JPH10146392A - 除毛方式 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の除毛は、切り傷、痛み、感染症等の危
険性があり、又、一時的なものに過ぎなかった。このた
め安全で長期的かつ永久的な除毛が望まれていた。 【解決手段】 化学的除毛剤をイオン泳動により生物体
の除毛箇所の中に深く配送し、毛根に様々な程度の損傷
を与えることにより、長期的および／または永久的な除
毛を選択的に行なうための方法および装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】発明の背景 本発明は、一般的には除毛の方法および装置における改
良に関し、より詳しくは、除毛剤の適切なイオン泳動配
送により生物体から長期的および／または永久的に、大
量または個別に除毛することができる、新規な改良され
た方式に関する。

【０００２】身体の外観を良くするために除毛すること
は、ほとんど世界中で一般的に行なわれている。女性は
特に、顔、脇の下、脚および他の、ビキニ水着の様な現
代のファッションのために露出される解剖学的部分の無
駄毛を除去することを願っている。過剰な毛髪をもたら
す遺伝学的な因子に加えて、現代の医薬、特にステロイ
ド類、もこの美容上の問題に関与している。最も一般的
な除毛手段は、主として、剃刀の刃または電気髭剃り機
で剃ることにより成し得る。他の手段としては、毛抜
き、ワックスおよび除毛剤がある。これらの先行技術の
方法には、剃刀による切り傷、毛抜きによる痛み、およ
び関連する感染症の危険性、除毛剤の不快感ならびにそ
の様なきつい薬品による刺激の危険性、などの大きな欠
点があると同時に、共通していることは、その様な除毛
が通常は一時的なもの過ぎないということである。した
がって、その様な除毛手順を無限に繰り返さなければな
らない。除毛剤は、一時的な除毛手段としては比較的広
く使用されているが、長期的または永久的な除毛が望ま
れる場合には、効果的であるとは立証されていない。

【０００３】現在、最も一般的に使用されている化学的
除毛剤はメルカプタン、特にチオグリコール酸の塩、で
ある。チオグリコール酸塩は、１９３０年代に牛皮の脱
毛用に特許された。１９４０年代までに、チオグリコー
ル酸塩を含む、化粧品として洗練されたアルカリ性クリ
ームが人間用に特許され、今日でも標準的な化学的除毛
剤として使用されている。

【０００４】チオグリコール酸塩除毛剤は、ジスルフィ
ド結合を加水分解することにより効果を発揮する。毛髪
の強度は、シスチン分子間のジスルフィド結合の関数で
ある。シスチンは、毛髪中ケラチンの１５％、および皮
膚中ケラチンの２％を形成している。これが、チオグリ
コール酸塩が皮膚中ケラチンよりも毛髪中ケラチンを優
先的に加水分解する理由である。

【０００５】最近の処方は、通常、水酸化ナトリウムま
たは水酸化カルシウムの様なアルカリと混合したチオグ
リコール酸の水溶液である。ジスルフィド結合の破壊に
加えて、チオグリコール酸のこれらの水溶液には、毛幹
を水和するという重要な機能がある。これによって毛髪
は急速にゼリー状のものとなって容易に拭い去ることが
できる。

【０００６】チオグリコール酸塩除毛剤は、ペースト、
ローション、またはクリームとして市販されている。除
毛剤が完全に乾燥して効果を失わない様に、厚い層を顔
に塗布する。処方により、除毛剤は２〜１４分間放置さ
れる。この製剤を除去した後、残った毛髪を典型的には
手拭で拭き取る。その後、刺激を抑えるために給湿剤も
塗布すべきである。

【０００７】除毛剤は、毛幹が十分にケラチン化してな
く、したがって薬品を迅速に吸収できる、毛胞の深い所
に作用すべきである。その結果、皮膚表面上に毛幹が見
える様になるまで、通常、数日かかる。また、理由は、
完全には解明されていないが、再び成長する毛髪は、剃
った毛の様な粗い感触が無い。

