JPH10130739A - 磁場熱処理方法及び装置 - Google Patents

磁場熱処理方法及び装置

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JPH10130739A
JPH10130739A JP8285463A JP28546396A JPH10130739A JP H10130739 A JPH10130739 A JP H10130739A JP 8285463 A JP8285463 A JP 8285463A JP 28546396 A JP28546396 A JP 28546396A JP H10130739 A JPH10130739 A JP H10130739A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic material
magnetic field
heat treatment
width direction
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Application number
JP8285463A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunkichi Igarashi
俊吉 五十嵐
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁歪振動片として用いられる磁性材料の磁気
特性を安定化する。 【解決手段】 細片に切断される前の帯状の磁性材料2
を加熱炉5内で搬送する。磁性材料2はエンドレスベル
ト12に8本並列して載置され、エンドレスベルト12
の移動とともに加熱炉5を通過する。加熱炉5の内部に
は、8本の磁性材料を幅方向から一括して挟むように対
向配置された永久磁石が設けられ、磁性材料2に幅方向
から一定強度の磁界を印加する。加熱炉5を通過する間
に、磁性材料2は305°Cまで徐々に加熱された後、
室温まで徐冷され、一定の磁界内でアニール処理され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁歪振動片の量産
に適した磁場熱処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特表平7−503061号公報などによ
り、磁歪ストリップ(磁歪振動片)を交番磁界内におい
たときに生じる機械的な振動を電気的に符号化して検出
するシステムが知られている。薄板状の磁歪振動片は長
さ方向に一律に磁化され、その長さに応じた固有の振動
周波数をもつ。このような磁歪振動片に対して交番磁界
が作用すると、磁歪振動片はその固有の振動周波数と交
番磁界の周波数との共振周波数で機械的に振動する。こ
の磁歪振動片の振動は誘導コイルにより電気的に検知す
ることができるから、例えばこのような磁歪振動片を組
み込んだタグを商品ごとに付しておき、また店の出入り
口に交番磁界の発生器と誘導コイルとを対向させて組み
合わせたゲートを設置しておくことによって、未精算の
商品が店から持ち出されるのを防ぐことができる。
【0003】また、固有の振動周波数が異なる磁歪振動
片を複数枚組み合わせたり、さらには磁歪振動片に予め
所定の磁化パターンをもつ磁性片を組み合わせ、磁性片
のバイアス磁界によって磁歪振動片が振動するときに変
調が加えられるようにしておくと、周波数を連続的に変
化させながら交番磁界を印加したときに誘導コイルから
はそれぞれの固有共振周波数のもとで検知信号が得られ
るようになる。したがって、これらの共振周波数の組み
合わせをIDコードなどの識別データとして利用するこ
とも可能となる。
【0004】特公昭33−6051号公報にも記載され
ているように、一般に磁性材料の磁気特性を向上させる
ためには、磁場中での熱処理が効果的であることが知ら
れている。また、上記したような磁歪振動片にあって
は、その磁気特性として高い電気(磁気)機械結合係数
が要求される。磁気機械結合係数は、磁界変化と磁歪振
動との間の変換効率を表すもので、磁歪定数及び透磁率
