JPH10144293A - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池及びその製造方法

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JPH10144293A
JPH10144293A JP8300720A JP30072096A JPH10144293A JP H10144293 A JPH10144293 A JP H10144293A JP 8300720 A JP8300720 A JP 8300720A JP 30072096 A JP30072096 A JP 30072096A JP H10144293 A JPH10144293 A JP H10144293A
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JP
Japan
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positive electrode
electrode active
lithium
vanadium oxide
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JP8300720A
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English (en)
Inventor
Seiji Kikuchi
誠二 菊池
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄型・小型化が可能で、かつ電池容量の増大
化が可能なリチウム二次電池及びその製造方法の提供。 【解決手段】 正極活物質3として集電体1の少なくと
も一面に対向ターゲット式スパッタリング法により形成
された膜厚100〜1000Åのアモルファス酸化バナ
ジウム膜が用いられ、負極活物質としてリチウムまたは
リチウム合金が用いられ、電解質5に非水電解質溶液又
は固体電解質が用いられてなることを特徴とするリチウ
ム二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集電体の少なくと
も一面に形成されたアモルファス酸化バナジウム膜を正
極活物質として用いることにより、薄型・小型化が可能
で、かつ電池容量の増大化を達成できるようにしたリチ
ウム二次電池及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種二次電池の活物質として
金属酸化物や金属硫化物が用いられている。例えば、ニ
ッケル水素蓄電池には、微細な金属酸化物または金属硫
化物の粉体を加熱、加圧して焼結したものが活物質とし
て用いられている。また近年では、ニッケル水素蓄電池
より電池容量の大きいリチウム二次電池の開発が活発化
している。従来のリチウム二次電池の例としては、導電
体網に、リチウムまたはリチウム合金(負極活物質)板
が圧着されてなるものを負極として用い、ステンレス等
からなる支持体上に、非晶質V25粒とバインダー用合
成樹脂との混合物(正極活物質)が膜状に圧着成形して
なるものを正極として用いたものが知られている。ここ
で用いられるV25の非晶質化の方法としては、液体急
冷法等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、電子
・電気機器の小型・軽量化に伴い、リチウム二次電池に
ついても薄型・小型化が可能で、かつ充電特性の優れた
リチウム二次電池の実現が要望されていた。しかしなが
ら従来のリチウム二次電池においては、正極活物質とし
て使用されている金属酸化物や金属硫化物のほとんどが
電気(電子)を流し難い高抵抗なものであり、イオンと
電子のやりとりがスムーズに行われにくく、活物質の容
量を十分に引き出しにくく、正極活物質の膜厚を厚くし
ても容量密度(活物質1g当りの電池容量)が最大でも
350mAh/g程度しか得られず、電池容量が小さく
不満があった。
【0004】例えば、図14は、リチウム−酸化バナジ
ウム二次電池の正極における放電反応の例を模式的に示
したものであり、図中符号51は集電体、53は正極活
物質(V25)、55は電解質をそれぞれ示している。
このように、正極では、放電時に電解質55中のリチウ
ムイオン(Li+)が正極活物質(V25)53内に侵
入し、電子(e-)を受け取ってLi・V25を生成す
る反応が起こる。しかしながら、正極活物質53の内部
を電子(e-)が流れ難いために、正極活物質53内に
侵入したリチウムイオンは、ステンレス等からなる集電
体51との界面付近に到達するまで電子を受け取ること
ができず、そのために電池容量のロスが生じるという問
題があった。また充電時には放電時と逆の反応が起こ
り、正極活物質53内に生成したLi・V25からリチ
ウムイオン(Li+)が脱離するが、やはり電子(e-
が正極活物質53内をスムーズに移動できないために充
電反応が遅くなってしまう。
【0005】そこで、一般には正極活物質53にカーボ
ンブラック等の導電体粉末を添加して活物質の導電性を
改善することが行われている。しかしながら、この場合
にも正極活物質53内に略球状の導電体粉末が不連続に
分散されるに過ぎない。したがって活物質のすみずみま
で導電性を十分に向上させることができず、活物質のも
