JPH10125281A - 透明保温膜付きメタルハライドランプ - Google Patents

透明保温膜付きメタルハライドランプ

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JPH10125281A
JPH10125281A JP8299317A JP29931796A JPH10125281A JP H10125281 A JPH10125281 A JP H10125281A JP 8299317 A JP8299317 A JP 8299317A JP 29931796 A JP29931796 A JP 29931796A JP H10125281 A JPH10125281 A JP H10125281A
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JP
Japan
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metal halide
arc tube
halide lamp
transparent heat
insulating film
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JP8299317A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kawai
博 川井
Hidemi Orito
日出海 折戸
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Iwasaki Denki KK
Original Assignee
Iwasaki Denki KK
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  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間に亘って色温度を安定に保ち光束を維
持できるようにした、透明保温膜付きメタルハライドラ
ンプを提供する。 【解決手段】 金属ハロゲン化物,水銀,及び始動用ガ
スを内部に封入し、両端に電極1,1を備えた発光管2
の一方の端部表面に、塗布型不透明金属酸化物保温膜3
を形成し、残りの発光管表面に、光学膜厚nd(n:屈
折率,d:膜厚)がλ/2(λ:可視光域の任意の波
長)の単層のTa2 5 などの金属酸化物からなる透明保
温膜4を形成して、透明保温膜付きメタルハライドラン
プを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、色温度の安定性
が優れ、光束維持率が高く、高演色性で高効率のメタル
ハライドランプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、メタルハライドランプは高効率及
び長寿命で、演色性に優れているため、様々な用途に利
用されてきた。特に近年、演色性の向上が著しく、ブテ
ィック、デパート等の、高品位の演色性が求められる商
業空間で多用されてきている。
【0003】もともと水銀灯やメタルハライドランプ
は、高速道路、野外のスポーツ施設、街路などの屋外用
として使用されてきたが、メタルハライドランプの小型
化、演色性の向上と共に、屋内の比較的天井の低い施設
での、同一フロアー内における多数のメタルハライドラ
ンプの使用、あるいは従来考えられなかった、光学用光
源として、OHPや液晶プロジェクター等への使用が増
加してきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのため、従来の屋外
空間や、屋内でも天井の高いスポーツ施設などとは異な
り、天井の低い同一室内の同一空間に、同一特性の多数
個のメタルハライドランプが並べて用いられるようにな
っている。ところが、本来同一特性であるはずのメタル
ハライドランプの特性に時間の経過と共に変化がみられ
るので、その結果ランプ個々の特性のばらつきが違和感
として感じられる場合がでてきた。特に、メタルハライ
ドランプは点灯初期の色温度の変化が大きいので、その
差異による違和感が顕著である。
【0005】メタルハライドランプの場合、ランプの色