【０００８】チオグリコール酸塩は安全であるが、時
折、悪影響を及ぼすこともある。チオグリコール酸塩は
公知の接触アレルゲンであり、除毛製剤中に使用される
香料もまた接触アレルギーを引き起こすことがある。さ
らに、ある種の製剤のアルカリ度は、皮膚上にあまり長
時間放置すると、刺激性皮膚炎を引き起こすことがあ
る。その上、前に述べた様に、除毛は、永久的ではな
く、毛髪の再成長を避けることができない。

【０００９】チオグリコール酸塩は、最も典型的に使用
されている除毛剤であるが、あらゆる状況に適している
訳ではない。特に、チオグリコール酸塩は、作用が遅過
ぎて、髭の濃い男性には効果的ではない。多くの男性、
特に黒人は、疑似尋常性毛瘡（剃刀負け）を起こす。こ
れは、剃った髭の鋭い先端が、カールして隣接する皮膚
の中に入り込み、異物炎症反応を引き起こすのである。
化学的除毛は、「剃刀負け」の可能性を無くし、粗い、
鋭い先端を有する毛髪の成長を阻止することにより、こ
の問題を緩和するのに役立つ。しかし、チオグリコール
酸塩は、実用的な髭剃りの代用になる程、濃い髭に十分
迅速に浸透しない。代わりに、硫化ストロンチウムまた
は硫化バリウムを基剤とする製剤を使用しなければなら
ない。これらの物質は、濃い髭を妥当な時間内に除去す
ることにおいて、より効果的である。しかし、硫化物除
毛剤は、硫化水素ガスにより放出される悪臭のために大
きな制限を受ける。この臭気は、水がクリームと接触し
ない様にすることにより、最少に抑えることができる。
しかし、ほとんどすべてのクリームを擦り取っても、洗
顔時にある程度の悪臭がほとんど常に発生し、このため
に、これらの製品の使用が大幅に制限されることが分か
っている。

【００１０】公知の唯一の永久的除毛手段は、電気分解
針を使用することである。この方法は、経費がかかり、
苦痛を伴い、乱切の傷跡を受け易く、一回に１本の毛し
か処理しないので、処理は極めて退屈なものである。そ
の上、電気分解除毛法は、何年にもわたることが多い。

【００１１】イオン泳動および電気浸透により除毛を行
なう試みもなされているが、その様な方法は、概して、
思ったほど効果的ではなく、好ましくない副作用を起こ
すことが知られている。

【００１２】したがって、除毛方式又は処理の開発およ
び使用に関しては、長年にわたり、より迅速で、信頼性
があり、快適で、便利であり、経済的であり、長期的お
よび／または永久的な、大量および／または個別の除毛
が行なえる様な除毛の方法および装置の改良する必要性
が認識されている。下記の説明から明らかな様に、本発
明は、これらの必要性をすべて満たしている。

【００１３】本発明の概要 簡単に、かつ、概略的に言えば、本発明は、除毛すべき
場所に除毛剤をイオン泳動により配送することによる、
新規で改良された除毛方式を提供する。

【００１４】基本的に、本発明は、生物体の除毛すべき
場所に適切な化学的除毛剤を塗布して、続いてイオン泳
動により除毛剤をその場所の深部に配送し、毛根の著し
い損傷または完全な破壊を促進して、それによって長期
的および／または永久的な除毛を選択的に達成するため
の方法および装置に向けられている。

【００１５】現在のところ好ましい実施態様では、本発
明を制限しない一例として、効力を高めるために非金属
製のイオン泳動電極および好ましくは低粘度の化学的除
毛剤を使用する。除毛剤は、好ましくは、イオン泳動配
送装置の電極に隣接したフェルト製の貯蔵パッド、等の
中に入れる。あるいは、除毛剤は、脱毛しようとする箇
所の毛髪に直接、局部的に塗布して、続いてイオン泳動
を使用して除毛剤をその箇所に送り込み、毛根を適度に
破壊する。後者の場合、高粘度の除毛剤を大きな表面積
上に塗布するのが好ましい。電流の強度および処理の期
間を操作することで、毛根を様々な程度で損傷させて、
それにより長期的または永久的な除毛を選択的に行なう
ことができる。

