JPH10139465A - 光学素子成形用素材の製造方法 - Google Patents

光学素子成形用素材の製造方法

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JPH10139465A
JPH10139465A JP30298296A JP30298296A JPH10139465A JP H10139465 A JPH10139465 A JP H10139465A JP 30298296 A JP30298296 A JP 30298296A JP 30298296 A JP30298296 A JP 30298296A JP H10139465 A JPH10139465 A JP H10139465A
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glass
molten glass
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mold
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Masayuki Tomita
昌之 冨田
Isamu Shigyo
勇 執行
Hiroyuki Kubo
裕之 久保
Tamakazu Yogo
瑞和 余語
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03B7/10Cutting-off or severing the glass flow with the aid of knives or scissors or non-contacting cutting means, e.g. a gas jet; Construction of the blades used
    • C03B7/12Cutting-off or severing a free-hanging glass stream, e.g. by the combination of gravity and surface tension forces
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/02Other methods of shaping glass by casting molten glass, e.g. injection moulding
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B40/04Preventing adhesion between glass and glass or between glass and the means used to shape it, hold it or support it using gas

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学素子成形用素材として適した、下面に凹
みのないガラス塊を、容易に、かつ、確実に製造する方
法を提供する。 【解決手段】 流出ノズルから流下した溶融ガラスを多
孔質の受け型に受けて光学素子成形用素材となるガラス
塊を得る光学素子成形用素材の製造方法において、前記
受け型に液体を供給し、その細孔に含浸させた状態で、
前記溶融ガラスを前記受け型に受けて、前記溶融ガラス
から伝えられる熱により、細孔に含浸されている液体を
蒸発させ、この蒸発ガスの圧力により前記受け型の上に
受けられた溶融ガラスを浮上させた状態で、所望する表
面状態のガラス塊を形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス素材をプレ
ス成形して光学素子を得る光学素子の製造方法におい
て、プレス成形に際して供給されるガラス塊(光学素子
成形用素材)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学素子成形用素材であるガラス
塊を加熱軟化し、この軟化状態のガラス塊を成形型でプ
レス成形し、成形光学素子を得る技術が、光学素子の製
造方法として発展しているが、それに伴い、プレス成形
の前段で、良好な外観精度を有するガラス塊を、安価に
製造する方法の開発が進んでいる。
【0003】このようなガラス塊を、安価に製造する方
法として、以下に示す製造方法が具体的に知られてい
る。即ち、これは、ガラス溶融槽の流出ノズルから流下
している溶融ガラスを、受け面から上向きにガスを噴出
している受け型の上に受けることで、その受け面からガ
ラスを浮上させた状態に保持し、溶融ガラス塊を形成す
る方法である。このようにして得られたガラス塊は、上
下面とも滑らかな自由表面になっているので、良好な外
観精度を有している。このため、後加工を必要としない
ので、直接、プレス成形に供給することができ、その製
造コストも非常に安価なものとなる。
【0004】このように、ガス噴出孔の開いている受け
型に溶融ガラスを受けて、ガラス塊を形成する具体例と
しては、特公平7−51446号公報に所載の方法が知
られている。また、多孔質の材料からなる受け型からガ
スが噴出している状態で、溶融ガラスを受け、ガラス塊
を得る具体例としては、特開平6−122526号、特
開平6−144845号、特開平6−206730号な
どの公報に所載の方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例の方法では、以下に示すような欠点があった。即
ち、受け型から噴出しているガス流によって、受け型の
上に受けられた溶融ガラスの塊の下面が、そのガス噴出
孔、あるいは、多孔質受け型の場合にはその細孔に対応
