JPH10136496A - ステレオ音源移動音響効果装置 - Google Patents

ステレオ音源移動音響効果装置

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JPH10136496A
JPH10136496A JP8285449A JP28544996A JPH10136496A JP H10136496 A JPH10136496 A JP H10136496A JP 8285449 A JP8285449 A JP 8285449A JP 28544996 A JP28544996 A JP 28544996A JP H10136496 A JPH10136496 A JP H10136496A
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circuit
signal
frequency band
mixing ratio
sound source
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Mitsuharu Murakami
光治 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステレオ強調効果を実現すると、水平方向に
音の広がりを感じさせることができるが、定位が不明瞭
になる。例えば、センターに定位すべき楽器の音がぼや
けたように感じられ、聴感上、不自然さが生ずる。 【解決手段】 信号混合回路2を具備し、この信号混合
回路2は、ステレオ強調効果用の処理回路4の左チャン
ネル出力信号に対してこの処理回路4の右チャンネル出
力信号を周波数帯域に応じた所定の混合割合で混合す
る。また、この処理回路4の右チャンネル出力信号に対
してこの処理回路4の左チャンネル出力信号を周波数帯
域に応じた所定の混合割合で混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願に係る発明は、ステ
レオ強調効果用の処理回路の出力信号に対して、所定の
信号処理を施して音源を移動させるステレオ音源移動音
響効果装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステレオ音源に対してステレオ強
調効果を付加する技術が、種々の音響装置に採用されつ
つある。
【0003】ステレオ強調効果というのは、左右のスピ
ーカの間隔が狭いステレオ装置でも、水平方向にある程
度の音の広がり感を作り出す音響効果である。この効果
を実現するためには、具体的には次のような信号処理を
行う。
【0004】まず、音源となるステレオ信号の左チャン
ネル信号(L)と右チャンネル信号(R)を使い、それ
らの差信号(L−R、R−L)や和信号(L+R)など
を作り出し、これらの信号をフィルタ回路に通して特定
の周波数成分を強調する。その後、信号の加減算をする
回路にフィルタ回路の出力信号やステレオ音源信号を入
力して、スピーカで出力するための左右のチャンネルの
信号を生成する。
【0005】ステレオ音源信号にこのような信号処理を
施してスピーカから出力すると、例えば、中央で歌うボ
ーカルの声は中央のままで聞こえ、ボーカルよりも左の
楽器は左のスピーカよりもさらに左から聞こえ、ボーカ
ルよりも右の楽器は右のスピーカよりもさらに右から聞
こえる、というような効果が生ずる。
【0006】このような効果を生ずるので、左右のスピ
ーカの間隔が狭いステレオ装置、例えば、パソコン用の
ステレオ装置やミニ・コンポ・ステレオ装置でも、水平
方向に音の広がりを感じることができる。
【0007】図7〜9に、各社が開発したステレオ強調
効果を実現する処理回路のブロック図を示す。図7は米
国のDesper Products,Inc.が開発
した、ステレオ強調効果を実現する処理回路のブロック
図である。図8はカナダのQSound Labs,I
nc.が開発した、ステレオ強調効果を実現する処理回
路のブロック図である。図9は米国のSRS Lab
s,Inc.が開発した、ステレオ強調効果を実現する
処理回路のブロック図である。