【００１６】この様に、本発明の新規で改良された除毛
方法および装置により、より迅速で、信頼性があり、快
適で、便利であり、経済的であり、長期的および／また
は永久的な、大量および／または個別の除毛を行なうこ
とができる。

【００１７】本発明のこれらの、および他の目的および
利点は、以下に、添付した例示としての実施形態の図面
との関連において本発明の詳しい説明から、より容易に
明らかになるであろう。

【００１８】好ましい実施態様の説明 ここで図面、特に図１、に関して、本発明の様々な態様
で実行する基本的な方法を説明するフローチャートを示
す。これに関して、本発明の目的は、適切な生物体上に
位置する、選択された除毛箇所の深部に適切な化学的除
毛剤を送り込んで、その選択された箇所で長期的および
／または永久的な、大量または個別の除毛を選択的に行
なうために、毛根を様々な程度に損傷させることであ
る。

【００１９】最も広く使用されている除毛剤は、チオグ
リコール酸カルシウムを含むアルカリ性の高いクリーム
である。毛髪は、主として化学的なケラチンからできて
いる。ケラチンを構成するブロックの一つは、硫黄を含
むアミノ酸シスチンである。シスチンは、毛髪の１５〜
１７％を占める。アルカリおよびチオグリコール酸塩が
シスチンを攻撃し、ケラチン分子を一緒に保持している
結合を破壊する。毛髪は、水を吸収し、膨潤し、その強
度を失い、ほとんどゼリー状になり、皮膚から容易に擦
り取ることができる。毛髪中には、皮膚の約８倍も多く
のケラチンが存在するので、除毛剤は、皮膚よりも毛髪
に、より容易に優先して作用する。その後、適切に処方
された製品では、毛髪は一般的に、周囲の皮膚に悪影響
を及ぼさずに、除去することができる。しかし、最も重
要なことは、除毛は一時的に過ぎず、毛髪の再成長を阻
止することができないことである。

【００２０】図１で、選択可能な工程２または３では、
チオグリコール酸塩を含む薬剤の様な、粘度が比較的低
い除毛剤を、適当なイオン泳動装置の貯蔵パッドに供給
する（工程２における様に）か、または除去すべき毛髪
に局部的に塗布する（工程３における様に）。次いで工
程４で、除毛剤を配送すべく選択された除毛箇所に、イ
オン泳動装置をあて、工程５で、イオン泳動装置を十分
な強度の電流で、十分な期間、電気的に起動させて、長
期的または永久的な除毛を行なうために、毛根に所望の
程度の損傷を与える。局部的に塗布する場合、除毛剤
は、粘度が高く、皮膚に付ける電極の表面積よりも大き
な表面積に広げるのが好ましい。

【００２１】本発明は、一度で、長期的または永久的で
あり、複数の、または大量の毛髪を除去する究極的な除
毛方法を達成するものである。電気分解法は、体から離
れた所に接地してある電池の負端子に接続した針を毛胞
の中に導入することによって、苛性水酸化ナトリウムを
集中させて、毛乳頭および周囲の組織を破壊することに
より、永久性を達成することから良く知られているもの
である。本発明の研究において、毛乳頭に電気分解薬品
と同等の物質、すなわち高アルカリ性薬品を導入するこ
とにより、同じ破壊的現象が起こり、本質的な損傷、お
よび長期的または永久的な除毛を達成することが認めら
れた。その様な薬品は、通常、使用されている除毛剤の
中に見られ、活性成分は、チオグリコール酸塩類または
硫化ナトリウムおよび存在する補助的な薬品である。通
常の使用では、その様な除毛剤は局部的に塗布されるの
で、毛根系、すなわち毛乳頭に効果的に到達し、永久的
に破壊するための信頼性のある手段ではない。本発明で
は、イオン泳動装置を使用して、除毛剤に共通の活性薬
品のイオンを、成長しつつある毛髪の根系に送り込ん
で、その毛髪の新しい毛髪を発生させる手段を破壊また
は本質的に損なわせるものである。さらに、この方式
は、イオン泳動アプリケーターのサイズによってのみ制
限される、広い区域にわたって、多くの毛髪に同時に達
成することができる。このサイズは、単に設計により決
定される。

