JPH10142616A

JPH10142616A - 液晶注入方法および液体用ディスペンサー

Info

Publication number: JPH10142616A
Application number: JP32080096A
Authority: JP
Inventors: Hideyuki Abe; 英之阿部; Nobumasa Oshima; 信正大島
Original assignee: Ayumi Industry Co Ltd; Ayumi Kogyo Co Ltd
Current assignee: Ayumi Industry Co Ltd; Ayumi Kogyo Co Ltd
Priority date: 1996-11-14
Filing date: 1996-11-14
Publication date: 1998-05-29

Abstract

(57)【要約】【課題】液晶のロスを少なくして、かつ短時間で液晶
セル内に液晶を注入する方法および減圧雰囲気、大気圧
雰囲気あるいは加圧雰囲気下で高精度の液晶注入が可能
な不活性ガス導入による加圧滴下式の液体用ディスペン
サーを提供する。【解決手段】液晶Ｂを注入するための注入口２２を上
方に設けた液晶セル２１を減圧雰囲気下の真空室２５内
に保持し、この真空室２５内に配置され、所定量の液晶
Ｂを制御された状態で滴下することが可能な液体用ディ
スペンサーＡを用いて、上記真空室２５内の圧力状態と
液体用ディスペンサーＡ内の圧力状態とを調整しつつこ
の液体用ディスペンサーＡの上方に設けられている不活
性ガス導入管４からディスペンサー本体１内に不活性ガ
スを送り込むことにより液体用ディスペンサーＡ内を加
圧して液溜め部７に充填されている液晶Ｂを上記注入口
２２から液晶セル２１の液晶注入部２３に所定量注入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、液晶ディスプレ
イの製造工程における液晶セルへの液晶の注入方法およ
びこの液晶注入を効率よく実施することのできる液体用
ディスペンサーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、液晶セルへの液晶の注入方法は、
パターン状透明電極、カラーフィルター、配向膜などの
機能層を形成した２枚のガラス基板の一辺上に少なくと
も１個の液晶注入用の注入口を設けるようにシール樹脂
で固着して得た液晶セルを、液晶を充填した液晶皿を設
置した真空容器内に入れて減圧状態にしたのち、液晶セ
ルの注入口に液晶を接触させ、容器内を大気圧に戻すこ
とによって毛細管現象と液晶セルの内と外との圧力差を
利用して液晶を注入する方法が主として行われている。

【０００３】液晶を液晶セルの注入口に接触させる方法
としては、図１２（ａ）のように液晶６５を充填した液
晶皿６６に液晶セル６１の下向きの注入口６２を浸漬法
や、図１２（ｂ）のように液晶皿６６に紐状体６７を設
けて、液晶セル端面全体を液晶皿に浸けることなしに注
入口６２のみをこの紐状体６７に接触させて液晶注入を
行うヤーン法などが接触方式として広く実用化されてい
る。

【０００４】しかし、上記の浸漬法の場合、液晶注入時
に液晶セル６１の注入口６２だけでなく、液晶セル端面
全体が液晶６５に浸漬されるため、液晶セル端面にも液
晶が付着して高価な液晶のロスが多く、また上記のよう
に液晶セル端面に接触し、汚染されて液晶の特性が低下
するという問題がある。

【０００５】また、後者のヤーン法の場合は、液晶注入
口が液晶を浸透した紐状体と接触するだけなので、浸漬
法に比べると液晶のロスや汚染は少ないが、液晶皿の構
造が複雑になるという問題がある。

【０００６】上記の接触法における問題を解決する方法
として、図１２（ｃ）のように液晶セル６１の注入口６
２を上向きとし、その上方から液晶６５を液体用ディス
ペンサー６８によって注入口６２に滴下する方法も行わ
れている。しかし、従来の液体用ディスペンサーは、そ
の先端の細管から大気圧中で液体を定量吐出させるタイ
プのものが殆どであり、このようなディスペンサーを減
圧雰囲気中で使用すると、ディスペンサー内部に気泡が
生じて液体の吐出が難しいという問題がある。このよう
なことから、本出願人は真空中で液晶を定量滴下するこ
とのできる液体用ディスペンサーを提案した（特開平５
−３４６５６１号）。

