JPH10143165A - 高剛性吸音材およびその製造方法 - Google Patents

高剛性吸音材およびその製造方法

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JPH10143165A
JPH10143165A JP8296215A JP29621596A JPH10143165A JP H10143165 A JPH10143165 A JP H10143165A JP 8296215 A JP8296215 A JP 8296215A JP 29621596 A JP29621596 A JP 29621596A JP H10143165 A JPH10143165 A JP H10143165A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン音の吸音や遮音を目的としたエンジ
ンルーム内に使用する高剛性吸音材およびその製造方法
を提供すること。 【解決手段】 短繊維および/または長繊維で構成され
た繊維集合体からなる織布または不織布よりなる吸音材
において、該吸音材を構成する繊維が直径10〜40μ
mの範囲にあるポリエステル製であり、この繊維の70
〜100重量%が断面方向に2重の芯部と表面部とを有
するバインダー繊維であり、前記芯部に高軟化点、前記
表面部に低軟化点の構成で、これら軟化点の差が20〜
150℃の範囲にある繊維であり、吸音材全体として平
均厚さが3〜30mm、および面密度が200〜2,0
00g/m2 の範囲にあることを特徴とする高剛性吸音
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高剛性吸音材およ
びその製造方法に関し、特にエンジン音の吸音や遮音を
目的としたエンジンルーム内に使用する高剛性吸音材お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンを音源とする騒音を
低減させるためにエンジンルーム内には様々な音振部品
が使用されている。例えば、ボンネット裏に設置するフ
ードインシュレータ、吸気音を低減させるためのレゾネ
ータ、または壁面に設置するエンジン内インシュレータ
等である。
【0003】これら音振部品の中でも、エンジン近接遮
蔽カバーは、エンジンに最も近い位置にある部品の一つ
であり、耐熱性の十分な材料のみが適用され、従来はこ
の要件を満たすために、材料構成としては樹脂の板のみ
であったり、吸音材を設置した部品でも殆どがグラスウ
ールの使用であり、吸音や遮音周波数のニューニング等
は不可能であった。
【0004】従来のエンジンカバーは、構造面で遮音性
能を向上させるものに薄鋼板から構成されており、その
具体例としては板の一部にヘルムホルツ共鳴器を有する
タイプ(実開昭57−25144号公報、特開昭54−
47020号公報)、接地部にウエザーストリップを有
し、エンジン上の漏水を防ぐタイプ(実開昭57−25
143号公報)、音の発生する部位に直接設置させるタ
イプ(実開昭63−40232号公報、実開昭64−5
1738号公報)、通気性と遮音性能とを両立させたヘ
ルムホルツタイプ(特開平7−13573号公報、特開
平7−64564号公報)等が提案されている。
【0005】しかしながら、これらのタイプでは、特定
周波数のみに効かせることが主となり、周波数全域で効
果を持たせることは困難である。
【0006】また、一般的な吸音材を用いて、遮音性能
と吸音性能とを向上させるタイプ(特開昭53−900
01号公報、実開昭56−176388号公報、実開昭
62−70922号公報)もあるが、これらは前記の構
造タイプと対照的に全域に多少の効果はあるが、特に低
周波域で効果を持たせることは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特に車両のエンジン騒
音は、エンジンの回転数に応じて変化はあるものの、基
本的には、500Hz以下の低周波数領域の騒音が問題
となっており、この低周波数領域の全域に渡り特に効果
の大きな吸音構造体を得ることが課題となっていた。同
時に車両のエンジンルーム内は、スペースが限られてい
るため、高性能でコンパクトな構造を達成することも重
大な課題であった。さらに、エンジンルーム内は、比較
的高温な雰囲気になるため、吸音材にもある程度の耐熱
性が要求される。
【0008】従って本発明の目的は、500Hz以下の
低周波数領域において優れた吸音性能を有すると共に、
高周波数領域でも十分な吸音性能を有し、さらにスペー
スを取らないコンパクトな吸音構造体を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
短繊維および/または長繊維で構成された繊維集合体か
らなる織布または不織布よりなる吸音材において、該吸
音材を構成する繊維が直径10〜40μmの範囲にある
ポリエステル製であり、この繊維の70〜100重量%
が断面方向に2重の芯部と表面部とを有するバインダー
繊維であり、前記芯部に高軟化点、前記表面部に低軟化
点の構成で、これら軟化点の差が20〜150℃の範囲
にある繊維であり、吸音材全体として平均厚さが3〜3
0mm、および面密度が200〜2,000g/m2
範囲にあることを特徴とする高剛性吸音材およびその製
造方法により達成された。
【0010】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。本発明の高剛性吸音材は、繊維長が100mm以下
