JPH10119126A - 二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサー - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサー

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JPH10119126A
JPH10119126A JP27507396A JP27507396A JPH10119126A JP H10119126 A JPH10119126 A JP H10119126A JP 27507396 A JP27507396 A JP 27507396A JP 27507396 A JP27507396 A JP 27507396A JP H10119126 A JPH10119126 A JP H10119126A
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oriented polypropylene
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逸夫 永井
Takashi Ueda
隆司 上田
Shigeru Tanaka
茂 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性と蒸着加工性に優れた二軸配向ポリプロ
ピレンフィルムと、セルフヒール性に優れ表面抵抗値の
小さい金属化二軸配向ポリプロピレンフィルム、および
高温での長期耐熱性を向上させたコンデンサーが提供さ
れる。 【解決手段】アイソタクチシティが98〜99.5%、
アイソタクチックペンタッド分率が99%を越え、少な
くとも一方の面のぬれ張力が35〜50mN/mである
二軸配向ポリプロピレンフィルムおよびアイソタクチシ
ティが98〜99.5%、アイソタクチックペンタッド
分率が99%を越えた二軸配向ポリプロピレンフィルム
の少なくとも片面に、表面抵抗Rと光学濃度ODの関係
がR・OD<15である金属層が形成された金属化フィ
ルムおよびそれを用いたコンデンサー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性に優れた二
軸配向ポリプロピレンフィルム、および特定の表面抵抗
と光学濃度の関係を有した金属化二軸配向ポリプロピレ
ンフィルムおよびそれを用いたコンデンサーに関し、特
に蒸着加工性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィル
ム、セルフヒール性に優れ表面抵抗値の小さい金属化二
軸配向ポリプロピレンフィルムおよびそれを誘電体とし
て用いた耐熱性、耐絶縁破壊特性に優れたコンデンサー
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透
明性、光沢性などの光学的特性に優れ、さらに水蒸気バ
リア性能や優れた電気特性などにより、包装用途、コン
デンサー用途などに広範に用いられている。
【0003】この二軸配向ポリプロピレンフィルムは、
フィルムコンデンサーの誘電体として用いられる代表的
な素材の一つであるが、もう一つの代表的素材であるポ
リエステルフィルムと比較して耐熱性が低いため、コン
デンサーとしての最高使用温度が85℃程度に制限され
ていた。その理由は、使用温度が高温になると、フィル
ムの非晶部、異物の影響等から、本来ポリプロピレンフ
ィルムの特長であるべき絶縁破壊強度が急激に低下して
しまい、特に長期間の使用に耐えられなくなる場合があ
ったからである。
【0004】一方、電気装置の小型化に伴い、素子の密
集化および高温化が進展し、従来のポリプロピレンフィ
ルムコンデンサーの最高使用温度をさらに上昇させたい
という要求が強くなってきている。このためには、従来
のポリプロピレンフィルムコンデンサーの最高使用温度
である85℃よりも高温でしかも長期に性能を維持する
必要があった。
【0005】またポリプロピレンフィルムコンデンサー
は、一般にフィルムの一方の面に蒸着によりアルミや亜
鉛あるいはこれらの合金からなる電極としての金属層が
形成され(以下、金属化という)、この金属化フィルム
を巻回あるは積層してコンデンサー素子とすることが行
われている。
【0006】従って上記工程を経た耐熱性に優れたコン
デンサーを得るためには(1)高温でのフィルム電気特
性が優れること、(2)蒸着による金属層が均一に形成
され、セルフヒール性に優れ表面抵抗値が小さいことお
よび(3)蒸着加工およびコンデンサー素子作成時の滑
り性など耐加工性に優れることが求められていた。
【0007】このような課題に対し、特開平6−236
709号公報には灰分が低く、沸騰n−ヘプタン可溶分
が1〜10重量%であることから加工性に優れ、室温か
ら80℃までの電気絶縁性に優れた高分子絶縁材料が開
