JPH10145122A - 車両用ガラスアンテナシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】非選択アンテナが選択されていないときにも選
択アンテナに電磁的、静電的に作用して受信感度を向上
させたガラスアンテナシステムを提供することを目的と
する。 【解決手段】 本発明は、車両用の窓ガラスに導電線条
により形成されるアンテナをダイバーシティー受信用と
して複数具備し、該複数のアンテナのいずれか１つを受
信機からのダイバーシティー切り換え信号により選択す
る回路をアンテナ給電部近傍に具備するとともに、この
選択回路は、選択したアンテナの高周波電力のみを受信
機に伝送し、非選択のアンテナは開放または、選択され
たアンテナの受信感度が最大となるインピーダンスで終
端するように構成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用の後部窓ガ
ラスに加熱用の導電線条とともに、その上部あるいは下
部余白部、あるいは前部窓ガラスなどにダイバーシティ
受信用アンテナとして複数のアンテナを設けた車両用ガ
ラスアンテナシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ＡＭ、ＦＭなどのラジオ放送波、
ＴＶ放送波を受信するための車両用ガラスアンテナが要
望されるようになり、車両用後部窓ガラスに加熱用の導
電線条とともに、その余白部に設けたアンテナが広く使
用されている。

【０００３】特にＴＶ放送波を受信する場合には、例え
ば図２に示すように板ガラス１の車内側表面に設けたダ
イバーシティ受信用アンテナ４、５、６、７の４系統の
アンテナによってダイバーシティー受信を行っている。

【０００４】これらの４系統のアンテナは、ダイバーシ
ティーユニット１２で常に出力電圧を監視し最適なアン
テナを一つ選んで受信機１３によって受信する方法か、
あるいはダイバーシティユニット１２で任意の一つのア
ンテナを選択し、そのアンテナの受信感度が所定のレベ
ルにあるかどうか判断しレベル以上であればそのアンテ
ナを選択し、レベル以下であれば、最初に選択されたア
ンテナを切り離し別のアンテナを選択しレベル以上の受
信感度があればその２番目のアンテナを選択し、レベル
以下であれば３番目のアンテナを選択し同様の判断をし
て所定レベル以上の受信感度を有するアンテナを選択し
て、受信する方法が採用されている。

【０００５】この場合に選択された一つのアンテナ以外
の非選択アンテナはダイバーシティユニット内の選択ス
イッチの端子の部分で受信機側とは切り離され開放され
るシステムになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記複数
本のアンテナは、特に後部窓ガラスに設けられるアンテ
ナは、加熱用の導電線条の余白部に設けられるためにア
ンテナエリアが十分確保できず満足な受信性能が得られ
ないため、前置増幅器などを用いて受信感度を確保して
いるのが現状である。

【０００７】しかも、 従来のダイバーシティー受信シ
ステムにおいて各アンテナは、通常リアトレイ下に置か
れたダイバーユニットまで同軸ケーブル等で接続され非
選択アンテナはこのユニット内では開放状態となってい
る。

【０００８】しかしながら各アンテナの給電部において
は、高周波の分布定数を含んだ伝送理論によれば、ケー
ブル長が波長の１／２の整数倍となる条件においてのみ
開放状態となり、それ以外の周波数（波長）において
は、開放から短絡の中間状態を繰り返すこととなる。

【０００９】すなわち受信帯域全体で給電部において開
放状態とはなっていない。一方、本発明の如く給電部近
傍で開放あるいは、受信感度が最大となるようなインピ
ーダンスを選択スイッチにより接続した場合には、上記
のようにインピーダンスが周波数により変わることはな
い。

【００１０】このようにダイバーシティ受信用の非選択
アンテナは電磁的にも、静電的にも選択アンテナに対す
る影響が考慮されていないので、ダイバーシティ受信用
アンテナは選択されないときには全く受信感度の向上に
寄与していない状況であった。

