JPH101440A - 徐放性非経口投与製剤およびその製造方法 - Google Patents

徐放性非経口投与製剤およびその製造方法

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JPH101440A
JPH101440A JP8153660A JP15366096A JPH101440A JP H101440 A JPH101440 A JP H101440A JP 8153660 A JP8153660 A JP 8153660A JP 15366096 A JP15366096 A JP 15366096A JP H101440 A JPH101440 A JP H101440A
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Japan
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growth hormones
fatty acid
parenteral administration
tri
acid
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JP8153660A
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English (en)
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Yutaka Yamagata
豊 山縣
Masafumi Omae
雅文 御前
Kayoko Okamoto
加世子 岡本
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非経口投与製剤により、加水分解および活性
の低下を抑制し、長期間に亘り成長ホルモン類を持続的
に放出する。 【解決手段】 非経口投与製剤は、成長ホルモン類、お
よびポリグリセリンと炭素数16〜30の飽和脂肪酸と
のトリ又はテトラエステルを含有する。前記トリ又はテ
トラエステルは、常温で固体のマトリックスを構成し、
成長ホルモン類はマトリックス中に分散している。ポリ
グリセリンの平均重合度は4程度であり、飽和脂肪酸に
は、パルミチン酸、ステアリン酸などが含まれる。マト
リックスは柱状又は粒状であってもよい。非経口投与製
剤は、皮下や筋肉内に投与される固形注射剤(植込み剤
など)や座剤などとして利用でき、成長ホルモンを1週
間以上に亘り放出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成長ホルモン類を
持続して放出するのに適した徐放性非経口投与製剤およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生理活性ペプチドや蛋白質などの治療用
薬物の投与には、経口投与が広く利用されている。ま
た、薬効を長時間持続させるため、生理活性ペプチドや
蛋白質などの薬物を含む徐放性製剤についても種々提案
されている。例えば、特開平2−223533号公報に
は、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はそれを含有する
常温で固体のマトリックスに、インスリンなどのペプタ
イドや蛋白質などの薬効成分が分散しているマトリック
ス剤が開示されている。EP−A443572および対
応する特開平5−310599号公報には、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルよりなるコーテイング剤と、このコ
ーティング剤でコーティングされた製剤が開示されてい
る。特開平5−237号公報には、粉粒状のポリグリセ
リン脂肪酸エステルと薬物とを浮遊させ、前記ポリグリ
セリン脂肪酸エステルの融点近傍の温度で加熱・流動さ
せて得られる造粒物が開示されている。これらの文献に
は、製剤として細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤などが記載
されている。
【0003】しかし、生理活性ペプチドやタンパク質を
含む製剤を経口投与すると、消化酵素によりペプチド又
はタンパク質が加水分解され、消化管からの吸収率が低
下する。そのため、生理活性ペプチドやタンパク質は、
