JPH10135136A - 結晶性半導体作製方法 - Google Patents

結晶性半導体作製方法

Info

Publication number
JPH10135136A
JPH10135136A JP30744496A JP30744496A JPH10135136A JP H10135136 A JPH10135136 A JP H10135136A JP 30744496 A JP30744496 A JP 30744496A JP 30744496 A JP30744496 A JP 30744496A JP H10135136 A JPH10135136 A JP H10135136A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
chamber
nickel
silicon film
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30744496A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
Hisashi Otani
久 大谷
Yoshie Takano
圭恵 高野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP30744496A priority Critical patent/JPH10135136A/ja
Publication of JPH10135136A publication Critical patent/JPH10135136A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Recrystallisation Techniques (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 結晶化を助長する触媒元素を用いて、通常の
固相成長温度よりも低い温度・短時間の加熱処理で結晶
性珪素を得る方法を提供する。 【解決手段】 非晶質珪素膜が形成された試料103を
真空チャンバー101に置き、ビスシクロペンタジエニ
ルニッケルやビスメチルシクロペンタジエニルニッケル
等の有機ニッケル蒸気あるいはガスをチャンバー内に導
入して、これを熱分解、放電分解、あるいは光分解する
ことによって、ニッケルもしくはその化合物の被膜を試
料上に均一に堆積させる。その後、例えば、550℃、
4時間の加熱処理をおこなって、結晶性珪素膜を得る。
さらに、温度を保持したまま、チャンバーにハロゲンを
含むガス(例えば、塩化水素)を導入する。この際、珪
素膜上にニッケルは透過させるが、珪素膜がエッチング
されない程度の厚さの酸化膜が形成されるように、雰囲
気および温度を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶性を有する珪素半導
体被膜、例えば、多結晶珪素膜、単結晶珪素膜、微結晶
珪素膜の作製方法に関する。本発明を用いて作製された
結晶性珪素膜は各種半導体デバイスに用いられる。
【0002】
【従来の技術】薄膜半導体を用いた薄膜トランジスタ
(以下TFT等)が知られている。これは、基板上に薄
膜半導体、特に珪素半導体膜を形成し、この薄膜半導体
を用いて構成されるものである。TFTは、各種集積回
路に利用されているが、特にアクティブマトリックス型
の液晶表示装置の各画素の設けられたスイッチング素
子、周辺回路部分に形成されるドライバー素子として注
目されている。
【0003】TFTに利用される珪素膜としては、非晶
質珪素膜を用いることが簡便であるが、その電気的特性
は半導体集積回路に用いられる単結晶半導体のものに比
較するとはるかに低いという問題がある。このため、ア
クティブマトリクス回路のスイッチング素子のような限
られた用途にしか用いられなかった。TFTの特性向上
のためには、結晶性を有する珪素薄膜を利用するばよ
い。単結晶珪素以外で、結晶性を有する珪素膜は、多結
晶珪素、ポリシリコン、微結晶珪素等と称されている。
このような結晶性を有する珪素膜を得るためには、まず
非晶質珪素膜を形成し、しかる後に加熱(熱アニール)
によって結晶化させればよい。この方法は、固体の状態
を保ちつつ非晶質状態が結晶状態に変化するので、固相
成長法と呼ばれる。
【0004】しかしながら、珪素の固相成長において
は、加熱温度が600℃以上、時間は10時間以上が必
要であり、基板として安価なガラス基板を用いることが
困難であるという問題がある。例えばアクティブ型の液
晶表示装置に用いられるコーニング7059ガラスはガ
ラス歪点が593℃であり、基板の大面積化を考慮した
場合、600℃以上の熱アニールをおこなうことには問
題がある。
【0005】このような問題に対して、本発明者らの研
究によれば、非晶質珪素膜の表面にニッケルやパラジウ
ム、白金、銅、銀、金、インジウム、錫、燐、砒素、ア
ンチモン(より一般的には、VIII族、IIIb族、IVb族、
Vb族元素)から選ばれた一種または複数種類の元素を微
量に堆積させ、しかる後に加熱することで、550℃、
4時間程度の処理時間で結晶化を行なえることが判明し
ている。(特開平6−244103)
【0006】上記のような微量な元素(結晶化を助長す
る触媒元素)を導入するには、スパッタリングによっ
て、触媒元素もしくはその化合物の被膜を堆積すればよ
い。しかしながら、上記のような元素が半導体中に多量
に存在していることは、これら半導体を用いた装置の信
頼性や電気的安定性を阻害するものであり好ましいこと
ではない。スパッタリングによって成膜をおこなうと、
その量、すなわち厚さを精密に制御することは難しく、
また、基板内で均一な厚さを得ることはさらに困難であ
った。このため、得られる半導体デバイスの特性にバラ
ツキが生じた。
【0007】また、スパッタリングによる成膜において
は、スパッタリングの衝撃によって、非晶質珪素膜が大
きなダメージを受けることから、得られる半導体デバイ
スの特性は必ずしも満足のゆくものではなかった。スパ
ッタリングの代わりにスピンコーティングのごとき手段
によって被膜を形成する方法もある(特開平7−130
652)。しかしながら、スピンコーティング法によっ
て均一な被膜を得ることは難しかった。例えば、液晶デ
ィスプレーのごとき、長方形の基板においては、四端に
溶液が集まりやすく、膜厚は不均一であった。また、溶
媒が乾燥して触媒元素化合物の被膜が生成する際には、
