JPH10143673A - 画像処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 撮像条件や対象物の種類に関わらず、簡単か
つ正確にしきい値を設定する。 【解決手段】 良好な品質を有する対象物モデルの画像
が画像メモリ６内に格納されると、濃度分布抽出部７
は、このモデル画像上の所定の計測領域についてｘ軸方
向における濃度分布曲線を作成する。またこのときオペ
レータは、入力部５によりこの計測領域内の所定のエッ
ジ位置を指定する。しきい値設定部８は、前記濃度分布
曲線上でこの指定された位置に対応する濃度値を抽出
し、その抽出値をエッジ抽出のためのしきい値としてし
きい値記憶部９に格納する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、対象物を撮像して得
られた画像上でこの対象物の輪郭を表すエッジを抽出す
る機能を具備する画像処理装置に関連し、殊にこの発明
は、前記画像処理装置において、エッジを抽出するため
のしきい値を設定する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、工場の検査ラインでは、完成した
製品を検査対象物として順次テレビカメラにより撮像し
た後、画像処理装置によりその画像上で対象物の輪郭を
示すエッジを抽出し、対象物の形状や大きさの良否を判
別する方法が広く導入されている。上記のエッジ抽出
は、前記画像上の所定方向における濃淡分布をサーチ
し、隣接する画素間で所定のしきい値を越える濃度変化
が現れる位置を抽出することにより行われるもので、検
査に先立ち、適切なしきい値を設定し、画像処理装置に
登録しておく必要がある。

【０００３】前記しきい値の設定処理は、良好な品質を
有する対象物モデルを撮像して得られた画像（以下これ
を「モデル画像」という）を用いて行われる。図５は、
モデル画像の具体例を示すもので、オペレータは、モニ
タに表示されたモデル画像上で抽出すべきエッジが含ま
れるように所定の計測領域Ｒを設定する。

【０００４】上記計測領域Ｒが設定されると、画像処理
装置の制御部は、この計測領域内のエッジ抽出方向（図
示例ではｘ軸方向とする）における濃度分布を抽出す
る。この濃度分布は、計測領域Ｒ内でｘ座標を同じくす
る画素毎の濃度平均値を算出した後、各平均値を前記ｘ
座標と対応づけてプロットした結果により示されるもの
で、プロットされた各点により図６に示すような濃度分
布曲線（ｘ，ｆ（ｘ））を特定すれば、エッジ抽出方向
における濃度変化を画素レベルよりも細かい単位で把握
することができる。

【０００５】制御部は、この濃度分布曲線上で濃度の最
大値ｍａｘと最小値ｍｉｎとをそれぞれ抽出し、これら
抽出値の中間に位置する濃度値Ｌを前記エッジ抽出のた
めのしきい値とするもので、設定されたしきい値は内部
のメモリ内に記憶される。以後の検査においても、対象
物を撮像して得られた画像から上記と同様の方法で濃度
分布曲線が生成され、この曲線上で前記しきい値Ｌに対
応する位置のｘ座標（図６中、ｘ₁ ，ｘ₂ で示す）がエ
ッジ位置として認識される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記の方法は、対象物
の画像部分と背景の画像部分とがそれぞれ一様な濃度で
あることを前提としたもので、モデル画像がこの条件を
満たす場合には、エッジ抽出に必要なしきい値を簡単か
つ正確に設定することができる。しかしながら画像上に
照明などの影響による濃度むらが生じていたり、模様な
どの濃淡差を有する対象物を検査する場合には、画像上
のエッジ部分の濃度は必ずしも濃度分布の中間値に対応
しないため、適切なしきい値を設定されない虞がある。