の短繊維および/または繊維長が100mm以上の長繊
維で構成された繊維集合体からなることが必要である。
吸音は音のエネルギーを熱のエネルギー等に変換するこ
とであるから、この性能を向上させるにはエネルギーの
変換効率を向上させる必要がある。この効率は、空気と
の摩擦を大きくすることで向上させることが可能であ
り、この目的を達成するためには吸音材の表面積を上げ
ることが効果的である。この点から様々な種類がある吸
音材の中でも、単位重量辺りの表面積の大きな繊維集合
体が相応しいことになる。また、吸音性能は、構成繊維
の長さには依存しないため、吸音性能を確保するのに繊
維長を規定する必要性は殆どない。
【0011】さらに、吸音材の使用目的によって、短繊
維を用いる方が良い場合や長繊維を用いる方が良い場合
がある。例えば、短繊維は、繊維自体が短いため、吸音
材に成型したときに、その吸音材は、型の追従性が良好
で保形性が高くなる。また、長繊維は、機械的強度が高
いため、吸音材に剛性を求めたい場合には良好である
が、特に限定は行わない。
【0012】しかしながら、吸音材の製造や吸音材自体
の剛性等を考慮した場合には、繊維長によって吸音材の
機械的強度が左右されるため、繊維長を規定する意味を
もつ。繊維を吸音材に成形する場合には、繊維長が30
〜100mmの範囲にあることが好ましい。繊維長が3
0mm未満になると、繊維長が短すぎるため、吸音材に
成形することが困難である。一方、一般の繊維吸音材の
製造装置では、100mmを超える長さを有する繊維を
均一に分散させて成形することは困難である。従って、
一部の繊維体が吸音材中で片寄った吸音材になる可能性
が大きく、常に一定の性能を確保することが難しくな
る。
【0013】吸音材を構成する繊維集合体は、織布形態
でも不織布形態でも良い。このことは、吸音性能がこの
繊維集合体の形態に依存しないためである。しかしなが
ら、嵩高性の確保や吸音材の機械的強度の確保には、繊
維集合体の形態が強く依存するため、吸音材を設置する
周りの環境を考慮し、吸音材の形態を決定する必要があ
る。このとき嵩高性を重視する場合には、不織布形態が
好ましく、機械的強度を重視する場合には、織布形態が
好ましい。
【0014】吸音材を構成する繊維は、その直径が10
〜40μmの範囲にあることが必要である。吸音材の吸
音性能は、吸音材を構成する繊維集合体の平均繊維径に
依存され、繊維径が細いほど吸音性能は高くなる。しか
しながら、直径が10μm未満の繊維は、一般的でな
く、繊維自体の剛性も小さいため、部品として使用する
ことが困難であると共に、繊維の剛性が小さいと吸音材
の性能の一つとされる嵩高性を付与することが難しく、
更には繊維自体の結合力も小さくなってしまう。一方、
直径が40μmを超える繊維を用いると、吸音性能が低
下する。
【0015】さらに、吸音材を構成する繊維は、ポリエ
ステル製であることが必要である。ポリエステルは、比
較的融点が高い高分子が多く、自動車のエンジンルーム
内のように比較的高温雰囲気下で使用される吸音材の材
料としては、適しているからである。特に、一般的なポ
リエステルであるポリエチレンテレフタレートは、融点
が約250℃であるため、相応しいが特に限定は行わな
い。また、ポリエステルは、リサイクル性が高く、吸音
材として切り出した後の端材を再度、開繊することによ
って、もう一度不織布を製造することが可能である。さ
らに、端材等のポリエステル繊維を溶融し、再度繊維に
紡糸することも可能である。
【0016】吸音材を構成する繊維は、その70〜10
0重量%が断面方向に2重の芯部と表面部とを有するバ
インダー繊維であり、芯部に高軟化点、表面部に低軟化
点の構成となっているものであることが必要である。バ
インダー繊維は、不織布に成型性を付与させるために使
用されているが、繊維表面部の低軟化点の部位が加熱成
型時に相互に融着し合うため、型にあった成形が可能と
なっている。
【0017】吸音材をエンジンルーム内の吸気系に使用
する場合には、吸音材の繊維が吸入空気によって抜けて
しまうことがないように、吸音材の表面にスパンボンド
等の表皮を添付し、吸音材を保護していた。バインダー
繊維が70〜100重量%の範囲で表皮に使用してある
場合には、表面にある繊維がバインダー繊維によって接
着されるため、前記の問題は起こらない。従って、吸音
材の飛散防止のために表皮を設置しなくてもよくなる。
【0018】このときバインダー繊維の配合量が70重
量%未満になると、成形には問題はないが、表面繊維の
一部が吸入空気によって飛散するおそれがある。吸音材
を構成する繊維は、バインダー繊維が100重量%でも
良く、非常に剛性が高く、かつ繊維が飛散しない高品質
の吸音材となる。
【0019】バインダー繊維の表面部の低軟化点部の融
点は、芯部に対して20〜150℃の範囲で低融点とな
っていることが必要である。これは吸音材に成形性を付
与させるために必要だからである。従ってその軟化点の
差に応じて、一部の繊維のみを軟化させる温度範囲で、
その軟化する当該繊維をバインダーとすることによっ
て、繊維集合体に成形性を付与させることができるので
ある。軟化点の差が20℃未満になると、加熱成形する
際の温度管理が困難になり、実用的でなくなる。逆に、
軟化点の差が150℃を超えると、軟化点の温度が極端
に下がり、常温または高温下で使用する吸音材の形状を
確保することが困難になる可能性がある。
