JPH10121601A - セラミックス吸音壁 - Google Patents

セラミックス吸音壁

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JPH10121601A
JPH10121601A JP8274524A JP27452496A JPH10121601A JP H10121601 A JPH10121601 A JP H10121601A JP 8274524 A JP8274524 A JP 8274524A JP 27452496 A JP27452496 A JP 27452496A JP H10121601 A JPH10121601 A JP H10121601A
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秀尚 河崎
Osamu Kawasaki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔質セラミックス吸音材を使用し、その優
れた吸音性能を維持しつつ、低周波数域側の吸音性能を
改善向上させ、しかも吸音壁全体の厚さを薄くすること
のできるセラミックス吸音壁を提供する。 【解決手段】 セラミックス吸音壁は、多孔質セラミッ
クスブロック2の表面に深さ20mm以上の非貫通穴3
及び/又は非貫通溝を有し、非貫通穴3又は非貫通溝の
底から裏面に、その穴径又は溝幅以下の直径の貫通穴4
を裏面2bでの開口率が0.3〜14%となるように設
けたセラミックス吸音材1と、セラミックス吸音材1の
裏面2b側に背後空気層6を介して設けた壁板5とから
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性及び耐久性
などに優れたセラミックスの吸音材と背後空気層を組み
合わせた吸音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、吸音材としては、グラスウールや
ロックウール等の鉱物繊維系吸音材が代表的なものであ
った。しかし、鉱物繊維系吸音材は、含水すると吸音性
能が著しく低下すると共に、繊維からなるため経時的に
変形したり、高速気流により飛散又は剥離し易いなど、
耐候性や耐久性に欠点があった。
【0003】そこで最近では、耐候性に優れていて屋外
でも使用でき、不燃性で断熱効果もある吸音材として、
セラミックス系やセメント系の吸音材が開発されてい
る。例えば、セラミックス系の吸音材は、各種のセラミ
ックス粒子をバインダーと共に成形して高温で焼成した
ものが一般的であり、多孔質になっているため、多数の
細かい気孔により音エネルギーを吸収する作用がある。
【0004】しかし、これら従来の微細な気孔を有する
多孔質セラミックス吸音材は、微細な気孔による空隙の
程度により吸音性能が多少異なるものの、その材質によ
って吸音ピーク周波数がほぼ特定されるうえ、吸音し得
る周波数の領域も狭く、特に数百Hz以下の低周波数域
の吸音性能に劣るという欠点があった。
【0005】一方、石膏ボードに多数の貫通孔を設けた
吸音材を剛壁に取り付け、両者の間に背後空気層を設け
ることによって、低周波数域の吸音性能を向上させるこ
とが一般に行われている。例えば、通常の板厚4〜12
mmの石膏ボードに、穴径5〜9mmの貫通穴を開口率
6〜20%となるように設けた吸音材と、背後空気層と
を組み合わせた場合の吸音ピークは、背後空気層の厚さ
が45mmで約600Hz、150mmで約250H
z、300mmで約160Hzであって、背後空気層が
厚くなるほど吸音ピークが低周波数側に移行する。
【0006】このように、穴空き石膏ボードの背後に空
気層を設けた吸音壁構造では、低周波数域に吸音ピーク
を設定することが可能であるが、約200Hz以下の音
を効率良く吸音するためには背後空気層の厚さを相当厚
く、例えば200mm程度以上にしなければならなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、耐候性や耐久性に優れた多孔質セラミッ