【０００７】液体用ディスペンサーによる滴下法で多数
枚の液晶セルを同時に処理をするためには、ディスペン
サー１本あたり単位時間に滴下させる滴数に制限がある
ため、小型の液晶セルに液晶を注入する場合にしか使用
できなかった。また、大型セルに液晶を注入する場合、
ディスペンサー１本当りで注入できるセルの処理枚数が
少なくなり、多数枚同時に注入を行おうとする場合に
は、ディスペンサーを多数個液晶注入装置に取り付けな
ければならない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記提案し
た液体用ディスペンサーは、構造が複雑であり、また真
空用ステッピングモーターおよびそれを制御するための
モーターコントローラーを使用していることから製造コ
ストが高くなり、大型セルに液晶を注入する装置に多数
個このようなディスペンサーを取り付けることは実用上
極めて困難である。

【０００９】また、最近は液晶セルサイズが大型化し、
しかも液晶が注入されるセル間隙が小さくなりつつある
現状において、上記したこれまでの接触方式あるいは滴
下方式の液晶注入では長時間を要することから液晶の注
入工程が液晶セルの生産性向上の障害の１つとなってい
る。また、液晶注入に長時間を要する問題の１つの対策
として、液晶セルの注入口を従来より広くしようとする
傾向がある。この場合、ディスペンサーの先端が単なる
注射針のような細管で一滴ずつ滴下する方法では、特に
注入の初期段階で注入口に対する滴下量不足で液晶セル
中に気泡が発生する恐れがある。

【００１０】この発明は、上記の問題点に鑑み、大型セ
ルあるいはセル間隙の小さい液晶セルに液晶を注入する
場合においても上下の注入口から同時に注入できて注入
時間の短縮をはかることのできる液晶注入方法を提供す
ること、そして上方の注入口からの滴下法において、従
来のピストン方式の液体用ディスペンサーに代えて、加
圧可能な耐圧構造で、窒素等の不活性ガスを用いた加圧
滴下方式とすることによって取り扱いが容易で、低コス
トで実用性の高い液体用ディスペンサーを提供するこ
と、また液体用ディスペンサーの先端を複数の分岐状細
管としたり、液晶セルの注入口の幅と同等以上の幅に滴
下可能なように液体用ディスペンサーの先端細管に多孔
底面または網状底面を呈するガイド部を設けることで、
大型あるいはセル間隙の小さい液晶セルあるいは幅の広
い注入口や複数の注入口が設けられている液晶セルに対
しても、数少ないディスペンサーで短い時間で安定した
液晶注入を可能とすることを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】即ち、この発明のうち請
求項１記載の発明は、液晶を注入するための少なくとも
１個の注入口を設けるように２枚の液晶基板の端部をシ
ール剤で封止して液晶注入部を形成した液晶セルを、そ
の注入口を上に向けた状態で減圧雰囲気下の真空室内に
保持したのち、この真空室内に配置された液晶を充填
し、その内部を減圧、大気圧、加圧などの任意の圧力状
態に調節する機構を具備し、下部に液晶滴下用細管を有
する液体用ディスペンサーを用いて、大気圧またはそれ
以上の雰囲気下で上記注入口から所定量の液晶を上記液
晶注入部に注入することを特徴とする液晶注入方法であ
る。

【００１２】請求項２記載の液晶注入方法は、液晶を注
入するための注入口を上下に少なくとも１個ずつ設ける
ように２枚の液晶基板の端部をシール剤で封止して液晶
注入部を形成した液晶セルを、減圧雰囲気下の真空室内
に保持したのち、上方の注入口からはこの真空室に配置
された液晶を充填し、その内部を減圧、大気圧、加圧な
どの任意の圧力状態に調節する機構を具備し、下部に液
晶滴下用細管を有する液体用ディスペンサーによる滴下
法にて、下方の注入口からは同じく真空室に配置した液
晶を充填した液晶皿又は液晶補充のためのディスペンサ
ーを連結した液晶皿に注入口を接触させる接触法にて、
大気圧またはそれ以上の雰囲気下で上、下の注入口から
同時に所定量の液晶を上記液晶注入部に注入することを
特徴とするものである。

