JPH10130737A - 高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH10130737A
JPH10130737A JP8305999A JP30599996A JPH10130737A JP H10130737 A JPH10130737 A JP H10130737A JP 8305999 A JP8305999 A JP 8305999A JP 30599996 A JP30599996 A JP 30599996A JP H10130737 A JPH10130737 A JP H10130737A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
rolling
less
cold
reduction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8305999A
Other languages
English (en)
Inventor
Rika Yoda
利花 与田
Tomohiro Kase
友博 加瀬
Ichiro Tsukatani
一郎 塚谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP8305999A priority Critical patent/JPH10130737A/ja
Publication of JPH10130737A publication Critical patent/JPH10130737A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な深絞り性と高い延性を備え、更に優れ
た耐パウダリング性をも備えた冷延鋼板および合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 mass%で、C:0.005 %以下、Si:0.1%以
下、Mn:0.5%以下、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:
0.01 〜0.10%、N:0.005 %以下、Ti:(3.43[N] +1.5
[S]) 〜0.10%を含有する鋼を熱間圧延した後、圧下率R
1:30 〜70%で1次冷間圧延した後、再結晶温度以上Ac
3変態点未満の温度域で焼鈍した後、2次冷間圧延とし
て圧下率R2:30 %以上、R1/R2:0.65超〜1.0 未満かつ全
圧下率が70〜86%となる圧延を行い、その後再結晶温度
以上Ac3変態点未満の温度域で最終焼鈍を施す。合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は、S:0.008 〜0.02
%、Ti:(3.43[N] +1.5[S]) 〜0.035 %とする。高強度
鋼板の場合は、Mn:0.5〜2.5 %及び/又はP:0.03〜0.15
%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、極めて高い延性を
備えた冷延鋼板、並びに高延性及び優れた耐パウダリン
グ性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車メーカーでは、部品の一体成形化
が進められており、部品形状は複雑化する傾向にある。
このような難加工部品には優れた深絞り性が要求される
ため、より高いr値を有する鋼板が必要とされてきた。
しかし、実際のプレス成形時には、部位によって様々な
変形を受けるため、単に深絞り性が優れているだけでは
難加工に対応できないのが現状であり、むしろ伸びの高
い鋼板で成形が可能となる場合が多く見られる。
【0003】以上のような状況は、軟鋼板はもちろん、
近年、地球環境問題に端を発する車体重量軽減による燃
費改善や衝突時の安全性確保の観点から使用比率の高ま
りつつある高強度鋼板でも例外ではない。
【0004】また、自動車車体の防錆力向上の観点か
ら、自動車ボディ等に用いられる鋼板として、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板が主流となりつつある。かかる鋼板を
プレス加工する際に、「パウダリング」と呼ばれるめっ
き層の粉状の剥離現象が生じる場合がある。パウダリン
グが生じるとプレス金型にめっき剥離片が堆積し、表面
品質上有害な欠陥が発生することから、耐パウダリング
性に優れることも重要である。
【0005】冷延軟鋼板の深絞り性を向上させる方法と
して、熱間圧延後、冷間圧延及び焼鈍を2回行う製造方
法(2回冷延2回焼鈍法)が特開平6−65647号公
報、特開平3−97812号公報、特開平3−9781
3号公報で提案されている。また、冷延高強度鋼板のプ
