JP3533862B2 - エンジンカバー - Google Patents

エンジンカバー

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JP3533862B2
JP3533862B2 JP01132097A JP1132097A JP3533862B2 JP 3533862 B2 JP3533862 B2 JP 3533862B2 JP 01132097 A JP01132097 A JP 01132097A JP 1132097 A JP1132097 A JP 1132097A JP 3533862 B2 JP3533862 B2 JP 3533862B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンカバーに
関するもので、エンジン音の吸音や遮音を目的としたエ
ンジンルーム内に使用するエンジンカバーに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】エンジンを音源とする騒音を低減させる
ためにエンジンルーム内には様々な音振部品が使用され
ている。この音振部品としては、ボンネット裏に設置す
るフードインシュレータ、吸気音を低減させるためのレ
ゾネータ、壁面に設置するエンジン内インシュレータ等
が挙げられる。
【0003】その中の一つであるエンジン近接遮蔽カバ
ー(以下、エンジンカバーと言う)は、エンジンに最も
近い位置にある部品の一つであり、耐熱性の十分な材料
のみが適用され、従来はこの要件を満たすために、材料
構成としては樹脂板のみであったり、吸音材を設置した
部品でも殆どがクラスウールの使用であり、吸音や遮音
周波数のチューニング等は不可能であった。
【0004】従来のエンジンカバーは、構造面で遮音性
能を向上させるものに薄剛板から構成れさ、板の一部に
ヘルムホルツ共鳴器を有するタイプ(実開昭57−25
144号公報、特開昭54−47020号公報)、接地
部にウエザーストリップを有し、エンジン上の漏水を防
ぐタイプ(実開昭57−25143号公報)、音の発生
する部位に直接設置させるタイプ(実開昭63−402
32号公報、実開昭64−51738号公報)、通気性
と遮音性能を両立させたヘルムホルツタイプ(特開平7
−13573号公報、特開平7−64564号公報)等
が提案されている。。しかしながら、これらのタイプで
は特定周波数のみに効かせることが主となり、周波数全
域で効果を持たせることは困難であった。
【0005】また、一般的な吸音材を用いて、遮音性能
と吸音性能を向上させるタイプ(特開昭53−9000
1号公報、実開昭56−176388号公報、実開昭6
2−70922号公報)があるが、これらは前記の構造
タイプと対照的に全域に多少の効果はあるが、特に低周
波域で効果を持たせることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特に車両のエンジン騒
音は、エンジンの回転数に応じて変化はあるものの基本
的には500Hz以下の低周波数領域の騒音が問題となっ
ており、この低周波数領域の全域に渡り特に効果の大き
な吸音や遮音構造体を得ることが課題となる。同時に車
両のエンジンルーム内はスペースが限られているため、
高性能でコンパクトな構造を達成することも重大な課題
である。更に、エンジンルーム内は比較的高温な雰囲気
になるため、吸音材にもある程度の耐熱性が要求され
る。従って本発明は、主としてエンジンの放射音を低減
させるために設置され、低周波域から高周波域にわたっ
て大きな吸音や遮音効果を得ることができるエンジンカ
バーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
エンジン音の遮音を目的として、エンジン近傍に設置さ
れるエンジンカバーにおいて、該エンジンカバーの形状
が少なくともエンジンの上面、エンジンの上面と一側
面、またはエンジンの上面と多数側面を覆う形状であ
り、各面において設置されるカバーはその面の全面、ま
たはその面積の一部分を覆う形状であり、前記エンジン
カバーを設置することにより、前記エンジンと前記エン
ジンカバーによって形成された空間において、通常のエ
ンジン運用時における平均音圧レベルのオーバーオール
の値が、前記エンジンカバー無しの場合の値に比べ、少
なくとも1.3倍であり、前記エンジンと前記エンジン
カバーとの平均間隔が5〜100mmの範囲であり、前記
エンジンと前記エンジンカバーとにより形成された空間
中に吸音材を設置し、該吸音材が内部材料と表皮材より
構成され、表皮材が内部材料のエンジン側面、または内
部材料の全面を覆う形状の引っ張り強さ1〜10Kgf /
mm2 、厚さ0.1〜5mmの高分子不織布および/または
引っ張り強さ5〜30Kgf /mm2 、厚さ0.1〜5mmの
高分子フイルムを含むことを特徴とするエンジンカバー
により達成された。
【0008】エンジンカバーの形状は、エンジンの上面
にのみ設置するタイプ、エンジンの上面(図1)および
一つの側面(図2)、二つの側面(図3,4)、三つの
側面(図5)、または四つの側面(図6)に設置するタ
イプがある。この場合において、面全体を覆うタイプま
たは一部を覆うタイプが存在する。このとき設置面積が
大きいほど吸音や遮音の効果は大きくなる。従って、吸
音や遮音の効果を目的とする本発明のエンジンカバー
は、その面積が大きいほど良い。しかしながら、エンジ
ンルームのレイアウトの関係により、大面積に設定する
