JPH10122262A - 車両用自動クラッチ - Google Patents

車両用自動クラッチ

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JPH10122262A
JPH10122262A JP8271980A JP27198096A JPH10122262A JP H10122262 A JPH10122262 A JP H10122262A JP 8271980 A JP8271980 A JP 8271980A JP 27198096 A JP27198096 A JP 27198096A JP H10122262 A JPH10122262 A JP H10122262A
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Masanori Kanda
政徳 神田
Yoshiyuki Watanabe
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転者の意志に応じた速度でのクラッチ接続
を可能にする。ギヤシフトレバーの操作時の運転者の意
志と、実際にクラッチが接続されたときに運転者が受け
る感覚とのギャップを少なくして、運転操作時の違和感
を無くす。 【解決手段】 電磁弁18によって油圧操作される油圧
シリンダ16により、クラッチを遮断方向と接続方向に
ストロークさせる。電磁弁18をコントローラ19によ
って制御する。ギヤシフトレバーに圧電セラミックス3
0を付設し、その出力電圧をコントローラ19に入力す
る。コントローラ19は、その出力電圧の変化速度に応
じた速度でクラッチを接続方向にストロークさせるよ
う、電磁弁18を制御する。圧電セラミックス30から
はそのときの入力荷重の変化速度と大きさに応じた変化
速度と大きさの電圧が出力されるため、クラッチはギヤ
シフトレバーの操作状況に応じた速度で接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のエンジンと
変速機の間の動力伝達部に介装され、運転者のギヤシフ
トレバー操作に応じて摩擦係合機構の接続と遮断を自動
的に行う自動クラッチに関し、とりわけ、運転者の操作
意志に応じた速度での摩擦係合機構の接続を可能にした
車両用自動クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の車両用自動クラッチとして、従
来、実開昭61−166236号公報に示されるような
ものが案出されている。
【0003】この自動クラッチは、エンジン側摩擦要素
と駆動輪側摩擦要素とから成る摩擦係合機構が、エアシ
リンダ等の操作アクチュエータによって両摩擦要素を圧
接させる方向(クラッチ接続方向)または離反させる方
向(クラッチ遮断方向)に操作されるようになってお
り、操作アクチュエータはコントローラによって駆動制
御されるようになっている。そして、このコントローラ
は、ギヤシフトレバーに付設された歪ゲージから信号電
圧を受け、この信号電圧の入力に応じて操作アクチュエ
ータを駆動させるようになっている。つまり、変速や発
進に際して運転者がギヤシフトレバーを動かすと、その
ときのギヤシフトレバーの撓みに応じて歪ゲージが電圧
を発生し、この電圧がコントローラに入力されると、コ
ントローラが操作アクチュエータに駆動指令を出し、そ
れによって操作アクチュエータが即時にクラッチを(摩
擦係合機構の接続を)遮断すると共に、ギヤシフトの完
了を待ってクラッチ(摩擦係合機構)を所定の速度でも
って接続する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
自動クラッチの場合、クラッチの接続速度が常に一定で
あって、クラッチを素早く接続したい、或いは、ゆっく
りと接続したいといった運転者の意志を反映する手段を
全く備えていないため、運転者によるシフトワーク(ギ
ヤシフトレバーの操作)と、クラッチ接続時に運転者が
実際に受ける感覚とに大きなギャップを生じ、素早いシ
フトワークを行ったにも拘わらず、レスポンスが遅くな