レス成形性を向上させる方法として、2回冷延2回焼鈍
法を用いた技術が特開平4−285125号公報、特開
平6−264179号公報で提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−65647号公報に開示の技術では、1回目の冷間
圧延(1次冷延)の際の圧下率(1次圧下率)を70〜
85%、2回目の冷間圧延(2次冷延)の際の圧下率
(2次圧下率)を50%以上と高く設定し、また焼鈍温
度も840〜900℃と高温に設定し、更に後段高圧
下、仕上圧延後の急冷など熱延条件も詳細に規定するこ
とにより、r値が3.0以上と優れた深絞り性を有する
冷延鋼板が得られているが、深絞り性の改善効果の割り
には、伸びは比較例と同レベルの55%程度であり、伸
びの改善は見られず、プレス加工性は低い伸びに制約さ
れる。
【0007】また、特開平3−97812号公報には、
1次圧下率50%以上、2次圧下率30%以上とし、か
つ(1次圧下率−2次圧下率)が30%以内に設定し、
また焼鈍温度を中間焼鈍が(再結晶温度+80℃)〜9
20℃、最終焼鈍が700〜920℃と規定した技術が
示されているが、これは深絞り性とともに張り剛性(ヤ
ング率)の確保を目的としたものであり、伸びは発明
例、比較例ともに54%程度に止まっている。
【0008】また、特開平3−97813号公報には、
圧下率を1次圧下率30%以上、2次圧下率30%以上
で、かつ全圧下率78%以上とし、また焼鈍温度を中間
焼鈍を再結晶温度〜(再結晶温度+80℃)、最終焼鈍
を(中間焼鈍温度+50℃)以上920℃以下と規定し
た技術が示されているが、これは面内異方性を小さくす
ることを目的としたものであって、伸びは発明例と比較
例で同レベルのものがあり、この技術によっても伸びの
改善は見られない。
【0009】上記技術は、いずれも冷延鋼板に関するも
のであり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を対象とする場
合、鋼板表面に形成された硬いめっき層により、鋼板の
変形が拘束され、伸び、r値は更に低いレベルになるこ
とが避けられない。
【0010】一方、高強度鋼板に関する特開平4−28
5125号公報では、圧下率を1次圧下率30%以上、
2次圧下率30%以上で全圧下率が78%以上、また焼
鈍温度を中間焼鈍が700℃〜Ac3変態点と規定した技
術が示されているが、この技術は深絞り性と耐食性の改
善を目的としたのもであり、伸びが十分であるとは言え
ない。また、特開平6−264179号公報では、Ni
を必須元素として含む鋼において、圧下率を1次圧下
率、2次圧下率とも30〜95%とし、また中間焼鈍、
最終焼鈍とも再結晶温度以上950℃以下規定した技術
が示されているが、高価なNiの添加を必須とするため
コスト高が避けられず、材質も十分とは言えない。
【0011】本発明は上記問題に鑑みなされたもので、
良好な深絞り性と特に高い延性を兼備し、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板にあっては更に優れた耐パウダリング性を
も備え、自動車用等の加工用鋼板として好適な冷延鋼板
および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、2回冷延2
回焼鈍法による冷延鋼板の製造方法において、1次冷延
の圧下率R1と二次冷延の圧下率R2との比(R1/R
2、圧下率比)を種々変えて冷延鋼板を製造したとこ
ろ、R1/R2が特定の値で、かつ2回の冷間圧延の全
圧下率が特定の範囲に入る場合に優れた深絞り性と伸び
を示すことを知見し、かかる知見を基に本発明を完成し
た。
【0013】すなわち、本発明の冷延鋼板の製造方法
は、mass%で、軟鋼板の場合、C :0.005%以
下、Si:0.1%以下、Mn:0.5%以下、 P
:0.03%以下、S :0.02%以下、 Al:
0.01〜0.10%、N :0.005%以下、T
i:(3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜0.10%、
を含有し、あるいは高強度鋼板の場合では、C :0.
005%以下、Si:1.0%以下、S :0.02%
以下、 Al:0.01〜0.10%、N :0.00
5%以下、Ti:(3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜
0.10%、かつMn:0.5〜2.5%及び/又はP
:0.03〜0.15%、を含有し、前記軟鋼板又は
高強度鋼板の成分として更にNb:0.005〜0.0
5%、及び/又はB:0.0003〜0.0030%、
Zr:0.002〜0.05%、Cr:0.03〜0.