ことは困難であることが多いので、このエンジンカバー
に設定する吸音材の高性能化が重要である。
【0009】本発明は、この点に着目してなされたもの
で、吸音材の特に低周波域の吸音材性能を向上させてい
る。一般に使用される吸音材は、基本的には多孔質吸音
形態であるが、このタイプの吸音材では低周波域に吸音
性能を付与させることが困難である。
【0010】そこで、吸音材を熱、水、油、または外部
の物理的障害から守るために使用している表皮材に着目
し、この表皮材に目的とする周波数に設定した膜吸音形
態を吸音材に形成させた。
【0011】しかし、一般的に膜吸音形態は、建築物に
使用する時等の用に大面積で用いることが可能であれ
ば、吸音効果を得やすいが、エンジンカバーの様な小さ
な部品に使用しても効果が余り得られなかった。
【0012】一般にエンジンカバーとエンジンによって
仕切られた、疑似閉空間内においては、エンジンが通常
の運行をするときに発生する音圧エネルギーによりその
空間内の雰囲気音圧レベルは上昇するが、エンジンカバ
ーはその音圧エネルギーを外部に漏洩させないため、全
体的には吸音や遮音が達成できる。
【0013】本発明者らは、このときエンジンカバーの
設置がない場合の音圧レベルに比べ、エンジンカバー設
置後の空間の音圧レベルが、少なくとも1.3倍以上で
ある場合には、膜吸音形態でも顕著に性能を発揮するこ
とを確認した。
【0014】この高音圧レベルの雰囲気をエンジンカバ
ーとエンジンとの間の空間に形成するためには、エンジ
ンとエンジンカバーとの平均間隔が5〜100mmである
ことが必要である。平均間隔が5mm未満になると、実際
には吸音材を設置することが不可能であり、吸音材の効
果を向上させる意味がない。一方、100mmを超える空
間では開放空間とあまり変わらないため、音圧レベルを
目的のレベルまで上げることができない。従って、空間
をこの高音圧の雰囲気とし、膜吸音形態の吸音材を設置
することが必要である。
【0015】吸音材に膜吸音形態を形成させるには、表
皮材を吸音材の内部材のエンジン側面、または吸音材の
内部材全面で覆う形態に設置し、更に表皮材が引っ張り
強さ5〜30Kgf /mm2 、厚さ5〜50μm の高分子フ
ィルム、および/または引っ張り強さ1〜10Kgf /mm
2 、厚さ0.1〜5mmの高分子不織布が適している。膜
吸音形態はある程度通気を抑えた表皮材の存在により、
形成されるが、その形成には表皮材の厚さや引っ張り強
さの限定が必要である。
【0016】表皮材に高分子フィルムを用いる場合に
は、引っ張り強さ5〜30Kgf /mm2、厚さ5〜50μm
の範囲にあることが必要である。引っ張り強さが5Kgf
/mm 2 未満になると、表皮材の存在によっても膜吸音
形態には移行せず、多孔質型吸音形態を維持する。逆
に、30Kgf /mm2 を超えると、完全な膜吸音形態にな
り、高周波域の本来吸音材の保持する吸音性能を得るこ
とができない。また、フィルムの厚さが5μm 未満にな
ると、フィルム自体の機械的強度が不足し、表皮材設定
の意味がなくなる。逆に、50μm を超えると、完全に
表皮の通気が止まってしまい高周波域の吸音性能が極端
に低下してしまう。
【0017】表皮材に高分子不織布を用いる場合も基本
的に高分子フィルムの場合と考え方は同様であり、引っ
張り強さ1〜10Kgf /mm2 、厚さ0.1〜5mmの範囲
にあることが適している。
【0018】高分子不織布は、高分子フィルムに比べ通
気抵抗が小さいため、引っ張り強さや厚さの限定が高分
子フィルムと異なる。引っ張り強さが1Kgf /mm2 未満
になると、表皮材の存在によっても膜吸音形態には移行
せず、多孔質型吸音形態を維持する。逆に、10Kgf /
mm2 を超えると、不織布は一般的でないため流通部材に
は適当ではない。また、不織布の厚さが0.1μm 未満
になると、不織布自体の機械的強度が不足し、表皮材設
定の意味がなくなる。逆に、厚さが5mmを超えると、通
気抵抗が極端に上昇するため高周波域の吸音性能が極端
に低下してしまう。
【0019】高分子フイルムおよび高分子不織布は、共
にポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアク
リロニトリル、ポリアセテート、ポリエチレン、線状ポ
リエステル、ポリアミド等の使用が有効であるが、特に
限定は行わない。
【0020】本発明のエンジンカバーは、低周波域の吸
音や遮音性能を向上させる目的であるが、その低周波域
の周波数チューニングについて説明する。低周波数域に
吸音周波数を設定するには、吸音材を構成する材料の動
的ばね定数を2×105 〜20×105 N/m、表皮材
の面密度を50〜500g/m2とし、表皮材のヤング
率を3〜500N/m2、表皮材のポアソン比を0.2〜
0.4とすることにより、表皮材を膜とする膜吸音形態
において、表皮材を質量部、内部の吸音材をばね部とし
た少なくとも1自由度以上の振動系を形成し、一次共振
周波数を100Hz〜1kHz に可変設定可能にすることが
適している。
【0021】一般的な膜吸音の目標周波数(f)の設定
には数1式を使用する。この1自由度振動系のモデルを
図7に示す。
【数1】 C :音速(m/sec ) K1:吸音材のバネ定数(N/m) K2:表皮材の剛性(Nsec /m3) m :表皮材の単位面積当たりの質量(kg)
【0022】ここで表皮材の剛性K2は、吸音材への表
皮材の設置条件により変化するので、単純には決定でき
ない。従って、実験によって求めるが、少なくとも表皮