【0020】これはバインダー繊維以外のポリエステル
繊維は、ほぼバインダー繊維の芯材と同様の融点を有す
ると考えられるため、バインダー繊維の軟化点の温度差
が大きいほど成形が容易になる。しかしながら、高温雰
囲気下で表面部が溶け出すと成形された吸音材の形状が
元の吸音材のシート状に戻ってしまうため問題となるの
である。
【0021】例えば、エンジンカバー用に用いる吸音材
は、エンジンの放射熱に耐えるため高い耐熱性が要求さ
れる。従って、最も一般的なポリエステルであるポリエ
チレンテレフタレートを芯材として使用するバインダー
繊維の場合には、芯材の融点が約250℃であるため、
表面部の軟化点が110〜230℃の範囲にあることが
必要になる。耐熱性と成型性の観点から、表面部の軟化
点の温度は、170〜200℃の範囲にあることが更に
良好であるが、特に限定は行わない。
【0022】吸音材の厚さは3〜30mmの範囲にある
ことが必要である。厚さが3mm未満になると、吸音性
能が確保できず、逆に30mmを超えると、吸音材とし
ては厚すぎ、設置のためのスペースが必要になってくる
ため、レイアウト的に成り立たない場合も多く、用途が
狭められる。
【0023】吸音材の面密度は200〜2,000g/
2 の範囲内であることが有効である。面密度が200
g/m2 未満になると、吸音材としての剛性が確保でき
ない。逆に、2,000g/m2 を超えると、重量やそ
れに伴うコストが超過する割には性能が向上せず効果的
で無いばかりか、この面密度の増加に伴い、吸音材自体
の通気量が減少するため、音を反射してしまう可能性が
ある。
【0024】材質を問わない芯材の片面または両面に前
述の吸音材を設置する構造も、吸音性能を保持しつつ、
更に吸音材の剛性を上げられることが可能であるため、
本発明の目的のためには相応しい。
【0025】芯材を構成する物質は、樹脂板、金属板、
繊維集合体、樹脂含浸繊維集合体等、ある程度剛性のあ
る板状のものであれば良いが、特に限定は行わない。
【0026】この芯材を構成する繊維集合体は、天然繊
維でも合成繊維でも良いが、繊維の太さや繊維の単位長
さ、また繊維体の分布等全てを規定することができ、常
に同じものを作製することができ、均一な密度分布の作
製が可能な合成繊維を使用することが好ましい。
【0027】繊維集合体を構成する合成繊維としては、
公知の合成繊維の中から適宜選択して使用することがで
き、例えばナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリアセ
テート、ポリエチレン、線状ポリエステル、ポリアミド
等などが挙げられる。これら合成繊維の中でも、特に吸
音材のリサイクルや同時一体成形性、形状を維持できる
等のメリット等を鑑みると軟化点の異なる繊維の配合が
可能なポリエステル系繊維を使用することが好ましい。
【0028】また、ニードルパンチ等の工法を用いて繊
維体を成形し繊維集合体にしたものも繊維体の剛性を向
上させることが可能であるため有効である。
【0029】芯材を有する積層吸音材の場合は、吸音材
層の厚さの割合が、各面とも全体厚さの3〜40%の範
囲にあることが好ましい。従って、片面のみ吸音材を設
置する場合は、全体の厚さの3〜40%の範囲の厚さで
吸音材を設置し、両面に吸音材を設置する場合は、各面
とも全体の厚さの3〜40%の範囲の厚さで吸音材を設
置することが好ましい。吸音材の設置厚さが3%未満に
なると、吸音性能が確保できないため相応しくない。一
方、40%を超える厚さを有する場合には、吸音性能的
には問題がないが、全体として芯材が無い場合と殆ど変
わらないため、芯材を設置する意味が無くなってくる。
【0030】本発明においては、板状の吸音材の一部に
少なくとも1以上の4〜100cm 2 の範囲にある開口
部または欠落部を有し、吸音材が設置される部位と吸音
材との間で形成される体積部1と、吸音材分の厚さを有
する開口部等により形成される体積部2との比によっ
て、その構成系が50〜450Hzの範囲にある共鳴を
形成できることが好ましい。
【0031】これは、吸音材でヘルムホルツ共鳴器部を
構成することによって初めて成立する。以下、ヘルムホ
ルツ共鳴器の説明を行う。
【0032】ヘルムホルツ共鳴器は、新たに共鳴を形成
させることにより、目的とする周波数の吸音を行う構造
体であり、図1に示すように首部の体積と体積部の体積
により構成される。吸音を目的とする設定周波数frは
首部の体積と体積部の体積との比によって、次式:数1
のように設定することができる。
【0033】
【数1】 c:音速 S:首部の断面積 L:首部の長さ V:体積部の体積
【0034】ここで首部の体積とは、前記の板状吸音材
の一部に構成されている開口部または吸音材の欠落部
(図2参照)によって、該吸音材に開けられた孔部とそ
の吸音材の厚さとによって形成された体積のことをい
う。また、体積部とは、吸音材を設置した部位の裏面に
形成された空間をいう。
【0035】このとき設定周波数に新たに共鳴を形成さ
せるため、従来そこにあった音圧の腹は、形成された共
鳴により潰されるため、結果として、目的周波数の消音
を達成することができる。
【0036】吸音材によって構成されたヘルムホルツ共
鳴器を最も効果的に使用するためには、共鳴器を設定周
波数の音圧の共鳴が起きている場合に設置することが好
ましく、音圧の減衰も大きくなる。しかし、実際には目
的とする共鳴が発生している場所に共鳴器を設置するの
は困難なことが多く、大きな減衰を有する共鳴器となら