【０００７】この発明は上記問題点に着目してなされた
もので、オペレータが抽出対象となるエッジに関わる情
報を入力し、対象物の画像上の濃度分布からこの入力デ
ータに対応する濃度値をエッジ抽出のためのしきい値と
して設定することにより、撮像条件や対象物の種類にか
かわらず、簡単かつ正確にしきい値を設定することを技
術課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明では、対
象物を撮像して得られた画像上でこの対象物の輪郭を表
すエッジを抽出する画像処理装置に、前記画像上でエッ
ジ抽出方向における濃度分布を抽出する濃度分布抽出手
段と、前記画像上で抽出対象となるエッジの位置を指定
する指定手段と、前記濃度分布上の前記指定手段により
指定された位置に対応する濃度値をエッジ抽出のための
しきい値として設定するしきい値設定手段とを具備させ
ている。

【０００９】請求項２の発明では、前記画像処理装置
に、請求項１と同様の濃度分布抽出手段と、前記対象物
の大きさの実測値に基づきエッジ間の距離に関わるデー
タを入力する入力手段と、前記濃度分布上で前記入力手
段からの入力データに対応する距離だけ離れて分布する
濃度値を抽出し、この抽出値をエッジ抽出のためのしき
い値として設定するしきい値設定手段とを具備させてい
る。

【００１０】

【作用】請求項１の発明では、対象物を撮像して得られ
た画像上でエッジ抽出方向における濃度分布を抽出する
とともに、オペレータにより抽出対象となるエッジの位
置を指定する。これにより前記濃度分布上の指定された
位置に対応する濃度値がエッジ抽出のためのしきい値と
して設定される。

【００１１】また請求項２の発明では、前記と同様の濃
度分布を抽出するとともに、オペレータにより対象物の
大きさの実測値に基づくエッジ間の距離に関わるデータ
が入力された後、前記濃度分布上でこの入力データに対
応する距離だけ離れて分布する濃度値がしきい値として
設定される。このような方法によれば、背景や対象物の
画像部分が一様な濃度を有していなくとも、対象物の輪
郭部分を抽出可能な正確なしきい値を設定することが可
能となり、以後同様の条件で撮像された画像においても
対象物の輪郭を正しく抽出することができる。

【００１２】

【実施例】図１は、この発明の一実施例にかかる画像処
理装置の構成を示す。この画像処理装置は、ベルトコン
ベアなどにより搬送されてくる対象物を順次撮像して、
その画像により各対象物の形状や大きさの良否を判別す
るためのもので、テレビカメラ１（以下単に「カメラ
１」という），Ａ／Ｄ変換部２，Ｄ／Ａ変換部３，モニ
タ４，入力部５，画像メモリ６，濃度分布抽出部７，し
きい値設定部８，しきい値記憶部９，エッジ抽出部１
０，判別部１１，出力部１２などを構成として含んでい
る。

【００１３】前記Ａ／Ｄ変換部２は、カメラ１からのア
ナログ量の画像データをディジタル変換し、その変換後
のディジタル量の濃淡画像データを画像メモリ６へと出
力する。また同時にこの濃淡画像データはＤ／Ａ変換部
３により再びアナログデータに復号され、モニタ４へと
出力される。

【００１４】前記入力部５は、キーボード，テンキー，
マウス，トラックボールなどの装置により構成されるも
ので、オペレータは、この入力部５を用いて入力画像上
の所定位置への計測領域の設定データや、後記するエッ
ジ位置の指定データなどを入力する。

【００１５】前記入力部５により入力画像上に計測領域
が設定されると、濃度分布抽出部７は、この計測領域内
のエッジ抽出方向（ここではｘ軸方向とする）におい
て、前記図５，６により説明した従来の方法と同様の処
理を行って濃度分布曲線（ｘ，ｆ（ｘ））を作成する。

【００１６】しきい値設定部８は、検査に先立ち、モデ
ル画像を用いて、前記濃度分布曲線上のいずれかの濃度
値をエッジを抽出するためのしきい値として設定するた
めのもので、設定されたしきい値はしきい値記憶部９へ
と格納される。エッジ抽出部１０は、検査時の入力画像
からエッジ成分を抽出するためのもので、前記濃度分布
抽出部７によりこの入力画像から生成された濃度分布曲
線上で、前記しきい値記憶部９に記憶されたしきい値に
対応する点のｘ座標を、エッジ位置として特定する。

