JPH1012466A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

Info

Publication number
JPH1012466A
JPH1012466A JP9067711A JP6771197A JPH1012466A JP H1012466 A JPH1012466 A JP H1012466A JP 9067711 A JP9067711 A JP 9067711A JP 6771197 A JP6771197 A JP 6771197A JP H1012466 A JPH1012466 A JP H1012466A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
internal combustion
ignition device
combustion engine
coil
silicon steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9067711A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Shimada
淳一 嶋田
Noboru Sugiura
登 杉浦
Eiichiro Kondo
英一郎 近藤
Yoichi Yasukura
洋一 安蔵
Hiroshi Watanabe
博 渡辺
Kenji Nakabayashi
研司 中林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Hitachi Car Engineering Co Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP9067711A priority Critical patent/JPH1012466A/ja
Publication of JPH1012466A publication Critical patent/JPH1012466A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】センタコア部の有効磁束を最も効率良く活用
し、二次コイルとサイドコア間に発生する浮遊容量を削
減し、エンジンのプラグホール部のシリンダヘッドやシ
リンダヘッドカバーの材質や長さにより、サイドコアの
厚さや長さを変えることのできる内燃機関用点火装置を
提供することにある。 【解決手段】サイドコアをスリットを有する一枚の方向
性珪素鋼板または一枚のスリットを有する方向性無珪素
鋼板で構成して外装ケースの外周に配置する。あるいは
サイドコアを内側方向性珪素鋼板とスリットを有する外
側方向性珪素鋼板との二枚の珪素鋼板で構成し、両スリ
ットを整列させて外装ケースの外周に配置する。外装ケ
ースは点火ユニットケース部とコイルケース部の部分に
分割して形成され、後で一体化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関用点火装置
に係り、特にエンジンのプラグホール部内に収納される
円筒形点火装置に関する。本発明はスリットを有するサ
イドコアを備えた円筒形点火装置に関し、スリットを有
するサイドコアは、一枚の方向性珪素鋼板,一枚の無方
向性珪素鋼板,方向性珪素鋼板と無方向性珪素鋼板の少
なくとも二枚よりなる積層構造、または少なくとも二枚
の方向性珪素鋼板よりなる積層構造から選択された一つ
より構成される。
【0002】
【従来の技術】従来の内燃機関用点火装置は、特開平2
−228011 号に示すように、点火装置のサイドコアは、
外装ケースの外周長より長い横幅を持った一枚の無方向
性珪素鋼板を点火装置の外装ケースに多重に積層したス
パイラル状のサイドコアに構成されている。サイドコア
は約6.5重量%の珪素を含む板厚0.1mmの無方向性珪
素鋼板で構成されている。しかしながら、上記従来の点
火装置においては、スパイラル状サイドコアの製作には
多くの時間を必要とし、結果的に高価な点火装置になっ
ていた。
【0003】さらに、従来の点火装置のサイドコアは、
外装ケースの外周のすべてを多重にまた完全に取り巻い
ている。いいかえれば、このサイドコアは、外装ケース
の外周にギャップ(空間)を全く形成していない構成で
ある。
【0004】従って、上記サイドコア構成を有する従来
の点火装置で得られる二次電圧は低く、状況によっては
従来の点火装置は、エンジンの要求する二次電圧以上の
必要な二次電圧を得ることができないので、点火装置が
エンジンに対して確実に点火できない場合があった。
【0005】従来の点火装置においては、点火装置を収
納するプラグホール部を有するエンジンのシリンダヘッ
ドやシリンダヘッドカバーの材質や長さに関係なく、サ
イドコアはセンタコアと同程度の断面積となるように巻
き付けられている。
【0006】さらに、従来の上記点火装置においては、
センタコアの両端に、一次コイルにより形成された磁束
と反対方向の磁束を磁路中に発生させるマグネットを備
えているため、高価な内燃機関用点火装置となってい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】点火装置をエンジンの
プラグホール部に実装した際に、センタコア部の有効磁
束を最も効率良く活用できる内燃機関用点火装置を提供
できる。二次コイルとサイドコア間に発生する浮遊容量
を合理的に削減できる内燃機関用点火装置を提供でき
る。
【0008】エンジンのプラグホール部のシリンダヘッ
ドやシリンダヘッドカバーの材質や長さにより、サイド
コアの厚さや長さを変えることができる内燃機関用点火
装置を提供できる。センタコアの一端もしくはセンタコ
アの両端に入れるマグネットの枚数や厚さを変えること
ができる内燃機関用点火装置を提供できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、センタコア,一次ボビンに巻装された
一次コイル,二次ボビンに巻装された二次コイル,外装
ケース、この外装ケースの外周に配置された珪素鋼板製
のサイドコアとからなり、一次コイルと二次コイルはセ
ンタコアと外装ケースとの間に配置された内燃機関用点
火装置で、この点火装置は少なくともエンジンのシリン
ダヘッドとシリンダヘッドカバーとで形成されたプラグ
ホール部に収納されたものにおいて、サイドコアは、1
ターンショートを防止するスリットを有し、エンジンの
要求二次電圧以上の所定の二次電圧を得るようにした。
【0010】シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーが
ともにアルミニウム製の場合、サイドコアは、例えば、
一枚の板厚0.3〜0.5mmを有する方向性珪素鋼板ある
いは一枚の板厚0.3〜0.5mmを有する無方向性珪素鋼
板を管状に丸めて形成される。
【0011】シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーが
ともにアルミニウム製の場合、サイドコアは、例えば、
板厚0.3〜0.5mmを有し合計板厚0.6mm 以上の二枚
または三枚の方向性珪素鋼板あるいは一枚の無方向性珪
素鋼板と少なくとも一枚の板厚0.3〜0.5mmを有する
方向性珪素鋼板からなり合計板厚0.6mm 以上の珪素鋼
板を管状に丸めて形成される。この場合、サイドコアの
上端は、シリンダヘッドカバーの上端と同じ程度かある
いはセンタコアの上端よりも下方とする。
【0012】シリンダヘッドがアルミニウム製でシリン
ダヘッドカバーが熱可塑性合成樹脂製(例えば、ポリプ
ロピレンやナイロン6やナイロン66やナイロン12
等)の場合、サイドコアは、例えば、一枚の板厚0.3
〜0.5mmを有する方向性珪素鋼板あるいは一枚の板厚
0.3〜0.5mmを有する無方向性珪素鋼板を管状に丸め
て形成される。この場合、サイドコアの上端は、シリン
ダヘッドカバーの上端と同じ程度かセンタコアの上端よ
りも下方とする。
【0013】シリンダヘッドがアルミニウム製でシリン
ダヘッドカバーが熱可塑性合成樹脂製(例えば、ポリプ
ロピレンやナイロン6やナイロン66やナイロン12
等)の場合、サイドコアは、例えば、板厚0.3〜0.5
mmを有しで合計板厚0.6mm 以上の二枚または三枚の方
向性珪素鋼板あるいは板厚0.3〜0.5mmを有する一枚
の無方向性珪素鋼板と板厚0.3〜0.5mmを有する少な
くとも一枚の方向性珪素鋼板よりなる合計板厚0.6mm
以上の珪素鋼板を管状に丸めて形成される。この場合、
サイドコアの上端は、シリンダヘッドカバーの上端と同
じ程度かセンタコアの上端よりも下方とする。
【0014】シリンダヘッドがアルミニウム製でシリン
ダヘッドカバーが熱可塑性合成樹脂製(例えば、ポリプ
ロピレンやナイロン6やナイロン66やナイロン12
等)であり、エンジンのプラグホール部に鉄製プラグチ
ューブが圧入されている場合、サイドコアは、例えば、
一枚の板厚0.3〜0.5mmを有する方向性珪素鋼板ある
いは一枚の板厚0.3〜0.5mmを有する無方向性珪素鋼
板を管状に丸めて形成される。この場合、サイドコアの
上端は、シリンダヘッドの上端と鉄製プラグチューブの
上端でいずれか高い方の上端と同じ程度かあるいはセン
タコアの上端よりも下方とする。
【0015】シリンダヘッドがアルミニウム製でシリン
ダヘッドカバーが熱可塑性合成樹脂製(例えば、ポリプ
ロピレンやナイロン6やナイロン66やナイロン12
等)であり、エンジンのプラグホール部に鉄製プラグチ
ューブが圧入されている場合、サイドコアは、例えば、
板厚0.3〜0.5mmを有し合計板厚0.6mm 以上の二枚
または三枚の方向性珪素鋼あるいは板厚0.3〜0.5mm
を有する一枚の無方向性珪素鋼板と板厚0.3〜0.5mm
を有する少なくとも一枚の方向性珪素鋼板よりなる合計
板厚0.6mm 以上の珪素鋼板を管状に丸めて形成され
る。この場合、サイドコアの上端は、シリンダヘッドの
上端と鉄製プラグチューブの上端とのいずれか高い方の
上端と同じ程度かあるいはセンタコアの上端よりも下方
とする。
【0016】センタコアの一端もしくはセンタコアの両
端に、一次コイルにより形成された磁束と反対方向の磁
束を磁路中に発生させるマグネットを装着する。シリン
ダヘッドとシリンダヘッドカバーがともにアルミニウム
製の場合、センタコアの両端にマグネットを装着する方
が効率良く磁束を発生させることができる。シリンダヘ
ッドがアルミニウム製でシリンダヘッドカバーが熱可塑
性合成樹脂製の場合には、センタコアの一端にマグネッ
トを装着するだけで効率良く磁束を発生させることがで
きる。この場合、マグネットはセンタコアの熱可塑性合
成樹脂製シリンダヘッドカバー側に装着するよりも、ア
ルミニウム製シリンダヘッド側に装着する方が効率良く
磁束を発生させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内燃機関用点火装
置の一実施例を図1,図2で説明する。図1は本発明の
内燃機関用点火装置の一実施例を示す断面図、図2は内
燃機関用点火装置の水平断面図である。
【0018】内燃機関用点火装置(点火コイル)10
は、主に一次ボビン11,一次コイル12,二次ボビン
13,二次コイル14,外装ケース15,エポキシ樹脂
部材16,センタコア(開磁路鉄心)17,サイドコア
(外装鉄心)18、及び可撓性エポキシ樹脂部材19よ
り構成されている。
【0019】内燃機関用点火装置(点火コイル)10
は、一次ボビン11の下部に配置されたマグネット2
0,高圧端子21,ばね22,ゴムブーツ部材23,過
早着火防止用高圧ダイオード24,シールゴム部材2
5、及びイグナイターユニット30から構成されてい
る。
【0020】イグナイターユニット30は、箱形にプレ
