JPH10123965A - 透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置 - Google Patents

透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置

Info

Publication number
JPH10123965A
JPH10123965A JP8282683A JP28268396A JPH10123965A JP H10123965 A JPH10123965 A JP H10123965A JP 8282683 A JP8282683 A JP 8282683A JP 28268396 A JP28268396 A JP 28268396A JP H10123965 A JPH10123965 A JP H10123965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
transparent
metal thin
transparent conductive
conductive film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8282683A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Takamiya
直樹 高宮
Hidenori Horikoshi
秀紀 堀越
Kazumichi Mori
一倫 森
Atsumi Wakabayashi
淳美 若林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP8282683A priority Critical patent/JPH10123965A/ja
Publication of JPH10123965A publication Critical patent/JPH10123965A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性、電磁波遮蔽性に優れ、かつ透過
画像が自然な色相に調整された透明性導電膜およびこれ
を用いた表示装置を得る。 【解決手段】 表示装置のフェースパネル3上に形成さ
れた透明性導電膜10が、エネルギー照射により色相が
調整された透明性金属薄膜1と、屈折率がこの透明性金
属薄膜1のそれと異なる透明な反射防止層2とからな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に陰極線管やプ
ラズマディスプレイなどのフェースパネルに用いて優れ
た帯電防止効果と電磁波遮蔽効果とを有し、かつ透過画
像の色相が調整された透明性導電膜、およびこれをフェ
ースパネルに用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、TVブラウン管やコンピュータの
ディスプレイなどとして用いられている陰極線管は、赤
色、緑色、青色に発光する蛍光面に電子ビームを射突さ
せることによって文字や画像を映し出させるものである
から、フェースパネル面に発生する静電気により埃が付
着して視認性が低下する他、電磁波を輻射して周囲の機
器などに影響を及ぼす惧れがある。また最近、壁掛けテ
レビなどとしての応用が進められているプラズマディス
プレイなどにおいても、静電気の発生や電磁波輻射の可
能性が指摘されている。
【0003】これらの問題を解決するため、従来は、表
示装置の表示面上に、銀、金、パラジウムなどの微粒子
を分散させた塗布液を塗布し乾燥するか、またはスパッ
タ法や蒸着法によって、導電性の透明金属薄膜を形成
し、この透明金属薄膜の上層および/または下層に、こ
れとは屈折率が異なる透明性薄膜を積層して電磁波遮
蔽、帯電防止、ならびに反射防止を図っている。例えば
特開平8−77832号公報には、電磁波遮蔽効果と反
射防止効果に優れた透明性導電膜として、平均粒径2〜
200nmの金属微粒子からなる透明性金属薄膜と、こ
れより屈折率が低い透明被膜とからなるものが提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、電磁波遮蔽効果は期待できるものの、金属の光透
過スペクトルに依存して透過光の特定波長に吸収が生
じ、導電膜が着色し、透過画像の色相が不自然に変化す
るという問題が解決されなかった。本発明は、上記の課
題を解決するためになされたものであって、従ってその
目的は、透明度が高く電磁波遮蔽性および帯電防止効果
に優れているばかりでなく、特定波長の吸光が少なく、
透過画像の色相が調整された透明性導電膜と、これを安