【００１３】また、請求項３記載の液晶注入方法は、２
枚の液晶基板の上下に少なくとも１個ずつの注入口を設
けるように端部をシール剤で封止して液晶注入部を形成
した液晶セルと、液晶を充填し、その内部を減圧、大気
圧、加圧などの任意の圧力状態に調節する機構を具備
し、下部に液晶滴下用細管を有する液体用ディスペンサ
ーと、液晶を充填した液晶皿又は液晶補充のためのディ
スペンサーを連結した液晶皿とをそれぞれゲートバルブ
で連結された別個の真空室に配置し、各真空室内を減圧
したのち、上記ゲートバルブを開口して上記液体用ディ
スペンサーと液晶を充填した液晶皿を上記液晶セルが配
置されている真空室内に移動させるとともに、その昇降
によって上記液晶セルの注入口に接触させ、次いで真空
室を大気圧にするに伴って上方の注入口からは大気圧ま
たはそれ以上の雰囲気下で所定量の液晶を制御された状
態で放出させることの可能な上記液体用ディスペンサー
による滴下法にて、また上記下方の注入口からは上記液
晶皿中の液晶を接触法にて、上下注入口から同時に液晶
を注入することを特徴とするものである。

【００１４】請求項４記載の発明は、放出する液体を溜
める液溜め部とこの液溜め部の下方を細管状とした送出
部とからなるディスペンサー本体と、このディスペンサ
ー本体を密閉する上下のキャップとからなり、上記ディ
スペンサー本体の上部に嵌着されるキャップには上記デ
ィスペンサー本体の上部に連通する不活性ガス導入管を
設け、下部に嵌着するキャップには上記ディスペンサー
本体下方の細管状送出部に接続可能な液体注出用細管を
設けるとともに、このディスペンサー内部を真空排気す
る機構、ディスペンサーを収容する真空室内の圧力とデ
ィスペンサー内部の圧力とを同圧にする機構、さらには
上記不活性ガス導入管に接続してディスペンサー内部を
不活性ガスで加圧できる機構とを有していて、上記液溜
め部に充填した液晶の定量を上記液体注出用細管から滴
下することを特徴とする液体用ディスペンサーである。

【００１５】また、請求項５は請求項４記載の液体用デ
ィスペンサーにおいて、液体注出用細管の先端を複数個
の分岐管としたことを特徴とし、請求項６および７は請
求項４記載の液体用ディスペンサーにおいて、液体注出
用細管の先端に液晶セルの注入口の幅と同等またはそれ
以上の幅を以て液晶を滴下できる多孔底面あるいは網状
底面を呈するガイド部、あるいはそのような扇状扁平管
を設けたことを特徴とするものである。そして、請求項
８は、請求項４記載の液体用ディスペンサーにおいて、
減圧下、不活性ガス導入によるガス加圧により液溜め部
の液晶を滴下するに際し、液晶セルの注入口とディスペ
ンサー先端の細管との中間位置に設置された光センサー
でその滴下量を制御することによって液晶注入部に所定
量の液晶を注入できるようにしたことを特徴とするもの
である。

【００１６】要するに、この発明はディスペンサー本体
内の液溜め部に充填した液晶を不活性ガスによる加圧に
よって滴下する構造の液体用ディスペンサーとしたこと
によって、簡単な操作で液晶注入ができ、また大型ある
いはセル間隙の小さい液晶セルにおける幅の広い注入口
や、１個の液晶セルで複数個の注入口を有する場合にお
いても、液体用ディスペンサーの先端細管を分岐管とし
たり、あるいは多孔または網状底面としたガイド部や扇
状扁平管を先端細管に取り付けることで、数少ないディ
スペンサーで複数個の注入口に同時に安定した液晶注入
を行うことができるので、生産効率の向上、設備費の大
幅削減を可能とするものである。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、この発明を図に基づいて説
明する。まず、この発明になる液体用ディスペンサーか
ら説明すると、図１が液体用ディスペンサーＡの側面図
であり、図２はそれを構成する各部位の断面図である。
液体用ディスペンサーＡは図から明らかなようにディス
ペンサー本体１、上部キャップ２、下部キャップ３から
なり、ディスペンサー本体１に上部キャップ２、下部キ
ャップ３を嵌着することにより構成されている。そし
て、４は上部キャップ２に嵌着されている不活性ガス導
入管であり、５は下部キャップ３の下方に細管固定部６
によって固着されていて液溜め部７の液晶を滴下する注
射針のような金属製の細管である。