がともに大きいほど大きな値となる。このような性質を
もつ材料として、Fe78Si1012などのアモルファス
合金が挙げられるが、やはりその製造過程で磁場中での
熱処理工程が必要とされ、例えば特開平5−31132
1号公報に記載されているように、300Oe(エルス
テッド)の磁場内で300°Cで加熱した後に急冷する
などの磁場熱処理が行われている。
【0005】薄い細片形状をした磁歪振動片を製造する
過程で効率的な磁場熱処理を行うには、前掲の特公昭3
3−6051号公報や特開平5−311321号公報に
も記載されているように、磁性材料を細片形状に切断す
る前の段階で磁場の印加及び加熱を行うのが有利であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、磁気特
性に優れた磁性材料を効率的に製造するには、磁性材料
を切断する前のウェブ状態で磁場熱処理が行われるが、
これまででは磁場の印加方向を磁性材料の長手方向に合
わせ、また加熱処理の後には急冷する手法が採られてい
る。ところが、本発明者等は、特に磁歪応用を前提とし
た磁性材料を製造するには、磁場熱処理に際して磁場の
印加方向をウェブ状の磁性材料の幅方向に合わせ、しか
も加熱処理についても急激な加熱や冷却を行うのではな
く、アニール(焼き鈍し)を行うのが有効であることを
見出した。
【0007】本発明は上記背景のもとでなされたもの
で、その目的は磁歪振動片を効率的に製造する際に有効
な磁場熱処理方法及び装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するにあたり、ロール形態に巻いた帯状の磁性材料を一
定の速度で引き出しながらその送り方向に温度勾配をも
った加熱炉を通すことによって磁性材料を所定温度まで
徐々に加熱した後に徐々に温度を低くする熱処理を加
え、さらにこの熱処理を行う間に磁性材料の幅方向に一
定の磁界を印加するようにしてある。そして、この磁場
熱処理をより効率的に行うには、前記磁性材料を幅方向
に複数列並べて前記加熱炉を通過させながら、上記熱処
理と磁界の印加を行うのがよい。複数列の磁性材料に対
してその幅方向から磁界を印加するには、各列ごとに一
対の磁極を配置することはもとより、複数列の磁性材料
を幅方向から一括して挟むように対向配置された一対の
磁極により、複数列の磁性材料に対して一括的に前記磁
界の印加を行うようにしてもよい。
【0009】上記磁場熱処理を行う間に、磁性材料に機
械的な外力が及ぶと応力ひずみが残りやすく、磁歪振動
に悪影響が出る。これを避けるには、加熱炉内で磁性材
料を搬送するに際し磁性材料を循環移動式のエンドレス
ベルト上に載置し、このエンドレスベルトの移動により
磁性材料の送りを行うのがよい。
【0010】さらに、帯状の磁性材料を巻芯に巻いたま
ま有効な磁場熱処理を行うことも可能である。このため
には、巻芯に巻いた帯状の磁性材料をその全周にわたっ
て端面側から挟むように一対の磁極を対向させ、これら
の磁極によってロール形態の磁性材料に対して幅方向に
一定の磁界を印加した状態にしておいて磁性材料のロー
ルを所定温度まで加熱した後に徐々に冷却する熱処理を
行えばよい。なお、磁性材料を非磁性体からなる巻芯に
巻きつけ、巻芯外周側で磁性材料を端面側から挟むよう
にリング状にした一対の磁極を対向させ、これにより磁
界の印加を行うのが効果的である。
【0011】
【発明の実施の形態】図1及び図2に、本発明の実施に
際して用いられる装置の外観及び搬送系を概略的に示
す。磁性材料2はウェブ形態で作られ、供給リール3
(図2)に巻かれている。磁性材料2は鉄を多く含むア
モルファス合金、例えばFe78Si1012からなり、幅
は1.5mm、厚みは0.03mmである。なお、これ
らの寸法は、最終的に磁歪振動片として利用するときの
サイズ「35×1.5×0.03(mm)」に合わせて
決められたもので、本発明が対象とする磁性材料2はこ
の寸法のみに限られるものではなく、また材質にしても
磁歪振動を行うものであれば上記材質にのみ限られな
い。
【0012】図示のように、磁性材料2は8本分平行し
て加熱炉5に通され、加熱炉5内で磁場熱処理を行った