るといった違和感を運転者に覚えさせる不具合がある。
【0005】また、上記従来の自動クラッチにおいて
は、運転者によるギヤシフトレバーの操作の有無を歪ゲ
ージによって検知するようにしているため、出力電圧が
小さく不安定になりがちな歪ゲージの特性上、精度の高
いクラッチの制御を実現することが難しいという別の不
具合もある。
【0006】そこで本発明は、運転者の意志に応じた速
度でのクラッチ接続を正確に行えるようにして、車両の
運転操作時に運転者に違和感を与えることのない車両用
自動クラッチを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ための手段として、請求項1の発明は、エンジン側摩擦
要素と駆動輪側摩擦要素を近接離反させてトルクの伝達
と遮断を行う摩擦係合機構と、この摩擦係合機構を接続
方向と遮断方向に変位させる操作アクチュエータと、運
転者によって操作されるギヤシフトレバーと、このギヤ
シフトレバーに付設された圧電セラミックスと、この圧
電セラミックスの出力電圧を受け、その出力電圧の変化
状態に応じて操作アクチュエータのクラッチ接続方向の
ストローク速度を制御するコントローラと、を備えた構
成とした。圧電セラミックスは入力荷重の変化速度と大
きさに応じて、出力電圧も同様の変化速度と大きさで変
化する特性を有し、しかも、入力荷重に対して比較的大
きな出力電圧を得ることができることから、ギヤシフト
レバーの操作状況に応じた速度で操作アクチュエータを
ストロークさせ、クラッチの接続を行うことができる。
【0008】また、請求項2の発明は、エンジン側摩擦
要素と駆動輪側摩擦要素を近接離反させてトルクの伝達
と遮断を行う摩擦係合機構と、この摩擦係合機構を接続
方向と遮断方向に変位させる操作アクチュエータと、運
転者によって操作されるギヤシフトレバーと、このギヤ
シフトレバーに付設された圧電セラミックスと、変速機
でのギヤシフトの完了を検出するシフト完了検出器と、
前記圧電セラミックスの出力電圧を受け、所定のしきい
電圧と比較するしきい電圧比較手段と、このしきい電圧
比較手段の比較結果に基づき、前記出力電圧がしきい電
圧以上のときに操作アクチュエータにクラッチを遮断す
るストローク指令を出力する遮断ストローク指令出力手
段と、前記しきい電圧比較手段の比較結果に基づき、前
記出力電圧がしきい電圧以上のときに出力電圧の変化状
態を演算する電圧変化演算手段と、前記シフト完了検出
器の完了検出信号と前記電圧変化演算手段の演算結果を
受け、出力電圧の変化状態に応じた速度で操作アクチュ
エータをクラッチ接続方向にストロークさせる接続スト
ローク制御手段と、を備えた構成とした。変速時や発進
時に運転者がギヤシフトレバーを操作すると、圧電セラ
ミックスの出力電圧が所定のしきい電圧以上となるた
め、まず、遮断ストローク指令出力手段から操作アクチ
ュエータにクラッチ遮断方向のストローク指令が為され
てクラッチが一旦遮断され、その後に、変速機でのギヤ
シフトが完了し、シフト完了検出器から接続ストローク
制御手段に完了検出信号が入力されると、接続ストロー
ク制御手段が出力電圧の変化状態に応じた速度で操作ア
クチュエータをクラッチ接続方向にストロークさせる。
これにより、クラッチの接続はギヤシフトレバーの操作
状況に応じた速度で行われることとなる。
【0009】また、請求項3の発明は、請求項2の発明
の電圧変化演算手段が出力電圧の変化速度を演算するよ
うにした。
【0010】さらに、請求項4の発明は、請求項2また
は3の発明の電圧変化演算手段が出力電圧の最大変化量
を演算するようにした。
【0011】さらにまた、請求項5の発明は、請求項3
または4の発明の電圧変化演算手段が出力電圧の変化速
度の変化率をも演算するようにした。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。
【0013】図2は、本発明の実施例の全体概略構成を
示すもので、同図において、1は、車両のエンジンと変
速機の間に介装された本発明にかかる自動クラッチであ
り、2は、この自動クラッチ1の摩擦係合機構を含むク