ない場合がある。この場合には新たに形成される共鳴が
大きくならなければ、跳ね返りも大きくならないという
性質を利用し、意図的に共鳴器の設置位置をモードから
外し、設置することは、全周波数域に効果を有する吸音
構造体として有効である。
【0037】弱い共鳴を形成させるために体積の小さな
弱いヘルムホルツ共鳴器を設置することもできる。ヘル
ムホルツ共鳴器の周波数の設定は、数1より首部と体積
部との比率により決定されるため、理論的には体積の容
量には依存しない。しかし、減衰効果は、体積に依存さ
れるため、体積が大きい方が同じ設定周波数の消音を行
うに際しては効果的である。
【0038】また、複数の周波数の吸音を行うために、
少なくとも2以上の周波数に設定された複数のヘルムホ
ルツ共鳴器、または少なくとも2以上の同じ周波数に設
定された複数のヘルムホルツ型共鳴器を設置しても有効
であり、吸音効果が得られる。このとき全体の体積との
兼ね合いにより、現実レベルの体積であるか否かが決定
されるが、特に限定は行わない。
【0039】吸音材の開口部または欠落部の断面積は4
〜100cm2 の範囲にあることが好ましい。ヘルムホ
ルツ共鳴器の周波数の設定は、首部の体積と体積部の体
積とで行う。従って前記吸音材で設定周波数のチューニ
ングを行う場合は、吸音材の表面上の開口部または欠落
部の面積とその吸音材の厚さとで、首部の体積が決定さ
れ、吸音材が設置されることによって吸音材の裏面に形
成される空間が体積部となる。このため、設定周波数を
操作したい場合は、この面積と吸音材の厚さとを変化さ
せれば良い。
【0040】このとき首部の断面積が4cm2 未満にな
ると、周波数の設定は可能であるが、最低限必要な減衰
効果を得ることができなくなり、吸音ダクト構造体とし
て意味をなさない。逆に、100cm2 を超える断面積
を有するヘルムホルツ型共鳴器は、非常に容量が大きく
なり、これほど大きな共鳴器を用いる状況が殆ど無く、
実用レベルから外れてしまい不適当である。小型乗用車
として使用する場合には、体積と性能との兼ね合いか
ら、首部の断面積は5〜25cm2 の範囲であることが
特に好ましい。
【0041】開口部等は、穴が一つである単孔型または
穴が複数であるスリット型でも良い。これらはヘルムホ
ルツ共鳴器の体積や設定周波数との兼ね合いによって選
ぶことができるが、特に限定は行わない。また、断面積
を確保しながら、より小さい体積の下で低周波側に周波
数を設定するために、体積部の中に首部を挿入したタイ
プの首部を有するヘルムホルツ共鳴器は特に有効であ
る。また、開口部等は、前記吸音材を任意の場所に設置
することが可能である。
【0042】前記の首部の体積と体積部のチューニング
により、上記数1式からある程度の周波数の設定を行う
ことができる。しかしながら、前記吸音材は完全に通気
が止まっておらず、更に剛性も一般の樹脂等の板に比べ
て低いため、数1式では周波数の設定を完全に決定する
ことができない。従って数1式は、ある程度の幅を持っ
て周波数の設定を行うときの指針にするに過ぎない。逆
に、この幅広い周波数の設定が吸音材として使用すると
きには便利なことが多く、更にはこの設定により跳ね返
りも少なくなる。
【0043】本発明においては、前記吸音材を50〜4
50Hzの範囲で設定させることが好ましい。50Hz
未満の周波数では、開口部等を現実のサイズにすると背
後に形成される体積部の大きさが極端に大きくなり、現
実的なサイズではなくなってしまう。逆に、450Hz
を超える周波数では、既に吸音材単体でも十分な吸音性
能を有するため、共鳴器を設定することに意味が無くな
ってくる。
【0044】当然に前記吸音材は、450Hzを超える
中周波や高周波の周波数領域には十分な吸音効果を有す
る。従って上述の周波数設定は、中周波数や高周波数領
域以外の領域において吸音性能を付与させる場合に必要
な限定項目である。
【0045】本発明の高剛性吸音材は、車両のエンジン
ルーム内の音圧を低減させるためにエンジンルーム内の
部品に使用することが好ましい。従来の吸音材は、剛性
が殆どなかったため、吸音材に剛性を求める場合には、
高い剛性を有する表皮を添付していた。本発明は、吸音
材単体で高い剛性を有するため、剛性が求められる部位
の一部に表皮材無しに使用することができるという利点
がある。また、エンジンルーム内には音圧の分布が広
く、音圧の高い部位も多いことから、本発明の高剛性吸
音材をエンジンルームに適用することは最も適してい
る。
【0046】更に、完全に吸音材から繊維の抜けを防止
するため、または吸音材を保護するために吸音材のエン
ジン側面、または吸音材を覆う形で、平均繊維長1〜1
00cm、平均径1〜30μm、面密度20〜200g
/m2 の範囲にある合成繊維からなる不織布の表皮を設
置することが有効であるが、特に限定は行わない。
【0047】構成される繊維は、10cm以下の短繊維
でも、それ以上の長さを有する長繊維でも良い。これら
繊維は、布状の不織布または織布に成形されるが、不織
布の場合にはニードルパンチ製法、または布の一部を熱
融着させて成形する製法は、布の剛性を上げられ、通気
性も確保することができるため、有効である。また、構
成繊維に10cm以上の長繊維だけを用いることは、更
に布の剛性を向上させることができるため特に有効であ
る。更に、この表皮材に撥水や撥油処理を施すことも可
能であり、エンジン近傍で吸音材を保護をするのに非常
に効果があるが、特に限定は行わない。