材のヤング率を3〜500N/m2、表皮材のポアソン比
を0.2〜0.4の範囲に限定しない場合には、一次共
振周波数を100Hz〜1kHz の範囲に設定することがで
きない。
【0023】また、吸音材の動的ばね定数を2×105
〜50×105 N/m、表皮材の面密度を50〜500
g/m2の範囲に限定しないと上記同様に一次共振周波数
を100Hz〜1kHz の範囲に設定することができない。
【0024】また、本発明の吸音材は完全な膜吸音形態
を形成していないため、上記数1式だけでは完全に周波
数の設定はできない。従って、数1式を目安にして大ま
かな周波数設定を行う。しかし、実験的に上記の限定範
囲から外れる材料使用では、目的周波数領域に吸音性能
を付与することができない。本発明のエンジンカバーに
使用される吸音材の表皮材として使用される高分子不織
布は、平均繊維長1〜100cm、平均径1〜30μm
の高分子繊維より構成されたニードルパンチスパンボン
ドまたは布の一部を熱融着させて成形するエンボス加工
を施したスパンボンドであることが好ましい。
【0025】本発明のエンジンカバーに使用される吸音
材は、主として吸音材の保護を目的としている。従っ
て、機械的強度を付与させるため、更に吸音材から繊維
の抜けを防止するための高分子不織布の設置が有効であ
る。従って、平均繊維長が1cm未満になると、機械的性
能が満足できない。逆に、100cmを超えると、繊維は
均一に分散させ、均一な機械的性能を保持させることが
困難である。
【0026】上記の範囲内である限り、10cm以下の短
繊維でも、それ以上の長繊維でもよい。これら繊維は、
布状の不織布、または織布に成形されるが、不織布の場
合にはニードルパンチ製法、または布の一部を熱融着さ
せて成形する製法は、布の剛性を上げられ、通気性も確
保でき、有効である。また、構成繊維に10cm以上の長
繊維だけを用いることは、更に布の剛性を向上させるこ
とが出きるため特に有効である。この表皮材に撥水や撥
油処理を施すことも可能であり、エンジン近傍で吸音材
の保護をするのに非常に効果があるが、限定は行わない
ものとする。
【0027】構成される繊維は平均径1〜30μm の範
囲にある高分子繊維であることが適している。平均径が
1μm 未満になると、繊維自体の剛性が不足するため、
機械的強度が満足できない。逆に、平均径が30μm を
超えると、通気抵抗が減少するため、低周波域に効果的
な吸音性能を付与することが困難である。また、更に不
織布の機械的強度を上昇させるためにはニードルパンチ
スパンボンド、または布の一部を熱融着させて成形する
エンボス加工を施したスパンボンドであることが特に好
ましい。
【0028】以下に、吸音材の内部基材について説明す
る。吸音材を形成する内部材料が、短繊維および/また
は長繊維で構成された織布、または不織布からなる繊維
集合体より構成され、繊維集合体を構成する繊維が直径
10〜40μm の丸断面、または丸以外の形状を有する
ボリエステル製繊維であり、この繊維集合体の10〜5
0重量%が断面方向に2重の芯部と表面部を有するバイ
ンダー繊維であり、芯部に高軟化点、表面部に低軟化点
の構成で、これら軟化点の差が50〜80℃の範囲にあ
る繊維であり、平均厚さ3〜30mm、面密度200〜2
000g/m2の範囲にある吸音材であることが適してい
る。
【0029】吸音材を構成する繊維集合体は、織布形態
でも不織布形態でもよい。吸音性能はこの繊維集合体の
形態に依存しないためである。しかし、嵩高性の確保や
吸音材の機械的強度の確保には、繊維集合体の形態が強
く依存するため、吸音材を設置する周りの環境を考慮
し、吸音材の形態を決定する必要がある。このとき嵩高
性を重視する場合には不織布形態が望ましく、機械的強
度を重視する場合には織布形態が望ましいが、特に限定
は行わない。
【0030】吸音材を構成する繊維は、平均径が10〜
40μm の範囲の太さである必要がある。吸音材の性能
は、吸音材を構成する繊維集合体の平均繊維径に依存さ
れ、繊維径が細いほど吸音性能は高くなる。しかし、細
い繊維は、一般的でなく、繊維自体の剛性も小さいた
め、部品として使用するのは困難である。また、繊維の
剛性が小さいと吸音材の性能の一つとされる嵩高性を付
与することは難しく、更には繊維自体の結合力も小さく
なってしまう。以上より、10μm 未満の繊維を用いる
と吸音性能を満足することはできない。一方、繊維を太
くすると吸音性能が低下するため、40μm以上の繊維
を用いると吸音性能を満足させることができない。
【0031】繊維集合体を構成する繊維は、丸断面繊維
でも、丸以外の異形断面繊維でも問題なく使用可能であ
る。特に吸音性能は繊維の表面積に依存されるため、異
形断面繊維の使用は有効であるが特に限定は行わない。
【0032】吸音材を構成する繊維は、ポリエステル製
であることが必要である。ポリエステルには、比較的融
点が高い高分子が多く、自動車のエンジンルーム内の用
に比較的高温雰囲気下で使用される吸音材の材料として
は、適しているからである。特に一般的なポリエステル
であるポリエチレンテレフタレートは融点が約250℃
であり、特に相応しいが限定は行わない。また、ポリエ
ステルはリサイクル性が高く、吸音材として切り出した
後の端材を再度、開繊することによって、もう一度不織
布を製造することが可能である。端材等のポリエステル
繊維を溶融し、再度繊維に紡糸することも可能である。
【0033】吸音材を構成する繊維の10〜50重量%