後にそれぞれモータで駆動される巻取りリール6によっ
て巻き取られる。図2に示すように、供給リール3と加
熱炉5の入り口との間には一対のパスロール7,7が、
また加熱炉5の出口と巻取りリール6との間には一対の
パスロール8,8が設けられ、さらに各々のパスロール
対の間にはフローティングローラ9,9が設けられてい
る。
【0013】これらのフローティングローラ9は例えば
プラスチックで作られ、加熱炉5の両端間で磁性材料2
が撓みを生じることなく展延される程度に、磁性材料2
にわずかのテンションを与える。フローティングローラ
9の各々の高さ位置を監視するためにマイクロスイッチ
10,11が設けられている。これらのマイクロスイッ
チ10,11のオン/オフに応答して各リール3,6を
駆動するモータの回転が制御され、フローティングロー
ラ9,9が所定の高さ範囲内に落ちつくように磁性材料
2の送り出し量,巻取り量が制御される。
【0014】加熱炉5内での磁性材料2の送り速度は、
リール3,6とは別のモータで駆動されるエンドレスベ
ルト12の移動速度によって決められている。フローテ
ィングローラ9,9の自重により磁性材料2はエンドレ
スベルト12の上面に載置される形となり、磁性材料2
はエンドレスベルト12の移動とともに加熱炉5内を通
過する。エンドレスベルト12は、非磁性体であって耐
熱性に優れたステンレスあるいはアルミニウム合金など
の細線を網状に編んだもので、可撓性を有している。
【0015】図1に示すように、エンドレスベルト12
の両側縁には非磁性体材料で作られたチェーン13が固
定され、加熱炉5の入り口側と出口側に設けた爪車1
5,16に噛み合っている。爪車15,16がゆっくり
と回転することによってエンドレスベルト12が送られ
る。加熱炉5の内部にはエンドレスベルト12の裏面を
支持する受け板17が設けられ、エンドレスベルト12
が撓まないようにしてある。
【0016】また、図3及び図4に示すように、エンド
レスベルト12の表面側には走行方向に一定の間隔でレ
ーンガイド18が固定されている。各レーンガイド18
は、アルミニウム合金等の非磁性,高耐熱性の材料で作
られ、エンドレスベルト12の幅方向に磁性材料2の幅
寸法に対応した間隔(例えば1.6mm)で表面側に突
出した規制片18aを備えている。そして、8本の磁性
材料2はそれぞれの規制片18aの相互間で幅方向の位
置決めがなされ、加熱炉5内で蛇行したり互いに重なり
合うことはない。なお、同図中の符号19は、エンドレ
スベルト12の幅方向の位置規制を行うガイドブロック
を示す。
【0017】上記のレーンガイド機能をより簡便に得る
には、エンドレスベルト12を構成している網状の細線
の一部を、磁性材料2の幅に応じてエンドレスベルト1
2の幅方向に一定間隔を開けてループ状に屈曲させて立
ち上げ、これらの間に磁性材料2を通すようにすること
も可能である。この手法によれば、磁性材料相互間の幅
方向の隙間をわずかなものにすることができ、エンドレ
スベルト12上でのレーン数を増やして製造効率が高め
られるだけでなく、幅方向から印加される磁界の強度を
均一、かつ弱めないようにする上でも有利である。
【0018】図2に示すように、磁性材料2の加熱手段
として用いられている加熱炉5内には、磁性材料2の搬
送方向に沿って複数のヒータブロック20が設けられて
いる。ヒータブロック20には例えばシーズヒータが用
いられ、加熱炉5の内部に所定の温度勾配をもたせるよ
うに個々の温度が設定されている。これらのヒータブロ
ック20による温度勾配は、磁性材料2が加熱炉5を通
過する間に図5に示す熱履歴を与えることができるよう
に決められている。
【0019】図5は磁性材料2の同一部分について行わ
れる加熱処理を横軸に経過時間T、縦軸に加熱温度をと
ったグラフで、磁性材料2の同一部分に対し、最初の1
0分間で360°Cの予備アニ−ルを行った後にいった
ん急冷し、次に305°Cまで再加熱して90分間これ
を維持し、その後は180分程度の時間をかけて室温に
戻すアニール処理が行われることを表している。この熱
処理は、結晶化温度が410°C、キュリー温度が35
3°Cの磁性材料を想定して決めたもので、結晶化温度