する箇所で、上方に持ち上げられた状態のまま、固化し
てしまうと、得られたガラス塊は、その下面が凹んだ形
になってしまうのである。
【0006】このように、下面が凹んでいるガラス塊
を、光学素子成形用素材として、プレス成形に供し、光
学素子を得た場合、プレス成形機のチャンバーの内部に
満たされている窒素ガスが、プレス成形時に、このガラ
ス塊の下面の凹み部分に取り込まれ、この状態でプレス
成形が行われる結果、成形された光学素子の下面には、
「ガス残り」と呼ばれる凹み部分が発生する。このた
め、光学素子は、所期の精度が得られず、不良品とな
り、使うことができない。
【0007】このような、ガラス塊の下面に凹みが発生
するのを防止するためには、受け型のガス噴出口や細孔
から噴出しているガス流の流量を減らせば良い。しか
し、噴出ガス流量を減らすと、溶融ガラスの重量で、浮
上状態が確保できなくなり、溶融ガラスと受け型が接触
してしまう。その結果、得られたガラス塊は、受け型の
受け面の表面を転写することになり、特に、多孔質の受
け型の場合は、その細孔の凸凹形状を、そのまま転写す
ることになるので、外観精度が悪く、光学素子成形用素
材として用いることはできない。
【0008】特に、所望するガラス塊の重量が、例え
ば、0.2g〜5gと、少ない場合、溶融ガラスの固化
が早いため、下面の凹みを防止することは、技術的に困
難である。例えば、所望するガラス塊の重量が5g以
下、特に、2g以下の場合、受け型から噴出しているガ
ス流により、溶融ガラスを浮上状態で保持して、ガラス
塊を形成した場合、ガス流量の程度により、受け型と接
触したり、下面に凹みが発生したりする上、実際上、好
ましいガス流量が求められず、制御が不可能で、良好な
外観精度のガラス塊が得られない。
【0009】本発明者は、多孔質の受け型の場合につい
て、ガラス塊の凹みと、これを浮上するためのガス流と
の関係を、色々な角度から検討した結果、以下のような
推論に到達した。即ち、従来のような多孔質の受け型に
おいて、その底部に加圧ガス流を供給し、受け型の上面
に噴出する場合、ガス流の速度分布は、図6に示すよう
に、ガス供給管10の中央で速く、周辺部で遅くなる。
これは、管壁の流動抵抗(ガスの粘性抵抗)に起因する
が、その影響は、ガス流の慣性によって、ガス供給室9
を経由し、受け型1自体にも及ぶものと考えられ、噴出
ガス流速分布も中央で大きくなる不等分布となる。
【0010】このガス流の速度差は、溶融ガラスを受け
型1に受け始める直前で、特に大きく、溶融ガラスを受
け型に受け始めた後は少なくなるが、それでも、中心部
と周辺とでは、噴流ガスの速度差が認められる。これが
原因で、ガラス塊の凹みが形成されると推定されるので
ある。
【0011】本発明は、上記事情に基づいて成されたも
ので、その目的とするところは、光学素子成形用素材と
して適した、下面に凹みのないガラス塊を、容易に、か
つ、確実に製造する方法を提供することである。
【0012】また、本発明の第2の目的とするところ
は、光学素子成形用素材として適した、下面に凹みがな
く、しかも、その後工程としての光学素子成形時に、成
形型との離型性が良いガラス塊を、容易に製造する方法
を提供することである。
【0013】
【問題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、流出ノズルから流下した溶融ガラスを
多孔質の受け型に受けて光学素子成形用素材となるガラ
ス塊を得る光学素子成形用素材の製造方法において、前
記受け型に液体を供給し、その細孔に含浸させた状態
で、前記溶融ガラスを前記受け型に受けて、前記溶融ガ
ラスから伝えられる熱により、細孔に含浸されている液
体を蒸発させ、この蒸発ガスの圧力により前記受け型の
上に受けられた溶融ガラスを浮上させた状態で、所望す
る表面状態のガラス塊を形成することを特徴とする。
【0014】この場合、前記受け型の背面に高圧のガス
を供給することにより、前記蒸発ガスの圧力をバックア
ップしている状態で、溶融ガラスを前記受け型に受け
て、所望する表面状態のガラス塊を形成することも、有
効である。
【0015】従って、多孔質の受け型の上に受けられた
溶融ガラスの下面の部分で、受け型に含浸された液体が
漸次、蒸発され、そこから発生している蒸発ガスの圧力
で、更には、付加された前述の高圧のガスの圧力で前記
蒸発ガスがバックアップされ、溶融ガラスの下面全面
が、前記受け型から僅かに浮上した状態に保たれる。こ
の際、蒸発ガスの蒸発潜熱で、溶融ガラスの下面の部分
が冷却効果を受け、早期に固化され、しかも、蒸発ガス
の圧力分布が均等であり、その高い密度の故に、ガラス
塊の下面に凹形を形成しない程度の圧力でも、浮上状態
を確保できる。
【0016】そして、ガラス塊の温度が低下して、液体
が蒸発しなくなり、浮上状態が確保できなくなっても、
その段階では、ガラス塊の下面が十分固化されていて、
仮に、受け型の受け面に接触しても、ガラス塊の接触表
面が、受け面の粗面状態を転写することがなく、滑らか
な状態を保持できる。その結果、次のプレス成形に供給
するガラス素材としての、高い表面精度を確保でき、光
学素子を成形する場合の不良品の発生が抑止され、歩留
まりを向上できることになる。
【0017】なお、この場合、前記受け型に供給される
液体が、水、液状有機化合物、または、有機化合物を溶
解した水溶液であるとよい。特に、溶融ガラスを受けた
時に、受け面で、蒸発ガスが確実に発生することが必要
であるので、上述の液体は、その融点が10℃以下、沸
点が200℃以下であることが望ましい。
【0018】また、前記受け型は、気孔率が10〜40
%、平均孔径が5〜50μmである、カーボン、アルミ
ナなどのセラミックス、ステンレスなどの金属の多孔質
材料で構成されているのが望ましい。更に、前記液体