っている電池容量を十分に引き出せない点で不満があっ
た。また、従来のリチウム二次電池においては、正極活
物質の膜厚を薄くすると、電池容量も小さくなってしま
い、充電特性が低下してしまうという問題があった。
【0006】よって本発明の課題は、薄型・小型化が可
能で、かつ電池容量の増大化が可能なリチウム二次電池
及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、正極
活物質として集電体の少なくとも一面に形成されたアモ
ルファス酸化バナジウム膜が用いられ、負極活物質とし
てリチウムまたはリチウム合金が用いられ、電解質に非
水電解質溶液又は固体電解質が用いられてなることを特
徴とするリチウム二次電池を前記課題の解決手段とし
た。
【0008】また、請求項2の発明は、前記アモルファ
ス酸化バナジウム膜の膜厚が100〜1000Åである
ことを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池を前
記課題の解決手段とした。また、請求項3の発明は、前
記アモルファス酸化バナジウム膜が対向ターゲット式ス
パッタリング法により形成されたものであることを特徴
とする請求項1又は2記載のリチウム二次電池を前記課
題の解決手段とした。
【0009】また、請求項4の発明は、正極活物質が形
成される集電体を保持する基材ホルダと、対向配置され
た一対のターゲットと、これらターゲットにそれぞれ設
けられて前記一対のターゲット間に磁界を形成する磁界
発生装置とが収容された真空排気可能な成膜チャンバ
と、前記一対のターゲット間の磁界に電界をかけてプラ
ズマを発生させる電源とを備えてなり、前記ターゲット
が正極活物質と同種の金属材料からなるものであり、か
つ前記基材ホルダが前記一対のターゲット間に発生する
プラズマ領域の外に配置されてなる対向ターゲット式ス
パッタ装置を用い、前記成膜チャンバを真空排気した
後、該成膜チャンバ内に放電ガスを導入するとともに前
記一対のターゲット間に電界をかけてプラズマを発生さ
せて放電ガスをイオン化し、イオン化された放電ガスに
より前記ターゲットの構成粒子を叩きだして基材ホルダ
に保持された集電体の少なくとも一面に堆積させてアモ
ルファス酸化バナジウム膜からなる正極活物質を形成す
る工程を少なくとも備えることを特徴とするリチウム二
次電池の製造方法を前記課題の解決手段とした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の正極活物質を用いてリチウム−酸化バナ
ジウム二次電池の正極を構成した例を模式的に示したも
のである。この正極は、集電体1上に正極活物質3の層
が形成されており、この電池用活物質3に接するように
電解質層5が設けられている。前記集電体1は、正極活
物質3と負極活物質(図示せず)とを電気的に接続する
材料を用いて構成される。このような材料としては、例
えばステンレス、NiAl等の導電性が高い材料が好適
に用いられる。前記正極活物質3はアモルファス酸化バ
ナジウム膜からなるものである。このアモルファス酸化
バナジウム膜の膜厚は、100〜1000Å程度である
ことが好ましく、より好ましくは100〜300Å程度
である。正極活物質3をなすアモルファス酸化バナジウ
ム膜の膜厚が100Å未満であると、比較的酸素リッチ
の膜が形成されにくいため好ましくなく、逆に、100
0Åを越えて厚くすると正極活物質3内を電子(e-
が移動する時間が長くなり、電子(e-)が正極活物質
3と集電体1との界面に達しにくく、電池容量のロスが
生じたり、また、それ以上厚くしても電池容量の増大が
期待できず、経済的にも不利となるからである。
【0011】電解質5は、電池の構成に応じて適宜のも
のが選択して用いられ、液体電解質でも固体電解質でも
よい。本実施の形態では、正極活物質3および負極活物
質に対して化学的に安定であり、かつリチウムイオンが
正極活物質3と電気化学反応するための移動を行い得る
物質が用いられる。例えばポリエチレンオキサイド等の
リチウムイオンを伝導体とする固体電解質や、プロピレ
ンカーボネート、2−メチルテトラヒドロフラン、1,
2−ジメトキシエタン、エチレンカーボネート、γ−ブ
チロラクトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリ
ル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタ
ン等から選ばれる1種以上の非プロトン有機溶媒に、L
iClO4、LiAlCl4、LiBF4、LiCl、L
iPF6、LiAsF6等のリチウム塩を溶解させた電解
質溶液等を用いることができる。
【0012】本発明における正極活物質3は対向ターゲ
ット式スパッタリング法により好適に製造することがで
きる。図2は、本発明における正極活物質3の製造に好
適に用いられる対向ターゲット式スパッタ装置の例を示
す概略構成図である。この対向ターゲット式スパッタ装
置は、正極活物質3が形成される集電体1を保持する基
材ホルダ11と、対向配置された一対のターゲット1
2,12と、これらターゲット12,12にそれぞれ設
けられた永久磁石(磁界発生装置)13,13とが収容
された真空排気可能な成膜チャンバ10と、前記ターゲ
ット12,12間の磁界に電界をかけてターゲット1
2,12間にグロー放電を発生させる直流電源(DC)
14とを主体として構成されている。