通常、筋肉内や皮下に反復して注射する方法、静脈内に
点滴注入する方法により投与されている。これらの方法
は、極く限られた回数の注射を必要とする場合には容認
し得るが、慢性投与においては好ましくない。例えば下
垂体性小人症の治療において、良好な身長の伸びを得る
ためには、成長ホルモン0.5IU/kg/weekという量
を週7回に分けて成長期の間、投与することが必要とさ
れている(メディカルレビュー社、岡田義昭監修[ヒト
成長ホルモン]、294−316頁(1994)参
照)。その期間中、患者は大きな拘束を余儀なくされる
ので、成長ホルモン類の有効かつ経済的な投与システム
が望まれる。
【0004】非経口投与製剤に関し、特開昭63−22
012号公報には、生理活性ポリペプチドを非経口投与
して徐放化する製剤として、水不溶性のマトリクス中に
ポリペプチドを分散し圧縮成形した系が開示されてい
る。この製剤は、マトリクスが生体内で浸食されること
を利用して、生理活性ポリペプチドの放出をコントロー
ルしている。特開平6−219960号公報には、生理
活性ポリペプチドを安定に持続して放出させるため、分
子量2,000ダルトン以上の生理活性ポリペプチドを
含むポリグリセリン脂肪酸エステルの水分散液から水を
除去し、固形物を成形する非経口投与用組成物の製造方
法が開示されている。この文献の実施例では、生理活性
ポリペプチドとしてインターフェロンが使用されてい
る。特開平7−112940号公報には、長期間に亘り
生理活性ペプチド又は蛋白質を持続的に放出するため、
生理活性ペプチド又は蛋白質、およびポリグリセリンと
飽和脂肪酸とのジエステルを含む非経口投与製剤が開示
されている。この文献の実施例でもインターフェロンが
使用され、トリステアリン酸テトラグリセリドに比べて
ジステアリン酸テトラグリセリドでは、インターフェロ
ンを長期間に亘り持続的に放出できることが記載されて
いる。
【0005】前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを用い
ると、成長ホルモン類を比較的長期間に亘り放出できる
ものの、さらに長期間に亘り持続して成長ホルモン類を
放出できる製剤が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、成長ホルモン類の加水分解および活性の低下を抑制
でき、さらに長期間に亘り成長ホルモン類を持続的に放
出できる徐放性非経口投与製剤およびその製造方法を提
供することにある。本発明の他の目的は、成長ホルモン
類を高濃度で含有でき、成長ホルモン類を1週間以上と
いう長期間に亘り持続して放出できる徐放性非経口投与
製剤およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、数あるポリグリセリン
脂肪酸エステルのうち、特定のポリグリセリン脂肪酸エ
ステルと成長ホルモン類とを組合せて製剤化すると、成
長ホルモン類の徐放性が著しく改善され、成長ホルモン
類を長期間に亘り持続的に放出できることを見いだし、
本発明を完成した。すなわち、本発明の徐放性非経口投
与製剤は、成長ホルモン類、およびポリグリセリンと炭
素数16〜30の飽和脂肪酸とのトリ又はテトラエステ
ルを含有する。前記ポリグリセリンは平均重合度4のポ
リグリセリンであってもよく、飽和脂肪酸の炭素数は1
6〜22程度であってもよい。前記トリ又はテトラエス
テルは、通常、マトリックスを構成し、このマトリック
ス中に成長ホルモン類が分散している。前記成長ホルモ
ン類は製剤中に高濃度で含有でき、その含有量は、製剤
全体に対し0.01〜50重量%程度である。前記マト
リックスの形態は柱状、粒状などであってもよい。
【0008】本発明の方法では、ポリグリセリンと炭素
数16〜30の飽和脂肪酸とのトリ又はテトラエステル
の加熱溶融物に、成長ホルモン類を混合し、溶融混合物
を成形することにより、徐放性非経口投与製剤を製造す
る。なお、本明細書において、「平均重合度4のポリグ
リセリン」とは、水酸基価の末端分析法により予測され
る主たる化合物であるポリグリセリンの重合度を意味
し、テトラグリセリンのみならず、テトラグリセリンを
主成分とし、不可避的に混在するグリセリンやグリセリ
ン重合体(例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、ペ