温度は、一般的に時間と共に低下する傾向を示し、更に
同一の型式のランプでも、色温度の変化量も若干の相違
がある。特に違和感を感じるのは、同一フロアー内に同
時に設置した同一色温度のメタルハライドランプの、点
灯開始 100時間乃至 300時間程度の点灯初期における色
温度の急激な変化である。そのため、同一フロアー内の
多数のランプの色温度に差異を生じ、その結果、違和感
を使用者が受けることとなる。更に問題となるのは、長
時間の使用後に一部のランプが切れて交換した場合であ
る。この場合は、上記の場合より更に違和感が大きくな
る。
【0006】また、光学用メタルハライドランプの場
合、例えば、近年その応用が増加している液晶用投影光
学系での使用においては、もし色温度が変化すると、ス
クリーンに投影される光線の青,緑,赤のバランスが変
化することとなって、極めて都合が悪く、映像を観賞中
の観客にも、不快感や自然な実像の色調との違和感とな
って受け取られることとなる。
【0007】従来、色温度の変化に対する対策として
は、例えば、発光管の両端より電極リード線を導出した
両口発光管の場合、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウ
ムの不透明な白色粉末を、石英発光管の両端の電極部の
近傍の表面に塗布して、発光管端部の最低温度を上昇さ
せ、金属ハロゲン化物の蒸気圧を上げて、最冷点温度を
上げて保温効果を持たせ、色温度を保持するということ
が一般に用いられてきた。
【0008】この従来からの方法は、ある程度の効果を
上げてきたが、この方法の欠点として、金属酸化物の塗
布面積が増加すると保温効果は増加するが、外部への発
光面積は減少し、発光面積を増やすと保温効果が減少す
るという問題点がある上、不透明な白色金属酸化物が塗
布されていない未処理の発光管部分の保温効果は全く期
待できないという問題点があった。
【0009】更に、発光管の材料物質として常用されて
いる石英が、紫外域の0.18μmから赤外域の 4.0μmま
での広い波長領域で透明であるため、本来外部に放出す
る有効な波長領域、すなわち可視光線のほかに、外部に
放出したくない赤外及び紫外領域の光線も透過するとい
う問題点があった。
【0010】また、従来、発光管表面に何らかの目的の
薄膜を形成して、保温効果を併せて保持しようという提
案も、いくつかなされている。例えば特開平4−368
768号公報では、発光管表面にSnO2 等を形成して、
紫外線を遮断すると共に赤外線を抑え、効率よくバルブ
内の温度を高温に保つようにしたものが開示されてお
り、また特開平7−14550号公報には、発光管表面
に青色領域の透過を制限する酸化チタン等のつや消し膜
を形成し、多重反射により蒸気圧の上昇を計るようにし
たものが開示されている。しかし、これらの提案も後述
のように、薄膜の効果と共に、発光管内面の侵食という
問題を生じさせる危険性が多かった。
【0011】本発明は、従来のメタルハライドランプの
上記問題点を解消するためになされたもので、長期間に
亘って色温度を安定に保ち、光束を維持できるようにし
た透明保温膜付きメタルハライドランプを提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、内部に金属ハロゲン化物,水銀,及び始
動用ガスを封入し、且つ内部に一対の電極を配置してな
る石英発光管を有するメタルハライドランプにおいて、
該発光管の表面に、光学的屈折率が発光管材料の屈折率
よりも高い金属酸化物を、光学膜厚がλ/2(λ:可視
光域の任意の波長)となるように成膜して形成した、可
視光域( 380nm〜 780nm)において透明な特性を有する
単層の透明保温膜を設けるものである。
【0013】上記本発明の構成を案出するに当たって、
本件発明者は次の3点について検討を行った。すなわ
ち、まず、第一に保温効果の向上のためには、従来白色
の金属酸化物が厚く塗布されている部分以外の発光管表
面に、何らかの透明保温膜を成膜することにより、保温
効果を導き出したいと考えた。第二に検討した点は、発
光管の可視光域 380〜 780nmの透過光量を犠牲にしたく
ないということである。発光管を保温する目的だけに限