が断面方向に2重の芯鞘構造を有するバインダー繊維で
あり、芯部に高軟化点、表面部に低軟化点の構成となっ
ているものであることが必要である。バインダー繊維は
成型性を不織布に付与させるために使用されているが、
繊維表面部の低軟化点の部位が、加熱成型時に相互に融
着し合うため、型にあった成形が可能となっている。
【0034】上述したが、吸音材をエンジンルームの吸
気系に使用する場合には、吸音材の繊維が吸入空気によ
って抜けてしまうことがないように、吸音材の表面にス
パンボンド等の表皮を添付し、吸音材を保護していた。
ここでバインダー繊維が10〜50重量%の範囲で表皮
に使用してある場合には、表面にある繊維がバインダー
繊維によって接着されるため、前記の問題が起こりにく
くなる優位点がある。
【0035】このときバインダー繊維の配合量が10重
量%未満の場合には、吸音材自体の成形が困難になると
共に、表面繊維の一部が飛散するおそれがあるため、本
発明では相応しくない。また、50重量%を超えると、
吸音材自体が硬化するため、吸音材の動的バネ定数を満
足することが難しくなる。
【0036】バインダー繊維の表面部の低軟化点部の融
点は、芯部に対して50〜80℃の範囲で低融点となっ
ていることが必要である。これは吸音材に成形性を付与
させるために必要だからである。従って、その軟化点の
差に応じて、一部の繊維のみを軟化させる温度範囲で、
その軟化する繊維をバインダーとすることによって、繊
維集合体に成形性を付与させることができるのである。
軟化点の差が50℃未満になると加熱成形する際の温度
管理が困難になり、実用性が低下する。一方、軟化点の
差が80℃を超えると、軟化点の温度が下がり、常温ま
たは高温下で使用する吸音材の形状を確保することが困
難になる可能性がある。
【0037】これはバインダー繊維以外のポリエステル
繊維は、ほぼバインダー繊維の芯材と同様の融点を有す
ると考えられるため、バインダー繊維の軟化点の温度差
が大きいほど成形が容易になる。しかし、高温雰囲気下
で表面部が溶け出した場合、成形された吸音材の形状が
元の吸音材のシート状に戻ってしまうため問題となる。
【0038】特にエンジンカバー用に用いる吸音材は、
エンジンの放射熱に耐えるため高い耐熱性が要求され
る。従って、最も一般的なポリエステルであるポリエチ
レンテレフタレートを芯材として使用するバインダー繊
維の場合には、芯材の融点が約250℃であるため、表
面部の軟化点が約170〜200℃の範囲にあることが
必要になる。
【0039】吸音材は、繊維長が100mm以下の単繊維
および/または繊維長が100mm以上の長繊維で構成さ
れた繊維集合体からなることが必要である。吸音は音の
エネルギーを熱のエネルギー等に変換させることである
から、この性能を向上させるにはエネルギーの変換効率
を向上させることが必要である。この効率は、空気との
摩擦を大きくすることで向上させることが可能であり、
この目的のためには吸音材の表面積を上げることが効果
的である。この点から様々な種類がある吸音材の中でも
単位重量辺りの表面積の大きな繊維集合体が相応しいこ
とになる。また、吸音性能は構成繊維の長さには依存し
ないため、吸音性能を確保するのに繊維長を規定する必
要性は殆どない。
【0040】吸音材の使用目的によって、単繊維を用い
る方が良い場合や長繊維の方がいい場合がある。例え
ば、単繊維は繊維自体が短いため、吸音材に成型したと
きに、その吸音材は型の追従性が良好で保形性が高くな
り、また長繊維は、機械的強度が高いため、吸音材に剛
性を求めたい場合には良好であるが特に限定は行わな
い。
【0041】しかし、吸音材の製造や吸音材自体の剛性
等を考えるとき、繊維長によって吸音材の機械的強度が
左右されるため、これらを指定する意味をもつ。繊維を
吸音材に成形するときには、繊維長が30〜100mmの
範囲にあることが重要であるが、特に限定しない。
【0042】繊維長が30mm未満になると、繊維長が短
すぎるため、吸音材に成形することが困難となる。ま
た、一般の繊維吸音材の製造装置では、100mmを超え
る繊維を均一に分散させて成形することは困難である。
従って、一部の繊維体が吸音材中で片寄った吸音材にな
る可能性が大きく、常に一定の性能を確保することが難
しくなる。
【0043】吸音材の面密度は200〜2000g/m2
の範囲内であることが有効である。面密度が200g/
m2未満になると、吸音材とての剛性が確保できない。一
方、2000g/m2を超える領域では、重量、またそれ
に伴うコストが超過する割には性能が向上せず効果的で
無いばかりか、この面密度の増加に伴い、吸音材自体の
通気量が減少するため、音を反射してしまう可能性があ
る。
【0044】吸音材の厚さは3〜30mmの範囲にあるこ
とが必要である。厚さが3mm未満になると、吸音性能が
確保できず、30mmを超えると吸音材としては厚すぎ、
設置のためのスペースが必要になってくるため、レイア
ウト的に成り立たない場合も多く、使用の道が狭められ
る可能性がある。
【0045】高分子フィルム、または高分子不織布で構
成された表皮材と内部の吸音材の中間に10〜200g
/m2、空気圧0.1kg/cm2 での通気量が1〜100cc
/cm 2 min であるフィルム状のホットメルト接着剤を有
することが適している。
【0046】表皮材を吸音材に設置するときにはある程
度の機械的強度が必要である。従って、フィルム状のホ
ットメルトの設置は有効である。また、低周波域に吸音
性能を付与するために10〜200g/m2、空気圧0.