【００１７】判別部１１は、特定されたエッジ位置を用
いて対象物の大きさなどの良否を判別する。この判別結
果は、出力部１２を介して前記モニタ４，図示しないプ
リンタ，記憶装置などに出力される。

【００１８】この実施例では、良好な品質を有するモデ
ルを用いてしきい値を設定する際に、オペレータがモニ
タ４に表示されたモデル画像上のエッジ位置を指定し、
その指定データに基づいてエッジ抽出のためのしきい値
を設定するようにしている。

【００１９】図２は、前記エッジ位置の指定処理の具体
例を示す。前記モニタ４には、モデル画像のうち設定さ
れた計測領域Ｒとその近傍の画像データが拡大されて示
されており、オペレータは、マウスポインタ１３などを
用いてこの画像上の所定のエッジ構成点を指定する。し
きい値設定部８は、この指定点のｘ座標を取り込んだ
後、このモデル画像について生成された濃度分布曲線上
で前記指定点のｘ座標に対応する点の濃度値を抽出して
しきい値とする。これにより、以後の検査においては、
画素レベルよりも細かい単位での濃度変化をもって、エ
ッジを抽出することができる。

【００２０】なお、モデル画像上で指定する点は一点に
限らず、複数の点またはエッジ上の所定の画像領域を指
定しておき、前記濃度分布曲線上でこれら指定された各
点に対応する濃度値の平均値を算出して、しきい値とし
てもよい。このように複数点を用いれば、画像上の対象
物と背景との境界部分に濃淡むらがある場合にも適正な
しきい値を設定することが可能である。

【００２１】また上記のようにモデル画像上で実際のエ
ッジ位置を指定する方法に代えて、対象物の実際の大き
さに関わるデータを入力し、前記モデル画像から得られ
た濃度分布曲線上で、このデータに対応する分布を示す
濃度値を抽出するようにしてもよい。

【００２２】例えば、画像上の垂直方向のエッジ成分を
抽出する場合、オペレータは、入力部から対象物の横幅
の実測値ｄとカメラの撮像倍率ｃとを入力する。この入
力を受けたしきい値設定部８は、図３に示すように、前
記濃度分布曲線上の各ｘ座標位置において、そのｘ座標
に対応する濃度値ｆ（ｘ）とこの位置から距離ｄ／ｃだ
け離れた位置に対応する濃度値ｆ（ｘ＋ｄ／ｃ）とを比
較してゆき、両者が一致する位置ｘ₀ での濃度値Ｍを、
前記しきい値として設定する。なおデータの入力方法は
上記に限らず、あらかじめオペレータによりｄ／ｃの値
を算出しておき、その算出値を入力するようにしてもよ
い。またカメラの撮像倍率ｃは内部のメモリに記憶させ
ておき、入力部からは実測値ｄのみを入力するように構
成しても良い。

【００２３】図４は、上記画像処理装置による一連の手
順を示す。まず最初のステップ１で、カメラ１の撮像エ
リアに良品モデルが搬送されて撮像が行われると、その
画像データは、モニタ４に表示されると共に、画像メモ
リ６内に格納される。

【００２４】つぎのステップ２で、オペレータが、この
表示されたモデル画像上に所定の計測領域Ｒを設定する
と、濃度分布抽出部７は、前記画像メモリ６よりこの計
測領域Ｒ内の画像データを読み出して前記濃度分布曲線
を作成する（ステップ３）。さらにオペレータは、入力
部５を用いて前記モデル画像上の所定のエッジ構成点を
指定、または対象物の実際の大きさに関わるデータを入
力する（ステップ４）。この入力を受けたしきい値設定
部８は、前記第１、第２の実施例に示した方法を適用し
て、前記濃度分布曲線上で入力データに対応する濃度値
を抽出し、その抽出値をしきい値として前記しきい値記
憶部９に格納する（ステップ５，６）。