価に製造する方法、およびこの透明性導電膜を有する表
示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、エネルギー照射により色相が調整された
透明性金属薄膜を有する透明性導電膜を提供する。ここ
でエネルギー照射とは、紫外線照射、赤外線照射、熱線
照射、マイクロウエーブ照射、エックス線照射、ガンマ
線照射などを含むものであるが、特に、少なくとも紫外
線照射または赤外線照射のいずれかを含むものであるこ
とが好ましい。
【0006】前記の透明性金属薄膜は、金属を10重量
%以上含有することが好ましい。前記の透明性金属薄膜
は、少なくとも銀を含有することが好ましい。また、こ
の透明性導電膜は、前記の透明性金属薄膜の上層および
/または下層に、屈折率が前記の透明性金属薄膜のそれ
と異なる少なくとも1層の透明な反射防止層を有するこ
とが好ましい。
【0007】本発明はまた、透明性金属薄膜を形成する
工程と、この透明性金属薄膜にエネルギー照射を施して
その色相を調整する工程とを含む透明性導電膜の製造方
法を提供する。本発明はさらに、前記のいずれかの透明
性導電膜がフェースパネルの前面に形成された表示装置
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。図1は、本発明の透明性導電膜の一実施形
態を示している。図1において、この透明性導電膜10
は、陰極線管のフェースパネル3の表面に形成されてい
て、フェースパネル3側(下側)から順次、透明性金属
薄膜1と透明な反射防止層2とが積層されてなってい
る。
【0009】この透明性金属薄膜1には、金属、好まし
くは銀が10重量%以上含有されている。そして、この
透明性金属薄膜1は、紫外線照射または赤外線照射など
によりエネルギー照射されて、その色相が調整されてい
る。また、前記の反射防止層2は、屈折率が透明性金属
薄膜1のそれと異なるように設定されている。
【0010】この透明性導電膜10は、透明性金属薄膜
1中に金属(銀)が10重量%以上含有されているので
透明でありながら導電性であり、帯電防止性と電磁波遮
蔽性とを共に有している。また、透明性金属薄膜1のそ
れと異なる屈折率を有する透明な反射防止層2が積層さ
れているので、外光による内面反射が効果的に抑制され
視認性が向上している。
【0011】そして、本発明の透明性導電膜10は、透
明性金属薄膜1が、紫外線照射または赤外線照射などに
よりエネルギー照射されているので、可視光の波長帯域
である400nm〜800nmの範囲内において、例え
ば銀を含むエネルギー照射されていない透明膜では、4
00nm〜530nmの短波長可視光帯域に吸収があっ
て着色し、透過画像の色相が黄色味を帯びて不自然に見
えるのであるが、エネルギー照射されたことによって可
視光の特定波長における光吸収が抑制され、その色相が
調整されたことによって透過画像の色相が自然に見える
ようになる。
【0012】本発明の一実施形態である陰極線管は、例
えばフェースパネル3の表面に、前記の金属を微粒子と
して含有する塗布液をスピンコータなどを用いて均一に
塗布し、乾燥して透明性金属薄膜1を形成し、次いでこ
の透明性金属薄膜1に紫外線または赤外線を照射してそ
の色相を調整し、次いでこの透明性金属薄膜1の上層
に、前記の透明性金属薄膜とは屈折率が異なる透明な反
射防止層を形成する反射防止塗料を塗布し、乾燥または
焼付けることによって製造することができる。
【0013】得られた陰極線管は、フェースパネル3に
前記の色相が調整された透明性導電膜10が形成されて
いるので、帯電防止性、電磁波遮蔽性、反射防止性を有
すると共に可視光帯域で光透過性が平坦化され、自然な
色相の透過画像が得られる。
【0014】以下、本発明を構成する各要素について詳
しく説明する。本発明の構成要素である透明性金属薄膜
1は、金属を含有した透明性薄膜である。この透明性金
属薄膜1に用いるに好適な金属の例としては、銀、金、
銅、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケ
ル、または任意のこれら2種以上の混合物を挙げること
ができる。これらはいずれも薄膜の状態で透明であり、
かつ導電性が高い。
【0015】用いる金属の内の少なくとも1種は銀であ
ることが好ましい。銀はコロイド状分散液として比較的
容易かつ安価に入手可能であり、導電性が高く帯電防止
性・電磁波遮蔽性に優れ、しかも透明性の高い導電層が
形成できるからである。また銀と組み合わせて、例えば
金を用いてもよい。金は比較的小割合の配合によって、
銀に由来する可視光の透過スペクトルを平坦化し、透過