【００１８】このような構成の液体用ディスペンサーＡ
を図２について詳しく説明すると、図２（ｂ）のディス
ペンサー本体１は内部を液溜め部７とする３フッ化エチ
レン等の材質からなる加圧可能な耐圧構造の筒体を呈
し、その下部は漏斗のような先細の形状となっていて送
出部８を形成している。そして、上記筒体の上方と下方
の外周にネジ溝９、１０が形成されており、また上部に
はＯリング１１が嵌挿されている。

【００１９】図２（ａ）の上部キャップ２には上方に突
出するようにステンレス製の不活性ガス導入管４が上部
キャップ２の上面内側にその取付け部１３で固着され、
またその側面内周側には上記したディスペンサー本体１
の筒体の上方外周に形成したネジ溝９と嵌合するネジ溝
１２が形成されている。そして、上記筒体上部のＯリン
グ１１が上部キャップ２の上面内側の取付け部１３に当
たるまで上記両ネジ溝９と１２を螺合することによって
ディスペンサー本体１に上部キャップ２が嵌着される。

【００２０】同様にして、下方中央部に細管５が固着さ
れている図２（ｃ）の下部キャップ３にもその側面内周
側にネジ溝１４が形成されており、このネジ溝１４と上
記したディスペンサー本体１の筒体の下方外周に形成さ
れているネジ溝１０とを螺合することによってディスペ
ンサー本体１に下部キャップ３が嵌着される。このよう
にして、この発明の液体用ディスペンサーＡが得られ
る。

【００２１】このディスペンサーＡの液溜め部への所要
量の液晶材料の充填は上部キャップ２をはずして行えば
よい。しかし、必要ならばディスペンサー上方に充填用
注入管を取り付けたり、ガス導入管４を兼用することも
可能である。また、下方の注入口から液晶を注入する液
晶皿内への液晶の補充は、常法としては注入終了後に注
射針にて行われるが、請求項２および３に記載のように
真空室内に液晶皿への液晶補充用として液晶を充填した
ディスペンサーを液晶皿に連結させておいてもよい。

【００２２】次に、このようにして得られた液体用ディ
スペンサーを用いてのこの発明の液晶注入方法を説明す
る。図３はこの発明の液晶注入方法の一実施例を示す液
晶注入装置の概念図であり、図において２１は２枚の基
板をシール剤で貼り合わせ、上面中央部に液晶注入口２
２を、内部に液晶注入部２３を形成した液晶セルであ
る。この液晶セル２１は基板用カセット２４に収納さ
れ、真空室２５内に固定配置されている。そして、この
液晶セル２１の液晶注入口２２に細管５が合致するよう
にして液溜め部７に液晶Ｂを充填した液体用ディスペン
サーＡが若干の間隙を有するように配置され、上下動調
節モーター２６に接続されていて、その上下動によって
液晶注入口２２に接触させるようになっている。

【００２３】また、液体用ディスペンサーＡの不活性ガ
ス導入管４には窒素ガスのような不活性ガスボンベ（図
示せず）および真空ポンプ２８から配管２７されてお
り、この配管２７の経路には種々のバルブが配置されて
いる。即ち、Ｖ−１は不活性ガスボンベから不活性ガス
導入管４への不活性ガス導入バルブ、Ｖ−６はガス流量
調節バルブである。Ｖ−２は真空室２５とディスペンサ
ーＡ内の圧力を同圧にする時の調節バルブ、Ｖ−３は予
備タンクバルブ、Ｖ−４は予備タンク背圧バルブであ
る。また、Ｖ−５はディスペンサーＡ内を大気圧に戻す
ときに用いる大気開放調節バルブであり、２９は真空度
測定用のピラニ真空計、３０は圧力計である。