クス吸音材を使用して、その優れた吸音性能を維持しつ
つ、低周波数域側の吸音性能を改善向上させ、しかも吸
音壁全体の厚さをできるだけ薄することのできるセラミ
ックス吸音壁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のセラミックス吸音壁は、気孔率が60%以
上、気孔径の主体が0.2〜2000μmの連通気孔を
有し、通気率が1cm3・cm/cm2・sec・cmH2
以上の多孔質セラミックスブロックであって、その厚さ
方向に直角な表面に深さ20mm以上の非貫通穴及び/
又は非貫通溝を有し、該非貫通穴又は非貫通溝の底から
裏面にその穴径又は溝幅以下の直径の貫通穴を裏面開口
率が0.3〜14%となるように穿設したセラミックス
吸音材と、該セラミックス吸音材の裏面側に設けた壁板
と、該壁板と前記セラミックス吸音材との間に形成され
た背後空気層とからなることを特徴とする。
【0009】上記構成を備えた本発明のセラミックス吸
音壁は、セラミックス吸音材自体の吸音ピークを維持す
ると共に、該吸音ピークよりも低周波数域側に第2の吸
音ピークを有するものである。特に、低周波数域の吸音
に必要であった従来一般的な背後空気層の厚さに比べて
極めて薄い背後空気層で低周波数域の吸音ができ、例え
ば背後空気層が1〜100mmと極めて薄くても、低周
波数域側の第2の吸音ピークの吸音率を0.7以上とす
ることが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いるセラミックスブロ
ックは、耐火粘土及び/又は耐火シャモットに気孔付与
材を添加し、焼成して得られるものである。気孔付与材
としては、粒径が0.5〜2mm程度の発泡ポリスチレ
ンの粒子や、鋸屑のような木屑などを使用できる。発泡
ポリスチレン粒子を使用する場合には、同時に耐火粘土
や耐火シャモットに界面活性剤を混合させて形成した泡
を混在させることが好ましい。また、焼成温度は120
0〜1700℃程度が好ましい。
【0011】かかる方法により得られるセラミックスブ
ロックは、気孔径の主体が0.2〜2000μmの連通
気孔を有する多孔質である。この多孔質のセラミックス
ブロックは、通気率が1cm3・cm/cm2・sec・c
mH2O以上の場合、それ自体で吸音性能を有してい
る。
【0012】この多孔質セラミックスブロック自体の吸
音性能は、まず第1に多孔質セラミックスブロックの通
気率によって変化し、通気率が大きいほど高い吸音効果
が得られる。セラミックスブロックの通気率は、耐火粘
土や耐火シャモットに混合する気孔付与材の種類、形
状、粒度、及び粒度分布、並びに焼成条件などによって
変えることができ、かさ比重が同一でも異なる通気率の
セラミックスブロックを得ることができる。しかし、上
記の気孔付与材の添加による製造方法では、通気率は2
0cm3・cm/cm2・sec・cmH2Oが上限である。
【0013】また、上記のごとく耐火粘土や耐火シャモ
ットに気孔付与材を添加して焼成する方法では、得られ
る多孔質セラミックスブロックの気孔率が60%未満で
は通気率1cm3・cm/cm2・sec・cmH2O以上と
することが難しく、また気孔率が90%を越えるとハン
ドリング及び吸音穴の穿設などの加工に必要な強度を得
ることが難しい。
【0014】本発明では、図1に示すように、かかる多
孔質のセラミックスブロック2の厚さ方向と直角な表面
2aに、多数の非貫通穴3及び/又は非貫通溝を設け
る。セラミックス吸音材自体の吸音特性を優れたものと
するため、非貫通穴は穴径が2〜15mm及び表面での
開口率(表面開口率という)が5〜30%の範囲とし、
1〜数種の穴深さ及び1〜数種の穴径の組み合わせで設
ける。また、非貫通溝は溝幅が2〜65mm及び表面開
口率が9〜65%の範囲とし、同じく1〜数種の溝深さ
及び1〜数種の溝幅の組み合わせて設けてよい。
【0015】非貫通穴の穴径又は非貫通溝の溝幅は、表
面開口率が同一であれば、穴径又は溝幅が小さいほどセ
ラミックス吸音材自体の吸音ピーク値が高くなる。しか
し、穴径や溝幅が小さいと非貫通穴又は非貫通溝の数が