ス成形された銅またはアルミニウム製の金属製ベース3
6を有し、この金属製ベース36は、パワートランジス
タチップ31とハイブリッドIC回路36を有してい
る。イグナイター端子32は、接着材39を介して金属
製ベース36に一体的に形成された端子台37に固着さ
れている。イグナイター端子32は一次コイル端子33
とコネクタ側端子35に接続されている。イグナイター
ユニット30は、コネクター34を有している。センタ
コア17は、点火装置10の中央部に配置され、このセ
ンタコア17は方向性珪素鋼板をプレス積層して構成さ
れている。一次ボビン11はセンタコア17の外周に嵌
合され、そしてエナメル線等の二次コイル12は一次ボ
ビン11に巻層されている。二次ボビン13は一次ボビ
ン11の外側に配置される。複数に分割された二次コイ
ル14は二次コイル13に所定の間隔で巻き付けられて
いる。外装ケース15は、二次ボビン13の外周に巻層
されている。
【0021】外装ケース15はイグナイターケース部1
5aとコイルケース部15bとから構成され、コイルケ
ース部15bは外側に垂直に伸びる突起部15b1を有
している。サイドコア18は、外装ケース15のコイル
ケース部15bの外側に配置されている。
【0022】図3の(a)は本発明の内燃機関用点火装
置の内側サイドコアの斜視図、図3の(b)は本発明の
内燃機関用点火装置の外側サイドコアの斜視図である。
【0023】サイドコア18は内側珪素鋼板(内側サイ
ドコア)18aと外側珪素鋼板(外側サイドコア)18
bの二つの珪素鋼板18a,18bの積層構造で構成さ
れる。二つの珪素鋼板18a,18bはそれぞれ一枚の
方向性珪素鋼板で作られている。サイドコア18の内側
珪素鋼板18aは、0.35mm の板厚の一枚の方向性珪
素鋼板で作られている。内側珪素鋼板18aは、垂直に
伸びるスリット18a1を有して、ほぼ管状に丸めて形
成されている。内側珪素鋼板18aは外装ケース15の
外周に嵌合され、内側珪素鋼板18aのスリット18a
1は外装ケース15のコイルケース部15bの突起部1
5b1に位置させられる。なお、このコイルケース部1
5bの突起部15b1は外装ケース15に必ずしも設け
る必要はない。
【0024】サイドコア18の外側珪素鋼板18bは、
0.35mm の板厚の一枚の方向性珪素鋼板で作られてい
る。外側珪素鋼板18bは、垂直に伸びるスリット18
b1を有して、ほぼ管状に丸めて形成されている。外側
珪素鋼板18bは、内側珪素鋼板18aの外周に積層し
て重ねられる。従って、サイドコア18の積層構造は、
内側珪素鋼板18aと外側珪素鋼板18bとからなり、
合計0.7mm の板厚を有する。外側珪素鋼板18bのス
リット18b1は外装ケース15のコイルケース部15
bの突起部15b1の間に位置させられる。
【0025】本発明の上記実施例の点火装置10におい
ては、内側珪素鋼板18aと外側珪素鋼板18bとから
構成されるサイドコア18の積層構造は、スリット18
a1を有する内側珪素鋼板18aの垂直側壁端部との間
にスリット18b1を有する外側珪素鋼板18bの垂直
側壁端部との間に、ギャップ(空間)gを形成してい
る。
【0026】ギャップgを形成する内側珪素鋼板18a
のスリット18a1と外側珪素鋼板18bのスリット1
8b1は、コイルケース部15bの突起部15b1によ
って電気的に絶縁して分離されている。そしてスリット
18a1とスリット18a1とを有するサイドコア18
は、磁束の1ターンショートを防止する。
【0027】点火装置10のサイドコア18として使用
される方向性珪素鋼板と無方向性珪素鋼板については、
商業上に販売されている珪素鋼板の板厚として一般的に
四種類のものがあり、これらは0.23mm,0.3mm,
0.35mm及び0.5mm板厚の種類がある。特に、本発明
においては、サイドコア18として、一例として、一枚
で用いられる珪素鋼板としては板厚が0.5mm が好適に
使用でき、二枚あるいは三枚で用いられる珪素鋼板の積
層構造としては板厚が0.35mm(合計板厚0.7mmある
いは1.05mm)のものが好適に使用できる。
【0028】一次ボビン11は熱可塑性合成樹脂(例え
ば、変成ポリフェニレンオキサイド(以下「変成PP
O」という)等)で成形して作られる。この一次ボビン
11には一次コイル12が巻装されている。
【0029】前記一次ボビン11は、熱衝撃試験後に一
次ボビン11と高電圧を絶縁するためのエポキシ樹脂部
材16が剥離して電界集中が起こり絶縁破壊が起こるの
を防止するため、エポキシ樹脂部材16との接着性を考
慮して変成PPOで成形する。本発明の内燃機関用点火
装置10がエンジンのプラグホール部内に取り付けられ
ることを考慮すると、一次ボビン11としての変性PP
Oの熱変形温度は150℃以上の材料を使用したほうがよ
い。
【0030】図4の(a)は本発明の内燃機関用点火装
置の溝(切欠き)を有する一次ボビンの斜視図、図4
(b)は図4の(a)の溝を有する一次ボビンの平面図
である。
【0031】図4の(a),(b)に示すように、一次ボ
ビン11に一次コイル12の巻線部に高電圧絶縁用エポ
キシ樹脂部材16が含浸しやすいように深さ0.1〜0.
5mmの溝(切欠き)11a及び11bを設けている。一
次コイル12は0.3〜1.0mm程度のエナメル線を一層
当り数十回ずつ、数層にわたり合計100〜300回程
度積層巻されている。熱可塑性合成樹脂(例えば、変成
PPO等)で成形して作った二次ボビン13には二次コ
イル14が巻装されている。二次ボビン13はセンタコ
ア17と二次コイル14の間に配置され、二次コイル1
4で発生した高電圧を絶縁する役目もある。
【0032】ここで、センタコア17は接地(GND)
から浮かしているため、二次コイル14で発生する電圧
の中間電位となる。センタコア17と二次コイル14の
電位差を絶縁するためには、二次ボビン13の肉厚を
0.5〜1.2mmとし、更に二次コイル14とセンタコア
17の間の電界集中を防止するために、二次ボビン13
の内側に可撓性エポキシ樹脂部材19を真空注入する。
二次コイル14は線径0.03〜0.06mm程度のエナメ
ル線を用いて合計10,000〜30,000回程度分割
巻されている。
【0033】外装ケース15は、熱可塑性合成樹脂(例
えば、ポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と
いう)やポリフェニレンサルファイド(以下「PPS」
という)等で成形して作られている。この外装ケース1
5は、高圧側にゲートを設けて高圧側にボイドができな
いようにしている。センタコア17は板厚0.2〜0.7mm
の珪素鋼板をプレス積層して形成している。
【0034】サイドコア18と、センタコア17の下部
に配置されたマグネット20は、点火装置10をエンジ
ンのプラグホール部に実装した際に、センタコア部の有
効磁束φxを最も良く活用できるように、かつ、二次コ
イル14とサイドコア18の間に発生する浮遊容量Cを
合理的に削減できるように配置する。
【0035】図5は本発明の内燃機関用点火装置をエン
ジンに実装した際の磁束の流れを示す図である。
【0036】図5に示すように、点火装置10をエンジ
ンのプラグホール部に実装した際に、センタコア17部
の有効磁束φxは、サイドコア18部の磁束φ1 とエン
ジンのプラグホール部43の磁束φ0 とに分かれる。エ
ンジンのプラグホール部43の磁束φ0 により、1ター
ンショートのシリンダヘッドカバーがアルミニウム製の
場合のサイドコア18の厚さとエンジンの二次電圧の関
係は次のように示される。
【0037】φx≒φ1 +φ0 V2≒Nxdφx/dt V2′≒Nxd(dφx+φ0)/dt ここで、V2は単品点火装置の場合の二次電圧、V2′
はエンジンに実装された場合の点火装置の二次電圧であ
る。
【0038】本発明の上記実施例の点火装置10によれ
ば、サイドコア18を板厚0.35mmのスリットを有す
る方向性珪素鋼板を二枚重ねて合計板厚0.7mm にする
ことにより、磁束の1ターンショートを防止し、かつエ
ンジン要求二次電圧以上の所定の二次電圧を得ることが
でき、従ってエンジン要求二次電圧をクリアできる。図
6は内燃機関のシリンダヘッドとシリンダヘッドカバー
がともにアルミニウム製の場合のサイドコアの長さと点
火装置の二次電圧の関係を示す。
【0039】図6に示すように、例えば、サイドコアの
上端はプラグホールを形成したエンジンのシリンダヘッ
ドの上端よりも高く位置することが望ましい。具体的に
いえば、サイドコアの上端はエンジンのシリンダヘッド
の上端よりも高く位置させるか、サイドコアの上端はエ
ンジンのシリンダヘッドの上端より10mm高く位置させ
る。上記構成により、点火装置10の二次電圧(V1)
はエンジンの要求するエンジン要求二次電圧(V2)よ
り高いので、点火装置10はエンジンに確実に着火でき
る。
【0040】図7は、エンジンのシリンダヘッドとシリ
ンダヘッドカバーがともにアルミニウムで作られた場合
の本発明の内燃機関用点火装置の断面図である。
【0041】図7に示すように、アルミニウム製のシリ
ンダヘッド41aとアルミニウム製のシリンダヘッドカ
バー42aは点火装置10を収納するプラグホール部4
3aを形成する。点火プラグ44aは点火装置10の下
部に配置されている。
【0042】サイドコア18の上端18cがシリンダヘ
ッドカバー42aの上端42a1と同じかそれよりも高
い場合には、点火装置10の二次電圧は変わらない。し
かしながら、サイドコア18の上端18cが、シリンダ
ヘッドカバー42aの上端42a1よりも低い場合に
は、点火装置10の二次電圧は低下する。このサイドコ
ア18の円周上の少なくとも1箇所は1ターンショート
を防止する切欠き(切れ目,スリット18aまたは18
b)を設けている。
【0043】シリンダヘッド41aとシリンダヘッドカ
バー42aがともにアルミニウム製の場合、サイドコア
18は、板厚0.3〜0.5mmの珪素鋼板を管状に丸めて
2〜3枚重ね肉厚を0.6mm 以上とし、サイドコア18
の上端18cをシリンダヘッドカバー42aの上端42
a1と同じ程度かセンタコア17の上端17aよりも下
方とする。
【0044】図8は、エンジンのシリンダヘッドがアル
ミニウム製でシリンダヘッドカバーが熱硬化性樹脂製で
ある場合の本発明の内燃機関用点火装置の断面図であ
る。
【0045】図8に示すように、アルミニウム製のシリ
ンダヘッド41bと熱硬化性樹脂製のシリンダヘッドカ
バー42bは点火装置10を収納するプラグホール部4
3bを形成する。点火プラグ44bは点火装置10の下
部に配置されている。
【0046】シリンダヘッド41bがアルミニウム製で
シリンダヘッドカバー42bが熱可塑性合成樹脂製(例
えば、ポリプロピレンやナイロン6やナイロン66やナ
イロン12等)の場合、サイドコア18は厚さ0.3〜
0.5mmの珪素鋼板を管状に丸めて2〜3枚重ね肉厚を
0.6mm 以上とし、サイドコア18の上端18cをシリ
ンダヘッド41bの上端41b1と同じ程度かセンタコ
ア17の上端17aよりも下方とする。
【0047】シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーが
ともにアルミニウム製で、エンジンのプラグホール部に
鉄製のプラグチューブが圧入されている場合、サイドコ
アは厚さ0.3〜0.5mmの珪素鋼板を管状に丸めて1〜
2枚重ね肉厚を0.6mm 以上とし、サイドコアの上端を
シリンダヘッドカバーの上端と同じ程度かセンタコアの
上端よりも下方とする。
【0048】図9は、エンジンのシリンダヘッドがアル
ミニウム製でシリンダヘッドカバーが熱硬化性樹脂製で
あり、鉄製のプラグチューブがエンジンのプラグホール
部に収納されている場合の本発明の内燃機関用点火装置
の断面図である。