【００２２】本発明の実施に特に適したイオン泳動配送
装置の一例は、１９９３年７月６日に公布された、発明
者Robert Tapper 、「イオン泳動処理方式」と題する米
国特許第５，２２４，９２７号明細書に記載されてお
り、この特許明細書の開示内容をここに参考として含め
る。

【００２３】図２から分かる様に、本発明の実施に適し
た、比較的簡単で、経済的な、信頼性のある小型構造の
イオン泳動パッチ投与装置１０が適した生物体の腕１１
の上に設置されている。このパッチは、適切な化学的除
毛剤、等をイオン泳動により配送することにより、所望
の除毛処理を適切に行なうために、生物体の皮膚に接触
するものである。

【００２４】図２では、この装置１０を小型のパッチと
して示しているが、当業者には明らかな様に、皮膚と接
触させる電極端子アプリケーターを含み、類似の操作態
様を具体化した、より大きな構造的および／または物理
的な組立ユニット（図には示していない）を使用するこ
ともできる。

【００２５】図３および４に最も分かり易く示す様に、
イオン泳動パッチ１０は非常に小型で、円形の、円筒形
の装置であり、主として外側プラスチックシェル、およ
び内側の、好ましくは一体成形された、バッフルから作
られている。プラスチックシェルおよびバッフルは典型
的には、電気的に絶縁性の、柔軟なビニル材料、等で成
形してある。

【００２６】内部のバッフルは、イオン泳動パッチ１０
（現在、カリフォルニア州、ロサンゼルスのGeneral Me
dical Company からLECTRO PATCHの商品名で市販されて
いる）の内部を、より詳しくは内側バッフル部材１４に
より、上側および下側の中空内側室１２および１３に分
割している。上側室１２は、適したマイクロチップおよ
び電源供給電池を含む小型のエレクトロニクスパッケー
ジ１５を収容している。上側室１２は、プラスチックバ
ッフル部材１４により下側室１３から電気的に絶縁され
ている。

【００２７】下側室１３は、典型的には導電性のシリコ
ーン／炭素材料からなる一対のイオン泳動電極１６ａお
よび１６ｂを含み、これらの電極は、下側室１３を一対
の半円形電極室および貯蔵部１８ａおよび１８ｂに分割
する分離壁を形成する非導電性のプラスチック製分割バ
ッフル１７により、互いに分離されている。室１８ａお
よび１８ｂは、電極１６ａおよび１６ｂを収容し、選択
された除毛箇所で生物体に最終的に投与される化学的除
毛剤の様な適した物質を含む。除毛剤配送経路は、図４
で一般的に矢印２０で示す。

【００２８】イオン泳動電極１６ａおよび１６ｂは、室
を分割するバッフル部材１４中の適切なスロット開口部
を通して伸びる導電性タブ２１ａおよび２１ｂを経由し
てエレクトロニクスパッケージ１５に電気的に接続され
ている。シリコーン／炭素電極１６ａおよび１６ｂは、
典型的には１〜２オーム／平方センチメートルの導電性
プラスチック材料から製造される。電極１６ａおよび１
６ｂは、本発明の現在好ましい実施態様では、好ましく
はシリコーン／炭素からなるが、他の導電性で、腐食し
ない材料で製造することもできる。しかし、化学的除毛
剤を配送する場合には、非金属性の電極を使用するのが
好ましい。この方式で使用するＡＣ信号では、シリコー
ン／炭素電極に抵抗はほとんど、またはまったく蓄積し
ない。

【００２９】薬剤貯蔵部１８ａおよび１８ｂは、典型的
には配量すべき物質、すなわち適切な化学的除毛剤で十
分に満たした一対のフェルトパッド２２ａおよび２２ｂ
を含む。

