JPH1012447A - パルストランス磁心 - Google Patents

パルストランス磁心

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JPH1012447A
JPH1012447A JP16491896A JP16491896A JPH1012447A JP H1012447 A JPH1012447 A JP H1012447A JP 16491896 A JP16491896 A JP 16491896A JP 16491896 A JP16491896 A JP 16491896A JP H1012447 A JPH1012447 A JP H1012447A
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JP
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magnetic core
pulse transformer
core body
less
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Application number
JP16491896A
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English (en)
Inventor
Yutaka Naito
豊 内藤
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
Yoshiaki Jinbo
義明 神保
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型でかつ少ない巻線数でISDN用の伝送
特性を満たすことができるパルストランスを実現すると
ともに、パルストランスの大きさの制約の中でインダク
タンス値を向上できるようにしたパルストランス磁心を
提供する。 【解決手段】 軟磁性合金薄帯2をトロイダル状に巻回
してなる磁心本体3と、磁心本体3を収容し一面に開口
部1aを有する磁心本体収容ケース1からなるパルスト
ランス磁心を構成する。磁心本体3は軟磁性合金薄帯を
積層して構成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型化に好適に対
応でき、かつインダクタンス値を向上できるようにした
パルストランス磁心に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の分野において、小型
化、薄型化、高性能化が推し進められているが、特にI
SDN(統合デジタル通信網)等のインターフェース用
のパルストランスにあっては、ITU-T勧告I.430等
の厳しい規格に合致した電気的特性を満たす必要があ
る。前記規格に記載されている電気的特性の規定におい
て、パルストランスの1次巻線インピーダンスは、10
kHzで1250Ω、100kHzで2500Ω以上が
必要であり、それぞれインダクタンスに換算すると、2
0mH、4mHとなる。また、出力パルス電圧波形は、
前記規格に記載されているパルスマスクの範囲内に入ら
なければならず、インダクタンス値は、周波数に対して
できる限りフラットであることが望まれる。一方、パル
ストランスに対しては、PCカード等への搭載のため
に、小型化の要求が強く、例えば、PCMCIAカード
(ノートパソコン用のインターフェース規格カードの1
種)の内部基板上に実装するためには、カード自体の厚
さが5mm程度であるのでパルストランスの高さを3m
m以下にしなくてはならない制約がある。また、この場
合の実装面積としては、一般に、14.0mm×14.0
mm程度以下とする必要がある。
【0003】以上のような背景から、現在、ISDN用
のパルストランスの磁心材料には、主に高透磁率フェラ
イトが用いられ、トランスの磁心形状としては、結合面
を鏡面加工したEI型あるいはEE型のものが用いられ
ている。前記のEI型磁心とは、E型のコア材とI型の
コア材を突き合わせて一体化するものであり、E型コア
材に巻線を施してトランスを構成する。また、EE型磁
心とは、E型のコア材を互いに合致するように突き合わ
せて一体化したものである。
【0004】現在、ISDN用のパルストランス磁心に
用いられている高透磁率フェライトの初透磁率の公称値
は、10000〜12000であるが、フェライトの初
透磁率は温度に対する変動が大きく、−20℃付近では
公称値の−40%程度の値となることが知られている。
従って、−40℃付近〜+100℃付近の温度範囲でパ
ルストランスの動作を保証するためには、フェライト磁
心を用いる場合、公称値よりも遥かに低い初透磁率でト
ランスの設計を行わなくてはならない問題があった。こ
のため、ISDN用のパルストランスに必要とされるイ
ンダクタンスを得るためには、磁心の有効断面積を大き
くするか巻数を多くすることが必要となる。しかしなが
ら、従来構造のパルストランスにおいて巻数を多くする
と、漏れインダクタンスが増大すること、巻線コイルの
電位差のある部分(例えば、巻き始めと巻き終わり)の
接近が避けられず、浮遊容量の増大を招くことになる。
このため、トランスの伝送周波数帯域が狭くなり、波形
の伝送忠実度を劣化させる。また一方、磁心の有効断面
積を大きくするとパルストランス全体を小型化できない
という問題がある。このため、フェライト磁心を用いて
前記実装面積でISDN用の伝送特性の優れたパルスト
ランスを製作しようとしても、トランスの高さを3mm