示されており、沸騰n−ヘプタン不溶部のアイソタクチ
ックペンタッド分率が90%以上のものが好ましいとの
示唆がある。
【0008】また、特開平7−25946号公報には同
じく沸騰ヘプタン不溶分が80重量%以上、特に好まし
くは96重量%以上であり、該沸騰ヘプタン不溶成分の
アイソタクチックペンタッド分率が0.970〜0.9
95の範囲にあるプロピレン重合体およびこれを用いた
成形体の開示がある。
【0009】しかし、これらに開示されたように、単に
沸騰n−ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド
分率の高い二軸配向ポリプロピレンフィルムでは、本発
明の目指す85℃を越える高温での耐絶縁破壊特性とこ
のフィルムを誘電体として用いたコンデンサー素子の長
期耐熱性が不十分であった。すなわち、上記の従来の技
術による立体規則性の高い二軸配向ポリプロピレンフィ
ルムは、沸騰n−ヘプタン不溶部のアイソタクチックペ
ンタッド分率がそこそこ高いものの、n−ヘプタン可溶
分のアイソタクチックペンタッド分率が低いため、フィ
ルムとしてのアイソタクチックペンタッド分率が結果と
して低く、立体規則性が不十分であった。またアイソタ
クチシティが極めて高い、いわゆる高結晶性の二軸配向
ポリプロピレンフィルムは、立体規則性が不十分である
が故に製膜性が極めて悪く、耐熱性と耐絶縁破壊特性に
優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムを製造するため
の工業的に有用な技術として確立されるには至っていな
かった。
【0010】これらの欠点を解消するため、特公平4−
28727号公報にはアイソタクチックペンタッド分率
が0.960〜0.990の範囲にあり、かつ沸騰n−
ヘキサンおよび沸騰n−ヘプタンで逐次抽出した被抽出
物の全量が3.0〜6.0%とすることで成形性に優れ
た結晶性ポリプロピレンフィルムが提案されている。し
かし、このポリプロピレンフィルムはアイソタクチック
ペンタッド分率が十分ではなく、高温での耐絶縁破壊特
性が不十分であった。
【0011】さらに特開平5−217799号公報に
は、特定の熱変形温度とヤング率を有し、結晶化度が高
く、立体規則性の良い高剛性ポリプロピレンフィルムに
金属を蒸着した高剛性蒸着金属化フィルムを用いた蒸着
フィルムコンデンサーが提案されている。しかし、ここ
での立体規則性は高々90%程度であり、高温での絶縁
破壊特性が不十分であった。
【0012】さらに特開平7−50224号公報には、
120℃における熱収縮率が長さ方向で4.0%以下、
幅方向で0.8%以下である金属化ポリプロピレンフィ
ルムが開示されている。しかし、このフィルムのアイソ
タクチシティおよび立体規則性は従来のレベルのもので
あり、今後の高度な要求に対応するための、本発明の目
的である高温での耐絶縁破壊特性が必ずしも十分とは言
えなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、ポリプ
ロピレンフィルムのアイソタクチシティと立体規則性を
高度に制御し、表面のぬれ張力を適正化し、金属化層の
表面抵抗と光学濃度を制御することで、従来技術では達
成し得なかった耐熱性、耐絶縁破壊特性に優れたコンデ
ンサーを得ることができることを見い出し、本発明に至
った。
【0014】本発明の目的は、耐熱性に優れ、蒸着加工
性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供する
ことにある。
【0015】本発明の他の目的は、セルフヒール性に優
れ表面抵抗値の小さい金属化二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムおよびそれを用いた耐熱性、耐絶縁破壊特性に優
れたコンデンサーを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のポリプロピレンフィルムは、二軸配向されたポリプ
ロピレンフィルムであって、そのポリプロピレンフィル
ムのアイソタクチシティが98〜99.5%であり、ア
イソタクチックペンタッド分率が99%を越え、少なく
とも一方の面のぬれ張力が35〜50mN/mであるこ
とを特徴とするものである。
【0017】また、本発明の金属化二軸配向ポリプロピ
レンフィルムは、アイソタクチシティが98〜99.5
%であり、アイソタクチックペンタッド分率が99%を
越えた二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも一
方の面に金属層が形成され、その金属層の表面抵抗R
(Ω/□)と光学濃度ODの関係が、R・OD<15で
あることを特徴とするものであり、または、アイソタク
チシティが98〜99.5%であり、アイソタクチック
ペンタッド分率が99%を越え、少なくとも一方の面の
ぬれ張力が35〜50mN/mである二軸配向ポリプロ