ンタグリセリンなど)を含む混合物も含まれる。そのた
め、前記ポリグリセリンの平均重合度は3.7〜4.3
程度であってもよい。「トリエステル」とは、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルのエステル価から予測される主た
る化合物のエステル結合の平均値が3であることを意味
し、トリエステルのみならず、トリエステルを主成分と
し、不可避的に混在するジエステル、トリエステル、ペ
ンタエステルなどを含む混合物も含まれる。そのため、
トリエステルにおけるエステル結合の平均値は2.7〜
3.3程度であってもよい。
【0009】「テトラエステル」とは、ポリグリセリン
脂肪酸エステルのエステル価から予測される主たる化合
物のエステル結合の平均値が4であることを意味し、テ
トラエステルのみならず、テトラエステルを主成分と
し、不可避的に混在するエステル、ジエステル、トリエ
ステル、ペンタエステルなどを含む混合物も含まれる。
そのため、テトラエステルにおけるエステル結合の平均
値は3.7〜4.3程度であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】成長ホルモン類としては、動物種
に応じて種々の成長ホルモン類、例えば、ヒト成長ホル
モンなどが使用できる。成長ホルモン類は天然由来の成
長ホルモン類であってもよく、遺伝子組換えにより製造
された成長ホルモン類であってもよい。また、成長ホル
モン類は、糖鎖を有していてもよく、糖鎖構造が異なっ
ていてもよい。さらに、成長ホルモン類には、突然変異
体、誘導体、類縁体、または活性フラグメントなども含
まれる。成長ホルモン類の活性を相加または相乗的に高
める効果を有する他の成分(例えば、IGF−1)は、
成長ホルモン類と組合せて使用するのが有用である。こ
のような成分は、1種又は2種以上用いて、前記成長ホ
ルモン類と組合せることができる。これら成長ホルモン
類としては、薬理活性や低毒性が確認されている市場か
ら入手できるものが好都合に適用できる。
【0011】本発明の特色は、無数に存在するポリグリ
セリン脂肪酸エステルのうち特定のポリグリセリン脂肪
酸エステルと成長ホルモン類とを組合せることにより、
高い活性を維持しつつ成長ホルモン類を長期間に亘り徐
放する点にある。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおい
て、ポリグリセリンとは、「1分子中にn個(環状)〜
n+2個(直鎖・分枝状)の水酸基と、n−1個の(直
鎖・分枝状)のエーテル結合を有する多価アルコール」
(”ポリグリセリンエステル”阪本薬品工業株式会社編
集、発行(1986年5月2日)第12頁)である。ポ
リグリセリンは、グリセリンの脱水縮合、グリセリン蒸
留残分からの回収により得ることができる。ポリグリセ
リンとしては、例えば、ジグリセリン、トリグリセリ
ン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリ
セリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグ
リセリン、デカグリセリン、ペンタデカグリセリン、エ
イコサグリセリン、トリラグリセリン、トリアコンタグ
リセリンなどが挙げられる。好ましいポリグリセリンに
は、平均重合度2〜6程度、好ましくは3〜5程度(例
えば、3.5〜4.5程度)、特に平均重合度4のポリ
グリセリン(すなわち、前記のように平均重合度3.7
〜4.3程度のポリグリセリン)が含まれる。
【0012】本発明においては、前記ポリグリセリンの
脂肪酸エステルのうち、(a)炭素数16〜30の飽和
脂肪酸とのトリ又はテトラエステルを用いる。脂肪酸が
不飽和脂肪酸であったり、飽和脂肪酸の炭素数が上記範
囲を外れると、成長ホルモン類が早期に放出され、徐放
性が顕著に低下する。また、平均重合度4のポリグリセ
リンと炭素数16〜30の飽和脂肪酸とのエステルであ
っても、モノエステルやジエステル、ペンタエステルな
どである場合にも、成長ホルモン類の徐放性が必ずしも
満足のいくものではない。前記飽和脂肪酸としては、例
えば、パルミチン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、ア
ラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モ
ンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。好ましい飽和
脂肪酸には、炭素数16〜22の脂肪酸(例えば、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など)、特にパルミ
チン酸およびステアリン酸などが含まれる。
【0013】これらの飽和脂肪酸のトリ又はテトラエス
テルは、単一の脂肪酸または二種以上の混合脂肪酸のト
リ又はテトラエステルであってもよい。前記ポリグリセ
リンと飽和脂肪酸とのトリ又はテトラエステルとして
は、例えば、平均重合度2のポリグリセリンと前記飽和
脂肪酸とのトリエステル(特にトリC16-22飽和脂肪酸
ジグリセリド)、例えば、トリパルミチン酸ジグリセリ
ド、トリステアリン酸ジグリセリド、トリベヘン酸ジグ
リセリドなど;平均重合度2のポリグリセリンと前記飽
和脂肪酸とのテトラエステル(特にテトラC16-22飽和
脂肪酸ジグリセリド)、例えば、テトラパルミチン酸ジ
グリセリド、テトラステアリン酸ジグリセリド、テトラ
ベヘン酸ジグリセリドなど;平均重合度3のポリグリセ
リンと前記飽和脂肪酸とのトリエステル(特にトリC
16-22飽和脂肪酸トリグリセリド)、例えば、トリパル
ミチン酸トリグリセリド、トリステアリン酸トリグリセ
リド、トリベヘン酸トリグリセリドなど;平均重合度3
のポリグリセリンと前記飽和脂肪酸とのテトラエステル
(特にテトラC16-22飽和脂肪酸トリグリセリド)、例
えば、テトラパルミチン酸トリグリセリド、テトラステ
アリン酸トリグリセリド、テトラベヘン酸トリグリセリ
ドなど;平均重合度4のポリグリセリンと前記飽和脂肪
酸とのトリエステル(特にトリC16-22飽和脂肪酸テト
ラグリセリド)、例えば、トリパルミチン酸テトラグリ
セリド、トリダチュリン酸テトラグリセリド、トリステ
アリン酸テトラグリセリド、トリアラキン酸テトラグリ
セリド、トリベヘン酸テトラグリセリド、トリリグノセ
リン酸テトラグリセリド、トリセロチン酸テトラグリセ
リド、トリモンタン酸テトラグリセリド、トリメリシン
酸テトラグリセリドなど;平均重合度4のポリグリセリ
ンと前記飽和脂肪酸とのテトラエステル(特にテトラC
16-22飽和脂肪酸テトラグリセリド)、例えば、テトラ
パルミチン酸テトラグリセリド、テトラダチュリン酸テ
トラグリセリド、テトラステアリン酸テトラグリセリ
ド、テトラアラキン酸テトラグリセリド、テトラベヘン
酸テトラグリセリド、テトラリグノセリン酸テトラグリ
セリド、テトラセロチン酸テトラグリセリド、テトラモ
ンタン酸テトラグリセリド、テトラメリシン酸テトラグ
リセリドなど;平均重合度5のポリグリセリンと前記飽
和脂肪酸とのトリエステル(特にトリC16-22飽和脂肪
酸ペンタグリセリド)、例えば、トリパルミチン酸ペン
タグリセリド、トリステアリン酸ペンタグリセリド、ト
リベヘン酸ペンタグリセリドなど;平均重合度5のポリ
グリセリンと前記飽和脂肪酸とのテトラエステル(特に
テトラC16-22飽和脂肪酸ペンタグリセリド)、例え
ば、テトラパルミチン酸ペンタグリセリド、テトラステ
アリン酸ペンタグリセリド、テトラベヘン酸ペンタグリ
セリドなど;平均重合度6のポリグリセリンと前記飽和
脂肪酸とのトリエステル(特にトリC16-22飽和脂肪酸
ヘキサグリセリド)、例えば、トリパルミチン酸ヘキサ
グリセリド、トリステアリン酸ヘキサグリセリド、トリ
ベヘン酸ヘキサグリセリドなど;平均重合度6のポリグ
リセリンと前記飽和脂肪酸とのテトラエステル(特にテ
トラC16-22飽和脂肪酸ヘキサグリセリド)、例えば、
テトラパルミチン酸ヘキサグリセリド、テトラステアリ
ン酸ヘキサグリセリド、テトラベヘン酸ヘキサグリセリ
ドなどが例示できる。これらのトリエステル又はテトラ
エステルは単独で又は二種以上組み併せて使用でき、ト
リエステルとテトラエステルとを組み合わせて使用して
もよい。
【0014】また、上記脂肪酸が混合されたトリ又はテ
トラエステル(例えば、モノパルミチン酸ジステアリン
酸テトラグリセリド、ジパルミチン酸モノステアリン酸
テトラグリセリド、ジパルミチン酸モノベヘン酸テトラ
グリセリド、ジステアリン酸モノベヘン酸テトラグリセ
リド、モノパルミチン酸トリステアリン酸テトラグリセ
リド、ジパルミチン酸ジステアリン酸テトラグリセリ
ド、ジパルミチン酸ジベヘン酸テトラグリセリド、ジス