【００２４】さらに、Ｖ−７およびＶ−８は真空室２５
を大気圧に戻す時の不活性ガスの導入と排出を調節する
バルブである。Ｖ−９は真空室２５内を真空ポンプ３１
で真空にする時の調節バルブであり、３２、３３は真空
室２５に取り付けられているピラニ真空計と圧力計であ
る。また、３４は液晶セル２１の液晶注入口２２と液体
用ディスペンサーＡの液晶注入用細管５との間に位置す
るように設けられ、液晶滴下を制御するための光ファイ
バーで直結された光センサーである。そして、このセン
サー３４と上記した各調節バルブとは図示していないが
制御装置に接続されていて、ディスペンサーＡ内と真空
室２５内との圧力状態が管理され、所定量の液晶注入を
可能にするものである。

【００２５】上記説明した図３による液晶注入の具体的
な一例を説明すると、まず、バルブＶ−９を開いて真空
ポンプ３１により真空室２５内を減圧にするとともに液
晶セル２１内をも真空引きする。同時に真空室２５内に
配置されている液体用ディスペンサーＡについてもバル
ブＶ−２を開いて脱泡を行う。その後、バルブＶ−２を
閉じ、バルブＶ−３、Ｖ−４を開いて液体用ディスペン
サーＡ内を減圧とする。このようにして真空室２５内と
液体用ディスペンサーＡ内を減圧とした後、上下動モー
ター２６により液体用ディスペンサーＡを下降させる。
と同時にバルブＶ−９、Ｖ−３、Ｖ−４を閉じ、バルブ
Ｖ−６、Ｖ−１を開いて液体用ディスペンサーＡ内に不
活性ガスを導入して液晶セル２１の注入口２２を細管５
から滴下する液晶で塞ぎ、その後、真空室２５内を大気
圧に戻すためにＶ−７バルブを開いて不活性ガスを導入
することにより液晶の注入を行う。

【００２６】この液晶注入は、Ｖ−１バルブを開いて液
体用ディスペンサーＡ内に不活性ガスを導入し、液体用
ディスペンサーＡの細管５から液晶セル２１の注入口２
２に液晶が滴下されると、この液晶の１滴の滴下を光セ
ンサー３４が感知してＶ−１バルブが閉じられ、同時に
バルブＶ−３が開いて真空ポンプ２８による液体用ディ
スペンサーＡ内の圧力が調整された後、Ｖ−３を閉じ、
Ｖ−１バルブを開いて液体用ディスペンサーＡ内に不活
性ガスを送ることにより液晶の１滴の滴下が行われる、
という操作を繰り返すことにより行われる。

【００２７】このようにして、真空室２５内と液体用デ
ィスペンサーＡ内の圧力差を見極めつつ液晶注入を行う
この発明の液体用ディスペンサーＡによれば、さきに本
出願人が提案したピストンを利用した液体用ディスペン
サーに比べてディスペンサー自体の構造も簡素化されて
製造コストも低減されるので、大型セル基板に対して多
数個のディスペンサーを用いることも可能である。

【００２８】なお、上記の図３においては、液晶注入口
が上部にのみ有する液晶セルに対するこの発明の液体用
ディスペンサーによる液晶注入の例を説明したが、液晶
セルへの液晶注入をさらに促進させたい場合には、図４
に示すように上下に注入口２２、２２ａを設けた液晶セ
ル２１を用い、上方の注入口２２からはこの発明の液体
用ディスペンサーＡによる液晶の滴下注入を上記した方
法で行い、下方の注入口２２ａからは液晶４１を充填
し、これに半ば浸るように紐状体４３を設けた液晶皿４
２を真空室２５内に配置し、大気圧下で下方の注入口２
２ａを紐状体４３に接触させる従来の接触方式を採用す
ることができる。

