JP3342818B2 - 低反射透明導電膜とその製造方法および表示装置 - Google Patents

低反射透明導電膜とその製造方法および表示装置

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JP3342818B2
JP3342818B2 JP05205197A JP5205197A JP3342818B2 JP 3342818 B2 JP3342818 B2 JP 3342818B2 JP 05205197 A JP05205197 A JP 05205197A JP 5205197 A JP5205197 A JP 5205197A JP 3342818 B2 JP3342818 B2 JP 3342818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に陰極線管やプ
ラズマディスプレイなどのフェースパネルに用いて優れ
た帯電防止効果と電磁波遮蔽効果と反射防止効果とを有
し、かつ透過光の色相調整、ならびに耐塩水性、耐酸
性、耐酸化性、耐紫外線性などを含む耐久性に優れた低
反射透明導電膜、およびこの低反射透明導電膜がフェー
スパネルの前面に形成された表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、TVブラウン管やコンピュータの
ディスプレイなどとして用いられている陰極線管は、赤
色、緑色、青色に発光する蛍光面に電子ビームを射突さ
せることによって文字や画像を映し出させるものである
から、フェースパネル面に発生する静電気により埃が付
着して視認性が低下する他、電磁波を輻射して周囲の機
器などに影響を及ぼす惧れがある。また最近、壁掛けテ
レビなどとしての応用が進められているプラズマディス
プレイなどにおいても、静電気の発生や電磁波輻射の可
能性が指摘されている。
【0003】これらの問題を解決するため、従来は、表
示装置の表示面上に、銀、金、パラジウムなどの微粒子
を分散させた塗布液を塗布し乾燥するか、またはスパッ
タ法や蒸着法によって、導電性の透明金属薄膜を形成
し、この透明金属薄膜の上層および/または下層に、こ
れとは屈折率が異なる透明性薄膜を積層して電磁波遮
蔽、帯電防止、ならびに反射防止を図っている。例えば
特開平8−77832号公報には、電磁波遮蔽効果と反
射防止効果に優れた透明性導電膜として、平均粒径2〜
200nmの金属微粒子からなる透明性金属薄膜と、こ
れより屈折率が低い透明被膜とからなるものが提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、電磁波遮蔽効果は期待できるものの、金属の光透
過スペクトルに依存して透過光の特定波長に吸収が生
じ、導電膜が着色し、透過画像の色相が不自然に変化す
るという問題と、耐塩水性や耐紫外線性などに問題があ
って導電膜の表面抵抗値が上昇し、電磁波遮蔽効果が不
十分となるため、海岸など塩霧の影響を受け易い場所な
どでは耐久性が低下するという問題が解決されなかっ
た。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、従ってその目的は、透明度が高く
電磁波遮蔽性、帯電防止性および反射防止性に優れてい
るばかりでなく、特定波長の吸光が少なく透過光の色相
が調整され、更に耐塩水性、耐酸性、耐酸化性、耐紫外
線性などを含む耐久性も優れた低反射透明導電膜と、こ
れを安価に製造する方法、およびこの低反射透明導電膜
が表面に形成された表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、金属とその金属の硫化物とを含む透明導
電膜と、この透明導電膜上に形成された硫化物を含有す
る透明薄膜とを有し、該金属とその金属の硫化物とを含
む透明導電膜は、金属を含む透明導電膜上に硫化物を含
む塗料を用いて形成された透明薄膜中の硫化物を透明導
電膜中の金属の一部と反応させて前記金属の硫化物を生
