JP3547587B2 - 吸音壁構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速道路、堀割、トンネル、工場建物、一般ビルなどの吸音壁構造に関するものである。より詳しくは、連続空隙のパネル全容積に占める割合が30%以上である吸音パネルにより形成され、高速道路や、堀割、トンネル、工場建物、一般ビルなどにおいて移動する騒音源が存在する場合など、壁に不定量の角度から騒音が入射する環境下における吸音効果が高い吸音壁構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続空隙を有する材料である、木毛セメント板、多孔質セラミックス、気泡コンクリート、骨材をセメント、樹脂等で結合させた粒子凝集型材料等が、吸音材として使用されている。また、これらの材料は、吸音性能を発揮するために全容積の30%以上の連続空隙を有している。その中で特に、連続気泡を有するコンクリート材料による吸音パネルは、安価かつ容易に入手しうる工業材料を原料とし、強度、耐久性、耐火性に富み、しかも別に基板を必要としない剛体吸音材として使用されている。
【0003】
このコンクリート系の吸音パネルは通常は吸音面が平面であるが、吸音面に単に景観性や意匠性を目的として市松模様状や、直線状の溝状の凹凸を有するものがある。さらに、吸音性能の向上を目的として、円筒状の穴や、角柱状の凹凸を有するものもある。
【0004】
一方、高速道路、掘割壁などの交通騒音は、自動車という音源が移動するという点や、吸音壁と自動車の高さ関係等から、吸音面への音源からの入射角の範囲は広い。また、使用される環境のほとんどが開空間である。このことから、従来の評価法である垂直入射吸音率測定方法および残響室法吸音率の測定方法では十分な評価ができないと考えられている。そこで上記の用途での吸音特性を評価する方法として、斜入射吸音率測定方法が採用されている。
【0005】
以下、前記斜入射吸音率測定方法についてその測定法を図8を参照して述べる。試験には半無響室を使用し、その床面に吸音パネル52を20m 以上設置する。その上方には、マイクロフォン53とスピーカ54を図8に示すように、音の入射角度を0度、15度、30度、45度の4種類とし、また各々の条件で反射音を測定できるように設置する。なお、スピーカ54とマイクロフォン53の配置は、剛体面51(図8の場合は床面)を基準に配置する。
【0006】
その距離について言えば、入射角0度以外の条件では、剛体表面から半径3mの円周上にスピーカ54とマイクロフォン53を配置し、入射角度0度の条件では、スピーカ54と剛体面51の距離を3m、マイクロフォン53と剛体面51の距離を2.5mとする。音源としては、スピーカ54より信号圧縮法で用いられている試験音(Time−stretched Pulses )を用い、400〜4000Hzの1/3オクターブバンドで測定を行う。このような方法で、試験体の設置前と設置時において、同一測定配置で観測される反射音成分を各々の波形から抽出する。
【0007】
このようにして、入射角度θの剛壁条件で得られる反射音のパワースペクトルをPr (f) とし、試験体設置条件で得られる反射音のパワースペクトルをPs(f) とする。ここで、入射角度θに対する試験体の吸音率を試験体設置前後に失われる音のエネルギー比によって以下の式のように定義する。
【0008】
α (θ) =1−Ps (f) /Pr (f)
【0009】
ここで、α (θ) は、斜入射吸音率である。
平均斜入射吸音率αR,A の計算は、道路交通騒音の周波数特性として日本音響学会が提案している平均スペクトルにA特性補正をした値と、各試験体の斜入射吸音率測定結果を用いて求める。表1にその計算方法を示す。
【0010】
【表1】
Figure 0003547587
【0011】
道路交通騒音に対する斜入射吸音率(表1におけるαR,A (θ) )は以下の式で求める。