は、前記受け型の受け面に、噴霧状で供給されること
が、受け型の受け面における均等な液体の蒸発を得るた
めに有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)以下、本発明の実施の形態1を、図1
および図2を参照して具体的に説明する。ここでは、ガ
ラス溶融槽(白金坩堝)4から流出ノズル5を介して流
下した溶融ガラス6を、多孔質の受け型1に受けて、光
学素子成形用素材となるガラス塊7を得る光学素子成形
用素材の製造方法において、純水製造装置2で製造され
た水を、ディスペンサ3を介して、受け型1に噴霧状に
供給し、その細孔に含浸させた状態で、溶融ガラス6を
受け型1に受けて、溶融ガラス6から伝えられる熱によ
り、細孔に含浸されている水を蒸発させ、この蒸発ガス
の圧力により受け型1の上に受けられた溶融ガラス6を
浮上させた状態で、所望する表面状態のガラス塊7を形
成するのである。
【0020】なお、この実施の形態では、受け型1への
水の供給、溶融ガラスの供給、ガラス塊の形成後の取出
しを、図2で示すように、8個のステーションを一巡す
るロータリテーブル(図示せず)上で行うようになって
いる。また、この実施の形態では、受け型に供給する液
体として、最も安価で安全な純水が採用されている。
【0021】これは、一般に供給されている水の中に
は、微少量の無機物(カルシウムなど)が含有されてい
て、この状態の水を、そのまま、本発明によるガラス塊
の製造に用いた場合、水が蒸発する際に、これらの含有
物が受け型1の受け面上に析出することになり、これが
ガラス塊に付着し、また、細孔の中に析出することで、
細孔を塞ぎ、通気性を悪くするなどの不都合が生じるか
らである。
【0022】このため、本発明によるガラス塊の製造に
水を用いる場合、これらの微少残留無機物の含有量が3
00ppm以下の水、例えば、上述の純水(これは、特
に無機物が10ppm以下)を用いることが望ましいの
である。なお、受け型1に供給される液体としては、他
に、パークロルエチレンのようなハロゲン化炭化水素な
どの液状有機化合物、または、n−プロピルアルコー
ル、特に1価アルコールや多価アルコールなどの有機化
合物を溶解した、例えば、50%水溶液などを挙げるこ
とができる。特に、溶融ガラスを受けた時に、受け型1
の受け面で、蒸発ガスが確実に発生することが必要なの
で、上述の液体は、その融点が10℃以下、沸点が20
0℃以下であることが望ましい。
【0023】このようにして得られたガラス塊7は、受
け型1の受け面から浮上された状態で保持され、冷却さ
れているので、その表面は自由表面からなっており、非
常に滑らかで、次のプレス成形で必要な高い表面精度が
得られる。即ち、溶融ガラスの下面に供給されるガス
は、液体(この実施の形態では純水)からの蒸発ガスに
よるもので、その蒸発潜熱でガラス表面を急速に固化で
き、また、蒸発圧力が均等であり、その蒸気の高密度の
故に、低圧でも、十分な浮上力を発揮でき、従って、上
述のような滑らかな表面が得られ、また、従来のような
気体ガスのように、過剰な流量のガスを供給し、高い圧
力を保持する必要がないので、得られたガラス塊7の下
面に凹みが発生することはない。
【0024】次に、ガラス塊の製造に関するステップ
を、順序立てて、説明する。先ず、循環されてきた、多
孔質の受け型1に、所望の量の純水を、ディスペンサ3
を介して噴霧状に供給する。続いて、この水を含浸して
いる状態の受け型1を、流出ノズル5の下のステーショ
ン位置へ移動し、流出ノズル5の出口直下まで上昇させ
る。この状態で、受け型1の上に溶融ガラス6を流下す
る。溶融ガラス6の先端部が受け型1の受け面に接近し
た位置まで降下すると、溶融ガラス6からの放射熱で、
受け型1の受け面の温度が上がるので、受け型1に含浸
された水が激しく蒸発する。その蒸気ガスにより、溶融
ガラスは、受け型1の受け面から僅かに浮上した状態に
保たれる。
【0025】この状態で、溶融ガラス6を受け型1に受
けて、受け型1の上に溜った溶融ガラスの重量が所望の
値になった時、受け型1を所定距離、下降させ、溶融ガ
ラス6を流出ノズル5の口元で細まるように、括れさ
せ、その状態で、しばらく保持すると、溶融ガラス6
が、自ら切断される。
【0026】このようにして、受け型1から噴出してい
る蒸気ガスによって、浮上状態に保持されたまま、固化
が進行し、表面の滑らかなガラス塊7が形成される。こ
のようにして、得られたガラス塊7は、受け型1と共
に、次のステーションへと送られる。このステーション
においても、ガラス塊7は、未だ十分に熱いので、受け
型1からは、依然として、蒸気ガスが噴出しており、そ
れにより、ガラス塊7は浮上した状態に保たれている。
【0027】さらに、次のステーションへと受け型1が
順次、送られて行く内に、ガラス塊7の温度が下がり、
また、その頃、受け型1からの蒸気ガスの噴出も低下
し、更には無くなり、ガラス塊7は、受け型1の受け面
上に載った状態になる。しかし、この時、既に、ガラス
塊7の表面は十分固化しており、ガラス塊7と受け型1
とが接触しても、ガラス塊7の表面に、受け型1の表面
の接触痕が付く恐れはないのである。このようにして得
られたガラス塊7は、最終的に、取り出しオートハンド
(図示せず)を使って取り出される。
【0028】なお、この実施の形態において、受け型1
は、気孔率が10〜40%、好ましくは30%前後、平
均孔径が5〜50μm、好ましくは15μmである、カ
ーボン、アルミナなどのセラミックス、ステンレスなど
の金属の多孔質材料で構成されている。また、溶融ガラ
スを受ける際の受け型1は、それ自体の温度が、80℃
〜300℃、好ましくは200℃前後に保持されると良
い。
【0029】(実施の形態2)次に、本発明の実施の形