ラッチ本体部である。このクラッチ本体部2は、エンジ
ンのクランクシャフト4に結合されたフライホイール5
と、このフライホイール5に結合されたクラッチカバー
6と、このクラッチカバー6内で変速機の入力軸7にス
プライン嵌合されたクラッチディスク8と、フライホイ
ール5と共にこのクラッチディスク8の外周側の摩擦板
9a,9bを挟圧するプレッシャプレート10と、この
プレッシャプレート10を前記摩擦板9a,9b方向に
付勢するダイヤフラムスプリング11と、このダイヤフ
ラムスプリング11の内周端をフライホイール5方向に
変位させてプレッシャプレート10をクラッチディスク
8から離反させるレリーズベアリング12と、エンジン
に結合されるクラッチハウジング13に枢支され、その
回動操作によってレリーズベアリング12を進退操作さ
せるレリーズレバー14とを備えている。
【0014】そして、上記のクラッチ本体部2は、常態
においてダイヤフラムスプリング11がプレッシャプレ
ート10をクラッチディスク8に押し付け、クランクシ
ャフト4から入力軸7への動力伝達を可能にしており
(以下、この状態をクラッチの接続と呼ぶ。)、その状
態からレリーズベアリング12が前進操作されると、ダ
イヤフラムスプリング11によるプレッシャプレート1
0の押し付け力が解除されて、クランクシャフト4と入
力軸7の間の動力伝達が遮断される(以下、この状態を
クラッチの遮断と呼ぶ。)ようになっている。また、ク
ラッチディスク8の一対の摩擦板9a,9bはクッショ
ニングプレート15を介して連結されていて、この摩擦
板9a,9bがプレッシャプレート10とフライホイー
ル5によって挟圧されたときに、クッショニングプレー
ト15によって両者を離反させる方向のばね反力が作用
するようになっている。このため、エンジン側摩擦要素
であるプレッシャプレート10及びフライホイール5
と、駆動輪側摩擦要素であるクラッチディスク8とは、
レリーズレバー14の変位に応じた力で摩擦係合され
る。尚、この実施例においては、プレッシャプレート1
0及びフライホイール5と、クラッチディスク8とによ
って摩擦係合機構が構成されている。
【0015】また、前記クラッチハウジング13の外側
には油圧シリンダ16が取り付けられ、この油圧シリン
ダ16から延出したピストンロッド17の先端が前記レ
リーズレバー14の基端に結合されている。この油圧シ
リンダ16は、供給油圧に応じてピストンロッド17を
進退動作させるものであるが、その油圧経路には供給油
圧を調整するための電磁弁18が介装されている。この
実施例においては、油圧シリンダ16とこの電磁弁18
とが本発明における操作アクチュエータを構成してお
り、電磁弁18の通電電流を後述するコントローラ19
によって制御することにより、ピストンロッド17のス
トロークを適宜調整するようになっている。
【0016】前記油圧シリンダ16につながる油圧経路
は、オイルタンク20の作動油を供給する供給通路21
と、作動油をオイルタンク20に戻すドレン通路22と
が並列に設けられ、これらの通路21,22が、前記油
圧シリンダ16に接続された給排通路23に前記電磁弁
18を介して接続された概略構成となっている。そし
て、前記供給通路21には、電動モータ24によって駆
動される油圧ポンプ25と、この油圧ポンプ25による
吐出圧を蓄圧するアキュムレータ26と、このアキュム
レータ26の圧力を検出する圧力スイッチ27とが配設
されており、アキュムレータ26の圧力が圧力スイッチ
27を通してコントローラ19によって監視され、その
圧力が常に設定圧力範囲内に維持されるように、電動モ
ータ24のオン・オフがコントローラ19で制御される
ようになっている。したがって、供給通路21の供給圧
は常時設定圧力の範囲に維持されている。尚、図中28
は、リリーフ弁を示し、29は、逆止弁を示す。また、
電磁弁18は、給排通路23に対する供給通路21とド
レン通路22の連通面積の割合を通電電流iに応じて可
変制御し、それによって油圧シリンダ16のストローク
量及び速度を適宜制御するようになっている。
【0017】一方、コントローラ19は、図2で示す各