画像の黄色味着色を低減させる効果がある。
【0016】透明性金属薄膜1は、前記の金属を10重
量%以上含有していることが好ましい。金属含有量が1
0重量%未満では導電性が低下し、実質的な電磁波遮蔽
効果を得ることが困難になるからである。
【0017】この透明性金属薄膜1は、例えば陰極線管
のフェースパネルなどの表示面に、前記金属の微粒子を
分散させて得られた塗布液を均一に塗布して成膜するこ
とによって形成することができる。このとき、塗布液
は、例えば金属を平均粒径が0.05μm以下のコロイ
ド状微粒子とし、水および/または有機溶剤からなる媒
体中に均一に分散させて調製することができる。塗布液
中の金属微粒子の平均粒径が0.05μmを越えると、
光吸収性が大となり、得られた透明性金属薄膜1の透明
性が低下し、実用的な透明性導電膜10が得られなくな
る。
【0018】前記塗布液の塗布は、一般には、スピンコ
ート、ロールコート、ナイフコート、バーコート、スプ
レーコート、メニスカスコート、ディップコートなど、
公知の任意の薄膜塗布技術を用いて行うことができる。
この内、スピンコートは、短時間で均一な厚みの薄膜を
形成することができるので特に好ましい塗布法である。
塗布後、塗膜を乾燥すれば、透明性金属薄膜1が形成さ
れる。
【0019】透明性金属薄膜1の膜厚は、透明性を確保
するために1μm以下とすることが好ましい。特にこの
透明性金属薄膜1の上層および/または下層に屈折率の
異なる反射防止層を積層する場合は、光学的反射防止機
能を考慮して0.2μm以下とすることが更に好まし
い。
【0020】透明性金属薄膜1は、帯電防止に加えて電
磁波遮蔽の目的で使用する場合は、遮蔽すべき電磁波の
周波数に対応した膜特性の設計が必要となる。一般に、
電磁波遮蔽効果は、下記の式1によって表される。
【0021】式1: S(dB)=50+10log(1/ρf)+1.7t
√(f/ρ) 式中、S(dB)は電磁波遮蔽効果、ρ(Ω・cm)は
導電膜の体積固有抵抗、f(MHz)は電磁波周波数、
t(cm)は導電膜の膜厚を表す。
【0022】膜厚tは、透明度を確保する観点から1μ
m(1×10-4cm)以下とすることが好ましい。特に
5nm〜50nmの範囲内とすることが好ましい。この
場合、式1は近似的に下記の式2で表すことができる。 式2: S(dB)=50+10log(1/ρf)
【0023】すなわち、透明性金属薄膜1の体積固有抵
抗値(ρ)は、できるだけ小さいほうが広範な周波数の
電磁波に対してより大きい遮蔽効果を現すことがわか
る。一般に、電磁波遮蔽効果は、S>30dBであれば
有効、更にS>60dBであれば優良とみなされる。規
制対象となる電磁波の周波数は一般に10kHz〜10
00MHzの範囲とされるので、1μm以下の膜厚で良
好な電磁波遮蔽効果を得るには、透明性金属薄膜1の体
積固有抵抗値(ρ)を103 Ω・cm以下とすることが
望ましい。この値は、透明性金属薄膜1中の金属含有量
を10重量%以上とすることによって達成することがで
きる。
【0024】透明性金属薄膜1は、前記の金属の他に、
透明性を更に向上させるために、ケイ素、アルミニウ
ム、ジルコニウム、セリウム、チタン、イットリウム、
亜鉛、マグネシウム、インジウム、錫、アンチモン、ガ
リウムなどの酸化物、複合酸化物、または窒化物、特に
インジウムや錫の酸化物、複合酸化物または窒化物を主
成分とする無機微粒子を含んでいてもよい。これらの無
機微粒子の平均粒径は、透明性の観点から0.1μm以
下とすることが好ましい。
【0025】本発明において、形成された透明性金属薄
膜1はエネルギー照射が施され、その色相が調整され
る。このエネルギー照射の方法は、特に限定されるもの
ではないが、例えば紫外線照射、赤外線照射、熱線照
射、マイクロウエーブ照射、エックス線照射、ガンマ線
照射などによって行うことができる。本発明者らは、前
記の透明性金属薄膜にエネルギー照射を施すことによっ
て、その可視光帯域における光透過スペクトルが変化
し、これによって可視光透過スペクトルが平坦化される
ことを見いだし本発明に到達した。
【0026】エネルギー照射は、理由は明確でないが、
金属に特有の光吸収ピークを低減し、これによって可視
光帯域における透明性金属薄膜の透過スペクトルを平坦
化させ、色相を調整する効果がある。例えば金属として
銀を含む透明性金属薄膜1の場合は、銀微粒子に特有の
390nm〜450nmにおける光吸収ピークが緩和さ
れ、可視光全域にわたって透過スペクトルが平坦化さ
れ、これによって、例えば陰極線管の青、緑、赤の発光
スペクトルに対して偏りのない均一な光吸収スペクトル
が得られ、色相が調整される結果、透過画像が自然な色