【0048】本発明の高剛性吸音材は、車両の吸気吸入
音を低減させるために吸気系ダクトの一部に設置して使
用することが好ましい。従来、エンジンの吸気音を低減
させる手段として、吸気系にはレゾネータが設置されて
いるが、このレゾネータを本吸音材に代替することで、
エンジンルーム内の有効空間を拡張することができ、更
に設定周波数以外の高周波域の周波数領域でも十分な吸
気音低減効果を得ることが可能になった。
【0049】本発明の高剛性吸音材の製造方法として
は、ポリエステル製繊維を開繊し、混合し、カード式不
織布工程、またはエアレイ式不織布工程により嵩高形状
にし、遠赤外オーブン、または熱風オーブンを用いた加
工工程、ニードルパンチ工程にて不織布吸音材とし、該
吸音材を150〜250℃の温度範囲で予備軟化させた
後、コールドプレス成形型内において成形吸音材層を所
要形状にプレス成形する工程を用いる。
【0050】吸音材を構成する繊維を均一に混合するた
めに、開繊機にポリエステル繊維を投入し、均一に繊維
が分散するまで、開繊を行う。ここで均一に分散してい
ないポリエステル繊維を用いると、吸音材を成形したと
きに部分的に剛性が違う不均一な吸音材になる可能性が
ある。
【0051】この均一に分散させた繊維を更にカードレ
イヤー式不織布製造装置、またはエアレイ式不織布製造
装置により嵩高な不織布にする。カードレイヤー式は、
構成される繊維が特に均一になる利点があるため、よく
用いられている。また、エアレイ式は、ラインのスピー
ドが速くなるため、製造の時間が特に重要な場合は、こ
の方式で製造を行うことが好ましい。
【0052】嵩高不織布となった後に、目的の厚さや面
密度に調整するために、遠赤外オーブン、または熱風オ
ーブンを用いて予備加熱した後、厚さを規定した2つの
ロール中に吸音材を通過させて、厚さを規定する。吸音
材の表面の面剛性を上げる等のために、ロール加工工程
では圧縮できないほど薄厚に吸音材をしたい場合は、最
後にニードルパンチ工程を施し、適当な針密度、吸音材
の送り速度、ニードルが吸音材を貫くストローク長さを
規定し、目的の吸音材を得る。
【0053】このようにして得られた高剛性吸音材を実
際に使用する場合には、熱風循環オーブン、または遠赤
外オーブンによって150〜250℃の温度範囲内で予
備軟化させ、その後使用する形状の型で冷プレスを行
う。本発明の高剛性吸音材は、バインダー繊維の配合に
より、任意の形状に成形可能であり、その使用用途に合
わせて成形を行う。
【0054】
【発明の実施の形態】本発明の高剛性吸音材を車両用エ
ンジン近傍に設置した結果、低周波領域のみならず中周
波数や高周波数域においても高い消音特性を有する吸音
材となることを確認することができた。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。
【0056】実施例1 平均直径が15μmのポリエステル短繊維により不織布
を構成し、その不織布の80重量%にバインダー繊維を
配合し、そのバインダー繊維の軟化点は、一般のポリエ
ステル(ポリエチレンテレフタレート)の融点(約25
0℃)から約40℃低く設定した。この吸音材を厚さ1
0mm、面密度1000g/m2 に成形して高剛性吸音
材1を製造した。この時、前述した配合のポリエステル
繊維を開繊機により均一に混合し、カード式不織布工程
により嵩高不織布を製造した。この嵩高不織布を熱風オ
ーブン中に挿入し回転式ロールにより厚さを10mmに
加工した。得られた不織布吸音材を250℃の熱風オー
ブン内に3分間入れ、その後直ぐに実験用の治具の形状
の型に冷プレスして厚さ10mmの高剛性吸音材1を得
た。
【0057】実施例2 バインダー繊維の配合量を70重量%とした他は、実施
例1と全く同様にして高剛性吸音材2を製造した。この
時、前述した配合のポリエステル繊維を開繊機により均
一に混合し、エアレイ式不織布工程により嵩高不織布を
製造した。この嵩高不織布をニードルパンチ工程により
厚さを10mmに加工した。得られた不織布吸音材を2
50℃の熱風オーブン内に3分間入れ、その後直ぐに実
験用の治具の形状の型に冷プレスして厚さ10mmの高
剛性吸音材2を得た。
【0058】実施例3 バインダー繊維の配合量を100重量%とした他は、実
施例1と全く同様にして高剛性吸音材3を製造した。こ
の時、前述した配合のポリエステル繊維を開繊機により
均一に混合し、エアレイ式不織布工程により嵩高不織布
を製造した。この嵩高不織布を遠赤外オーブン中に挿入
して回転式ロールにより厚さを10mmに加工した。得
られた不織布吸音材を250℃の熱風オーブン内に3分
間入れ、その後直ぐに実験用の治具の形状の型に冷プレ
スして厚さ10mmの高剛性吸音材3を得た。
【0059】実施例4 ポリエステル繊維の平均直径を10μmとした他は、実
施例1と全く同様にして高剛性吸音材4を製造した。こ
の時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛
性吸音材4を得た。
【0060】実施例5 ポリエステル繊維の平均直径を40μmとした他は、実
施例1と全く同様にして高剛性吸音材5を製造した。こ
の時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛
性吸音材5を得た。
【0061】実施例6 バインダー繊維の軟化点の差を約20℃とした他は、実
施例1と全く同様にして高剛性吸音材6を製造した。こ