テアリン酸ジベヘン酸テトラグリセリドなど)も用いる
ことができる。好ましいトリ又はテトラエステルには、
平均重合度4のポリグリセリンとC16 -22飽和脂肪酸と
のトリ又はテトラエステル、とりわけ融点が約45℃〜
約65℃のものが好ましい。より具体的には、例えば、
トリパルミチン酸テトラグリセリド(融点約48℃)、
トリステアリン酸テトラグリセリド(融点約50℃)、
トリベヘン酸テトラグリセリド(融点約60℃)、テト
ラパルミチン酸テトラグリセリド(融点約48℃)、テ
トラステアリン酸テトラグリセリド(融点約50℃)、
テトラベヘン酸テトラグリセリド(融点約50℃)など
が含まれる。
【0015】前記トリ又はテトラエステルは、成長ホル
モン類の高次構造の変性、加水分解を抑制でき、高い活
性を維持できる。また、トリ又はテトラエステルと組み
合わせることにより、投与初期において成長ホルモン類
の過大な放出を抑制できるとともに、長期間に亘り成長
ホルモン類を持続的に放出できる。さらに、トリ又はテ
トラエステルは食品添加用乳化剤であり、生体内での安
全性は既に確認されているだけでなく、生体内で最終的
に吸収され、しかも抗原性を示さない。本発明の製剤
は、成長ホルモン類と前記トリ又はテトラエステルとを
含有する。前記トリ又はテトラエステルは、マトリック
スを構成し、通常、成長ホルモン類が前記トリ又はテト
ラエステル中に分散しているのが好ましい。前記マトリ
ックスは、常温(5℃〜35℃)で固体であるのが好ま
しく、通常、成長ホルモン類が前記トリ又はテトラエス
テル中に均一に分散している。なお、製造段階で成長ホ
ルモン類が、溶融した前記トリ又はテトラエステル中に
溶解した場合も、均一に混合することにより、室温では
固体で分散した製剤とするのが好ましい。このような製
剤は、投与初期において成長ホルモン類の大きな放出を
抑制し、かつその高次構造を保持したまま長期間に亘り
徐放するという特色がある。
【0016】成長ホルモン類と前記トリ又はテトラエス
テルとを組み合わせると、成長ホルモン類の含有量を増
大でき、成長ホルモン類が高含量の製剤を得ることがで
きる。そのため、徐放性と相俟って、長期間に亘り持続
して成長ホルモン類を放出できる。成長ホルモン類の割
合は、広い範囲で選択でき、例えば、前記2つの成分
(成長ホルモン類とトリ又はテトラエステル)で構成さ
れた製剤全体に対して、0.001〜50重量%(例え
ば、0.01〜50重量%)、好ましくは0.01〜4
0重量%(例えば、0.1〜30重量%)、さらに好ま
しくは1〜30重量%(例えば、5〜20重量%)程度
である。なお、マトリクスには、必要に応じて、固型製
剤の分野で使用される慣用の成分、例えば、賦型剤、結
合剤、崩壊剤などを添加してもよく、安定化剤、保存剤
などの種々の添加剤を添加してもよい。安定化剤として
は、例えば、ゼラチン、アルゴミン、グロブミン、プロ
タミン、トレハロース、D−フルコース、デキストラ
ン、亜鉛、プロタミンなどが挙げられ、保存剤として
は、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類(例えば、
メチルパラペン、プロピルパラペンなど)、ベンジルア
ルコール、クロロブタノール、チメロサールなどが挙げ
られる。
【0017】本発明の徐放性非経口投与製剤は、非経口
的に投与可能な形態であればよいが、通常、患者に過度
の苦痛を与えることのない投与形態のマトリックス、例
えば、サイズが小さなマトリックスで構成される場合が
多い。本発明の特徴は、注射針などにより投与可能な小
さなマトリックスであっても、長期間に亘り成長ホルモ
ン類を徐放できることにある。例えば、本発明の製剤に
おいて、成長ホルモン類の持続時間は、成長ホルモン類
を単独で投与した場合に比べて、血液中の持続時間が長
く、例えば、7日以上である。通常、10日以上に亘る
持続も達成できる。そのため、製剤の投与回数、患者に
与える苦痛を著しく低減できる。前記製剤は、例えば、
皮下や筋肉内に投与される固形注射剤(植込み剤など)
や、座剤などの粘膜吸収剤として利用できる。剤形は、
投与形態に応じて、例えば、散剤、顆粒剤、丸剤などの
粉粒状、植込み用錠剤などの偏平状、楕円状、棒状又は
柱状、座剤などの球状や卵形状などであってもよい。な
お、注射剤として用いる場合には、注射針で投与可能な
柱状又は粒状である場合が多い。好ましい製剤の形状に