態2を、図3および図4を参照して、具体的に説明す
る。ここでは、前述の実施の形態において、更に、蒸発
ガスの圧力バックアップのための加圧ガス供給手段を備
えている。即ち、多孔質の受け型1の背面に高圧のガス
を供給し、このガスが受け型1の細孔を通って、多孔質
部分に含浸された液体を押圧し、溶融ガラスを受けた受
け面で、蒸発した蒸気ガスの圧力をバックアップするの
である。これは、ガラス塊の単位面積当りの重量が増し
た場合に、このガラス塊を確実に浮上させる上で重要で
ある。
【0030】具体的には、多孔質の受け型1は、受け型
保持ブロック8で保持されており、受け型1の受け面の
背面には、受け型保持ブロック8で囲まれたガス供給室
9が設けられており、このガス供給室9には、図3に示
すようにガス供給管10が接続されている。なお、図4
に示すように、ガス供給管10が受け型保持ブロック8
とは分離されて、構成され、例えば、受け型1を昇降す
るために、上下に動作できるように構成しても良い。そ
して、ガス供給管10から供給されたガスは、ガス供給
室9に供給された後、多孔質の受け型1の受け面から噴
出する蒸発ガス(水蒸気)をバックアップする。
【0031】ここでは、純水製造装置2で製造された水
に、所定量の有機化合物を加えた後、ディスペンサ3を
介して、受け型1に所定量の水を噴霧状に供給する。続
いて、受け型1を、流出パイプ5の下の位置ステーショ
ンへ移動し、流出パイプ5のノズル口の直下まで上昇す
る。この状態で、ガス供給管10から加圧ガスを供給
し、含浸された水が蒸発した際に、バックアップする。
この状態で、受け型1の受け面上に溶融ガラス6を受け
始める。受け型の移動には、例えば、図4に示すよう
な、ベルトコンベアなどの搬送手段11が用いられる。
【0032】溶融ガラス6の先端部が受け面に接近した
位置まで下降すると、溶融ガラスの放射熱で、受け面の
温度が急激に上がるので、受け面からは多孔質部分に含
浸された水が激しく蒸発し、その蒸発ガス(水蒸気)
と、これを多孔質部分を通してバックアップする加圧ガ
スにより、溶融ガラスは、受け型1の受け面から浮上し
た状態に保たれる。
【0033】この状態で、溶融ガラス6を受け型1の受
け面に受け続け、受け型1の上に溜った溶融ガラスの重
量が所望の値になった時、受け型1を、所定距離だけ下
降させ、溶融ガラス6をノズル口下で括れさせ、その状
態で、しばらく保持し、溶融ガラス6を自然に切断す
る。
【0034】このようにして、受け型1から噴出してい
る蒸発ガス(水蒸気)と、これをバックアップする加圧
ガスによって、浮上保持されたままで、ガラス塊7を得
る。その後、受け型1を下降させ、次の冷却ステーショ
ンへと移動する。
【0035】それと同時に、受け型1の背面から供給し
ている加圧ガスの流量を徐々に減じ始める。受け型1に
供給する加圧ガスの流量が0になった後でも、ガラス塊
7の温度が十分に高いので、受け型1の受け面からは、
依然として、蒸発ガス(水蒸気)が噴出しており、それ
により、ガラス塊7は浮上した状態に保たれている。
【0036】さらに、次の冷却ステーションへと順次、
送られて行く過程で、ガラス塊7の温度が下がり、受け
型1からの蒸発ガス(水蒸気)の噴出も無くなり、ガラ
ス塊7が受け型1の受け面に接触する状態になる。しか
し、この時、ガラス塊7の表面は、その温度が十分降下
されており、固化が進行していて、たとえ、受け面に接
触しても、その粗面の影響を受けず、ガラス塊7に接触
痕が付くことはない。このようにして得られたガラス塊
7は、取り出しオートハンド(図示せず)を使って取り
出すことになる。
【0037】その結果、得られる効果は、前述の実施の
形態1と同様であるが、特に、この実施の形態では、比
較的重量の大きなプレス成形対象物(通常、この対象物
としての光学素子、例えば凸レンズ、用の素材の大きさ
は、最小が0.2g、最大が5.0g)でも、確実な浮
上作用を維持することが可能である。
【0038】更に、この実施の形態の特徴を詳述する
と、先ず、溶融ガラスを受け型1に受け始める時点にお
いて、受け型1からは、背面に供給された加圧ガスのバ
ックアップで、受け型1の多孔質部分に供給、含浸され
た液体の蒸発ガスが、受け面に噴出している。そのた
め、溶融ガラスは、確実に、受け型1から浮上した状態
に保たれる。前述のように、溶融ガラスを浮上させるた
めの蒸発ガスが、それ自体のみであり、そのガス発生量
が比較的少ない場合、所望するガラス塊の重量が少ない
場合は問題ないが、重量が比較的重くなると、溶融ガラ
スと受け型1の受け面が接触し、ガラス塊に受け型1と
の接触痕が発生することがある。
【0039】しかし、この実施の形態のように、受け型
1の背面に供給される加圧ガスの流量を適当な値に調整
することにより、ガラス塊の重量が比較的重い場合で
も、蒸発ガスの圧力がバックアップされ、これにより、
溶融ガラスと受け型1と接触を回避できるのである。
【0040】なお、溶融ガラスを受け型1に受け始めた
後、受け型1の背面に供給する加圧ガスの供給を続けて
も良いし、やめても良い。加圧ガスの供給をやめた場合
でも、受け型1に含浸した液体の蒸発ガスにより、溶融
ガラスが受け型1の受け面上に浮上保持されれば問題は
ない。ただし、所望するガラス塊の重量が大きい場合に
は、加圧ガスの供給を続けた方がより安全であり、ま
た、比較的、重量が小さい場合には、加圧ガスの供給を
やめて、経済性を確保すると良い。
【0041】ここでは、溶融ガラスは、受け型1の受け
面上に浮上していて、その表面は自由表面からなってお
り、非常に滑らかである。そして、蒸発ガスの蒸発潜熱
で、表面が早期に冷却、固化されることになる。
【0042】(実施の形態3)本発明の実施の形態3で
は、前述の実施の形態1、2において、水の代わりに液