30%、Mo:0.03〜0.30%、V:0.03〜
0.50%のうちの1種以上を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物よりなる鋼を熱間圧延した後、圧下率R
1(1次圧下率):30〜70%で1次冷間圧延した
後、再結晶温度以上Ac3変態点未満の温度域で焼鈍した
後、2次冷間圧延として圧下率R2(2次圧下率):3
0%以上、圧下率の比R1/R2:0.65超〜1.0
未満かつ全圧下率が70〜86%となる圧延を行い、そ
の後再結晶温度以上Ac3変態点未満の温度域で最終焼鈍
を施すことを特徴とするものである。
【0014】また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法は、前記冷延鋼板の製造方法において、軟鋼
板の鋼成分中、P :0.008〜0.02%、Ti:
(3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜0.035%とし
て、同様の製造条件により冷延鋼板を製造した後、更に
合金化溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とするものであ
る。
【0015】まず、本発明における鋼成分の限定理由に
ついて説明する。
【0016】C:0.005%以下 高い延性を得るためには、C含有量は低いほどよく、上
限を0.005%とする。好ましくは0.003%以下
がよい。
【0017】Si:0.1%以下(軟鋼板の場合) Si:1.0%以下(高強度鋼板の場合) Siは固溶強化元素として鋼板の強度向上に寄与する
が、多量の添加は延性の低下を招来し、またSi酸化物
の生成により表面性状に悪影響を及ぼす。軟鋼板の場
合、延性や表面性状の向上、めっき性の劣化防止に重点
をおき、Siの上限を0.1%、好ましくは0.02%
とする。一方、高強度鋼板の場合では、所望の強度の確
保に重点をおき、上限を1.0%とする。
【0018】Mn:0.5%以下(軟鋼板の場合) Mn:0.5〜2.5%(高強度鋼板の場合) Mnも固溶強化元素として鋼板の強度向上に寄与する
が、多量の添加は伸び等の加工性を劣化させる。軟鋼板
の場合、加工性の劣化防止に重点をおき、Mnの上限を
0.5%とする。好ましくは0.02〜0.3%がよ
い。一方、高強度鋼板の場合では、所望の強度の確保に
重点をおき、下限を0.5%、上限を2.5%とする。
高強度鋼板の場合、Mn:0.5〜2.5%と後述の
P:0.03〜0.15%とは、必要強度を満足するよ
うに各々単独添加でもよく、複合添加でもよい。
【0019】P:0.03%以下(軟鋼板の場合) P:0.008〜0.02%(合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の場合) P:0.03〜0.15%(高強度鋼板の場合) Pはr値の低下を伴うことなく鋼の強化に寄与するが、
延性に大きな影響を及ぼす元素であり、多量に添加する
と粒界への偏析が著しくなり、2次加工脆性を引き起こ
すようになる。軟鋼板の場合、延性の向上に重点をお
き、0.03%以下、好ましくは0.015%以下、よ
り好ましくは0.01%以下とする。合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の場合、PはTiによる溶融亜鉛めっき層の合
金化促進効果を抑え、耐パウダリング性を向上させる作
用を有するため、下限を0.008%とする。しかし、
多量の添加は、延性の低下を招来するほか、合金化反応
を過度に抑制するようになり、合金化炉温を高める等の
対策が必要となるため、上限を0.02%、好ましくは
0.015%とする。一方、高強度鋼板の場合、所望の
強度の確保に重点をおき、下限を0.03%、上限を
0.15%とする。
【0020】S:0.02%以下 Sは硫化物として析出するが、その量が多いと延性を阻
害するので0.02%以下とする。好ましくは0.01
%以下である。
【0021】Al:0.01〜0.10% Alは脱酸のために0.01%以上の添加を必要とする
が、0.10%を超えると介在物が増加し、延性を阻害
するので、上限を0.10%とする。好ましくは0.0
5%以下にするのがよい。
【0022】N:0.005%以下 Nは窒化物として析出するが、その量が多いと延性を阻
害するので少ない程よいが、過度の低減は製造コスト高
を招来するので、その上限を製鋼技術上問題のない0.