多くなり、逆に穴径や溝幅が大きいと破損が起こりやす
いため、上記範囲の穴径又は溝幅が好ましい。
【0016】また、セラミックス吸音材自体の優れた吸
音特性を得るため、非貫通穴又は非貫通溝の深さは20
mm以上とする。非貫通穴又は非貫通溝の深さを深くす
るほど、吸音ピーク値が高くなるからである。従って、
多孔質セラミックスブロックは、深さ20mm以上の非
貫通穴又は非貫通溝を穿設し得るだけの厚さが必要であ
り、特に非貫通穴又は非貫通溝の底からセラミックスブ
ロックの裏面までの厚さ(背厚)を大きくするほど、吸
音ピークより低周波数側での吸音率を向上させることが
できる。
【0017】本発明におけるセラミックス吸音材1は、
図1に示すように、非貫通穴3の穴径又は非貫通溝の溝
幅以下の直径で、非貫通穴3又は非貫通溝の底からセラ
ミックスブロック2の裏面2bに貫通する貫通穴4を設
けてある。このセラミックス吸音材1の裏面2b側に壁
板5を設け、両者の間に背後空気層6を形成することに
より吸音壁が得られる。
【0018】かかるセラミックス吸音材1と壁板5との
組み合わせにより、セラミックス吸音材1自体による高
周波数域の第1の吸音ピークを維持しながら、セラミッ
クスブロック2に貫通穴4を設けない場合及び背後空気
層6を設けない場合に比べて、第1の吸音ピークよりも
低周波数側において極めて大きい第2の吸音ピークを得
ることができる。
【0019】背後空気層の厚さが同一の場合、貫通穴の
直径が小さいほど低周波数側に第2の吸音ピークが得ら
れ、また貫通穴の直径が同じでも、貫通穴の数を減らし
又は貫通穴による裏面での開口率(裏面開口率という)
を小さくすることでよって、第2の吸音ピークをより低
周波数側に得ることができる。また、背後空気層が厚い
ほど第2の吸音ピークが低周波数側に移行し、100H
z以下の第2の吸音ピークも背後空気層を100mm以
上とすることで得ることができる。セラミックス吸音材
の厚さが厚くなると、セラミックス吸音材+背後空気層
の厚さが同じであっても、より低周波数側に第2の吸音
ピークが得られる傾向がある。
【0020】特に、本発明の吸音壁では、低周波数域の
吸音に従来必要であった一般的な背後空気層の厚さに比
べて極めて薄い背後空気層で、低周波数域での第2の吸
音ピークにおける吸音率を0.7以上とすることが可能
である。この高い第2の吸音ピークは、単位面積当たり
の貫通穴の数が少ないほど高い裏面開口率でも得ること
ができ、逆に貫通穴の数が多くなるほど低い裏面開口率
で達成できるようになる。しかし、裏面開口率が0.3
%を下回ると、吸音率0.7以上の第2の吸音ピークを
得ることができない。また、セラミックス吸音材の厚さ
が薄くなると第2の吸音ピークが低くなるので、0.7
以上の吸音率を得るためには裏面開口率を小さくする必
要がある。
【0021】本発明の吸音壁の好ましい具体例として
は、背後空気層が100mm以下のとき、セラミックス
吸音材の裏面開口率が0.3〜9%の範囲で、200H
z以下に第2の吸音ピークとすることができる。更に、
背後空気層が100mm以下のとき、セラミックス吸音
材の裏面開口率が0.3〜6%の範囲で、160Hz以
下に第2の吸音ピークをえることが可能である。また、
これら第2の吸音ピークでは、0.7以上の吸音率を達
成することができる。
【0022】尚、セラミックス吸音材に設ける貫通穴の
直径は、表面に開口する非貫通穴の穴径又は非貫通溝の
溝幅と同一であってもよいが、非貫通穴の穴径又は非貫
通溝の溝幅よりも小さくすることで、セラミックス吸音
材自体の高周波数側の吸音ピークと低周波数域側の第2
の吸音ピークの各周波数並びに吸音率の選択幅が広が
り、設計上の自由度が大きくなる利点がある。
【0023】また、本発明における吸音率は、JIS
A1405管内法による建築材料の垂直入射吸音率測定
方法で測定したものをいう。
【0024】
【実施例】実施例1 耐火粘土と耐火シャモットに気孔賦与材として大鋸屑を
混合し、成形した後、1300℃で焼成した。得られた
セラミックスブロックは多孔質で、気孔径の主体が0.