定して考えれば、前述のように発光管表面に何らかの赤
外線反射膜を形成することにより解決できるが、この方
法では、後述するように、発光管内部が高温になり過ぎ
て、逆に発光管内部の失透が点灯と共に急速に進み、ラ
ンプ本来の目的に反して、光束の急激な低下を生じてし
まう。この点を考慮して、第三に適度に保温して、且
つ、発光管内面の失透が進まない保温膜の開発を目指し
た。発光管内部の失透が進むということは、石英と金属
ハロゲン化物の反応が、必要以上の温度上昇により促進
されるためで、これにより、色温度の急速な変化と光束
の低下をもたらすものと考えられるため、発光管内部の
保温性と管壁負荷の均衡の取れた関係の確立により、発
光管内部のプラズマが安定して長期間維持できることを
目指した。
【0014】このような過程を経て種々検討の結果、本
発明は上記のように構成するようにしたもので、このよ
うに構成した単層の透明保温膜により、可視光域の光線
を減じることなく、有効な石英発光管全領域に亘って、
赤外域の光の一部の外部放出を抑え、赤外域の光の一部
の熱線を、発光管において内部多重反射させることによ
りプラズマの活性化を高め、それにより、より低い管壁
負荷において、より高い発光効率を維持し、発光管内部
の失透を防ぎ、その結果色温度を安定に保ち、長期間に
渡って光束を維持することが可能なメタルハライドラン
プを実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態について説明す
る。図1は本発明に係るメタルハライドランプの第1の
実施の形態を示す図である。この実施の形態は、メタル
ハライドランプを、外球を用いずに発光管単体で構成し
た70Wのショートアークメタルハライドランプを示して
おり、透明保温膜の効果がより明確に現れるようにした
ものである。図1において、1は電極、2は水銀,希ガ
スと共にSc −Na 系添加物を封入した石英発光管、3
は従来と同様の塗布型不透明金属酸化物保温膜、4は本
発明によるTa25 透明保温膜で、例えばCVD法で成
膜したものである。発光管2の球状部の長軸方向の寸法
は11mmである。そして、発光管2の一方の末端部側(図
面では下端部側)に反射鏡を配置する構成とするため
に、発光管2の他方の末端部(図面では上端部)から球
状部の2mmまでの領域にかけて、不透明金属酸化物を塗
布して、従来と同様の保温膜とし、球状部の残り9mmの
全領域に透明保温膜4を成膜している。
【0016】この実施の形態において発光管2の中央部
分に形成している単層の透明保温膜4の可視光及び赤外
線に対する分光透過率特性を図2に示す。本実施の形態
においては、この単層の透明保温膜4として、可視光線
の 510nm±30nmで最大透過率特性を示すようにした光学
膜厚nd=λ/2のTa25 膜を用いている。ここで、
nは屈折率で、Ta25 の場合はn≒2.2 であり、dは
物理的膜厚、λは可視光線の波長( 510nm)であり、し
たがってTa25 膜の膜厚dは、 115.9nm± 6.8nmとな
る。なお、光学膜厚nd=λ/2としているのは、単層
膜の場合、nd=λ/2のときの波長λにおいて透過率
が最大となるからである。
【0017】ここで、可視光線の 510nm±30nmで最大透
過率特性を示すようにしたTa25膜を用いている理由
は、次のとおりである。可視光線( 380〜 780nm)の中
心波長は 580nmであるが、光学薄膜においては、光学的
屈折率が波長によって変化するという特性、すなわち波
長依存性がある。Ta25 膜の場合、屈折率は短波長側
で高く、長波長側で低くなる。具体的には波長 380nmで
屈折率は 2.3, 580nmで 2.2, 780nmで2.15となる。そ
のため、同じ物理的膜厚(d)の場合、発光管から出射
される光線の波長により光学膜厚(nd)は異なる。例え
ば物理膜厚(d)が 100nmの場合、光学膜厚(nd)は、
波長 380nmで 230nm,波長 580nmで 220nm,波長 780nm
で 215nmとなり、見掛け上短波長側で厚く、長波長側で
薄くなる。このような光学薄膜の波長依存性を考慮に入
れて、可視光領域で透明なTa25 などからなる光学薄
膜を形成した場合は、中心波長を 580nmとするよりも 5