1kg/cm2 での通気量が1〜100cc/cm2 min である
ことが好ましい。
【0047】ホットメルト接着剤の面密度が10g/m2
未満になると、接着力が満足できず、ホットメルトを使
用する意味が無い。逆に、200g/m2を超えると、表
皮材と合わせての通気抵抗が高くなりすぎるため高周波
域の吸音性能が確保できない。
【0048】ホットメルト接着剤の通気量が1cc/cm2
min 未満になると、通気抵抗が高くなりすぎるため高周
波域の吸音性能が確保できない。100cc/cm2 min を
超えると、フィルムとしての通気抵抗が小さいため、低
周波数域の吸音性能を向上させることが困難になる。
【0049】吸音材の設置形態については、エンジンカ
バーと吸音材との間に5〜20mmの背後空気層を形成す
ることが適している。背後空気層の存在は低周波域の吸
音性能を向上させるため、発明の目的には背後空気層の
存在は有効である。ここで背後空気層が5mm未満になる
と、低周波域の吸音性能が適当に向上しないため背後空
気層を設置する意味が無い。逆に、20mmを超えると、
エンジンカバー全体の厚さが厚くなるため、エンジンル
ームに設置するときのレイアウト的に問題が大きい。
【0050】広い範囲で低周波域の吸音性能を向上させ
るためにはエンジンカバーに設置する吸音材の仕様を少
なくとも2以上設置し、目的とする低周波数領域の吸音
周波数を少なくとも2以上設定することが有効である。
エンジンカバーの各面にそれぞれ異なる周波数に設定し
た吸音材を設置することにより、幅広い領域で吸音性能
の高いエンジンカバーを得ることができる。また、吸音
性能は吸音材の設置面積に比例するため、吸音効果の必
要な順に吸音材の面積を変化させてエンジンカバーの裏
面に設置することが特に有効である。
【0051】本発明のエンジンカバーに設置される吸音
材をエンジンルーム内に用いることは有効である。エン
ジンルーム内もエンジンを加振源とした高音圧の部位が
広い面積で分布しているため、本発明の吸音材の効果を
十分に発揮することができる。特にエンジン周辺に適用
することが有効であるが特に限定は行わない。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。
【0053】実施例1 エンジンカバーを形状1(図1参照)とし、エンジンと
エンジンカバーとの平均間隔を20mmとなるようにエン
ジンカバーをエンジン上面に設置した。この時、通常運
転状態において、エンジンカバー無しの場合のエンジン
上面の音圧レベルに対して、エンジンカバー設置後のエ
ンジンとエンジンカバーとの間の空間の音圧レベル比は
約1.5倍となった。ここで吸音材の仕様は、内部吸音
材が平均径約15μm の丸断面のポリエステル(以下、
PETと言う)繊維で、吸音材の総重量の20%を軟化
点の差が約50℃であるバインダー繊維の配合とし、厚
さを10mm、面密度を1.0kg/m2としたものを使用し
た。この吸音材の動的バネ定数は2×105 N/mであ
る。表皮材は、面密度0.2kg/m2、厚さ0.6mm、引
っ張り強さ8Kgf /mm2 、ヤング率が70N/m2、ポア
ソン比が約0.3のスパンボンド不織布を使用した。こ
の表皮材を吸音材基材に配合されるバインダー繊維の存
在により接着させて吸音材1を製造した。この時の吸音
材1の一次共振周波数は約160Hzとなる。形状1のエ
ンジンカバーと吸音材1とを組み合わせてエンジンカバ
ー1を得た。
【0054】実施例2 エンジンとエンジンカバーとの平均間隔を100mmとな
るようにエンジン上にエンジンカバーを設置し、当該雰
囲気下の音圧レベルの比を1.3とした吸音材2を使用
した以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバー
2を得た。
【0055】実施例3 エンジンとエンジンカバーとの平均間隔を10mmとなる
ようにエンジン上にエンジンカバーを設置し、当該雰囲
気下の音圧レベルの比を2とした吸音材3を使用した以
外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバー3を得
た。
【0056】実施例4 吸音材に設置する表皮材を面密度0.05kg/m2、厚さ
0.2mm、引っ張り強さ2Kgf /mm2 、ヤング率が18
N/m2、ポアソン比が約0.3のスパンボンド不織布を
使用し、この吸音材4の一次共振周波数を約320Hzと
した以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバー
4を得た。
【0057】実施例5 吸音材に設置する表皮材を面密度0.4kg/m2、厚さ
1.2mm、引っ張り強さ9Kgf /mm2 、ヤング率が15
0N/m2、ポアソン比が約0.3のスパンポンド不織布
を使用し、この吸音材5の一次共振周波数を約110Hz
とした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバ
ー5を得た。
【0058】実施例6 吸音材に設置する表皮材を面密度0.05kg/m2、厚さ
15μm 、引っ張り強さ21kg/mm2 、ヤング率が20