成させることにより形成され、かつ該金属とその金属の
硫化物とを含む透明導電膜の屈折率と該透明薄の屈折
率とは異なることを特徴とする低反射透明導電膜を提供
する。前記の透明導電膜に含まれる金属は、少なくとも
銀であることが好ましい。
【0007】本発明はまた、硫化物を含む塗料を用いて
前記透明導電膜上に透明薄膜を形成し、形成された透明
薄膜中の硫化物を透明導電膜中の金属の一部と反応させ
て前記金属の硫化物を生成させる低反射透明導電膜の製
造方法を提供する。更に本発明は、前記の低反射透明導
電膜がフェースパネルの前面に形成された表示装置を提
供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。図1は、本発明の低反射透明導電膜の一実
施形態を示している。図1において、この低反射透明導
電膜3は、金属を含む透明導電膜1と、この上に形成さ
れた硫化物を含有する透明薄膜2とを有すると共に、前
記透明導電膜の金属の一部が硫化金属であり、かつ前記
透明薄膜2の屈折率が前記透明導電膜1の屈折率とは異
なるものとされている。この低反射透明導電膜3は、陰
極線管のフェースパネル4の前面に形成されている。上
記の実施形態において、透明導電膜1中に含まれる金属
は銀であり、透明薄膜2に含まれる硫化物は例えばジチ
オ炭酸−o−エチルカリウムであり、この硫化物によっ
て透明導電膜1中の銀の一部が硫化され、硫化銀となっ
ている。
【0009】この低反射透明導電膜3は、硫化物(例え
ばジチオ炭酸−o−エチルカリウム)を含む塗料を用い
て前記透明導電膜1の上に透明薄膜2を形成し、形成さ
れた透明薄膜2中の硫化物を透明導電膜1中の金属
(銀)の一部と反応させて金属の硫化物(硫化銀)を生
成させる製造方法により製造されている。
【0010】上記の低反射透明導電膜3は、透明導電膜
1が銀などの金属を含んでいるので優れた帯電防止性と
電磁波遮蔽性とを発揮し、この金属の一部が硫化金属と
されたことによって、得られた低反射透明導電膜3の透
過光の色相が調整され、また耐塩水性、耐酸性、耐酸化
性、耐紫外線性などの耐久性が著しく改善され、しかも
透明薄膜2の屈折率が透明導電膜1の屈折率とは異なる
ものとされているので反射防止性能も有している。
【0011】透過光の色相については、例えば前記の金
属が銀である場合は、銀の透過光スペクトルが400n
m〜530nmの短波長可視光帯域に吸収を有し、透過
光の色相が黄色味を帯びて不自然に見えるのであるが、
硫化銀を含むことによって可視光の波長帯域である40
0nm〜800nmの範囲内においてその色相が調整さ
れ、これを表示装置のフェースパネル4の前面に貼設す
ると、透過画像の色相が調整されて自然に見えるように
なる。
【0012】次に、本発明の各構成要素について詳しく
説明する。本発明の低反射透明導電膜において、透明導
電膜に含まれる金属は、導電性が高いものであれば特に
限定されるものではなく、銀、金、銅、白金、パラジウ
ム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、またはこれらの
任意の2種以上を組み合わせた混合物であってもよい。
【0013】一般に、用いる金属の少なくとも1種また
は全部が銀であることが好ましい。銀はコロイド状分散
液として比較的容易かつ安価に入手可能であり、導電性
が高く帯電防止性・電磁波遮蔽性に優れ、しかも透明性
の高い導電膜が形成できるからである。また銀と組み合
わせて、例えば金を用いることもできる。銀は、可視光
帯域の短波長側に特有の吸収を有し、透過光がやや黄色
味に着色して見える傾向があるが、これに比較的少量の
金を配合することによって、可視光帯域における透過ス
ペクトルの波形を平坦化し、色相を調整することができ
る。
【0014】前記の透明導電膜は、特に限定されるもの
ではないが、好ましくは前記金属の微粒子を液体媒体中
にコロイド状に分散して含有する透明導電膜用塗料を表