【0013】前記成膜チャンバ10には排気口10aが
設けられており、この排気口10aに負圧源(図示略)
が接続されて成膜チャンバ10内を真空排気できるよう
になっている。また、この成膜チャンバ10には放電ガ
ス導入口10bが設けられており、この放電ガス導入口
10bに放電ガス供給源(図示略)が接続されて成膜チ
ャンバ10内に放電ガスが供給できるようになってい
る。ここでの放電ガスとしては、アルゴンガスなどの希
ガス、あいるはこの希ガスと酸素ガスとの混合ガスが用
いられる。前記基材ホルダ11は、その上面の両端部に
押え板(図示)を有しており、この押え板と基材ホルダ
11との間に集電体1を固定できるようになっている。
このような基材ホルダ11の成膜チャンバ10内への配
設位置は、ターゲット12,12間に発生するプラズマ
領域の外に配置されている。前記ターゲット12は、バ
ナジウムメタルから構成されているものである。なお、
図2に示した対向ターゲット式スパッタ装置において
は、電源としてDC電源が用いられているが、必ずしも
これに限らず、RF電源などによってターゲット12,
12間にプラズマを発生させてもよい。
【0014】図2に示したような対向ターゲット式スパ
ッタ装置を用いて正極活物質3を形成するには以下の工
程による。基材ホルダ11上に集電体1を押え板で固定
した後、負圧源を作動させて成膜チャンバ10内を真空
引きして7×10-7トール以下、好ましくは2.6×1
-7〜3.3×10-7トール程度に排気する。ついで、
放電ガス供給源から成膜チャンバ10内にアルゴンガス
と酸素ガスとからなる放電ガスを供給するとともに直流
電源14に出力を投入してターゲット12,12間に電
界をかけてプラズマを発生させて放電ガスをイオン化す
る。ここで放電ガス中の酸素ガスの流量は、アルゴンガ
スの流量100%に対して0〜50%程度、好ましくは
20%〜40%程度とされる。アルゴンガスに対する酸
素ガスの流量が上述の範囲であると、放電開始電圧が高
く、多くの回数充放電を繰り返しても電圧の低下を少な
くすることができ、また、エネルギー密度も大きいため
好ましい。前記放電ガスの圧力は、5.0×10-3
8.0×10-3トール程度とされる。また、直流電源1
4に投入される出力は、1.0kw〜3.0kw程度で
あって、好ましくは1.5kw〜2.6kwとされ、そ
れらの場合に、反射波出力は殆ど零となるように設定さ
れることが望ましい。
【0015】そして、イオン化された放電ガスによりタ
ーゲット12,12の構成粒子を叩きだして基材ホルダ
11に保持された集電体1の少なくとも一面に膜厚が所
望の厚みになるまで堆積させてアモルファス酸化バナジ
ウム膜からなる正極活物質3を形成する。
【0016】この実施形態のリチウム−酸化バナジウム
二次電池にあっては、特に、集電体1の少なくとも一面
に形成されたアモルファス酸化バナジウム膜が正極活物
質3として用いられたものであるので、電子(e-)は
正極活物質3内を移動しやすく、正極活物質3の導電性
は良く、正極活物質3中でのイオンと電子のやりとりが
スムーズに行われる。また、前記アモルファス酸化バナ
ジウム膜は膜厚を薄くしても電池容量が低下しないの
で、従来の正極活物質に比べて膜厚を薄くすることがで
き、よって正極活物質3内を電子(e-)が移動する時
間を短縮することができ、電子(e-)が正極活物質3
と集電体1との界面に達し易い。従って、この実施形態
のリチウム−酸化バナジウム二次電池によれば、電池容
量を低下させることなく、正極活物質3の厚みを薄くす
ることができるので、薄型・小型化が可能で、かつ充電
特性の優れたリチウム−酸化バナジウム二次電池を提供
でき、このようなリチウム−酸化バナジウム二次電池を
電子・電気機器に用いると、これら電子・電気機器も小
型・軽量化できるという利点がある。
【0017】例えば、図1中にリチウム−酸化バナジウ
ム二次電池の正極での放電反応を模式的に示している
が、正極活物質3がアモルファス酸化バナジウム膜から
なるものであるので、電子(e-)は正極活物質3内を
移動しやすく、かつ、正極活物質3内の電子(e-)の
移動時間が短くなるので、電子(e-)が正極活物質3
と集電体1との界面に速く達し、放電時に電解質5から
供給されるリチウムイオン(Li+)は、従来のリチウ
ム−酸化バナジウム二次電池に比べて放電反応が高速化
される。また充電時にも、電子(e-)が正極活物質3
内を移動しやすく、かつ、正極活物質3内の電子
(e-)の移動時間が短くなるので、正極活物質3から
のリチウムイオンの脱離が速く進み、電池容量が増大さ
れる。尚、本発明のリチウム二次電池の構成、形状等
は、前述の実施形態に限らず、適宜変更可能であり、本
発明の正極活物質は各種のリチウム二次電池に広く適用
可能である。
【0018】また、前述の実施形態のリチウム二次電池
の製造方法にあっては、図2に示したような対向ターゲ
ット式スパッタ装置を用い、前記成膜チャンバ10を真
空排気した後、該成膜チャンバ10内に放電ガスを導入
するとともに前記一対のターゲット12,12間に電界
をかけてプラズマを発生させて放電ガスをイオン化し、
イオン化された放電ガスにより前記ターゲット12,1
2の構成粒子を叩きだして基材ホルダ11に保持された
集電体1の少なくとも一面に堆積させてアモルファス酸
化バナジウム膜からなる正極活物質3を形成する工程を
少なくとも備えることにより、集電体1が前記プラズマ
に触れないため、集電体1の温度が上昇しにくく、かつ