0N/m2、ポアソン比が約0.25の高分子フィルムを
使用し、この吸音材6の一次共振周波数を約500Hzと
した以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバー
6を得た。
【0059】実施例7 吸音材に設置する表皮材を面密度0.07kg/m2、厚さ
40μm 、引っ張り強さ22Kgf /mm2 、ヤング率が2
00N/m2、ポアソン比が約0.25の高分子フィルム
を使用し、この吸音材7の一次共振周波数を約360Hz
とした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバ
ー7を得た。
【0060】実施例8 吸音材の面密度を0.2kg/m2とし、その動的バネ定数
を4×104 N/m、この吸音材8の一次共振周波数を
約80Hzとした以外は、実施例1と全く同様にしてエン
ジンカバー8を得た。
【0061】実施例9 吸音材の面密度を1.8kg/m2とし、その動的バネ定数
を3.2×105 N/m、この吸音材9の一次共振周波
数を約200Hzとした以外は、実施例1と全く同様にし
てエンジンカバー9を得た。
【0062】実施例10 内部吸音材を平均径約15μm のY形断面のPET繊維
で、吸音材の総重量の20%を軟化点の差が約50℃で
あるバインダー繊維の配合とし、厚さを10mm、面密度
を1.0kg/m2としたものを使用し、その動的バネ定数
を1.8×10 5 N/m、この吸音材10の一次共振周
波数を約150Hzとした以外は、実施例1と全く同様に
してエンジンカバー10を得た。
【0063】実施例11 内部吸音材の厚さを5mmとし、その動的バネ定数を4.
0×105 N/m、この吸音材11の一次共振周波数を
約230Hzとした以外は、実施例1と全く同様にしてエ
ンジンカバー11を得た。
【0064】実施例12 内部吸音材の厚さを25mmとし、その動的バネ定数を
1.0×105 N/m、この吸音材12の一次共振周波
数を約110Hzとした以外は、実施例1と全く同様にし
てエンジンカバー12を得た。
【0065】実施例13 内部吸音材を構成するPET繊維の平均径を約30μm
とし、その動的バネ定数を2.0×105 N/m、この
吸音材13の一次共振周波数を約160Hzとした以外
は、実施例1と全く同様にてエンジンカバー13を得
た。
【0066】実施例14 内部吸音材を構成するPET繊維のバインダー繊維の配
合量を10重量%とし、その動的バネ定数を1.5×1
5 N/m、この吸音材14の一次共振周波数を約14
0Hzとした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジン
カバー14を得た。
【0067】実施例15 内部吸音材を構成するPET繊維のバインダー繊維の配
合量を50重量%とし、その動的バネ定数を2.5×1
5 N/m、この吸音材15の一次共振周波数を約18
0Hzとした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジン
カバー15を得た。
【0068】実施例16 内部吸音材と表皮材を接着するために、面密度を0.0
5kg/m2、空気圧0.1kg/cm2 での通気量が10cc/
cm2 min であるフィルム状のホットメルトを使用し、そ
の動的バネ定数を2.0×105 N/m、この吸音材1
6の一次共振周波数を約160Hzとした以外は、実施例
1と全く同様にしてエンジンカバー16を得た。
【0069】実施例17 エンジンカバーと吸音材1との間に10mmの背後空気層
を設定し、その動的バネ定数を1.8×105 N/m、
この吸音材17の一次共振周波数を約150Hzとした以
外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバー17を
得た。
【0070】実施例18 エンジンカバーを形状2(図2参照)とし、音圧レベル
の比を約1.7倍とした以外は、実施例1と全く同様に
してエンジンカバー18を得た。
【0071】実施例19 エンジンカバーを形状3(図3参照)とし、音圧レベル
の比を約1.8倍とした以外は、実施例1と全く同様に
してエンジンカバー19を得た。
【0072】実施例20 エンジンカバーを形状4(図4参照)とし、音圧レベル
の比を約1.9倍とした以外は、実施例1と全く同様に
してエンジンカバー20を得た。
【0073】実施例21 エンジンカバーを形状5(図5参照)とし、音圧レベル
の比を約2.2倍とした以外は、実施例1と全く同様に
してエンジンカバー21を得た。
【0074】実施例22 エンジンカバーを形状6(図6参照)とし、音圧レベル
の比を約2.4倍とした以外は、実施例1と全く同様に
してエンジンカバー22を得た。
【0075】比較例1 エンジンとエンジンカバーとの空間を3mmとしてエンジ
ンカバーをエンジンに設置させたが、スペースの関係よ
り低周波数域に有効な吸音材の取り付けができず、音圧
比の測定もできなかった。
【0076】比較例2 エンジンとエンジンカバーとの空間を120mmとしてエ
ンジンカバーをエンジンに設置させたが、音圧比が1.