ピレンフィルムの少なくとも一方の面に、表面抵抗R
(Ω/□)と光学濃度ODの関係が、R・OD<15で
ある金属層が形成されてなることを特徴とするものであ
る。
【0018】さらに本発明のコンデンサーは、かかる金
属化二軸配向ポリプロピレンフィルムを巻回あるいは積
層してなるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の二軸配向ポリプロピレン
フィルムは、主としてポリプロピレンの単独重合体から
なる二軸配向フィルムであるが、本発明の目的を阻害し
ない範囲で、他の不飽和炭化水素による共重合成分など
を含有していてもよく、また他の重合体がブレントされ
ていてもよい。共重合成分としては、例えばエチレン、
1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、
3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペン
テン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1
−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチ
レン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネ
ン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
共重合量は、蒸着加工性、耐絶縁破壊特性、耐熱性の点
から1mol%未満、ブレンド物は1wt%未満が好ま
しい。
【0020】本発明において、二軸配向ポリプロピレン
フィルムのアイソタクチシティは、特に二軸延伸時の幅
方向延伸性の点で99.5%以下である。ここでアイソ
タクチシティとは、フィルムを沸騰n−ヘプタンで抽出
した場合の、抽出前フィルム重量に対する不溶分の重量
の割合により定義される。アイソタクチシティが高すぎ
ると、特開平6−236709号公報にあるように二軸
延伸フィルムを製造する際、延伸性が悪く、製膜が著し
く困難となる。また特に蒸着加工性、さらに詳しくはフ
ィルム厚みが5μm未満となった場合の蒸着時の耐熱負
け性の点でアイソタクチシティは98%以上である。こ
のようにアイソタクチシティが98%以上、99.5%
以下であれば、フィルム厚みが5μm未満のように非常
に薄いフィルムの場合でも良好な延伸ができ、かつ、蒸
着時の耐熱負け性において高レベルを維持することがで
き、薄いフィルムを使っての小型化を可能とし、従来に
はない高性能なコンデンサーを実現できるのである。ア
イソタクチシティが小さすぎると耐熱性に劣り、蒸着時
の熱負けによるシワが発生する場合がある。良好な製膜
性と蒸着加工性、耐絶縁破壊特性のためにより好ましい
アイソタクチシティは98.7〜99.5%であり、さ
らには98.7〜99.3%が好ましい。
【0021】このようなアイソタクチシティを有する二
軸配向ポリプロピレンフィルムとするには、原料である
ポリプロピレン樹脂の沸騰n−ヘプタンに溶けやすい低
分子量成分や、立体規則性の低い、いわゆるアタクチッ
クの部分の割合が適度に低いものをのを選択するなどの
方法を採用することができる。
【0022】本発明において、二軸配向ポリプロピレン
フィルムの立体規則性は、13C−NMRにより測定し
たメチル基の吸収ピークによるペンタッド分率により評
価することができる。一般的に、ポリプロピレン分子鎖
における5個の繰り返し単位(ペンタッド)の立体配座
には、mmmm、mmmr、rmmr、・・、rrr
r、mrrr、mrrm等がある。ここで、mはメソ
(meso)、rはラセモ(rasemo)の立体配座
を示す。
【0023】二軸配向ポリプロピレンフィルムのペンタ
ッド分率は、例えばT.Hayashiらの報告[Po
lymer、29、138〜143(1988)]等に
あるように、上記各立体配座を有するセグメントの比率
を13C−NMRから求めることができる。これらのう
ち、全メチル基の吸収強度に対するmmmmの立体配座
の割合、すなわちアイソタクチックペンタッド分率(以
下mmmmと省略する場合がある)は、m(mmmm)
m、m(mmmm)r、r(mmmm)rの3つのヘプ
タッド分率の和として定義される。本発明の二軸配向ポ
リプロピレンフィルムのアイソタクチックペンタッド分
率mmmmは、99%を越える。このようなフィルム
は、極めて長いアイソタクチックセグメントを持つ分子
から構成されたポリプロピレンからなっているため、蒸
着可能性に優れた、高結晶性、高耐熱性、高耐絶縁破壊
特性のフィルムを与え得る。
【0024】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
のmmmmは、蒸着加工性、高耐熱性、高耐絶縁破壊特
性の点で好ましくは99.1%以上であり、より好まし