成膜時間も数分程度と短いため酸化バナジウム膜の結晶
化が進みにくいので、非晶質すなわちアモルファスの酸
化バナジウム膜が形成され易い。また、このアモルファ
スの酸化バナジウム膜は、膜厚を薄くしても電池容量が
低下しないので、従来の正極活物質と比べて膜厚を薄く
することことができるので、短時間で成膜することがで
きる。
【0019】図3は、本発明のリチウム二次電池をコイ
ン型のリチウム−酸化バナジウム二次電池に適用した例
を示す断面図である。図中符号21は正極集電体、22
は正極活物質、23は負極集電体、24は負極活物質、
25はセパレータ、26はガスケットをそれぞれ示す。
前記負極集電体23は、円板状のものであり、また、そ
の周縁に立ち上がり部23aを有している。このコイン
型電池は、負極集電体23の立ち上がり部23aが、円
環状のガスケット26中に挿入されており、該ガスケッ
ト26の内方の負極集電体23上に負極活物質24、セ
パレータ25、および正極活物質22が順次積層されて
いる。またガスケット26の上面、側面および正極活物
質22の上面(セパレータ25が積層される側と反対側
の面)を覆うように正極集電体21が配され、かしめら
れている。
【0020】正極集電体21および負極集電体23は、
ステンレスからなっている。正極活物質22は、アモル
ファスの酸化バナジウム膜からなっており、負極活物質
24はリチウムまたはリチウム合金からなっている。セ
パレータ25は多孔質ポリプロピレン等からなる薄膜で
構成されており、ガスケット26は電解液に対する安定
性や絶縁性に優れたテフロン等で構成されている。また
セパレータ25およびガスケット26には電解質溶液が
含浸されている。
【0021】図4は、本発明のリチウム二次電池をペー
パー型(薄型)のリチウム−酸化バナジウム二次電池に
適用した例を示す断面図である。図中符号31は正極集
電体、32は正極活物質、33は負極集電体、34は負
極活物質、35は電解質層、36は封止部材をそれぞれ
示す。このペーパー型電池は、正極集電体31の一面上
に形成された正極活物質32と、負極集電体33の一面
上に形成された負極活物質34とが、電解質層35を挟
んで積層されており、これらの周縁部が封止部材36で
封止されている。正極集電体31および負極集電体33
は、ステンレスからなっている。正極活物質32は、ア
モルファスの酸化バナジウム膜からなっており、負極活
物質34はリチウムまたはリチウム合金からなってい
る。また、電解質層35はポリエチレンオキサイド等の
固体電解質からなっており、封止部材36はポリプロピ
レン、テフロン等の樹脂からなっている。
【0022】このような構成のペーパー型電池は、例え
ば、正極集電体31上にアモルファスの酸化バナジウム
膜からなる正極活物質32の層を形成し、一方、負極集
電体33上に負極活物質34の層を形成した後、正極活
物質32上に固体電解質35を積層させ、その上に負極
集電体33に形成された負極活物質34を積層させ、正
極活物質32、固体電解質35、および負極活物質層3
4の周縁部を封止部材36で封止することによって製造
される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によ
り、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみ
に限定されるものではない。 (実施例1)図5に示すようなリチウム−酸化バナジウ
ム二次電池40を以下のようにして作製した。まず、正
極用集電体1として厚さ0.03mm、3インチ角のス
テンレス鋼板(SUS304)を使用し、アルコールで
超音波洗浄したのち図2と同様の対向ターゲット式スパ
ッタ装置の基材ホルダ上にポリイミドテープを用いて固
定した。ついで、成膜チャンバを2.6×10-7〜3.
3×10-7トールに排気した後、アルゴンガス(流量4
0sccm)と酸素ガス(流量12〜21sccm)と
からなる放電ガスをガス圧5.0×10-3トールで成膜
チャンバ内に導入するとともに直流電源に1.5kw/
数w〜2.6kw/数wの出力を投入して一対のターゲ
ット間に電界をかけてプラズマを発生させて放電ガスを
イオン化し、アルゴンイオンによりターゲットの構成粒
子を叩きだして基材ホルダに保持されたステンレス鋼板
の上面に堆積させて厚さ300〜4000Åのアモルフ
ァスV25膜からなる正極活物質3を形成し、正極材6
を得た。ここでのターゲットとしては、バナジウムから
なるものを用いた。
【0024】ここで作製した正極材6についてCuKα
線を用いたθ−2θ法によるX線回折試験を行った結果
を図6に示す。図6に示す結果から、殆どのピークが正
極用集電体であるステンレスのピークであり、V25
示すピークは2θが20.262゜に小さいピークがあ
るだけであり、非晶質部分が多いものであることが分
る。よって、前述のような対向ターゲット式スパッタリ
ングにより形成されたV 25膜は、後述する比較例1の
高周波スパッタリングにより形成されたV25膜(図
8)に比べて明らかに結晶質が乏しく、リチウムイオン
収蔵性に優れているアモルファス性に富んだ構造を有し
ていることが分った。
【0025】一方、負極材を以下のようして作製した。
リチウム塊から切り出したリチウム200〜300mg
をプラスチック板に厚さ0.8mmのニッケル網(ニッ
ケル線リード付)に載せた後、このリチウム上に他のプ