【0008】ステレオ音源信号のどの周波数成分を強調
するかについては、各社のノウハウがあり、各社の特徴
がある。図10は、SRS Labs,Inc.が開発
したステレオ強調効果用の集積回路(IC)に対して図
11のように左チャンネルの入力端子にのみ信号を入力
したときのゲインの特性を示すものである。図10にお
いて、Aの特性曲線は、左チャンネル入力に対する右チ
ャンネル出力のゲインの周波数特性を、Bの特性曲線
は、左チャンネル入力に対する左チャンネル出力のゲイ
ンの周波数特性を、それぞれ表している。
【0009】同様に、図12は、QSound Lab
s,Inc.が開発したステレオ強調効果用の集積回路
(IC)に対して左チャンネルの入力端子にのみ信号を
入力したときのゲインの特性を示すものである。図12
(a)は、左チャンネル入力に対する右チャンネル出力
のゲインの周波数特性を、図12(b)は、左チャンネ
ル入力に対する左チャンネル出力のゲインの周波数特性
を、それぞれ表している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このステレオ
強調効果を実現すると、水平方向に音の広がりを感じさ
せることができるが、音の定位が不明瞭になる。例え
ば、センターに定位すべき楽器の音(センター音)がぼ
やけたように感じられ、聴感上、不自然さが生ずる。
【0011】この出願に係る発明の目的は、かかる従来
の課題に鑑み、音の広がり感を維持しつつ、音の定位を
明瞭にするようなステレオ音源移動音響効果装置を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この出願に係る発明は、
信号混合回路を具備する。そして、この信号混合回路
は、ステレオ強調効果用の処理回路の左チャンネル出力
信号に対してこの処理回路の右チャンネル出力信号を周
波数帯域に応じた所定の混合割合で混合する。また、こ
の処理回路の右チャンネル出力信号に対してこの処理回
路の左チャンネル出力信号を周波数帯域に応じた所定の
混合割合で混合する。
【0013】従って、小さな混合割合によって音の広が
り感を維持する周波数帯域と、大きな混合割合によって
音の定位を明瞭にする周波数帯域とが生ずる。
【0014】
【発明の実施の形態】この出願に係る発明のステレオ音
源移動音響効果装置は、ステレオ強調効果用の処理回路
の左チャンネル出力信号に対して前記処理回路の右チャ
ンネル出力信号を周波数帯域に応じた所定の混合割合で
混合した第一の混合信号と、前記処理回路の右チャンネ
ル出力信号に対して前記処理回路の左チャンネル出力信
号を周波数帯域に応じた所定の混合割合で混合した第二
の混合信号とを生成する信号混合回路を具備している。
【0015】従って、混合割合の小さな周波数帯域によ
って音の広がり感を維持しつつ、混合割合の大きな周波
数帯域によって音の定位を明瞭にすることができる。
【0016】また、この出願に係る他の発明のステレオ
音源移動音響効果装置は、信号混合回路と第一の増幅回
路と第二の増幅回路とを具備し、前記信号混合回路は、
ステレオ強調効果用の処理回路の左チャンネル出力信号
に対して前記処理回路の右チャンネル出力信号を周波数
帯域に応じた所定の混合割合で混合した第一の混合信号
と、前記処理回路の右チャンネル出力信号に対して前記
処理回路の左チャンネル出力信号を周波数帯域に応じた
所定の混合割合で混合した第二の混合信号とを生成し、
前記第一の増幅回路は前記第一の混合信号を入力し、前
記第二の増幅回路は前記第二の混合信号を入力する。
【0017】従って、混合割合の小さな周波数帯域によ
って音の広がり感を維持しつつ、混合割合の大きな周波
数帯域によって音の定位を明瞭にすることができる。ま
た、混合信号は増幅回路に入力されるので、信号混合回
路の動作が安定する。
【0018】かかるステレオ音源移動音響効果装置のう
ち、所定の周波数よりも低い第一の周波数帯域における
前記混合割合が、前記所定の周波数よりも高い第二の周
波数帯域における前記混合割合よりも小さいものにあっ
ては、第一の周波数帯域によって音の広がり感を維持し
つつ、第二の周波数帯域によって音の定位を明瞭にする