【0012】
αR,A (θ) =[Σα ・10LAi/10/Σ10LAi/10
【0013】
各角度で得られた斜入射吸音率αR,A (θ) の算術平均を算出し、その結果を平均斜入射吸音率αR,A とする。
【0014】
αR,A =[{αR,A (0) +αR,A (π/12)+αR,A (π/6) +αR,A (π/4) }/4]
【0015】
以上の方法で斜入射吸音測定ならびに算出を行う。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
今回、以上のような斜入射吸音率測定法で、従来の吸音パネルを測定してみると、吸音パネルが平面な吸音面表面を有する場合は、高い斜入射吸音率測定値を得ることが難しいことがわかった。このため、吸音パネルの表面形状を前述のようにいろいろな凹凸に加工すれば、その目的のいかんにかかわらず、斜入射吸音率は多少なりとも上がることもわかったが、このような凹凸を吸音面に設けるには、必ず吸音パネルを加工する必要があるため、その分労力と手間がかかる。
【0017】
本発明者らは、このように吸音パネルの吸音面に凹凸を形成するための労力と手間をかけることなく、その吸音パネルにより形成された吸音壁構造の斜入射吸音率の値を向上させることに成功した。したがって、本発明は、従来のものより労力と手間をかけることなく、極めて簡単に構成することができる、斜入射吸音率の高い吸音壁構造を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の内容を詳細に述べる。
本発明の吸音壁構造は、連続空隙のパネル全容積に占める割合が30%以上である吸音パネルにより形成された吸音壁構造において、その吸音壁の吸音面が単数または複数の山形状をなし、その山形状の頂部のなす角度が160度〜176度の範囲にあり、その山形状の頂部から山裾までの距離が200〜1500mmの範囲にあることを特徴とする吸音壁構造である。
この吸音壁構造は、図7に示すような高速道路20、掘割壁などにおいて、自動車等の移動する騒音源21が存在する場合に使用される吸音壁1、あるいは、騒音源21から吸音壁1への入射角の範囲が広い騒音を吸収する必要がある場所での吸音壁1など、壁に不定量の角度から騒音が入射する環境下で使用される吸音壁構造として最適である。
【0019】
その理由について述べるが、その理由はさだかでない点も多く、推定の面も多い。
連続空隙はもともとそのパネル全容積に占める割合が30%未満であると十分な吸音効果を発揮することができない。したがって、連続空隙を有する吸音パネルは、通常その連続空隙のパネル全容積に占める割合が30%以上ある。このような吸音パネルにおいて、その吸音面を本発明のようにすることにより、上記斜入射吸音率測定方法による斜入射吸音率を増加させることが可能となる。
【0020】
また、実験の結果、本発明の吸音壁構造における山形状の頂部のなす角度が急角度になればなるほど前記斜入射吸音率測定方法における入射角度θが0度の場合の吸音率を上昇させることがわかった。また、入射角度θが15度の場合はその吸音率の上昇の度合いが少なくなり、30度の場合はさらに緩和され、そして、入射角度θが45度の場合の吸音率は山形状の頂部のなす角度に影響はほぼされないことがわかった。したがって、本発明の山形状の頂部のなす角度は、入射角度θが0度または15度の場合の吸音率に特に影響を与え、結果、これらの算術平均である平均斜入射吸音率に影響を与えるものであるらしい。
【0021】
以上のことから山形状の頂部のなす角度が急角度になればなるほど斜入射吸音率が高くなると考えられる。逆に、その角度が176度をこえる鈍角であると、吸音面が全く平面である場合との斜入射吸音率の差は認識できなくなる。しかしながら、山形状の頂部のなす角度が160度未満であると、吸音壁の設置スペースを大きく必要とするようになり、また、吸音壁を吸音面の後側から支えるばあいは、その支持部材にかかる力のモーメントが大きくなるので、その支持部材を丈夫なものにしなければならなくなり壁構造として不適切である。したがって、山形状の頂部のなす角度は160度〜176度の範囲にある必要がある。