乾燥の不均一性や結晶核の発生によって膜の厚さが不均
一となり、半導体デバイスのバラツキの要因となった。
【0008】さらに、珪素膜中に導入された触媒元素は
電気特性・信頼性に悪影響を及ぼすことも無視できない
問題である。一般に触媒元素のうち、ニッケルやパラジ
ウム、白金、銅、銀、金はハロゲン化合物(特に、ハロ
ゲン化水素)を含む雰囲気において高温で加熱すると珪
素中から離脱することが知られている。しかしながら、
このような高温処理を用いることは、低温結晶化の効果
を相殺するものであり、より低温で除去することが求め
られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、触媒元素を
用いた通常の固相成長法に必要な温度よりも低い温度に
おける熱処理によって、結晶性を有する薄膜珪素半導体
の作製において、 (1)触媒元素の微量の制御を可能とする。 (2)触媒元素の均一な導入を可能とする。 (3)触媒元素の低温での除去を可能とする。といった
要求を満たすことを目的とする。さらに、 (4)触媒元素の導入に際して生産性を高めることも目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を満
足するために、触媒元素を有する有機金属の蒸気もしく
はガスに熱、電気、光等のエネルギ─を与え分解せしめ
ることによって、非晶質珪素膜表面に触媒元素もしくは
その化合物の被膜を堆積する、という構成に加え、本発
明は、上記工程に引き続いて、同じチャンバーで連続的
に熱アニールをおこない、非晶質珪素膜の固相成長を達
成し、さらに、引き続き、チャンバーにハロゲン化合物
(例えば、塩化水素)を有し、かつ、珪素表面に触媒元
素は透過させるが、ハロゲン化合物により珪素膜がエッ
チングされない厚さの酸化珪素膜が形成されるような成
分の気体を導入し、加熱処理をおこなうことにより、触
媒元素を珪素膜中から除去する、という構成を有するこ
とを特徴とする。
【0011】当然、上記の目的のための適切な厚さの酸
化珪素膜を得るには、温度により雰囲気の適切な酸素分
圧が変動する。また、雰囲気中には水素や水が含有され
ていてもよいが、これらは珪素膜のエッチングを促進す
るので、低濃度の方が好ましい。本発明では、熱処理の
温度として、450〜700℃、好ましくは550〜6
00℃を前提とするが、該温度範囲では、窒素および希
ガスの分圧が20〜95%、好ましくは50〜70%、
かつ、酸素の分圧が5〜40%であれば、上記の条件を
満たす。もちろん、温度範囲が上記のものと異なれば、
最適な気体の分圧も上記のものと異なる。
【0012】また、ハロゲン化合物の濃度についても、
物質によって異なるが、一般に使用しやすい塩化水素の
場合には、0.5%以上含有していれば十分な効果があ
る。
【0013】上記構成は以下の基本的な有意性を有す
る。 (a)雰囲気中の触媒元素の濃度は、蒸気圧等によって
厳密に制御することが可能であり、さらに、雰囲気への
導入をやめれば、それ以上、非晶質珪素膜上には堆積さ
れない。 (b)外部からのエネルギ─印加による分解、堆積の過
程では、表面に極めて均一な被膜が形成され、何らのダ
メージも汚染も非晶質珪素膜に与えられない。 (c)外部からのエネルギ─印加による分解によって触
媒元素もしくはその化合物の被膜の堆積の工程の後、引
き続き加熱処理をおこなえば、連続的に固相成長がおこ
なわれる。したがって、生産性の向上に寄与できる。
【0014】本発明において、触媒元素としてニッケル
を用いる場合には、ビスシクロペンタジエニルニッケル
(Bis(cyclopemtadienyl)nic
kel、Ni(C552 、以下、BCPニッケル、
もしくはBCP塩という)やビスメチルシクロペンタジ
エニルニッケル(Bis(methylcyclope
ntadienyl)nickel、Ni(CH35
42 、以下、BMCPニッケル、もしくはBMCP
塩という)、ビス−2,2,6,6−テトラメチル−
3,5−ヘプタンジオノニッケル(Bis−(2,2,
6,6−tetramethyl−3,5−hptan
ediono)nickel、Ni(C11192
2 )、ニッケルカルボニル(Ni(CO)4 )を用いれ
ばよい。
【0015】BCPニッケルの場合には融点は173〜
174℃であり、90℃、130℃における蒸気圧はそ
れぞれ、0.04torr、0.6torrである。B
MCPニッケルの場合には融点は34℃であり、90
℃、130℃における蒸気圧はそれぞれ、1.6tor
r、15torrである。また、ニッケルカルボニルの
場合には融点は−19.3℃、沸点は43℃であり、特
に加熱しなくとも常温である一定の蒸気圧が得られる。
しかし、再現性良くニッケルを供給するためには沸点以
上の温度に加熱して、その流量を調整する方が望まし
い。
【0016】これらの有機金属の分解によって得られる
被膜は、触媒元素が導入されるべき領域の非晶質珪素膜
に直接堆積されてもよいし、100Å以下の薄い酸化膜
をまず形成し、その上に形成されてもよい。このような
酸化膜を形成するには、チャンバー内に基板を配置した
後、雰囲気を酸化性のものとし、基板温度を300〜6
00℃に上昇させればよい。
【0017】また、触媒元素もしくはその化合物の被膜
を選択的に堆積することにより、結晶成長を選択的に行
なうことができる。例えば、選択的にマスク膜を形成
し、特定の部分だけ、非晶質珪素膜の表面が実質的に露
出されているようにする。マスク膜に要求される厚さは
マスク膜の材質によって異なるが、酸化珪素の場合には
500Å以上で十分である。そして、触媒元素を有する
被膜を本発明によって堆積させることにより、非晶質珪
素膜の特定の部分だけ触媒元素が導入されるようにす
る。
【0018】この場合には、触媒元素もしくはその化合
物の被膜が導入されなかった領域に向かって、被膜が堆
積された領域から珪素膜の面に平行な方向に結晶成長を
おこなうことができる。このように珪素膜の面に平行な
方向に結晶成長が行なわれた領域を本明細書中において
は横方向に結晶成長した領域と称する。
【0019】なお、マスク膜等が設けられていない珪素
膜からは容易に触媒元素を除去することができるが、マ
スク膜が存在する場合には、限られた部分からしか触媒
元素を除去できないので、その処理に時間がかかる。横
方向に結晶成長した領域の結晶性は非常に好ましいもの
であるが、触媒元素の濃度を十分に低減するのに処理時
間がかかるため、量産性に問題が生ずる。量産性を維持