状有機化合物、または、有機化合物を溶解した水を使用
する。このように、溶融ガラスを受け型1に受けるに先
立ち、受け型1の多孔質部分に、液状有機化合物、また
は、有機化合物を溶解した水を供給することにより、溶
融ガラスを受け型1に受ける時、その受け面からは、気
化した状態の有機化合物が噴出し、これにより、溶融ガ
ラスが浮上状態に保たれると同時に、その一部がガラス
の表面に付着する。
【0043】なお、この実施の形態では、図5に示すよ
うに、受け型1は、受け型保持ブロック8と共に、正方
形の循環経路11を移動する過程で、液体を受け面に噴
霧され、また、その直後において、溶融ガラスの供給を
受け、同時に、バックアップのための加圧ガスの供給を
受ける。その後、冷却作用を受け、更に終段において、
ガラス塊を取り出しするシステムに組み込まれており、
循環経路の各コーナーでは、油圧あるいは空気圧シリン
ダ・アッセンブリ(駆動装置)12のプッシュ・ロッド
13により移動方向を90度、変換して、間欠的に送り
動作を受ける。
【0044】また、所要のタイミングで、受け型保持ブ
ロック8を移動するために、シリンダ・アッセンブリ1
2を間欠的に駆動する以外は、実施の形態2と同様な、
プロセスによって、ガラス塊の形成がなされるので、そ
の経過動作については、説明を省略する。
【0045】このようにして得られたガラス塊7は、そ
の表面に有機化合物が薄膜状に付着している。一般に、
ガラス塊7の表面に、炭素系や炭化水素系の薄膜が付着
していると、このガラス塊7を、その後、プレス成形し
て光学素子を得た場合、これらの有機物中の成分、特
に、炭素系や炭化水素系の薄膜が離型層として作用し、
プレス成形型と光学素子との間の密着力を弱め、光学素
子をプレス成形型から離型する際の離型性を向上するこ
とになる。
【0046】
【実施例】
(第1の実施例)次に、本発明の実施の形態1につい
て、その具体的事例を以下に示す。この実施例では、受
け型1が多孔質のカーボンで作られており、その気孔率
は30%であり、平均孔径は15μmである。受け型1
の受け面は、半径:15mmの凹球面に加工されてい
る。そして、受け型1は、カートリッジヒータを内蔵す
る受け型保持ブロック(図示せず)により、保持されて
おり、本実施例では、該受け型保持ブロックが、前記カ
ートリッジヒータの働きで、常時、200℃に加熱され
ている。
【0047】純水製造装置2は、イオン交換方式の純水
製造装置であり、この純水製造装置2に一般の水道水を
供給することにより、その水道水中に含有される各種イ
オンを除去する。そして、この水の中に含有される無機
物は、10ppm以下に減じられる。また、この水は、
ディスペンサ3により、各受け型1の受け面に0.2c
cずつ、噴霧状に供給される。
【0048】この状態で、溶融ガラスの流出パイプ5の
下の、位置ステーションへと移動してきた受け型1は、
流出パイプ5の出口の下、10mmの位置まで上昇さ
れ、そこで停止する。流出パイプ5の出口からは、温
度:1000℃の溶融ガラス6が流出し、液滴状に垂れ
下る。
【0049】この溶融ガラス6の先端部が受け型1の受
け面に接近すると、その溶融ガラスの放射熱で、受け面
の温度が急激に上がるので、受け型1に含浸させた水が
激しく蒸発する。なお、ここでは、受け型保持ブロック
(図示せず)を常に200℃に保持しているので、受け
型1に水を供給した直後から、受け面に不飽和水蒸気が
順次、発生しているが、溶融ガラス6の先端が受け型1
に接近すると、受け面からの蒸気ガス(水蒸気)の発生
量が多くなり、十分に溶融ガラスを浮上させる力を発揮
する。
【0050】この状態のまま保持すると、受け型1の受
け面上方に浮上した状態で、溶融ガラスが溜り始める。
3秒後に、受け型1の上に溜った溶融ガラスの重量が、
予め設定した重量になったので、受け型1を下方へ10
mm下降させ、溶融ガラス6を、ノズル口で括れさせ、
その状態で、0.5秒間保持し、その間に、ノズル口か
らのガラス流を自然に切断した。
【0051】このようにして得られた半固化状態のガラ
ス塊7は、全体として、その温度が高いが、その表面
は、蒸発ガスの蒸発潜熱で、急速に冷却され、しかも、
自由表面なので、非常に滑らかである。そして、受け型
1の受け面からの蒸発ガスの圧力で、ガラス塊7が受け
面から僅かに浮上した状態に保持される。この場合、蒸
発ガスの密度が高く、動圧が低くても、ガラス塊7を、
その底面を中央で凹ませることなく、浮上させることが
できた。
【0052】このように、ガラス塊7を保持した状態
で、受け型1を所定の位置まで下降させ、次の位置ステ
ーション(冷却工程)へと移動させる。この冷却ステー
ションは、この実施例では、5つ、並んでいて、ここで
は、ガラス塊7が自然放冷される。また、この実施例で
は、例えば、受け型1は、5秒ごとに、次のステーショ
ンへと移動される。そして、溶融ガラス6を受け型1に
受けてから30秒後に、このガラス塊7は、取り出しハ
ンド(図示せず)で取り出される。
【0053】本実施例では、溶融ガラス6を受け型1に
受け始めてから、約10秒の間、受け型1の受け面から
は、蒸発ガス(水蒸気)が多量に噴出していたが、その
後、水蒸気の噴出量は、少なくなった。
【0054】このようにして、得られたガラス塊7は、
その重量が0.7gであり、上下面とも滑らかな自由表
面からなっており、その下面に凹みはなく、プレス成形
のための光学素子成形用ガラス素材として、大変に適し
た表面精度と形状とを維持している。
【0055】(第2の実施例)次に、本発明の実施の形
態2について、これを具体的に実施した事例について述
べる。この実施例では、所要の有機化合物を溶解させた
水を、受け型1の多孔質部分に含浸させて、その受け型