【００３０】さらに、投与量および処理期間を選択でき
る様にする電気的なスライドスイッチ２４が、オペレー
ターの手が届く様に、イオン泳動装置１０の外側シェル
の上部に取り付けた上側プラスチックカバープレートを
通して物理的に突き出ている。スイッチ２４は、室１２
の中で、エレクトロニクスパッケージ１５に電気的に接
続されている。スイッチ２４を「０」（オフ）位置から
「ＬＯ」（低電流または低速除毛剤配送）または「Ｈ
Ｉ」（高電流または高速除毛剤配送）のスイッチ位置の
間で選択的に移動させ、装置１０を切って電気的作動を
停止させるか、または装置を高または低電流運転するこ
とができる。

【００３１】ＬＥＤ試験表示器２８が、カバープレート
２６の下のエレクトロニクスパッケージ室１２から、カ
バープレートの適切な開口部を通って伸びており、イオ
ン泳動パッチ１０の上から観察し、この装置の使用者に
対する適切な電気的操作を確認することができる。

【００３２】このイオン泳動パッチ１０の設計には、他
のイオン泳動設計よりも優れた永久的および／または長
期的な大量除毛を行なうための独特な特徴がある。これ
に関して、毛根に除毛剤を送り込むのに特に適したもの
にするパッチ１０の特徴を以下に記載する。

【００３３】１．パッチ１０は導電性シリコーン炭素電
極を使用するのに対し、他のイオン泳動装置は典型的に
は様々な金属製電極を使用している。チオグリコール酸
塩除毛剤は、金属に対して敏感であることが分かってい
る。金属電極を備えたイオン泳動アプリケーターを通し
て電流が流れると、金属イオンが放出され、これがチオ
グリコール酸塩を酸化させ、その効力を著しく低下させ
ることがある。その上、金属イオンは、皮膚に到達する
と、皮膚のタンパク質を析出させ、目標箇所への所望の
薬品の流れを妨害することが知られている。

【００３４】２．除毛剤は、最大の効果を得るために許
容される最も高いpH値、例えば、典型的には１２．５、
までに処方されているので、pHがこの点を超えて増加す
ると、皮膚が損傷を受ける危険性がある。典型的には、
単極に設計されている従来のイオン泳動装置は、電極で
水酸化ナトリウムを形成するので、pH値を増加させ、こ
れが皮膚に送り込まれたアルカリ性の除毛剤と組み合わ
さって、安全な生物学的水準を超えることがある。ここ
に開示するパッチ１０はＡＣ信号を使用するので、これ
らの有害な電極イオンが中和され、除毛剤のpHが約１
２．５の最高処方値を超えることはない。

【００３５】３．除毛剤を最初に電極パッド中に染み込
ませる場合、除毛剤を、一般的に店頭販売されている表
面塗布型よりも低粘度に処方して最高性能を得るように
するのが望ましいが、店頭販売処方でも十分な性能を得
ることはできる。これに関して、イオン泳動で使用する
除毛剤は、貯蔵部パッドに染み込ませることを意図して
おり、店頭販売されている処方は一般的に高粘度のクリ
ームまたはローションのコンシステンシーを有する。後
者は、局部的塗布に適している。

【００３６】４．パッドに除毛剤を導入する一手段は、
パッド２２ａ、２２ｂに除毛剤を予め染み込ませ、乾燥
させ、次いで使用者が使用時に水を加え、再び湿ったパ
ッドにすることである。これは、「組込み」除毛剤パッ
ド用の無水の除毛剤（米国特許第３，１９４，７３６号
明細書に開示されている様な）に水を加えることにより
行なうことができる。その様なパッドは典型的には交換
式である。あるいは、クリームまたはローション型の除
毛剤を使用することもできる。しかし、パッド２２ａお
よび２２ｂをその様な粘性の除毛剤で満たすことはより
困難であり、その様な場合には除毛剤を電極に直接塗布
するのが望ましい。

【００３７】５．さらに他の変形は、永久的な除毛また
は長期的であるが、一時的な除毛を行なえることであ
る。後者は、毎日髭剃りをしなくてもよいことは好まし
いが、将来何時かは口髭、等を蓄えたいと思う男性にと
っては重要である。その上、男性は、永久的な除毛によ
る完全に「滑らかな」容貌ではあまり満足せず、男性の
髭の名残を好む場合もある。長期的ではあるが、一時的
な除毛を行なうには、除毛剤の除毛効果を処方により低
くするか、またはイオン泳動配送装置の電流を低くす
る、および／または処理期間を短くすることができる。