2〜2000μmで、かさ比重0.80、気孔率70
%、通気率3.7cm3・cm/cm2・sec・cmH2
であった。この厚み65mmの多孔質セラミックスブロ
ックの厚さ方向に直角な表面に、穴径12mmで穴深さ
が40mmの非貫通穴を、ピッチ22mmで、表面開口
率23.4%となるようにほぼ規則的に穿設した。
【0025】更に、各セラミックスブロックの幾つかの
非貫通穴の底から、裏面に貫通する直径12mmの貫通
穴を穿設した。その際、全非貫通穴のうち貫通穴を設け
た非貫通穴の割合(貫通穴/非貫通穴)並びにそのとき
の裏面開口率を、各セラミックスブロックごとに0(貫
通穴なし、裏面開口率0%)、1/12(裏面開口率
2.0%)、1/6(裏面開口率3.9%)、1/4(裏
面開口率5.9%)、1/3(裏面開口率7.8%)、5
/12(裏面開口率9.8%)、1/2(裏面開口率1
1.7%)、7/12(裏面開口率13.7%)、及び2
/3(裏面開口率15.6%)に変化させた。
【0026】かくして得られた各セラミックス吸音材
を、その裏面を通常の鋼板などからなる壁板に対向させ
て取り付け、セラミックス吸音材と壁板の間の背後空気
層の厚さを100mmに設定した。得られた各吸音壁に
ついて吸音率を測定し、その結果を図2に示した。
【0027】図2の結果から、裏面開口率が13.7%
以下の各セラミックス吸音材を用いた吸音壁で、セラミ
ックス吸音材自体による高周波数側の第1の吸音ピーク
と共に、それより低周波数側に吸音率0.7以上の第2
の吸音ピークが得られたことが分かる。また、この第2
の吸音ピークは、裏面開口率が7.8%〜9.8%の範囲
では200Hz以下に、裏面開口率が5.9%以下では
160Hz以下に存在することが分かる。
【0028】実施例2 上記実施例1のセラミックス吸音材のうち、非貫通穴に
対する貫通穴の割合が1/4(裏面開口率5.9%)の
ものを使用して、背後空気層の厚さを0mm、10m
m、30mm、60mm、100mmと変化させてそれ
ぞれ吸音壁を構成した。
【0029】得られた各吸音壁について吸音率を測定
し、その結果を図3に示した。この結果、背後空気層の
厚さが10〜100mmの何れの吸音壁においても、周
波数400Hz以下の低周波数域に、吸音率0.7を越
える高い第2の吸音ピークを得ることができた。しか
し、背後空気層の厚さが0mm(背後空気層無し)の場
合には、低周波数域に第2の吸音ピークは現れなかっ
た。
【0030】実施例3 上記実施例1と同様に製造したセラミックスブロック
に、実施例1と同様に非貫通穴を設けた後、そのうち1
/4の非貫通穴の底から裏面に貫通穴を穿設する際に、
貫通穴の直径を2mm(裏面開口率0.16%)、3m
m(裏面開口率0.37%)、4mm(裏面開口率0.6
5%)、6mm(裏面開口率1.46%)、8mm(裏
面開口率2.60%)、10mm(裏面開口率4.06
%)と変化させた。得られた各セラミックス吸音材を用
いて、背後空気層の厚さを100mmにして吸音壁を構
成した。
【0031】得られた各吸音壁について吸音率を測定
し、その結果を図4に示した。この実施例では、非貫通
穴の底に穿設する貫通穴の直径が非貫通穴の穴径より小
さい段付き穴としたが、低周波数域に高い吸音率の第2
の吸音ピークが得られ、また貫通穴の直径を変えて開口
率を変えることにより、第2の吸音ピークの位置を変え
ることができた。更に、裏面開口率が0.37%以上で
は、100mmの背後空気層で、100Hz以下の低周
波数域に吸音率0.7以上の第2の吸音ピークが得られ
た。
【0032】実施例4 上記実施例1と同様のセラミックス吸音材において、穴
径12mmの非貫通穴の底から裏面に貫通する直径2m
mの貫通穴を穿設し、その際の貫通穴/非貫通穴の割合
を試料ごとに5/12(裏面開口率0.27%)、7/
12(裏面開口率0.38%)、9/12(裏面開口率
0.49%)、及び12/12(全数、裏面開口率0.6
5%)と変化させた。これらの各セラミックス吸音材を
用いて、実施例1と同様に背後空気層100mmの吸音
壁を構成した。
【0033】各吸音壁について吸音率を測定し、その結
果を図5に示した。貫通穴の直径を非貫通穴の穴径より
も小さくし且つ裏面開口率を小さくすることにより、第
2の吸音ピークを100Hz以下の低周波数域にするこ
とができた。また、裏面開口率0.27%のものは吸音
率0.7以上の第2の吸音ピークは得られなかったが、
裏面開口率0.38%以上の他のものは、100Hz以
下の第2の吸音ピークにおける吸音率が0.7以上に達
しているものと推定された。
【0034】実施例5 上記実施例と同様にして、気孔径の主体が0.2〜20
00μmで、かさ比重0.80、気孔率70%、通気率
3.7cm3・cm/cm2・sec・cmH2Oであって、
厚み65mmの多孔質セラミックスブロックを製造し
た。このセラミックスブロックの厚さ方向に直角な表面
に、溝幅9.4mm(長さはセラミックスブロックの全
幅)で深さ40mmの非貫通溝を、ピッチ30mmで、
表面開口率31.3%となるようにほぼ規則的に設け
た。
【0035】更に、各セラミックスブロックの非貫通溝
の底から裏面に貫通する直径2mmの貫通穴を、非貫通
溝内に12mm間隔で溝に沿い穿設し、裏面開口率0.