種の検出器30〜32から信号を入力され、これらの入
力信号に基づいて電磁弁18に通電する電流iを制御す
るようになっている。以下、コントローラ19に信号を
入力する30〜32の検出器について簡単に説明する。
【0018】30は、出力回路33に接続された圧電セ
ラミックスであり、この圧電セラミックス30は、変速
機のギヤ機構を手動操作するためのギヤシフトレバー3
8に付設され、出力回路33を介してコントローラ19
にその出力電圧を入力するようになっている。出力回路
33は、図3に示すように、電圧オフセット回路34、
フィルタ回路35、温度補償回路36、及び、増幅回路
37から成り、圧電セラミックス30の出力電圧を外乱
による影響を受けることなく常に安定したかたちでコン
トローラ19に入力できるようになっている。また、圧
電セラミックス30は、周知のように、出力電圧が入力
荷重の変化速度と大きさに応じて、同様の変化速度と大
きさで変化する特性を有しており、したがって、圧電セ
ラミックス30からコントローラ19には、運転者がギ
ヤシフトレバー38に加えた荷重の変化に応じた電圧が
入力されることとなる。
【0019】尚、この圧電セラミックス30の出力電圧
の具体的な特性は、例えば、図4及び図5(A)に示す
ようになる。図4及び図5(A)は、運転中にギヤシフ
トレバー38を2速から3速にシフトし、後にさらに3
速から2速にシフトした場合の、2.5Vを中立電圧と
する出力電圧の特性図であって、同図中の実線は運転者
がギヤシフトレバー38を素早く操作したとき、つま
り、入力荷重の変化速度と大きさが大きいときの特性を
示し、鎖線は運転者がギヤシフトレバー38をゆっくり
と操作したとき、つまり、入力荷重の変化速度と大きさ
が小さいときの特性を示している。
【0020】また、31は、油圧シリンダ16のストロ
ーク量を検出するストロークセンサであり、32は、変
速機の現在のギヤポジションと、変速機がギヤシフトを
完了したことを検出するギヤポジション・センサであ
る。尚、このギヤポジション・センサ32は、本発明に
おけるシフト完了検出器を構成する。
【0021】ここで、コントローラ19の備える主な構
成を図1に基づいて説明する。
【0022】コントローラ19は、圧電セラミックス3
0の出力電圧を受け、その出力電圧をしきい電圧ΔE0
と比較するしきい電圧比較手段と、このしきい電圧比較
手段の比較結果に基づき、圧電セラミックス30の出力
電圧がしきい電圧ΔE0以上のときに油圧シリンダ16
をクラッチ遮断方向に最大ストロークさせる電流iを電
磁弁18に出力する遮断ストローク指令出力手段と、前
記しきい電圧比較手段の比較結果に基づき、圧電セラミ
ックス30の出力電圧がしきい電圧ΔE0以上のときに
この出力電圧の変化状態を演算する電圧変化演算手段
と、ギヤポジション・センサ32からのシフト完了信号
とこの電圧変化演算手段の演算結果を受けて、電磁弁1
8にその演算結果に応じた電流i、つまり、圧電セラミ
ックス30の出力電圧の変化状態に応じた速度で油圧シ
リンダ16をクラッチ接続方向にストロークさせる電流
iを出力する接続ストローク制御手段とを備え、これら
の構成によってクラッチの接続と遮断を制御するように
なっている。
【0023】ここで、しきい電圧比較手段で用いるしき
い電圧ΔE0は、発進時や変速時に運転者がギヤシフト
レバー38に力を加えたことを判断するためのもので、
図4及び図5(A)に示すように極めて小さな値に設定
されている。また、遮断ストローク指令出力手段で電磁
弁18に出力する電流iは、図5(C)中a〜b,a'
〜b'で示すように、油圧シリンダ16をクラッチ遮断
方向に即時に最大ストロークさせられる値に設定されて
いる。
【0024】また、電圧変化演算手段においては、出力
電圧の変化状態として、出力電圧の出力初期の変化速度
ΔE/dtと最大変位ΔEmaxを演算し、接続ストロー
ク制御手段においては、前記演算手段で求めた出力電圧
の変化速度ΔE/dtに応じた速度で油圧シリンダ16
をクラッチ接続方向にストロークさせ、その制御判断を
出力電圧の最大変位ΔEmaxを基にしてチェックする。
尚、このクラッチ接続方向のストローク制御は、出力電
