、染料など)な
どを添加することもできる。特に、防曇剤としては、ポ
リグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミドな
どの非イオン界面活性剤を単独または複合して用いるこ
とができる。また、耐侯性を要求される場合は、紫外線
吸収剤や光安定剤あるいはそれらと酸化防止剤とを併用
して配合することが望ましい。この場合、使用する紫外
線吸収剤、光安定剤や酸化防止剤としては、通常ポリオ
レフィンに使用される公知のものが好適である。さらに
また、その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、
ゴム類などを必要に応じて、本発明の目的を損なわない
範囲の量で配合することができ、また、これらを架橋配
合させることもできる。
【0038】本発明において、(A)層の前記非晶性ポ
リオレフィンおよび前記結晶性ポリプロピレンが配合さ
れたポリオレフィン系樹脂組成物の調製方法は、特に制
限されるものではなく、従来のポリプロピレン組成物の
製法で慣用されている方法で調製される。例えば、前述
したような配合割合で供給される前記2種の必須主要樹
脂成分、すなわち、非晶性ポリオレフィンおよび結晶性
ポリプロピレンと、必要に応じて添加される上記添加
剤、改質剤および充填材(以下、単に「添加剤」とい
う)とから、予備混合(ドライブレンド)と続いて行わ
れる溶融混練とによって調製する方法を適用することが
できる。この場合、予備混合は、通常の混合に使用され
るヘンシェルミキサーなどの高速回転混合機やコーンブ
レンダー、タンブラーなどの低速回転混合機などを用い
て室温で行われ得る。また、溶融混練は、バンバリーミ
キサー、スーパーミキサー、ミキシングロール、二軸連
続ミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、
単軸押出機、二軸押出機などの装置を使用して、前記各
成分の溶融が十分に進行しかつ分解しない温度で行われ
得る。具体的には、上記溶融混練温度は、150〜25
0℃、好ましくは170〜230℃である。溶融混練温
度が150℃よりも低いと、上記溶融混練装置内で、前
記非晶性ポリオレフィンおよび前記結晶性ポリプロピレ
ンの溶融粘度が高くなりすぎるとともに、ポリオレフィ
ン、すなわち前記非晶性ポリオレフィンおよび/または
前記結晶性ポリプロピレンの一部が固化するなどして、
前記各成分の混練が十分に行われない。また、250℃
よりも高いと、ポリオレフィンの熱分解や熱劣化が起こ
り、得られるポリオレフィン系樹脂組成物の着色や物性
の低下をもたらすので好ましくない。なお、これらの好
ましくない現象の発生を確実に防止するためには、溶融
混練温度は、前述の好ましい範囲とすべきである。
【0039】なお、本発明では、上記の予備混合および
続いて行われる溶融混練に際し、前記2種の必須主要樹
脂成分および必要に応じて添加する添加剤の配合順序に
ついても特に制限はない。予備混合に際して、前記必須
主要樹脂成分および必要に応じて添加する添加剤を同時
に配合してもよく、また、前記2種の必須主要樹脂成分
のうち、いずれか一方の成分と、必要に応じて添加する
添加剤とを先ず配合して予備混合物を製造した後、例え
ば、単軸押出機や二軸押出機などの溶融混練機におい
て、原料供給口から前記予備混合物を供給する一方、残
りの必須主要樹脂成分をシリンダーの途中から供給し
て、これら各成分を溶融混練してもよい。あるいはま
た、前記必須主要樹脂成分のうちのいずれか一方の成分
を、例えば、単軸押出機や二軸押出機などの溶融混練機
において、原料供給口から供給する一方、残りの必須主
要樹脂成分と必要に応じて添加する添加剤とをシリンダ
ーの途中から供給して、これら各成分を溶融混練しても
よい。
【0040】ところで、本発明の積層フィルムは、上述
のようにして得られた(A)層および(B)層を、通
常、交互に積層して構成されるものであり、積層する
(A)層および(B)層の積層数には特に制限はない
が、少なくとも2層から構成され、かつ、少なくとも1
層が上記(B)層で構成されるようにする必要がある。
例えば、(B)/(A)、(B)/(A)/(B)、
(A)/(B)/(A)、(B)/(A)/(B)/
(A)/(B)および(A)/(B)/(A)/(B)
/(A)のような積層組み合わせで積層フィルムを構成