005%とする。
【0023】 Ti:(3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜0.10% Ti:(3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜0.035
%(合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合) TiはN及びSを析出固定し、深絞り性及び伸びを向上
させるために、3.43〔N〕十1.5〔S〕%以上添
加する。一方、0.10%を超えると固溶Tiが増加
し、延性が低下するようになるので、上限を0.10%
とする。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、0.035
%を超えて添加すると鋼板とめっき界面に硬いFe−Z
n合金層が発達しやすくなり、耐パウダリング性が劣化
するようになるので、上限を0.035%とする。尚、
〔N〕、〔S〕はN、Sの含有量(%)を示す。
【0024】本発明の鋼成分は以上の成分を本質的成分
として含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりなる
が、必要に応じて更に下記成分範囲でNb及び/又は
B、Zr,Cr, Mo, Vを1種以上含有することがで
きる。
【0025】Nb:0.005〜0.05% Nbは固溶Cを析出物として固定するために添加する。
0.005%より少ないとその効果が過少であるため、
下限を0.005%とする。好ましくは0.008%以
上添加するのがよい。一方、0.05%を超えて添加す
ると、固溶Nbが増加し、延性が低下するようになる。
【0026】B:0.0003〜0.0030% Bは2次加工脆性を改善するために添加する。0.00
03%未満ではその効果が過少であり、0.0030%
を超えて添加すると深絞り性、延性が低下するようにな
るので、下限を0.0003%、上限を0.0030%
とする。
【0027】Zr:0.002〜0.05% Cr:0.03 〜0.30% Mo:0.03〜0.30% V :0.03〜0.50% Zr,Cr,Mo,Vは炭化物形成元素であり、固溶C
を固定し、延性の向上に寄与する。各元素の下限値未満
ではその作用が過少であり、一方上限値を超えると延性
が低下するようになる。
【0028】次に、製造条件の限定理由について説明す
る。
【0029】本発明においては、1次圧下率(R1)と
2次圧下率(R2)との比(R1/R2)がもっとも重
要であり、一次冷延をR1:30〜70%で行い、2次
冷延をR2:30%以上、R1/R2:0.65超〜
1.0未満かつ2回の冷間圧延による全圧下率:70〜
86%とするように1次および2次冷延を行う。
【0030】R1/R2が0.65以下あるいは1.0
以上、すなわち2次圧下率に比して1次圧下率が非常に
小さい場合、あるいは1次圧下率に比して2次圧下率の
方が小さい場合には、圧延時に蓄積される歪量が少ない
ために、焼鈍時に結晶粒が異常に粗大化し、高い延性が
得られない。また、適切な圧延集合組織が得られず、焼
鈍時に深絞り性に好ましい集合組織が発達しないように
なる。好ましくは、R1/R2を0.70以上、0.9
0以下とするのがよい。
【0031】また、それぞれの圧下率が30%未満の場
合は、冷延直後の焼鈍により粗大粒が形成され、最終製
品において良好な延性が得られない。また、1次圧下率
が70%を超えると、所定の圧下率比を満たすためには
全圧下率が86%を超えるようになり、後述の通り、延
性が低下するようになる。
【0032】全圧下率については、86%を超えると結
晶粒が微細になる等の理由で延性が低下するようになる
ため、好ましくない。また、70%未満では、最終焼鈍
時に深絞り性に好ましい集合組織が発達しないようにな
る。このため、全圧下率が70〜86%になるように1
次および2次圧下率を設定する。
【0033】焼鈍は1次冷延後、2次冷延後ともに、A
c3変態点を超えると、α→γ変態により結晶粒が異常に
粗大化し、かつ集合組織がランダム化して延性、深絞り
性が劣化するようになる。このため、再結晶温度以上A
c3変態点未満の温度で行う。焼鈍方法は箱焼鈍、連続焼
鈍のいずれでもよい。
【0034】なお、本発明の冷延鋼板(軟鋼板、高強度
鋼板)は、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき等の各種表
面処理鋼板の原板として好適に使用することができる。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕下記鋼成分の鋼スラブを、1200℃で加
熱後、板厚4mmまで熱延し、1次冷延、1次焼鈍、2次
冷延、2次焼鈍を行い、冷延鋼板を得た。さらに、続い
て溶融亜鉛めっき、合金化熱処理を施した。冷延後の最
終板厚は0.8mmであり、2回の冷延の全圧下率は80
%、焼鈍条件は1回目、2回目ともに850℃で、均熱
時間60秒である。
【0036】この際、1次冷延と2次冷延の圧下率(R
1,R2)をR1:25〜70%、R2:33〜73%
の範囲内で種々に変化させた。得られた冷延鋼板、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板について、JIS5号試験片を採
取し、引張試験を行い、伸びElおよびr値を求め、こ