【００３８】無論、前に説明した様に、イオン泳動配送
装置はパッチ１０の様に物理的にパッケージ化する必要
は無い。エレクトロニクスパッケージを含む離れた機器
の中に大型のエレクトロニクスパッケージを収容し、電
池またはプラグ式の電源を使用することもできる。次い
で現場のアプリケーターをケーブルで離れた機器に電気
的に接続すればよい。アプリケーターは、適切なイオン
泳動電極および図２〜４に示すパッチ１０の室１３に類
似した薬剤貯蔵部を収容する。

【００３９】さらに、本発明の方法を大量除毛に関して
説明したが、当業者には明らかな様に、本発明の精神お
よび範囲から離れることなく、同じ方法を個別の毛髪の
除去に応用することも可能なのは、明白である。これに
関して、例えば、個々の毛髪を除毛剤で濡らし、典型的
には、より小さな専用の電極を使用し、除毛剤をイオン
泳動により毛髪小胞中に送り込み、毛乳頭を破壊するこ
とができる。

【００４０】本発明の実施には、他の化学的除毛剤も使
用できるが、上記の、低粘度および水の様なコンシステ
ンシーを有し、フェルトパッド２２ａおよび２２ｂに容
易に吸収される組成物の様な、チオグリコール酸塩を含
む除毛剤が好ましい。除毛剤を電極パッドではなく、配
送箇所に直接塗布する本発明の実施態様では、高粘度の
除毛剤がより効果的である。その様な除毛剤はすべて、
体の他の区域に加えて顔の区域を処理するのに十分な
程、穏やかであるのが好ましい。一般的に入手可能な適
切な除毛剤は、"NAIR"（Carter-Wallace, Inc.製）およ
び"NEET"（Whitehall Laboratories, Inc.製）の商品名
で市販されている。その様な処方物の、パッド２２ａお
よび２２ｂによる吸収性を強化するために増粘剤を除去
したものが、電極パッドを除毛剤に浸すという本発明の
実施態様に好ましいが、除毛剤を配送箇所に直接局部的
に塗布する場合には、増粘剤をそのままにしておくこと
ができる。

【００４１】活性成分であるカルシウム塩、チオグリコ
ール酸および水酸化カルシウムまたはアルカリに加え
て、除毛剤クリームは、通常、製品の製造に使用する脂
肪、油および水を乳化（懸濁）させ、毛髪の濡れ性およ
び製剤の洗い流し性を促進するための界面活性剤、皮膚
上での急速な乾燥を阻止するための給湿剤（グリセロー
ル、プロピレングリコール）、水、ポリエチレングリコ
ール、および脂肪、油、または他の脂肪性材料の一部ま
たは全部を含むことができる。

【００４２】典型的には、除毛は、約０．５ ma.〜約
１．０ ma.のイオン泳動電流で、数分〜約１５分間行な
う。無論、これは例として挙げただけであり、使用する
特定の化学的除毛剤、除毛箇所に隣接するイオン泳動電
極のサイズ（面積）、許容できる快適性閾および所望の
除毛程度、すなわち長期的または永久的という程度に応
じて、所望の電流密度（例えば０．５ma／cm² 未満）を
達成する様に、広範囲に変えることができる。これらの
パラメータで妥当な実験を行なうことにより、所望の結
果を得ることができる。典型的には、皮膚刺激を和らげ
るために、最初は低電流および短い持続時間を使用し、
除毛しようとする特定の生物体および特定の解剖学的部
位における毛髪に対する影響を実験的に確認する。

【００４３】本発明の新規な改良された除毛の方法およ
び装置により、より迅速で、信頼性があり、快適で、便
利であり、経済的であり、長期的および／または永久的
な、大量および／または個別の除毛を行なうための長年
にわたる必要性が満たされる。