以下にすることは困難である。なお、一部では、薄いフ
ェライト磁心を用いて巻線数を100ターン以上の数に
増加することで、要求される特性の最低範囲に到達でき
た構成も知られているが、この構成では巻線数が多く、
100ターン以下の巻数で前述の如く要求される特性を
満たすことはできなかった。
【0005】そこで本発明者等は先に、広い温度範囲で
インピーダンスの周波数特性と伝送特性に優れたパルス
トランスを実現できるとともに、トランスの高さを3m
m以下に形成しても巻線数が少なくて済むパルストラン
スを提案した(特願平8−50545号;平成8年3月
7日出願)。図4はこの先願のパルストランス磁心の一
例を示した分解図である。この例のパルストランス磁心
は、軟磁性合金薄帯2を巻回してなる磁心本体7を用い
たもので、磁心本体7は保護、絶縁、および巻線の保護
のために、その表面に樹脂被覆が施され、かつ上下2つ
割中空円環状の上ケース5と下ケース6からなる磁心本
体収容ケース内に収納されている。またこの構成におい
て、上ケース5および下ケース6を用いず、表面を樹脂
被覆しただけの磁心本体7を用いてパルストランスを構
成することもできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁心本
体7を上ケース5および下ケース6内に収納すること
は、パルストランスを小型機器等に実装するためにその
外形寸法が制限されている場合、これらのケース5,6
の大きさの分だけ磁心本体7の断面積が小さくなってし
まうので、インダクタンスが低下するという欠点があっ
た。また、磁心本体7の表面を樹脂で被覆することは、
被覆樹脂による応力によって、インダクタンスの低下を
招くという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、小型でかつ少ない巻線数でISDN用の伝
送特性を満たすことができるパルストランスを実現する
とともに、パルストランスの大きさの制約の中でインダ
クタンス値を向上できるようにすることにある。具体的
には、軟磁性合金薄帯を用いた先願のパルストランス磁
心における磁心の断面積を増加できるようにし、また被
覆樹脂による応力発生を防止できるようにすることを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るパルストラ
ンス磁心は前記課題を解決するために、軟磁性合金薄帯
をトロイダル状に巻回してなる磁心本体、または軟磁性
合金薄帯を積層してなる磁心本体と、前記磁心本体を収
容し一面に開口部を有する磁心本体収容ケースからなる
ことを特徴とする。本発明では、前記磁心本体収容ケー
スの内周端縁部および外周端縁部が、0.05mm〜
0.4mmの曲率半径を有する曲面で形成されているこ
とが好ましい。また前記磁心本体に、硬化前粘度が1P
a・s以下かつ硬化後にゲル状となるシリコーンゴムを
含浸させることが好ましい。さらに、磁心本体に、硬化
前粘度が1.5Pa・s以下かつ硬化後硬さ10(JI
S A)以下のシリコーンゴムを含浸させてなり、該シ
リコーンゴムが、前記磁心本体と磁心本体収容ケースと
を固定する接着部材を兼ねていることが好ましい。また
前記磁心本体と磁心本体収容ケースとを固定する接着部
材として、硬化前粘度が2Pa・s以下かつ硬化後硬さ
25(JIS A)以下のシリコーンゴムを使用するこ
とが好ましい。さらに前記接着部材は、前記磁心本体収
容ケースの底面の2〜4箇所に塗布されていることが好
ましい。本発明では、前記磁心本体収容ケースの外径が
10mm以下、内径が3.5mm以上、高さが1.3m
m以下であり、0.1V入力時のAL値が10kHzに
おいて6.0μH/N2以上である構成とすることができ
る。
【0009】また本発明では、前記軟磁性合金を、その
組織の50%以上を平均結晶粒径30nm以下の体心立
方構造の微細な結晶粒を主体として構成され、Feを主
成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素
と、Si及び又はBを含んだものとすることができる。
次に前記軟磁性合金を次式で示される組成を有するもの
とすることができる。Febxy 但し、Mは、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、組成比
を示すb、x、yは、75≦b≦93原子%、0.5≦x≦1
8原子%、4≦y≦9原子%である。前記軟磁性合金を
次式で示される組成を有するものとすることができる。
FebxyZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれた1種また
は2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、Ga
のうちの1種または2種以上の元素であり、組成比を示
すb、x、y、zは、75≦b≦93原子%、0.5≦x≦1
8原子%、4≦y≦9原子%、zは4原子%以下である。
前記軟磁性合金を次式で示される組成を有するものとす
ることができる。Febxyd 但し、Mは、Ti、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、Tは、C
u、Ag、Au、Pd、Ptからなる群から選ばれた1
種または2種以上の元素であり、組成比を示すb、x、y
、dは、75≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子
%、4≦y≦9原子%、dは4.5原子%以下である。前