れらの値に及ぼす圧下率比(R1/R2)の影響を調べ
た。冷延鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板とも同様
の結果が得られた。ここでは、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板についての調査結果を図1に示す。
【0037】・試料鋼成分(mass%、残部実質的にF
e) C:0.0014%、Si:0.01%、Mn:0.1
0%、P:0.010%、S:0.006%、Al:
0.033%、Nb:0.010%、Ti:0.025
%、N:0.0025%
【0038】図1より、圧下率比(R1/R2)が0.
65超〜1.0未満の範囲、好ましくは0.70〜0.
90の範囲で、r値及び伸びElがピ−クに達し、極め
て高い延性が得られることが分かる。圧下率の比が0.
65以下あるいは1.0以上、すなわち1次圧下率が非
常に小さい場合、あるいは2次圧下率の方が小さい場合
には、圧延時に蓄積される歪量が少ないため、焼鈍時に
結晶粒が異常に粗大化し、高い延性が得られず、また適
切な圧延集合組織が得られず、焼鈍時に深絞り性に好ま
しい集合組織が発達しないようになるものと考えられ
る。
【0039】さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板につい
て、パウダリング性を調べたが、Ti含有量を低めに抑
え、またPを適正量に設定しているので、耐パウダリン
グ性は良好で、問題はなかった。尚、パウダリング性の
評価は、鋼板を60°でV曲げし、その曲げ部内側のめ
っき剥離状況をテープ転写し、目視判定した。
【0040】〔実施例2〕下記表1に示す化学成分の鋼
を用いて、表2に示す種々の製造条件により冷延鋼板を
製造し、JIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行
い、材料特性を評価した。その結果を表2に併せて示
す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表2より、発明例の鋼板は伸び、特に均一
伸びおよびr値が良好である。一方、本発明鋼成分範囲
内であっても、製造条件が本発明範囲外の試料No. 4〜
7、並びに製造条件が本発明範囲内でも、成分が本発明
範囲外の試料No. 20〜23はEl、r値が低い。
【0044】〔実施例3〕下記表3に示す化学成分の鋼
を用いて、種々の製造条件により合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を製造し、材料特性を評価した。製造条件および特
性値を表4に示す。合金化処理条件は600℃×30秒
とした。引張試験はJIS5号引張試験片を使用し、パ
ウダリング性の評価は60°V曲げ試験片の曲げ部内側
のめっき剥離状況をテープで転写し、目視判定した。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、実
施例2の冷延鋼板と同様、伸び、特に均一伸びおよびr
値が良好である。一方、製造条件が本発明範囲外の試料
No.4〜7はパウダリング性は良好であるが、El、r
値が低い。成分が本発明範囲外の試料No. 13〜18は
El、r値が低く、更にPおよびTiが本発明範囲外の
試料No. 13および17は耐パウダリング性も良くな
い。
【0048】〔実施例4〕下記鋼成分の鋼スラブを、1
200℃で加熱後、板厚4mmまで熱延し、1次冷延、1
次焼鈍、2次冷延、2次焼鈍を行い機械的性質を測定し
た。最終板厚は0.80mmで2回の冷延の全圧下率は8
0%、焼鈍条件は1回目、2回目ともに850℃で、均
熱時間60秒である。
【0049】この際、1次冷延と2次冷延の圧下率(R
1,R2)をR1:25〜70%、R2:33〜73%
の範囲内で種々に変化させた。得られた高強度鋼板につ
いて、JIS5号試験片を採取し、引張試験を行い、伸
びおよびr値を求め、これらの値に及ぼす圧下率比(R
1/R2)の影響を調べた。その結果を図2に示す。図
2より、圧下率比(R1/R2)が0.65超〜1.0
未満の範囲、好ましくは0.70〜0.90の範囲で、
で、r値及び伸びElがピ−クに達し、極めて高い延性
が得られることが分かる。
【0050】・試料鋼成分(mass%、残部実質的にF
e) C:0.0025%、Si:0.01%、Mn:0.7
2%、P:0.068%、S:0.008%、Al:
0.025%、Ti:0.055%、N:0.0023
【0051】〔実施例5〕下記表5に示す化学成分の鋼
を用いて、表6に示す種々の製造条件により高強度冷延
鋼板を製造し、JIS5号引張試験片を採取し、引張試
験を行い、材料特性を評価した。その結果を表5に併せ
て示す。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】表6より、発明例の鋼板は伸び、特に均一
伸びおよびr値が良好である。一方、本発明鋼成分範囲
内であっても、製造条件が本発明範囲外の試料No. 4〜
9、並びに製造条件が本発明範囲内でも、成分が本発明
範囲外の試料No. 21〜24はEl、r値が低い。
【0055】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の冷延鋼板の