圧の変化速度ΔE/dtのみに応じて行うことや、最大
変位ΔEmaxのみに応じて行うことも可能である。ま
た、このクラッチ接続方向のストローク制御は、ギヤシ
フトレバー38を素早く操作した場合の制御精度を高め
るために、さらに電圧速度ΔE/dtの変化率をも制御
判断の一つに加えることも可能である。
【0025】さらに、この実施例の場合、接続ストロー
ク制御手段による油圧シリンダ16のストローク速度の
制御は、シリンダ16のストロークを複数の区分に分
け、ストロークセンサ31からの信号の入力を基にその
ストローク区分毎に別々に行うようにしている。即ち、
ストローク区分としては、図5(C)に示す、最大スト
ローク位置jから半クラッチ領域直前の位置kまで、こ
の位置kから半クラッチ領域内の位置mまで、この位置
mから半クラッチ領域を越えた位置nまで、さらにこの
位置nから最小ストローク位置pまでで夫々分け、n〜
pの区分では出力電圧の変化速度ΔE/dtにかかわら
ず常に最大速度でストロークさせ、j〜kの区分ではn
〜pの区分を除く3区分の中で最も速い速度VAに、k
〜mの区分では最もゆっくりとした速度VB、m〜nの
区分では速度VBよりも僅かに速い速度VCとなるよう
に、各速度VA,VB,VCを出力電圧の変化速度ΔE/
dtに応じて制御するようにしている。したがって、ク
ラッチの接続は、圧電セラミックス30の出力電圧の変
化がいかなる状態の場合にもストローク区分毎にきめ細
かく制御されることとなり、常にスムーズで、かつロス
時間の少ないものとなる。
【0026】以下、この車両用自動クラッチ1の作動を
コントローラ19の制御を中心として図6のフローチャ
ートを参照して説明する。尚、発進時も含めていずれの
変速段のギヤシフト時にも、すべてほぼ同様のクラッチ
制御が行われるため、以下では、ギヤシフトレバー38
を2速から3速にシフト操作する場合についてだけを説
明し、他のシフト操作を行う場合については説明を省略
するものとする。
【0027】変速機を2速にシフトした状態で車両が運
転されているときに、運転者がギヤシフトレバー38を
3速に操作すると、運転者が最初にギヤシフトレバー3
8に加えた僅かな荷重が圧電セラミックス30で検出さ
れ、圧電セラミックス30からその荷重に応じた出力電
圧がコントローラ19に入力される。すると、コントロ
ーラ19は、図6のステップ100においてこの出力電
圧を受け、つづくステップ101において、この出力電
圧がしきい電圧ΔE0以上であるかどうかを判断し、出
力電圧がしきい電圧ΔE0以上のときにだけ次のステッ
プ102に進み、同ステップ102において電磁弁18
にクラッチを最大速度で遮断するための電流iを電磁弁
18に出力する。これにより、クラッチは図5(C)の
a〜b,a'〜b'に示すように即時に遮断されることと
なる。
【0028】次に、ステップ103において、ギヤポジ
ション・センサ32からのシフト完了信号の入力の有無
を判断し、シフト完了信号が入力された場合(図5
(B)参照。)には、ステップ104に進んで、出力電
圧の入力初期の電圧変化速度ΔE/dtと最大変位ΔE
maxを演算すると共に、ステップ105において、油圧
シリンダ16のストローク速度VAをこの演算結果に応
じて制御すべく電流iを電磁弁18に出力する。このと
きのクラッチのストローク速度は図5(C)のc〜d,
c'〜d'参照。
【0029】この後、ストロークセンサ31からの入力
信号を基に、ステップ106において、クラッチが半ク
ラッチ直前の位置kに達したかどうかの判断を行い、位
置kに達したと判断した場合には次のステップ107に
進んで、このステップ107において、油圧シリンダ1
6のストローク速度VBを前記の演算結果に応じて制御
すべく電流iを電磁弁18に出力する。このときのクラ
ッチのストローク速度は図5(C)のd〜e,d'〜e'
参照。
【0030】次に、ステップ108において、ストロー
クセンサ31からの入力信号を基にしてクラッチが半ク
ラッチ領域内の位置mに達したかどうかの判断を行い、
位置mに達したと判断した場合にはさらに次のステップ