は、角柱状、円柱状などの柱状および球状などの粒状が
含まれる。
【0018】本発明の非経口製剤の大きさも、投与形態
に応じて選択でき、患者に過度の苦痛を与えることのな
い大きさであればよい。注射剤としては、柱状マトリッ
クスで構成されている場合、例えば、直径3mm以下
(例えば、0.1〜3mm)、長さ30mm以下(例え
ば、0.5〜30mm)、好ましくは14G以下の注射
針で投与可能な直径1.3mm以下(例えば、0.1〜
1.2mm)、長さが20mm以下(例えば、0.5〜
20mm)、さらに好ましくは直径0.1〜1mm、長
さ1〜20mm程度であり、円柱が好ましい。また、粒
状マトリックスで構成された注射剤の粒径は、最大直径
1mm以下(例えば、0.1μm〜1mm程度)、好ま
しくは150μm以下(例えば、0.5〜100μm程
度)、さらに好ましくは1〜100μm程度である。ま
た、マトリックスの重量は、製剤の形態に応じて選択で
き、注射剤においては、例えば、40mg以下、好まし
くは1〜25mg程度である場合が多い。
【0019】本発明の製剤は、公知の方法によって製造
することができる。例えば、特開平6−219960号
公報に記載の方法で製造することができる。また、溶融
造粒法でも製造できる。本発明の製剤の製造方法として
は、成長ホルモン類を変性させる有機溶媒を用いない方
法、例えば、加熱溶融したポリグリセリンの飽和脂肪酸
トリ又はテトラエステルと成長ホルモン類とを混合し、
溶融混合物を成形する方法が好ましい。この場合、加熱
温度としては、トリ又はテトラエステルの融点付近で加
熱し、溶融乃至軟化させることが好ましい。溶融乃至軟
化させた後、成長ホルモン類を添加し、両者が均一に混
合されるまで、撹拌などの流動下で混合する。なお、成
長ホルモン類は、水溶液中では熱力学的に不安定である
が、例えば凍結乾燥粉末などのように固体状態では予想
外に安定である。そのため、乾燥粉末などの固体粉粒状
の成長ホルモン類は、添加し均一に混合するのが好まし
い。
【0020】また、溶融混合物の成形に際しては、製剤
の形態に応じた成形法が採用でき、例えば、注射剤であ
る場合には、溶融混合物を注射針で吸引し、押出すこと
により柱状に成形でき、溶融混合物を回転板上に滴下
し、転動させることにより球状に成形できる。また、溶
融混合物を、噴霧し冷却することにより、微粒子状製剤
とすることもでき、ペレット状などの成形物をジェット
ミルなどの粉砕手段に供し、微粒子状製剤とすることも
可能である。このようにして得られる本発明の成長ホル
モン類の製剤は、毒性が低く、安全性が高いので、ヒト
を含む哺乳類に安全に投与できる。本発明の製剤は、成
長ホルモン作用を発揮し、成長を促進するために有用で
ある。本発明の製剤は、特に下垂体性小人症,Turn
er症候群,正常低身長者,小児慢性腎疾患,軟骨異栄
養症、成人成長ホルモン分泌不全症などの治療などのた
め、成長ホルモン類の通常の使用法に準じてヒトなどに
投与できる。その投与量は、患者の疾患および重篤度な
どによるが、通常、体重1kgおよび1週間当たり、
0.01〜50 IU(International Unit国際単位,
1 IU=2〜3mg蛋白質)、好ましくは0.1〜1
0 IU、特に0.5〜1.0 IU程度になるように投
与される。
【0021】
【発明の効果】本発明の徐放性非経口投与製剤は、成長
ホルモン類と特定のポリグリセリン脂肪酸エステルとを
組合せているので、成長ホルモン類の高次構造の変性、
加水分解および活性の低下を抑制できると共に、投与初
期に過大な放出がなく、長期間に亘り成長ホルモン類を
持続的に放出できる。また、前記ポリグリセリン脂肪酸
エステルは、抗原性がなく、最終的に生体内に吸収され
ると共に、上記製剤は、成長ホルモン類を高濃度で含有
でき、成長ホルモン類を1週間以上という長期間に亘り
放出できる。本発明の方法では、トリ又はテトラエステ
ルの溶融物と成長ホルモン類との混合、および成形とい
う簡単な操作で、前記の如き特性を有する非経口投与製
剤を得ることができる。
【0022】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 実施例1 トリパルミチン酸テトラグリセリド(エステル結合の数
3.0、阪本薬品工業(株)製)255mgを加熱して
溶融した後、成長ホルモン凍結乾燥末45mgを添加混