することができる。
【0041】本発明において、前記(A)層は、積層延
伸したフィルム全体に酸素ガスバリヤー性、耐熱性、機
械的強度などを付与することに寄与することができる。
一方、前記(B)層は、積層延伸したフィルムの柔軟性
に寄与することができる。また、前記(A)層は表面粘
着性がほとんどないため、上述した(B)/(A)、
(A)/(B)/(A)および(A)/(B)/(A)
/(B)/(A)のような積層組み合わせの場合のよう
に、(A)層が少なくとも一方の外層を構成するように
し、(B)層は内層側を構成することで、少なくとも一
方は、表面粘着性がなく柔軟なフィルムとすることがで
きる。さらに、(A)層および(B)層の中間に所望に
応じて接着性付与のため接着性樹脂を挿入してもよい。
【0042】本発明において、積層延伸したフィルムを
構成する各層の厚さは、特に限定されるものではなく、
任意に選択することができる。通常は、各層を約2〜5
00μmの範囲に形成する。また、(A)層と(B)層
との厚みの比率も、特に限定されるものではない。好ま
しくは、上記のように、(A)層は酸素ガスバリヤー性
に寄与するとともに、表面粘着性防止機能を果たし、
(B)層はフィルムの柔軟性に寄与するため、フィルム
を構成する各(B)層の厚さを総合計した(B)層の総
計厚みが、積層延伸フィルム厚さの20〜99%、好ま
しくは30〜95%となるように構成することが望まし
い。
【0043】本発明の積層フィルムを製造する方法は、
特に限定されるものではない。例えば、共押出積層法、
ラミネーション法、ドライラミネーション法など公知の
方法を用いることができる。これらのうち、溶融接着す
る共押出積層法が好ましい。具体的には、積層数に見合
う押出機を用いて分子鎖中に水素結合を有する熱可塑性
樹脂およびポリオレフィン系樹脂組成物を溶融混練し、
これら押出機にそれぞれ連結したTダイを用いて行うT
ダイ法や、これら押出機にそれぞれ連結したインフレー
ション用円筒ダイを用いて行うインフレーション法など
によって、積層チューブまたは積層フィルムに共押出し
して、未延伸状態の少なくとも2層構造の共押出し未延
伸チューブまたはフィルムを作製した後、冷却ロール、
水冷または空冷で冷却する方法を用いて、積層フィルム
とすることができる。
【0044】本発明の積層フィルムの延伸方法は、特に
限定されるものではなく、ロール延伸法、チューブラー
延伸法、テンター延伸法などの公知の一軸および二軸延
伸方法が用いられ得る。例えば、前記未延伸状態の少な
くとも2層構造の積層フィルムを、テンター方式により
逐次二軸延伸または同時二軸延伸してもよく、あるいは
縦方向または横方向に一軸延伸してもよい。また、チュ
ーブラー法(つまり、インフレーション法)による同時
二軸延伸によって行うこともできる。さらにはまた、速
度差を有する二組のピンチロール間で縦方向に延伸した
後、テンター延伸機により横方向に延伸する逐次二軸延
伸法を採用することもできる。これら延伸方法の中で
も、得られる積層延伸フィルムの各種物性の異方性を軽
減するためには、二軸延伸が好ましい。なお、本発明の
目的である、分子鎖中に水素結合を有するために延伸性
に劣る熱可塑性樹脂からなる層を含む積層フィルムの二
軸延伸物を容易に得るためや、延伸作業の容易さなどを
考慮すれば、逐次二軸延伸が特に好ましい。
【0045】本発明においては、分子鎖中に水素結合を
有するために延伸性に劣る熱可塑性樹脂からなる(A)
層と、前記非晶性ポリオレフィン20〜100重量%と
前記結晶性ポリプロピレン80〜0重量%とを含有して
なるポリオレフィン系樹脂組成物からなる(B)層を少
なくとも2層に積層することによって、二軸延伸が極め
て容易にできることを見い出したものであり、これが本
発明の大きな特徴となっている。一般に、ナイロン6や
ナイロン66などの脂肪族ポリアミドは、前述したよう
に、COとNH間の水素結合のため分子間の相互作用が
極めて大きく、二軸延伸を行おうとすると、一段目延伸
した段階ですでに結晶化が進行してしまい、二段目延伸
の際、フィルムの破断やネッキングが起こってしまうな
ど、二軸延伸が難しいとされてきた。そこで、従来のこ
れら脂肪族ポリアミド単独の延伸フィルムは、溶解ポリ
マーをTダイより押出して同時二軸延伸するか、円筒ダ
イより押出してインフレーションによる方法によってよ