記軟磁性合金を次式で示される組成を有するものとする
ことができる。FebxydZ 但し、Mは、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、Tは、
Cu、Ag、Au、Pd、Ptからなる群から選ばれた
1種または2種以上の元素であり、XはSi、Al、G
e、Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組
成比を示すb、x、y、d、zは、75≦b≦93原子%、
0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子%、dは4.5原
子%以下、zは4原子%以下である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は本実施例のパルストランス磁心の一
実施例を示すもので、図2は図1で使用されている磁心
本体収容ケース1のA−A線に沿う断面図である。本実
施例のパルストランス磁心は、トロイダル形状で実現さ
れており、中空円環状の磁心本体収容ケース1の内部
に、軟磁性合金薄帯2をトロイダル状に巻回してなる磁
心本体3が収容されている。
【0011】磁心本体収容ケース1は、上面に開口部1
aを有しており、この開口部1aが蓋体等によって閉じ
られていない構成となっている。磁心本体収容ケース1
をこのような構成とすることにより、パルストランス磁
心全体の外形寸法に対して、蓋体等が無い分だけ磁心本
体収容ケース1の容積を大きくすることができる。した
がって、例えば図4に示したような上ケース5と下ケー
ス6とからなる収容ケースを用いる場合に比べて、パル
ストランス磁心全体の外形寸法は変えずに、磁心本体3
の断面積を大きくしてインダクタンスを向上させること
が可能である。あるいは上ケース5と下ケース6とから
なる収容ケースを用いる場合と磁心本体3の断面積を等
しくすれば、パルストランス磁心全体を小型化すること
ができる。
【0012】磁心本体収容ケース1の内周端縁部1b,
1cおよび外周端縁部1d,1eは、いずれも曲率半径
0.05mm〜0.4mmの曲面で形成されている。こ
れらの曲率半径が0.05mmより小さいと磁心本体収
容ケース1内に磁心本体3を収容し、磁心本体収容ケー
ス1の周囲にコイル巻線10を施してトランスを構成し
た際に、内周端縁部1b,1cや外周端縁部1d,1e
でコイル巻線10の被覆層が損傷したり、断線が生じる
恐れがある。また上記曲率半径が0.4mmより大きい
と磁心本体収容ケース1の肉厚が厚くなり、磁心本体3
の断面積を減少させなければならなくなり、その結果A
L値が減少するので好ましくない。この磁心本体収容ケ
ース1は、例えばポリアセタール樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂等の樹脂を好ましく用いて形成され
る。
【0013】また、磁心本体収容ケース1の底面1f上
の2箇所には磁心本体3と磁心本体収容ケース1とを固
定するための接着部材4が塗布されている。接着部材4
を塗布する位置の数は、磁心本体3と磁心本体収容ケー
ス1とを安定して固定するためには少なくとも2箇所は
必要であるが、多すぎると接着部材4の収縮応力により
AL値が劣化するので好ましくない。したがって接着部
材4を塗布する位置の数は2〜4箇所の範囲とするのが
好ましい。接着部材4としては、硬化前の粘度が2Pa
・s以下かつ硬化後の硬さが25(JIS A)以下で
あるシリコーンゴムが好適に用いられる。接着部材4の
硬化前の粘度がこれより大きいと、磁心本体3が磁心本
体収容ケース1の底部より浮き、磁心本体収容ケース1
からはみ出してしまうため好ましくない。また硬化後の
硬さがこれより硬いと接着部材による収縮応力によりA
L値が劣化するため好ましくない。接着部材4の塗布量
は、磁心本体収容ケース1と磁心本体3とを固定できる
範囲で、できるだけ少ない方が好ましい。
【0014】本実施例における磁心本体3は、後述する
組成の軟磁性合金薄帯2を後述する急冷法で製造した
後、この軟磁性合金薄帯2を円環状に巻回した後、好ま
しくはシリコーンゴムを含浸し、硬化させて構成されて
いる。磁心本体3の高さは、大きいほどインダクタンス
を向上できるが、磁心本体3を磁心本体収容ケース1に
収容し、その周囲にコイル巻線10を施してトランスを
構成した状態で、磁心本体3の上面とコイル巻線10と
が接触すると、コイル巻線10のすべりが悪くなり断線
等が生じる恐れがあるので、磁心本体3の高さは磁心本
体収容ケース1の内寸の高さよりも0〜0.05mm程
度小さくなるようにするのが好ましい。磁心本体3の外
径および内径は、磁心本体3を磁心本体収容ケース1内
に挿入可能な範囲で、外径は大きく内径は小さくして磁
心本体3の断面積ができるだけ大きくなるようにするこ
とが好ましい。
【0015】また、磁心本体3に含浸させるシリコーン
ゴムは、硬化前の粘度が1Pa・s以下かつ硬化後ゲル
状となるものが好ましく用いられる。このシリコーンゴ
ムの硬化前の粘度が大き過ぎると磁心本体3の層間にシ
リコーンゴムが浸透し難いので好ましくなく、硬化後に
硬くなると、シリコーンゴムの応力によりAL値が劣化
するといった不都合が生じる。また磁心本体3に含浸さ
せるシリコーンゴムが、磁心本体3と磁心本体収容ケー
ス1とを固定するための接着部材を兼ねるようにするこ
ともでき、この場合には硬化前粘度が1.5Pa・s以
下かつ硬化後硬さ10(JIS A)以下のシリコーン
ゴムが好適に用いられる。さらに磁心本体3にシリコー