【００１１】本発明者はこのような．知見に基づいて本
発明をなしたものであり、非選択アンテナが選択されて
いないときにも選択アンテナに電磁的、静電的に作用し
て受信感度を向上させたガラスアンテナシステムを提供
することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記の問題点を解決する
ために、本発明のガラスアンテナシステムは、車両用の
窓ガラスに導電線条により形成されるアンテナをダイバ
ーシティー受信用として複数具備し、かかる複数のアン
テナのいずれか１つを受信機からのダイバーシティー切
り換え信号により選択する回路をアンテナ給電部近傍に
具備するとともに、この選択回路は、選択したアンテナ
の高周波電力のみを受信機に伝送し、非選択のアンテナ
は開放または、選択されたアンテナの受信感度が最大と
なるインピーダンスで終端するように構成するものであ
る。

【００１３】このような構成にすることにより、非選択
アンテナに誘起された高周波電力の位相を非選択アンテ
ナにつながれた終端負荷により調整することにより再放
射される電波の位相を本来の放送波の位相に合わせ、選
択アンテナに効率良く再誘起させ感度の向上を図るもの
である。このような電磁的な結合の他にエレメント間の
静電容量による静電的な結合についても同様に位相を合
わせることにより、電磁的、静電的に結合された選択ア
ンテナと非選択アンテナを選択アンテナからみれば１つ
の大きなアンテナとして作用するようにし、選択アンテ
ナの感度の向上を図ることができるものである。

【００１４】ここで非選択アンテナを開放にするという
ことは、インピーダンスが無限大となる特殊な場合であ
るが、この場合にも給電用の同軸ケーブルに高周波電力
が消費されることがないから、最も簡単な方法にもかか
わらず、選択アンテナの受信感度の改善をはかることが
できる。

【００１５】

【発明の実施形態】本発明のアンテナは、ＦＭラジオ放
送波あるいはＴＶ放送波を受信するためのアンテナであ
り、２本以上複数本設けた場合に適用することができ
る。

【００１６】アンテナの取付場所は後部窓ガラスの場合
に効果が顕著であるので、好適であるが、前部窓ガラス
あるいは側部の窓ガラスに設けたガラスアンテナにも勿
論適用できるものである。

【００１７】アンテナは導電ペーストをスクリーン印刷
して形成したプリントアンテナが一般的に広く使用され
ているが、前部窓ガラスとして装着される合わせガラス
の中間膜に金属ワイヤを埋め込んで形成してもよい。

【００１８】複数のアンテナのチューニングは受信電波
に対して最も受信感度が高くなるようにそれぞれ単独で
行うが、複数のアンテナのいずれもある周波数の電波に
対して、あるいは電波の到来方向が特定の方向にあると
きに比較的受信感度が低下するのは避けられない。

【００１９】したがって、各アンテナが選択されていな
いときのインピーダンスの調整は、このような複数のア
ンテナのいずれも比較的受信感度の低いアンテナの受信
感度が向上するように調整すればよい。

【００２０】より具体的には、特定周波数の電波が特定
方向から到来したときにいずれも受信利得が低いときに
は、その場合の最も高い受信感度を有するアンテナを選
択した状態で、他の非選択アンテナのインピーダンスを
抵抗、インダクタンス、キャパシタンス（容量）の直列
回路として、あるいは抵抗、インダクタンス、キャパシ
タンス（容量）の並列回路としてそれぞれ調整して選択
アンテナの受信感度が最も高くなるインピーダンスを選
択スイッチとアース間に挿入すればよい。

【００２１】このような調整をその他の非選択アンテナ
にも行い、インピーダンス値を決定する。このときイン
ピーダンスを挿入せずに、アンテナ給電部でアースに接
続せず開放にしたほうがよい場合もある。