くは99.2%以上であり、さらに好ましくは99.3
%以上である。
【0025】このような立体規則性を付与するには、原
料であるポリプロピレン樹脂の立体規則性を高度に制御
することが有効である。このような原料を作成する方法
としては、ポリプロピレンを重合する際の、触媒系(固
体触媒、外部添加電子供与性化合物)やこれらの純度に
より達成される。原料のポリプロピレン樹脂のmmmm
が高いものほど二軸配向ポリプロピレンフィルムのmm
mmが高くなる傾向が認められるが、原料の押出系内で
の極度の熱劣化もmmmmを低下させるため、高温押出
系での原料の長時間滞留を避けるなどの構造的工夫、押
出条件が適宜選択される。
【0026】また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムにおいて、その少なくとも一方の表面のぬれ張力
は35〜50mN/mである。ぬれ張力が小さすぎると
電極として用いる金属層が均一に形成され難く、電極部
分の電気抵抗が大きくなり、コンデンサー素子に加工し
た際、誘電損失が大きくなり、発熱によりさらに劣化が
加速されコンデンサー素子としての寿命が短くなる場合
がある。一方、ぬれ張力が大きすぎるとフィルムの滑り
性が悪くなり、蒸着加工時シワが入るなどの欠陥にな
り、素子作成時不都合を生じ、素子の特性を悪化させる
場合がある。ぬれ張力のさらに好ましい範囲は37〜4
8mN/mであり、最も好ましくは38〜45mN/m
である。
【0027】本発明において、表面のぬれ張力をこのよ
うな範囲とするためには、コロナ放電処理やプラズマ処
理が好ましく適用でき、大気雰囲気中、窒素雰囲気中、
炭酸ガス雰囲気中やこれらの混合雰囲気中でのコロナ放
電処理が生産性の観点から適当であり、製膜工程、蒸着
の前工程いずれで実施してもよい。処理強度は5〜50
W・min/m2の範囲で採用されるが、処理雰囲気に
より処理効果が異なるため、本発明のぬれ張力とするた
めに、適宜処理強度を調整することが必要である。
【0028】本発明の実施態様において、二軸配向ポリ
プロピレンフィルムに金属層を形成して金属化二軸配向
ポリプロピレンフィルムに加工することは、コンデンサ
ー素子の小型化のために好ましく採用される。この場
合、金属層を構成する金属は特に限定されることはない
が、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル等を単
独または併用で使用することが金属化層の耐久性、生産
性の点で好ましく、経済性の点から特にアルミニウムや
亜鉛などが好ましく用いられる。
【0029】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
に金属層を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリン
グ法およびイオンビーム法等が挙げられるが、特に限定
されない。
【0030】本発明において、金属化二軸配向ポリプロ
ピレンフィルムの好ましい表面抵抗値Rは、1〜20Ω
/□の範囲であり、より好ましくは1.2〜15Ω/□
である。膜抵抗値が小さすぎると、蒸着膜の厚みが厚く
蒸着時に熱負けが生じアバタ状の表面欠点や4μm前後
の薄いフィルムでは穴アキ等が発生することがある。ま
た、膜抵抗値が大きすぎると表面抵抗値が大きくなり、
コンデンサー素子としての誘電損失が大きくなり、素子
の破壊に繋がり易い。膜抵抗値をこの範囲とするには、
蒸着時の膜抵抗値のモニターにより制御する方法が好ま
しく採用される。
【0031】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
の光学濃度ODは、0.5〜3の範囲で選択されること
が好ましい。さらに好ましくは光学濃度は0.8〜2の
範囲である。本発明において光学濃度とは、可視域の特
定波長における光線透過率の逆数の対数で定義される。
光学濃度が大きすぎると蒸着時の熱負けの問題が生じる
ことがある。光学濃度が小さすぎると表面抵抗値が大き
くなる問題が生じる場合がある。
【0032】本発明においては、表面抵抗値Rと光学濃
度ODとが、R・OD<15(Ω/□)の関係にあるこ
とが重要である。ODは蒸着金属の膜厚に比例して大き
くなり、一般にそれに従ってRが小さくなるが、R・O
Dが大きすぎる、すなわち蒸着金属のRの割にODすな
わち膜厚が大きい場合は、金属化二軸配向ポリプロピレ
ンフィルムのセルフヒール性が悪くなりコンデンサー素
子としての特性に問題が生じる。
【0033】R・ODが大きくなる原因として、蒸着金
属と原反二軸配向ポリプロピレンフィルム表面の接着性
が悪いために蒸着金属が均一に膜形成されないことが考
えられる。このため、ある特定の膜抵抗値を得ようとし
た場合、膜厚が大きくなり、セルフヒールすなわちコン
デンサー素子作成時に、原反フィルムの微少な絶縁欠陥
を放電破壊によりその欠陥部分周辺の蒸着金属を蒸発さ