の受け面上に、溶融ガラスを受ける。この際、受け型1
の背面には、加圧ガスが供給され、含浸された水が蒸発
する際に、その圧力をバックアップする。
【0056】この実施例では、受け型1は、多孔質のカ
ーボンで作られており、その気孔率は30%であり、平
均孔径は15μmである。受け型1の受け面は、半径:
15mmの凹球面に加工されている。そして、この受け
型1は、カートリッジヒータ(図示せず)を内蔵する受
け型保持ブロック8により保持されており、本実施例で
は、この受け型保持ブロック8は、上述のカートリッジ
ヒータにより、常時、100℃に加熱されている。
【0057】純水製造装置2は、イオン交換方式の純水
製造装置であり、この純水製造装置2に一般の水道水を
供給することにより、その水道水中に含有される各種イ
オンを除去する。この装置から出てきた水の中に含有さ
れる無機物は10ppm以下に減じられる。そして、こ
の水には、容積比で50%のn−プロピルアルコールを
加えた。そして、この水は、ディスペンサ3により、各
受け型1に0.3ccずつ噴霧状に供給される。
【0058】溶融ガラスのための流出パイプ5の下の位
置ステーションへと移動された受け型1は、流出パイプ
5のノズル口の下、10mmの位置まで上昇し、停止す
る。そして、流出パイプ5からは、温度:1000℃の
溶融ガラス6が流出し、液滴状に垂れ下がる。この時、
ガス供給管10からは、10リットル/分の流量で、加
圧された窒素ガスが、受け型1の背面から、その多孔質
部分に向けて供給される。
【0059】そして、溶融ガラス6の先端部が、受け型
1の受け面に接近すると、溶融ガラスの放射熱で、受け
型1の受け面の温度が急速に上がるので、受け型1に含
浸させた水が激しく蒸発する。この状態のまま保持する
と、受け面の上で、溶融ガラスが浮上状態で溜り始め
る。
【0060】6秒後に、受け型1の上に溜った溶融ガラ
スの重量が所望の重量になったので、受け型1を下方へ
10mm下降させ、ガラス流を括れさせ、その状態で
0.5秒保持し、その間にガラス流を自然に切断した。
このように、溶融ガラス塊7を得た後、受け型1を、所
定の位置まで下降させ、次の位置ステーションへと移動
させた。
【0061】受け型1が次のステーションに移動した後
は、受け型1に供給している窒素ガスの流量を徐々に減
じ始め、3秒後にガス流量を0にした。このような状態
においても、ガラス塊7の温度が十分に高いので、その
下面の受け面からは蒸発ガス(水蒸気)が勢いよく噴出
しており、窒素ガスの供給がなくなった後でも、ガラス
塊7は、受け型1の受け面から僅かに浮上した状態に保
持されている。
【0062】5つ並んでいる、冷却ステーションでは、
ガラス塊7が自然放冷される。なお、本実施例では、受
け型1が8秒ごとに、次のステーションへ移動する。そ
して、溶融ガラス6を受け型1に受けてから48秒後
に、このガラス塊7は、取り出しハンド(図示せず)で
取り出される。また、本実施例では、溶融ガラス6を受
け型1に受け始めてから約22秒の間、受け型1からは
蒸発ガス(水蒸気)が多量に噴出していたが、その後の
噴出量は少なくなった。
【0063】本実施例によって得られたガラス塊7は、
その重量が1.7gであり、上下面とも滑らかな自由表
面からなっており、その下面に凹みはなく、光学素子成
形用素材として大変に適している。
【0064】また、このガラス塊7の表面には、水に溶
解させたn−プロピルアルコールが揮発して、炭化水素
膜として付着している。従って、この状態のガラス塊7
を光学素子成形用素材として用いて、プレス成形し、光
学素子を得た場合、この炭化水素膜が、そのまま、離型
膜として機能するため、かなり高い温度の内に、光学素
子を成形型から離型することが可能である。具体的に
は、このガラス塊を、例えば、600℃でプレス成形し
て、その後、冷却した場合、本実施例によるガラス塊で
は、450℃で離型が可能であった。因みに、一般のガ
ラス塊を用いた場合、400℃まで冷却しないと離型す
ることができない。このように、高温での離型が可能に
なることから、成形サイクル時間を、例えば、1分程
度、短縮することが可能になった。
【0065】なお、本実施例では、水に溶解させる有機
化合物として、n−プロピルアルコールの例を示した
が、水溶性のある有機化合物なら他のものでも同様の効
果があり、特に、1価アルコールや多価アルコールが望
ましい。
【0066】(第3の実施例)次に、本発明の実施の形
態を具体化した事例について述べる。なお、この実施例
では、受け型1は、実施の形態2と同様に、その多孔質
部分に水(ただし、純水を使用する)を含浸させた状態
で、溶融ガラスを受ける工程においてのみ、受け型1の
背面に加圧窒素ガスを供給し、多孔質部分を介して、受
け型1の受け面から蒸発する蒸発ガス(水蒸気)をバッ
クアップする方法を採用している。
【0067】なお、ここでは、受け型1は、多孔質のカ
ーボンで作られており、その気孔率は30%、平均孔径
は15μmである。この受け型1の受け面は、半径15
mmの凹球面に加工されている。そして、この受け型1
は、受け型保持ブロック8により保持されている。
【0068】また、循環経路11は、摺動性の良い鋳鉄
材で作られた案内レールで正方形に構成されている。シ
リンダ・アッセンブリ(駆動装置)12は、NC制御の
1軸ロボットであり、その先端にはプッシュロッド13
が付けられており、これで、案内レールに沿って受け型
保持ブロック8を横に押し、順次、移動させる。
【0069】純水製造装置2は、イオン交換方式の純水
製造装置であり、この純水製造装置2に一般の水道水を
供給し、その水道水中に含有される各種イオンを除去す
る。この装置から出てきた水の中に含有される無機物
は、10ppm以下に減じられている。そして、この水