に見え、視認性も向上することになる。
【0027】エネルギー照射による色相調整において、
透明性金属薄膜1に付与するエネルギーの強度および時
間は、それぞれの処理方法により異なる。エネルギー照
射においては、同時に導電性が低下する現象もみられる
ので、光吸収ピークの低減の程度と導電性の低下の程度
とを勘案し、実験によって好適値を見いだすことが好ま
しい。これらの観点、および生産性、安全性、経済性の
観点から、エネルギー照射の方法としては、紫外線照射
または赤外線照射が特に好ましい。
【0028】本発明の透明性導電膜においては、図1に
一例を示すように、透明性金属薄膜1の上層および/ま
たは下層に、屈折率が透明性金属薄膜1のそれと異なる
少なくとも1層の透明な反射防止層2が積層されている
ことが好ましい。この反射防止層2について詳しく説明
する。
【0029】この反射防止層2は、例えばケイ素、アル
ミニウム、ジルコニウム、セリウム、チタン、イットリ
ウム、亜鉛、マグネシウム、インジウム、錫、アンチモ
ン、ガリウムなどの酸化物、複合酸化物、または窒化物
など、または焼付けによってこれらを生成することがで
きる前駆体を主成分として含む塗料(反射防止塗料)を
用いて膜厚が均一な膜を形成し、透明性金属薄膜1と同
時にまたは別途に焼付けることによって形成することが
できる。
【0030】本発明の透明性導電膜は、反射防止層2が
透明性金属薄膜1の上層(表面側)に形成された図1に
示す構成のものに限定されない。反射防止層2は、透明
性金属薄膜1の下層(基材3と透明性金属薄膜1との
間)に形成されていてもよく、また上層と下層の両方に
形成されていてもよい。
【0031】透明性金属薄膜1より上層に形成される反
射防止層は、その屈折率を透明性金属薄膜1のそれより
小さいものとし、透明性金属薄膜1より下層に形成され
る反射防止層は、その屈折率を透明性金属薄膜1のそれ
より大きいものとすることが好ましい。また、本発明の
透明性導電膜に形成される反射防止層は、必ずしも1層
に限定されるものではなく、多層であってもよく、例え
ば最外層に向かって次第に屈折率が低下する複数の反射
防止層が形成されていてもよい。
【0032】一般に、多層薄膜における界面反射防止能
は、薄膜の屈折率と膜厚、および積層薄膜数により決定
される。屈折率が相対的に高い透明性金属薄膜1を下層
とし、この上側に屈折率が低い反射防止層2が形成され
る場合は、防止しようとする反射光の波長をλとすると
き、透明性金属薄膜1,反射防止層2のそれぞれの光学
的膜厚をλ/4,λ/4、またはλ/2,λ/4とする
ことによって効果的に反射防止が達成される。
【0033】また、例えば本発明の透明性導電膜が下層
から順に、屈折率が透明性金属薄膜1より高い反射防止
層,透明性金属薄膜1,屈折率が透明性金属薄膜より低
い反射防止層の3層から形成されている場合は、それぞ
れの光学的膜厚をλ/4,λ/2,λ/4とすることに
よって効果的に反射を防止することができる。
【0034】この反射防止層2はまた、透明性導電膜の
反射防止と保護とを兼ねる、表面硬度が高いハードコー
ト層として形成することもできる。この反射防止性ハー
ドコート層を形成することができる物質の例として、例
えば下式 M(OR)m n において、MがSi,TiまたはZrであり、RがC1
〜C4 のアルキル基であり、mが1〜4の整数であり、
nが1〜3の整数であり、かつm+nが4である化合
物、またはその部分加水分解物の1種またはそれ以上の
混合物を挙げることができる。この化合物の例として
は、例えばテトラエトキシシラン(Si(OC
254 )が膜強度および反射防止性の点から好適に用
いられる。
【0035】この反射防止性ハードコート層は、前記の
透明性金属薄膜1と異なる屈折率に設定できるのであれ
ば、前記の反射防止層2を形成する金属酸化物、複合酸
化物、または窒化物など、または焼付けによってこれら
を生成することができる前駆体などを含んでいてもよ
い。
【0036】以上説明した本発明の透明性導電膜は、陰
極線管はもちろんのこと、例えばプラズマディスプレイ
や液晶表示装置など、帯電防止性や電磁波遮蔽性が求め
られる透過画像表示装置のフェースパネルに有利に形成
することができる。従って、本発明の透明性導電膜がフ
ェースパネルの前面に形成された表示装置もまた本発明
に属するものである。特に、前記の反射防止層を有する
透明性導電膜がフェースパネルの前面に形成された本発
明の表示装置は、フェースパネルの帯電が防止されてい
るので画像表示面に埃などが付着せず、電磁波が遮蔽さ
れるので各種の電磁波障害が防止され、エネルギー照射
が施されているので可視光帯域において透過スペクトル