示装置のフェースパネル上に均一に塗布して成膜するこ
とにより形成することができる。
【0015】前記の透明導電膜用塗料に用いるコロイド
状金属微粒子の平均粒径は、0.05μm以下とするこ
とが好ましい。粒径が0.05μmを越えると、光吸収
が大となり、実用的な透明性を有する透明導電膜が得ら
れなくなるなどの問題が生じる。
【0016】この透明導電膜用塗料は、前記の金属微粒
子の他に、透明性を更に向上させるために、ケイ素、ア
ルミニウム、ジルコニウム、セリウム、チタン、イット
リウム、亜鉛、マグネシウム、インジウム、錫、アンチ
モン、ガリウムなどの酸化物、複合酸化物、または窒化
物、特にインジウムや錫の酸化物、複合酸化物または窒
化物を主成分とする無機微粒子を含有していてもよい。
これらの無機微粒子の平均粒径は、透明性の観点から
0.1μm以下とすることが好ましい。
【0017】上記の透明導電膜用塗料は、塗膜の膜強度
を向上させるためにバインダー成分を含んでいてもよ
い。用いることができるバインダー成分の例としては、
例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、紫
外線硬化樹脂などの有機系合成樹脂、ケイ素、チタン、
ジルコニウムなどの金属アルコキシドの加水分解物、ま
たはシリコーンモノマー、シリコーンオリゴマーなどの
有機・無機系バインダー成分などを挙げることができ
る。
【0018】塗膜強度の向上には特に、下記の式 M(OR)mn (式中、MはSi、TiまたはZrであり、RはC1
4 のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、n
は1〜3の整数であり、かつm+nは4である)で表さ
れる化合物、またはその部分加水分解物の1種またはそ
れ以上の混合物をバインダーとして用いることが好まし
い。バインダー成分は、過剰に配合すると透明導電層の
導電性が低下するので、通常は10重量%以下の範囲内
で配合量を決定することが好ましい。
【0019】前記バインダー成分と金属微粒子との親和
性を高めるために、金属微粒子の表面は、シリコーンカ
ップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップ
リング剤や、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、リン酸
エステル塩、スルホン酸塩、ポリスルホン酸塩などの親
油化表面処理剤で処理されていてもよい。
【0020】前記透明導電膜用塗料の塗布は、一般に
は、スピンコーティング、ロールコーティング、ナイフ
コーティング、バーコーティング、スプレーコーティン
グ、メニスカスコーティング、ディップコーティングな
ど、公知の任意の薄膜塗布技法を用いて行うことができ
る。この内、スピンコーティングは、短時間で均一な厚
みの薄膜を形成することができるので特に好ましい塗布
法である。塗布後、塗膜を乾燥すれば、透明導電膜が形
成される。
【0021】形成される透明導電膜は、透明性などの光
学特性と遮蔽すべき電磁波の周波数を考慮して膜厚や金
属含有量などの膜特性を設計することが望ましい。膜厚
に関しては、透明度の観点から0.2μm以下とするこ
とが好ましい。特に良好な透明性を確保するには5nm
〜50nmの範囲内とすることが好ましい。
【0022】金属含有量に関しては、膜厚を考慮して、
求める電磁波遮蔽効果を満足するように選定される。一
般に、電磁波遮蔽効果は、下記の式1によって表され
る。 式1:S(dB)=50+10log(1/ρf)+1.7t√(f/ρ) 式中、S(dB)は電磁波遮蔽効果、ρ(Ω・cm)は
導電膜の体積固有抵抗、f(MHz)は電磁波周波数、
t(cm)は導電膜の膜厚を表す。ここで膜厚tは、前
記のようにきわめて薄くされるので、式1において膜厚
tの項を無視すれば電磁波遮蔽効果Sは近似的に下記の
式2で表すことができる。 式2:S(dB)=50+10log(1/ρf)