及びキュリー温度を考慮して他の温度に設定してもよ
く、必ずしも上記温度のみに限られない。
【0020】加熱炉5内で磁性材料2を搬送させながら
このような長時間の熱処理が行われるが、加熱炉5の全
長を10mにしたとしても、磁性材料2の送り速度は
0.5mm/secにしなければならず、24時間フル
稼働でも43m強の長さ分しか熱処理ができない。この
意味でも、加熱炉5内に複数列の磁性材料2を通すのが
効率的で、エンドレスベルト12の幅を広げて磁性材料
2のレーン数を20列,30列とさらに増やすことも可
能である。
【0021】加熱炉5内では上記アニール処理と並行し
て磁界の印加が行われる。このために、図3に示すよう
に加熱炉5内には8本の磁性材料2を幅方向から一括し
て挟むように一対の永久磁石人22,23が設けられ、
それぞれの磁極S極とN極とが対向しており、両者間に
磁束密度4000ガウス程度の磁力線が生じている。こ
れらの永久磁石22,23は磁性材料2の送り方向に関
しては、図5に示すように磁性材料2が所定温度305
°Cに達する付近から、徐冷がかなり行われるまでの範
囲で磁界が印加されるように設置され、これにより加熱
炉5内ではT.F.A.(Transvers Field Annealing
)が行われる。なお、本発明において特に効果的な熱
処理はこのT.F.A.にあるが、この熱処理の前に上
記の予備アニールを行って磁性材料2の残留応力をとっ
ておくと、T.F.A.後の磁気特性がより安定化され
ることが確認された。
【0022】永久磁石22,23により磁性材料2に印
加される磁界の強度は500〜1000Oe程度が良
く、さらに2000Oeでも極めて良好な結果が得られ
ている。永久磁石22,23にはフェライト磁石を用い
ることもできるが、フェライト磁石は熱減磁が大きいの
で、図6に示すように耐熱性に優れたコバルト磁石24
を透磁率の高い軟鉄製のヨーク25と組み合わせて利用
するとよい。この場合、磁性材料2はヨーク25の両端
に生じる一対の磁極間に挟まれて送られることになる。
【0023】なお、磁性材料2にできるだけ均一な磁界
を印加するためには、コバルト磁石24,ヨーク25と
して長いものをそのまま利用するのが好ましいが、互い
に接する端面を高精度に加工して隣接するものを密着さ
せれば、同図中に破線で示すように磁性材料2の送り方
向にコバルト磁石24,ヨーク25を分割することも可
能である。また、コバルト磁石24(他種の磁石でも
可)の分割線とヨーク25の分割線とを互い違いにして
もよく、強力な磁石を用いた場合には、ヨーク25の全
長に対して磁石ブロックを間隔を開けて離散的に配置し
てもよい。
【0024】磁性材料2に磁界を印加するには、磁性材
料2を一本ずつ幅方向から挟むように一対の磁石を配置
することも可能であるが、この場合には8本の磁性材料
2に対して同時に磁場熱処理を行うために8対の磁石が
必要となり、加熱炉5内のスペース効率が悪くなる。そ
こで上記の実施形態のように、8本の磁性材料2を一括
して幅方向から挟むように一対の磁極を配置するのが有
利である。なお、ここで言う一対とは磁性材料2の幅方
向についての磁極配置を意味しており、磁性材料2の搬
送方向に関しては、これらの一対の磁極を複数対ずつ並
べるようにしてもよい。
【0025】複数列の磁性材料2を一対の磁極間を通過
させて磁界を印加させると、磁性材料2のレーン位置ご
とに磁界強度が変化してしまうことが懸念されるが、エ
ンドレスベルト12、チェーン13、レーンガイド18
はいずれも非磁性材料で作られているため、磁石22,
23の間に存在する磁性体は磁性材料2だけとなってい
る。このため、一対の磁極間に生じる磁束は磁性材料2
に集中して流れるようになり、磁性材料2のレーン位置
ごとに磁界強度に大きな変動は現れないことが確かめら
れている。
【0026】加熱炉5の全長を10m、供給リール3か
ら巻取りリール6までの間隔を12mにしたときの磁場
熱処理について以下に説明する。帯状の磁性材料2は、
その製造の最終工程で供給リール3にロール形態に巻き
付けられる。こうして用意された8本の供給リール3を
加熱炉5の入り口側に装着し、レーンガイド18を利用