が平坦化され、反射防止層が積層されているので表面反
射や界面反射が効果的に除去されて、透過画像の色相が
自然であり、色彩コントラストが高く、外光の映り込み
がなく、視認性の高い目に優しいものとなる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (塗料の調製) 銀コロイド分散液の調製:クエン酸ナトリウム二水和
物(14g)、硫酸第一鉄(7.5g)を溶解した溶液
60gを5℃に保持した状態で、硝酸銀(2.5g)を
溶解した溶液25gを加えて銀コロイドを生成させた。
得られた銀コロイド分散液から遠心分離により水洗し、
不純物を除去した後、38.1gの純水を加えて塗料用
の銀コロイド分散液を調製した。得られた銀コロイド粒
子の粒径は0.005μm〜0.03μmであった。 低屈折率反射防止塗料の調製:テトラエトキシシラン
(0.8g)と0.lN塩酸(0.8g)とエチルアル
コール(98.4g)とを混合して均一な溶液とした。
【0038】(実施例1)透明性金属薄膜塗料の調製 : の銀コロイド分散液 13.5g 純水 66.5g ブチルセロソルブ 10.0g IPA 10.0g 上記の成分を配合して得られた混合液を超音波分散機
(セントラル科学貿易社製「ソニファイヤー450」)
で分散し、透明性金属薄膜塗料を調製した。
【0039】成膜:上記の透明性金属薄膜塗料を、ブラ
ウン管のフェースパネル表面にスピンコーターを用いて
塗布し、乾燥後、この塗布面に紫外線照射装置(日本電
池社製:FL−1001−2)を用いて1分間紫外線照
射してエネルギー照射を行った。次に、この上にの低
屈折率反射防止塗料を、同様にスピンコーターを用いて
塗布し、このブラウン管を乾燥機に入れ、150℃で1
時間焼付け処理して透明性導電膜を形成することによ
り、反射防止性の透明性導電膜を有する実施例1の陰極
線管を作成した。
【0040】(実施例2)紫外線照射を3分間行った他
は実施例1と同様にして、反射防止性の透明性導電膜を
有する実施例2の陰極線管を作成した。
【0041】(実施例3)紫外線照射を6分間行った他
は実施例1と同様にして、反射防止性の透明性導電膜を
有する実施例3の陰極線管を作成した。
【0042】(実施例4)紫外線照射のかわりに、赤外
線ランプ(100V−185W)を用いて赤外線照射を
12分間行った他は実施例1と同様にして、反射防止性
の透明性導電膜を有する実施例4の陰極線管を作成し
た。
【0043】(比較例1)エネルギー照射を省略した他
は実施例1と同様にして、反射防止性の透明性導電膜を
有する比較例1の陰極線管を作成した。
【0044】上記の実施例1〜実施例4、および比較例
1の各試料について、それぞれの透明性導電膜の評価試
験を行った。評価項目およびその試験機(または試験方
法)を下に記す。 透過率 :日本分光社製「U-Best 50 」 ヘーズ :東京電色社製「Automatic Haze meter H I
II DP」 表面抵抗 :三菱油化社製「ロレスタAP」(4端針
法) 反射率 :日本分光社製「U-Best 50 」入射角5゜の
正反射 透過色 :CIE表色系を使用し、CIE色度図にお
ける未コート基板(x=0.3088,y=0.319
7)からのズレの距離をΔx,Δyを用いて√(Δx2
+Δy2 )と表した。これにより、√(Δx2 +Δ
2 )の値がよりゼロに近いものほど透過光が未コート
基板に近く、陰極線管の青、緑、赤の発光スペクトルを
均一に吸収する視認性の高いものであることが示され
る。 電磁波遮蔽性:0.5MHz基準で前記式1により計算 耐擦傷性 :1kgの荷重下、消しゴムで膜表面を50
回往復後、膜表面の擦傷の状態を目視により評価した。 ○;擦傷なし △;やや擦傷あり ×;擦傷多い 視認性 :低反射性能、反射色、透過色を含む官能的
総合評価である。 ○;良好 △;やや不良 ×;不良 試験結果を表1に示す。また、各試料の可視光波長領域
における透過スペクトルを図2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果から、実施例1〜実施例4の試
料はいずれも、比較例1の試料に比べて透過色が未コー
ト基板の透過色(ゼロ)に近く、色相が自然に近く調整
されていることがわかる。このことは、図2の透過スペ
クトルからも明かであって、実施例1〜実施例4の試料
はいずれも、可視光帯域において光透過スペクトルが比
較例1の試料に比べて平坦化され、透過光の色相が調整
されている上に、透過率、ヘイズ、反射率などの特性も
優れているので総合的な光学的評価である視認性におい
て良好〜ほぼ良好と判定された。