ことができる。
【0019】かかるステレオ音源移動音響効果装置のう
ち、前記所定の周波数が500ヘルツから5キロヘルツ
の間の値であるものにあっては、聴覚の周波数特性に基
づいて定められた第一の周波数帯域によって音の広がり
感を維持しつつ、聴覚の周波数特性に基づいて定められ
た第二の周波数帯域によって音の定位を明瞭にすること
ができる。
【0020】かかるステレオ音源移動音響効果装置のう
ち、前記所定の周波数の近傍において、前記混合割合が
周波数の増加に従い増加するものにあっては、聴覚の周
波数特性に基づいて、音の広がり感を維持しつつ、音の
定位を明瞭にすることができる。
【0021】かかるステレオ音源移動音響効果装置のう
ち、前記信号混合回路が、全周波数帯域に渡って前記混
合割合を連続的に増減させる混合割合増減手段を含むも
のにあっては、この混合割合増減手段を調整することに
よって、音の広がり感や音の定位を調整することができ
る。
【0022】かかるステレオ音源移動音響効果装置のう
ち、前記信号混合回路が、聴覚の周波数特性に基づいて
聴感を補正する聴感補正フィルタ回路を含むものにあっ
ては、聴覚の周波数特性に基づいて、音の広がり感を維
持しつつ、音の定位を明瞭にすることができる。
【0023】
【実施例】以下、この出願発明を図面を参照しながら説
明する。
【0024】まず、図1を参照しながら、この発明に係
るステレオ音源移動音響効果装置の基本的な概念を示
す。図1は、この発明にかかるステレオ音源移動音響効
果装置の使用形態の一例を示すものである。
【0025】図1において、1はステレオ音源移動音響
効果装置、2は信号混合回路、3は増幅回路部、3a、
3bは増幅回路、4はステレオ強調効果用の処理回路で
ある。
【0026】ステレオ音源装置(図示せず)から出力さ
れたステレオ音源信号は、ステレオ強調効果用の処理回
路4に入力される。ステレオ強調効果用の処理回路4の
出力信号はステレオ音源移動音響効果装置1に入力され
る。ステレオ音源移動音響効果装置1の出力信号はオー
ディオアンプ(図示せず)を介してスピーカ(図示せ
ず)に入力される。
【0027】ステレオ音源装置の左チャンネル出力信号
は、ステレオ強調効果用の処理回路4の左チャンネル入
力信号として入力され、ステレオ音源装置の右チャンネ
ル出力信号は、ステレオ強調効果用の処理回路4の右チ
ャンネル入力信号として入力される。
【0028】また、ステレオ強調効果用の処理回路4の
左チャンネル出力信号はステレオ音源移動音響効果装置
1の左チャンネル入力信号として入力され、ステレオ強
調効果用の処理回路4の右チャンネル出力信号はステレ
オ音源移動音響効果装置1の右チャンネル入力信号とし
て入力される。
【0029】さらに、ステレオ音源移動音響効果装置1
の左チャンネル出力信号はオーディオアンプの左チャン
ネル入力信号として入力され、ステレオ音源移動音響効
果装置1の右チャンネル出力信号はオーディオアンプの
右チャンネル入力信号として入力される。
【0030】そして、オーディオアンプの左チャンネル
出力信号は左のスピーカに入力され、オーディオアンプ
の右チャンネル出力信号は右のスピーカに入力される。
【0031】左チャンネル入力端子T11を介してステ
レオ音源移動音響効果装置1に入力された左チャンネル
入力信号、及び、右チャンネル入力端子T12を介して
ステレオ音源移動音響効果装置1に入力された右チャン
ネル入力信号は、信号混合回路2に入力される。
【0032】この信号混合回路2により、右チャンネル
入力信号は左チャンネル入力信号に混合され、その混合
信号は増幅回路3aに入力される。また、左チャンネル
入力信号は右チャンネル入力信号に混合され、その混合
信号は増幅回路3bに入力される。
【0033】そして、増幅回路3aの出力信号は、左チ
ャンネル出力端子T31を介して、ステレオ音源移動音
響効果装置1の左チャンネル出力信号として出力され
る。また、増幅回路3bの出力信号は、右チャンネル出
力端子T32を介して、ステレオ音源移動音響効果装置
1の右チャンネル出力信号として出力される。
【0034】信号混合回路2においては、左チャンネル
入力信号に対して右チャンネル入力信号が周波数帯域に