合した。溶融混合物の一部を16Gの注射針で吸引し、
室温にて冷却した後、押し出し成型し、円柱状のマトリ
クス製剤(直径1mm、長さ12mm、重さ約15m
g)を得た。 実施例2 テトラパルミチン酸テトラグリセリド(エステル結合の
数4.0、阪本薬品工業(株)製)255mgを加熱し
て溶融した後、成長ホルモン凍結乾燥末45mgを添加
混合した。溶融混合物の一部を16Gの注射針で吸引
し、室温にて冷却した後、押し出し成型し、円柱状のマ
トリクス製剤(直径1mm、長さ12mm、重さ約15
mg)を得た。
【0023】実験例 雄性SDラット(6週齢)(日本クレア(株)より購
入)の背部皮下に、14Gの注射針を用いて、実施例1
および実施例2のマトリックス製剤を、それぞれ15m
g投与した。なお、各マトリックス製剤は3mgの成長
ホルモンを含んでいる。また、コントロールとして、成
長ホルモン3mgを含む成長ホルモン水溶液を用いた。
投与後、経時的に尾静脈より0.5mlの血液を採取し
血清サンプルを得た。なお、各血清サンプルは、それぞ
れ3匹のラットから調製し、各血清中の成長ホルモン濃
度を、RIA(AbビーズHGH栄研,栄研化学
(株))にて測定し、平均値を算出した。表1に投与後
の時間経過に伴う血清中の成長ホルモン濃度の平均値を
示す。なお、表1において、「ND」は検出不可能であ
ったことを示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1より、ポリグリセリン高級脂肪酸エス
テルの中で、トリパルミチン酸テトラグリセリドを用い
た実施例1およびテトラパルミチン酸テトラグリセリド
を用いた実施例2の製剤は、成長ホルモンを1週間以上
に亘り持続的に放出し、成長ホルモンの放出時間は、コ
ントロールの3倍以上であった。しかも、実施例1およ
び実施例2の製剤は投与初期に大きな放出が認められな
かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 9/14 AEE A61K 9/22 D 9/22 47/14 B C 47/14 9/14 L AEEK

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成長ホルモン類、およびポリグリセリン
    と炭素数16〜30の飽和脂肪酸とのトリ又はテトラエ
    ステルを含有する徐放性非経口投与製剤。
  2. 【請求項2】 ポリグリセリンが平均重合度4のポリグ
    リセリンである請求項1記載の徐放性非経口投与製剤。
  3. 【請求項3】 成長ホルモン類が、トリ又はテトラエス
    テル中に分散している請求項1記載の徐放性非経口投与
    製剤。
  4. 【請求項4】 トリ又はテトラエステルがマトリックス
    を構成している請求項1記載の徐放性非経口投与製剤。
  5. 【請求項5】 飽和脂肪酸の炭素数が16〜22である
    請求項1記載の徐放性非経口投与製剤。
  6. 【請求項6】 成長ホルモン類が、製剤全体に対し0.
    01〜50重量%含有されている請求項1記載の徐放性
    非経口投与製剤。
  7. 【請求項7】 マトリックスが柱状又は粒状である請求
    項4記載の徐放性非経口投与製剤。
  8. 【請求項8】 下垂体性小人症治療剤である請求項1記
    載の徐放性非経口投与製剤。
  9. 【請求項9】 ポリグリセリンと炭素数16〜30の飽
    和脂肪酸とのトリ又はテトラエステルの加熱溶融物に、
    成長ホルモン類を混合し、溶融混合物を成形する徐放性
    非経口投与製剤の製造方法。
JP8153660A 1996-06-14 1996-06-14 徐放性非経口投与製剤およびその製造方法 Withdrawn JPH101440A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007009383A1 (fr) * 2005-07-19 2007-01-25 Genescience Pharmaceuticals Co., Ltd. Suppositoire rectal de proteine et son procede de preparation et son utilisation

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