ラスチック板を被せて挾み仮圧着した。ついで、小型ク
ランプを用いて前記ニッケル網にリチウムを本圧着させ
た。この後、これをエタノールに浸漬し、リチウム表面
の汚れを除去し活性化させ、続いてプロピレンカーボネ
ートに浸漬し洗浄して厚さ2mm、0.5インチ角の負
極材7を得た。なお、負極材としてリチウムイオンが挿
入されたカーボン系材料等の層状化合物で形成してもよ
い。
【0026】ついで、正極材6と負極材7がショートし
ないように正極材6の表面をプロピレン不織布(図示
略)でおおい、木綿糸(図示略)でその周囲を縫った。
ついで、グローブボックス(図示略)に作製した正極材
6及び負極材7、金属リチウムからなる参照用電極3
7、専用ガラスセル38とピンセットを入れた後、バル
ブを開けてグローブボックス内に窒素を導入し空気を追
い出した。この後、前記専用ガラスセル38に正極材
6、負極材7、参照用電極37、電解質5として1M
[過塩素酸リチウム(LiClO4)とプロピレンカー
ボネート」溶液を入れてセル(実施例1のリチウム−酸
化バナジウム二次電池)を完成させた。ついで、グロー
ブボックスからセルを取り出した後、このセルをデシケ
ータ(シリカゲル入り容器)内に入れることにより、水
分の浸入や金属リチウムの汚れを防止した。
【0027】(比較例1)正極材の正極活物質を図7に
示すような高周波スパッタ装置を用いて以下にようにし
て製造した以外は実施例1と同様にしてリチウム−酸化
バナジウム二次電池を得た。この高周波スパッタ装置
は、正極用集電体1を保持する基材ホルダ61と、該基
材ホルダ61と対向して設置されてターゲット12を保
持するターゲットホルダ63とが収容された真空排気可
能な成膜チャンバ60と、これら正極用集電体1とター
ゲット12間に高周波電界をかけることによりプラズマ
を発生させる高周波電源(マッチングボックス)64と
を備えてなるものである。前記成膜チャンバ60は、排
気口60aが設けられており、この排気口60aに負圧
源(図示略)が接続されて成膜チャンバ60内を真空排
気できるようになっている。また、この成膜チャンバ6
0には放電ガス導入口60bが設けられており、この放
電ガス導入口60bに放電ガス供給源(図示略)が接続
されて成膜チャンバ60内にアルゴンガスと酸素ガスと
の混合ガス等の放電ガスが供給できるようになってい
る。また、ターゲット12の裏面に約500Gのフェラ
イト製永久磁石(図示略)が置かれているものである。
【0028】正極材を以下のようにして作製した。正極
用集電体1として実施例1で用いたものと同様のステン
レス鋼板(SUS304)を使用し、アルコールで超音
波洗浄したのち図7に示した高周波スパッタ装置の基材
ホルダ61上にポリイミドテープを用いて固定した。つ
いで、成膜チャンバ60を1.0×10-6トールに排気
した後、アルゴンガス(流量30sccm)と酸素ガス
(流量4.5sccm)とからなる放電ガスをガス圧
1.0×10-2トールで成膜チャンバ60内に導入する
とともに高周波電源に1.5kw/数wの出力を投入し
てターゲット12と正極用集電体1間に高周波電界をか
けてプラズマを発生させて放電ガスをイオン化し、アル
ゴンイオンによりターゲット12の構成粒子を叩きだし
て基材ホルダ61に保持されたステンレス鋼板の上面に
堆積させて厚さ3000ÅのV25膜からなる正極活物
質を形成し、正極材を得た。ここでのターゲットとして
は、V25からなるものを用いた。
【0029】ここで作製した比較例1の正極材について
実施例1と同様にしてX線回折試験を行った結果を図8
に示す。図8に示す結果から、比較例1の正極材は、正
極用集電体であるステンレスのピークの他に、明らかに
正極用活物質であるV25を示すピークである2θが1
5.348゜、26.125゜、31.003゜、3
2.362゜、34.280゜にあることが分る。よっ
て、比較例1の高周波スパッタリングにより形成された
25膜は、前述の対向ターゲット式スパッタリングに
より形成されたV25膜(実施例1)に比べて明らかに
結晶質が多く、アモルファス性に乏しい構造を有してい
るものであることがわかる。なお、ターゲット12の裏
面にフェライト製永久磁石が置かれていない高周波スパ
ッタ装置を用いた以外は同様にして正極材を作製した場
合も、アモルファス性に乏しいV25膜が得られたこと
を確認した。
【0030】(実施例2)正極活物質3をなすアモルフ
ァスV25膜の膜厚を300Åとした以外は前記実施例
1と同様にしてリチウム−酸化バナジウム二次電池を作
製し、充放電試験により充放電特性について調べた。充
放電試験は、作製した実施例2のリチウム−酸化バナジ
ウム二次電池を図5に示すような自動充放電装置45
(商品名HJ−101SM6、北斗電工株式会社製)に
接続し、放電から始めた。リチウム−酸化バナジウム二
次電池40と自動充放電装置45との接続は、正極材
6、負極材7、参照用電極37をそれぞれステンレスワ
イヤー46を介して自動充放電装置45に接続した。図
5中、Rは電圧測定部のマイナス端子、W1は電圧測定
部のプラス端子、W2は電流測定部のプラス端子、Cは
電流測定部のマイナス端子を示す。ここでの充放電試験
では、リチウム−酸化バナジウム二次電池を常温下に放
置し、10μA/cm2の定電流で1.1〜4.4V間
で電圧規制充放電を行い、充放電サイクルは、1.1V
になるまで放電した後、休止30分、4.4Vになるま
で充電した後、休止30分を1サイクルとし、その時の