してそれぞれの磁性材料2の先端が重なり合わないよう
にしてエンドレスベルト12の上に載置する。このと
き、フローティングローラ9,9は取り外しておく。
【0027】磁性材料2の先端送り時には、エンドレス
ベルト12を実稼働時よりも高速で移動させる。このと
き、ヒータブロック20はオフ状態のままでもかまわな
い。磁性材料2の先端が加熱炉5の出口から送り出され
たら、これを巻取りリール6に留めた後、フローティン
グローラ9,9をセットし、またヒータブロック20に
電源供給を行って稼働準備が完了する。この時点で加熱
炉5の中に入っていない部分が最終的な磁歪振動片とし
て利用される。なお、この先端送り部分の無駄をなくす
ために、例えばエンドレスベルト12に各レーンの磁性
材料2の先端を保持する櫛形の押さえ部材を設け、加熱
炉5の入り口で磁性材料2の先端を押さえ部材に装着し
てからエンドレスベルト12の移動とともに磁場熱処理
を加えるようにしてもよい。
【0028】エンドレスベルト12を0.5mm/se
cの速度で移動させる。フローティングローラ9をセッ
トすることによって、帯状の磁性材料2は軽くエンドレ
スベルト12の上に抑えられているから、磁性材料2は
エンドレスベルト12と一体に加熱炉5内を移動する。
加熱炉5内を移動する過程で、磁性材料2はその送り方
向に配列された複数のヒートブロック20からの熱によ
って、図5に示す熱処理を受け、同時に300°Cから
室温までアニールされる間には、磁性材料2はその幅方
向から1000Oeの直流磁界が印加される。
【0029】上記の磁場熱処理の後、磁性材料2は加熱
炉5から送り出され、巻取りリール6で巻き取られる。
その後、磁性材料2は巻取りリール6ごと切断工程に送
られ、製品となる磁歪振動片の長さに合わせて例えば3
5mmごとに切断される。こうして得られた磁歪振動片
は、磁性材料2の長さ方向はもとより、加熱炉5内にお
けるレーン位置によらず安定した磁歪振動特性を示すこ
とが確認され、レーン数としては40レーンまで同時処
理しても磁気特性に何ら変動が現れないことが実験で確
かめられている。
【0030】上記のように、帯状の磁性材料2を直線状
に引き出して加熱炉5に送り込み、加熱炉5内で磁性材
料2の幅方向から直流磁界を作用させて熱処理、特にア
ニール処理を施すと、磁性材料2に磁歪振動素子として
非常に安定した磁気特性を与えることができるようにな
る。この磁場熱処理方法は、磁性材料2を磁歪振動片に
裁断する前に簡便に行うことができ、製造効率が高い。
【0031】また、磁性材料2を幅方向に複数列並べて
加熱炉5に同時に通すことができるので、レーン数を2
0レーン,40レーンと増やしてさらに製造効率を高め
ることができる。このとき、各々のレーンごとに一対の
磁極を配列してもよいが、上記実施形態のように、複数
レーンの磁性材料2を一括して幅方向から挟むように一
対の磁極を設置しておく方が、加熱炉5の設置スペース
や設備費を節約する上で有利である。なお、磁性材料2
を幅方向に複数レーン並べる他に、厚み方向に複数列並
べて磁場熱処理を行うことも可能で、例えば磁性材料2
を幅方向に8レーン並べたものを上下2段にして同時に
搬送するようにしてもよい。
【0032】なお、フローティングローラ9,9は磁性
材料2をエンドレスベルト12の上面に軽く抑えつける
作用を行うが、これを用いる代わりに、エンドレスベル
ト12の上面との間に磁性材料2を軽く挟持するような
抑え板をエンドレスベルト12と一体に移動するように
設けてもよい。例えば、各レーンごとにその送り方向の
複数箇所に開閉自在な抑え板を設け、加熱炉5内では抑
え板が下降して磁性材料2をエンドレスベルト12の上
面との間に押さえつけ、加熱炉5の外部では抑え板を上
昇させて磁性材料2を解放すればよい。
【0033】図7及び図8にエンドレスベルトの他の例
を示す。図7に示すエンドレスベルト30は、SUS3
04又はりん青銅等の非磁性材料からなる可撓性の金属
シートで構成され、磁性材料2のレーンガイドとなる舌
片31が一体に折り曲げ形成されている。舌片31は磁
性材料2の1レーンあたり30mm程度のピッチで上方
に折り曲げられ、折り曲げ高さは1.2mm程度であ