10nmとした方が、可視域全体でバランスの取れた透過率
となるため、本実施の形態では、その裕度を見込んで 5
10nm±30nmで最大透過率特性を示すようにしたTa25
膜を用いているものである。
【0018】なお、本発明において、透明保温膜の形成
材料として、石英発光管の屈折率(n=1.46)より大き
い屈折率をもつTa25 などを用いている理由は、石英
発光管より屈折率の小さい材料で透明保温膜を形成した
場合は、可視光域における透過率は石英発光管単体の場
合より大となるが、それと共に、石英発光管の吸収領域
(略4300nm)までの近、中赤外域における透過率も大と
なってしまい、発光管の保温機能がなくなってしまうた
めである。
【0019】また、本発明においてTa25 などの単層
膜を使用した理由は2つあって、その第1の理由は、 7
80nmから4μmの間の赤外域を対象として検討すると、
例えば6,7層の交互積層型赤外線反射膜の赤外線反射
量と単層膜の赤外線反射量が近似するからである。交互
積層型赤外線反射膜の場合、設計波長での部分的反射率
は高いが、石英発光管の有効赤外域全体の積分値で比較
すると、赤外線反射量はほぼ同等になる。なぜ、このこ
とが重要かといえば、メタルハライドランプの場合、各
種の添加物が封入されており、各々添加物の特性と対応
して反射膜が作用するためには、特定の単一の波長にお
いて高反射率を有するよりも、赤外線全域に亘って均等
に反射することが重要となるからである。発光管内部の
失透防止の観点から考えても、単一の添加物の蒸気圧を
高めて失透を促進させてしまうよりも、添加物全体に穏
やかな影響を与えて、発光管内面の失透を抑制しつつ発
光効率の上昇を計ることの方が望ましいと考えられる。
上記単層膜を使用した第2の理由は、 380〜 780nmの可
視領域の透過率が平均して、比較的高いことにある。
【0020】図3は、透明保温膜形成後の本実施の形態
の発光管からなるショートアークメタルハライドランプ
の発光特性(実線)を、透明保温膜形成前の上記実施の
形態の発光管からなるショートアークメタルハライドラ
ンプの発光特性(破線)と対比して示す図であり、これ
らの発光特性からわかるように、透明保温膜のない発光
管の分光特性に対し、透明保温膜のある本実施の形態の
発光管の分光特性は、Hg の発光が抑えられ、逆にSc
の発光が促進されており、透明保温膜の効果により、メ
タルハライドランプとしての特徴が顕著になり、効率の
向上並びに演色性の改善がなされていることを示してい
る。なお、Na の発光については、Naの蒸気圧が高く
なると、自己吸収のためにピーク強度が減少し、一方ピ
ーク幅は幾分増加する。したがって、図3に示すよう
に、Na 発光のピーク強度の減少とピーク幅の増加が見
られることにより、膜の保温効果が得られていることが
わかる。
【0021】表1は、上記実施の形態に係るショートア
ークメタルハライドランプにおける透明保温膜成膜前と
透明保温膜成膜後の特性比較表である。この表1と図3
の発光特性図からも、光束の変化、ランプ電圧の変化、
Duv(黒体軌跡からの距離)の変化が極めて少ない状
態、すなわち、発光管の基本特性を損なわずに、保温効
果が向上していることがわかる。特に、この実験では、
従来設けられている不透明塗布型の厚膜保温膜が発光管
の片側にしか塗布されていない場合における透明保温膜
成膜前後の比較のため、より顕著に透明保温膜の特性が
出て来ているものと考えられる。
【0022】
【表1】
【0023】更に、単層の透明保温膜を設けた場合の特
徴について述べると、色温度が低下する点である。同一
のショートアークメタルハライドランプにおいて色温度
が低下するということは、一般的に、水銀ランプからの
発光から、よりメタルハライドランプへの発光になって
きたと推測できることの一つの根拠になると考えられ
る。発光管内に封入されている各種の添加物が、透明保
温膜によって十分な蒸気圧を与えられ、発光した結果と
して色温度の低下が起きたと考えてよいと思われる。本
実施の形態における透明保温膜の保温効果については以
上の通りであるが、色温度の安定性、光束の安定性に関
しては、次に述べる第2の実施の形態で合わせて説明す
る。
【0024】次に第2の実施の形態について説明する。