電池電圧変化を記録装置(型番4156−100、横河
電機株式会社製)に自動記録させることにより行った。
ここでの膜厚測定は、DEKTAK3030(商品名;スロアン社
製)を使用して測定した(荷重20mgにて)。充放電
試験の結果を表1及び図9に示す。なお、表1及び図9
中、1−Cは1サイクル目の充電、1−Dは1サイクル
目の放電、10−Cは10サイクル目の充電、10−D
は10サイクル目の放電を示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1及び図9に示した結果から明らかなよ
うに実施例2のリチウム−酸化バナジウム二次電池は、
放電時に特性劣化がなく、10サイクル目の充放電反応
の可逆性が良好であり、また、後述する比較例2や比較
例3のリチウム−酸化バナジウム二次電池に比べて容量
密度が大きいことが分る。
【0033】(比較例2)高周波スパッタリング法によ
り形成するV25膜の膜厚を3000Åとした以外は前
記比較例1と同様にしてリチウム−酸化バナジウム二次
電池を作製し、実施例2と同様にして充放電特性につい
て調べた。その結果を表2及び図10に示す。なお、表
2及び図10中、1−Cは1サイクル目の充電、1−D
は1サイクル目の放電、10−Cは10サイクル目の充
電、10−Dは10サイクル目の放電を示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2及び図10に示した結果から明らかな
ように比較例2のリチウム−酸化バナジウム二次電池
は、充放電反応の可逆性は良好であるが、実施例2のリ
チウム−酸化バナジウム二次電池に比べて容量密度が小
さいことが分る。
【0036】(比較例3)正極材を以下のようにして製
造した以外は実施例1と同様にしてリチウム−酸化バナ
ジウム二次電池を得た。正極活物質としての非晶質V2
5粒およびアセチレンブラック及びポリテトラフルオ
ロエチレンを重量比で70:25:5の割合で混合した
後、この混合物を前記実施例1で用いたものと同様のス
テンレス鋼板に圧着成形し、正極材を得た。ここで形成
された正極活物質の膜圧は、5000Åであった。そし
て、作製した比較例3のリチウム−酸化バナジウム二次
電池について実施例2と同様にして充放電特性について
調べた。その結果を図11に示す。なお、図11中、1
−Cは1サイクル目の充電、1−Dは1サイクル目の放
電、10−Cは10サイクル目の充電、10−Dは10
サイクル目の放電を示す。図11に示した結果から明ら
かなように比較例3のリチウム−酸化バナジウム二次電
池は、充放電反応の可逆性も不安定であり、実施例2の
リチウム−酸化バナジウム二次電池に比べて容量密度が
かなり小さいことが分る。
【0037】(実施例3)正極活物質3をなすアモルフ
ァスV25膜の膜厚を300〜4000Åの範囲で変更
した以外は前記実施例1と同様にしてリチウム−酸化バ
ナジウム二次電池(サンプルNo.1〜9)を作製し、
膜厚と電池容量との関係について調べた。その結果を表
3及び図12に示す。なお、図12中、●と■は、サン
プルの作製日が異ることを示す。
【0038】
【表3】
【0039】表3及び図12に示した結果から明らかな
ようにアモルファスV25膜を対向ターゲットスパッタ
リング法により形成した実施例のリチウム−酸化バナジ
ウム二次電池は、アモルファスV25膜の膜厚が薄くな
るほど容量密度が大きく、例えば膜厚が300Åのとき
容量密度が909mAh/gと最大を示していることか
ら、膜厚が薄くなるほど電池容量が増大する傾向を持つ
ことが分った。よって、実施例のリチウム−酸化バナジ
ウム二次電池は、アモルファスV25膜の膜厚が薄いも
のが電池容量が多くとれ特性が良好であり、最終的な二
次電池の製品は単位セルを積層するという構造から単位
当り積層数を稼げるという利点がある。
【0040】(比較例4)高周波スパッタ装置を用いて
ステンレス鋼板上にV25膜を形成する際、成膜チャン
バ60内の真空度を1.1×10-6〜1.9×10-6
ール、放電ガス中のアルゴンガス流量を20sccm、
酸素ガスの流量を3.0sccm、放電ガスのガス圧を
0.8×10-2〜1.0×10-2トールとし、かつ、V
25膜の膜厚を600〜8500Åの範囲で変更した以
外は前記比較例1と同様にしてリチウム−酸化バナジウ
ム二次電池(サンプルNo.10〜14)を作製した。
ここで用いた高周波スパッタ装置としては、ターゲット
12の裏面にフェライト製永久磁石が置かれていない以
外は比較例1と同様の高周波スパッタ装置を用いた。そ
して、作製した各リチウム−酸化バナジウム二次電池
(サンプルNo.10〜14)の膜厚と電池容量との関
係について調べた。その結果を表4及び図13に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4及び図13に示した結果から明らかな
ようにV25膜を高周波スパッタリング法により形成し
た比較例のリチウム−酸化バナジウム二次電池は、電流
密度が10μA/cm2のとき600Åでは130mA
h/gであるが、膜厚が1200Åと2500Åではそ
れぞれ320mAh/g、350mAh/gに上昇し、
さらに、膜厚が4500Å、8500Åと厚くするとい
ずれも300mAh/gと容量密度が落ち着き、膜厚が
2000Å付近で最大の容量密度を持つことが分った。
それはV25の膜厚を600Åから1200Åに厚くす