するためには触媒元素の濃度をある程度、高いものとし
なければならない。量産にあたって、横方向の結晶成長
を採用するか否かはこのような問題点を鑑みて決定すれ
ばよい。
【0020】本発明は、通常は以下の工程によって実施
される。すなわち、 チャンバー内に基板を配置し、基板を所定の温度に加
熱する。 チャンバー内に非晶質珪素膜の結晶化を助長する触媒
元素を有する有機金属の蒸気もしくはガスを導入する。 前記導入された蒸気もしくはガスに、熱、光、プラズ
マを作用させて分解させ、基板表面に触媒元素もしくは
その化合物の被膜を堆積する。 前記チャンバー内で前記非晶質珪素膜を加熱処理する
ことにより、結晶化させる。 前記チャンバー内にハロゲン化合物を有し、かつ、適
切な分圧の酸素を有する気体を導入し、熱処理を450
〜700℃でおこなうことにより、触媒元素を除去す
る。 である。
【0021】このうち、の工程においては、該有機金
属の蒸気もしくはガスは、絶えず流しつづけるのではな
く、一定量(例えば、1sccm)だけチャンバー内に
導入するに留めてもよい。またその際の雰囲気は減圧で
もよいし、大気圧で行っても良い。減圧で行う場合には
LPCVDの如き構成の装置を流用すれば良く、また大
気圧の場合にはAPCVD(常圧CVD)の如き装置を
用いることが可能である。
【0022】またの工程中あるいは該工程後に堆積し
た触媒元素と非晶質珪素とを界面において反応させ、反
応生成物を形成することも効果的である。該生成物を予
め形成しておくことにより、その後の熱結晶化工程にお
ける結晶化をより容易に行うことが可能である。この理
由は明確ではないが、それら生成物が結晶核として作用
したものと推測される。
【0023】なお、の工程の後に、レーザー等の強光
を照射すると、固相成長によって完全に結晶化しなかっ
た部分まで結晶化させることができ、より特性の良好な
結晶性珪素を得ることができる。用いるべきレーザーに
関しては、各種エキシマレーザーが利用しやすい。ま
た、触媒元素もしくはその化合物の被膜を堆積させるチ
ャンバー内に触媒元素が蓄積されると、珪素膜中へ触媒
元素が過剰に導入されることとなるので、チャンバーは
こまめに洗浄することが望まれる。あるいは、使用の度
にプラズマ等によってクリーニングをおこなうとよい。
【0024】本発明においては、触媒元素としてニッケ
ルを用いた場合に最も顕著な効果を得ることができる
が、その他利用できる触媒元素の種類としては、好まし
くはPd、Pt、Cu、Ag、Au、In、Sn、P、
As、Sbを利用することができる。また、VIII族元
素、IIIb、IVb、Vb元素から選ばれた一種または複数種
類の元素を利用することもできる。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕本実施例では、ガラス基板上の結晶性を有
する珪素膜を形成する例を示す。図1を用いて、触媒元
素(ここではニッケルを用いる)を導入し、結晶化する
工程までを説明する。本実施例においては、基板として
コーニング7059ガラスを用いた。またその大きさは
100mm×100mmとする。まず、基板11上に酸
化珪素膜12をスパッタリング法やプラズマCVD法に
よって形成した。酸化珪素膜12の厚さは1000〜5
000Å、例えば、2000Åとした。(図1(A))
【0026】次に、非晶質珪素膜13をプラズマCVD
法やLPCVD法によってアモルファス状のシリコン膜
を100〜1500Å形成する。ここでは、プラズマC
VD法によって非晶質珪素膜13を500Åの厚さに成
膜した。(図1(B)) そして、汚れ及び自然酸化膜を取り除くためにフッ酸処
理を行い、基板を図5(A)に示されるチャンバー10
1に設置した。ここで、チャンバー101について簡単
に説明する。チャンバー101には外部からガスを導入
するチューブと排気するチューブが接続されており、前
者は4系統ある。
【0027】そのうちの1つは有機ニッケルガス・蒸気
を導入する系統である。この系統では、ベーパライザー
から発生した有機ニッケルガス・蒸気(例えば、ニッケ
ルカルボニル)をそのまま、もしくは適当なガス(例え
ば、アルゴンや水素)を用いて搬送する。この際には有
機ニッケルが配管内に凝結しないように、配管は適当な
温度、好ましくはベーパライザーと同じ温度か、それよ
りも高い温度に保たれている必要がある。本実施例で
は、窒素によって、有機ニッケルガス・蒸気をさらに希
釈することにより、濃度を安定化させる。
【0028】このようにして有機ニッケルガスもしくは
蒸気はチャンバー101に導入される。チャンバー内に
は平行平板型の電極106および107を設けてあり、
さらに、チャンバーの外にRF電源105を設けてあ
る。これは、電極間にプラズマを発生させて、チャンバ
ー内に残留するニッケルをクリーニングするためのもの
である。
【0029】チャンバー内にはヒーター104およびサ
セプター102を設け、その上に試料である基板103
を置く。もちろん、チャンバー全体も有機ニッケルが凝
結しない程度の温度に保つことが望まれる。ニッケルカ
ルボニルを用いる場合には、その温度は50℃とした。
そして、基板は、その温度よりも高温に加熱され、有機
ニッケルが熱分解する温度に保持されることが必要であ
る。本構成のチャンバーを用いたニッケル膜の堆積方法
について述べる。まず、基板をセットする。そして、V
1〜V4を閉じたまま、V5を開き、チャンバー内を適
当な圧力まで排気する。本工程はそれほどの高真空を必
要とされないので、1〜500mTorrの排気でも十
分である。次にヒーター104に通電して、基板を30
0〜600℃に加熱する。
【0030】この状態でV5を閉じ、V1およびV2を
開いて、有機ニッケルガスと窒素を導入する。そして、
必要な量だけ有機ニッケルガスが導入されたら、V1と
V2を閉じる。その際の圧力は0.1〜0.8気圧とす
る。この結果、チャンバー内には有機ニッケルガスと窒
素ガスが閉じ込められ、有機ニッケルガスは基板上で熱
分解して、基板表面にはニッケル化合物膜14が形成さ
れる。(図1(C))
【0031】その後、固相成長の工程に移る。その場合
の手順は以下のようになる。まず、V5を開き、チャン
バー内から有機ニッケルガスを完全に除去する。これは
チャンバー内に有機ニッケルガスが残存していると、固
相成長工程においても継続的にニッケルが導入されて、
珪素膜中のニッケルの濃度が過剰になってしまうからで
ある。ついでV2を開き、チャンバー内に窒素を導入す
る。