【００４４】以上、本発明の特定の実施態様を例示し、
説明したが、本発明の精神および範囲から離れる事な
く、様々な変形を行なうことができる。したがって、本
発明は、請求項に規定する内容にのみ限定される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の特徴を具体化する方法を示すフローチ
ャートである。

【図２】本発明の実施に適したイオン泳動パッチ投与装
置の、人間の腕の上に設置した状態を示す図である。

【図３】図２に示すイオン泳動パッチの、内部構造が見
える様に一部を切り取った全体図である。

【図４】本質的に図３の線６−６に沿って見た断面図で
ある。

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】除毛方式において、生物体の除毛すべき箇
   所の皮膚中に化学的除毛剤を配送するためのイオン泳動
   手段、および前記イオン泳動手段により皮膚中に配送
   し、長期的または永久的な除毛を促進するための化学的
   除毛剤からなる組合せ。
2. 【請求項２】前記イオン泳動手段が導電性の非金属材料
   から製造された電極手段を含む、請求項１に記載の組合
   せ。
3. 【請求項３】前記電極手段が導電性シリコーン／炭素か
   ら製造されている、請求項２に記載の組合せ。
4. 【請求項４】前記イオン泳動手段が、前記除毛箇所に隣
   接して配置する様に造られた、狭い間隔で配置された一
   対の導電性電極、および前記電極間の電流方向を交番さ
   せるための手段を含んでなる、請求項１に記載の組合
   せ。
5. 【請求項５】前記電極のそれぞれに隣接する吸収パッド
   をさらに含み、前記パッドが前記除毛剤を含んでなる、
   請求項４に記載の組合せ。
6. 【請求項６】前記除毛剤が、下記の特徴、すなわち、チ
   オグリコール酸塩を含むこと、本質的に低い粘度を有す
   ること、本質的に高い粘度を有すること、水様のコンシ
   ステンシーを有すること、または無水であること、の少
   なくとも一つを有する、請求項１〜５のいずれか１項に
   記載の組合せ。
7. 【請求項７】イオン泳動配送方式で除毛するために使用
   する、下記の特徴、すなわちチオグリコール酸塩を含む
   こと、低い粘度を有すること、水様のコンシステンシー
   を有すること、または無水であること、の少なくとも一
   つを有する化学的除毛剤を含んでなる除毛剤。
8. 【請求項８】イオン泳動配送方式で除毛するために使用
   する電極パッド。ただし、前記電極パッドは、吸収材パ
   ッド部材、および前記パッド部材中に染み込ませ、乾燥
   させた化学的除毛剤を含んでなり、前記パッドが、使用
   の直前に湿潤させるのに適合させてある。
9. 【請求項９】前記除毛剤が、下記の特徴、すなわちチオ
   グリコール酸塩を含むこと、低い粘度を有すること、水
   状のコンシステンシーを有すること、または無水である
   こと、の少なくとも一つを有する、請求項８に記載の電
   極パッド。
10. 【請求項１０】除毛用の電極吸収材パッドの製造方法で
    あって、パッドに除毛剤を染み込ませること、および前
    記パッドを乾燥させる工程を含んでなり、前記パッドが
    使用の直前に湿潤させるのに適合させてあることを特徴
    とする方法。
11. 【請求項１１】前記除毛剤が下記の特徴、すなわちチオ
    グリコール酸塩を含むこと、低い粘度を有すること、水
    状のコンシステンシーを有すること、または無水である
    こと、の少なくとも一つを有する、請求項１０に記載の
    方法。
12. 【請求項１２】長期的または永久的な除毛方法であっ
    て、生物体から除毛すべき箇所を確認する工程、および
    生物体の除毛すべき箇所の深部に除毛剤をイオン泳動に
    より配送し、毛乳頭に本質的な損傷を与える工程を含ん
    でなり、長期的な除毛を達成することを特徴とする方
    法。
13. 【請求項１３】さらにイオン泳動配送用の電流の強度お
    よび印加期間を変えて効果的な除毛の程度を調整する工
    程を含む、請求項１２に記載の方法。