ると単純にリチウムイオンを取り込む部屋(層)が増え
る効果が現われるが、2000Å付近を越える厚さにな
るとリチウムイオンを取り込む部屋(層)が増えるにも
係わらず、集電体であるステンレス鋼板までのリチウム
イオンの移動距離が大きくなりその移動に時間がかか
り、容量密度としてのみかけのリチウムイオンの収納量
が増加しないためであると考えられる。よって比較例の
リチウム−酸化バナジウム二次電池は、特に、V25
膜厚が1000Å付近より薄い場合、実施例のリチウム
−酸化バナジウム二次電池に比べて容量密度が小さく、
電池容量が小さいことがわかる。また、比較例のリチウ
ム−酸化バナジウム二次電池では、V25の膜厚が厚く
なるほど、成膜時間が長くなり、ステンレス鋼板の温度
が上昇し、V25結晶の配向性が高まり、アモルファス
構造が減少してくることがわかった。
【0043】(実施例4)成膜チャンバ内10内に供給
する放電ガス中のアルゴンガスの流量に対する酸素ガス
の流量を0〜40%の範囲で変更した以外は実施例1と
同様にしてリチウム−酸化バナジウム二次電池を作製
し、酸素ガスの流量による電池特性への影響について調
べた。その結果を表5に示す。
【0044】
【表5】 表5中、*1は(3.4+2.0V)×150mAh/
g×1/2 *2は(3.6+2.0V)×170mAh/g×1/
2 *3は(3.7+2.0V)×200mAh/g×1/
2 *4は(3.8+2.0V)×440mAh/g×1/
【0045】上記表5に示した結果から明らかなように
25膜を対向ターゲット式スパッタリング法により形
成した実施例のリチウム−酸化バナジウム二次電池は、
酸素ガスの流量を多くすると、放電開始電圧が高く、多
くの回数充放電を繰り返しても電圧の低下を少なくする
ことができ、また、エネルギー密度も大きくなってお
り、特に、酸素ガスの流量を40%としたときは、1サ
イクル目より10サイクル目の方が放電開始電圧が高い
うえ、後述の高周波スパッタリン時に酸素ガスの流量を
15%とした比較例5のリチウム−酸化バナジウム二次
電池に比べてエネルギー密度が大幅に大きいことが分
る。
【0046】(比較例5)高周波スパッタ装置を用いて
ステンレス鋼板上にV25膜を形成する際、成膜チャン
バ60内の真空度を1.0×10-6〜1.5×10-6
ール、高周波電源に投入する出力を1.0kw/数w〜
1.5kw/数wとし、かつ、放電ガス中の酸素ガスの
流量を0〜4.5sccm(アルゴンガスの流量に対す
る酸素ガスの流量を0〜15%)の範囲で変更した以外
は前記比較例1と同様にしてリチウム−酸化バナジウム
二次電池を作製し、酸素ガスの流量による電池特性への
影響について調べた。その結果を表6に示す。
【0047】
【表6】 表6中、*5は(3.4+2.0V)×120mAh/
g×1/2 *6は(3.6+2.0V)×145mAh/g×1/
2 *7は(3.7+2.0V)×125mAh/g×1/
2 *8は(3.7+2.0V)×270mAh/g×1/
【0048】上記表6に示した結果から明らかなように
25膜を高周波スパッタリング法により形成した比較
例5のリチウム−酸化バナジウム二次電池は、酸素ガス
の流量を15%と多くしてもエネルギー密度が最大でも
770Wh/kgであり、実施例4のリチウム−酸化バ
ナジウム二次電池に比べて電池特性が劣ることが分っ
た。また、比較例5の二次電池では、酸素ガスの流量を
15%より多くすると、スパッタ速度が低下し、成膜が
困難であった。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明のリチウム二
次電池にあっては、特に、正極活物質として集電体の少
なくとも一面に形成されたアモルファス酸化バナジウム
膜が用いられたことにより、充放電時に電子(e-)が
アモルファス酸化バナジウム膜からなる正極活物質内を
移動しやすく、正極活物質の導電性は良く、正極活物質
中でのイオンと電子のやりとりがスムーズに行われ、ま
た、前記アモルファス酸化バナジウム膜は膜厚を薄くし
ても電池容量が低下しないので、従来の正極活物質に比
べて膜厚を薄くすることができ、よって正極活物質内を
電子(e-)が移動する時間を短縮することができ、電
子(e-)が正極活物質と集電体との界面に達し易い。
従って、本発明のリチウム二次電池によれば、電池容量
を低下させることなく、正極活物質の厚みを薄くするこ
とができるので、薄型・小型化が可能で、かつ充放電特
性が優れ、このような特性を備えたリチウム二次電池を
電子・電気機器に用いると、これら電子・電気機器も小
型・軽量化できるという利点がある。
【0050】また、本発明のリチウム二次電池の製造方
法にあっては、特に、前述のような構成の対向ターゲッ
ト式スパッタ装置を用い、イオン化された放電ガスによ
り叩き出されたターゲットの構成粒子を集電体の少なく
とも一面に堆積させてアモルファス酸化バナジウム膜か
らなる正極活物質を形成する工程を少なくとも備えるよ
うにしたことにより、集電体がプラズマに触れないた
め、集電体の温度が上昇しにくく、かつ成膜時間も数分
程度と短いため酸化バナジウム膜の結晶化が進みにくい
ので、非晶質すなわちアモルファスの酸化バナジウム膜
が形成され易い。また、このアモルファスの酸化バナジ
ウム膜は、膜厚を薄くしても電池容量が低下しないの
で、従来の正極活物質と比べて膜厚を薄くすることこと