【0049】図9に示すように、アルミニウム製のシリ
ンダヘッド41cと熱硬化性樹脂製のシリンダヘッドカ
バー42cは点火装置10を収納するプラグホール部4
3cを形成する。点火プラグ44cは点火装置10の下
部に配置されている。
【0050】シリンダヘッド41cがアルミニウム製で
シリンダヘッドカバー42cが熱可塑性合成樹脂製(例
えば、ポリプロピレンやナイロン6やナイロン66やナ
イロン12等)であり、エンジンのプラグホール部43
cに鉄製のプラグチューブ45が圧入されている場合、
サイドコア18は厚さ0.3〜0.5mmの珪素鋼板を管状
に丸めて1〜2枚重ね肉厚を0.6mm 以上とし、サイド
コア18の上端18cをシリンダヘッド41cの上端41
c1と鉄製のプラグチューブ45の上端45aのいずれか
高い方の上端と同じ程度かセンタコア17の上端17a
よりも下方とする。
【0051】図10の(a)はマグネットがセンタコア
の上部に位置している本発明の内燃機関用点火装置のセ
ンタコアとマグネットの位置関係図、(b)はマグネッ
トがセンタコアの下部に位置している本発明の内燃機関
用点火装置のセンタコアとマグネットの位置関係図、
(c)は二個のマグネットがセンタコアの上部と下部に
位置している本発明の内燃機関用点火装置のセンタコア
とマグネットの位置関係図である。
【0052】図10の(a),(b),(c)のようにセン
タコア17の一端もしくはセンタコア17の両端には、
一次コイル12で形成された磁束と反対方向の磁束を磁
路中に発生させるマグネット20(20a,20b,2
0c0,20d)を備えている。
【0053】マグネット20は、シリンダヘッド41a
とシリンダヘッドカバー42aがともにアルミニウム製
の場合、センタコア17の両端にマグネット(20c,20
d)を装着する方が効率良く磁束を発生させることがで
きる。
【0054】シリンダヘッド41bまたは41cがアル
ミニウム製でシリンダヘッドカバー42bまたは42c
が熱可塑性合成樹脂製の場合には、センタコア17の一
端にマグネット20(20aまたは20b)を装着する
だけで効率良く磁束を発生させることができる。この場
合、マグネット20(20aまたは20b)はセンタコ
ア17の熱可塑性合成樹脂製シリンダヘッドカバー42
b、42c側に装着するよりも、アルミニウム製シリン
ダヘッド41b,41c側に装着した方が効率良く磁束
を発生させることができる。
【0055】図11は点火装置の取付位置がセンタコア
の上端より低く位置する場合の、本発明の内燃機関用点
火装置の他の実施例を示す断面図である。
【0056】従来の点火装置ではコイルの取付位置をセ
ンタコアの上端よりも下げることができなかったが、本
発明では図11のように点火装置10の取付位置46を
センタコア17の上端17aよりも下げることができる
ため、点火プラグ44(44a,44b,44c)から点
火装置10の取付位置46までの距離が短かいエンジン
にも取り付けることができる。
【0057】本発明の点火装置10の構成部品は、内側
からセンタコア17,二次コイル14,一次コイル1
2,外装ケース15,サイドコア18の順に同心状に配
置している。これらのコイル部は外装ケース15の中に
挿入され、エポキシ樹脂部材16等の絶縁層で高電圧を
絶縁する。
【0058】このエポキシ樹脂部材16は、熱衝撃性
(−40℃と130℃の繰返し試験等)と高温下での耐高
電圧特性等を向上させるため、硬化後のガラス転移点が
120〜162℃、かつ熱膨張係数がガラス転移点以下
の温度範囲における平均値として10〜50×10-6
ものを使用する。プラグホール部43に収納される円筒
形点火装置10では、一次コイル11の発熱をいかにプ
ラグホール部43の外の空気に逃がすかが最大の課題で
ある。
【0059】図12は本発明の内燃機関用点火装置で発
生した熱の流れを示す説明図である。
【0060】一次コイル12および二次コイル14で発
生した熱(通常、二次コイル14の発熱は一次コイル1
2の発熱の半分以下となり、一次コイル12と二次コイ
ル14の電力損失を合計すると約4W以下となる)は、
図12に示すようにエポキシ樹脂部材16からセンタコ
ア17を通して空気中に逃げる熱流Aとエポキシ樹脂部
材16からサイドコア18を通して空気中に逃げる熱流
Bとが存在する。
【0061】このため、熱(電力損失)と一次コイル1
2の温度上昇とプラグホール部43の外側の周囲温度と
の関係を熱抵抗で表すと、約15℃/W(プラグホール
部43の上部が風によって冷やされる場合は、約5℃/
W〜10℃/Wとなる)となるような熱伝導の良いエポ
キシ樹脂部材16を使用した構造を採用している。二次
コイル14で発生した高電圧は高圧端子21,ばね22
等を介して点火プラグ44に供給される。点火プラグ4
4が挿入される部分は、シリコンゴム等のゴムブーツ部
材23で絶縁する。
【0062】図13は本発明の内燃機関用点火装置の外
装ケースのイグナイタケースユニットの回路図である。
【0063】コイル部の上部に設置されるワンチップイ
グナイタ50は、図13に示すように、絶縁ゲート形バ
イポーラトランジスタ(以下「IGBT」という)51
と電流制限回路52及び入力抵抗53から構成されてい
る。IGBT51は、メインIGBT54とサブIGBT55で構成
されている。電流検出用負荷56は、サブIGBT55のエミ
ッタと接地(GND)間に設けられている。
【0064】IGBT51のゲートとコレクタ間には、温度特
性に優れたポリシリコンで構成した双方向ポリシリコン
ツェナーダイオード57を挿入し、一次電圧を350〜450
Vでクランプしている。入力と接地(GND)間には、
ブリーダ抵抗58を挿入し、入力信号接続部の接点電流
を1mA以上とし、端子のめっきを錫めっきでも十分な
接続信頼性が得られるように構成している。
【0065】前記ワンチップイグナイタ50は、IGBT51
が接合されている側のヒートシンクの下部に放熱用の銅
又はアルミニウム製の金属板をシリコン接着剤で接着
し、IGBT51と端子はアルミワイヤで接続してエポキシ樹
脂で成形したTO−3P又はTO−220タイプとして
いる。
【0066】以下、本発明の別の実施の形態について、
図面を参照し説明する。
【0067】図14は、本発明による一実施例の内燃機
関用点火装置の構成を示す断面図である。図において、
1次ボビン101には1次コイル102が巻層されてい
る。また、2次ボビン103には2次コイル104が巻
層されている。1次コイル102はエナメル線を積層巻
きしたものである。2次コイル104は分割巻きしたも
のである。
【0068】コイルケース105bは、2次コイル10
4の外側に配置されている。センタコア107は1次ボ
ビン101の内側に配置され、珪素鋼板をプレス積層し
たものである。サイドコア108は2次コイル104を
収納するコイルケース105bの外側に配置され、薄い
珪素鋼板を管状に丸めたものである。そして、磁束の1
ターンショートを防ぐため、サイドコア108円周上の
少なくとも一箇所は切れ目108aを設けている。セン
タコア107とサイドコア108を磁気的に結合して閉
磁路を形成するために、2次コイル104の低圧側に低
圧側コア1018を、2次コイル104の高圧側に高圧側コ
ア109を配置する。
【0069】そして、低圧側コア1018の上部は可撓
性エポキシ樹脂やゴムなどの弾性部材1012でカバー
する。これにより、2次コイル104などを絶縁する絶
縁用樹脂としての絶縁用エポキシ樹脂106と、センタ
コア107と、低圧側コア1018とを隔離することが
できる。高圧側コア109は2次ボビン103に設けら
れたポケット部103aに収容され絶縁用エポキシ樹脂
106により隔離されている。閉磁路コアの一部にはコ
アギャップがあり、このコアギャップには1次コイル1
02により形成された磁束と反対方向の磁束を磁路中に
発生させるマグネット1010を備えている。上記のよ
うな構成部品からコイル部が構成されている。
【0070】このコイル部は、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂(以下、PPSまたはPPS樹脂と略す)など
のような耐熱性,耐電圧性を有する合成樹脂で一体成形
された、コイルケース105bの中に圧入収容され、更
に、充填される絶縁用エポキシ樹脂106で高電圧から
絶縁されると共に固定される。2次コイル104で発生
した高電圧は、点火装置の全長を少しでも短くするため
に、長手方向に対して垂直方向に配置された過早着火防
止用の高圧ダイオード1017,高圧端子1013,ス
プリング1014を介して後述する点火プラグに供給さ
れる。点火プラグが挿入される部分は、シリコンゴム等
のゴムブーツ1015で絶縁する。シリンダヘッドカバ
ーと接する部分には、即ち、内燃機関のプラグホールの
上面近傍に対応する部位には、プラグホール外からプラ
グホール内への浸水を防止する環状のシールゴム101
6が設けられ該シールゴム1016は、収納体としての
コイルケース105bに嵌挿されている。したがって、
シール体としてのシールゴム1016は、プラグホール内外
の環境を隔絶していると言える。
【0071】一方、コイル部の上部に近接配置されるイ
グナイタ部は、イグナイタユニット1020やパワート
ランジスタチップ1021などから構成されている。即
ち、イグナイタユニット1020は、箱型にプレス成形
された銅またはアルミ製の金属製ベース1026に、パ
ワートランジスタチップ1021とハイブリッドIC回
路1028が内蔵されており、金属製ベース1026内
にはシリコンゲル1029が充填されている。金属製ベース
1026は、イグナイタ側端子1022を熱可塑性合成
樹脂などで一体成形支持している端子台1027にシリ
コン接着剤で固着されている。
【0072】そして、イグナイタ部を収容するイグナイ
タケース105aは、コネクタ1024を兼ねてポリブチレ
ンテレフタレート樹脂(以下、PBTまたはPBT樹脂
と略す)などの熱可塑性合成樹脂で一体成形されてい
る。イグナイタケース105a内には絶縁用エポキシ樹
脂106が充填され、イグナイタユニット1020など
が絶縁固定されている。また、コイル部とイグナイタ部
とコネクタ1024のコネクタ側端子1025とは、イ
グナイタ側端子1022が1次コイル端子1023ならびに
コネクタ側端子1025に溶接されて、電気的に接続さ
れる。
【0073】次に、図15を参照して内熱機関用点火装
置の詳細構成について説明する。
【0074】図15は、図14の実施例の主要構成部品
の展開図である。
【0075】センタコア107は、低圧側コア1018
と一体にプレス加工され且つ積層されたものである。マ
グネット1010が取り付けられたセンタコア107及
び低圧側コア1018から成るT字型コアは、一次ボビ
ン1の内側に収容される。T字型コアを内包した一次ボ
ビン101は、圧入部101cを介して2次ボビン10
3に圧入される。2次ボビン103は半径方向から挿入
される高圧側コア109を収納するポケット部103a
を有し、該ポケット部103aに高圧側コア109を内
包した後に、圧入部103cを介してコイルケース10
5bに圧入固定される。
【0076】そして、一次ボビン101及び二次ボビン
103、ならびに二次ボビン103及びコイルケース1
05bの嵌合構造と、高圧側コア109のポケット挿入
構造と、絶縁用エポキシ樹脂106の充填構造とによっ
て、コイル部は固定される。コイルケース105bの外
側に配置されて外側閉磁路を形成する円筒形のサイドコ
ア108は、軸方向に延長し円周方向に拡がる事の可能
な切れ目108aを有しこの切れ目を広げることでコイ
ルケース105bへの挿入が容易に可能ともなってい
る。
【0077】図16は、図14の実施例を内燃機関に搭