【0032】ヒーターは基板を550〜600℃、例え
ば、600℃に加熱するように設定し、この状態で放置
することによって、固相成長が進行する。必要な時間、
例えば4時間だけ放置して結晶化した珪素膜15を得る
ことができた。上記の加熱処理は450℃以上の温度で
行うことができるが、温度が低いと加熱時間を長くしな
けらばならず、生産効率が低下する。また、650℃以
上とすると基板として用いるガラス基板の耐熱性の問題
が表面化してしまう。熱アニール温度はこのように生産
性と基板の耐熱性とを考慮して決定されなければならな
い。(図1(D))
【0033】次に触媒元素であるニッケルの除去の工程
に移る。基板を600℃に加熱したまま、V2に加え
て、V3およびV4を開き、ガス流量を調節し、雰囲気
を調整する。本実施例では、窒素の分圧が88%、酸素
の分圧が10%、塩化水素の分圧を2%とした。この状
態で10〜60分放置することにより、ニッケルの除去
をおこなった。(図1(E))
【0034】この際には、基板温度を維持したまま工程
を移行することが重要である。すなわち、基板温度が低
下すると、珪素中におけるニッケルの溶解度が低下し、
ニッケルが珪化ニッケルとして析出する。このような析
出物は、その後の工程でニッケルが除去されたとして
も、結晶欠陥として残り、電気特性に悪影響をもたら
す。特に450℃以下に低下するとこのような析出が観
察される。しかしながら、本実施例のように基板温度を
変えずに連続的に工程を移行すると、ニッケルの析出が
ないまま、ニッケルが除去されるので、上記の問題は生
じない。しかも、本発明では、連続的に工程を移行する
ことは、ガスの導入を変えることにより容易に達成され
る。
【0035】上記の工程の後、ヒーターのスイッチを切
り、基板を取り出したのち、電極106、107間で放
電をおこない、チャンバー内でプラズマクリーニングを
おこなった。さらに、得られた基板は塩酸等で洗浄し
て、基板側面、裏面等に残存するニッケルを除去すると
効果的である。なお、本実施例においては、有機ニッケ
ルの分解、堆積工程における圧力は減圧でもよいし大気
圧でも良い。その理由は堆積ニッケル量は圧力で決定さ
れるのではなく、その分圧で決定されるからであり、例
えば大気圧においてもキャリヤガスによる希釈率を高め
ることにより減圧時と同程度にニッケル量とすることは
可能である。また、大気圧の場合には、APCVDの様
にノズルから吹きつけながら堆積せしめる構成とするこ
とにより、チャンバ─クリ─ニングの頻度を減らすこと
が可能となる。
【0036】〔実施例2〕本実施例では、実施例1と同
様の装置を用い、熱の代わりにプラズマによって有機ニ
ッケルを分解する例を示す。図1を用いて、触媒元素
(ここではニッケルを用いる)を導入し、結晶化する工
程までを説明する。本実施例においても、基板としてコ
ーニング7059ガラスを用いた。また、その大きさは
100mm×100mmとする。基板11上に非晶質珪
素膜13を形成し、自然酸化膜除去後にチャンバ─10
1内に導入するまでは実施例1と同様であるため割愛す
る。
【0037】チャンバー101内に基板11を設置後、
実施例1と同様の操作により有機ニッケルガスを導入す
る。本実施例においてはプラズマを用いて有機ニッケル
を分解せしめることが目的であるので、チャンバ─内の
圧力は減圧であることが必要である。この圧力としては
0.01〜10Torr程度が適当であるが、本実施例
においては0.2Torrとなるように調節した。前述
の様に、図5(A)に示すチャンバー内には平行平板型
の電極106および107を設けてあり、さらに、チャ
ンバーの外にRF電源105を設けてある。これは、実
施例1においてはチャンバ─クリ─ニングのためであっ
たが、今回は有機ニッケルの分解のために用いることに
する。
【0038】チャンバー内にヒーター104およびサセ
プター102を設け、その上に基板103を置く構成は
実施例1と同様である。もちろん、チャンバー全体も有
機ニッケルが凝結しない程度の温度に保つことが望まれ
る。そして、本実施例においては、基板もチャンバ─全
体と同程度の有機ニッケルが凝結しない程度の温度に保
った。これは熱分解ではなくプラズマによる分解のみを
用いるためである。本構成のチャンバーを用いたニッケ
ル膜の堆積方法について述べる。まず、基板をセットす
る。そして、V1〜V4を閉じたまま、V5を開き、チ
ャンバー内を適当な圧力まで排気する。本工程は実施例
1においてはそれほどの高真空を必要としなかったが、
本実施例においてはある程度の高真空まで引くことが望
ましい。
【0039】この状態でV5を閉じ、V1およびV2を
開いて、有機ニッケルガスと窒素を導入する。本実施例
においては、ガスは常にフローした状態でおこない、圧
力は排気系のコンダクタンスを調節して20Paとなる
ようにした。次に電極間にRF領域の高周波印加を行
い、プラズマを形成し、有機ニッケルを分解して基板上
に堆積せしめた。高周波出力は20Wで、成膜時間は2
分とした。(図1(C))
【0040】そして、チャンバー内を排気した後、窒素
を導入し、基板温度を600℃にまで上昇させ、4時間
保持して固相成長をおこなった。次に、基板温度をその
ままにして、チャンバー内に塩化水素を導入し、ニッケ
ル除去の工程をおこなった。ガスの濃度・処理時間は実
施例1と同じにした。基板を取り出した後は、チャンバ
ー内の圧力を適当なものとして、電極106と107の
間に放電を生じさせることによってチャンバー内のクリ
ーニングをおこなってもよい。しかし、さらに望ましく
は、上記チャンバ─101をロ─ド室とアンロ─ド室を
備えたマルチチャンバ─の構成とすることで、更なるス
ル─プットの向上が期待できる。
【0041】〔実施例3〕本実施例では、紫外光によっ
て有機ニッケルを分解、堆積し、ガラス基板上の結晶性
を有する珪素膜を形成する例を示す。図5(B)に示す
チャンバーを用いて、触媒元素(ここではニッケルを用
いる)を導入し、結晶化する工程を説明する。本実施例
において、基板をチャンバ─内に設置するまでは実施例
1と同様の方法で行ったため、本実施例においては省略
する。
【0042】ここで、チャンバー201について簡単に
説明する。チャンバー201には外部からガスを導入す
るチューブと排気するチューブが接続されており、前者
は4系統あり、そのうちの1つは有機ニッケルガス・蒸
気を導入する系統である。この系統では、ベーパライザ
ーから発生した有機ニッケルガス・蒸気(例えば、BM