【００２２】選択スイッチはアンテナの給電部近傍の車
体に設けられ、ダイバーシティユニットからの信号によ
りにダイバーシティユニット側の接点か、あるいは開放
（インピーダンス）側に切り替えられるものであり、、
各種の切替えスイッチが使用可能であるが、実際にはダ
イオードスイッチなどの高速に切り換える回路が適用さ
れる。

【００２３】ダイバーシティユニットは常に複数の系統
のアンテナ、例えば４系統のアンテナの入力を信号Ｓに
よって切り替え一つの信号が入力されるように構成さ
れ、その一つの信号が基準の受信レベルより上か下かを
判断し、上回っていればそのまま選択スイッチを切り替
えることなくそのアンテナにより受信し、下回っていれ
ば次ぎのアンテナに切り替えて、そのアンテナの受信感
度が基準のレベルに達しているかどうか判断し、レベル
より上であればそのアンテナで受信し、レベル以下であ
れば、次ぎのアンテナの受信感度が基準レベルにあるか
どうか判断して、基準レベル以上であれば、このアンテ
ナで受信し、レベル以下であれば次ぎのアンテナで受信
し、レベル以下であれば最初に戻り、前述の処理を高速
で繰り返して常に受信感度が高い状態で受信できるよう
に、判断をして、信号をＳとして各選択スイッチに出力
する。

【００２４】この場合に複数のアンテナ、例えば４系統
のアンテナの受信感度を高速で切り替えて受信感度を比
較して、その中で最も受信感度の高いアンテナに切り替
える信号を出すようにしてもよい。

【００２５】

【実施例】以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説
明する。図２は従来のアンテナシステムを示す要部概略
図、図１は本発明のアンテナシステムを示す要部概略
図、図３は従来のシステムと本発明によるシステムによ
る放送波を受信したときの第一のアンテナのダイポール
比で測定した受信感度を示す周波数特性図であり、は
本発明によるアンテナシステムのダイポール比で測定し
た受信感度、は従来のアンテナシステムのダイポール
比で測定した受信感度を示す。

【００２６】図１に示すように、車両用の後部窓ガラス
に４系統のアンテナを装着して、アンテナ近傍に設けた
選択スイッチにおいて非選択アンテナが開放される場合
について例示する。

【００２７】板ガラス１の車内側表面に、加熱用導電線
条２とともに、その上部余白部にはＡＭラジオ放送波と
ＦＭラジオ放送波を受信する水平線条と垂直線条から構
成されるアンテナ３とＴＶ放送波を受信するための本発
明のダイバーシティ受信用のアンテナ４と５を、加熱用
導電線条の下部余白部にはＴＶ放送波を受信するための
本発明のダイバーシティ受信用のアンテナ６と７を導電
ペーストによりプリント、焼成して形成する。

【００２８】このようにアンテナ線条と加熱用導電線条
がプリントされた板ガラス１を車両用の後部窓ガラスと
して開口部に装着した後、アンテナ４〜７のそれぞれの
給電部近傍の車体にそれぞれの選択スイッチ８〜１１を
取付け、選択スイッチの一つ（上側）の端子からそれぞ
れダイバーシティユニット１２に同軸ケーブルによって
接続し、さらにダイバーシティユニット１２からＴＶ受
信機１３などに接続される。

【００２９】選択スイッチ８から選択スイッチ１０の上
側接点に同軸ケーブルを接続し、選択スイッチ９から選
択スイッチ１１の上側接点に同軸ケーブルを接続し、そ
れぞれの選択スイッチ１０、１１の上側接点から同軸ケ
ーブルでダイバーシティユニットに向けて配線し、合流
点で２本の同軸ケーブルを接続して１本の同軸ケーブル
として、ダイバーシティユニット１２に接続する。