せて不活性にする操作ができなくなる問題が生じる。ま
た、セルフヒール性を向上させるために膜厚を小さくし
ようとした場合、蒸着金属の均一膜が形成されないため
に膜抵抗値が急激に上昇し、コンデンサー素子として誘
電損失が大きくなり使用に耐えない場合がある。R・O
Dのより好ましい範囲は13Ω/□以下である。R・O
Dをこのような範囲にするには、原反表面のぬれ張力を
適正に制御することと、金属蒸着時の真空度を良好に保
つことが重要である。
【0034】本発明において、二軸配向ポリプロピレン
フィルムに金属層を形成する時に設けられるマージン
(電気絶縁目的などにより金属層を形成する面に設けら
れる金属層のない部分)の仕様は、通常タイプ以外にヒ
ューズ機構を設けた種々のものなど目的に応じて採用で
き、特に限定されることはない。
【0035】本発明のコンデンサーは上記金属化二軸配
向ポリプロピレンフィルムを巻回あるいは積層して作成
されるものである。
【0036】本発明のコンデンサーの形式は、乾式や、
油浸式等が挙げられるが、特に限定されることはない。
【0037】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
および金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの120
℃5分間加熱時の機械方向と幅方向の熱収縮率の和は、
1〜4%の範囲であることが好ましい。熱収縮率が大き
すぎると、電極としての金属層形成時に寸法変化を起こ
しフィルムロールにシワが入ったり、コンデンサー素子
作成時の熱による機械的変形が大きすぎるためにフィル
ム中および/あるいは外部電極との接触部にストレスが
発生し、コンデンサーの容量低下が大きくなったり、素
子の破壊に至る場合がある。逆に熱収縮率が低すぎる場
合は、コンデンサー素子作成時の熱処理による巻締まり
が不十分となり、形態保持性や容量変化率に悪影響を及
ぼす。好ましい熱収縮率は上記の和が1.5〜3.5%
であり、さらには1.8〜3%、さらには2〜2.8%
の範囲が好ましい。熱収縮率をこのような範囲とするに
は、製膜時の条件が極めて重要である。
【0038】従来のアイソタクチシティとmmmmを有
する二軸配向ポリプロピレンフィルムは、特開平7−5
0224号公報に記載されているように85℃以上のキ
ャスティングドラム温度でキャストされていたのに対
し、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは40〜
85℃とより低いキャスティングドラム温度でキャスト
されることが好適である。キャスティングドラム温度が
高すぎるとフィルムの結晶化が進行しすぎ、後の工程で
の延伸が困難になるか、熱収縮率が大きくなりすぎる。
また従来の二軸配向ポリプロピレンフィルムは140℃
以下の機械方向延伸温度と160℃以下の幅方向延伸温
度が採用されるのが一般的であり、これら温度を越える
延伸温度では配向が下がるために二軸配向ポリプロピレ
ンフィルムとしての弾性率を保つのが困難であった。本
発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムでは140〜1
50℃の機械方向延伸温度と160〜165℃の幅方向
延伸温度が、二軸配向ポリプロピレンフィルムとしての
弾性率を保ったまま目的とする熱収縮率を得るために好
ましく採用される。これら延伸温度が低すぎると熱収縮
率が大きくなりすぎる。さらに幅方向の緩和をさせなが
らの熱処理温度は150〜160℃とすることも有効で
ある。熱処理温度が低すぎると熱収縮率が大きくなりす
ぎ、高すぎると熱収縮率が小さくなりすぎる。
【0039】本発明において、二軸配向ポリプロピレン
フィルムおよび金属化ポリプロピレンフィルムの厚み
は、製膜性や機械特性、電気特性の点から2〜30μm
の範囲が好ましく、より好ましくは2.5〜20μm、
さらに好ましくは2.5〜10μmである。フィルムの
厚みが小さすぎると、絶縁破壊強度や機械的強度に劣る
場合があり、また金属化持に熱負けによるフィルムの損
傷が発生する場合がある。フィルムの厚みが大きすぎる
と均一な厚みのフィルムを製膜することが困難になり、
またコンデンサー用の誘電体として用いた場合、体積当
たりの容量が小さくなるため好ましくない。
【0040】本発明において、二軸配向ポリプロピレン
フィルムに使用される立体規則性に優れたポリプロピレ
ンの極限粘度は特に限定されないが、製膜性の点から1
〜10dl/gの範囲のものが好ましい。また、230
℃、2.16kg加重におけるメルトフローレートは製
膜性の点から、2〜5g/10分のものが好ましい。極
限粘度やメルトフローレートを上記の値にするには、平
均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用され
る。
【0041】ポリプロピレンの重合過程においては、金