うやく可能であったが、前者は極めて複雑な装置を必要
とし、後者は延伸配向の不均性から厚み精度や機械的特
性が得難かった。したがって、このような脂肪族ポリア
ミド単独の延伸フィルム製造に際しての問題点を解決し
た延伸方法が望まれていた。本発明においては、上述し
たように、分子鎖中に水素結合を有するために延伸性に
劣る熱可塑性樹脂からなる(A)層と、ポリオレフィン
系樹脂組成物からなる(B)層を少なくとも2層に積層
することにより、前記分子鎖中に水素結合を有する熱可
塑性樹脂の延伸性を向上せしめ、容易な二軸延伸が可能
となり、さらに好ましいことには、低温での二軸延伸が
できることを発見した。本発明では、このように常温付
近の低温から、前記(B)層のポリオレフィン系樹脂組
成物を構成する結晶性ポリプロピレンの融点(ただし、
前記(B)層のポリオレフィン系樹脂組成物が非晶性ポ
リオレフィン100重量%からなる場合は、該非晶性ポ
リオレフィンのガラス転移温度+120℃)付近の高温
までの広い延伸温度範囲で二軸延伸が可能になったもの
である。
【0046】ところで、熱収縮性良好なフィルムを得る
ためには、フィルムを延伸により十分配向させる必要が
ある。そのためには、フィルムの延伸温度が非常に重要
な要素であり、本発明の積層フィルムの延伸温度は、室
温(20℃)以上、好ましくは40℃以上、さらに好ま
しくは60℃以上であるべきである。また、該延伸温度
の上限値は、前記(B)層のポリオレフィン系樹脂組成
物を構成する前記非晶性ポリオレフィンおよび前記結晶
性ポリプロピレンの組成比によって異なるものであり、
一概に言うことはできないが、前記ポリオレフィン系樹
脂組成物中の前記非晶性ポリオレフィンの含有量が20
重量%以上100重量%未満である場合、すなわち、前
記結晶性ポリプロピレンの含有量が0重量%を越え80
重量%未満である場合、前記結晶性ポリプロピレンの融
点より5℃低い温度、好ましくは前記結晶性ポリプロピ
レンの融点より10℃低い温度、さらに好ましくは前記
結晶性ポリプロピレンの融点より15℃低い温度である
べきである。一方、前記ポリオレフィン系樹脂組成物中
の前記非晶性ポリオレフィンの含有量が100重量%、
すなわち、前記(B)層のポリオレフィン系樹脂組成物
が前記非晶性ポリオレフィンのみから構成される場合、
前記延伸温度の上限値は、前記非晶性ポリオレフィンの
ガラス転移温度+120℃、好ましくは該ガラス転移温
度+115℃、さらに好ましくは該ガラス転移温度+1
10℃であるべきである。
【0047】延伸温度が室温未満では、(A)層の分子
鎖中に水素結合を有する熱可塑性樹脂の軟化が不十分
で、積層延伸フィルムに伸びがなくなり延伸時破れるな
ど、積層延伸フィルムの均一な延伸を行うことができな
い。延伸温度が室温以上、40℃未満では、これらの好
ましくない現象が発生する傾向が見られる。一方、延伸
温度が(B)層のポリオレフィン系樹脂組成物を構成す
る結晶性ポリプロピレンの融点より10℃低い温度以
上、かつ、該結晶性ポリプロピレンの融点より5℃低い
温度未満の場合、または、(B)層のポリオレフィン系
樹脂組成物を構成する非晶性ポリオレフィンのガラス転
移温度+115℃以上、かつ、該非晶性ポリオレフィン
のガラス転移温度+120℃未満の場合、延伸は均一に
行われるが、積層延伸フィルムの配向が不十分となり、
良好な熱収縮性のある積層延伸フィルムが得られない。
また、延伸温度が(B)層のポリオレフィン系樹脂組成
物を構成する結晶性ポリプロピレンの融点より5℃低い
温度より高い場合、または、(B)層のポリオレフィン
系樹脂組成物を構成する非晶性ポリオレフィンのガラス
転移温度+120℃以上の場合は、延伸中に部分的に溶
融が起こり、積層フィルムの破断が多発するので好まし
くない。なお、これらの好ましくない現象の発生を確実
に防止するためには、延伸温度は、上述のさらに好まし
い範囲内とすべきである。
【0048】また、延伸倍率は、一方向または縦および
横方向に1.5倍以上、好ましくは2倍以上で行うこと
が望ましい。延伸倍率が1.5倍未満では、均一な延伸
が困難となり、得られる積層延伸フィルムは、十分な熱
収縮力が確保されない。また、延伸倍率の上限について
は、特に制限されないが、積層延伸フィルムの破断や延
伸操作の容易性などを考慮すれば、面積倍率で30倍以