【0023】すなわち、透明導電膜の体積固有抵抗値
(ρ)は、できるだけ小さいほうが広範な周波数の電磁
波に対してより大きい遮蔽効果を現すことがわかる。一
般に、電磁波遮蔽効果は、S>30dBであれば有効、
更にS>60dBであれば優良とみなされる。規制対象
となる電磁波の周波数は一般に10kHz〜1000M
Hzの範囲とされるので、1μm以下の膜厚で良好な電
磁波遮蔽効果を得るには、透明性金属薄膜1の体積固有
抵抗値(ρ)を103 Ω・cm以下とすることが望まし
い。
【0024】前記の条件を充たすためには、透明導電膜
は前記の金属を10重量%以上含有することが好まし
い。金属含有量が10重量%未満では導電性が低下し、
実質的な電磁波遮蔽効果を得ることが困難になる。
【0025】得られた透明導電膜中で、金属の存在形態
は微粒子状であってもよく、金属微粒子が互いに融着し
て連結した金属薄膜の状態でもよく、またこれらの金属
微粒子と金属薄膜とが混在する状態であってもよい。ま
たこの透明導電膜は平滑な被膜であっても、凹凸状の網
目構造を有するものであってもよい。
【0026】本発明の低反射透明導電膜において、透明
導電膜の上層に形成される透明薄膜は硫化物を含んでい
る。この硫化物は、透明薄膜用塗料を透明導電膜上に塗
布したとき、少なくともその一部が透明導電膜に浸透移
行し、透明導電膜中の金属と反応して硫化金属を形成し
得るものであれば、無機硫化物、有機硫化物のいずれで
あってもよい。好ましくは、水またはアルコールに可溶
であって、特に塗料におけるポットライフを考慮する
と、水溶液のpHが1〜8の範囲内にあるものが好まし
い。硫化物を含む塗料のpHが8を越えると、塗料とし
てのポットライフが短くなり、粘度が上昇して約24時
間で成膜不能の状態となる場合がある。
【0027】前記の条件を充たす好ましい硫化物の例と
しては、例えば、チオグリコール、チオジグリコール、
エチレンチオグリコール、チオグリセリン、チオ酢酸、
チオ二酢酸、ジチオ二酢酸、チオ乳酸、3−メルカプト
プロピオン酸、チオプロピオン酸、チオジプロピオン
酸、メルカプト酢酸、メルカプト安息香酸、メルカプト
こはく酸、チオクト酸、ジチオ炭酸−o−エチルカリウ
ムなどを挙げることができる。
【0028】透明導電膜の上層に形成される透明薄膜が
前記の硫化物を含んでいると、この硫化物の少なくとも
一部が透明導電膜に浸透移行し、透明導電膜中に含まれ
る金属の一部と反応し、硫化金属を形成する。そして、
この硫化金属は、その特有の光吸収スペクトルによって
透明導電膜を透過する光の色調を調整すると共に、耐酸
化性が高いことによって透明導電膜に耐塩水性、耐酸
性、耐酸化性、耐紫外線性などを含む優れた耐久性を付
与することになる。
【0029】透明薄膜用塗料における硫化物の配合割合
は0.001重量%〜1重量%の範囲内とすることが好
ましい。この配合割合が0.001重量%未満では透明
導電膜中の金属との反応が不十分となり、十分な透過ス
ペクトルの調整と耐久性が得られなくなり、1重量%を
越えると、透明導電膜中の金属硫化物の含有率が高くな
って十分な導電性を得ることが困難になり、電磁波遮蔽
性が不十分となる。
【0030】本発明の低反射透明導電膜は、透明導電膜
の上層に形成される硫化物を含む透明薄膜に加えて更
に、透明導電膜の上層および/または下層に、硫化物を
含まない透明導電層が1層以上形成されていてもよい。
これらの硫化物を含み、または含まない透明薄膜は、い
ずれもその屈折率が透明導電膜の屈折率とは異なるもの
とされる。
【0031】これらの硫化物を含み、または含まない透
明薄膜は、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニウ
ム、セリウム、チタン、イットリウム、亜鉛、マグネシ
ウム、インジウム、錫、アンチモン、ガリウムなどの酸
化物、複合酸化物、窒化物、または焼付けによってこれ
らを生成することができる前駆体を成膜成分として含む