属を含む化合物を触媒として用い、必要に応じ重合後に
この残磋を除去することが一般的であるが、この残磋は
樹脂を完全に燃焼させた残りの金属酸化物の量を求める
ことで評価でき、これを灰分と呼ぶ。本発明の二軸配向
ポリプロピレンフィルムの灰分は30ppm以下である
ことが好ましく、より好ましくは25ppm以下であ
り、さらに好ましくは20ppm以下である。灰分が多
すぎると、フィルムの耐絶縁破壊特性が低下し、これを
用いたコンデンサーの絶縁破壊強度が低下する場合があ
る。灰分をこの範囲にするには、触媒残磋の少ない原料
を用いることが重要であるが、製膜時の押出系からの汚
染も極力低減するなどの方法、例えばブリード時間を1
時間以上かけるなどの方法を採用することができる。
【0042】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
および金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面粗
さは目的に応じて適宜選択されるが、中心線平均粗さで
0.02〜0.2μmの範囲が好ましい。中心線平均粗
さが大きすぎると、フィルムを積層した場合に層間に空
気が入りコンデンサー素子の劣化に繋がる場合がある。
逆に小さすぎるとフィルムの滑りが悪くなり、ハンドリ
ング性に劣る場合がある。
【0043】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
および金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムには、公
知の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、
すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、
粘度調整剤、着色防止剤などを含有させてもよい。
【0044】これらの中で、酸化防止剤の種類および添
加量の選定は、長期耐熱性にとって重要である。本発明
の二軸配向ポリプロピレンフィルムおよび金属化二軸配
向ポリプロピレンフィルムに添加される酸化防止剤は立
体障害性を有するフェノール性のもので、そのうち少な
くとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが溶
融押し時の飛散防止のために好ましい。この具体例とし
ては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.
4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン(例えばチバガイギー社製Irganox1330:
分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタン(例えばチバガイギー社製Irga
nox1010:分子量1177.7)等を併用することが好
ましい。これら酸化防止剤の総含有量は、ポリプロピレ
ン全量に対して0.03〜1重量%(300〜1000
0ppm)の範囲が好ましい。総含有量が少ないと長期
耐熱性に劣る場合があり、多すぎるとこれら酸化防止剤
のブリードアウトによる高温下でのブロッキングによ
り、コンデンサー素子に悪影響を及ぼす場合がある。よ
り好ましい含有量は0.1〜0.9重量%であり、さら
に好ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0045】本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムのセルフヒール性は、直流電圧を印加した場合
の、部分的な放電破壊の様子で評価できる。部分的な放
電破壊後の蒸着金属膜の蒸発領域が小さく、放電痕の周
辺に蒸着金属が残存しない場合セルフヒール性は良好で
ある。放電による放電痕の周辺に金属が残存し、フィル
ムが溶解した様子が観察されるものはセルフヒール性が
悪く、コンデンサーに加工した場合、素子そのものの絶
縁破壊に至る場合がある。特に105℃での課電時には
絶縁破壊が加速される場合がある。
【0046】本発明のコンデンサーの特性は、105℃
で100時間の定格電圧の1.2〜1.3倍の交流電圧
課電後の誘電損失大きさ、すなわちtanδで評価でき
る。tanδが大きすぎると素子の発熱が加速され短時
間で破壊に至る場合がある。本発明の二軸配向ポリプロ
ピレンフィルム、金属化二軸配向ポリプロピレンフィル
ムおよびそれからなるコンデンサーの製造方法を以下に
説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるもので
はない。
【0047】まず、ポリプロピレン原料を押出機に供給
し、加熱溶融し、濾過フィルターを通させた後、220
〜320℃の温度でスリット状口金から溶融押出し、4
0〜85℃の温度に保たれたキャスティングドラムに巻