【００２９】図５はこの発明の液晶注入方法の他の実施
例の構成を示すものであり、図４と異なるのは上下に注
入口２２、２２ａを設けた液晶セル２１、上方の注入口
２２に液晶を滴下注入する液体用ディスペンサーＡおよ
び下方の注入口２２ａから液晶を注入する液晶の充填さ
れた液晶皿４２がそれぞれ別々の真空室２５、２５ａ、
２５ｂに配置されていて、真空室２５が液晶注入室、２
５ａ、２５ｂは脱泡室と区別されていることである。す
なわち、液晶注入室となる真空室２５内には上下に注入
口２２、２２ａを設けた液晶セル２１が配置されてい
る。また、図４に示すと同じ構造と機能を有する液体用
ディスペンサーＡは真空室２５ａに、液晶を充填した液
晶皿４２は昇降機構４４を備えた真空室２５ｂに配置さ
れている。

【００３０】そして、液体用ディスペンサーＡが配置さ
れている真空室２５ａと液晶皿が配置されている真空室
２５ｂは何れもゲートバルブ４５で液晶セルが配置され
ている真空室２５に連結されている。このような構成に
おいて、まず真空ポンプ３１で各真空室を減圧にして脱
泡処理を行う。なお、３１ａは液晶セルが配置されてい
る真空室２５の減圧をより確実にするために併用するタ
ーボ分子ポンプである。次に、ゲートバルブ４５を開い
て液晶基板が配置されている真空室２５内の液晶セルの
上下の注入口２２、２２ａと一致する位置まで液体用デ
ィスペンサーＡおよび液晶皿４２を移動させ、その後液
体用ディスペンサーＡは図３に示すように上下動モータ
ー２６にて上方の液晶注入口２２に接触させ、真空室２
５を大気圧に戻すと同時に上記した図３の実施例と同様
の操作を行って液晶の滴下注入を行う。また下方の液晶
皿４２は、昇降機構４４によって下方の注入口２２ａに
接触させ、真空室２５を大気圧に戻した時の基板内外の
圧力差と毛細管現象により液晶の注入を行うことができ
るのである。

【００３１】図６はさらに他の実施例を示し、図５より
液晶セル２１の枚数が多かったり、１つの液晶セルの上
下に２２、２２′、２２ａ、２２ａ′と複数の注入口を
有する場合には、液体用ディスペンサーＡおよび液晶皿
４２を複数本（個）並列させて図５と同様の操作を行う
ことにより液晶注入を簡単に実施することができる。

【００３２】なお、この方式は図６のような液晶セル２
１に上下の注入口を有する場合に限られるものではな
く、１つの液晶セルの上方のみに注入口を有する多数の
基板や上方のみに複数の注入口を有する多数の基板に液
体用ディスペンサーによる液晶注入を行う場合にも実施
することができる。

【００３３】また、液晶セル２１に注入口として、複数
の、例えば２つの注入口２２、２２′が設けられている
場合でも、液体用ディスペンサーＡの細管５の先端を図
７に示すように、２つの注入口２２、２２′に対応する
ように分岐細管５ａとすることによって１個のディスペ
ンサーＡで２つの注入口２２、２２′から同時に液晶注
入を行うことができ、液晶注入作業時間の短縮をはかる
ことができる。

【００３４】さらに、液晶セル２１の注入口が図８の２
２ｄで示すように、その幅が広い場合には、この注入口
２２ｄに対して使用する液体用ディスペンサーＡの細管
としては、注入口２２ｄの幅と同等またはそれ以上の幅
で液晶を滴下できるような細管であることが好ましく、
例えば図８（ａ）のような三方分岐細管５ｂ、図８
（ｂ）のような扇状扁平管１６、あるいは多孔底面また
は網状底面１８を呈するガイド部１７（図８（ｃ））を
細管５の先端に設けることによって、注入口２２ｄ全体
に亘って同時に液晶の滴下を行うことができて、常に安
定した液晶注入が可能となり、大型あるいは液晶注入間
隙の狭い液晶セルへの液晶注入作業時間の短縮をはかる
ことができる。