の時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛
性吸音材6を得た。
【0062】実施例7 バインダー繊維の軟化点の差を約80℃とした他は、実
施例1と全く同様にして高剛性吸音材7を製造した。こ
の時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛
性吸音材7を得た。
【0063】実施例8 バインダー繊維の軟化点の差を約150℃とした他は、
実施例1と全く同様にして高剛性吸音材8を製造した。
この時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高
剛性吸音材8を得た。
【0064】実施例9 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材9を製造した。
この時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、冷
プレスにより厚さを3mmに成形して高剛性吸音材9を
得た。
【0065】実施例10 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材10を製造し
た。この時の製造方法も実施例1と全く同様にして行
い、冷プレスにより厚さを30mmに成形して高剛性吸
音材10を得た。
【0066】実施例11 吸音材の面密度を200g/m2 とした他は、実施例1
と全く同様にして高剛性吸音材11を製造した。この時
の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛性吸
音材11を得た。
【0067】実施例12 吸音材の面密度を1500g/m2 とした他は、実施例
1と全く同様にして高剛性吸音材12を製造した。この
時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛性
吸音材12を得た。
【0068】実施例13 吸音材の面密度を2000g/m2 とした他は、実施例
1と全く同様にして高剛性吸音材13を製造した。この
時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、高剛性
吸音材13を得た。
【0069】実施例14 吸音材を織布で構成した他は、実施例1と全く同様にし
て高剛性吸音材14を製造した。この時の製造方法も実
施例1と全く同様にして行い、高剛性吸音材14を得
た。
【0070】実施例15 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材を木質ボードの片面に設置し、高剛性吸
音材の厚さが全体の厚さに対して30%になるようにし
て高剛性吸音材15を得た。
【0071】実施例16 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材をポリプロピレン板の片面に設置し、高
剛性吸音材の厚さが全体の厚さに対して30%になるよ
うにして高剛性吸音材16を得た。
【0072】実施例17 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材をポリエステル板の片面に設置し、高剛
性吸音材の厚さが全体の厚さに対して30%になるよう
にして高剛性吸音材17を得た。
【0073】実施例18 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材をポリエステル板の両面に設置し、片面
の高剛性吸音材の厚さが全体の厚さに対して30%づつ
になるようにして高剛性吸音材18を得た。
【0074】実施例19 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材をポリエステル板の片面に設置し、片面
の高剛性吸音材の厚さが全体の厚さに対して3%づつに
なるようにして高剛性吸音材19を得た。
【0075】実施例20 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材を形状1(図3参照)のように加工し、
開口部の面積が9cm2 となるようにし、背後の体積層
の容積を調整して300Hzに周波数を設定した共鳴器
を有する高剛性吸音材20を得た。
【0076】実施例21 高剛性吸音材を形状2(図4参照)のように加工した他
は、実施例20と全く同様にして高剛性吸音材21を得
た。
【0077】実施例22 高剛性吸音材を形状3(図5参照)のように加工した他
は、実施例20と全く同様にして高剛性吸音材22を得
た。
【0078】実施例23 実施例16と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。
この高剛性吸音材を形状1のように加工し、開口部の面
積が9cm2 となるようにし、背後の体積層の容積を調
整して300Hzに周波数を設定した共鳴器を有する高
剛性吸音材23を得た。
【0079】実施例24 開口部の面積を4cm2 となるようにし、共鳴器の設定
周波数を100Hzにした他は、実施例20と全く同様
にして高剛性吸音材24を得た。
【0080】実施例25 開口部の面積を100cm2 となるようにし、共鳴器の
設定周波数を400Hzにした他は、実施例20と全く
同様にして高剛性吸音材25を得た。
【0081】比較例1 バインダー繊維の配合量を60重量%とした他は、実施
例1と全く同様にして吸音材を製造した。この時の製造