製造方法によれば、所定成分の鋼を用いて、2回冷延2
回焼鈍するに際し、特に1次圧下率(R1)と2次圧下
率(R2)との比(R1/R2)を所定範囲に特定した
ので、極めて高い延性と優れた深絞り性を有する冷延鋼
板の製造が可能になり、例えば自動車用鋼板として一体
成形部品等の難加工部品や多様化、複雑化するデザイン
の要求に対応でさるようになる。
【0056】また、本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法によれば、耐食性に優れることはもと
より、鋼成分の内、特にP及びTiを所定範囲に特定し
たので、前記冷延鋼板の特性を備え、更に優れた耐パウ
ダリング性を有し、めっき剥離片の堆積に起因した表面
欠陥を有効に防止することができ、工業的利用価値は大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の冷延軟鋼板における1次圧下率(R
1)と2次圧下率(R2)との比(R1/R2)が伸び
及びr値に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】実施例4の冷延高強度鋼板における1次圧下率
(R1)と2次圧下率(R2)との比(R1/R2)が
伸び及びr値に及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 mass%で、C :0.005%以下、S
    i:0.1%以下、Mn:0.5%以下、 P :
    0.03%以下、S :0.02%以下、 Al:0.
    01〜0.10%、N :0.005%以下、Ti:
    (3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜0.10%、を含
    有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼を熱間
    圧延した後、圧下率R1:30〜70%で1次冷間圧延
    した後、再結晶温度以上Ac3変態点未満の温度域で焼鈍
    した後、2次冷間圧延として圧下率R2:30%以上、
    圧下率の比R1/R2:0.65超〜1.0未満かつ全
    圧下率:70〜86%となる圧延を行い、その後再結晶
    温度以上Ac3変態点未満の温度域で最終焼鈍を施すこと
    を特徴とする高延性を有する冷延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の鋼成分において、P:0.0
    08〜0.02%、Ti:(3.43〔N〕+1.5
    〔S〕)〜0.035%とし、同項の製造条件により冷
    延鋼板を製造した後、更に合金化溶融亜鉛めっきを施す
    ことを特徴とする高延性を有する合金化溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 mass%で、C :0.005%以下、S
    i:1.0%以下、S :0.02%以下、 Al:
    0.01〜0.10%、N :0.005%以下、T
    i:(3.43〔N〕+1.5〔S〕)〜0.10%、
    かつMn:0.5〜2.5%及び/又はP :0.03
    〜0.15%、を含有し、残部Feおよび不可避的不純
    物よりなる鋼を熱間圧延した後、圧下率R1:30〜7
    0%で1次冷間圧延した後、再結晶温度以上Ac3変態点
    未満の温度域で焼鈍した後、2次冷間圧延として圧下率
    R2:30%以上、圧下率の比R1/R2:0.65超
    〜1.0未満かつ全圧下率が70〜86%となる圧延を
    行い、その後再結晶温度以上Ac3変態点未満の温度域で
    最終焼鈍を施すことを特徴とする高延性を有する冷延鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 鋼成分として更にNb:0.005〜
    0.05%を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記
    載した製造方法。
  5. 【請求項5】 鋼成分として更にB:0.0003〜
    0.0030%、Zr:0.002〜0.05%、C
    r:0.03〜0.30%、Mo:0.03〜0.30
    %、V:0.03〜0.50%のうちの1種以上を含有
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載した製造方法。
JP8305999A 1996-10-30 1996-10-30 高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Pending JPH10130737A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8305999A JPH10130737A (ja) 1996-10-30 1996-10-30 高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8305999A JPH10130737A (ja) 1996-10-30 1996-10-30 高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10130737A true JPH10130737A (ja) 1998-05-19