る。隣接するレーンにも半ピッチずらして同様の舌片3
1が30mmピッチで形成され、これにより舌片31は
千鳥模様に配列される。
【0034】各レーンの磁性材料2はその両側縁が15
mmピッチで舌片31によって規制され、エンドレスベ
ルト30上で蛇行することなく整列して搬送される。舌
片31の折り曲げにより、エンドレスベルト30には開
口32が形成されることになるが、開口32の幅は磁性
材料2の幅寸方(1.5mm)よりも狭いので、その搬
送を行う上で何ら問題はない。これによれば、前述した
実施形態のようにエンドレスベルト12上に別体のレー
ンガイド18を固定せずに済むので、エンドレスベルト
12を簡便に製造することができる。
【0035】また、図示のようにエンドレスベルト30
の両側縁に沿って送り用の係合穴33を形成しておけ
ば、これらの係合穴33を利用して爪車15,16で直
接エンドレスベルト30を移動させることができる。さ
らに、図8に示すように、エンドレスベルト30の両側
縁に沿って配置された磁極34,35の形状を、対向し
合う磁極側が先細となるように整形しておくと、その間
で搬送される磁性材料2に対して集中した磁界を印加す
ることができるようになる。
【0036】図9に本発明の別の実施形態を示す。この
実施形態では、帯状の磁性材料2をリールに巻き付けた
ままで磁場熱処理を加えることができる。加熱炉40に
はシーズヒータ41が設けられ、中央には台座42,支
柱43が固定されている。磁性材料2が巻き付けられた
リール45には円盤形状をしたプレート46,47が重
ねられ、これらの軸穴に支柱43が挿通される。
【0037】プレート46,47の外周にはリング状の
永久磁石48,49が固定されている。リール45の巻
芯45a及びフランジ45bは非磁性材料で作られ、巻
芯45aの直径は1.5m程度である。そして、磁性材
料2は巻芯45aの外周に巻かれている。このように大
きい径の巻芯45aを利用することによって、磁性材料
2に強い巻癖がつくことを防いでいる。そして、巻芯4
5aの直径を1m以上にしておけば、仮に磁性材料2に
湾曲習性が残ったとしても、磁歪振動特性にはほとんど
影響はでない。
【0038】図10に拡大して示すように、プレート4
6,47の外周に沿って窪みが形成され、この窪み内に
リング状の鉄板50,51が固定されている。鉄板5
0,51の表面側にリング状に配列された複数の永久磁
石48,49が非磁性材料からなる止め金具52で固定
されている。永久磁石48,49が一体のリング形状を
している場合には必ずしも鉄板50,51を用いなくて
もよいが、図示のように、複数の永久磁石を並べて用い
る場合には、隣接する永久磁石相互の境界部分で磁束が
乱れやすくなるのでこれを防ぐための磁界ならし板とし
てリング状の鉄板50,51が用いられている。
【0039】磁石48,49の対向し合った磁極N極,
S極は、鉄板50,51、リール45のフランジ45b
を通して磁性材料2に幅方向から磁界を印加する。同時
に、加熱炉40内のシーズヒータ41に、図5に示す熱
処理を行うように電流を供給することによって、磁性材
料2に前述した実施形態と同様の磁場熱処理を行うこと
ができる。この実施形態では、プレート46,47をリ
ール45と別体に構成し、磁場熱処理を行うときにこれ
らは組み合わせて用いられるが、リール45と一体に永
久磁石48,49を組み付ける場合には、図11及び図
12に示すように、永久磁石48,49にをヨークを組
み合わせて利用するのが好適である。
【0040】図11及び図12において、巻芯45aの
両端面に非磁性材料からなるプレート46,47が固定
され、このプレート46,47自体が磁性材料2を巻き
付けるときにその両端面を規制するフランジとして作用
する。永久磁石48,49は非磁性材料からなる止め金
具52及びボルト53によって巻芯45a及びプレート
46,47に固定されている。それぞれの永久磁石4
8,49と各プレート46,47との間には、透磁率の
高い鉄製のリング50,51が設けられ、前述のように
磁界ならし板として作用する。
【0041】止め金具52の上面を覆うように、透磁率