載した状態の断面図である。本発明による実施例の円筒
形の内燃機関用点火装置は、図16に示すように内燃機
関に搭載される。1039は内燃機関のシリンダヘッド
カバー、1030はシリンダヘッドである。
【0078】点火プラグ1032は、シリンダヘッド1
030の燃焼室に突き出すように固定されている。内燃
機関用点火装置は、イグナイタケース105aに設けら
れた取付部105hを介して取り付けボルト1031で
シリンダヘッドカバー1039に固定される。内燃機関用点
火装置のコイルケース105bは、燃焼室で発生した熱
エネルギを受け易いシリンダヘッド1030及びシリン
ダヘッドカバー1039に穿たれたプラグホール1040内
に挿入されるため、150℃位の高い耐熱性が要求され
るものである。
【0079】そして、コイルケース105bが挿入され
るプラグホール1040(孔径及び深さ)は、所定の機
種の内燃機関に対し、所定の規定で標準化されている。
【0080】次に、図17,図18を参照して外装ケー
スとしてのイグナイタケース105a及びコイルケース10
5bについて説明する。
【0081】図17は、本発明による一実施例のイグナ
イタケースの鳥瞰図である。図18は、本発明による一
実施例のコイルケースの鳥瞰図である。
【0082】図17において、コネクタ1024を兼用
しているイグナイタケース105aは、コネクタ102
4として要求される衝撃強度や寸法精度を確保する点か
ら、PBT樹脂で形成される。特に、イグナイタケース
105aに兼用されているコネクタ1024は、異なる
仕様の相手コネクタに対応するために、種々の形態を採
っており、イグナイタケース105aも種々製作され
る。かつ、相手コネクタと嵌合するコネクタ1024は
複雑な形状を有するので、スライド成形加工される。従
って、コネクタ1024を兼用するイグナイタケース1
05aには、成形性が良いという材料特性も要求され
る。
【0083】このように、異なる仕様の相手コネクタに
対応するコネクタ1024を有するイグナイタケース1
05aが、従来技術の外装ケースのように一体形成され
た構造では、標準化することは困難であると言える。
【0084】そこで、図17,図18に示すように外装
ケースは、イグナイタケース105aとコイルケース105
bとに2分割する。そしてイグナイタケース105aに
一体化するためのコイルケース105bとの結合部(す
なわち、嵌合部)を設け、該結合部に、抜け防止用の段
付部105cと廻り止め防止用兼位置決め用の突起部1
05eを設ける。さらに、イグナイタ部としてのイグナ
イタユニット1020等が収容される部分はカップ(内
箱)状に形成する。
【0085】一方、図18において、前述のように標準
化されているプラグホール1040に挿入されるコイル
ケース105bは、耐熱性などの点から、PPS樹脂で
形成される。あるいは、後述するようなPPS樹脂に変
性ポリフェニレンオキサイド樹脂(以下、変性PPOま
たは変性PPO樹脂と略す)を配合剤として、例えば、
約20(%)配合した混合樹脂で形成される。
【0086】そして、図のようにコイルケース105b
には一体化するためのイグナイタケース105aとの結
合部(すなわち、嵌合部)を設け、該結合部に、抜け防
止用の段付部105dと、廻り止め防止用兼位置決め用
の切欠部105fとを同時に形成する。ここで、プラグ
ホール1040の標準化を活かすために、規定のプラグ
ホール1040の寸法に対応して、コイルケース105
bの外形寸法(例えば、段付部105dの直径φD,ケ
ース本体の直径φd,全長Lなど)は統一され、コイル
ケース105bの共用化が図られている。
【0087】また、段付部105dの直径φDと嵌合す
る図17に示した段付部105cの直径φDは同じ寸法
であり、特に、段付部105cの直径φDは、異なる仕
様の相手コネクタに対応するために異なる形状で製作さ
れた各イグナイタケース105aに対して同一直径となって
おり、プラグホール1040の標準化を活用するために
統一される。
【0088】図19は、本発明による一実施例のコイル
ケースとイグナイタケースとの結合部において、両者を
一体に結合した状態を示す断面図である。
【0089】イグナイタケース105aとコイルケース
105bとを、実装される環境条件の違いや種々の要求
コネクタ仕様に対応できるように2分割したが、最終的
に内燃機関用点火装置として用いるには、一体に結合さ
れていなければならない。
【0090】そこで、2分割された部位に該当する、イ
グナイタケース105aの段付部105cとコイルケー
ス105bの段付部105dとにおいて、両者は結合さ
れる。換言すれば、挿入される内燃機関のプラグホール
の上面近傍に対応する部位に相当する結合部(すなわ
ち、嵌合部)にて、両者は嵌合され一体に結合される。
【0091】具体的には、図19の実施例の場合は、結
合部に設けてあるV字型溝105gに接着剤1033を
塗布し、結合部は接着によって結合される、即ち、接合
される。このとき、突起部105eと切欠部105fと
が噛み合って回転方向が固定される。
【0092】上記のように、本実施例による外装ケース
は、異なる仕様の相手コネクタに対応するために種々の
形状に形成されるイグナイタケース105aと、標準化
されているプラグホール1040に対応し標準化された
外形寸法(直径と全長)を有するコイルケース105b
とに2分割され、該イグナイタケース105a及びコイ
ルケース105bは、2分割された部位にて一体に結合
されているものである。
【0093】更に、両段付部105c,105dの結合
面(すなわち、嵌合面)は、コイルケース105bの軸
方向(即ち、プラグホール1040の孔軸方向)とコネ
クタ1024の接続方向(プラグホールの孔軸方向に直
角な方向)との「直角度」や、コイルケース105bの
軸心とイグナイタケース105aに設けられた取付部1
05hの中心との距離の「寸法精度」が確保されるよう
に形成されていて、換言すれば、両段付部105c,1
05dの結合部は、コイルケース105bの長手方向の
軸方向(即ち、プラグホール1040の孔軸方向)に対
し垂直なる当接面と、コイルケース105bの軸心と同
心となっている当接面とを有して形成されていて、結合
部においてガタがないように嵌合され強固に接合され
る。
【0094】
【表1】
【0095】表1は、コイルケースに用いられる材料、
及びコネクタを兼用するイグナイタケースに用いられる
材料を要求特性から評価し表に纏めたものである。コイ
ルケースまたはコネクタとして使用が考えられる材料に
対して、使用上から要求される特性項目毎に、優れた材
料特性を呈示する順と、要求度合いの順に、二重丸,
○,△で表わし評価した結果を示している。
【0096】すなわち、コイル部を収容しプラグホール
内に挿入されるコイルケースの要求特性は、主として耐
熱性,耐電圧性である。プラグホール外に位置しイグナ
イタ部を収容するがコネクタとしての機能が重要視され
るイグナイタケースの要求特性は、主として衝撃強度,
耐薬品性である。
【0097】このように、外装ケースとしてのイグナイ
タケース105aならびにコイルケース105bの材料
に対し、要求される特性が異なる。従って、コイルケー
ス及びコネクタ(即ち、イグナイタケース)は2分割し
かつ一体に結合することが望ましいことが、この表から
も理解される。
【0098】そして例えば、コネクタとしての要求特性
を満たす材料としては、PBT樹脂がある。また、コイ
ルケースとしての要求特性を満たす材料としては、PP
S樹脂またはPPSと変性PPOの混合樹脂があると言
える。
【0099】ここで、PPS樹脂を用いるに当たり、密
着性(または接着性)に対し考慮する必要がある。即
ち、充填封入する絶縁用エポキシ樹脂106とコイルケ
ース105bとの密着性が悪く、剥離してしまうと欠陥
となり、点火ミスに到る可能性がある。
【0100】したがって、コイルの長期絶縁性確保のた
めには、両者の密着性を長期的に持続させる必要があ
る。具体的には、内燃機関の温度環境条件に等価である
−40℃と130℃の熱ストレスを交互に繰り返し加え
て、300サイクル以上剥離が発生しないようにするこ
とが望まれる。そして、コイルケース105bの材料と
してPPS樹脂を単独で用いた場合、使用条件によって
は、300サイクル未満で剥離してしまう場合があるこ
とが判明した。
【0101】一方、変性PPOは、絶縁用エポキシ樹脂
106との密着性が良いことから、一般的に点火装置の
2次コイル104の材料としても使用されている。しか
し、耐薬品性が悪いことから、外気に曝される個所に用
いるには適さない。
【0102】ところで、前述したように、内燃機関のプ
ラグホールの上面近傍に対応する部位に嵌挿されている
シール体としてのシールゴム1016は、プラグホール
内外の環境を隔絶することによって、浸水防止の点以外
に、コイルケース105bを外気に曝させないという点
で重要な役割を果たしていることが判る。したがって、
コイルケース105bに変性PPOが使えるという可能
性が出てくる。
【0103】そこで、コイルケース105bに対し、耐
熱性,耐薬品性,耐電圧性に優れたPPS樹脂と充填封
入する絶縁用エポキシ樹脂106との密着性に優れた変
性PPOとの混合材で、例えばPPS基材に変性PPO
を約20(%)混合し、それぞれの特性を活かした混合
材料で、対応するものである。
【0104】即ち、コイルケース105bは、耐熱性,
耐電圧性に優れる材料特性を有する基材樹脂に、コイル
部を絶縁する絶縁用樹脂との密着性に優れる材料特性を
有する配合剤を混ぜ合わせ、それぞれの樹脂が有する優
れた材料特性を活かした混合材料から形成されているこ
とが望ましいと言える。
【0105】換言すれば、シールゴム1016の機能の
プラグホール内外環境を隔絶することを旨く利用するこ
とが可能である。即ち、本発明による内燃機関用点火装
置は、電気的に接続され近接配置されたコネクタを有す
るイグナイタ部及びコイル部と、該イグナイタ部及び該
コイル部を収容する収納体と、該収納体に嵌挿されて当
該収納体が挿入される内燃機関のプラグホール内外の環
境を隔絶するシール体とを備え、収納体は、シール体が
嵌挿されている部位(近傍を含む部位)にて、コイル部
を収容しプラグホール内に挿入されるコイル収納部と、
イグナイタ部を収容しプラグホール外にて異なる仕様の
相手コネクタに接続されるコネクタを有するイグナイタ
収納部とに2分割され、該コイル収納部と該イグナイタ
収納部は、2分割された部位にて一体に結合されている
ものであると言える。
【0106】ところで、要求される環境仕様に許容範囲
があれば、コイルケース105bとイグナイタケース1
05aとを同一材料としても可である。この場合、2分
割された両者を別々に形成するので、それぞれの形状に
合わせ成形型の型割方向,注入ゲート位置,押し出しピ
ン位置等の成形条件を適正に設定することができ、従っ
て、成形上の欠陥が少なく、前述の「直角度」や「寸法
精度」に優れたケースを製作することができるという利
点を十分に活かすことができる。この利点によって、使
用範囲が広げられる。そして、本実施例に対しては、他
の樹脂に比べ耐熱性,耐薬品性,耐電圧性にバランスが
取れているPPS樹脂が望ましいと言える。
【0107】以上を纏めれば、本実施例の特徴は、外装
ケースとしての収納体は、主にコイル部を収容し孔径等
が標準化されている内燃機関のプラグホール内に挿入さ
れるコイル収納部としてのコイルケース105bと、主
にイグナイタ部を収容しプラグホール外にて異なる仕様
の相手コネクタと嵌合するコネクタを有するイグナイタ
収納部としてのイグナイタケース105aとに2分割さ
れ、該コイルケース105bと該イグナイタケース10
5aとが該2分割された部位にて接着などによって一体
に結合された構成であると言える。