Family

ID=17951860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8305999A Pending JPH10130737A (ja) 1996-10-30 1996-10-30 高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10130737A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6316127B1 (en) 1999-04-27 2001-11-13 Kobe Steel, Ltd. Galvanized steel sheet superior in ductility and process for production thereof
CN102605250A (zh) * 2012-03-27 2012-07-25 首钢总公司 一种汽车用钢板及其生产方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6316127B1 (en) 1999-04-27 2001-11-13 Kobe Steel, Ltd. Galvanized steel sheet superior in ductility and process for production thereof
CN102605250A (zh) * 2012-03-27 2012-07-25 首钢总公司 一种汽车用钢板及其生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7252722B2 (en) Steel sheet
EP1616971A1 (en) High strength cold rolled steel sheet and method for production thereof
JP4414883B2 (ja) 成形性及び溶接性に優れた超深絞り用高強度冷延薄鋼板とその製造方法
JP2576894B2 (ja) プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき高張力冷延鋼板およびその製造方法
JP2521553B2 (ja) 焼付硬化性を有する深絞り用冷延鋼板の製造方法
EP0996750B1 (en) Method of manufacturing cold rolled steel sheet excellent in resistance to natural aging and panel properties
JPH08176735A (ja) 缶用鋼板とその製造方法
JP3719025B2 (ja) 耐疲労特性に優れた深絞り用冷延薄鋼板
JP2003003216A (ja) 深絞り性および耐2次加工脆性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3840855B2 (ja) 耐二次加工脆性および成形性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法
JP3404798B2 (ja) 焼付硬化性を有する高強度鋼板の製造方法
JP3466298B2 (ja) 加工性に優れた冷延鋼板の製造方法
JPH10130737A (ja) 高延性を有する冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2948416B2 (ja) 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板
JP3911075B2 (ja) 焼付硬化性に優れる超深絞り用鋼板の製造方法
JP3204101B2 (ja) 深絞り用鋼板及びその製造方法
US20240132989A1 (en) Coiling temperature influenced cold rolled strip or steel
JP3477896B2 (ja) 耐食性に優れる加工用冷延鋼板及びその製造方法
JP3043901B2 (ja) 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3716439B2 (ja) めっき特性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH11158580A (ja) 加工性および耐肌荒れ性に優れた極低炭素冷延鋼板
JP2004035906A (ja) 表面性状とプレス成形性に優れた高強度鋼板および高強度めっき鋼板、ならびにそれらの製造方法
JP4218598B2 (ja) めっき特性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JPH1017994A (ja) 耐二次加工脆性に優れた深絞り用高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板
SE545209C2 (en) Coiling temperature influenced cold rolled strip or steel

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031224