透明薄膜用塗料を膜厚が均一となるように塗布し、透明
導電膜と同時にまたは別途に焼付けることによって形成
することができる。
【0032】前記の透明薄膜用塗料は更にバインダー成
分を含んでいてもよい。このバインダー成分は、特に限
定されるものではないが例えば、下式 M(OR)mn においてMがSi,TiまたはZnであり、RがC1
2 のアルキル基であり、mが1〜4の整数であり、n
が1〜3の整数であり、かつm+nが4である化合物、
またはその部分加水分解物の1種またはそれ以上の混合
物を用いることができる。特にテトラエトキシシラン
(Si(OC254 )は薄膜形成性、透明性、膜強度
および反射防止効果の観点から好適に用いられる。前記
透明薄膜用塗料の溶媒は、特に限定されるものではない
が、水またはアルコールを含むことが好ましい。
【0033】これら透明薄膜の形成方法としては、前記
の透明薄膜用塗料を、透明導電膜の形成の後に、または
先だって、基材の面上に均一に塗布して成膜する。塗布
は、スピンコーティング、ロールコーティング、ナイフ
コーティング、バーコーティング、スプレーコーティン
グ、メニスカスコーティング、ディップコーティング、
グラビア印刷法などによることができるが、特にスピン
コーティングが好ましい。塗布後は塗膜を乾燥し、好ま
しくは焼き付けまたは光・電子線照射することによって
強固な膜が形成される。
【0034】これらの透明薄膜は、透明導電膜の上層に
形成されるものはその屈折率を透明導電膜のそれより小
さいものとし、透明導電膜より下層に形成される透明薄
膜は、その屈折率を透明導電膜のそれより大きいものと
することが好ましい。これによって外光の界面反射が有
効に防止される。
【0035】一般に、多層薄膜における界面反射防止能
は、薄膜の屈折率と膜厚、および積層薄膜数により決定
される。屈折率が相対的に高い透明導電膜を下層とし、
この上側に屈折率が低い透明薄膜が形成される場合は、
防止しようとする反射光の波長をλとするとき、透明導
電膜,透明薄膜のそれぞれの光学的膜厚をλ/4,λ/
4、またはλ/2,λ/4とすることによって効果的に
反射防止が達成される。
【0036】また、例えば本発明の低反射透明導電膜が
下層から順に、屈折率が透明導電膜より高い透明薄膜,
透明導電膜,屈折率が透明導電膜より低い透明薄膜の3
層から形成されている場合は、それぞれの光学的膜厚を
λ/4,λ/2,λ/4とすることによって効果的に反
射を防止することができる。
【0037】本発明の低反射透明導電膜は、その最上層
に、凹凸を有する低屈折率透明膜が形成されていてもよ
い。この凹凸を有する低屈折率透明膜は、低反射透明導
電膜の層間の外光反射を防止すると共に、表面反射光を
散乱させ、フェースパネル面に防眩性を与える効果があ
る。
【0038】本発明の低反射透明導電膜は、透明導電膜
および/または前記の凹凸膜を含む透明薄膜のいずれか
1層以上に、透過光の色相や画像コントラストを調整す
るために着色材を含んでいてもよい。この目的に使用さ
れる着色材としては、青色、紫色、黒色系の顔料などが
特に好適である。
【0039】本発明の低反射透明導電膜がフェースパネ
ルの前面に形成された本発明の表示装置は、フェースパ
ネルの帯電が防止されているので画像表示面に埃などが
付着せず、電磁波が遮蔽されているので各種の電磁波障
害が防止され、しかも光透過性に優れ、従って画像が明
るく、硫化金属が含まれているので金属特有の光吸収が
補正されて自然な色調の透過光が得られ、反射が抑制さ
れているので視認性が改善され、反射光の色むらが低減
され、従ってフェースパネルの外観が改善される。
【0040】本発明の表示装置は、海上輸送時の海水や
オペレーターの汗などからもたらされる食塩分などのハ
ロゲン塩や、温泉地などにおける硫化水素ガス、更に大
気中のSOx ガス、酸性雨などの酸性液体、紫外線照射
などにより発生するオゾンなどの酸化性ガスなどに対す
る耐性が高く、これらの劣化因子を含む環境下に置かれ
ても、長期にわたって帯電防止性、電磁波遮蔽性、反射