方法も実施例1と全く同様にして行い、吸音材を得た。
この吸音材を実験装置に設置し実験を行ったが、実験中
に繊維が飛び散って正確なデータの取り込みができなか
った。
【0082】比較例2 ポリエステル繊維の平均直径を50μmとした他は、実
施例1と全く同様にして吸音材を製造した。この時の製
造方法も実施例1と全く同様にして行い、吸音材を得
た。
【0083】比較例3 実施例1と全く同様にして吸音材を製造した。この時の
製造方法も実施例1と全く同様にして行い、冷プレスに
より厚さを2mmに成形して吸音材を得た。
【0084】比較例4 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の時の製造方法も実施例1と全く同様にして行い、冷プ
レスにより厚さを35mmに成形して高剛性吸音材を得
た。この吸音材を実験装置に設置し実験を行おうとした
が、吸音材が厚すぎて通気を止めてしまい実験ができな
かった。
【0085】比較例5 吸音材の面密度を100g/m2 とした他は、実施例1
と全く同様にして吸音材を製造した。この時の製造方法
も実施例1と全く同様にして行い、吸音材を得た。
【0086】比較例6 吸音材の面密度を2500g/m2 とした他は、実施例
1と全く同様にして吸音材を製造した。この時の製造方
法も実施例1と全く同様にして行い、吸音材を得た。
【0087】比較例7 バインダー繊維の軟化点の差を約15℃とした他は、実
施例1と全く同様にして吸音材を製造した。この時の製
造方法も実施例1と全く同様にして行ったが、軟化点の
差が小さく、全体が融けてしまい吸音材を得ることがで
きなかった。
【0088】比較例8 バインダー繊維の軟化点の差を160℃とした他は、実
施例1と全く同様にして吸音材を製造した。この時の製
造方法も実施例1と全く同様にして行い吸音材を得た。
この吸音材を実験装置に設置し実験を行ったが、実験の
最中に実験装置の伝熱により吸音材の形状が保てなくな
り正確なデータが取れなかった。
【0089】比較例9 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材を木質ボードの片面に設置し、片面の高
剛性吸音材の厚さが全体の厚さに対して2%になるよう
にして吸音材を得た。
【0090】比較例10 実施例1と全く同様にして高剛性吸音材を製造した。こ
の高剛性吸音材を木質ボードの片面に設置し、片面の高
剛性吸音材の厚さが全体の厚さに対して42%になるよ
うにして吸音材を得たが、芯材の厚さが十分で無くな
り、剛性感が低下してしまい、芯材を設ける意味をなさ
なくなった。
【0091】比較例11 開口部の面積を3cm2 となるようにした他は、実施例
20と全く同様にして吸音材を得たが、共鳴器を設定し
たにも関わらず、その周波数で吸音効果が得られず、一
般的な吸音材と同様の性能となってしまった。
【0092】比較例12 開口部の面積を110cm2 となるようにした他は、実
施例20と全く同様にして吸音材を得たが、この開口部
の面積で50〜450Hzの周波数に共鳴器を設定した
ときに体積部が大容量になってしまい、実用性に欠け、
更に実験装置内に設置が困難となり、吸音データを取り
込むことができなかった。
【0093】比較例13 共鳴器の設定周波数を40Hzにした他は、実施例20
と全く同様にして吸音材を得たが、この開口部の面積で
50〜450Hzの周波数に共鳴器を設定したときに体
積部が大容量になってしまい、実用性に欠け、更に実験
装置内に設置が困難となり、吸音データを取り込むこと
ができなかった。
【0094】比較例14 共鳴器の設定周波数を500Hzにした他は、実施例2
0と全く同様にして吸音材を得たが、500Hzの共鳴
器を取付け前後の500Hz近傍の周波数の吸音性能が
ほとんど変化せず、共鳴器を取り付けるメリットがなか
った。
【0095】従来例1 開繊された天然繊維および合成繊維より構成された面密
度1.0kg/m2 、厚さ10mmの成形フェルトを吸
音材として用い、加熱後、冷プレスして成形し、実験を
行った。
【0096】参考例1 実施例1、実施例17および実施例20の高剛性吸音材
を車両のエンジン近傍に設置し、エンジンをかけて各周
波数毎の音圧レベルを測定したところ、吸音材の抜けも
なく、音響加振の結果とほぼ同等の吸音効果があること
を確認することができた。
【0097】参考例2 実施例1、実施例17および実施例20の高剛性吸音材
を車両の吸気系のエアクリーナよりも吸入口側に設置
し、エンジンをかけて吸気音の各周波数毎の音圧レベル
を測定したところ、吸音材の抜けもなく、音響加振の結
果とほぼ同等の吸音効果があることを確認することがで
きた。
【0098】参考例3 実施例1、実施例17および実施例20の高剛性吸音材
を車両の吸気系のエアクリーナよりもエンジン側に設置
し、エンジンをかけて吸気音の各周波数毎の音圧レベル
を測定したところ、吸音材の抜けもなく、音響加振の結
果とほぼ同等の吸音効果があることを確認することがで
きた。
【0099】試験例 上記実施例、従来例、および比較例において得られた高
剛性吸音材について、以下の実験を実施した。
【0100】試験例1 上記の各実施例および比較例の方法によって得られた高
剛性吸音材を、半無響音室に設置した4気筒エンジンの
近傍に取り付けた。このシステムについて、実際にエン
ジンのファイアリング実験を行い、エンジンの前後左右
の4方向1mと、エンジン上方1mの部位で音圧レベル