2となり、低周波数域に有効な吸音材の効果が発揮され
る雰囲気を形成させることができなかった。
【0077】比較例3 吸音材に設置する表皮材を面密度0.01kg/m2、厚さ
0.1mm、引っ張り強さ0.8Kgf /mm2 、ヤング率が
13N/m2、ポアソン比が約0.3のスパンポンド不織
布を使用し、この吸音材の一次共振周波数を約200Hz
とした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバ
ーを得た。
【0078】比較例4 吸音材に設置する表皮材を面密度0.6kg/m2、厚さ
1.0mm、引っ張り強さ1.2Kgf /mm2 、ヤング率が
92N/m2、ポアソン比が約0.3のスパンボンド不織
布を使用し、この吸音材の一次共振周波数を約200Hz
とした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバ
ーを得た。
【0079】比較例5 吸音材に設置する表皮材を面密度0.01kg/m2、厚さ
5μm 、引っ張り強さ1.2Kgf /mm2 、ヤング率が1
5N/m2、ポアソン比が約0.25のスパンボンド不織
布を使用し、この吸音材の一次共振周波数を約200Hz
とした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカバ
ーを形成しようとしたが、表皮の剛性不足により、実験
中に表皮が破れてしまった。
【0080】比較例6 吸音材に設置する表皮材を面密度0.07kg/m2、厚さ
60μm 、引っ張り強さ23Kgf /mm2 、ヤング率が2
20N/m2、ポアソン比が約0.25のスパンボンド不
織布を使用し、この吸音材の一次共振周波数を約200
Hzとした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジンカ
バーを形成しようとしたが、表皮の剛性不足により、実
験中に表皮が破れてしまった。
【0081】比較例7 吸音材の面密度を0.1kg/m2とし、その動的バネ定数
を1×104 N/m、この吸音材の一次共振周波数を約
80Hzとした以外は、実施例1と全く同様にしてエンジ
ンカバーを得た。
【0082】比較例8 吸音材の面密度を3.0kg/m2とし、その動的バネ定数
を6×104 N/mとしたが、この吸音材の一次共振周
波数は約1100Hzとなり、低周波数域に好適な吸音材
を形成させることができなかった。
【0083】比較例9 内部吸音材の厚さを2mmとし、その動的バネ定数を2.
0×106 N/mとしたが、この吸音材の一次共振周波
数は約1200Hzとなり、低周波数域に効果的な吸音材
を形成させることができなかった。
【0084】比較例10 内部吸音材の厚さを40mmとしたが、レイアウト的にこ
の吸音材を設置したエンジンカバーで実験を行うことが
できなかった。
【0085】比較例11 内部吸音材を構成するPET繊維の平均径を約8μm と
したが、繊維自体に剛性がなく繊維集合体を形成させる
ことができなかった。
【0086】比較例12 内部吸音材を構成するPET繊維の平均径を約50μm
とし、その動的バネ定数を3.0×105 N/m、この
吸音材の一次共振周波数を約250Hzとした以外は、実
施例1と全く同様にしてエンジンカバーを得た。
【0087】比較例13 内部吸音材を構成するPET繊維のバインダー繊維の配
合量を7重量%としたがバインダー成分の不足により、
繊維集合体を形成させることができなかった。
【0088】比較例14 内部吸音材を構成するPET繊維のバインダー繊維の配
合量を70重量%とし、その動的バネ定数を1.0×1
6 N/mとしたが、この吸音材15の一次共振周波数
は約1100Hzとなり、低周波数域に効果の大きい吸音
材を形成できなかった。
【0089】従来例1 形状1のエンジンカバーに開繊された天然繊維、および
合成繊維より構成された面密度1.0kg/m2、厚さ10
mmの成形フェルトを吸音材として用い、その他の条件は
実施例1と全く同様にしてエンジンカバーを得た。
【0090】参考例1 実施例1のエンジンカバーを実車車両のエンジン近傍に
設置し、エンジンをかけて各周波数毎の音圧レベルを測
定したところ、吸音材自体の剛性も十分で、音響加振の
結果とほぼ同等の吸音効果があることが確認できた。
【0091】試験例 上記実施例、比較例および従来例で得られたエンジンカ
バーについて、以下の実験を実施した。
【0092】試験例1 各実施例および比較例の方法によって得たエンジンカバ
ーを、半無響音室に設置した4気筒エンジンの近傍に取
付けた。このシステムについて、実際にエンジンのファ
イアリング実験を行い、エンジンの前後左右の4方向1
mと、エンジン上方1mの部位で音圧レベルを測定し、
4位置を平均し、吸音材無しのときの音圧レベルとの差
を周波数毎にdB表示で示した。このとき50〜300
Hzを低周波、300〜500Hzを中周波、及び500〜
2kHz を高周波とし、平均値を表1に記した。これらの
試験結果を表1および表2に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】表1および表2より実施例で作成された各
周波数高剛性吸音材は、従来例に比べ、低周波数(50
〜300Hz)、中周波数(300〜500Hz)、および
高周波数(500〜2kHz )の領域において、優れた吸
音特性を示し、場所を取らず、取付け性に優れるエンジ
ンカバーであることが確認された。
【0098】これに対し、本発明の規定範囲より外れる
仕様で作成した比較例は、特に必要とされる低周波数領
域や中周波数領域の吸音性能(判断基準として、各周波
数の何れも、10dB以上の吸音性能がないものとは不
可とした。更にスペース的(実際の車両のエンジンルー
ム内スペースに納まらないものは不可とした。)に満足
できないことが確認された。
【0099】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のエンジン