【0022】
また、本発明に使用する吸音パネルは、製造の容易性や、取扱いの都合上から、200mm以上の幅を持つことが多く、吸音壁の山形状の頂部から山裾までの距離が200mm未満であると、そのパネルを切断して使用しなければならなくなる。逆に吸音壁が大きく、山形状の頂部から山裾までの距離が1500mmを越えると上述の吸音壁の設置スペースや支持部材の問題がおきてくる。したがって、その山形状の頂部から山裾までの距離が200〜1500mmの範囲にある必要がある。
【0023】
つぎに、本発明において、前記吸音壁が、移動する騒音源が存在する環境下で使用するものである場合は、騒音源が移動する方向と同一方向に走る尾根を有する山形状をなすものであるものであることが望ましい。本発明に使用する吸音パネルは、通常互いに平行な両側面を有するので、これらを並べた構成とするため、それに合わせて吸音面も尾根を有する山形状をなすことが適切である。
【0024】
この場合においてその尾根と垂直に交わる平面内に図8におけるマイクロフォン53とスピーカ54を設置しても斜入射吸音率についての効果は出るが、その尾根を含み吸音壁に垂直な方向に図8におけるマイクロフォン53とスピーカ54を設置して測定した場合のほうがより斜入射吸音率についての効果が大きい。このことは、吸音壁が、移動する騒音源が存在する環境下で使用するものである場合は、騒音源が移動する方向と同一方向に走る尾根を有する山形状をなすものであるものである方がより効果が大きいことを示す。
【0025】
さらに、本発明において、吸音パネルは表裏面が平行で、その裏面が、一対の傾斜平面よりなる山形状をなす台座の両傾斜平面に取り付けられたものであり、その台座の頂部のなす角度は160〜176度の範囲内であることが望ましい。
本発明に使用する吸音パネルとして、前記山形状の頂部のなす角度に合わせた台形断面を有する吸音パネルを使用しても性能的には変わらないが、台形断面を有する吸音パネルは大量生産に向かず、自然とコスト高となる。したがって本発明の壁構造を構成するにあたっても、通常生産される表裏面が平行な吸音パネルを構成材料とするべきで、頂部のなす角度が160〜176度の範囲内である山形状をなす台座の両側斜面に市販の前記吸音パネルを取り付けることにより壁構造を構成することが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
さらに本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明において、吸音面には前記山形状よりも細かい凹凸を有することにより、より吸音壁構造の斜入射吸音率が向上する。
吸音面に市松模様状や、直線状の溝、円筒状の穴、角柱状等の前記山形状よりも細かい凹凸を有することにより、音を少なからず乱反射させることができる。そのほか、連続空隙を有する吸音パネルは、その厚さによって吸音特性が変化する。すなわち、吸音パネルの厚さが増加すると、吸音帯域(吸音率の高い周波数帯域)が低周波側にシフトする。しかも、前記山形状よりも細かい凹凸を有することによって、吸音面積を増加させる効果もある。
したがって、本発明の吸音壁構造の吸音面にこのような凹凸を有することによりその相乗効果を得ることができる。
【0027】
また、その凹凸は溝であり、その溝の全長あるいは一部に、深さおよび幅が連続的に変化する部分を有する場合には更にその効果が顕著になる。溝の深さが連続的に変化する吸音面では、吸音率の高い周波数帯域が広い周波数域で連続的に存在することになる。さらに、溝の深さと幅を連続的に変化させることによって、広角から入射される音を効率的に吸音でき、吸音面から少なからずも発生する反射音も、分散することができるためその相乗効果はより高くなる。