の高い鉄製のヨーク板55が設けられ、やはり透磁率の
高い鉄製のボルト56,スタッドボルト57を介してプ
レート46,47に固定されている。ヨーク板55,ボ
ルト56及びスタッドボルト57によってヨークが構成
され、磁性材料2を幅方向から挟んでいる一対の磁極間
に生じる磁界の強度を高めることができる。なお、図示
した部分の間隔Dをある程度離しておくのが有利である
ことが確かめられている。
【0042】さらに、図13に示すように、永久磁石4
8,49を固定した「コ」字形状の金具58を透磁率の
高い材料で作り、プレート46,47にその外周側から
キャップ状に嵌めるようにしてもよい。金具58が補助
ヨークとして作用し、やはり一対の磁極間に生じる磁界
の強度を高めることができる。また、当然のことなが
ら、図9〜図13に示すようにロール形態のままで磁性
材料に磁場熱処理を行うに際し、磁性材料ロールを同軸
に複数個重ね、これらの磁性材料に対して幅方向から磁
界を印加しながら一括して磁場熱処理を行うことも可能
である。ロール形態のままで磁場熱処理を行う際には、
その前後で磁性材料2をリール45に巻き付けたり巻ほ
ぐしたりする必要があるが、この作業を行うときに磁性
材料2に過分な張力がかかったり歪み力が加わったりす
ることをできるだけ防ぐには、耐熱性に富んだクッショ
ン材を磁性材料2と重ね合わせて共巻にするとよい。
【0043】以上、図示した実施形態にしたがって本発
明について説明してきたが、本発明を実施するに際して
は、磁性材料2の組成や寸法に応じて加熱炉の所定温度
を設定したり、アニールの処理時間を延長あるいは短縮
することが可能であり、磁界の強度も適宜に変更するこ
とが可能である。また、永久磁石としてフェライト磁
石,コバルト磁石,パーマロイ磁石などを用いたり、永
久磁石の代わりに電磁石を用いてもよい。
【0044】
【発明の効果】上述のように、薄いシート状の細片とし
て作られる磁歪振動片を製造する前工程で、帯状の磁性
材料に対してその幅方向から磁界を印加しながらアニー
ル処理、すなわちキュリー温度未満の所定温度まで磁性
材料の温度を上げてゆき、しかる後にゆっくりと温度を
下げてゆく熱処理を加えることによって、帯状の磁性材
料の磁気特性を格段に安定化させることができる。しか
も、この磁場熱処理は、長尺の磁性材料を幅方向に複数
列並べて同時に行うことができるので、効率がよい。上
記の磁場熱処理を行うために、磁性材料を加熱炉を通過
させる工程中に、磁性材料をエンドレスベルト上に載置
して搬送すると、磁場熱処理の間に磁性材料に機械的な
ストレスがほとんど加わることがなくなり、応力歪みに
よって磁歪振動特性に悪影響が生じることがない。
【0045】また本発明の磁場熱処理はロール形態のま
まの磁性材料に対して熱処理を加える加熱炉に、磁性材
料の幅方向から磁界を印加する磁極を設けるだけでも簡
便に行うことが可能で、この場合には小型で構造が簡単
な加熱炉で短時間で一括処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一例を示す外観図である。
【図2】図1の装置の搬送系及び加熱炉の概略を示す説
明図である。
【図3】エンドレスベルト及び永久磁石の配置を示す概
略図である。
【図4】エンドレスベルトの概略断面図である。
【図5】熱処理工程を示すタイムチャートである。
【図6】永久磁石の他の例を示す概略図である。
【図7】エンドレスベルトの他の例を示す部分平面図で
ある。
【図8】図7に示すエンドレスベルトの断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態で用いられる装置の概略
断面図である。
【図10】図9の要部拡大断面図である。
【図11】永久磁石を固定するための他の例を示す要部
断面図である。
【図12】図11の要部破断平面図である。
【図13】永久磁石を固定するためのさらに他の例を示
す要部断面図である。
【符号の説明】
2 磁性材料 5 加熱炉 12 エンドレスベルト 18 レーンガイド 20 ヒータブロック 22,23 永久磁石 30 エンドレスベルト 34,35 永久磁石 40 加熱炉 45a 巻芯 49,50 永久磁石