図4は第2の実施の形態を示す図で、この実施の形態は
外球をもつ 150Wのメタルハライドランプを示してい
る。図4において、11は電極、12は水銀,希ガスと共に
Dy −Tl 系添加物を封入した石英発光管、13は従来と
同様の塗布型不透明金属酸化物保温膜、14は本発明によ
るTa25 透明保温膜で、例えばCVD法で成膜したも
のであり、第1の実施の形態と同様に、可視光線の 510
nm±30nmで最大透過率特性を示すようにした光学膜厚n
d=λ/2のTa25 膜を用いている。そして、発光管
12の長軸方向の寸法は60mmであり、発光管12の末端部か
ら両方向共、24mmまでの領域に、不透明金属酸化物を塗
布して従来と同様の保温膜13とし、発光管の残りの12mm
の中央部分に透明保温膜14を成膜している。15は石英製
の中空管で、該中空管15の上下端外周部は、ステンレス
製の支柱16に溶接された保持体17a,17bにより支持さ
れている。そして、上記発光管12及び中空管15は硬質ガ
ラス製の外球18内に組み込まれ、外球18内は真空に保た
れている。
【0025】図5は、このような構成の第2の実施の形
態に係るメタルハライドランプにおいて、透明保温膜を
形成して完成したものと、透明保温膜を形成してない未
処理のメタルハライドランプの相関色温度の経時変化を
示す図である。破線aは透明保温膜を設けない未処理の
従来型のメタルハライドランプの特性変化であり、実線
bが本実施の形態に係る透明保温膜付きメタルハライド
ランプの色温度の特性変化を示している。この2つの特
性曲線を比較すると、透明保温膜付きの場合は膜無しの
場合よりも点灯初期の色温度低下が小さく、また、1000
時間の経過後は膜無しの場合と同等の経時変化を示して
いる。
【0026】本実施の形態において設けている透明保温
膜が、従来のIRカットフィルタよりも優れた効果を発
揮するのは、次のような理由が考えられる。図6は各種
薄膜の分光特性を比較したものである。まず、図6から
わかるように、従来のIRカットフィルタ(一点鎖線
a)は、広い赤外域の内、例えば、波長1000nm付近を中
心とする狭い波長領域の光を大きく反射するという特性
を持っている。その領域で反射された熱エネルギーは発
光管内の添加物に強く吸収され、添加物の蒸気圧を上げ
過ぎる結果となる。また、発光管管壁の温度も上昇させ
過ぎることとなる。このため、添加物の一部と石英との
反応に基づく発光管内面の失透が促進され、このことが
全光束の経時的な劣化に結びつくものと考えられる。
【0027】これに対して、本実施の形態における透明
保温膜(単層膜)の場合は、図6の破線bに示すよう
に、局部的に反射の高い部分はなく、赤外線領域全体で
中程度に光を反射するという特性を有するので、添加物
蒸気圧を高め過ぎることもなく、発光管管壁の温度を局
部的に高め過ぎることもない。このため、発光管内面の
失透が発生しにくいものと推定される。なお、図6にお
いて、実線cは短波長カットフィルタ(ブルーカットフ
ィルタ)の分光特性を示している。
【0028】従来、発光効率を上げるために発光管の管
壁負荷を上げることが行われてきた。しかし、管壁負荷
を上げる場合、添加物と石英発光管との反応が助長さ
れ、失透が促進されるという問題があった。図7は、本
実施の形態の透明保温膜を施したメタルハライドランプ
において、発光管内の管壁負荷のみを変化させた場合の
ランプの全光束の経時変化を示す図である。この結果
は、たとえ本発明の透明保温膜が形成されていたとして
も、全体のバランスを崩すような高い管壁負荷は望まし
くないことを示している。すなわち、この種のランプの
一般的な定格寿命時間である6000時間経過後に光束の維
持率を60%以上保持できるのは、管壁負荷を17W/cm2
以下とした場合であることがわかる。そして、管壁負荷
を13W/cm2とした場合においても、光束維持率は60%
以上となるが、管壁負荷を13W/cm2以下とした場合に
は、発光金属、特にDy の発光が起こらないため、効率
が低下してしまい、通常、ランプの色特性も悪化する。
そこで、本実施の形態では管壁負荷を14〜17W/cm2
設定して点灯するようにしている。本実施の形態のラン
プにおいては、14〜17W/cm2 という低い管壁負荷であ
りながら、透明保温膜により発光管表面が一様に保温さ