109に進んで、このステップ109において、油圧シ
リンダ16のストローク速度VCを前記の演算結果に応
じて制御すべく電流iを電磁弁18に出力する。このと
きのクラッチのストローク速度は図5(C)のe〜f,
e'〜f'参照。
【0031】さらにこの後、ステップ110において、
ストロークセンサ31の信号を基にしてクラッチが半ク
ラッチ領域を越えた位置nに達したかどうかの判断を行
い、位置nに達したと判断した場合にはステップ111
に進み、同ステップ111で油圧シリンダ16を最大速
度でストロークさせるべく電流iを電磁弁18に出力す
る。このときのクラッチのストローク速度は図5(C)
のf〜g,f'〜g'参照。
【0032】そして、最後にステップ112において、
ストロークセンサ31の信号からクラッチが初期位置p
に達したかどうかの判断を行い、位置pに達したと判断
したところでクラッチの制御を終了する。
【0033】この自動クラッチ1は以上のように、ギヤ
シフトレバー38に付設した圧電セラミックス30の出
力電圧の変化速度ΔE/dtと最大変位ΔEmaxに応じ
てクラッチの接続速度を制御するようにしているため、
運転者が素早いギヤシフトレバー38の操作を行うと、
図5(C)中の実線で示すように、その操作荷重の変化
に応じた素早いクラッチ接続が行われ、逆に、運転者が
ゆっくりとしたギヤシフトレバー38の操作を行うと、
図5(C)の破線で示すようにゆっくりとしたクラッチ
接続が行われることとなる。したがって、この自動クラ
ッチ1を採用した場合には、クラッチを素早く接続した
い、或いは、ゆっくりと接続したいといった運転者の意
志に応じた速度でクラッチを適確に接続することができ
るようになり、その結果、運転者のレバー操作とクラッ
チ接続時に運転者が実際に受ける感覚とにギャップを覚
えることがなくなる。
【0034】また、この自動クラッチ1の場合、入力荷
重に対する電圧出力の大きい圧電セラミックス30を用
いているため、その出力電圧を利用するにあたってさし
て大きな増幅を必要とせず、そのため入力信号の誤差が
少なくなって制御の精度が高まるという利点もある。
【0035】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明は、エンジ
ン側摩擦要素と駆動輪側摩擦要素を近接離反させてトル
クの伝達と遮断を行う摩擦係合機構と、この摩擦係合機
構を接続方向と遮断方向に変位させる操作アクチュエー
タと、運転者によって操作されるギヤシフトレバーと、
このギヤシフトレバーに付設された圧電セラミックス
と、この圧電セラミックスの出力電圧を受け、その出力
電圧の変化状態に応じて操作アクチュエータのクラッチ
接続方向のストローク速度を制御するコントローラと、
を備えた構成としたため、入力荷重の変化速度と大きさ
に応じて、出力電圧が同様の変化速度と大きさで変化す
る圧電セラミックスの特性から、ギヤシフトレバーの操
作状況に応じた速度で正確にクラッチの接続を行うこと
ができる。したがって、クラッチを素早く接続したい、
或いは、ゆっくりと接続したいといった運転者の意志に
応じた速度でクラッチが接続されることから、運転者の
操作意志とクラッチ接続時に運転者が実際に受ける感覚
とに大きなギャップが生じることがなく、運転者にまっ
たく違和感を与えることがない。また、入力荷重に対し
て圧電セラミックスの電圧の出力が大きいことから、入
力信号の信号処理にあたって信号の増幅率を小さくする
ことができ、その分、クラッチの制御制精度を高めるこ
とができるという利点もある。
【0036】また、請求項2〜5の発明は、エンジン側
摩擦要素と駆動輪側摩擦要素を近接離反させてトルクの
伝達と遮断を行う摩擦係合機構と、この摩擦係合機構を
接続方向と遮断方向に変位させる操作アクチュエータ
と、運転者によって操作されるギヤシフトレバーと、こ
のギヤシフトレバーに付設された圧電セラミックスと、
変速機でのギヤシフトの完了を検出するシフト完了検出
器と、前記圧電セラミックスの出力電圧を受け、所定の
しきい電圧と比較するしきい電圧比較手段と、このしき
い電圧比較手段の比較結果に基づき、前記出力電圧がし