【0108】換言すれば、収納体は、当該収納体が配置
される環境から定められる対環境要求仕様が相違する内
燃機関のプラグホール内外部位を境として、プラグホー
ル内に挿入されるコイル収納部と、プラグホール外に位
置するイグナイタ収納部とに2分割され、該2分割され
た部位が結合されているとも言える。
【0109】また、コイル本体を収納するコイルケース
と、コネクタを兼ねイグナイタを収納するイグナイタケ
ースとを分離し、コイルケースを耐熱性,耐電圧性,コ
イル絶縁用樹脂との密着性などに優れた合成樹脂とする
ものであるとも言える。
【0110】図20は、本発明による他の実施例のコイ
ルケースとイグナイタケースとの結合部において両者を
一体に結合した状態を示す断面図である。図20に示す
ように、コイルケース105bは、コイルケース105
bの段付部105dをイグナイタケース105aの底部
に沿って展開して延ばした部分(延展部)を有する構成
である。延展部を有することで、前述の「直角度」や
「寸法精度」を向上させることができると共に、当接面
が大きくなるので結合部での嵌合の安定性が得られる。
また、耐熱性の優れたコイルケース105bの延展部が
イグナイタケース105aを覆うので、内燃機関のシリ
ンダヘッドカバー1039等と対面するイグナイタケー
ス105aの底部の耐熱性を向上することができる。
【0111】すなわち、耐熱性にやや劣る合成樹脂を用
いたイグナイタケース205aを用いても、プラグホー
ル外の内燃機関のシリンダヘッドカバー2039等と対
面する部位における最高温度130℃程度となる厳しい
耐熱環境条件に対応させることができる利点がある。
【0112】また、コイルケース205bとイグナイタ
ケース205aとの固定は、接着剤2033にて接合す
る方法、充填する絶縁用エポキシ樹脂206にて同時注
形し固定する方法、ならびに、コイルケース205bと
イグナイタケース205aとを予め別々に製作し、その
後に一体成形し固定する方法などがあり、いずれの方法
でも可である。
【0113】図29は、本発明による別の実施例のコイ
ルケースとイグナイタケースとの結合部において両者を
一体に結合した状態を示す断面図である。すなわち、上
述した一体成形し固定する方法の成形中のケースの状態
を断面にて示した図である。図において、2034aは
成型金型の左右のスライド型、2034bは中子型であ
り、矢印がそれぞれの型の可動スライド方向である。一
体成形する場合は、段付部205cまたは段付部205
dのどちらか一方を、一体成形する相手側ケースに対し
て埋設させるように構成すれば、該埋設した段付部が抜
け防止あるいは廻り止め防止を兼用し、成形加工の一回
の工程で、結合(接合)と抜け防止あるいは廻り止め防
止が行えるので有効である。
【0114】以上のように、コイルケース205bと、
イグナイタユニット2020等を収容しコネクタ202
4を兼ねるイグナイタケース205aとを別々に成形す
ることで、コネクタならびにコイルケースとしてそれぞ
れに要求される特性を満足した円筒形の内燃機関用点火
装置を提供することができる。
【0115】また、イグナイタケース205aの形状
を、コネクタ2024がイグナイタユニット2020の
横方向に延長する配置、すなわち、コネクタ2024が
内燃機関のプラグホールの孔軸方向に直角な方向に延び
る形状とすれば、内燃機関用点火装置の縦方向の全長が
短くなり、スペース効率を向上することができる。
【0116】また、一般的に点火装置は、異なる仕様の
相手コネクタを有する制御装置などに接続されるが、該
相手コネクタのコネクタの向きや取り付け位置等が異な
り、各内燃機関に対応して異なった形状のコネクタとな
っている。本発明によれば、上記対応が、イグナイタケ
ース205a側のみの寸法変更にて対応することができ
るため、コイルケース205b側の共用化が図られ、部
品の標準化が図れ、安価な内燃機関用点火装置を提供す
る点から有効である。
【0117】以下、本発明による実施の形態について、
図面を参照し説明する。
【0118】図22は、本発明による一実施例の内燃機
関用点火装置を示す部分断面図である。図22の内燃機
関用点火装置は、内燃機関に取付られた状態で示されて
いる。図23は、図22の内燃機関用点火装置を示す鳥
瞰図である。図24は、図22の内燃機関用点火装置と
内燃機関の一部を示す鳥瞰図である。図22〜図24を
同時に参照しながら、本発明による内燃機関用点火装置
の構成について、円筒形点火装置の場合を取り上げて詳
説する。
【0119】図23に示すように、本実施例の円筒形点
火装置(以下、点火装置と略す)2040の外観形状
は、ケース201と、サイドコア202と、ゴムブーツ
203と、シールゴム204とから構成されている。図2
2に戻り、点火装置2040は、コイル部2020が円
筒形のケース201のコイルケース201a内に収納さ
れているものである。シリンダヘッドカバー206と接
する側のコイルケース201aには、環状のシールゴム
204が嵌挿されて(嵌め込み挿入されて)設けられ、
点火プラグ209と接する側のコイルケース201aに
はゴムブーツ203が設けられている。シールゴム20
4の上端部204eは、シリンダヘッドカバー206と
接する側のケース201の下面に接触している。そし
て、サイドコア202は、外周表面に突起部202aを
有している。なお、本実施例で言う円筒部は、主にコイ
ルケース201aに該当するが、便宜上、シールゴム20
4が当接するケース201の下面を含めて円筒部と言
う。
【0120】一方、点火装置の円筒部としてのコイルケ
ース201aが軸方向に挿入されるプラグホールは、シ
リンダヘッドカバー206とプラグチューブ207とに
設けられている。図22,図24に示すようにシリンダ
ヘッドカバー206のプラグホールは、その先端部は土
手形状になっており、換言すれば円管状となっている。
また、プラグチューブ207のプラグホールは、円管で
あり、その円管の径はシリンダヘッドカバー206の円
管より径が小さく、かつ、内側円管の端部としてのプラ
グチューブ207の先端部は、外側円管の端部としての
シリンダヘッドカバー206の先端部より凹んだ低い位
置に配置されている。
【0121】換言すれば、本実施例の内燃機関のプラグ
ホールは、内側円管の端部が外側円管の端部より凹んで
いる同心二重円管状からなり、該プラグホールの底部に
点火プラグ209を収容している構造となっていると言
える。
【0122】シリンダヘッドカバー206のプラグホー
ルの内径をφD9,点火装置の円筒部(すなわち、コイ
ルケース201a及びサイドコア202に相当する部
分)の外径をφDとすると、一般的に、隙間は、φD9
−φD=2〜4(mm)となり、シールゴム204が撓む
に必要な肉厚を十分に確保することができない。特に、
プラグチューブ207のプラグホールの内径φD5は、
φD9>φD5の関係にあり、隙間は、φD5−φD=
〜2(mm)程度となり、シールゴム204に撓みを確保
することはさらに困難である。
【0123】一方、シリンダヘッドカバー206とエン
ジンブロック208とは別々に製作されているため、一
般的に、シリンダヘッドカバー206のプラグホールと
エンジンブロック208に取り付けられるプラグチュー
ブ207のプラグホールとは「ずれる」ことになる。すな
わち、両プラグホールの「ずれ」として、径方向にも軸
方向にも、約1(mm)程度のばらつき寸法が発生するこ
とになる。そして、シリンダヘッドカバー206とプラ
グチューブ207のプラグホール位置が上記のようにず
れている場合にも、シールゴム204は、シール構造を
形成しなければならない。
【0124】ところで、図22のように、点火装置は点
火プラグ209と電気的に接続された後にねじ205を
介してシリンダヘッド206に固定される。そして、ね
じ205を締め付けた際に、シールゴム204とシリン
ダヘッドカバー206が当接するシール部に、点火装置
の挿入方向とは逆の方向にシールゴム204の反力が発
生している。
【0125】次に、本発明によるシールゴムのシール構
造について説明する。
【0126】図25は、本発明による一実施例のシール
ゴムを示す断面図である。図26は、図25のシールゴ
ムを用いた内燃機関用点火装置のシール構造を示す断面
図である。本実施例の構成と動作について説明する。本
実施例の場合も、点火装置の円筒部の外径をφD,シリ
ンダヘッドカバー206のプラグホールの内径をφD9,
プラグチューブ207のプラグホールの内径をφD5と
する。
【0127】図25に示すように、シールゴム204
は、内径φD1を有する円錐部204aと、内径φD2と外
径φD3とを有する内側円筒部204cと、寸法関係を
φD1<φD<φD2とする段付き部204bと、径方
向に延展する面を形成する鍔部204dと、前述した上
端部204eと、鍔部204dに設けた凹み部204f
と、外側円筒部204gとから構成される。そして、シ
ールゴム204は、点火装置の円筒部(すなわち、コイ
ルケース201aまたはサイドコア202)に、圧入嵌
挿されて固定されている。
【0128】シールゴム204がφD1<φD<φD2
の関係となっている段付き部204bを有することにより、
円錐部204a側の圧入代を大きくすることができる。
【0129】即ち、内径φD2を有する内側円筒部20
4cでは、点火装置の円筒部の外径φDよりも大きいの
で、シールゴム204の円筒部への嵌挿を容易にし、内
径φD1を有する円錐部204aでは、該円錐部204
aの圧入のための肉厚を十分に確保することができる利
点がある。更に、円錐部204aの圧入代を大きくする
ことができるので、圧入力が大きくなり、点火装置をプ
ラグチューブ207のプラグホールに差し込んだ際の円
錐部204aのめくれが防止されるという利点もある。
【0130】一方、円錐部204aのテーパ面は、点火
装置をプラグチューブ207に差し込む際のガイドとな
る。すなわち、シールゴム204は、円筒部に嵌挿され
た状態において、点火プラグ209側の方向の先端に向
かってその外径が漸次減少するテーパ状となっている円
錐部204aおよび円錐先端部204sを有する。ま
た、シールゴム204の内側円筒部204cの外径(φ
D3)の外周面は、シリンダヘッドカバー206のプラ
グホールの内径(φD9)の内周面に対し、非接触(φ
D3<φD9)とし、シールゴム204のプラグホール
への挿入を容易にもしている。
【0131】ところで、円筒部としてのサイドコア20
2に設けた突起部202aは、円筒部外周の一部または
全周に突き出した形状であり、円筒部に嵌挿されたシー
ルゴム204の点火プラグ側の先端となる円錐部204
aの前述の円錐先端部204sより、点火プラグ209寄り
の部位に形成されている。そして突起部202aの外径
φD4は、φD<φD4<φD5となるような寸法関係
とし、かつ嵌挿されたシールゴム204の円錐先端部2
04sの外径を、突起部202aの外径φD4より小さ
く形成されている。これによって、シールゴム204の
めくれを防止することができる。
【0132】すなわち、シールゴム204が点火装置の
円筒部に嵌挿された状態において、シールゴム204の
円錐先端部204sは突起部202a(外径φD4)の
陰に隠れた状態になり、点火装置がプラグチューブ20
7のプラグホールに挿入されるときの、シールゴム20
4の円錐先端部204sのめくれが防止されることにな
る。なお、突起部202aは、円筒部としてのコイルケ
ース201aに設けられても可である。
【0133】一方、本実施例のシールゴム204では、
図26に示すように点火装置がプラグホールに挿入され
た時に、シリンダヘッドカバー206の先端部206a
と、シールゴム204の径方向に延展する面を形成する
鍔部204dとが当接することによって、シール構造を