【0028】
以下、吸音面に有する全長あるいは一部に、深さおよび幅が連続的に変化する部分を有する溝について、より詳しく論ずる。
このような、本発明の吸音壁構造において、その吸音面に、その溝を並行して複数有することにより、溝部分の吸音面全体に占める割合、すなわち比表面積を増加させることができ、意匠性も優れたものになる。この溝は、その長さ方向の位置に対して、その幅の変化が一定の周期をもって繰り返される溝であり、溝の幅変化の周期がその隣の溝の幅変化の周期と2分の1づつずれて配することで、比表面積を最高のものとすることができる。
【0029】
また、吸音面に前記溝が格子状に配されている吸音壁構造とすることによっても、溝部分の吸音面全体に占める割合、すなわち比表面積を増加させることができ、意匠性も優れたものになるが、そのほか、深さおよび幅が連続的に変化する部分も増やすことができる。そのうえ、斜入射吸音率の方向による偏りがなくなり、吸音パネルの取付け状態を選ばないようになる。
【0030】
以上のような吸音面を有する吸音パネルにおいて、溝の最大深さおよび最大幅がが50〜200mmの範囲にあり、その溝の最小深さおよび最小幅がが40mm以下であり、また、前記溝はその長さ方向の位置に対して、その幅及び深さの値が極小値及び極大値を繰り返す溝であり、その深さの極小値をとる位置同士又は極大値をとる位置同士の間隔が200〜2000mmであることが望ましい。吸音パネルの厚さは、35〜200mmの範囲のものが使用できる。35mm以下では、溝形成が困難になり、また低周波数の吸音特性の低下が著しくなる。一方、200mm以上では、壁厚が大きくなり、実用的でない。
【0031】
溝の最大深さは、パネル厚さの3分の2以上ではパネル自体の強度が著しく低下し、3分の1以下では高い斜入射吸音率が得られないので、パネル厚さの3分の2から3分の1の範囲が好ましい。また、溝の深さが連続的に変化するようにするために、溝の最小深さはパネル厚さの4分の1以下とすることが好ましい。さらに、溝の最大幅についても、同様に溝の幅が連続的に変化するようにして、高い斜入射吸音率を得るために、溝の最大幅は50〜200mm、最小幅は40mm以下とすることが望ましい。
【0032】
さらに、前記溝はその長さ方向の位置に対して、その幅及び深さの値が極小値及び極大値を繰り返す溝であり、その深さの極小値をとる位置同士又は極大値をとる位置同士の間隔が200〜2000mmであることが好ましい。溝の深さ、幅をこのような分布に設定することにより、人の可聴周波数帯域の音の大部分において吸音効果を得ることができる。
【0033】
ここで通常、溝の長さ方向の位置に対して、その位置の近傍で溝の深さが最大、最小となる値をそれぞれ溝の深さの極大値、極小値と呼ぶ。ただし、本明細書においては、その位置の近傍においてその場所が変わっても深さが変わらない部分が、それに隣接する部分に対して溝の深さが最大、最小となる場合は、その場所が変わっても深さが変わらない部分の中央を、それぞれ深さの極小値をとる位置又は極大値をとる位置とする。
【0034】
最後に本発明に使用する吸音パネルの材質について論ずる。
上記吸音パネルのなかで、コンクリート系吸音パネルは、連続的に変化する溝形状の型を施した型枠に原料を打設したり、切削加工によって溝を形成したりしやすく、吸音面に溝を形成するのに適している。
その中でも、セメント等の水硬性物質およびケイ酸質物質を主原料とし、アルミニウム等の金属粉末および界面活性剤により発泡させ、オートクレーブ養生によって製造されたコンクリート系吸音パネルである場合に、特に吸音効果の向上が大きく見られる。
【0035】
この場合は、連続空隙の割合が95%を超えるとパネルとしての強度を保つことが不可能になるので、通常その連続空隙のパネル全容積に占める割合が、30%以上95%以下である。
その他、コンクリート系吸音パネルには0.5mm〜8mmの径の天然砕石、人工骨材、軽骨材等をセメント等の水硬性材料で結合させてできた多孔質材料等によるものもある。