は、ディスペンサ3を介して、各受け型1の受け面に、
0.3ccずつ、均等に噴霧状態で供給される。
【0070】ガス供給管10の上部は、受け型保持ブロ
ック8のガス供給室9の開口部と一致した形状をしてお
り、嵌合することができる。そして、この部分には、高
温耐久性のあるシール部材(図示せず)が設けられてい
るので、嵌合時の気密性を高く保つことができる。ま
た、ガス供給管10は、その下部に接続されたNC制御
の1軸ロボット(図示せず)により、上下に動くことが
可能である。
【0071】ガス供給管10と受け型保持ブロック8が
嵌合した状態で、ガス供給管10から10リットル/分
の流量の加圧窒素ガスが供給され、受け型1の背面に供
給され、その受け型1の多孔質部分を通して、含浸され
た水が、後に蒸発した際、これをバックアップする。
【0072】次に、受け型1を、流出パイプ5のノズル
口の下、10mmの位置まで、上昇し、停止する。この
状態で、前記ノズル口からは、温度:1000℃の溶融
ガラス6が流出し、液滴状に垂れ下がる。この溶融ガラ
ス6の先端部が受け型1の受け面に接近すると、その放
射熱で、受け面の温度が急速に上がるので、多孔質部分
に含浸された水が激しく蒸発し、溶融ガラス6を浮上さ
せる。
【0073】この状態のままで、受け型1の上に溶融ガ
ラス6を溜めるが、4.5秒後に、溶融ガラスが所望の
重量になったので、受け型1を下方へ10mm下降さ
せ、ガラス流をノズル口下で括れさせ、その状態で0.
5秒保持し、その間に、ガラス流を自然に切断した。こ
のようにして、溶融ガラス塊7を得た後、受け型1を、
受け型保持ブロック8と共に案内レール上に残して、ガ
ス供給管10を更に下降させる。
【0074】この際、受け型1への加圧窒素ガスの供給
は無いが、ガラス塊7は、未だ、温度が十分に高いの
で、その直下の受け面からは蒸発ガス(水蒸気)が勢い
よく噴出しており、窒素ガスのバックアップがなくなっ
た後でも、ガラス塊7は、受け型1の受け面から僅かに
浮上した状態に保持されている。
【0075】本実施例では、溶融ガラス塊7を得た後、
受け型1は、受け型保持ブロック8とともに、ガラス塊
7を取り出すまでに、6秒ごとに1個づつ、10個の冷
却ステーションを順次、移動する。その間、これらの冷
却ステーションで、ガラス塊7が自然、放冷される。そ
して、最後(60秒後)に、ガラス塊7を取り出しハン
ド(図示せず)で取り出すのである。なお、溶融ガラス
6を受け型1に受け始めてから約14秒の間、受け型1
からは、蒸発ガス(水蒸気)が多量に噴出していたが、
その後の噴出量が減少した。
【0076】このようにして得られたガラス塊7は、そ
の重量が1.2gであり、上下面とも滑らかな自由表面
からなっており、また、その下面に凹みがなく、光学素
子成形用素材として大変に適している。
【0077】(第4の実施例)次に、本発明の他の実施
の形態を具体化した事例を以下に説明する。ここでは前
述の実施の形態1に示す装置が採用される。ただし、純
水製造装置2の代わりに、貯蔵タンク(図示せず)が設
置され、その中に貯蔵されている有機化合物をディスペ
ンサ3を介して、受け型1の受け面上に所定量、吐出す
る。
【0078】ここでは、受け型1は、多孔質のカーボン
で作られており、その気孔率は30%、平均孔径は15
μmである。この受け型1の受け面は、半径15mmの
凹球面に加工されている。また、この受け型1は、カー
トリッジヒータ(図示せず)を内蔵する受け型保持ブロ
ック(図示せず)により保持されており、この受け型保
持ブロックは、常時、200℃に加熱されている。貯蔵
タンクに貯蔵された有機化合物としては、ハロゲン化炭
化水素のパークロルエチレンが挙げられる。これは、デ
ィスペンサ3により、各受け型1の受け面に0.2cc
ずつ、ほぼ均等に噴霧状に供給される。
【0079】受け型1は、受け型保持ブロックと共に、
流出パイプ5の下の位置ステーションへと移動され、流
出パイプ5のノズル口の下、10mmの位置まで上昇
し、停止する。そして、流出パイプ5からは、温度:1
000℃の溶融ガラス6が流出し、液滴状に垂れ下が
る。
【0080】この溶融ガラス6の先端部が受け型1の受
け面に接近すると、その放射熱で、受け面の温度が上が
るので、多孔質部分に含浸させたパークロルエチレンが
気化し、蒸発ガスが激しく噴出する。なお、パークロル
エチレンの気化ガスは不燃性であるので、溶融ガラスを
受け型1に受けた時に、この気化ガスに引火することは
ない。
【0081】なお、本実施例では、受け型保持ブロック
を常に200℃に保持しているので、受け型1の受け面
にパークロルエチレンを供給した直後から、既に、気化
ガスが発生しているが、溶融ガラス6の先端部が受け型
1に接近する段階で、ガス発生量が多くなるのである。
この状態のまま保持すると、受け型1の上に溶融ガラス
が溜り始めるが、この時、発生した蒸発ガスの圧力で、
溶融ガラスは、受け面上に僅かに浮上した状態に保たれ
ている。
【0082】その3秒後には、受け型1の上に溜った溶
融ガラスが、所望の重量になったので、受け型1を下方
へ10mm下降させ、ノズル口下で、ガラス流を括れさ
せ、その状態で0.5秒保持し、その間に、ガラス流を
自然に切断した。このようにして得られた溶融ガラス塊
7は、依然として温度が高いので、その下の受け面から
は蒸発ガスが勢いよく噴出しており、ガラス塊7は、受
け型1の受け面から僅かに浮上した状態に保持されてい
る。
【0083】このように、溶融ガラス塊7を得た後、受
け型1を所定の位置まで下降させ、次のステーションへ
と移動させた。次のステーションは、冷却ステーション
であり、5つ並んでいて、そこで、ガラス塊7が自然放
冷される。なお、本実施例では、受け型1は、5秒ごと
に1個づつ、次のステーションへと移動される。そし