【0047】実施例1〜実施例3を比べると、表1およ
び図2において、紫外線照射時間が1分間である実施例
1に比べ、それぞれ3分間、6分間である実施例2、実
施例3の透過色、透過スペクトルが優れている。これは
紫外線照射によるエネルギー照射の効果が、エネルギー
供与量に依存して増大していることを示している。また
赤外線照射による実施例4は、供与するエネルギーの形
態が紫外線に限定されないことを示している。
【0048】実施例1〜実施例4の試料はいずれも、そ
の他の特性、例えば表面抵抗、電磁波遮蔽性、耐擦傷性
においても実用性の高い透明性導電膜を有する陰極線管
となっていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の透明性導電膜は、エネルギー照
射によって色相が調整された透明性金属薄膜を有するも
のであるので、可視光の波長帯域である400nm〜8
00nmの範囲内において、金属に由来する特定波長帯
域の光吸収が抑制され、光透過性が調整される結果、透
過画像の色相が自然に見えるようになる。
【0050】前記の透明性金属薄膜中に金属を10重量
%以上含有させれば、透明でありながら導電性とするこ
とができ、帯電防止性と電磁波遮蔽性とを共に備えた透
明性導電膜が得られる。また、透明性金属薄膜の上層お
よび/または下層に、屈折率が前記の透明性金属薄膜の
それと異なる少なくとも1層の透明な反射防止層が形成
されていれば、外光による内面反射が効果的に抑制さ
れ、視認性が高い透明性導電膜が得られる。
【0051】本発明の表示装置は、前記の色相が調整さ
れた透明性導電膜がフェースパネルの前面に設けられて
なるものであるので、帯電防止性および電磁波遮蔽性に
優れ、表示面に埃がつき難くかつ電磁波障害が防止さ
れ、しかも透過画像の色相が自然であり、また反射によ
る見難さも軽減され、鮮明で視認性の良い透過画像を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の透明性導電膜の一実施例を示す断面
図。
【図2】 透明性導電膜の可視光帯域における光透過率
を示すグラフ。
【符号の説明】
1……透明性金属薄膜 2……反射防止層 3……透明基板 10…陰極線管フェースパネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01J 5/08 H01J 9/20 A 9/20 29/88 29/88 G02B 1/10 Z (72)発明者 若林 淳美 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギー照射により色相が調整された
    透明性金属薄膜を有することを特徴とする透明性導電
    膜。
  2. 【請求項2】 前記のエネルギー照射が、少なくとも紫
    外線照射または赤外線照射のいずれかを含むものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の透明性導電膜。
  3. 【請求項3】 前記の透明性金属薄膜中の金属含有量が
    10重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載
    の透明性導電膜。
  4. 【請求項4】 前記の透明性金属薄膜が少なくとも銀を
    含有することを特徴とする請求項1に記載の透明性導電
    膜。
  5. 【請求項5】 前記の透明性金属薄膜の上層および/ま
    たは下層に、屈折率が前記の透明性金属薄膜のそれと異
    なる少なくとも1層の透明な反射防止層を有することを
    特徴とする請求項1に記載の透明性導電膜。
  6. 【請求項6】 透明性金属薄膜を形成する工程と、この
    透明性金属薄膜にエネルギー照射を施してその色相を調
    整する工程とを含むことを特徴とする透明性導電膜の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項5に記載の透明性導電
    膜がフェースパネルの前面に形成されてなることを特徴
    とする表示装置。
JP8282683A 1996-10-24 1996-10-24 透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置 Pending JPH10123965A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8282683A JPH10123965A (ja) 1996-10-24 1996-10-24 透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8282683A JPH10123965A (ja) 1996-10-24 1996-10-24 透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10123965A true JPH10123965A (ja) 1998-05-15