きい電圧以上のときに操作アクチュエータにクラッチを
遮断するストローク指令を出力する遮断ストローク指令
出力手段と、前記しきい電圧比較手段の比較結果に基づ
き、前記出力電圧がしきい電圧以上のときに出力電圧の
変化状態を演算する電圧変化演算手段と、前記シフト完
了検出器の完了検出信号と前記電圧変化演算手段の演算
結果を受け、出力電圧の変化状態に応じた速度で操作ア
クチュエータをクラッチ接続方向にストロークさせる接
続ストローク制御手段と、を備えた基本構成としたた
め、ギヤシフトレバーの操作に伴う圧電セラミックスの
出力電圧を基にして、クラッチの速やかな遮断と、ギヤ
シフトレバーの操作状況に応じた速度でのクラッチの接
続を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施例を示す全体概略構成図。
【図3】同実施例を示す出力回路の構成図。
【図4】同実施例を示す出力電圧の特性図。
【図5】同実施例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…自動クラッチ、 5…フライホイール(エンジン側摩擦要素)、 8…クラッチディスク(駆動輪側摩擦要素)、 10…プレッシャプレート(エンジン側摩擦要素)、 16…油圧シリンダ(操作アクチュエータ)、 18…電磁弁(操作アクチュエータ)、 19…コントローラ、 30…圧電セラミックス、 32…ギヤポジション・センサ(シフト完了検出器)、 38…ギヤシフトレバー。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン側摩擦要素と駆動輪側摩擦要素
    を近接離反させてトルクの伝達と遮断を行う摩擦係合機
    構と、 この摩擦係合機構を接続方向と遮断方向に変位させる操
    作アクチュエータと、 運転者によって操作されるギヤシフトレバーと、 このギヤシフトレバーに付設された圧電セラミックス
    と、 この圧電セラミックスの出力電圧を受け、その出力電圧
    の変化状態に応じて操作アクチュエータのクラッチ接続
    方向のストローク速度を制御するコントローラと、を備
    えたことを特徴とする車両用自動クラッチ。
  2. 【請求項2】 エンジン側摩擦要素と駆動輪側摩擦要素
    を近接離反させてトルクの伝達と遮断を行う摩擦係合機
    構と、 この摩擦係合機構を接続方向と遮断方向に変位させる操
    作アクチュエータと、 運転者によって操作されるギヤシフトレバーと、 このギヤシフトレバーに付設された圧電セラミックス
    と、 変速機でのギヤシフトの完了を検出するシフト完了検出
    器と、 前記圧電セラミックスの出力電圧を受け、所定のしきい
    電圧と比較するしきい電圧比較手段と、 このしきい電圧比較手段の比較結果に基づき、前記出力
    電圧がしきい電圧以上のときに操作アクチュエータにク
    ラッチを遮断するストローク指令を出力する遮断ストロ
    ーク指令出力手段と、 前記しきい電圧比較手段の比較結果に基づき、前記出力
    電圧がしきい電圧以上のときに出力電圧の変化状態を演
    算する電圧変化演算手段と、 前記シフト完了検出器の完了検出信号と前記電圧変化演
    算手段の演算結果を受け、出力電圧の変化状態に応じた
    速度で操作アクチュエータをクラッチ接続方向にストロ
    ークさせる接続ストローク制御手段と、を備えたことを
    特徴とする車両用自動クラッチ。
  3. 【請求項3】 電圧変化演算手段は、出力電圧の変化速
    度を演算することを特徴とする請求項2に記載の車両用
    自動クラッチ。
  4. 【請求項4】 電圧変化演算手段は、出力電圧の最大変
    化量を演算することを特徴とする請求項2または3に記
    載の車両用自動クラッチ。
  5. 【請求項5】 電圧変化演算手段は、出力電圧の変化速
    度の変化率をも演算することを特徴とする請求項3また
    は4に記載の車両用自動クラッチ。
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