応じた所定の混合割合で混合される。また、右チャンネ
ル入力信号に対して左チャンネル入力信号が周波数帯域
に応じた所定の混合割合で混合される。
【0035】このように左右のチャンネルの入力信号を
混合させることにより、ステレオ強調効果用の処理回路
4の左右のチャンネルの出力信号を、モノミックス信号
に有る程度近づけることになる。
【0036】ここで、混合割合をすべての周波数におい
て一定にすると、音の広がり感が感じられないようにな
る。例えば、混合割合をすべての周波数において1/1
にすると、左右両チャンネルの入力信号を同一レベルで
合成することになり、この合成された信号(混合信号)
は、完全なモノミックス信号となる。このモノミックス
信号を、左右両チャンネルのスピーカから出力すると、
ボーカルや楽器音など、音源信号に含まれるすべての要
素が中央に定位するように音源移動が生ずる。このよう
にすると、音の定位は明瞭になるが、音の広がり感がな
くなってしまう。また、例えば、混合割合をすべての周
波数において1/2にすると、混合信号はモノミックス
信号に近いものとなって音の定位は明瞭になるが、音の
広がり感があまり感じられなくなってしまう。
【0037】図1の信号混合回路2は、周波数帯域に応
じた所定の混合割合で左右チャンネルの入力信号を混合
している。すなわち、すべての周波数帯域に渡って一定
の混合割合で混合するのではなく、周波数帯域によって
異なる混合割合で混合している。従って、混合割合の小
さな周波数帯域と、混合割合の大きな周波数帯域とが生
ずる。そして、混合割合の小さな周波数帯域によって音
の広がり感を維持しつつ、混合割合の大きな周波数帯域
によって音の定位が明瞭になるように音源移動が生ず
る。
【0038】ここで、音源移動とは、例えば右側の音源
が左側に移動したり、前方の音源が後方に移動したりす
ることのみならず、ばやけた音の定位が明瞭になった
り、反対に、明瞭な音の定位がぼやけたりすることをも
含む意である。
【0039】図2は、ステレオ音源移動音響効果装置1
の回路構成の一例を示す回路図である。図2の左チャン
ネル入力端子T11はバッファアンプBA1を介して端
子T21に接続されている。同様に、右チャンネル入力
端子T12はバッファアンプBA2を介して端子T22
に接続されている。バッファアンプBA1と端子T21
との中間には中間点aが、バッファアンプBA2と端子
T22との中間には中間点bがあるが、中間点aと中間
点bの間には、コンデンサC1、回路6、可変抵抗器V
Rが直列に接続された回路5が挿入されている。
【0040】増幅回路部3は、増幅回路3a、増幅回路
3bを構成しており、端子T21、端子T22は、この
増幅回路部3を介してそれぞれ左チャンネル出力端子T
31、右チャンネル出力端子T32に接続されている。
【0041】増幅回路3a、増幅回路3bは、信号混合
回路2の特性を安定させるために設けられている。すな
わち、信号混合回路2の特性は、その後段に接続される
回路の入力インピーダンスに影響されるのであるが、こ
の影響を小さくして、信号混合回路2の特性を安定させ
るために、入力インピーダンスの大きな増幅回路3a、
増幅回路3bを信号混合回路2の後段に接続するように
している。これにより、信号混合回路2に含まれる可変
抵抗器VRを操作して信号混合回路2のイピーダンスを
変化させても、信号混合回路2の特性は後段の回路の入
力インピーダンスに影響されず、信号混合回路2の動作
は安定する。
【0042】左チャンネル入力端子T11を介して入力
された左チャンネル入力信号は、BA1、回路5を介し
て右チャンネル入力信号に混合される。同様に、右チャ
ンネル入力端子T12を介して入力された右チャンネル
入力信号は、BA2、回路5を介して左チャンネル入力
信号に混合される。
【0043】図2では、中間点aと中間点bとの間に回
路5を設けているが、回路5の原形となる回路が図3に
示す回路7である。図2において、中間点aと中間点b
の間に回路5ではなく回路7を設けるようにしても、音
の広がり感を維持しつつ、音の定位を明瞭にするという
効果を生ずることができる。回路7も回路5と同様に、