れているので、添加物の必要な蒸気圧が確保され、効率
や演色性が損なわれることがない。
【0029】また本実施の形態のメタルハライドランプ
では外球をもつ 150Wのランプを示しているが、外球を
もつメタルハライドランプにおいて、 150Wを超えるラ
ンプにおいては、管壁負荷が増大して17W/cm2 を越え
る場合が生じ、光束維持率を保持する上で好ましくない
し、また出力が 150Wを越え管壁負荷が17W/cm2 を越
えるランプでは演色評価数Ra が悪化する。したがっ
て、外球をもつメタルハライドランプに本発明を適用す
る場合は、一応の目安として 150W以下のランプを対象
とするのが好ましい。
【0030】図8は、本実施の形態のランプにおける透
明保温膜を非形成とした場合の全光束の経時変化の特性
(破線a)を、本実施の形態の全光束の経時変化の特性
(実線b)と共に示す図である。上記図5及び図8の特
性曲線から、適切な保温膜を形成することによって、色
温度変化が少なく光束維持率の高いメタルハライドラン
プが得られることがわかる。
【0031】表2は、従来提案されている発光管表面へ
の種々の薄膜と、本発明に係る透明保温膜の特性比較表
である。なお、発光特性( 600〜 700nm)は、 600〜 7
00nmの赤色発光成分の強度変化を示している。
【0032】
【表2】
【0033】上記表2に示した各特性の比較から、従来
提案されている発光管表面へ成膜した薄膜(短波長カッ
トフィルタ、IRカットフィルタ)の問題点と、本発明
に係る透明膜の効果と特徴をまとめて示すと、次のとお
りである。すなわち、短波長カットフィルタを設けた場
合には、光束の低下、ランプ電圧の変化が生じると共
に、平均演色評価数の改善は少なく可視光透過率が低下
するという問題点がある。またIRカットフィルタを設
けた場合には、同様に光束の低下、ランプ電圧の変化が
生じ、単一波長の添加物に効果はあるけれども、Duvの
安定性が悪いという問題がある。
【0034】これに対して、本発明に係る透明保温膜
は、従来の薄膜と比較して、まず、可視光線の透過が大
きいため、光束の低下は極めて小さく、ランプ電圧の上
昇やDuvの変化も小さい。それと共に、保温性の改善に
より色温度の安定性、光束の安定性が高く、そのため
に、添加物が十分発光するという特徴を備えている。
【0035】上記各実施の形態において、透明保温膜は
CVD法、正確にはLPCVD法を使用して形成したも
のを示したが、透明保温膜の形成方法としては、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、ディップ
法等の方法でも、発光管の発熱温度以上の耐熱性が成膜
薄膜に備えていれば、どのような形成方法を用いても何
ら問題はない。
【0036】また、上記各実施の形態においては、バラ
ンスの取れた透過率特性とするために、波長 510nm±30
nmにおいて最大透過率特性を示すように設定したTa2
5 膜からなる単層の透明保温膜を用いたものを示した
が、透過率のピークが可視光域内でずれた任意の透過率
特性の単層の透明保温膜であっても、すなわち光学膜厚
ndを規定する波長λを可視光域の任意の波長に設定し
て形成した透明保温膜であっても、色温度が低下する程
度で保温特性は殆ど変わらないので、同様に本発明の透
明保温膜として用いることができる。
【0037】また、上記各実施の形態では、Ta25
らなる透明保温膜を用いたものを示したが、Ta25
外の屈折率が石英発光管(SiO2 )の屈折率(n=1.4
6)より大きく、点灯中の発光管温度( 900℃)よりも
高い耐熱性を有するTiO2 (n=2.3 ),ZrO2 (n=
2.05),HfO2 (n=2.1 ),Nb25 (n=2.3 ),
Al23 (n=1.63)などを用いて透明保温膜を形成す
ることができ、同様な作用効果が得られる。
【0038】また、本発明は、透明保温膜がメタルハラ
イド発光管の表面上に形成されておれば、上記各実施の
形態で示したように、発光管単体でメタルハライドラン
プを構成する場合でも、また発光管の外部を外球で囲ん
でメタルハライドランプを構成する場合でも、同様な効
果を発揮することができ、また、外球内に発光管を配置