カバーによれば、主として車両のエンジンの放射騒音の
特に低周波数域の低減に効果があると共に、これはスペ
ースの限られた場所で低周波領域の吸音性能を向上させ
る性能の高いエンジンカバーとして非常に効果的であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンカバー形状1の模式図と側面図であ
る。
【図2】エンジンカバー形状2の模式図と側面図であ
る。
【図3】エンジンカバー形状3の模式図と側面図であ
る。
【図4】エンジンカバー形状4の模式図と側面図であ
る。
【図5】エンジンカバー形状5の模式図と側面図であ
る。
【図6】エンジンカバー形状6の模式図と側面図であ
る。
【図7】膜吸音形態の模式図である。
【符号の説明】
1 形状1のエンジンカバー 2,6,10, 14, 18, 22 吸音材 3,7,11, 15, 19, 23, 26 表皮材 4,8,12, 16, 20, 24,25 吸音材の内部材 5 形状2のエンジンカバー 9 形状3のエンジンカバー 13 形状4のエンジンカバー 17 形状5のエンジンカバー 21 形状6のエンジンカバー 27 バネ部 28 質量部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G10K 11/16 A (56)参考文献 特開 平10−147191(JP,A) 特開 平10−228285(JP,A) 特開 昭59−227442(JP,A) 特開 平7−261769(JP,A) 特開 平6−332466(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02B 77/13 B32B 5/02 G10K 11/16 B60R 13/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン音の遮音を目的として、エンジ
    ン近傍に設置されるエンジンカバーにおいて、該エンジ
    ンカバーの形状が少なくともエンジンの上面、エンジン
    の上面と一側面、またはエンジンの上面と多数側面を覆
    う形状であり、各面において設置されるカバーはその面
    の全面、またはその面積の一部分を覆う形状であり、前
    記エンジンカバーを設置することにより、前記エンジン
    と前記エンジンカバーによって形成された空間におい
    て、通常のエンジン運用時における平均音圧レベルのオ
    ーバーオールの値が、前記エンジンカバー無しの場合の
    値に比べ、少なくとも1.3倍であり、前記エンジンと
    前記エンジンカバーとの平均間隔が5〜100mmの範囲
    であり、前記エンジンと前記エンジンカバーとにより形
    成された空間中に吸音材を設置し、該吸音材が内部材料
    と表皮材より構成され、表皮材が内部材料のエンジン側
    面、または内部材料の全面を覆う形状の引っ張り強さ1
    〜10Kgf /mm2 、厚さ0.1〜5mmの高分子不織布お
    よび/または引っ張り強さ5〜30Kgf /mm2 、厚さ5
    〜50μmの高分子フィルムを含むことを特徴とするエ
    ンジンカバー。
  2. 【請求項2】 吸音材を構成する内部材料の動的ばね定
    数が2×105 〜50×105 N/m、表皮材の面密度
    が50〜500g/m2であり、該表皮材のヤング率が3
    〜500N/m2、該表皮材のポアソン比が0.2〜0.
    4であり、該表皮材を膜とする膜吸音形態において、該
    表皮材を質量部、該内部材料をばね部とした少なくとも
    1自由度以上の振動系を形成し、一次共振周波数が10
    0Hz〜1kHz に可変設定可能であることを特徴とする請
    求項1記載のエンジンカバー。
  3. 【請求項3】 高分子不織布で構成された表皮材が平均
    繊維長1〜100cm、平均径1〜30μm の範囲にある
    高分子繊維より構成されたニードルパンチスパンボン
    ド、または布の一部を熱融着させて形成するエンボス加
    工を施したスパンボンドであることを特徴とする請求項
    1または2記載のエンジンカバー。
  4. 【請求項4】 吸音材を形成する内部材料が短繊維およ
    び/または長繊維で構成された織布、または不織布から
    なる繊維集合体より構成され、繊維集合体を構成する繊
    維が直径10〜40μm の丸断面、または丸以外の形状
    を有するポリエステル製繊維であり、この繊維集合体の
    10〜50重量%が断面方向に2重の芯部と表面部を有
    するバインダー繊維であり、前記芯部に高軟化点、前記
    表面部に低軟化点の構成で、これら軟化点の差が50〜
    80℃の範囲にある繊維であり、平均厚さ3〜30mm、
    面密度200〜2000g/m2の範囲にある吸音材であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3に記載のエンジンカ
    バー。
  5. 【請求項5】 高分子フィルムおよび/または高分子不
    織布で構成された表皮材と内部材料の中間に10〜20
    0g/m2、空気圧0.1kg/cm2 での通気量が1〜10
    0cc/cm2 min であるフィルム状のホットメルト接着剤
    を有することを特徴とする請求項1乃至4記載のエンジ
    ンカバー。
  6. 【請求項6】 エンジンカバーと吸音材との間に5〜2
    0mmの範囲にある背後空気層を有することを特徴とする
    請求項1乃至5に記載のエンジンカバー。
  7. 【請求項7】 エンジンカバーに設置する吸音材の仕様
    を少なくとも2以上設定し、目的とする低周波数領域の
    吸音周波数を少なくとも2以上設定できることを特徴と
    する請求項1乃至6記載のエンジンカバー。
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