9%のセラミックス吸音材を得た。このセラミックス吸
音材を実施例1と同様に壁板に取り付け、背後空気層の
厚さを0mm、10mm、30mm、60mm、及び1
00mmに変化させ、それぞれの場合の吸音率を測定
し、その結果を図6に示した。
【0036】また、比較例として、非貫通溝を有するの
みで貫通穴を設けていないセラミックス吸音材を用い
て、背後空気層の厚さを上記と同様に変化させた吸音壁
を構成し、それぞれ吸音率を測定した結果を図7に示し
た。
【0037】これらの結果から、非貫通溝の底に貫通穴
を設けたセラミックス吸音材についても、壁板と組み合
わせて背後空気層の厚さを調整することにより、貫通穴
を設けない場合(図7)に比べて、低周波数域側に極め
て高い吸音率0.7以上の第2の吸音ピークが得られる
ことが分かる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、耐候性や耐久性に優れ
た多孔質セラミックス吸音材を使用して、その優れた吸
音性能を維持しつつ、それより低周波数域側の吸音性能
を改善向上させることができ、しかも背後空気層を極め
て薄くできるので全体の厚さの薄いセラミックス吸音壁
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックス吸音壁の具体例を示す概
略の断面図である。
【図2】実施例1におけるセラミックス吸音材の裏面開
口率を変えた各吸音壁の吸音率を示すグラフである。
【図3】実施例2における背後空気層の厚さを変えた各
吸音壁の吸音率を示すグラフである。
【図4】実施例3におけるセラミックス吸音材の貫通穴
の直径を変えた各吸音壁の吸音率を示すグラフである。
【図5】実施例4におけるセラミックス吸音材の裏面開
口率を小さくした各吸音壁の吸音率を示すグラフであ
る。
【図6】実施例5における非貫通溝内に貫通穴を設けた
セラミックス吸音材を用い、背後空気層の厚さを変えた
各吸音壁の吸音率を示すグラフである。
【図7】実施例5の比較例として、非貫通貫通溝のみを
有するセラミックス吸音材を用い、背後空気層の厚さを
変えた各吸音壁の吸音率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 セラミックス吸音材 2 セラミックスブロック 2a 表面 2b 裏面 3 非貫通穴 4 貫通穴 5 壁板 6 背後空気層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気孔率が60%以上、気孔径の主体が
    0.2〜2000μmの連通気孔を有し、通気率が1c
    3・cm/cm2・sec・cmH2O以上の多孔質セラミ
    ックスブロックであって、その厚さ方向に直角な表面に
    深さ20mm以上の非貫通穴及び/又は非貫通溝を有
    し、該非貫通穴又は非貫通溝の底から裏面にその穴径又
    は溝幅以下の直径の貫通穴を裏面開口率が0.3〜14
    %となるように穿設したセラミックス吸音材と、該セラ
    ミックス吸音材の裏面側に設けた壁板と、該壁板と前記
    セラミックス吸音材との間に形成された背後空気層とか
    らなることを特徴とするセラミックス吸音壁。
  2. 【請求項2】 前記セラミックス吸音材自体の吸音ピー
    クと共に、該吸音ピークよりも低周波数域側に吸音率
    0.7以上の第2の吸音ピークを有することを特徴とす
    る、請求項1に記載のセラミックス吸音壁。
  3. 【請求項3】 背後空気層が100mm以下のとき、セ
    ラミックス吸音材の裏面開口率が0.3〜9%であっ
    て、200Hz以下に第2の吸音ピークが得られること
    を特徴とする、請求項1又は2に記載のセラミックス吸
    音壁。
  4. 【請求項4】 セラミックス吸音材の裏面に開口する貫
    通穴の直径が、表面に開口する非貫通穴の穴径又は非貫
    通溝の溝幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜
    3のいずれかに記載のセラミックス吸音壁。
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