そのインピーダンスは周波数特性を有しており、周波数
帯域に応じた所定の混合割合により、左右のチャンネル
の入力信号の混合がなされるからである。回路5は、回
路7を原形回路として、上記の効果をより有効に生ずる
ように、コンデンサC1と可変抵抗器VRとの間に回路
6を挿入したものである。回路6の役割については後述
する。
【0044】図4は、回路5、回路7において可変抵抗
器VRの抵抗値を0オームに調整したときの、回路5、
回路7のインピーダンスの絶対値|Z|の周波数特性を
示した特性図である。図4において、実線で示された特
性曲線Aは回路5についてのものであり、点線で示され
た特性曲線Bは回路7についてのものである。
【0045】図4の特性曲線Aにおいて、0ヘルツから
50ヘルツまでの特性は、コンデンサC1の影響を大き
く受けている。50ヘルツから500ヘルツまでの特性
は、抵抗器R1、抵抗器R2、コンデンサC2の影響を
大きく受けており、1次フィルタの特徴が表れている。
500ヘルツから5キロヘルツまでの特性は、コンデン
サC3、抵抗器R2、抵抗器R1、コンデンサC2の影
響を大きく受けており、2次フィルタの特徴が表れてい
る。5キロヘルツにおける特性は、コンデンサC3、抵
抗器R2、抵抗器R1、コンデンサC2の影響を受けて
いるが、特にコンデンサC3の影響が大きい。5キロヘ
ルツから50キロヘルツまでの特性は、抵抗器R2の影
響を大きく受けており、1次フィルタの特徴が表れてい
る。
【0046】図4の特性曲線Bにおいては、全周波数帯
域に渡り、コンデンサC1の影響が特性に表れている。
【0047】インピーダンスの絶対値|Z|が大きな周
波数帯域ほど、左右のチャンネルの入力信号の混合割合
は小さく、インピーダンスの絶対値|Z|が小さな周波
数帯域ほど、左右のチャンネルの入力信号の混合割合は
大きい。
【0048】図4からわかるとおり、特性曲線A、特性
曲線Bのいずれにおいても、50ヘルツ〜500ヘルツ
の周波数帯域B1におけるインピーダンスの絶対値|Z
|は、5キロヘルツ〜20キロヘルツの周波数帯域B2
におけるインピーダンスの絶対値|Z|よりも大きい。
従って、回路5、回路7のいずれについても、周波数帯
域B1における左右のチャンネルの入力信号の混合割合
は、周波数帯域B2における左右のチャンネルの入力信
号の混合割合よりも小さい。
【0049】周波数帯域B2における混合割合は大きい
ので、この周波数帯域B2においては信号混合回路2に
より、(L+R)の和信号に近い信号が生成され、これ
がステレオ音源移動音響効果装置1の出力信号として出
力される。このために音の定位が明瞭になる。
【0050】一方、周波数帯域B1における混合割合は
小さく、この周波数帯域B1においては、ステレオ強調
効果用の処理回路4の左右のチャンネルの出力信号が、
比較的、そのままに近い状態でステレオ音源移動音響効
果装置1の出力信号として出力される。このため、音の
広がり感が維持される。
【0051】このように、混合割合の小さな周波数帯域
により音の広がり感を維持しつつ、混合割合の大きな周
波数帯域により音の定位を明瞭にすることができる。
【0052】なお、上記混合割合は、可変抵抗器VRを
操作することにより調整できる。すなわち、可変抵抗器
VRを操作してその抵抗値を大きくすることにより、回
路5、回路7のインピーダンスの絶対値|Z|は大きく
なり、混合割合は全周波数帯域に渡って小さくなる。ま
た、可変抵抗器VRを操作してその抵抗値を小さくする
ことにより、回路5、回路7のインピーダンスの絶対値
|Z|は小さくなり、混合割合は全周波数帯域に渡って
大きくなる。音の定位は、混合割合が大きいほど明瞭に
なる。可変抵抗器VRを操作すると、混合割合を連続的
に増減させることができる。したがって、この可変抵抗
器VRを操作することによって、音の定位の明瞭度を聴
取者の好みに応じて調整することができる。この可変抵
抗器VRを設けることにより、ステレオ音源移動音響効
果装置1はより有益なものとなる。
【0053】ここで、例えば、1キロヘルツを所定の周
波数F1であると考えると、周波数帯域B1は所定の周
波数F1よりも低い周波数帯域であり、周波数帯域B2