ンゴムを含浸させない構成とすることもできるが、上記
の性質を有するシリコーンゴムを磁心本体3に含浸させ
ると、磁心本体3を磁心本体収容ケース1内に固定する
時に発生する応力によるAL値の劣化や、高温時のAL
値の劣化を抑えることができるので好ましい。
【0016】ここで、本実施例では、軟磁性合金薄帯2
を巻回してトロイダル形状の磁心本体3を構成している
が、軟磁性合金薄帯をリング状にプレス打ち抜きし、こ
のリングを必要枚数積層して磁心本体を構成してもよ
い。また、磁心本体3の形状をEIコア型としてもよ
い。EIコア型の磁心を実現するためには、軟磁性合金
薄帯をE型あるいはI型になるようにプレス打ち抜きし
てE型の薄片とI型の薄片を複数作成した後、E型薄片
どうしあるいはI型の薄片どうしを積層してE型コアと
I型コアを作成し、それらを接合することで磁心本体を
形成することができる。そして、この磁心本体を一面に
開口部を有する磁心本体収容ケースに収容してパルスト
ランス磁心が得られる。さらに、磁心本体は、E型とI
型コアを組み合わせたものに限定されず、同様にしてE
型コアとE型コア、U型コアとI型コア、あるいはU型
コアとU型コアを組み合わせたものであっても差し支え
ない。
【0017】前記軟磁性合金薄帯2を構成する軟磁性合
金としては、Feを主成分とし、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれた1種
または2種以上の元素と、Bを含み、非晶質相の中に微
細結晶粒が多数析出した組織のものが好適である。ま
た、下記の各式で示される組成の軟磁性合金が特に好適
である。 Febxy FebxyZ Febxyd FebxydZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、X
は、Si、Al、Ge、Gaのうちの1種または2種以
上の元素であり、組成比を示すb、x、y、d、zは、75
≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原
子%、dは4.5原子%以下、zは4原子%以下である。
これらの組成の軟磁性合金において、Feの添加量を示
すbの値は、93原子%以下である。これは、bが93原
子%を超えると液体急冷法によって非晶質単相を得るこ
とが困難になり、この結果、熱処理してから得られる合
金の組織が不均一になって高い透磁率が得られないため
である。また、飽和磁束密度10kG以上を得るために
は、bが75原子%以上であることがより好ましいのでb
の範囲を75〜93原子%とすることが好ましい。
【0018】また、Bには、軟磁性合金の非晶質形成能
を高める効果、結晶組織の粗大化を防ぐ効果、および熱
処理工程において磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の
生成を抑制する効果がある。また、本来、α-Feに対
してZr、Hf、Nb等はほとんど固溶しないが、合金
の全体を急冷して非晶質化することで、Zr、Hf、N
b等を過飽和に固溶させ、この後に施す熱処理によりこ
れら元素の固溶量を調節して一部結晶化し、微細結晶相
として析出させることで、得られる合金薄帯の磁歪を小
さくし、軟磁気特性を向上させることができる。また、
微結晶相を析出させ、その微結晶相の結晶粒の粗大化を
抑制するには、結晶粒成長の障害となり得る非晶質相を
粒界に残存させることが必要である。さらに、この粒界
非晶質相は、熱処理温度の上昇によってα−Feから排
出されるZr、Hf、Nb等のM元素を固溶することで
軟磁気特性を劣化させるFe−M系化合物の生成を抑制
する。よって、Fe−Zr(Hf,Nb)系の合金にB
を添加することが重要となる。Bの添加量を示すXが、
0.5原子%を下回る場合、粒界の非晶質相が不安定と
なるため、十分な添加効果が得られない。また、Bの添
加量を示すXが18原子%を超えると、B-M系およびF
e-B系において、ホウ化物の生成傾向が強くなり、こ
の結果、微細結晶組織を得るための熱処理条件が制約さ
れ、良好な軟磁気特性が得られなくなる。このように適
切な量のBを添加することで析出する微細結晶相の平均
結晶粒径を30nm以下に調整することができる。
【0019】また、前記非晶質相を得やすくするために
は、非晶質形成能の特に高いZr、Hf、Nbのいずれ
かを含むことが好ましく、Zr,Hf,Nbの一部は他
の4A〜6A族元素のうち、Ti,V,Ta,Mo,W
のいずれかと置換することができる。このようなM元素
は、比較的遅い拡散種であり、M元素の添加は、微細結
晶核の成長速度を小さくする効果を持つと考えられ、組
織の微細化に有効である。しかし、M元素の添加量を示
すyが4原子%を下回る値になると、核成長速度を小さ
くする効果が失われ、この結果、結晶粒径が粗大化し良
好な軟磁性が得られない。Fe-Hf-B系合金の場合、
Hf=5原子%での平均結晶粒径は13nmであるのに
対してHf=3原子%では39nmと粗大化する。他
方、M元素の添加量を示すyが9原子%を超えると、M-
B系またはFe-M系の化合物の生成傾向が大きくな
り、良好な特性が得られない他、液体急冷後の薄帯状合
金が脆化し、所定の磁心形状等に加工することが困難と
なる。よって、yの範囲を4〜9原子%とすることが好
ましい。
【0020】これらの元素の中でもNbとMoは、酸化
物の生成自由エネルギーの絶対値が小さく、熱的に安定
であり、製造時に酸化しづらいものである。よって、こ
れらの元素を添加している場合は、製造条件が容易で安
価に製造することができ、また、製造コストの面でも有