き付けて冷却固化せしめ、未延伸フィルムを作る。
【0048】次に、この未延伸フィルムを二軸延伸して
二軸配向せしめる。延伸方法としては逐次二軸延伸方法
が好ましい。逐次延伸方法は、まず未延伸フィルムを1
20〜150℃に保たれたロールに通して予熱し、引き
続きそのシートを140℃〜150℃の温度に保ち周速
差を設けたロール間に通し、長手方向に2〜6倍に延伸
し、ただちに室温に冷却する。ここで、本発明のmmm
mが99%を越える二軸配向ポリプロピレンフィルム
は、予熱温度130℃以下、延伸温度140℃以下では
熱量が不足して延伸ムラを起こしたり破けて製膜できな
い場合があり、140℃を越える延伸温度を採用するこ
とが重要である。引き続きその延伸フィルムをテンター
に導いて、160〜165℃の温度で幅方向に5〜10
倍に延伸し、次いで幅方向に2〜20%の弛緩を与えつ
つ、150〜160℃の温度で熱固定して巻取る。本発
明において、この熱固定の温度は重要であり熱固定温度
が低すぎると熱収縮率が大きくなり、本発明の範囲を超
える場合がある。
【0049】その後、蒸着を施す面に蒸着金属の接着性
を良好ならしめるために、空気中、窒素中、炭酸ガス中
あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を行ない
ワインダーで巻取る。
【0050】次に得られたフィルムを真空蒸着装置にセ
ットし、目的に応じた金属を、所定の膜抵抗に蒸着す
る。この蒸着フィルムをスリットし、コンデンサー素子
を作るための2リール一対の蒸着リールとする。この
後、素子状に巻回し、熱プレスして扁平状に成形し、端
部の金属溶射、リード取り出し、外装を経てコンデンサ
ーとする。
【0051】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
は、上記コンデンサー用途以外に、低い熱収縮率を生か
して、蒸着、印刷、ラミネート、ヒートシールなどの加
工時の熱による変形を抑えることができるため、種々の
包装用途として、例えばこれにヒートシール層とラミネ
ートして使用でき、また粘着テープやつや出しフィルム
(プリントラミネート)などとしても好適に用いること
ができる。
【0052】本発明における特性値の測定方法、並びに
評価方法は次のとおりである。
【0053】(1)アイソタクチシティ(アイソタクチ
ックインデックス:II) 試料を60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出
し、ポリプロピレンへの添加物を除去する。その後13
0℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の
試料をとり、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタ
ンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出しアセ
トンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥しそ
の後常温まで冷却し、重量W´(mg)を測定し、次式
で求めた。 II=(W´/W)×100(%) (2)アイソタクチックペンタッド分率 試料をo−ジクロロベンゼンに溶解し、JEOL製JN
M−GX270装置を用い、共鳴周波数67.93MH
zで13C−NMRを測定した。得られたスペクトルの
帰属およびペンタッド分率の計算については、T.Ha
yashiらが行った方法[Polymer,29,1
38〜143(1988)]に基づき、メチル基由来の
スペクトルについて、mmmmmmピークを21.85
5ppmとして各ピークの帰属を行ない、ピーク面積を
求めてメチル基由来全ピーク面積に対する比率を百分率
で表示した。詳細な測定条件は以下のとおりである。
【0054】測定溶媒 :o−ジクロロベンゼン(90wt
%)/ベンゼン−D6(10wt%) 測定温度 :120〜130℃ 共鳴周波数:67.93MHz パルス幅 :10μsec(45゜パルス) パルス繰り返し時間:7.091sec データ点 :32K 積算回数 :8168 測定モード:ノイズデカップリング (3)フィルム厚み ダイヤルゲージ式厚み計(JIS−B−7503)を用
いて測定した。
【0055】(4)ぬれ張力 JIS K−6788に従って測定した。
【0056】(5)金属膜形成性 二軸配向ポリプロピレンフィルムの蒸着加工後の蒸着膜
の膜形成性を目視で評価し以下の判定を行なった。
【0057】○:金属膜にむらがなく金属膜が均一に形
成されている。
【0058】×:金属膜にむらがある。
【0059】(6)蒸着加工性 二軸配向ポリプロピレンフィルムの蒸着加工後の巻上が
りのロールの状態を目視で評価し以下の判定を行なっ
た。
【0060】○:ロールにシワが発生していない。
【0061】×:ロールにシワが発生している。