形成する。そして、シリンダヘッドカバー206内への
浸水が防止される。
【0134】すなわち、前述のように、プラグホールと
しての先端部206aにおいては、軸方向に約1mm程度
のバラツキ寸法が発生するが、シールゴム204の鍔部
204dがシリンダヘッドカバー206の先端部206aに
当接し軸方向に押圧されたときに、軸方向に変形しシー
ルするので、浸水などが防止される。
【0135】上記の鍔部204dに形成される径方向に
延展する延展面とは、点火装置の円筒部(即ち、プラグ
ホール)の径方向に延長し拡がる面を指しており、先端
部206aが径方向に約1mm程度「ずれ」ても、該延展
面が「ずれた」シリンダヘッドカバー206の先端部2
06aに必ず当接するので、確実にシールすることがで
きることを意味している。従って、鍔部204dの延展
面の広さは、プラグホールの位置ずれを十分に吸収でき
るほどの大きさ、換言すれば、当接してくる先端部20
6a(外側円管端部)の径方向のずれを逃げうる広さが
必要である。例えば、少なくとも先端部206aの端部
寸法と最大「ずれ」寸法を加えた以上の広さになる。
【0136】他方、前述のように、テーパ状となってい
る円錐部204aは、点火装置2040の円筒部をプラグチ
ューブ207のプラグホールに挿入する際のガイドとな
っているので円筒部とプラグチューブ207の「芯合わ
せ」が優先することになる。したがって、最大「ずれ」
寸法をシリンダヘッドカバー206のプラグホールとシ
ールゴム204との間で吸収することが必要で、上記し
たシールゴム204の延展面が、位置ずれを吸収しつつ
シール機能を果たすためには必須のこととなる。
【0137】以上のように、本発明の特徴は、プラグホ
ールの底部にある点火プラグと接続するよう該プラグホ
ールに軸方向に挿入される円筒部と、プラグホールの先
端部に当接し当該プラグホール内への浸水を防止するよ
う該円筒部に嵌挿されているシールゴムとを備える円筒
形点火装置であって、該シールゴムが、該先端部に軸方
向から当接して、十分に軸方向に撓みかつ径方向に逃げ
うるシール構造(例えば、径方向に延展する延展面が形
成されている鍔部)を有していることにあり、これによ
って軸方向または/および径方向に発生するプラグホー
ルとの位置ずれを吸収し、確実に浸水を防ぐことができ
る円筒形点火装置が提供される。
【0138】換言すれば、本発明の他の特徴は、内側円
管の端部が外側円管の端部より凹んでいる同心二重円管
構造のプラグホールに挿入されるシールゴムは、外側円
管端部に当接し当該プラグホ−ル内への浸水を防止する
よう円筒部の径方向に延展する面が形成されている鍔部
と、内側円管内部に当接し当該シールゴムをガイドする
テーパ面を有する円錐部とを有していることにある。こ
のような構成のシールゴムであれば該鍔部が、外側の円
管端部に当接することによって軸方向に押圧されて軸方
向に変形しプラグホールの軸方向の位置ずれを吸収し、
かつ、鍔部の延展する面が、プラグホールの径方向の位
置ずれも吸収するので、シールゴムとプラグホールの位
置ずれが確実にシールされ、防水性に優れた信頼性の高
い内熱機関用点火装置が提供される。
【0139】なお、上記構成において、シールゴムの内
側円筒部204cの外周面が、外側のプラグホール円管
の内周面に非接触である方が、シールゴムのプラグホー
ルへの挿入が容易となるので望ましいと言える。
【0140】そして、上記のようにバラツキが十分に吸
収されるので、ねじ205を介してシリンダヘッド20
6に点火装置を固定した際の軸方向に発生するシールゴ
ム204の反力は低減され、すなわち、ケース1の取付
位置に付加されている軸方向の歪みが低減され、ケース
1の変形が防止される利点がある。
【0141】さらにまた、本発明の別の特徴は、円筒部
(厳密には円筒部の一部を形成する部分)としてのケー
ス1の下面と鍔部204dとの間に、軸方向から先端部
206aに当接して軸方向に撓み変形した当該鍔部204d
の膨らみを逃がしうる空隙2040を意図的に形成して
いる点にある。この空隙2030がシールゴム204の軸
方向の逃げ部となり、この逃げ部が軸方向のバラツキを
十分に吸収するので、確実にシールすることができる。
【0142】なお、意図的に形成する空隙2030に関
し、2つの実施例を示している。すなわち、図26にお
いて、左側図象の空隙2030は、ケース201の下面
と鍔部204dに設けた凹み部204fとの間で形成さ
れた例を示している。そして、右側図象の空隙2030
はケース201の下面に設けたケース凹み部201fと
シールゴム204の凹みのない鍔部204dとの間で形
成された例を示している。ところで、空隙2030は有
った方がシールは確実に増すが、空隙2030が無く充
分に柔軟性のあるシールゴム204を用いても可である
ことは言うまでもない。
【0143】次に、他の実施例について説明する。
【0144】図27は、本発明による他の実施例のシー
ルゴムを示す断面図である。
【0145】図28は、図27のシールゴムを用いた内
燃機関用点火装置のシール構造を示す断面図である。
【0146】本実施例は、図25〜図26のように十分
に軸方向に撓ませてシール構造を形成することができな
い場合に主に対応するもので、径方向に大きく撓ませて
シールする構造の例を示している。
【0147】図27に示すように、シールゴム204
は、外径φD8及び内径φD6を有し両テーパ面を有す
る山形状の円錐部204aと、内径φD7を有する内側
円筒部204cと、寸法関係をφD7<φD<φD6と
する段付き部204bと、鍔部204dと、上端部20
4eと、鍔部204dに設けた凹み部204fと、外側
円筒部204gとから構成される。
【0148】そして、点火装置の円筒部に、嵌挿されて
固定される。
【0149】なお、内側円筒部204cの径方向の肉厚
tは、次の関係にあることが望ましいことは自明であ
る。(φD7+2t)<φD9段付き部204bがφD
7<φD<φD6の関係になっていることは、内側円筒
部204cでは圧入嵌合することができ、円錐部204
aでは、該円錐部204aにおける肉厚が大きくなって
も、シールゴム204を点火装置の円筒部に嵌挿する際
の挿入が容易であることになり、したがって、円錐部2
04aの肉厚を十分に確保することができることに結び
付いている。
【0150】本実施例のシールゴム204では、シリン
ダヘッドカバー206のプラグホールの内側(内径φD
9の部位)に円錐部204aが当接し該円錐部204a
が変形することによってシール構造が形成され、シリン
ダヘッドカバー206内への浸水が防止される。
【0151】すなわち、シリンダヘッドカバー206の
先端部206aには、前述のように径方向のバラツキが
発生するため、円錐部204aは、φD8>φD9とな
るような寸法関係になっている。そして、シールゴム2
04がプラグホールに挿入された際に、シールゴム20
4の円錐部204aが内側に押圧されて変形することに
よって、径方向のバラツキが吸収される。このとき、本
実施例においては、逃げ部としての空隙2030が形成
される。そして、該空隙2030は、さらにも増して、
径方向のバラツキを十分に吸収するので、前述の実施例
と同様に確実にシールすることができる。
【0152】なお、図25に示した段付き部204bの
(φD6−φD)からなる隙間が予め保有する寸法構成
としているので、本実施例の空隙2030が形成され
る。
【0153】換言すれば、両テーパ面を有する山形円錐
部としての円錐部204aが、挿入時にシリンダヘッド
カバー206のプラグホールの内面に当接して当該シー
ルゴム204をガイドしつつ径方向に撓みを形成して、
径方向に発生するバラツキ寸法を吸収し、かつ当該撓み
を吸収しうる空隙を内部に形成して、軸方向に発生する
バラツキ寸法も十分に吸収するので、確実にシールする
ことができると言える。
【0154】尚、図28において、左側図象の場合は、
シリンダヘッドカバー206の先端部206aがシール
ゴム204の鍔部204dと当接していない状態で、シ
ールゴム204の円錐部204aがシリンダヘッドカバ
ー206のプラグホール内側にて変形させられて、左側
図象の空隙2030が、形成されている例を示してい
る。
【0155】これに対し、右側図象の空隙2030は、
シールゴム204の円錐部204aとシリンダヘッドカ
バー206のプラグホール内側との間、および、ケース
201の下面とシールゴム204の凹み部204fとの間
の2箇所で形成されている例を示している。すなわち、
右側図象の場合は、上述した2つの実施例を同時に適用
している例を示している。
【0156】換言すれば、本発明によるシールゴムは、
軸方向からプラグホールの先端部に当接して軸方向に撓
み、かつ該先端部の径方向のずれを逃げうる広さの、延
展面が径方向に形成されている鍔部と、挿入時にプラグ
ホ−ルの内面に当接して当該シールゴムをガイドしつつ
径方向に撓みを形成し、かつ当該撓みを吸収しうる空隙
を内部に形成している、両テーパ面を有する山形円錐部
とを有していると言える。
【0157】以上のように、点火装置のシールゴム部分
に、十分に径方向に撓むシール構造を形成することによ
って、軸方向または/および径方向に発生しているプラ
グホールとの位置ずれを吸収し、図25〜図26に示し
た実施例と同様に、確実に浸水を防ぐことができる円筒
形点火装置が提供される。
【0158】なお、図25〜図26に示した実施例の場
合は、φD9とφDの隙間が非常に狭い場合に適してい
る。そして、図27〜図28に示した実施例の場合は、
図25〜図26の場合よりも、φD9とφDの隙間にや
や余裕がある場合に適していると言える。
【0159】
【発明の効果】本発明によれば、サイドコアは、磁束の
1ターンショートを防止するスリットを有し、エンジン
の要求二次電圧以上の所定の二次電圧が得られるので、
点火装置をエンジンのプラグホール部に実装した際に、
センタコア部の有効磁束を最も効率良く活用できる内燃
機関用点火装置を提供できる。また二次コイルとサイド
コア間に発生する浮遊容量を合理的に削減できる内燃機
関用点火装置を提供できる。
【0160】エンジンのプラグホール部のシリンダヘッ
ドやシリンダヘッドカバーの材質や長さにより、サイド
コアの厚さや長さを変えて、かつセンタコアの一端もし
くは、センタコアの両端に入れるマグネットの枚数や厚
さを変えることにより安価な内燃機関用点火装置を提供
できる。
【0161】また、本発明によれば、ケースを別々に形
成したイグナイタ部とコイル部とを結合して一体のケー
スにしたので、ケースの各部に要求される仕様(特性)
に応じて、それぞれの最適な寸法や最適な材料を選定す
ることができるため、内燃機関用点火装置のコネクタの
強度,寸法精度,コイル部の耐熱性,耐久性などを向上
することができる効果がある。
【0162】また、コネクタの仕様が異なる内燃機関用
点火装置を製作する場合は、イグナイタケースのみを変
更することで対応できるので、コイルケースの共用化が
図れる効果もある。
【0163】したがって、例えば、円筒形の点火装置で
あれば、全長が短く、コネクタの寸法精度,強度、及び
コイル部の耐熱衝撃性,耐電圧性などの耐久性,耐熱性
に優れた信頼性の高い内熱機関用点火装置を提供するこ
とができる。
【0164】さらに、本発明によれば、シールゴムとプ
ラグホールの位置関係が径方向または軸方向または両方
向にずれが生じた場合でも、確実なシール構造を形成す
ることができるので、シリンダヘッドカバー内への浸水
を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関用点火装置の一実施例を示す
断面図。
【図2】内燃機関用点火装置の水平断面図。
【図3】(a)は本発明の内燃機関用点火装置の内側サ
イドコアの斜視図、(b)は本発明の内燃機関用点火装