利である。また、Si,Al,Ge,Gaのうち1種ま
たは2種以上(X)を4原子%以下含有することが好ま
しい。これらの元素は半金属元素として知られるもので
あるが、これらの半金属元素は、非晶質形成能を増大さ
せ、またFeを主成分とするbcc相(体心立方晶の
相)に固溶し、合金の比抵抗や磁歪値を変化させる。そ
れらの元素の含有量が4原子%を超えると磁歪が大きく
なるか、飽和磁束密度が低下するか、透磁率が低下する
ので好ましくない。
【0021】更に、Cu,Ag,Au,Pd,Ptの1
種または2種以上(T)を4.5原子%以下含有させる
と、軟磁気特性が改善される。Cu等のように、Feと
固溶しない元素を微量添加することにより、急冷直後の
非晶質合金の組成が揺らぎ、Cuが結晶化の初期段階に
クラスターを形成し、相対的にFeリッチな領域が生
じ、α−Feの核生成頻度を増加させることができる。
また、結晶化温度を示差熱分析法により測定したとこ
ろ、上記Cu,Ag等の元素の添加は結晶化温度をやや
低めるようである。これは、これらの添加により非晶質
が不均一となり、その結果、非晶質の安定性が低下した
ことに起因すると考えられる。不均一な非晶質相が結晶
化する場合、部分的に結晶化しやすい領域が多数でき不
均一核生成するため、得られる組成が微細結晶粒組織と
なると考えられる。以上の観点からこれらの元素以外の
元素でも結晶化温度を低下させる元素には、同様の効果
が期待できる。
【0022】尚、これらの元素以外でも耐食性を改善す
るために、Cr,Ru,Rh,Irなどの白金族元素を
添加することも可能である。これらの元素は、5原子%
よりも多く添加すると、飽和磁束密度の劣化が著しくな
るため、添加量は5原子%以下に抑える必要がある。ま
た、他に、必要に応じてY,La,Ce,Pr,Nd,
Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu,Zn,Cd,In,Sn,Pb,A
s,Sb,Bi,Se,Te,Li,Be,Mg,C
a,Sr,Ba等の元素を添加することで得られる軟磁
性合金の磁歪を調整することもできる。その他、前記組
成系の軟磁性合金において、H、N、O、S等の不可避
的不純物については所望の特性が劣化しない程度に含有
していても本発明で用いる軟磁性合金の組成と同一とみ
なすことができるのは勿論である。
【0023】これらの元素を添加して前記軟磁性合金を
製造する場合、具体的には、溶湯を急冷する際に使用す
るるつぼのノズルの先端部に、不活性ガスを部分的に供
給しつつ大気中で製造、もしくは大気中の雰囲気で製造
することができる。また、前記の組成の合金は雰囲気調
整可能な減圧室で製造することが好ましく、るつぼ内の
溶湯を回転ドラム等の急冷装置に吹き付けて急冷するこ
とでリボン状の軟磁性合金薄膜を容易に得ることができ
る。急冷後の軟磁性合金薄帯は非晶質を主体とする組織
を有するが、これを熱処理することで、微細結晶粒を多
数析出させることができ、これにより高い飽和磁束密度
と優れた軟磁気特性を兼ね備えた合金薄帯を得ることが
できる。
【0024】次に、この軟磁性合金薄帯をトロイダル状
に巻回するか、もしくはプレス加工等で所定の形状に打
ち抜いて積層することにより磁心本体を形成し、さらに
好ましくはシリコーンゴムを含浸、硬化させた後、磁心
本体収容ケース内に固定することにより高い透磁率のパ
ルストランス磁心を得ることができるが、ここで用いる
軟磁性合金薄帯の厚さは10〜40μmの範囲で自由に
選択することができる。これは、軟磁性合金薄帯の厚さ
を10μmを下回る値にすることは現状の急冷法の製造
技術では難しく、軟磁性合金の厚さを40μmを上回る
値にすると非晶質相中に微細結晶粒を有する組織を得る
ことが出来難くなるからである。また、このようにして
得られるパルストランス磁心全体の大きさを外径10m
m以下、高さが1.3mm以下としても、0.1V入力時
のAL値が10kHzで6.0μH/N2以上、100k
Hzで2.0μH/N2以上を得ることができ、パルスト
ランス用の磁心として必要な特性を確保できるようにな
る。なおここで、AL値とは、巻線数1ターン当たりの
インダクタンスを示し、リング状磁心の断面積をS、磁
路長をlとした場合に、AL値=μ0μ'(S/l)(単
位は、H/N2、μ0は真空の透磁率、μ'は材料の比透
磁率である)の式で示される値である。
【0025】また、前記の組成系の合金を用いた磁心で
あれば、−40℃〜+100℃の温度範囲において室温
に対するAL値の変動を±20%にすることができ、さ
らに軟磁性合金薄帯の磁歪の絶対値が1×10-6以下で
あるので、例えば巻線を施し、それをトランスケースに
入れ、さらに樹脂で封止した場合等、外部応力がかかっ
た場合に磁歪により特性劣化を起こすおそれも少ない。
また、前記の構成であれば、実装面積14.0mm×1
4.0mm以下で高さ2.5mm以下のパルストランス
を実現することができる。また、前記の組成系であれ
ば、10kHzでの透磁率が40000以上のものが容
易に得られるので、優れたパルストランスを得ることが
できる。なお、磁心のインダクタンスが100kHz以
下で安定して高い値であれば、パルス波形を形の崩れて
いない整った矩形波として伝送することができる。なお
また、軟磁性合金薄帯を巻回してなるトロイダル形状の
磁心にあっては、形成できる薄帯の幅において0.8m
m程度が限界と思われるので、これ以上薄い磁心の製造
には無理があると思われるが、軟磁性合金薄帯から打ち
抜いたリングを積層してなる磁心本体の構造では、0.