防止性、色相、膜強度などの初期性能を維持することが
できる。
【0041】従って本発明の低反射透明導電膜は、例え
ば陰極線管、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、タ
ッチパネル、電光表示装置など各種表示装置のフェース
パネルに加えて、自動車・建物などの窓、電子レンジの
覗き窓などにも有効に適用することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。 (塗料の調製) 銀コロイド分散液の調製:クエン酸ナトリウム二水和
物(14g)、硫酸第一鉄(7.5g)を溶解した溶液
60gを5℃に保持した状態で、硝酸銀(2.5g)を
溶解した溶液25gを加えて銀コロイドを生成させた。
得られた銀コロイド分散液から遠心分離により水洗し、
不純物を除去した後、38.1gの純水を加えて塗料用
の銀コロイド分散液を調製した。得られた銀コロイド粒
子の粒径は0.005μm〜0.03μmであった。 反射防止膜用塗料の調製:テトラエトキシシラン
(0.8g)と0.lN塩酸(0.8g)とエチルアル
コール(98.4g)とを混合して均一な溶液とした。
【0043】(実施例1)透明導電膜用塗料(A)の調製 : の銀コロイド分散液 13.5g 純水 66.5g ブチルセロソルブ 10.0g IPA(イソプロピルアルコール) 10.0g 上記の成分を配合して得られた混合液を超音波分散機
(セントラル科学貿易社製「ソニファイヤー450」)
で分散し、透明導電膜用塗料(A)を調製した。
【0044】硫化物含有透明薄膜用塗料(B)の調製: の反射防止膜用塗料 99.9g ジチオ炭酸−o−エチルカリウム 0.1g 上記の成分を均一となるまで攪拌し硫化物含有透明薄膜
用塗料(B)を調製した。
【0045】成膜:上記の塗料(A)を、ブラウン管の
フェースパネル表面にスピンコーターを用いて塗布し、
乾燥後、この塗布面に塗料(B)を、同様にスピンコー
ターを用いて塗布し、このブラウン管を乾燥機に入れ、
150℃で1時間焼付け処理して、低反射透明導電膜が
形成された実施例1の陰極線管を作成した。
【0046】(実施例2)硫化物含有透明薄膜用塗料(C)の調製 : の反射防止膜用塗料 99.995g ジチオ炭酸−o−エチルカリウム 0.005g 上記の成分を均一となるまで攪拌し硫化物含有透明薄膜
用塗料(C)を調製した。
【0047】成膜:塗料(B)の代わりに塗料(C)を
用いた以外は実施例1と同様にして低反射透明導電膜が
形成された実施例2の陰極線管を作成した。
【0048】(比較例1)塗料(B)の代わりに硫化物
を含まない前記の反射防止膜用塗料を用いた以外は実
施例1と同様にして、低反射透明導電膜が形成された比
較例1の陰極線管を作成した。
【0049】上記の実施例1、実施例2、および比較例
1の各試料について、それぞれの低反射透明導電膜の評
価試験を行った。評価項目およびその試験機(または試
験方法)を下に記す。 透過率 :日立製作所社製「U-3500」 ヘーズ :東京電色社製「Automatic Haze meter H I
II DP」 表面抵抗 :三菱油化社製「ロレスタAP」 反射率 :日本分光社製「U-Best 50 」 透過色 :CIE表色系を使用し、CIE色度図にお
ける未コート基板(x=0.3049,y=0.313
7)からのズレの距離をΔx,Δyを用いて、√(Δx
2 +Δy2 )と表した。これにより、√(Δx2 +Δy
2 )の値がよりゼロに近いものほど透過光が未コート基
板に近く、陰極線管の青、緑、赤の発光スペクトルを均
一に吸収する視認性の高いものであることが示される。 電磁波遮蔽性:0.5MHz基準で前記式1により計算 耐擦傷性 :1kgの荷重下、消しゴムで膜表面を50
回往復後、膜表面の擦傷の状態を目視により評価した。 ○;擦傷なし △;やや擦傷あり ×;擦傷多い 視認性 :低反射性能、反射色、透過色を含む官能的