【0036】
さらに、材質は、全容量の30%以上、好ましくは40〜85%が連続気泡・空隙で構成された吸音パネルであり、この吸音パネルが連続気泡で構成されるコンクリート系吸音パネルの場合には、その気泡径は0.1mm〜2mmの範囲が好ましい。このコンクリート系吸音パネルは次のようにして製造できる。
【0037】
主原料は、セメント等の水硬性粉体と珪石等のケイ酸質粉体である。これらに、硬化調節材として石膏を添加する。これらの粉体原料と発泡剤としてアルミニウム金属粉末、気泡連結剤として界面活性剤、粘度調節剤として増粘剤を水と混合撹拌しスラリーとし、型枠に打設し、発泡・硬化させ、半硬化状態でオートクレーブ養生することによって製造する。
【0038】
この製造方法のほかに、起泡剤を使用したプレフォーム法およびミックスフォーム法による気泡コンクリートにも、また骨材、軽量骨材および繊維質材料をセメント又は有機質バインダー等で結合して作成する吸音パネルにも本発明は適用できる。
【0039】
吸音面の溝形成は、原料スラリーを流し込む型枠に連続的に変化する溝形状の型を施したものを使用して成形することも可能であり、また成形後に切削加工によって溝を形成することも可能である。気泡コンクリートの場合には、型枠成形では、離型剤の影響があったり、表面近傍の気泡が潰れたりするので、オートクレーブ養生後に切削加工によって溝を形成する方が好ましい。一方、骨材系吸音パネルでは、養生後の切削加工が困難であるため、型枠で表面形状を形成したほうがよい。
【0040】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を説明する。
まず、本実施例における、コンクリート系吸音パネルの製造方法について述べる。
まず最初に、ケイ酸質原料として珪石粉末(比表面積3000cm /g)、石灰質原料として早強セメントを、凝結調節材として石膏を、重量で12:12:1の配合とし、水を上記全粉末原料重量部に対し0.78部、アルミニウム粉末0.0012部、界面活性剤0.04部、増粘剤0.002部、をミキサーで混合し、型枠に流し込んだ。
【0041】
なお、流し込み時のスラリー温度を40℃になるよう温度調整した。型枠内で発泡・半硬化した後、脱型してピアノ線によりパネル状に切断し、オートクレーブ養生した。この材料の比重は0.35、気泡平均径は0.9mmで、表2に示す残響室法吸音率を有していた。なお、比較例も同じ製造方法で作成したコンクリート系吸音パネルを使用した。
【0042】
【表2】
Figure 0003547587
【0043】
[実施例1]
図1及び図2に示すように、以上の工程で製造したコンクリート系吸音パネル1(寸法80mm×500mm×1800mm)を一対の幅が500mmの傾斜平面よりなる山形状を有し、図1(イ)の下面から見た場合、2等片3角形をなす台座3の両側斜面3a,3bにビス4により取り付けた。そのパネル1を図4に示すように床上に、吸音パネル1が長さ方向には2枚並び、パネル1の幅方向には一対の傾斜平面よりなる山形状をなす吸音面が3組形成されるように、半無響室に敷き詰め、図4(ア)のM−M平面を測定面として斜入射吸音率を測定した。
【0044】
なお、パネルの台座頂部Qにくる小口面は、そこでパネル間が開かないように削り、その小口面がぴったり合うようにした。ここで台座3の高さHが20mm(山形状の頂部のなす角度βにして175.4度)の場合を実施例1−1、台座3の高さHが50mm(山形状の頂部のなす角度βにして168.5度)の場合を実施例1−2、台座3の高さHが70mm(山形状の頂部のなす角度βにして163.9度)の場合を実施例1−3とした。結果を表3に示す。
【0045】
[実施例2]