8mm程度よりも薄い磁心本体を容易に製造することが
できるので、薄型化を図るのが容易である。
【0026】
【実施例】
「実施例1」Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1の組成を有
する幅0.9mmの軟磁性合金薄帯をトロイダル状に巻
回して磁心本体を作製し、650〜690℃の温度で熱
処理を行った。磁心本体の寸法は、外径8.8mm、内
径4.2mm、高さ0.9mmとした。熱処理後の磁心
本体を、硬化前粘度0.7Pa・sで硬化後ゲル状とな
るシリコーンゴム(TSE3051 東芝シリコーン社
製)に含浸させた後、110〜140℃の温度で加熱し
て硬化させた。一方、図1に示す形状の磁心本体収容ケ
ースをポリアセタール樹脂で作製し、底面上の2箇所に
硬化前粘度1.5Pa・s、硬化後硬さ19(JIS
A)のシリコーンゴム(TSE3991 東芝シリコー
ン社製)をそれぞれ1mm3ずつ塗布した。この磁心本
体収容ケースの寸法は、外寸で外径9.5mm、内径
3.5mm、高さ1.15mmで、肉厚は0.15mm
とした。また磁心本体収容ケースの内周端縁部および外
周端縁部は、いずれも曲率半径0.1mmの曲面で構成
した。そして、この磁心本体収容ケース内に上記磁心本
体を収容し、磁心本体収容ケース底面上のシリコーンゴ
ムを室温で硬化させて磁心本体を固定し、パルストラン
ス磁心を作製した。
【0027】「比較例1」上記実施例1において、磁心
本体をシリコーンゴムに含浸させない他は同様にしてパ
ルストランス磁心を作製した。 「試験例1」上記実施例1および比較例1の構成のパル
ストランス磁心各々について、磁心本体収容ケースに収
容する前の磁心本体、および磁心本体を磁心本体収容ケ
ースに固定して得られたパルストランス磁心のそれぞれ
に、コイル巻線してトランスを構成し、それぞれAL値
を測定した。AL値は0.1V入力時の10kHzにお
ける値を測定し、ケース収容前のAL値に対するケース
固定後のAL値の変化率を求めた。その結果を下記表1
に示す。尚、AL値の単位はμH/N2である。
【0028】
【表1】
【0029】「試験例2」上記実施例1および比較例1
で得られたパルストランス磁心について、それぞれにコ
イル巻線してトランスを構成した。そして環境温度を−
50℃〜100℃の範囲で変化させて、AL値を測定し
た。AL値は0.1V入力時の10kHzにおける値を
測定し、20℃でのAL値に対する変化率を求めた。そ
の結果を図3に示す。図3において、実線は実施例1の
パルストランス磁心を用いた場合、破線は比較例1のパ
ルストランス磁心を用いた場合をそれぞれ示す。
【0030】試験例1の結果より、磁心本体に、硬化後
にゲル状となるシリコーンゴムを含浸させることによ
り、磁心本体を磁心本体収容ケース内に固定する際に発
生する応力が緩和され、AL値の劣化が抑えられること
が認められる。また試験例2の結果より、磁心本体に、
硬化後にゲル状となるシリコーンゴムを含浸させること
により、高温時のAL値の劣化が抑えられることが認め
られる。
【0031】「実施例2」上記実施例1において、磁心
本体の寸法および磁心本体収容ケースの寸法(外寸)を
下記表2に示すように変えた他は同様にして、パルスト
ランス磁心を作製した。 「比較例2」図4に示すような上ケースと下ケースとか
らなる磁心本体収容ケースを用いた構成のパルストラン
ス磁心を作製した。磁心本体収容ケースの寸法(外寸)
および磁心本体の寸法は下記表2に示すように設定し
た。すなわち、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1の組成を
有する幅0.7mmの軟磁性合金薄帯をトロイダル状に
巻回して磁心本体を作製し、650〜690℃の温度で
熱処理を行った。熱処理後の磁心本体を、ポリアセター
ル樹脂製の磁心本体収容ケース(上ケース及び下ケー
ス)内に収納してパルストランス磁心を作製した。
【0032】「試験例3」実施例2および比較例2で得
られたパルストランス磁心にそれぞれコイル巻線してト
ランスを構成し、0.1V入力時の10kHzにおける
AL値を測定した。そして比較例2のAL値に対する実
施例2のAL値の変化率を求めた。その結果を下記表2
に示す。尚、実施例2において、磁心本体を磁心本体収
容ケースに収容する前の、0.1V入力時の10kHz
におけるAL値を測定したところ、10個の磁心本体の
平均の値で8.6μH/N2であった。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果より、実施例2と比較例2とで
は、磁心本体収容ケースの外寸は同じであるが、実施例
2では上ケースを用いず磁心本体収容ケースを一面に開
口部を有する形状とし、また磁心収容ケースの肉厚を薄
く形成したことにより、磁心本体の外径、内径および高
さを比較例2のものより大きく形成することができた。
その結果、磁心本体の断面積が大きくなり、AL値を比
較例2のものに比べて20%以上も向上させることがで
きた。
【0035】「実施例3」実施例1と同様の磁心本体
を、実施例1と同様の磁心本体収容ケース(外径9.5
mm、内径3.5mm、高さ1.15mm、肉厚0.1
5mm)に入れ、硬化前粘度1.3Pa・s、硬化後硬
さ9(JIS A)のシリコーンゴム(TSE3250
東芝シリコーン社製)を用いて、含浸かつ接着を行っ
た。このようにして作製したパルストランス磁心にコイ
ル巻線してトランスを構成し、AL値を測定した。本実
施例で得られたトランスは、実施例1のものと比べて接
着用シリコーンゴムの応力による特性劣化がないため、
AL値(10個の平均値)が8.6μH/N2〜10μ
H/N2であり、実施例1よりもさらに特性が向上して
いることが認められた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、軟