下であることが望ましい。なお、二軸延伸する場合、上
記延伸倍率は縦横同一でなくともよいが、得られる積層
延伸フィルムにおいて良好な強度などの物性を得るため
には、縦横同一である方が好ましい。
【0049】また、本発明においては、延伸装置から取
り出した積層延伸フィルムは、必要に応じて上記延伸温
度以上、かつ、(A)層の熱可塑性樹脂の融点より5℃
低い温度以下の範囲の温度で1分間熱固定することもで
きる。この熱固定によって得られたフィルムの自然収縮
を抑制することができる。
【0050】以上のようにして得られた積層延伸フィル
ムの機械的物性は、特に限定されないが、引張強度が
4.0kgf/mm2 以上、好ましくは5.0kgf/
mm2以上で、引張伸度が40〜400%の範囲であ
り、引張弾性率が10〜120kgf/mm2 の範囲、
好ましくは12〜70kgf/mm2 の範囲であること
が好ましい。また、100℃における面積収縮率は18
%以上であることが望ましい。さらにまた、フィルム厚
さ30μmとして換算した場合の酸素ガス透過度が、相
対湿度0%において30cc/m2 ・24hr・atm
以下であることが望ましい。積層延伸フィルムの引張強
度が4.0kgf/mm2 より小さいと、フィルムが破
れやすくなる。そこで、ストレッチ包装をする場合は、
フィルムを破れないようにするため、フィルム厚みを厚
くする必要がある。一方、積層延伸フィルムの弾性率が
10kgf/mm2 より小さい場合は、フィルムに腰が
ないため、包装の操作が難しく、特に自動包装機にはか
からないという問題が生じる。また、積層延伸フィルム
の弾性率が120kgf/mm2 より大きくなると、フ
ィルムが固くなり、フィルムの伸びも小さくなる。さら
に、生鮮食品などをシュリンク包装する時、収縮応力が
大きくなり、柔らかいものの形状保持が難しくなる。
【0051】本発明の積層延伸フィルムは、積層された
各層を剥がすことによって、単独の(A)層、すなわ
ち、耐熱性、機械的強度、酸素ガスバリヤー性、熱収縮
率の均一性などに優れた、分子鎖中に水素結合を有する
熱可塑性樹脂からなる単層延伸フィルムを容易に得るこ
とができ、例えば、変質腐敗し易い食品の熱滅菌保存包
装用、変質を嫌う薬品類の保存包装用などの包装用材料
に供することができる。また、本発明の積層延伸フィル
ムは、印刷性、ラミネート、粘着剤塗布性を向上させる
ために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸
処理などの表面処理を行うことができる。さらにはま
た、必要に応じこのような処理がされた後、印刷、ラミ
ネート、粘着剤塗布、ヒートシールなどの二次加工工程
を経て目的とする用途に使用することもできる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
をより具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定
するものではない。以下の実施例および比較例におい
て、積層延伸フィルムおよび単層延伸フィルムの特性
は、下記の方法により測定した。 (1)積層延伸フィルムの延伸性の評価 原反フィルムについて、先ず、逐次二軸延伸ができるか
どうかを評価した。逐次二軸延伸が可能な場合は、続い
て、原反フィルムに144個の枡目を描き逐次二軸延伸
後、各枡目の縦方向および横方向の寸法をそれぞれ測定
し、最も延伸されている部分と最も延伸されていない部
分の長さ(寸法)の比(Max/Min値)をMD方向
(流れ方向)およびTD方向(直角方向)のそれぞれに
ついて求めた。この比(Max/Min値)が大きいほ
ど、延伸ムラが大きく、延伸性が悪いと言える。
【0053】(2)単層延伸フィルムの熱収縮率の均一
性の評価 単層で延伸したナイロン6フィルムおよび積層延伸フィ
ルムから剥離したナイロン6フィルムから一辺が3cm
の正方形のサンプルをそれぞれ4〜9枚切り出し、18
0℃に設定した熱風循環式の乾燥器に入れた。5分後に
これらサンプルを取り出し、それぞれ、面積(縦方向お
よび横方向の長さ)を測定し、下記数式(I)に従い、
面積収縮率を求めた。
【0054】
【数1】
【0055】そこで、上述のようにして求められた各サ
ンプルの面積収縮率について、同一フィルムから切り出
したサンプルの最大の面積収縮率を最小の面積収縮率で