【００２５】こうして適切なしきい値がしきい値記憶部
９にセットされると、第１番目の検査対象物が撮像エリ
アへと搬送されて撮像され、前記モデル画像と同様、そ
の画像データのモニタ４への表示、および画像メモリ６
への格納処理が行われる（ステップ７）。つぎのステッ
プ８で、濃度分布抽出部７は、この入力画像上の所定位
置に前記モデル画像に設定されたものと同様の計測領域
を設定して、その領域内の濃度分布曲線を作成する。な
おこの計測領域の設定データは、画像入力の都度、オペ
レータにより設定しても良いが、対象物の撮像位置がほ
ぼ同様である場合には、前記モデル画像に対して行われ
た設定データをそのまま用いるようにすればよい。

【００２６】続くステップ９で、エッジ抽出部１０は、
この生成された濃度分布曲線上で前記しきい値記憶部９
に記憶されたしきい値に対応する点を抽出し、その点の
ｘ座標をエッジ位置として特定する。これにより、ｘ軸
方向における対象物の大きさが抽出され、判別部１１に
よりその抽出結果の適否が判別される（ステップ１
０）。この判別結果が前記出力部１２から出力される
と、つぎの検査対象物が撮像エリアに搬送され、以下ス
テップ７〜１０の手順が繰り返し実行される。最終の検
査対象物についての判別結果の出力が行われると、ステ
ップ１１が「ＹＥＳ」となり、一連の手順が終了する。

【００２７】

【発明の効果】この発明は上記のごとく、対象物を撮像
して得られた画像上でエッジを抽出する際に、エッジ抽
出方向における濃度分布を抽出するとともに、オペレー
タにより抽出対象となるエッジの位置を指定、または対
象物の大きさの実測値に基づくエッジ間の距離に関わる
データを入力し、前記濃度分布上でこの指定または入力
されたデータに対応する濃度値をしきい値として設定す
るようにしたので、背景や対象物の画像部分が一様な濃
度を有していなくとも、対象物の輪郭部分を抽出可能な
正確なしきい値を設定できる。これにより以後同様の条
件で撮像された画像においても対象物の輪郭が正しく判
別されるので、撮像条件や対象物の種類に関わらず、高
精度の認識処理を実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例にかかる画像処理装置の構
成を示すブロック図である。

【図２】モデル画像上でのエッジ位置の指定方法を示す
説明図である。

【図３】対象物の大きさに関わる入力データからしきい
値を設定するための方法を示す説明図である。

【図４】図１の画像処理装置の動作手順を示すフローチ
ャートである。

【図５】モデル画像への計測領域の設定例を示す説明図
である。

【図６】図５の計測領域内のｘ軸方向における濃度分布
曲線を示す説明図である。

【符号の説明】

４ モニタ ５ 入力部 ７ 濃度分布抽出部 ８ しきい値設定部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対象物を撮像して得られた画像上でこの
   対象物の輪郭を表すエッジを抽出する画像処理装置にお
   いて、 前記画像上でエッジ抽出方向における濃度分布を抽出す
   る濃度分布抽出手段と、 前記画像上で抽出対象となるエッジの位置を指定する指
   定手段と、 前記濃度分布上の前記指定手段により指定された位置に
   対応する濃度値をエッジ抽出のためのしきい値として設
   定するしきい値設定手段とを備えて成る画像処理装置。
2. 【請求項２】 対象物を撮像して得られた画像上でこの
   対象物の輪郭を表すエッジを抽出する画像処理装置にお
   いて、 前記画像上でエッジ抽出方向における濃度分布を抽出す
   る濃度分布抽出手段と、 前記対象物の大きさの実測値に基づきエッジ間の距離に
   関わるデータを入力する入力手段と、 前記濃度分布上で前記入力手段からの入力データに対応
   する距離だけ離れて分布する濃度値を抽出し、この抽出
   値をエッジ抽出のためのしきい値として設定するしきい
   値設定手段とを備えて成る画像処理装置。