磁性合金薄帯をトロイダル状に巻回してなる磁心本体、
または軟磁性合金薄帯を積層してなる磁心本体と、前記
磁心本体を収容し一面に開口部を有する磁心本体収容ケ
ースからなるパルストランス磁心を構成することによ
り、小型でかつ少ない巻線数でISDN用の伝送特性を
満たす磁心を実現できるとともに、パルストランスの大
きさの制約の中で磁心本体の断面積を大きく構成するこ
とができるので、これによりさらにインダクタンス値を
向上させることができる。また、磁心本体の表面に樹脂
被覆を施さないので、被覆樹脂による応力発生をなくし
てインダクタンス値の劣化を防止することができる。
【0037】前記磁心本体収容ケースの内周端縁部およ
び外周端縁部が、0.05mm〜0.4mmの曲率半径
を有する曲面で形成されている構成であると、磁心本体
収容ケースの周囲にコイル巻線してトランスを構成した
際に、磁心本体収容ケースの内周端縁部や外周端縁部で
コイル巻線の被覆層が損傷したり、断線するのを防止す
ることができるので、信頼性が高いパルストランス磁心
を安定して得ることができる。また前記磁心本体に、硬
化前粘度が1Pa・s以下かつ硬化後にゲル状となるシ
リコーンゴムを含浸させた構成であると、磁心本体を磁
心本体収容ケース内に固定する時に発生する応力による
AL値の劣化や、高温時のAL値の劣化を抑えることが
できるので、高性能のパルストランス磁心を得ることが
できる。さらに、前記磁心本体に、硬化前粘度が1.5
Pa・s以下かつ硬化後硬さ10(JIS A)以下の
シリコーンゴムを含浸させ、該シリコーンゴムを、前記
磁心本体と磁心本体収容ケースとを固定する接着部材と
して兼用することにより、接着用シリコーンゴムの応力
による特性劣化を抑えることができる。
【0038】また前記磁心本体と磁心本体収容ケースと
を固定する接着部材として、硬化前粘度が2Pa・s以
下かつ硬化後硬さ25(JIS A)以下のシリコーン
ゴムを使用した構成であると、磁心本体と磁心本体収容
ケースとを固定する際に生じる応力が小さいので、この
応力によるAL値の劣化を抑えて高性能のパルストラン
ス磁心を得ることができる。さらに前記接着部材が、前
記磁心本体収容ケースの底面の2〜4箇所に塗布されて
いる構成であると、磁心本体と磁心本体収容ケースとを
固定する際に、接着部材に起因して発生する応力を抑え
つつ、磁心本体と磁心本体収容ケースとを安定して固定
することができる。また本発明では、磁心本体収容ケー
スの外径が10mm以下、内径が3.5mm以上、高さ
が1.3mm以下とし、0.1V入力時のAL値が10
kHzにおいて6.0μH/N2以上である構成とするこ
とができ、小型でかつ少ない巻線数で高いインダクタン
ス値を達成できる優れたパルストランス磁心を提供する
ことができる。
【0039】磁心本体を構成する軟磁性合金が、その組
織の50%以上を平均結晶粒径30nm以下の体心立方
構造の微細な結晶粒を主体として構成される軟磁性合金
であって、この軟磁性合金が、Feを主成分とし、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素とBを含んだも
のである場合、0.1V入力時のAL値が10kHzに
おいて6.0μH/N2以上であり、少ない巻線数で高い
インダクタンス値が得られ、使用温度が−20〜+10
0℃の範囲で変動しても、フェライト製の磁心を有する
従来構造のものよりもインダクタンス変動が少ないパル
ストランス磁心を確実に得ることができる。
【0040】また、適用する軟磁性合金として、Feb
xy系、FebxyZ系、Febxyd系、ある
いは、FebxydZ系の組成であって、各添加成
分元素を規定の割合で含有させたものの場合、0.1V
入力時のAL値が10kHzにおいて6.0μH/N2
上であり、少ない巻線数で高いインダクタンスが得ら
れ、使用温度が−20〜+100℃の範囲で変動して
も、フェライト製の磁心を有する従来構造のものよりも
インダクタンス変動が少ないパルストランスを確実に得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパルストランス磁心の例を示す分
解図である。
【図2】図1で用いられている磁心本体収容ケースのA
−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係る実施例および比較例におけるAL
値の温度変動を試験した結果を示すグラフである。
【図4】先願のパルストランス磁心の例を示す分解図で
ある。
【符号の説明】
1 磁心本体収容ケース 1a 開口部 2 軟磁性合金薄帯 3 磁心本体 4 接着部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性合金薄帯をトロイダル状に巻回し
    てなる磁心本体、または軟磁性合金薄帯を積層してなる
    磁心本体と、前記磁心本体を収容し一面に開口部を有す
    る磁心本体収容ケースからなることを特徴とするパルス
    トランス磁心。
  2. 【請求項2】 前記磁心本体収容ケースの内周端縁部お
    よび外周端縁部が、0.05mm〜0.4mmの曲率半
    径を有する曲面で形成されていることを特徴とする請求
    項1記載のパルストランス磁心。
  3. 【請求項3】 前記磁心本体に、硬化前粘度が1Pa・
    s以下かつ硬化後にゲル状となるシリコーンゴムを含浸
    させてなることを特徴とする請求項1または2のいずれ
    かに記載のパルストランス磁心。
  4. 【請求項4】 前記磁心本体に、硬化前粘度が1.5P
    a・s以下かつ硬化後硬さ10(JIS A)以下のシ
    リコーンゴムを含浸させてなり、該シリコーンゴムが、
    前記磁心本体と磁心本体収容ケースとを固定する接着部