は所定の周波数F1よりも高い周波数帯域である。この
ように所定の周波数を定め、この所定の周波数より低い
第一の周波数帯域と、この所定の周波数より高い第二の
周波数帯域とを定め、第一の周波数帯域における混合割
合を第二の周波数帯域における混合割合よりも小さくす
ることができる。所定の周波数は、1キロヘルツに限ら
ないが、500ヘルツから5キロヘルツの間の値とする
と、より有効である。500ヘルツから5キロヘルツま
では、聴覚が最も敏感な周波数であると言われているか
らである。
【0054】図5は、聴覚に対するフレッチャー・マン
ソンの等感度曲線を示す図である。これは、1キロヘル
ツの音を基準として、これと同じ大きさに聞こえる他の
周波数の音を、音圧レベルで示したものである。図5中
の曲線に沿った数字はホンを示す。500ヘルツから5
キロヘルツまでが、聴覚上、最も敏感な周波数であると
いうのは、この図5の示す内容とほぼ一致している。
【0055】よって、500ヘルツから5キロヘルツの
間のある周波数を所定の周波数とし、この所定の周波数
よりも低い周波数帯域と、この所定の周波数よりも高い
周波数帯域とを定め、前者の周波数帯域における混合割
合を後者の周波数帯域における混合割合よりも小さくす
ると、音の広がり感を維持しつつ、音の定位を明瞭にす
るという効果を、より有効に生ずることができる。前者
と後者のいずれの周波数帯域も、聴覚の周波数特性に基
づいて定められたものだからである。
【0056】図4に示されるように、特性曲線Bは、1
キロヘルツ近傍においてインピーダンスの絶対値|Z|
が周波数の増加に従い減少している。よって、1キロヘ
ルツ近傍においては、混合割合は周波数の増加に従い増
加する。このように、聴覚上で最も敏感な周波数のうち
のある周波数の近傍において、混合割合が周波数の増加
に従い増加するようにしているのも、聴覚の周波数特性
に基づいて、音の広がり感を維持しつつ、音の定位を明
瞭にするという効果を、より有効に生ずるようにするた
めである。特性曲線Bは回路7を用いたときの特性を示
したものであり、この回路7を原形回路として、さらに
回路6を追加したものが回路5である。特性曲線Aは回
路5を用いたときの特性を示したものである。回路5を
用いることにより、聴覚の周波数特性に基づいて、音の
広がり感を維持しつつ、音の定位を明瞭にするという効
果を、さらに有効に生ずることができる。
【0057】図4からわかるように、1キロヘルツ近傍
における傾きは、特性曲線Aのほうがより大きい。すな
わち、1キロヘルツ近傍における、周波数の増加に対す
る混合割合の増加率は、回路5を使ったときの方が大き
くなる。よって、回路5を使うと、音の広がり感を維持
しつつ、音の定位を明瞭にするという効果を、さらに有
効に生ずることができる。前述したように回路5と回路
7の違いは、回路6の有無である。よって、この回路6
は、聴覚の周波数特性に基づいて、聴感を補正するフィ
ルタの回路(聴感補正フィルタ回路)であると考えるこ
とができる。つまり、抵抗器R1、抵抗器R2、コンデ
ンサC2、コンデンサC3により、聴感補正フィルタ回
路が構成されており、図4の特性曲線Aのような特性と
なるのは、この聴感補正フィルタ回路があるからであ
る。
【0058】なお、回路5、回路7のインピーダンスの
絶対値|Z|は、0ヘルツにおいて無限大となり、全周
波数帯域中のピークの値となる。これは、コンデンサC
1が直流成分をカットするためである。
【0059】図2では信号混合回路2として2次のアナ
ログフィルタを応用したものを例に挙げたが、回路の次
数はこれに限らない。また、信号混合回路2はバッファ
アンプBA1、バッファアンプBA2を含んでいるが、
これは必須のものではない。さらに、信号混合回路2
は、デジタル信号処理の技術を応用したデジタル回路に
よって構成されたものであってもよい。
【0060】本願のステレオ音源移動音響効果装置の効
果を確認すべく、被験者10人により、試聴試験を行っ
た。試聴試験に用いたのは、図2に示す回路構成のステ
レオ音源移動音響効果装置1である。ステレオ強調効果
用の処理回路4の出力信号を、そのままオーディオアン