総合評価である。 ○;良好 △;やや不良 ×;不良 耐塩水性 :3重量%の塩水中に3日間浸漬した後の電
磁波遮蔽性。 試験結果を(表1−1)および(表1−2)に示す。ま
た、各試料の可視光波長領域における透過スペクトルを
図2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】(表1−1)および(表1−2)の結果か
ら、実施例1および実施例2の試料はいずれも、比較例
1の試料に比べて透過色が未コート基板の透過色(ゼ
ロ)に近く、色相が自然に近く調整されていることがわ
かる。このことは、図2の透過スペクトルからも明かで
あって、硫化物を含む実施例1、実施例2の試料はいず
れも、可視光帯域において光透過スペクトルが硫化物を
含まない比較例1の試料に比べて平坦化され、透過光の
色相が調整されている。
【0052】また耐塩水性において、硫化物を含む実施
例1,実施例2の試料はいずれも硫化物を含まない比較
例1の試料に比べ著しく改善されている。更に、実施例
1,実施例2の試料は、表面抵抗、電磁波遮蔽性、耐擦
傷性において硫化物を含まない比較例1のものと同等の
優れた値を示し、実用性の高い陰極線管が得られること
を示している。
【0053】
【発明の効果】本発明の低反射透明導電膜は、透明導電
膜中の金属の一部がこの上に形成された透明薄膜中の硫
化物により硫化され、かつ前記透明薄膜の屈折率が透明
導電膜の屈折率とは異なるものとされているので、特に
陰極線管やプラズマディスプレイなどのフェースパネル
に用いて透明度が高く、優れた帯電防止効果と電磁波遮
蔽効果と反射防止効果とを発揮し、しかも透過光の色相
が調整され、更に耐塩水性、耐酸性、耐酸化性、耐紫外
線性などを含む耐久性に優れた低反射透明導電膜、およ
びこの低反射透明導電膜がフェースパネルの前面に形成
された視認性と耐久性とに優れた表示装置を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の低反射透明導電膜の一実施例を示す
断面図。
【図2】 低反射透明導電膜の可視光帯域における光透
過率を示すグラフ。
【符号の説明】
1……透明導電膜、 2……透明薄膜、 3……低反射透明導電膜、 4……フェースパネル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 29/88 H05K 9/00 V H05K 9/00 G02B 1/10 A

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属とその金属の硫化物とを含む透明導
    電膜と、この透明導電膜上に形成された硫化物を含有す
    る透明薄膜とを有し、該金属とその金属の硫化物とを含
    む透明導電膜は、金属を含む透明導電膜上に硫化物を含
    む塗料を用いて形成された透明薄膜中の硫化物を透明導
    電膜中の金属の一部と反応させて前記金属の硫化物を生
    成させることにより形成され、かつ該金属とその金属の
    硫化物とを含む透明導電膜の屈折率と該透明薄の屈折
    率とは異なることを特徴とする低反射透明導電膜。
  2. 【請求項2】 前記透明導電膜に含まれる金属が、少な
    くとも銀であることを特徴とする請求項に記載の低反
    射透明導電膜。
  3. 【請求項3】 硫化物を含む塗料を用いて前記透明導電
    膜上に透明薄膜を形成し、形成された透明薄膜中の硫化
    物を透明導電膜中の金属の一部と反応させて前記金属の
    硫化物を生成させることを特徴とする請求項1または2
    に記載の低反射透明導電膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の低反射透明導
    電膜がフェースパネルの前面に形成されたことを特徴と
    する表示装置。
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