て、溶融ガラス6を受け型1に受けてから30秒後に
は、ガラス塊7が取り出しハンド(図示せず)で取り出
される。また、溶融ガラス6を受け型1に受け始めてか
ら約10秒間の間、受け面からは蒸発ガスが多量に噴出
していたが、その後、その噴出量は減少した。
【0084】本実施例によって得られたガラス塊7は、
その重量が0.7gであり、上下面とも滑らかな自由表
面からなっており、その下面に凹みはなく、光学素子成
形用素材として大変に適している。しかも、このガラス
塊7の表面には、パークロルエチレンが揮発して、炭化
水素膜として付着している。従って、このガラス塊7を
光学素子成形用素材として、プレス成形し、光学素子を
得た場合、この炭化水素膜が離型膜として機能するた
め、比較的高い温度で、光学素子を成形型から離型する
ことが可能である。
【0085】具体的には、このガラス塊を600℃でプ
レス成形して冷却した場合、450℃で、離型が可能で
あった。因みに、一般のガラス塊を用いた場合、400
℃まで冷却しないと離型しなかった。このように、高温
での離型が可能になることから、成形サイクル時間を1
分短縮することが可能になった。
【0086】なお、本実施例では、受け型1に含浸させ
る有機化合物として、パークロルエチレンの例を示した
が、他の有機化合物でも同様の効果があり、特に、気化
ガスへ引火しずらいものが好ましく、具体的には、ハロ
ゲン化炭化水素が望ましい。
【0087】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、受け型
で溶融ガラスを受けた際、蒸発ガスの発生で、溶融ガラ
スを浮上させることができ、しかも、気体ガスの場合と
異なり、その高い密度の故に、低い動圧でも、十分な浮
力を確保できるので、得られるガラス塊は、その表面が
自由表面からなっており、非常に滑らかであり、また、
下面に凹みが無く、光学素子成形用素材として、大変適
したものとなる。
【0088】また、気体ガスで、蒸発ガスをバックアッ
プすることにより、ガラス塊の重量が重い場合でも、表
面が非常に滑らか下面に凹みが無く、光学素子成形用素
材として大変適したガラス塊が得られる。
【0089】更に、受け型の受け面に供給する液体を選
択することで、離型性が大変に良く、光学素子成形用素
材として大変に適したガラス塊を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の装置構成を説明する側
面構成図である。
【図2】同じく、装置構成を説明する平面構成図であ
る。
【図3】本発明の実施の形態2における要部の側面構成
図である。
【図4】同じく、ガス供給管を、受け型保持ブロックの
昇降手段として兼用した事例の側面構成図である。
【図5】本発明の実施の形態3の装置構成を説明する平
面構成図である。
【図6】従来の装置の機能を説明するための受け型の縦
断側面図である。
【符号の説明】
1 多孔質の受け型 2 純水製造装置 3 ディスペンサ 4 溶融るつぼ 5 流出パイプ 6 溶融ガラス 7 ガラス塊 8 受け型保持ブロック 9 ガス供給室 10 ガス供給管 11 搬送手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 余語 瑞和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流出ノズルから流下した溶融ガラスを多
    孔質の受け型に受けて光学素子成形用素材となるガラス
    塊を得る光学素子成形用素材の製造方法において、 前記受け型に液体を供給し、その細孔に含浸させた状態
    で、前記溶融ガラスを前記受け型に受けて、前記溶融ガ
    ラスから伝えられる熱により、細孔に含浸されている液
    体を蒸発させ、この蒸発ガスの圧力により前記受け型の
    上に受けられた溶融ガラスを浮上させた状態で、所望す
    る表面状態のガラス塊を形成することを特徴とする光学
    素子成形用素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記受け型の背面に高圧のガスを供給す
    ることにより、前記蒸発ガスの圧力をバックアップして
    いる状態で、溶融ガラスを前記受け型に受けて、所望す
    る表面状態のガラス塊を形成することを特徴とする、請
    求項1に記載の光学素子成形用素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記受け型に供給される液体が、水、液
    状有機化合物、または、有機化合物を溶解した水溶液で
    あることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の光
    学素子成形用素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記受け型は、気孔率が10〜40%、
    平均孔径が5〜50μmである、カーボン、アルミナな
    どのセラミックス、ステンレスなどの金属の多孔質材料
    で構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれかに記載の光学素子成形用素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記液体は、前記受け型の受け面に、噴
    霧状で供給されることを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれかに記載の光学素子成形用素材の製造方法。
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