置の外側サイドコアの斜視図。
【図4】(a)は本発明の内燃機関用点火装置の溝(切
欠き)を有する一次ボビンの斜視図、(b)は図4の
(a)の溝を有する一次ボビンの平面図。
【図5】本発明の内燃機関用点火装置をエンジンに実装
した際の磁束の流れを示す図。
【図6】本発明の内燃機関用点火装置のサイドコアの長
さとエンジンの二次電圧の関係図。
【図7】エンジンのシリンダヘッドとシリンダヘッドカ
バーがともにアルミニウム製である場合の本発明の内燃
機関用点火装置の断面図。
【図8】エンジンのシリンダヘッドがアルミニウム製で
シリンダヘッドカバーが熱硬化性樹脂製である場合の本
発明の内燃機関用点火装置の断面図。
【図9】内燃機関のシリンダヘッドがアルミニウム製で
シリンダヘッドカバーが熱硬化性樹脂製,鉄製プラグチ
ューブがエンジンのプラグホール部に収納されている場
合の本発明の内燃機関用点火装置の断面図。
【図10】(a)はマグネットがセンタコアの上部に位
置している本発明の内燃機関用点火装置のセンタコアと
マグネットの位置関係図、(b)はマグネットがセンタ
コアの下部に位置している本発明の内燃機関用点火装置
のセンタコアとマグネットの位置関係図、(c)は二個
のマグネットがセンタコアの上部と下部に位置している
本発明の内燃機関用点火装置のセンタコアとマグネット
の位置関係図。
【図11】点火装置の取付位置がセンタコアの上端より
低く位置する場合の本発明の内燃機関用点火装置の他の
実施例を示す断面図。
【図12】本発明の内燃機関用点火装置で発生した熱の
流れを示す説明図。
【図13】本発明の内燃機関用点火装置の外装ケースの
イグナイタケースユニットの回路図。
【図14】本発明による一実施例の内燃機関用点火装置
の構成を示す断面図である。
【図15】図14の実施例の主要構成部品の展開図であ
る。
【図16】図14の実施例を内燃機関に搭載した状態の
断面図である。
【図17】本発明による一実施例のイグナイタケースの
鳥瞰図である。
【図18】本発明による一実施例のコイルケースの鳥瞰
図である。
【図19】本発明による一実施例のコイルケースとイグ
ナイタケースとの結合部において両者を一体に結合した
状態を示す断面図である。
【図20】本発明による他の実施例のコイルケースとイ
グナイタケースとの結合部において両者を一体に結合し
た状態を示す断面図である。
【図21】本発明による別の実施例のコイルケースとイ
グナイタケースとの結合部において両者を一体に結合し
た状態を示す断面図である。
【図22】本発明による一実施例の内燃機関用点火装置
を示す部分断面図である。
【図23】図22の内燃機関用点火装置を示す鳥瞰図で
ある。
【図24】図22の内燃機関用点火装置と内燃機関の一
部を示す鳥瞰図である。
【図25】本発明による一実施例のシールゴムを示す断
面図である。
【図26】図25のシールゴムを用いた内燃機関用点火
装置のシール構造を示す断面図である。
【図27】本発明による他の実施例のシールゴムを示す
断面図である。
【図28】図27のシールゴムを用いた内燃機関用点火
装置のシール構造を示す断面図である。
【符号の説明】
11…一次ボビン、12…一次コイル、13…二次ボビ
ン、14…二次コイル、15…外装ケース、17…セン
タコア、18…サイドコア、18a…内側珪素鋼板、1
8a1,18b1…スリット、18b…外側珪素鋼板、
20…マグネット、41…シリンダヘッド、42…シリ
ンダヘッドカバー、43…プラグホール部、44…点火
プラグ、4205…鉄製プラグチューブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 英一郎 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内 (72)発明者 安蔵 洋一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 渡辺 博 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 中林 研司 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】センタコア,一次ボビンに巻装された一次
    コイル,二次ボビンに巻装された二次コイル,外装ケー
    ス、前記外装ケースの外周に配置された珪素鋼板製のサ
    イドコアとからなり、前記一次コイルと前記二次コイル
    は前記センタコアと前記外装ケースとの間に配置された
    内燃機関用点火装置で、この点火装置はエンジンの少な
    くともシリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとで形成
    されたプラグホール部に収納されたものにおいて、 前記サイドコアは、磁束の1ターンショートを防止する
    スリットを有し、前記エンジンの要求二次電圧以上の所
    定の二次電圧が得られることを特徴とする内燃機関用点
    火装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記サイドコアは、ス
    リットを有する一枚の方向性珪素鋼板及びスリットを有
    する一枚の無方向性珪素鋼板のいずれかからなることを
    特徴とする内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記サイドコアは、少
    なくとも二枚の方向性珪素鋼板の積層構造からなり、各
    方向性珪素鋼板はそれぞれスリットを有し、これらのス
    リットはほぼ同じ位置に整列させたことを特徴とする内
    燃機関用点火装置。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記サイドコアは、ス
    リットを有する少なくとも一枚の無方向性珪素鋼板とス
    リットを有する少なくとも一枚の方向性珪素鋼板の積層
    構造からなり、前記少なくとも一枚の無方向性珪素鋼板
    の前記スリットと前記少なくとも一枚の方向性珪素鋼板
    の前記スリットはほぼ同じ位置に整列させたことを特徴
    とする内燃機関用点火装置。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記シリンダヘッドと
    前記シリンダヘッドカバーがともにアルミニウム製の場
    合、前記サイドコアは板厚0.3〜0.5mmの二枚または
    三枚の方向性珪素鋼板をほぼ管状に丸めて重ねて合計板
    厚を0.6mm 以上とし、各方向性珪素鋼板はそれぞれス
    リットを有し、これらのスリットはほぼ同じ位置に整列
    させたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記サイドコアの上端
    は、前記シリンダヘッドの上端と同じ程度かあるいは前
    記センタコアの上端よりも下方であることを特徴とする
    内燃機関用点火装置。
  7. 【請求項7】請求項1において、前記シリンダヘッドが
    アルミニウム製で前記シリンダヘッドカバーが熱可塑性
    合成樹脂製の場合、前記サイドコアは板厚0.3〜0.5
    mmの二枚または三枚の方向性珪素鋼板をほぼ管状に丸め
    て重ねて合計板厚を0.6mm以上とし、各方向性珪素鋼
    板はそれぞれスリットを有し、これらのスリットはほぼ
    同じ位置に整列させたことを特徴とする内燃機関用点火
    装置。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記サイドコアの上端
    は、前記シリンダヘッドの上端と同じ程度かあるいは前
    記センタコアの上端よりも下方であることを特徴とする
    内燃機関用点火装置。
  9. 【請求項9】請求項1において、前記エンジンの前記プ
    ラグホール部に鉄製プラグチューブが圧入されている場
    合、前記サイドコアは、スリットを有する板厚0.3〜
    0.5mmの一枚の無方向性珪素鋼板またはスリットを有
    する板厚0.3〜0.5mmの一枚の方向性珪素鋼板からな
    ることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  10. 【請求項10】請求項9において、前記サイドコアの上
    端は、前記シリンダヘッドカバーの上端と同じ程度かあ
    るいは前記センタコアの上端よりも下方であることを特
    徴とする内燃機関用点火装置。
  11. 【請求項11】請求項5において、前記エンジンの前記
    プラグホール部に鉄製プラグチューブが圧入されている
    場合、前記サイドコアは、スリットを有する板厚0.3
    〜0.5mmの一枚の無方向性珪素鋼板またはスリットを
    有する板厚0.3〜0.5mmの一枚の方向性珪素鋼板から
    なることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  12. 【請求項12】請求項11において、前記サイドコアの
    上端は、前記シリンダヘッドの上端と鉄製プラグチュー
    ブとの上端のいずれか高い方の上端と同じ程度かあるい
    は前記センタコアの上端よりも下方であることを特徴と
    する内燃機関用点火装置。
  13. 【請求項13】請求項1において、前記センタコアの少
    なくとも一端に、前記一次コイルにより形成された磁束
    と反対方向の磁束を磁路中に発生させるマグネットを備
    えたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
  14. 【請求項14】電気的に接続され近接配置されたコネク
    タを有するイグナイタ部及びコイル部と、該イグナイタ
    部及び該コイル部を収容する収納体とを備える内燃機関
    用点火装置において、 前記収納体は、前記コイル部を収容し、標準化されてい
    る内燃機関のプラグホール内に挿入されるコイル収納部
    と、前記イグナイタ部を収容し、前記プラグホール外に
    あって異なる仕様の相手コネクタに接続される前記コネ
    クタを有するイグナイタ収納部とに2分割され、 該コイル収納部と該イグナイタ収納部は、前記2分割さ
    れた部位にて一体に結合されていることを特徴とする内
    燃機関用点火装置。
  15. 【請求項15】電気的に接続され近接配置されたコネク
    タを有するイグナイタ部及びコイル部と、該イグナイタ
    部及び該コイル部を収容する収納体と、該収納体に嵌挿
    されて当該収納体が挿入される内燃機関のプラグホール
    内外の環境を隔絶するシール体とを備え、 前記収納体は、前記シール体が嵌挿されている部位に
    て、前記コイル部を収容し前記プラグホール内に挿入さ
    れるコイル収納部と、前記イグナイタ部を収容し前記プ
    ラグホール外にて異なる仕様の相手コネクタに接続され
    る前記コネクタを有するイグナイタ収納部とに2分割さ
    れ、 該コイル収納部と該イグナイタ収納部は、前記2分割さ
    れた部位にて一体に結合されていることを特徴とする内
    燃機関用点火装置。
  16. 【請求項16】請求項14または請求項15において、
    前記コイル収納部は、耐熱性,耐電圧性に優れる材料特
    性を有する基材樹脂に、前記コイル部を絶縁する絶縁用
    樹脂との密着性に優れる材料特性を有する配合剤を混ぜ
    合わせた混合材料から形成されていることを特徴とする
    内燃機関用点火装置。
  17. 【請求項17】請求項16において、前記基材樹脂はポ
    リフェニレンサルファイド樹脂であり、前記配合剤は変