CPニッケル)を適当なガス(例えば、アルゴンや水
素)によって搬送する。この際には有機ニッケルが配管
内に凝結しないように、配管は適当な温度、好ましくは
ベーパライザーと同じ温度か、それよりも高い温度に保
たれている必要がある。これらの構成は図5(A)の構
成と同様のものである。
【0043】第1のガス系統からは有機ニッケルガス・
蒸気が得られるが、その濃度を必要とする量に制御する
ことは難しい。すなわち、蒸気圧はベーパライザーの温
度によって決定されるからであり、温度のわずかの違い
によって濃度が著しく変動するからである。そこで、別
のガス系統から窒素を導入して、有機ニッケルガス・蒸
気を希釈するとよい。その場合には、濃度比はバルブV
11とV12によって制御される。
【0044】このようにして有機ニッケルガス・蒸気は
チャンバー201に導入される。チャンバー上部には、
石英窓205を挟んで低圧水銀ランプ206が設置され
ている。チャンバー内にはヒーター204およびサセプ
ター202を設け、その上に基板203を置く。もちろ
ん、チャンバー全体も有機ニッケルが凝結しない程度の
温度に保つことが望まれる。そして、基板は、表面にお
ける堆積ニッケルと非晶質珪素の反応を制御すべく、加
熱される。例えば、両者を反応させたくない場合には、
基板温度を室温、あるいはそれ以下の温度に保持するこ
とで可能となる。これはイオン損傷や加熱が必須要件で
はない光反応ゆえに可能な構成である。
【0045】本構成のチャンバーを用いたニッケル膜の
堆積方法について述べる。まず、基板をセットする。そ
して、V11〜V14を閉じたまま、V15を開き、チ
ャンバー内を適当な圧力まで排気する。この状態でV1
5を閉じ、V11およびV12を開いて、有機ニッケル
ガスと窒素を適切な濃度比で導入する。そして、必要な
量だけ有機ニッケルガスが導入されたら、V11とV1
2を閉じる。この結果、チャンバー内には有機ニッケル
ガスが閉じ込められる。次に低圧水銀ランプ206に通
電して、基板上に有機ニッケルが分解して得られた薄膜
を堆積する。一般に光CVDはデポレ─トが低いことが
欠点とされているが、本発明においては、微量の金属の
堆積量を制御することが必要であり、かえって好都合で
あった。(図1(C))
【0046】その後、V15を開けて、チャンバー内を
排気した。さらに、V12を開けてチャンバー内に窒素
を導入し、さらに、ヒーターにより基板を600℃まで
加熱した。その状態で4時間放置して、珪素膜の結晶化
をおこなった。(図1(D)) さらに、V13およびV14を開け、チャンバー内の雰
囲気を、窒素88%、酸素10%、塩化水素2%とし
た。この状態を10〜60分保ったのち、V13、V1
4を閉じ、ヒーターへの電源を切り、基板を冷却し、基
板を取り出した。本実施例は、実施例2に比較して界面
損傷が少なく、高品質な結晶性珪素薄膜を得ることが可
能であった。なお、有機ニッケルガス・蒸気の光反応が
温度上昇によって著しく促進される性質を利用すれば、
チャンバー内壁へのニッケル化合物の付着をほぼ基板表
面に限定することも可能であり、その場合にはチャンバ
ー内のクリーニングも不要である。(図1(D))
【0047】〔実施例4〕本実施例は、実施例1に示す
作製方法において、1200Åの酸化珪素膜を選択的に
設け、この酸化珪素膜をマスクとして選択的にニッケル
を導入し、固相成長をおこなうことによって、横方向の
結晶化をおこない、さらに、ニッケルを除去する例であ
る。図2に本実施例における作製工程の概略を示す。ま
ず、ガラス基板(コーニング7059、10cm角)2
1上に、酸化珪素膜22を厚さ1000〜5000Åに
形成した。さらに、プラズマCVD法もしくは減圧CV
D法によって、非晶質珪素膜23を厚さ500〜100
0Åに形成した。
【0048】さらに、マスク膜となる酸化珪素膜24を
1000Å以上、ここでは1200Åの厚さに、スパッ
タ法によって成膜した。この酸化珪素膜24の膜厚につ
いては、発明者等の実験によると500Åでも問題がな
いことを確認しているが、ピンホール等の存在によっ
て、意図しない箇所にニッケルが導入されることを防ぐ
ため、ここでは更に余裕を持たせた。(図2(A)) そして通常のフォトリソパターニング工程によって、必
要とするパターンに酸化珪素膜24をパーニングし、ニ
ッケル導入のための窓25を形成した。このような加工
をおこなった基板を、実施例1と同様に図5(A)に示
すチャンバー101に設置し、有機ニッケルガスを用い
て、その表面に適当な厚さのニッケル化合物膜26を堆
積した。(図2(B))
【0049】引き続き、550℃(窒素雰囲気)、8時
間の加熱処理を施すことにより、非晶質珪素膜23の結
晶化をおこなった。この際、まず、ニッケル化合物膜が
非晶質珪素膜と密着した部分27の領域において、結晶
化が始まった。(図2(C)) その後、結晶化は図中の矢印に示すようにその周囲へ進
行し、マスク膜24で覆われた領域28でも結晶化がお
こなわれた。(図2(D))
【0050】図2(D)に示すように、本実施例のごと
き、横方向の結晶化をおこなった場合には、大きくわけ
て3つの性質の異なる領域が得られる。第1はニッケル
化合物膜が非晶質珪素膜と密着していた領域で、図2
(E)では27で示される領域である。この領域は、熱
アニール工程の最初の段階で結晶化する。この領域をタ
テ成長領域と称する。この領域では、比較的ニッケル濃
度が高く、また、結晶化の方向のそろっておらず、その
結果、珪素の結晶性がそれほど優れないため、フッ酸そ
の他の酸に対するエッチングレートが比較的大きい。
【0051】第2は横方向の結晶化のおこなわれた領域
で、図2(E)では28で示される。この領域をヨコ成
長領域と称する。この領域は結晶化の方向がそろってお
り、ニッケル濃度も比較的低く、デバイスに用いるには
好ましい領域である。第3は横方向の結晶化の及ばなか
った非晶質領域である。次いで、実施例1で示した手順
と同様に、雰囲気に塩化水素を導入し、ニッケルの除去
をおこなう。この結果、ヨコ成長領域、タテ成長領域と
もニッケルの濃度が低減する。しかしながら、タテ成長
領域では、もともとのニッケル濃度が高かったため、そ
れが除去された後は、欠陥となりやすく、該部分を電子
デバイスの重要な部分に使用することは好ましくない。
一方、ヨコ成長領域29では、もともとの結晶性が優れ
ている上、ニッケルの濃度も低いので電子デバイスには
好適である。
【0052】〔実施例5〕本実施例は、本発明の方法を
利用して作製した結晶性珪素膜を用いて、薄膜トランジ