実施例1と同じ工程で製造したコンクリート系吸音パネル1(寸法80mm×500mm×1800mm)の吸音面を、図5に示すように削って、深さ35mmの直線溝よりなる凹凸2を表面に切削加工した。この吸音パネル1を、実施例1と同じく、山形状を有する台座の両側斜面に取り付け、床上に吸音パネルの長さ方向にパネルが2枚並び、パネルの幅方向には一対の傾斜平面よりなる山形状をなす吸音面が3組形成されるよう図4のように半無響室に敷き詰め、図4(ア)のM−M平面を測定面として斜入射吸音率を測定した。
【0046】
ここで台座の高さが20mm(山形状の頂部のなす角度にして175.4度)の場合を実施例2−1、台座の高さが50mm(山形状の頂部のなす角度にして168.5度)の場合を実施例2−2、台座の高さが70mm(山形状の頂部のなす角度にして163.9度)の場合を実施例2−3とした。結果を表3に示す。
【0047】
[実施例3]
さらに、実施例1と同じ工程で製造したコンクリート系吸音パネル(寸法80mm×500mm×1800mm)の吸音面を、表面切削加工機で図6に示す形状に加工した。
図6に示すパネル1は5列の溝形状の凹凸2が、その全長においてその深さおよび幅が場所が変わるにつれて常に連続的に、しかも周期的に変化するように形成されており、波形状をなしている。溝形状の凹凸2の幅変化の周期は、その隣の溝の幅変化の周期と2分の1づつずれて配されており、幅の増加・減少と同期して深さが増加・減少している。溝の最大幅は110mmで、その場所での溝の深さは35mm、溝の最小幅は40mmで、その場所での溝の深さは9mmである。
【0048】
この形状に溝形状の凹凸2を切削加工した吸音パネル1を実施例1と同じく、図3のように一対の傾斜平面よりなる山形状を有する台座3の両側斜面3a,3bに取り付け実施例1と同じように床上に、半無響室に敷き詰め、図4(ア)のM−M平面を測定面として斜入射吸音率を測定した。ここで台座の高さHが20mm(山形状の頂部のなす角度βにして175.4度)の場合を実施例3−1、台座の高さHが50mm(山形状の頂部のなす角度βにして168.5度)の場合を実施例3−2、台座の高さHが70mm(山形状の頂部のなす角度βにして163.9度)の場合を実施例3−3とした。結果を表3に示す。
【0049】
【比較例】
[比較例1]
上記実施例1と同じ製造方法で作成したコンクリート系吸音パネル(寸法80mm×500mm×1800mm)を使用し、山形状を有する台座を使用せずに平らな吸音面のまま、半無響室に敷き詰め、上記斜入射吸音率測定を行った。結果を比較例1として表3に示す。
【0050】
[比較例2]
比較例1のコンクリート系吸音パネルの代わりに実施例2と同じく図5に示すようにパネル1表面を削って、深さ35mmの直線溝状の凹凸2を表面に切削加工したコンクリート系吸音パネルを使用して斜入射吸音率測定を行った。結果を比較例2として表3に示す。
【0051】
[比較例3]
比較例1のコンクリート系吸音パネルの変わりに実施例3と同じく表面切削加工機で図6に示すように、5列の溝状の凹凸2が、その全長においてその深さおよび幅が場所が変わるにつれて常に連続的に、しかも周期的に変化するように形成されており、波形状をなしているように切削加工したコンクリート系吸音パネル1を使用して斜入射吸音率測定を行った。結果を比較例3として表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003547587
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明の吸音壁構造により、吸音パネルの吸音面に凹凸を形成するための労力と手間をかけることなく、その吸音パネルにより形成された吸音壁構造の斜入射吸音率の値を向上させることができる。さらに、吸音面に凹凸を形成した吸音パネルを使用すれば、その相乗効果を得ることができ、従来のものより、斜入射吸音率が極めて高くなる。従って、本発明の吸音壁構造は、高速道路や掘割壁など、自動車のように音源が移動したり、吸音面への音源からの入射角の範囲が広い騒音を吸収する必要がある場所での吸音材として、より適切な性能を発揮する吸音壁構造である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(ア) 本発明の壁構造に使用する1ユニットの正面図。