割った値(以下「Rs値」と略記)を求めた。このRs
値が大きいほど熱収縮が不均一に起こっていることを示
す。
【0056】実施例1〜3 〔ポリオレフィン系樹脂組成物の調製〕(B)層を構成
する樹脂組成物として、密度0.86g/cm3 、プロ
ピレン含有量65重量%、ブテン−1含有量35重量%
および溶融粘度10,000cps(190℃)の非晶
性ポリオレフィン(宇部レキセン社製、商品名:UBE
TAC APAO UT2780)と、密度0.90g
/cm3 およびメルトフローレート(MFR)(230
℃)=1.0g/10分の結晶性ポリプロピレン(グラ
ンドポリマー社製、商品名:F221)とを50/50
の重量比で混合し、30mmφ二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、型式:PCM30/3−40−4V)を用
い、温度200℃で溶融混練し、ストランド状に押出し
た後、これを水槽に導入し、冷却、カット、乾燥して、
ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを調製した。こ
のポリオレフィン系樹脂組成物を以下「CAP」と表わ
す。
【0057】〔積層延伸フィルムの成形〕続いて、上記
のようにして調製されたCAPを30mmφ二軸押出機
(池貝鉄工(株)製、型式:PCM30/3−40−4
V)に供給し、該押出機とこれに連結したTダイを用い
て溶融押出しした。次に、押出された溶融樹脂を、内部
に水を通して冷却されている研磨されたロールに直ちに
接触させて、急冷する、いわゆるTダイキャスト法によ
り、厚み300μmの原反フィルムを成形した。一方、
ナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロ
ン 1024B、以下「PA6」と略記)を、溶融混練
温度を200℃に変えて260℃としたこと以外は上記
CAPの場合と全く同様にして、30mmφ二軸押出機
(池貝鉄工(株)製、型式:PCM30/3−40−4
V)に供給し、Tダイキャスト法により、厚み50μm
の原反フィルムを成形した。そこで、上記PA6原反フ
ィルムを(A)層に、また、上記CAP原反フィルムを
(B)層に用い、外層/中間層/内層として(A)/
(B)/(A)となるようにこれら原反フィルムを重ね
合わせ、ホットプレスで積層し、3層(厚み構成:PA
6/CAP/PA6=50μm/300μm/50μ
m)に積層された未延伸フィルムを得た。
【0058】次に、得られた未延伸フィルムを、直ち
に、テンター式二軸延伸機((株)岩本製作所製、型
式:BIX−703)を用いて、70℃まで加熱した
後、それぞれ、表1に示す延伸倍率で、MD方向(流れ
方向)の延伸とそれに続くTD方向(垂直方向)の延伸
による逐次二軸延伸を行った。得られた積層延伸フィル
ムの延伸性の評価結果は、それぞれ、表1に示す通りで
あった。
【0059】さらに、各実施例において、上記積層延伸
フィルムの各層を剥離することにより、PA6単層延伸
フィルムをそれぞれ得た。得られた各PA6単層延伸フ
ィルムについて熱収縮率の均一性を評価した結果、Rs
値は、それぞれ、表1に示す通りであった。
【0060】比較例1〜3 PA6を30mmφ二軸押出機(池貝鉄工(株)製、型
式:PCM30/3−40−4V)に供給し、実施例1
と全く同様のTダイキャスト法を用いて、厚み50μm
の原反フィルムを成形した。続いて、この原反フィルム
(単層フィルム)を、直ちに、テンター式二軸延伸機
((株)岩本製作所製、型式:BIX−703)を用い
て、70℃まで加熱した後、それぞれ、表1に示す延伸
倍率で、MD方向(流れ方向)の延伸とそれに続くTD
方向(垂直方向)の延伸による逐次二軸延伸を行った。
得られた単層延伸フィルムの延伸性の評価結果は、それ
ぞれ、表1に示す通りであった。表1より、これら単層
延伸フィルムと実施例1〜3の積層延伸フィルムとを比
較した場合、いずれの延伸倍率においても、MD方向お
よびTD方向とも、前者の方が、最も延伸されている部
分と最も延伸されていない部分の長さの比(Max/M
in値)が大きく、延伸性が悪いことが判る。さらに、
得られた単層延伸フィルムの熱収縮率の均一性を評価し
た結果、Rs値は、それぞれ、表1に示す通りであっ
た。すなわち、これらナイロン6単層延伸フィルムは、