Family

ID=17655705

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8282683A Pending JPH10123965A (ja) 1996-10-24 1996-10-24 透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10123965A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005048743A1 (de) * 2005-10-10 2007-04-12 Janos Brellos Transperente selbstklebende Kunststofffolie
KR100839405B1 (ko) * 2001-03-27 2008-06-20 삼성에스디아이 주식회사 투명 도전막 및 그의 제조 방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100839405B1 (ko) * 2001-03-27 2008-06-20 삼성에스디아이 주식회사 투명 도전막 및 그의 제조 방법
DE102005048743A1 (de) * 2005-10-10 2007-04-12 Janos Brellos Transperente selbstklebende Kunststofffolie
DE102005048743B4 (de) * 2005-10-10 2011-04-07 Janos Brellos Transperente selbstklebende Kunststofffolie

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3442082B2 (ja) 透明導電膜、低反射透明導電膜および表示装置
JP2000124662A (ja) 透明導電膜および表示装置
JPH10142401A (ja) 低反射透明導電膜とその製造方法および表示装置
JP3266323B2 (ja) 複合機能材
JP3288557B2 (ja) 透明性電磁波遮蔽膜付き陰極線管
US6524499B1 (en) Transparent conductive film and display device
JP3501942B2 (ja) 透明導電膜形成用塗料、透明導電膜及び表示装置
JP3403578B2 (ja) 反射防止性着色透明導電膜および陰極線管
JPH10123965A (ja) 透明性導電膜とその製造方法およびこの透明性導電膜を有する表示装置
JP2000357414A (ja) 透明導電膜および表示装置
JP3356966B2 (ja) 透明導電膜とその製造方法および表示装置
JPH10204336A (ja) 透明導電膜形成用塗料、低反射透明導電膜および表示装置
JP3652563B2 (ja) 透明導電膜形成用塗料、透明導電膜及び表示装置
JPH1135855A (ja) 透明導電膜および表示装置
JP3356968B2 (ja) 透明導電膜とその製造方法および表示装置
JP3217275B2 (ja) 低反射導電性積層膜および陰極線管
JP2002003746A (ja) 透明導電膜形成用塗料、透明導電膜および表示装置
JPH0953030A (ja) 透明導電塗料及び透明導電膜
JPH1036975A (ja) 低抵抗膜又は低屈折率膜形成用塗布液、及び、低抵抗膜又は低反射低屈折率膜の製造方法
JP3342818B2 (ja) 低反射透明導電膜とその製造方法および表示装置
JP3910393B2 (ja) 透明導電膜
JP2003306615A (ja) 低抵抗膜又は低屈折率膜形成用塗布液、及び、低抵抗膜又は低反射低抵抗膜の製造方法
KR20010051016A (ko) 투명도전막 형성용 조성물 및 이로부터 형성된투명도전막을 구비하고 있는 표시소자
JP2002201027A (ja) 日射遮蔽用インジウム錫酸化物微粒子とその製造方法およびこれを用いた塗布液および日射遮蔽膜
JP2002190214A (ja) 透明導電膜及びそれを用いた表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030107