プに入力し、オーディオアンプの出力をスピーカから出
力した場合と、ステレオ強調効果用の処理回路4の出力
信号を、ステレオ音源移動音響効果装置1を介してオー
ディオアンプに入力し、オーディオアンプの出力をスピ
ーカから出力した場合との比較試聴を行い、音の定位は
どちらの場合が明瞭に感じるか、また、音の広がり感に
差があるか否か、についての回答を求めた。その結果、
音の定位については、被験者10人ともが、ステレオ音
源移動音響効果装置1を使った場合の方が明瞭に感じ
る、と回答した。また、音の広がり感については、被験
者10人ともが、ステレオ音源移動音響効果装置1を使
った場合と使わない場合とでほとんど差は感じられな
い、と回答した。
【0061】図6は、一般的なステレオ音源、ステレオ
強調効果音源、本願に係るステレオ音源移動音響効果装
置による音源に対して、聴取者が感じる音の広がり感
と、センター音(例えば、中央で歌うボーカルの声)の
定位のイメージを、上記試聴試験の結果に基づいて表し
たものである。図6(a)は一般的なステレオ音源につ
いて、図6(b)はステレオ強調効果音源について、図
6(c)は本願に係るステレオ音源移動音響効果装置に
よる音源についてのものである。ステレオ強調効果音源
では、一般的なステレオ音源よりも、広がり感を感じ
る。すなわち、スペース音が広がる。しかし、センター
音がぼやけてしまう。これに対して、本願に係るステレ
オ音源移動音響効果装置による音源は、広がり感を維持
しつつ、センター音の定位を明瞭に感じることができ
る。
【0062】
【発明の効果】上述のように、この出願に係る発明によ
れば、音の広がり感を維持しつつ、音の定位を明瞭にす
ることが可能となる。
【0063】また、この出願に係る他の発明によれば、
音の広がり感を維持しつつ、音の定位を明瞭にすること
が可能となり、さらに、信号混合回路の動作を安定させ
ることができる。
【0064】また、特に、所定の周波数よりも低い第一
の周波数帯域における前記混合割合を、前記所定の周波
数よりも高い第二の周波数帯域における前記混合割合よ
りも小さくすると、第一の周波数帯域によって音の広が
り感を維持しつつ、第二の周波数帯域によって音の定位
を明瞭にすることが可能となる。
【0065】また、特に、前記所定の周波数を500ヘ
ルツから5キロヘルツの間の値とすると、聴覚の周波数
特性に基づいて定められた第一の周波数帯域によって音
の広がり感を維持しつつ、聴覚の周波数特性に基づいた
第二の周波数帯域によって音の定位を明瞭にすることが
可能となる。
【0066】また、特に、前記所定の周波数の近傍にお
いて、前記混合割合が周波数の増加に従い増加するもの
とすると、聴覚の周波数特性に基づいて、音の広がり感
を維持しつつ、音の定位を明瞭にすることが可能とな
る。
【0067】また、特に、前記信号混合回路を、全周波
数帯域に渡って前記混合割合を連続的に増減させる混合
割合増減手段を含むものとすると、混合割合増減手段を
調整することによって、音の広がり感や音の定位を調整
することが可能となる。
【0068】また、特に、前記信号混合回路を、聴覚の
周波数特性に基づいて聴感を補正する聴感補正フィルタ
回路を含むものとすると、聴覚の周波数特性基づいて、
音の広がり感を維持しつつ、音の定位を明瞭にすること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステレオ音源移動音響効果装置の使用形態の一
例を示す図である。
【図2】ステレオ音源移動音響効果装置の回路構成の一
例を示す回路図である。
【図3】信号混合回路の一部の構成例を示す回路図であ
る。
【図4】インピーダンスの絶対値の周波数特性を示す図
である。
【図5】聴覚に対する等感度曲線を示す図である。
【図6】一般的なステレオ音源、ステレオ強調効果音
源、ステレオ音源移動音響効果装置による音源に対し
て、聴取者が感じる音の広がり感とセンター音の定位の
イメージを表した図である。
【図7】米国のDesper Products,In
c.が開発した、ステレオ強調効果を実現する処理回路
のブロック図である。
【図8】カナダのQSound Labs,Inc.が