スタ(TFT)を作製する例を示す。図3に本実施例の
作製工程の概要を示す。まずガラス基板301上に下地
の酸化珪素膜302を2000Åの厚さに成膜した。こ
の酸化珪素膜302は、ガラス基板からの不純物の拡散
を防ぐために設けられる。そして、非晶質珪素膜を実施
例1と同様な方法で500Åの厚さに成膜した。(図3
(A))
【0053】そして,実施例1と同様にニッケル化合物
膜304を非晶質珪素膜表面に有機ニッケル蒸気の熱分
解法によって堆積した。(図3(B)) その後、引き続き、600℃で4時間の熱アニールをお
こなうことによって、非晶質珪素膜303を結晶化さ
せ、結晶性珪素膜305とした。さらに、同じ温度を保
ったまま、雰囲気に塩化水素を導入し、ニッケル除去を
おこなった。雰囲気のガスの分圧比は実施例1と同じと
した。
【0054】次に、これにKrFエキシマーレーザー光
(波長248nm)を照射し、さらに、結晶化を向上せ
しめた。レーザーのエネルギー密度は300〜350m
J/cm2 が好ましかった。このように、固相成長によ
る結晶化に加えて、レーザー光を照射して、さらに結晶
性を高めるのは、実施例4においても述べたが、ニッケ
ル化合物膜と非晶質珪素が密着した部分では結晶化の方
向がそろっていないので、結晶性が良くないためであ
る。特に、結晶粒界には多くの非晶質の残存物が観察さ
れた。そこで、レーザー照射をおこなうことによって、
このような結晶粒界の非晶質成分まで完全に結晶化させ
てしまうことが望まれるのである。(図3(C))
【0055】次に、結晶化した珪素膜をパターニングし
て、島状の領域306を形成した。この島状の領域30
6はTFTの活性層を構成する。そして、プラズマCV
D法によって厚さ200〜1500Å、ここでは100
0Åの酸化珪素膜307を堆積した。この酸化珪素膜は
ゲイト絶縁膜としても機能する。(図3(D)) 上記酸化珪素膜307の作製には注意が必要である。こ
こでは、TEOSを原料とし、酸素とともに基板温度1
50〜600℃、好ましくは300〜450℃で、RF
プラズマCVD法で分解・堆積した。TEOSと酸素の
圧力比は1:1〜1:3、また、圧力は0.05〜0.
5torr、RFパワーは100〜250Wとした。
【0056】あるいはTEOSを原料としてオゾンガス
とともに減圧CVD法もしくは常圧CVD法によって、
基板温度を350〜600℃、好ましくは400〜55
0℃として形成した。成膜後、酸素もしくはオゾンの雰
囲気で400〜600℃で30〜60分アニールしても
よい。次に、厚さ2000Å〜1μmの燐のドープされ
た多結晶珪素膜を減圧CVD法によって形成して、これ
をパターニングし、ゲイト電極308を形成した。
【0057】その後、イオンドーピング法(プラズマド
ーピング法ともいう)によって、TFTの島状シリコン
膜中に、ゲイト電極をマスクとして自己整合的に不純物
(燐)を注入した。ドーピングガスとしてはフォスフィ
ン(PH3 )を用いた。ドーズ量は、1×1014〜4×
1015cm-2とした。こうして、N型不純物(燐)領域
309、310を形成した。(図3(E))
【0058】その後、全面に層間絶縁物311として、
TEOSを原料として、これと酸素とのプラズマCVD
法、もしくはオゾンとの減圧CVD法あるいは常圧CV
D法によって酸化珪素膜を厚さ3000〜8000Å形
成した。基板温度は250〜450℃、例えば、350
℃とした。成膜後、表面の平坦性を得るため、この酸化
珪素膜を機械的に研磨したり、エッチバック方式による
平坦化をおこなってもよい。
【0059】そして、層間絶縁物311をエッチングし
て、TFTのソース/ドレインにコンタクトホールを形
成し、クロムもしくは窒化チタンの配線・電極312、
313を形成した。最後に、水素中で300〜400℃
で0.1〜2時間アニールして、シリコンの水素化を完
了する。このようにして、TFTが完成した。同時に多
数のTFTを作製し、マトリクス状に配列せしめてアク
ティブマトリクス型液晶表示装置等の集積回路としても
よい。(図3(F))
【0060】〔実施例6〕本実施例はTFTを作製する
工程に関する。図4に本実施例の作製工程の概要を示
す。まずガラス基板401上に下地の酸化珪素膜402
を2000Å、さらにその上に非晶質珪素膜403を5
00Åとマスク膜となる酸化珪素膜404を1000Å
の厚さにそれぞれ成膜した。そして、マスク膜404に
選択的に窓404を開けた。(図4(A)) そして,実施例4と同様にニッケル化合物膜406を有
機ニッケル蒸気の熱分解法によって堆積した。この工程
においては、窓405の領域ではニッケル化合物膜40
6は非晶質珪素表面に密着した。(図4(B))
【0061】その後、引き続き、550℃で8時間の熱
アニールをおこなうことによって、非晶質珪素膜403
を図の矢印の示すように横方向に結晶化させ、タテ成長
領域408とヨコ成長領域409を形成した。この工程
で結晶化しなかった領域は非晶質領域410のままであ
った。さらに、実施例4と同じ条件でニッケルの除去を
おこなった。(図4(C)) 本実施例のように横方向の結晶化ではヨコ成長領域の結
晶性が良好であるので実施例5のようにその後にレーザ
ー光等を照射して結晶性を高めなくとも、TFTを作製
するとは可能であるため、本実施例ではレーザー光の照
射はおこなわなかった。しかし、レーザー光を照射する
とより特性の良いTFTが得られる。
【0062】次に、結晶化した珪素膜をパターニングし
て、島状の領域411を形成した。この島状の領域41
1はTFTの活性層を構成する。図からも分かるが、こ
の島状領域411には、タテ成長の領域408とヨコ成
長の領域409、非晶質の領域410が含まれている。
そして、本実施例ではTFTのチャネル領域がヨコ成長
領域409となるようにした。これは、チャネル領域が
TFTの特性を左右する重要な部分であるためである。
【0063】その後、酸化珪素膜412を堆積した。こ
の酸化珪素膜はゲイト絶縁膜としても機能する。引き続
き、厚さ2000Å〜1μmのアルミニウム膜をスパッ
タ法によって形成して、これをパターニングし、ゲイト
電極413を形成した。アルミニウムにはスカンジウム
(Sc)を0.15〜0.2重量%ドーピングしておい
てもよい。そして、基板をpH≒7、1〜3%の酒石酸
のエチレングリコール溶液に浸し、白金を陰極、このア
ルミニウムのゲイト電極を陽極として、陽極酸化をおこ
なった。陽極酸化は、最初一定電流で220Vまで電圧