ができるので、短時間で成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の正極用活物質を用いた正極における
放電反応を模式的に示した説明図である。
【図2】 本発明における正極活物質の製造に好適に用
いられる対向ターゲット式スパッタ装置の例を示す概略
構成図である。
【図3】 本発明に係るコイン型電池の例を示した断面
図である。
【図4】 本発明に係るペーパー型電池の例を示した断
面図である。
【図5】 実施例1のリチウム−酸化バナジウム二次電
池を自動充放電装置に接続した状態を示す図である。
【図6】 実施例1で作製した正極材のX線回折結果を
示すグラフである。
【図7】 比較例1の正極活物質の製造に用いた高周波
スパッタ装置を示す概略構成図である。
【図8】 比較例1で作製した正極材のX線回折結果を
示すグラフである。
【図9】 実施例2のリチウム−酸化バナジウム二次電
池の充放電試験結果を示すグラフである。
【図10】 比較例2のリチウム−酸化バナジウム二次
電池の充放電試験結果を示すグラフである。
【図11】 比較例3のリチウム−酸化バナジウム二次
電池の充放電試験結果を示すグラフである。
【図12】 実施例2のリチウム−酸化バナジウム二次
電池の膜厚と電池容量との関係について調べた結果を示
すグラフである。
【図13】 比較例4のリチウム−酸化バナジウム二次
電池の膜厚と電池容量との関係について調べた結果を示
すグラフである。
【図14】 従来の正極活物質を用いた正極における放
電反応を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
1・・・集電体、3・・・正極活物質、5・・・電解質、10・・・
成膜チャンバ、11・・・基材ホルダ、12・・・ターゲッ
ト、13・・・永久磁石(磁界発生装置)、14・・・直流電
源、21,31・・・正極集電体、22,32・・・正極活物
質、23,33・・・負極集電体、24,34・・・負極活物
質、35・・・電解質、40・・・リチウム−酸化バナジウム
二次電池。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極活物質として集電体の少なくとも一
    面に形成されたアモルファス酸化バナジウム膜が用いら
    れ、負極活物質としてリチウムまたはリチウム合金が用
    いられ、電解質に非水電解質溶液又は固体電解質が用い
    られてなることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記アモルファス酸化バナジウム膜の膜
    厚が100〜1000Åであることを特徴とする請求項
    1記載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 前記アモルファス酸化バナジウム膜が対
    向ターゲット式スパッタリング法により形成されたもの
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウム
    二次電池。
  4. 【請求項4】 正極活物質が形成される集電体を保持す
    る基材ホルダと、対向配置された一対のターゲットと、
    これらターゲットにそれぞれ設けられて前記一対のター
    ゲット間に磁界を形成する磁界発生装置とが収容された
    真空排気可能な成膜チャンバと、前記一対のターゲット
    間の磁界に電界をかけてプラズマを発生させる電源とを
    備えてなり、前記ターゲットが正極活物質と同種の金属
    材料からなるものであり、かつ前記基材ホルダが前記一
    対のターゲット間に発生するプラズマ領域の外に配置さ
    れてなる対向ターゲット式スパッタ装置を用い、前記成
    膜チャンバを真空排気した後、該成膜チャンバ内に放電
    ガスを導入するとともに前記一対のターゲット間に電界
    をかけてプラズマを発生させて放電ガスをイオン化し、
    イオン化された放電ガスにより前記ターゲットの構成粒
    子を叩きだして基材ホルダに保持された集電体の少なく
    とも一面に堆積させてアモルファス酸化バナジウム膜か
    らなる正極活物質を形成する工程を少なくとも備えるこ
    とを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10149822A (ja) * 1996-11-20 1998-06-02 Sanyo Electric Co Ltd 非水電解液二次電池
JP2000228186A (ja) * 1999-02-08 2000-08-15 Wilson Greatbatch Ltd 物理的に蒸着された電極部品およびその製法
WO2013011568A1 (ja) * 2011-07-19 2013-01-24 株式会社日立製作所 イオン二次電池用電極、イオン二次電池用電極の製造方法、リチウムイオン二次電池およびマグネシウムイオン二次電池

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JPWO2013011568A1 (ja) * 2011-07-19 2015-02-23 株式会社日立製作所 イオン二次電池用電極、イオン二次電池用電極の製造方法、リチウムイオン二次電池およびマグネシウムイオン二次電池

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