実施例1〜3において積層延伸フィルムから剥離して得
られたナイロン6単層延伸フィルムと比較してRs値が
大きく、熱収縮が不均一であることが判る。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】以上述べた実施例および比較例からも明
らかなように、分子鎖中に水素結合を有する熱可塑性樹
脂からなる(A)層と、プロピレンおよび/またはブテ
ン−1成分含有率が50重量%以上の非晶性ポリオレフ
ィンを20〜100重量%と、結晶性ポリプロピレンを
80〜0重量%(ただし、非晶性ポリオレフィンと結晶
性ポリプロピレンの合計は100重量%である)含有し
てなるポリオレフィン系樹脂組成物からなる(B)層と
が、少なくとも2層に積層され、かつ、少なくとも1層
が該(B)層により構成されてなる積層フィルムを延伸
して得られる本発明の積層延伸フィルムは、分子鎖中に
水素結合を有する熱可塑性樹脂単独の延伸フィルムに比
べ、延伸性、特に逐次二軸延伸性が極めて良好である。
また、上記本発明の積層延伸フィルムは、各層を容易に
剥離することができ、それによって得られた分子鎖中に
水素結合を有する熱可塑性樹脂からなる(A)層単独の
延伸フィルムは、分子鎖中に水素結合を有する熱可塑性
樹脂を単層で延伸して得られるフィルムに比べ、熱収縮
率が極めて均一である。したがって、本発明の積層延伸
フィルムは、前記分子鎖中に水素結合を有する熱可塑性
樹脂からなる(A)層の特性と前記ポリオレフィン系樹
脂組成物からなる(B)層の特性を兼ね備えた、すなわ
ち、柔軟性、機械的強度、耐熱性、熱収縮性および酸素
ガスバリヤー性などに優れたフィルムであり、また、該
フィルムの剥離によって得られる、前記分子鎖中に水素
結合を有する熱可塑性樹脂からなる(A)層単独の延伸
フィルムは、機械的強度、耐熱性、酸素ガスバリヤー性
および熱収縮率の均一性などに優れたフィルムであり、
これらフィルムは、軟質塩化ビニルフィルムに匹敵する
軟質フィルムとして、ストレッチ包装、ストレッチシュ
リンク包装およびシュリンク包装などの包装用フィルム
材料として好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 23:00 B29L 9:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)分子鎖中に水素結合を有する熱可
    塑性樹脂からなる層と、(B)プロピレンおよび/また
    はブテン−1成分含有率が50重量%以上の非晶性ポリ
    オレフィンを20〜100重量%および結晶性ポリプロ
    ピレンを80〜0重量%(ただし、非晶性ポリオレフィ
    ンと結晶性ポリプロピレンの合計は100重量%であ
    る)含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物からなる
    層とが、少なくとも2層に積層されるフィルムで、か
    つ、少なくとも1層が前記(B)層により構成されてな
    る積層フィルムを延伸して得られる積層延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 延伸が二軸延伸であることを特徴とする
    請求項1に記載の積層延伸フィルム。
  3. 【請求項3】 二軸延伸が逐次二軸延伸であることを特
    徴とする請求項2に記載の積層延伸フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の積層延伸
    フィルムを剥離して得られる(A)分子鎖中に水素結合
    を有する熱可塑性樹脂からなる層。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002225128A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Toyobo Co Ltd 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、および熱可塑性樹脂フィルム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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