を上げ、その状態で1時間保持して終了させた。本実施
例では定電流状態では、電圧の上昇速度は2〜5V/分
が適当である。この結果、厚さ1500〜3500Å、
例えば、2000Åの陽極酸化物414がゲイト電極4
13の上面および側面に形成された。(図4(D))
【0064】その後、イオンドーピング法(プラズマド
ーピング法ともいう)によって、各TFTの島状シリコ
ン膜中に、ゲイト電極部をマスクとして自己整合的に不
純物(燐)を注入した。ドーピングガスとしてはフォス
フィン(PH3 )を用いた。ドーズ量は、1×1014
4×1015cm-2とした。このドーピング工程において
は、陽極酸化物414が存在するため、不純物領域41
5、416とゲート電極が重ならないで、離れている、
いわゆるオフセット状態となっている。
【0065】その後、KrFエキシマーレーザー(波長
248nm、パルス幅20nsec)を照射して、上記
不純物領域の導入によって結晶性の劣化した部分の結晶
性を改善させた。レーザーのエネルギー密度は150〜
400mJ/cm2 、好ましくは200〜250mJ/
cm2 であった。こうして、N型不純物(燐)領域41
5、416を形成した。これらの領域のシート抵抗は2
00〜800Ω/□であった。このレーザー照射の工程
によって島状珪素領域411のうち、非晶質の領域41
0も結晶化された。(図4(E))
【0066】この工程において、レーザーを用いるかわ
りに、フラッシュランプを使用して短時間に1000〜
1200℃(シリコンモニターの温度)まで上昇させ、
基板を加熱する、いわゆるRTA(ラピッド・サーマル
・アニール)(RTP、ラピット・サーマル・プロセス
ともいう)を用いてもよい。
【0067】その後、全面に酸化珪素膜417を厚さ5
000Å堆積した。その後、酸化珪素膜417を緩衝フ
ッ酸溶液にてエッチングして、TFTのソース/ドレイ
ンにコンタクトホールを形成し、窒化チタンとアルミニ
ウムの多層膜の配線・電極418、419を形成した。
なお、コンタクトホールのエッチングの工程において
は、島状珪素領域のうち、タテ成長の領域はヨコ成長の
領域や非晶質だった領域よりもエッチングレートが高い
ため、図に示すような深くエッチングされた領域420
が生じた。このことからも明らかなように、コンタクト
ホール全体がタテ成長領域に含まれるようになると、コ
ンタクト不良が生じる危険が強いため、コンタクトホー
ルはタテ成長以外の領域にもかかるように設計すること
が望まれる。このようにして、TFTが完成した。(図
4(F))
【0068】
【発明の効果】非晶質珪素膜の結晶化を促進する触媒元
素の導入方法として、該触媒元素の有機化合物の蒸気、
ガスを熱分解して、非晶質珪素膜上に堆積させる方法に
より、上記のように、触媒元素の濃度を精密に制御し
て、しかも均一に添加できるようになり、結晶性の均一
性を高めることができた。さらに、固相成長工程、触媒
元素除去工程を同一チャンバー内で連続的におこなうこ
とにより、量産性を向上させることができた。その結
果、結晶性珪素膜を用いた信頼性の高い電子デバイスを
多量に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜3の工程を示す図。
【図2】 実施例4の工程を示す図。
【図3】 実施例5のTFT作製工程を示す図。
【図4】 実施例6のTFT作製工程を示す図。
【図5】 実施例で用いたチャンバーの概要を示す図。
【符号の説明】
11・・・・ガラス基板 12・・・・酸化珪素膜 13・・・・非晶質珪素膜 14・・・・ニッケル化合物膜 15・・・・結晶性珪素膜 21・・・・ガラス基板 22・・・・酸化珪素膜 23・・・・非晶質珪素膜 24・・・・マスク膜 25・・・・窓 26・・・・ニッケル化合物膜 27・・・・タテ成長領域 28・・・・ヨコ成長領域 29・・・・ニッケルの除去された領域 101・・・チャンバー 102・・・サセプター 103・・・試料(基板) 104・・・ヒーター 105・・・RF電源 106、107・・・平行平板電極 201・・・チャンバー 202・・・サセプター 203・・・試料(基板) 204・・・ヒーター 205・・・石英窓 206・・・低圧水銀ランプ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質珪素膜を有する基板をチャンバー
    内に配置する第1の工程と、 チャンバー内に非晶質珪素膜の結晶化を助長する触媒元
    素を有する有機金属の蒸気もしくはガスを導入する第2
    の工程と、 前記蒸気もしくはガスを分解することにより、前記非晶
    質珪素膜表面に触媒元素金属もしくはその化合物の被膜
    を堆積する第3の工程と、 前記チャンバー中において、前記非晶質珪素膜を加熱処
    理することによる結晶化させる第4の工程と、 前記チャンバー内にハロゲン化合物と酸素を有する気体
    を導入して450〜700℃で加熱処理する第5の工程
    と、を有する結晶性半導体作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、第5の工程の後に、
    結晶化した珪素膜にレーザーもしくはそれと同等な強光
    を照射する工程を有する結晶性半導体作製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の第1の工程において、該非晶
    質珪素膜上には100Å以下の酸化膜が形成されている
    ことを特徴とする結晶性半導体作製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の第1の工程において、非晶質
    珪素膜上にはマスク膜が形成され、該マスク膜は選択的
    にエッチングされたことによって、該非晶質珪素膜の表
    面が選択的に実質的に露出していることを特徴とする結
    晶性半導体作製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、触媒元素として、N
    i、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、In、Sn、P、
    As、Sbから選ばれた一種または複数種類の元素を用
    いることを特徴とする半導体作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において、触媒元素として、VI