開発した、ステレオ強調効果を実現する処理回路のブロ
ック図である。
【図9】米国のSRS Labs,Inc.が開発し
た、ステレオ強調効果を実現する処理回路のブロック図
である。
【図10】SRS Labs,Inc.が開発したステ
レオ強調効果用の集積回路の特性図である。
【図11】SRS Labs,Inc.が開発したステ
レオ強調効果用の集積回路の特性測定のための接続図で
ある。
【図12】QSound Labs,Inc.が開発し
たステレオ強調効果用の集積回路の特性図である。
【符号の説明】
1…ステレオ音源移動音響効果装置 2…信号混合回路 3…増幅回路部 3a、3b…増幅回路 4…ステレオ強調効果用の処理回路 5、6、7…回路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステレオ強調効果用の処理回路の左チャ
    ンネル出力信号に対して前記処理回路の右チャンネル出
    力信号を周波数帯域に応じた所定の混合割合で混合した
    第一の混合信号と、前記処理回路の右チャンネル出力信
    号に対して前記処理回路の左チャンネル出力信号を周波
    数帯域に応じた所定の混合割合で混合した第二の混合信
    号とを生成する信号混合回路を具備したステレオ音源移
    動音響効果装置。
  2. 【請求項2】 信号混合回路と第一の増幅回路と第二の
    増幅回路とを具備し、 前記信号混合回路は、ステレオ強調効果用の処理回路の
    左チャンネル出力信号に対して前記処理回路の右チャン
    ネル出力信号を周波数帯域に応じた所定の混合割合で混
    合した第一の混合信号と、前記処理回路の右チャンネル
    出力信号に対して前記処理回路の左チャンネル出力信号
    を周波数帯域に応じた所定の混合割合で混合した第二の
    混合信号とを生成し、 前記第一の増幅回路は前記第一の混合信号を入力し、 前記第二の増幅回路は前記第二の混合信号を入力するス
    テレオ音源移動音響効果装置。
  3. 【請求項3】 所定の周波数よりも低い第一の周波数帯
    域における前記混合割合が、前記所定の周波数よりも高
    い第二の周波数帯域における前記混合割合よりも小さい
    請求項1〜2のいずれか1項に記載のステレオ音源移動
    音響効果装置。
  4. 【請求項4】 前記所定の周波数が500ヘルツから5
    キロヘルツの間の値である請求項3記載のステレオ音源
    移動音響効果装置。
  5. 【請求項5】 前記所定の周波数の近傍において、前記
    混合割合が周波数の増加に従い増加する請求項4記載の
    ステレオ音源移動音響効果装置。
  6. 【請求項6】 前記信号混合回路が、全周波数帯域に渡
    って前記混合割合を連続的に増減させる混合割合増減手
    段を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のステレオ
    音源移動音響効果装置。
  7. 【請求項7】 前記信号混合回路が、聴覚の周波数特性
    に基づいて聴感を補正する聴感補正フィルタ回路を含む
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のステレオ音源移動
    音響効果装置。
JP8285449A 1996-10-28 1996-10-28 ステレオ音源移動音響効果装置 Pending JPH10136496A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017503395A (ja) * 2013-12-13 2017-01-26 アンビディオ,インコーポレイテッド サウンドステージ拡張用の装置及び方法

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JP2017503395A (ja) * 2013-12-13 2017-01-26 アンビディオ,インコーポレイテッド サウンドステージ拡張用の装置及び方法

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