【００３０】選択スイッチの下側の端子は開放にするか
図１に示すようにインピーダンス素子１４〜１７を介し
て接地する。ダイバーシティユニットは常に４系統のア
ンテナの入力を信号Ｓによって切り替え一つの信号が入
力されるように構成され、その一つの信号、例えばアン
テナ４の受信感度が基準の受信レベルより上か下かを判
断し、上回っていればそのまま選択スイッチを切り替え
ることなくそのアンテナ例えばアンテナ４により受信
し、下回っていれば次ぎのアンテナ、例えばアンテナ５
に切り替えて（選択スイッチ８を下側に切り替え、選択
スイッチ９を上側に切り替える）その受信感度が基準の
レベルに達しているかどうか判断し、レベルより上であ
ればそのアンテナ、例えばアンテナ５で受信し、レベル
以下であれば次ぎのアンテナ、例えばアンテナ６に切り
替え、レベル以上であれば、このアンテナで受信し、レ
ベル以下であれば次ぎのアンテナ、例えばアンテナ７で
受信し、レベル以下であれば最初に戻り、前述の処理を
高速で繰り返して常に受信感度が高い状態で受信できる
ように、判断をして、信号をＳとして各選択スイッチに
出力する。

【００３１】このようにして得られたアンテナにより１
〜３チャネルにおけるＴＶ放送波（以下、ＶＨＦ−Ｌ帯
と略称する）を受信する場合に、受信周波数、方向など
によってアンテナ４が所定のレベルの受信感度があれ
ば、ダイバーシティユニットによりこのアンテナが選択
され、残りのアンテナは非選択アンテナとなり、選択ス
イッチの端子部分で開放されるかあるいはインピーダン
ス素子を通してアースに接続され、同軸ケーブルには非
選択アンテナによって受信された高周選電流は流れな
い。

【００３２】アンテナ４〜７は選択されないときに選択
スイッチの端子部分で開放されるという条件で、ＶＨＦ
−Ｌ帯を受信して標準のダイポールアンテナの受信感度
を０ｄＢとしたときの利得差（以下、ダイポール比と略
称する）で表すと、選択されたアンテナの各周波数にお
ける平均の受信感度は図３に示すようになり、図３
に示すダイバーシティユニット部分で切り替える従来の
アンテナの受信感度に比較して、最低でも１ｄＢ、最高
約５ｄＢ向上していることがわかる。

【００３３】

【発明の効果】本発明のガラスアンテナシステムは、Ｔ
Ｖ帯放送波を複数のアンテナで受信するダイバーシティ
ー受信システムにおいて非選択アンテナに誘起された高
周波電力を有効に選択アンテナに電磁的、静電的に伝送
することにより選択アンテナの感度向上をはかるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のアンテナシステムを示す要部概略図で
ある。

【図２】従来のアンテナシステムを示す要部概略図であ
る。

【図３】従来のシステムと本発明によるシステムによる
放送波を受信したときの第一のアンテナのダイポール比
で測定した受信感度を示す周波数特性図であり、は本
発明によるアンテナシステムのダイポール比で測定した
受信感度、は従来のアンテナシステムのダイポール比
で測定した受信感度を示す。

【符号の説明】

１板ガラス ２加熱用導電線条 ３ＡＭラジオ放送波、ＦＭラジオ放送波受信用アンテナ ４〜７ ダイバーシティ受信用のアンテナ ８〜１１ 選択スイッチ １２ ダイバーシティユニット １３ 受信機 １４〜１７ インピーダンス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両用の窓ガラスに導電線条により形成さ
   れるアンテナをダイバーシティー受信用として複数具備
   し、かかる複数のアンテナのいずれか１つを受信機から
   のダイバーシティー切り換え信号により選択する回路を
   アンテナ給電部近傍に具備するとともに、この選択回路
   は、選択したアンテナの高周波電力のみを受信機に伝送
   し、非選択のアンテナは開放または、選択されたアンテ
   ナの受信感度が最大となるインピーダンスで終端するよ
   うに構成したことを特徴とする車両用ガラスアンテナシ
   ステム。