    II族、IIIb族、IVb族、Vb族元素から選ばれた一種また
    は複数種類の元素を利用することを特徴とする半導体作
    製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、第4の工程から第5
    の工程へ移行する際の温度は450℃以上であることを
    特徴とする半導体作製方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、第5の工程に導入さ
    れる気体は、窒素および希ガスの分圧が20〜95%、
    かつ、酸素の分圧が5〜40%であることを特徴とする
    半導体作製方法。
  9. 【請求項9】 請求項1において、第5の工程に導入さ
    れる気体は、塩化水素を0.5%以上含有していること
    を特徴とする半導体作製方法。
JP30744496A 1996-10-31 1996-10-31 結晶性半導体作製方法 Pending JPH10135136A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30744496A JPH10135136A (ja) 1996-10-31 1996-10-31 結晶性半導体作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30744496A JPH10135136A (ja) 1996-10-31 1996-10-31 結晶性半導体作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10135136A true JPH10135136A (ja) 1998-05-22

Family

ID=17969146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30744496A Pending JPH10135136A (ja) 1996-10-31 1996-10-31 結晶性半導体作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10135136A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003054931A (ja) * 2001-08-08 2003-02-26 Jsr Corp 多結晶シリコン膜の形成方法、およびそのための組成物
JP2010141368A (ja) * 2006-12-27 2010-06-24 Terasemicon Corp 金属または金属化合物の吸着装置及び方法
JP2010153911A (ja) * 2006-12-27 2010-07-08 Terasemicon Corp 多結晶シリコンの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003054931A (ja) * 2001-08-08 2003-02-26 Jsr Corp 多結晶シリコン膜の形成方法、およびそのための組成物
JP2010141368A (ja) * 2006-12-27 2010-06-24 Terasemicon Corp 金属または金属化合物の吸着装置及び方法
JP2010153911A (ja) * 2006-12-27 2010-07-08 Terasemicon Corp 多結晶シリコンの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7691692B2 (en) Substrate processing apparatus and a manufacturing method of a thin film semiconductor device
JP3621151B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP3977455B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JPH07221017A (ja) 半導体装置およびその作製方法
KR100279217B1 (ko) 반도체 장치 형성 방법, 결정성 반도체 막 형성 방법, 박막 트랜지스터 형성 방법 및 반도체 장치 제조 방법
JP3781787B2 (ja) 多目的基板処理装置およびその動作方法および薄膜集積回路の作製方法
JPH09213630A (ja) 半導体装置の作製方法
JP3844526B2 (ja) 結晶性珪素膜作製方法
JP3889071B2 (ja) 結晶性半導体作製方法
JP4162727B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP2002151693A (ja) ボトムゲート薄膜トランジスタとその製造方法およびエッチング装置と窒化装置
JP4001906B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JPH10135136A (ja) 結晶性半導体作製方法
JP3889073B2 (ja) 結晶性半導体作製方法
US6974763B1 (en) Method of forming semiconductor device by crystallizing amorphous silicon and forming crystallization promoting material in the same chamber
JP2000150389A (ja) プラズマcvd装置およびこれを用いた半導体装置の製造方法
US6730368B1 (en) Method of preparing a poly-crystalline silicon film
JP3925085B2 (ja) 半導体装置の製造方法、光変調素子の製造方法、および表示装置の製造方法
JP4200530B2 (ja) 薄膜トランジスタの製造方法
JP3972991B2 (ja) 薄膜集積回路の作製方法
JP3911947B2 (ja) 電界効果トランジスタの製造方法
JP3618604B2 (ja) 半導体装置作製方法
JP2001223208A (ja) 半導体素子製造装置および半導体素子の製造方法
JP3691505B2 (ja) 薄膜集積回路の作製方法及びアクティブマトリクス型液晶表示装置の作製方法
JP3950307B2 (ja) 半導体装置の作製方法