を測定し、4位置を平均し、吸音材無しのときの音圧レ
ベルとの差を周波数毎にdB表示した。このとき50〜
300Hzを低周波、300〜500Hzを中周波、お
よび500〜2kHzを高周波数とし、平均値を表1、
2、3に記した。これらの試験結果を表1、2、3に示
す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】表1より実施例で作成された各種高剛性吸
音材は、従来例に比べ、低周波数(50〜300H
z)、中周波数(300〜500Hz)、および高周波
数(500〜2kHz)の領域において、優れた吸音特
性を示し、場所を取らず、取付け性に優れる高剛性吸音
材であることが確認された。
【0105】また、本発明の規定範囲より外れる仕様で
作成した比較例は、特に必要とされる低周波数や中周波
数領域の吸音性能(判断基準として、低周波数で5d
B、中周波数で8dBの消音性能がないものは不可とし
た。また、心材を設け更に剛性を上げた仕様である実施
例15〜19では、高剛性吸音材単体だけよりも剛性感
が低下したものは不可とし、共鳴器を構成した実施例2
0〜25は共鳴器を取り付けた場合の効果が顕著に出な
い場合は不可とした。)、更にスペース的(実際の車両
のエンジンルーム内スペースに納まらないものは不可と
した。)に満足できないことが確認された。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高剛性吸
音材によれば、500Hz以下の低周波数領域において
優れた吸音性能を有すると共に、高周波数領域でも十分
な吸音性能を有し、さらにスペースを取らないコンパク
トな吸音構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘルムホルツ共鳴器の模式図である。
【図2】高剛性吸音材の模式図である。
【図3】高剛性吸音材の形状1の模式図である。
【図4】高剛性吸音材の形状2の模式図である。
【図5】高剛性吸音材の形状3の模式図である。
【符号の説明】
1 体積部1 2 体積部2 3 開口部面積S 4 首部長さL 5 体積V 6 体積部1 7 体積部2 8 欠落部 9 高剛性吸音材 10 欠落部 11 高剛性吸音材 12 欠落部 13 高剛性吸音材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短繊維および/または長繊維で構成され
    た繊維集合体からなる織布または不織布よりなる吸音材
    において、該吸音材を構成する繊維が直径10〜40μ
    mの範囲にあるポリエステル製であり、この繊維の70
    〜100重量%が断面方向に2重の芯部と表面部とを有
    するバインダー繊維であり、前記芯部に高軟化点、前記
    表面部に低軟化点の構成で、これら軟化点の差が20〜
    150℃の範囲にある繊維であり、吸音材全体として平
    均厚さが3〜30mm、および面密度が200〜2,0
    00g/m2 の範囲にあることを特徴とする高剛性吸音
    材。
  2. 【請求項2】 材質を問わない芯材の片面または両面に
    繊維集合体を有する積層吸音材において、該積層吸音材
    全体の厚さに対して、3〜40%の厚さで請求項1記載
    の吸音材が片面または両面に位置していることを特徴と
    する高剛性吸音材。
  3. 【請求項3】 板状の吸音材の一部に少なくとも1以上
    の4〜100cm2の範囲にある開口部または欠落部を
    有し、該吸音材が設置される部位と該吸音材との間で形
    成される体積部1と、前記吸音材分の厚さを有する前記
    開口部または前記欠落部により形成される体積部2との
    比によって、その構成系が50〜450Hzの範囲にあ
    る共鳴を形成できることを特徴とする請求項1乃至2記
    載の高剛性吸音材。
  4. 【請求項4】 車両のエンジンルーム内の音圧を低減さ
    せるためにエンジンルーム内の部品に使用することを特
    徴とする請求項1乃至3記載の高剛性吸音材。
  5. 【請求項5】 車両の吸気吸入音を低減させるために吸
    気系ダクトの一部に設置することを特徴とする請求項1
    乃至3記載の高剛性吸音材。
  6. 【請求項6】 ポリエステル製繊維を開繊し、混合し、
    カード式不織布工程またはエアレイ式不織布工程により
    嵩高形状にし、遠赤外オーブンまたは熱風オーブンで加
    熱した後、ロール加工工程またはニードルパンチ工程に
    て厚さを調整して不織布吸音材とし、該不織布吸音材を
    150〜250℃の温度範囲で予備軟化させた後、コー
    ルドプレス成形型内において成形吸音材層を所要形状に
    プレス成形することを特徴とする高剛性吸音材の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001193587A (ja) * 2000-01-17 2001-07-17 Toyoda Gosei Co Ltd 吸気ダクト及びその製造方法
JP2014081638A (ja) * 2013-11-25 2014-05-08 Hirotani:Kk 車両用防音材の製造方法
JP2017040458A (ja) * 2015-08-21 2017-02-23 日本特殊塗料株式会社 吸音通気管

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