する場合に外球内部を真空としてもガス入りとしても、
更には発光管と外球の中間の保温用スリーブの有無にも
関係なく、同様な効果が得られる。
【0039】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、本発明によれば、発光管の表面に、光学膜厚がλ/
2の屈折率が発光管材料より高いTa25 などの金属酸
化物からなる、可視光域 380nm〜 780nmにおいて透明な
特性を有する単層の透明保温膜を形成しているので、発
光管の保温性を高め、色温度の安定性及び発光光束の安
定なメタルハライドランプを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る透明保温膜付きメタルハライドラ
ンプの第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1に示した第1の実施の形態における透明保
温膜の分光透過率特性を示す図である。
【図3】図1に示した第1の実施の形態の発光特性を、
透明保温膜を設けない場合に対比して示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【図5】図4に示した第2の実施の形態、及び第2の実
施の形態において透明保温膜を設けない場合の、相関色
温度の経時変化特性を示す図である。
【図6】各種薄膜の分光透過率特性を示す図である。
【図7】図5に示した第2の実施の形態において、発光
管の管壁負荷を変化させた場合の、全光束の経時変化特
性を示す図である。
【図8】図4に示した第2の実施の形態、及び第2の実
施の形態において透明保温膜を設けない場合の、全光束
の経時変化特性を示す図である。
【符号の説明】
1,11 電極 2,12 石英発光管 3,13 塗布型不透明金属酸化物保温膜 4,14 Ta25 透明保温膜 15 中空管 16 支柱 17a,17b 保持体 18 外球

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に金属ハロゲン化物,水銀,及び始
    動用ガスを封入し、且つ内部に一対の電極を配置してな
    る石英発光管を有するメタルハライドランプにおいて、
    該発光管の表面に、光学的屈折率が発光管材料の屈折率
    よりも高い金属酸化物を、光学膜厚がλ/2(λ:可視
    光域の任意の波長)となるように成膜して形成した、可
    視光域( 380nm〜 780nm)において透明な特性を有する
    単層の透明保温膜を備えていることを特徴とするメタル
    ハライドランプ。
  2. 【請求項2】 前記透明保温膜の光学膜厚を設定する可
    視光域の波長を、 510nm±30nmとしたことを特徴とする
    請求項1記載のメタルハライドランプ。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物として、Ta25 ,TiO
    2 ,ZrO2 ,HfO2,Nb25 ,Al23 の群より選択
    した一種類の金属酸化物を用いることを特徴とする請求
    項1又は2記載のメタルハライドランプ。
  4. 【請求項4】 前記発光管は、外側に外球を備えている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    メタルハライドランプ。
  5. 【請求項5】 前記発光管の管壁負荷を14〜17W/cm2
    とし、ランプ出力を150W以下に設定したことを特徴と
    する請求項4記載のメタルハライドランプ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006259124A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Kawai Optical Co Ltd コールドミラー
JP2007227636A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Seiko Instruments Inc 半導体装置

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