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール形態に巻いた帯状の磁性材料を一
    定の速度で引き出しながらその送り方向に温度勾配をも
    った加熱炉を通過させ、磁性材料を所定温度まで徐々に
    加熱した後に徐々に温度を下げてゆく熱処理を加えると
    ともに、この熱処理を行う間に、磁性材料の幅方向に一
    定の磁界を印加するようにしたことを特徴とする磁場熱
    処理方法。
  2. 【請求項2】 前記磁性材料を幅方向に複数列並べて前
    記加熱炉を通過させて複数列の磁性材料に同時に前記熱
    処理を加えるとともに、複数列の磁性材料を幅方向から
    一括して挟むように対向配置された一対の磁極により前
    記磁界の印加を行うようにしたことを特徴とする請求項
    1記載の磁場熱処理方法。
  3. 【請求項3】 前記磁性材料は循環移動するエンドレス
    ベルトに載置され、このエンドレスベルトの移動により
    加熱炉内で搬送されることを特徴とする請求項1又は2
    記載の磁場熱処理方法。
  4. 【請求項4】 ロール形態に巻いた帯状の磁性材料をそ
    の全周にわたって端面側から挟むように一対の磁極を対
    向して配置し、これらの磁極によってロール形態の磁性
    材料に対して幅方向に一定の磁界を印加した状態で磁性
    材料のロールを所定温度まで加熱した後に徐々に温度を
    下げてゆく熱処理を行うことを特徴とする磁場熱処理方
    法。
  5. 【請求項5】 前記磁性材料は非磁性体からなる巻芯に
    巻かれており、前記一対の磁極は磁性材料を端面側から
    挟むように巻芯の外周に沿ってリング状に配列されてい
    ることを特徴とする請求項4記載の磁場熱処理方法。
  6. 【請求項6】 帯状の磁性材料を一定の速度で搬送する
    搬送手段と、この搬送手段による磁性材料の搬送経路に
    沿って設けられ、磁性材料が一定距離搬送される間に所
    定の温度履歴を与える加熱手段と、前記温度履歴が与え
    られる間の少なくとも所定期間内に磁性材料に対してそ
    の幅方向から磁界を印加する手段とを有することを特徴
    とする磁場熱処理装置。
  7. 【請求項7】 前記搬送手段は、複数列の磁性材料を互
    いに幅方向に分離して整列位置決めするレーンガイド手
    段を備え、かつ前記磁界を印加する手段は、複数列の磁
    性材料を幅方向から一括して挟むように配置されている
    ことを特徴とする請求項6記載の磁場熱処理装置。
  8. 【請求項8】 帯状の磁性材料を巻いたリールの外周に
    沿ってリング状に配置され、磁性材料ロールの両端面側
    から磁界を印加する磁界印加手段と、前記リール及び磁
    界印加手段を収容して磁性材料に所定の温度履歴を与え
    る加熱手段とからなることを特徴とする磁場熱処理装
    置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113061705A (zh) * 2021-03-15 2021-07-02 江苏奥纳麦格科技有限公司 一种铁基纳米晶磁芯的磁场退火连续设备
CN113549748A (zh) * 2021-07-22 2021-10-26 良启金属南通有限公司 热处理炉及用该热处理炉生产高强度金属棒材的制备工艺
CN114551078A (zh) * 2022-02-23 2022-05-27 湖北天瑞电子股份有限公司 一种具有宽频恒电感值特性的纳米晶合金铁芯的制备装置和方法
WO2023181820A1 (ja) * 2022-03-25 2023-09-28 Jfeスチール株式会社 連続焼鈍装置及び連続溶融亜鉛めっき装置、並びに鋼板の製造方法
CN114551078B (zh) * 2022-02-23 2024-06-04 湖北天瑞电子股份有限公司 一种具有宽频恒电感值特性的纳米晶合金铁芯的制备装置和方法

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