【００３５】図９は、それぞれに２個の注入口２２、２
２′を設けた複数枚の液晶セル２１に、分岐細管５ａで
しかもその先端に多孔底面を呈するガイド部１７を設け
た構造の細管５とした液体用ディスペンサーＡを用いて
液晶注入を行う態様を示したもので、これによれば２個
以上の注入口を設けた大型液晶セルに液晶を注入する場
合、注入口の数だけディスペンサーを用意する必要はな
く、１個のディスペンサーで多数の注入口に同時に注入
することが可能であり、生産効率の向上、設備費の削減
に寄与するのである。

【００３６】なお、複数の注入口に対して、ディスペン
サーの細管の形状として上記した分岐細管、扇状扁平管
あるいはどのガイド部の形状またはこれと類似した他の
形状を採用するかは、液晶セルの数や注入口の大きさに
応じて選択すればよい。

【００３７】この他、近年、液晶セルの生産効率を挙げ
てコストダウンをはかるために、１枚のガラス基板に多
数個の液晶セルを構成する多数個取り工法の導入が開発
されつつある。そのような、例えば図１０に示す２連セ
ルや図１１の６連構成のセルの場合であっても、この発
明の液晶注入方法およびディスペンサーを用いることに
よって短時間に、しかも簡単に液晶注入を行うことがで
きる。

【００３８】上記したこの発明の液晶注入方法および液
体用ディスペンサーは液晶の注入に限らず、低粘度の機
能材料を数μｍのような狭い間隙に注入するような技術
分野においても応用が可能である。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の液晶注
入方法は、請求項１によれば液晶のロスを最小限に止め
ることができて低コストで実施することができる。また
請求項２および３によれば、上記の効果に加えて液晶注
入時間を大幅に短縮できるとともに、精度の高い液晶注
入を実現することができる。さらに請求項４乃至８に記
載の液体用ディスペンサーによれば、滴下方式の液晶注
入を圧力の調整制御によって高精度で行うことができ、
かつ液晶セルの数や大きさに対応した使用が可能である
など、実用上の効果は非常に大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の液体用ディスペンサーの側面図であ
る。