(イ) 図1(ア)のユニットの側面図。
(ウ) 図1(ア)のユニットの下面図。
【図2】本発明の壁構造に使用する1ユニットの背面図。
【図3】(ア) 本発明の壁構造に使用する別の1ユニットの正面図。
(イ) 図3(ア)のユニットの側面図。
(ウ) 図3(ア)のユニットの下面図。
【図4】(ア) 斜入射吸音率測定時のパネル配置状態の鳥瞰図。
(イ) 図4(ア)のパネル配置状態の側面図。
(ウ) 図4(ア)のパネル配置状態の別の側面図。
【図5】(ア) 本発明に使用する吸音パネルの一例を示す正面図。
(イ) 図5(ア)のパネルの側面図。
(ウ) 図5(ア)のパネルの下面図。
【図6】(ア) 本発明に使用する吸音パネルの他の例を示す正面図。
(イ) 図6(ア)のパネルのA−A断面図。
(ウ) 図6(ア)のパネルのB−B断面図。
【図7】吸音壁構造の使用状態を説明する図。
【図8】斜入射吸音率測定方法を説明する図。
【符号の説明】
1 吸音パネル
2 凹凸
3 台座
21 騒音源
α (吸音面の)山形状の頂部のなす角度
β (台座の)山形状の頂部のなす角度
4 ビス
B 山裾
D (頂部から山裾までの)距離
P (吸音面の)山形状の頂部
Q (台座の)山形状の頂部
W 吸音壁

Claims (6)

  1. 連続空隙のパネル全容積に占める割合が30%以上である吸音パネル(1)により形成された吸音壁構造において、
    前記吸音パネル(1)は表裏面が平行で、その裏面が、一対の傾斜平面よりなる山形状をなす台座(3)であってその頂部(Q)のなす角度(β)が160〜176度の範囲内であるものの両傾斜平面に取り付けられることで、前記吸音壁(W)の吸音面が単数または複数の山形状をなし、その山形状の頂部(P)のなす角度(α)が160度〜176度の範囲にあり、その山形状の頂部(P)から山裾(B)までの距離(D)が200〜1500mmの範囲にあり、
    かつ、前記吸音面には前記山形状よりも細かい溝を有し、その溝の全長あるいは一部に、深さおよび幅が連続的に変化する部分を有することを特徴とする吸音壁構造。
  2. 移動する騒音源(21)が存在する場合など、壁に不定量の角度から騒音が入射する環境下で使用する吸音壁構造である請求項1記載の吸音壁構造。
  3. 前記吸音壁(W)は、移動する騒音源(21)が存在する環境下で使用するものであって、騒音源(21)が移動する方向と同一方向に走る尾根を有する山形をなすものである請求項2記載の吸音壁構造。
  4. 前記吸音パネルの厚さが35〜200mmの範囲にあって、前記溝の最大深さがパネル厚さの3分の2から3分の1の範囲、その溝の最小深さが、パネル厚さの4分の1以下であり、前記溝の最大幅が50〜200mmの範囲にあり、最小幅が40mm以下であり、また、前記溝はその長さ方向の位置に対して、その幅及び深さの値が極小値及び極大値を繰り返す溝であり、その深さの極小値をとる位置同士又は極大値をとる位置同士の間隔が200〜2000mmである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸音壁構造。
  5. 前記吸音パネル(1)はコンクリート系の吸音パネルである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸音壁構造。
  6. 前記吸音パネル(1)は、セメント等の水硬性物質、およびケイ酸質物質を主原料とし、アルミニウム等の金属粉末および界面活性剤により発泡させ、オートクレーブ養生によって製造されたコンクリート系の吸音パネルである請求項5記載の吸音壁構造。
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