    性ポリフェニレンオキサイド樹脂であることを特徴とす
    る内燃機関用点火装置。
  18. 【請求項18】請求項14または請求項15において、
    前記コイル収納部は、ポリフェニレンサルファイド樹脂
    から形成されていることを特徴とする内燃機関用点火装
    置。
  19. 【請求項19】請求項14または請求項15において、
    前記コイル収納部と前記イグナイタ収納部との結合部
    は、当該コイル収納部の軸方向に対し垂直なる当接面
    と、当該コイル収納部の軸心に同心となる当接面とを有
    していることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  20. 【請求項20】請求項14または請求項15において、
    前記コイル収納部と前記イグナイタ収納部との結合は、
    予め形成した前記コイル収納部に前記イグナイタ収納部
    を一体形成して結合するものであることを特徴とする内
    燃機関用点火装置。
  21. 【請求項21】内側円管の端部が外側円管の端部より凹
    んでいる同心二重円管状からなり底部に点火プラグを収
    容している内燃機関のプラグホールに、軸方向に挿入さ
    れる円筒部と、該プラグホ−ル内への浸水を防止するよ
    う前記円筒部に嵌挿されているシールゴムとを備え、 前記シールゴムは、軸方向から前記外側円管端部に当接
    して軸方向に撓み得てかつ該外側円管端部の径方向のず
    れを逃げ得る広さの、延展面が径方向に形成されている
    鍔部と、 挿入時に前記内側円管に当接して当該シールゴムをガイ
    ドするよう、前記点火プラグの方向に向かってテーパ状
    となっている円錐部とを有していることを特徴とする内
    燃機関用点火装置。
  22. 【請求項22】請求項21において、前記鍔部は、軸方
    向に撓み変形した当該鍔部の膨らみを逃がしうる空隙
    を、前記円筒部との間に形成していることを特徴とする
    内燃機関用点火装置。
  23. 【請求項23】請求項21において、前記円筒部は、前
    記円錐部の円錐先端部よりも前記点火プラグ寄りの部位
    に、該円錐先端部の外径よりも小さい外径に形成された
    突起部を有することを特徴とする内熱機関用点火装置。
  24. 【請求項24】請求項21または請求項22または請求
    項23において、前記シールゴムは、前記円錐先端部を
    含み内径φD1を有する前記円錐部と、内径φD2を有
    する内側円筒部と、前記各内径寸法がφD1<φD<φ
    D2の関係となっている段付き部とを有することを特徴
    とする内燃機関用点火装置。ただし、φDは、円筒部の
    外径。
  25. 【請求項25】円管状の先端部を有し底部に点火プラグ
    を収容している内燃機関のプラグホールに軸方向に挿入
    される円筒部と、該プラグホ−ル内への浸水を防止する
    よう前記円筒部に嵌挿されているシールゴムとを備える
    内燃機関用点火装置において、 前記シールゴムは、軸方向から前記先端部に当接して軸
    方向に撓み得てかつ該先端部の径方向のずれを逃げ得る
    広さの、延展面が径方向に形成されている鍔部と、 挿入時に前記プラグホ−ルの内面に当接して当該シール
    ゴムをガイドしつつ径方向に撓みを形成し、かつ当該撓
    みを吸収しうる空隙を内部に形成している、両テーパ面
    を有する山形円錐部とを、有していることを特徴とする
    内燃機関用点火装置。
JP9067711A 1996-03-21 1997-03-21 内燃機関用点火装置 Pending JPH1012466A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9067711A JPH1012466A (ja) 1996-03-21 1997-03-21 内燃機関用点火装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6409296 1996-03-21
JP8-64092 1996-03-21
JP9067711A JPH1012466A (ja) 1996-03-21 1997-03-21 内燃機関用点火装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004117028A Division JP4038489B2 (ja) 1996-03-21 2004-04-12 内燃機関用点火装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1012466A true JPH1012466A (ja) 1998-01-16

Family

ID=26405225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9067711A Pending JPH1012466A (ja) 1996-03-21 1997-03-21 内燃機関用点火装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1012466A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003071562A1 (fr) * 2002-02-21 2003-08-28 Hitachi, Ltd. Bobine d'allumage pour moteur a combustion interne
JP2007188960A (ja) * 2006-01-11 2007-07-26 Denso Corp 点火コイルの配設構造
JP2008014247A (ja) * 2006-07-06 2008-01-24 Denso Corp 点火コイル
JP2008166540A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Electric Corp 内燃機関用点火装置
JP2009105373A (ja) * 2007-10-01 2009-05-14 Denso Corp 点火コイル
JP2009121383A (ja) * 2007-11-16 2009-06-04 Hanshin Electric Co Ltd 内燃機関用点火コイル
JP2009156251A (ja) * 2007-08-23 2009-07-16 Denso Corp プラズマ式点火装置
JP2009184108A (ja) * 2009-04-22 2009-08-20 Fujitsu Component Ltd 導波路成形用型の研磨治具
JP2019110167A (ja) * 2017-12-15 2019-07-04 清和工業株式会社 イグニッションコイル

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003071562A1 (fr) * 2002-02-21 2003-08-28 Hitachi, Ltd. Bobine d'allumage pour moteur a combustion interne
JP2007188960A (ja) * 2006-01-11 2007-07-26 Denso Corp 点火コイルの配設構造
JP2008014247A (ja) * 2006-07-06 2008-01-24 Denso Corp 点火コイル
JP2008166540A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Mitsubishi Electric Corp 内燃機関用点火装置
US7574998B2 (en) 2006-12-28 2009-08-18 Mitsubishi Electric Corporation Ignition apparatus for an internal combustion engine
JP2009156251A (ja) * 2007-08-23 2009-07-16 Denso Corp プラズマ式点火装置
JP2009105373A (ja) * 2007-10-01 2009-05-14 Denso Corp 点火コイル
JP2009121383A (ja) * 2007-11-16 2009-06-04 Hanshin Electric Co Ltd 内燃機関用点火コイル
JP2009184108A (ja) * 2009-04-22 2009-08-20 Fujitsu Component Ltd 導波路成形用型の研磨治具
JP2019110167A (ja) * 2017-12-15 2019-07-04 清和工業株式会社 イグニッションコイル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100478171B1 (ko) 내연기관용점화장치
WO1998053467A1 (fr) Bobine d'allumage pour moteur et moteur pourvu d'un capot en plastique
JP3355252B2 (ja) プラグキャップ一体式点火コイル
JP2007081085A (ja) 内燃機関用点火コイル
JPH1012466A (ja) 内燃機関用点火装置
US6308696B1 (en) Ignition apparatus for use in internal combustion engine
US6810868B2 (en) Ignition coil for internal combustion engine
US6559747B2 (en) Ignition coil
JP3561121B2 (ja) 内燃機関用点火コイル
JP2008166582A (ja) 内燃機関用点火コイル
JPH0917662A (ja) 内燃機関用点火装置
JP4332571B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP4038489B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP4969512B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP3698811B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP3115240B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP4161979B2 (ja) 内燃機関用点火装置
US20030037745A1 (en) Connection of wire to printed circuit board (PCB)
JP2006324698A (ja) 内燃機関用点火装置
JPH11230015A (ja) 内燃機関用点火コイル
JP4462076B2 (ja) 点火コイル
JPH1126267A (ja) エンジン用点火コイル装置、及びプラスチックヘッドカバー付きエンジン
JP2864456B2 (ja) 内燃機関の点火コイル
JP3828596B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP2004048021A (ja) 点火回路ユニット一体型点火コイル

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040412

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040615