【図２】（ａ）〜（ｃ）は液体用ディスペンサーを構成
する各部位の断面図である。

【図３】この発明の液晶注入方法の一実施例を示す液晶
注入装置の概念図である。

【図４】この発明の液晶注入方法の他の実施例を示す液
晶注入装置の概念図である。

【図５】この発明の液晶注入方法の他の実施例を示す液
晶注入装置の概念図である。

【図６】この発明の液晶注入方法の他の実施例を示す液
晶注入装置の概念図である。

【図７】液晶セルの注入口と液体用ディスペンサー細管
の形状を示す説明図である。

【図８】液晶セルの注入口と液体用ディスペンサー細管
の形状を示す説明図である。

【図９】複数の注入口を設けた複数の液晶セルに対する
この発明の液体用ディスペンサによる液晶注入の態様を
示す説明図である。

【図１０】液晶セルの形状を示す説明図である。

【図１１】液晶セルの形状を示す説明図である。

【図１２】（ａ）〜（ｃ）は従来の液晶注入方法を示す
説明図である。

【符号の説明】

Ａ液体用ディスペンサーＢ液晶１ディスペンサー本体２上部キャップ３下部キャップ４不活性ガス導入管５細管５ａ分岐細管５ｂ三方分岐細管７液溜め部９、１０、１２、１４ネジ溝１６扇状扁平管１７ガイド部２１液晶セル２２、２２ａ、２２ｄ液晶注入口２５、２５ａ、２５ｂ真空室３４光センサー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】液晶を注入するための少なくとも１個の
注入口を設けるように２枚の液晶基板の端部をシール剤
で封止して液晶注入部を形成した液晶セルを、その注入
口を上に向けた状態で減圧雰囲気下の真空室内に保持し
たのち、この真空室内に配置された液晶を充填し、その
内部を減圧、大気圧、加圧などの任意の圧力状態に調節
する機構を具備し、下部に液晶滴下用細管を有する液体
用ディスペンサーを用いて、大気圧またはそれ以上の雰
囲気下で上記注入口から所定量の液晶を上記液晶注入部
に注入することを特徴とする液晶注入方法。
【請求項２】液晶を注入するための注入口を上下に少
なくとも１個ずつ設けるように２枚の液晶基板の端部を
シール剤で封止して液晶注入部を形成した液晶セルを、
減圧雰囲気下の真空室内に保持したのち、上方の注入口
からはこの真空室に配置された液晶を充填し、その内部
を減圧、大気圧、加圧などの任意の圧力状態に調節する
機構を具備し、下部に液晶滴下用細管を有する液体用デ
ィスペンサーによる滴下法にて、下方の注入口からは同
じく真空室に配置した液晶を充填した液晶皿又は液晶補
充のためのディスペンサーを連結した液晶皿に注入口を
接触させる接触法にて、大気圧またはそれ以上の雰囲気
下で上、下の注入口から同時に所定量の液晶を上記液晶
注入部に注入することを特徴とする液晶注入方法。
【請求項３】２枚の液晶基板の上下に少なくとも１個
ずつの注入口を設けるように端部をシール剤で封止して
液晶注入部を形成した液晶セルと、液晶を充填し、その
内部を減圧、大気圧、加圧などの任意の圧力状態に調節
する機構を具備し、下部に液晶滴下用細管を有する液体
用ディスペンサーと、液晶を充填した液晶皿又は液晶補
充のためのディスペンサーを連結した液晶皿とをそれぞ
れゲートバルブで連結された別個の真空室に配置し、各
真空室内を減圧したのち、上記ゲートバルブを開口して
上記液体用ディスペンサーと液晶を充填した液晶皿を上
記液晶セルが配置されている真空室内に移動させるとと
もに、その昇降によって上記液晶セルの注入口に接触さ
せ、次いで真空室を大気圧にするに伴って上方の注入口
からは大気圧またはそれ以上の雰囲気下で所定量の液晶
を制御された状態で放出させることの可能な上記液体用
ディスペンサーによる滴下法にて、また上記下方の注入
口からは上記液晶皿中の液晶を接触法にて、上下注入口
から同時に液晶を注入することを特徴とする液晶注入方
法。
【請求項４】放出する液体を溜める液溜め部とこの液
溜め部の下方を細管状とした送出部とからなるディスペ
ンサー本体と、このディスペンサー本体を密閉する上下
のキャップとからなり、上記ディスペンサー本体の上部
に嵌着されるキャップには上記ディスペンサー本体の上
部に連通する不活性ガス導入管を設け、下部に嵌着する
キャップには上記ディスペンサー本体下方の細管状送出
部に接続可能な液体注出用細管を設けるとともに、この
ディスペンサー内部を真空排気する機構、ディスペンサ
ーを収容する真空室内の圧力とディスペンサー内部の圧
力とを同圧にする機構、さらには上記不活性ガス導入管
に接続してディスペンサー内部を不活性ガスで加圧でき
る機構とを有していて、上記液溜め部に充填した液晶の
定量を上記液体注出用細管から滴下することを特徴とす
る液体用ディスペンサー。
【請求項５】液体抽出用細管の先端を複数個の分岐管
としたことを特徴とする請求項４記載の液体用ディスペ
ンサー。
【請求項６】液体抽出用細管の先端に液晶セルの注入
口の幅と同等またはそれ以上の幅を以て液晶を滴下でき
る多孔底面あるいは網状底面を呈するガイド部を設けた
ことを特徴とする請求項４記載の液体用ディスペンサ
ー。
【請求項７】液体抽出用細管の先端に液晶セルの注入
口の幅と同等またはそれ以上の幅を以て液晶を滴下でき
る多孔底面あるいは網状底面を呈する扇状扁平管を設け
たことを特徴とする請求項４記載の液体用ディスペンサ
ー。
【請求項８】液体用ディスペンサーは減圧下、不活性
ガス導入によるガス加圧により液溜め部の液晶を滴下す
るに際し、液晶セルの注入口とディスペンサー先端の細
管との中間位置に設置された光センサーでその滴下量を
制御することによって液晶注入部に所定量の液晶を注入
できるようにしたことを特徴とする請求項４記載の液体
用ディスペンサー。