    材を兼ねていることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のパルストランス磁心。
  5. 【請求項5】 前記磁心本体と磁心本体収容ケースとを
    固定する接着部材として、硬化前粘度が2Pa・s以下
    かつ硬化後硬さ25(JIS A)以下のシリコーンゴ
    ムを使用してなることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載のパルストランス磁心。
  6. 【請求項6】 前記接着部材が、前記磁心本体収容ケー
    スの底面の2〜4箇所に塗布されていることを特徴とす
    る請求項5記載のパルストランス磁心。
  7. 【請求項7】 前記磁心本体収容ケースの外径が10m
    m以下、内径が3.5mm以上、高さが1.3mm以下
    であり、0.1V入力時のAL値が10kHzにおいて
    6.0μH/N2以上であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載のパルストランス磁心。
  8. 【請求項8】 軟磁性合金が、その組織の50%以上を
    平均結晶粒径30nm以下の体心立方構造の微細な結晶
    粒を主体として構成される軟磁性合金であって、この軟
    磁性合金が、Feを主成分とし、Ti、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれた1種
    または2種以上の元素とBを含んだものであることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパルストラン
    ス磁心。
  9. 【請求項9】 磁心本体を構成する軟磁性合金が、次式
    で示される組成を有するものであることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれかに記載のパルストランス磁心。 Febxy 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
    o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、組成比を示すb、x、yは、 75≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦
    9原子% である。
  10. 【請求項10】 磁心本体を構成する軟磁性合金が、次
    式で示される組成を有するものであることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載のパルストランス磁心。 FebxyZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
    o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種ま
    たは2種以上の元素であり、組成比を示すb、x、y、z
    は、 75≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦
    9原子%、zは4原子%以下である。
  11. 【請求項11】 磁心本体を構成する軟磁性合金が、次
    式で示される組成を有するものであることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載のパルストランス磁心。 Febxyd 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
    o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、組
    成比を示すb、x、y、dは、 75≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦
    9原子%、dは4.5原子%以下である。
  12. 【請求項12】 磁心本体を構成する軟磁性合金が、次
    式で示される組成を有するものであることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載のパルストランス磁心。 FebxydZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
    o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
    素であり、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、X
    はSi、Al、Ge、Gaのうちの1種または2種以上
    の元素であり、組成比を示すb、x、y、d、zは、75≦b
    ≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子
    %、dは4.5原子%以下、zは4原子%以下である。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6773619B2 (en) 2001-07-17 2004-08-10 Tdk Corporation Magnetic core for transformer, Mn-Zn based ferrite composition and methods of producing the same
JP2008118101A (ja) * 2006-10-10 2008-05-22 Nec Tokin Corp インダクタンス素子、フィルタ回路及びノイズフィルタ

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