【0062】(7)光学濃度OD 光学濃度計(マクベス社製TR927)を用い、フィル
ターをVisualとしたときの透過濃度を測定し、金属化フ
ィルムの光学濃度から原反フィルムの光学濃度を差し引
いた値を金属層の光学濃度とした。
【0063】(8)表面抵抗R 表面抵抗計(三菱油化Loresta−FP)を用い、
4端子プローブを用いて測定した。
【0064】(9)セルフヒール性 金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの金属化を行な
っていない面を平坦な黄銅製の電極板に接触させ、金属
化面と黄銅製電極板の間に定格電圧(ポリプロピレンフ
ィルムの場合は45〜50V/μm)の倍の直流電圧を
印加し部分的な絶縁破壊を発生させた。絶縁破壊箇所の
観察を行ない、以下のセルフヒール性の判定を行なっ
た。
【0065】○:絶縁破壊によりフィルムに形成された
孔がの直径が1mm以下で孔の周辺に金属が認められな
い。
【0066】×:孔の直径が3mm以上でフィルムの溶
解の痕が認められる。
【0067】△:上記の中間 (10)tanδ誘電損失 105℃に保持されたコンデンサー素子を、春日電気
(株)製交流高圧安定化電源に接続し、60V/μmの
電圧を印加し100時間後のtanδをシェーリングブ
リッジ法で電圧250Vで測定した。
【0068】
【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいて以下に詳
細に説明する。
【0069】(実施例1)アイソタクチックインデック
スIIが98.8%、アイソタクチックペンタッド分率
mmmmが99.5%、灰分が19ppmのポリプロピ
レン原料に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
(BHT)0.3%、テロラキス[メチレン−3(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]メタン(Irganox1010)0.5%を添加した
ものを押出機に供給して280℃の温度で溶融し、T型
口金からシート状に押出成形し、70℃の温度のキャス
ティングドラムに巻き付けて冷却固化した。次いで、こ
のシートを135℃で予熱し、引き続き143℃の温度
に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に5倍
に延伸した。引き続きそのフィルムをテンターに導き、
162℃の温度で幅方向に10倍延伸し、次いで幅方向
に8%の弛緩を与えながら158℃で熱処理を行ない4
μmの厚みの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。
さらに30W・min/m2の処理強度で大気中でコロ
ナ放電処理を行ない、ぬれ張力41mN/mとした。得
られたフィルムの灰分およびペンタッド分率は、原料の
それらの値と差がなかった。このフィルムを真空蒸着機
にセットし、コロナ処理面にアルミニウムを膜抵抗が6
Ω/□になるように蒸着した。このフィルムの光学濃度
は1.8であった。このフィルムをスリットし、全幅3
8mm、マージン幅1mmの金属化フィルムを得た。得
られたフィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子の
端面に金属溶射し、ここからリード線を取り出して容量
5μFのコンデンサー素子を作成した。
【0070】(実施例2)実施例1と同様に作成した二
軸配向ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理の処理
強度を10W・min/m2として、38mN/mのぬ
れ張力とした。実施例1と同じく6Ω/□のアルミニウ
ム蒸着を行ない、光学濃度が2.0の金属化フィルムを
得た。これを用いて、実施例1と同様にコンデンサー素
子を作成した。
【0071】(実施例3)実施例1の41mN/mのぬ
れ張力の二軸配向ポリプロピレンフィルムを用いて、ア
ルミニウムを蒸着し、光学濃度1.2の金属化フィルム
を得た。また、表面抵抗は11Ω/□であった。これを
用いて、実施例1と同様にコンデンサー素子を作成し
た。
【0072】
【表1】 上記実施例1〜3の二軸配向ポリプロピレンフィルム、
金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性とコンデ
ンサー素子の特性を上記表1に示した。二軸配向ポリプ
ロピレンフィルムの蒸着加工性、膜形成性はいずれも問
題がなく、金属化ポリプロピレンフィルムをコンデンサ
ー素子に加工した場合も、100時間後の課電後素子の
破壊も認められず、tanδも小さなものであった。
【0073】(比較例1)IIが97.8%、mmmm
が98%、灰分が19ppmで実施例1と同様の酸化防
止剤処方としたポリプロピレン原料を用い、キャスティ
ングドラム温度を85℃とした以外は実施例1と同様の
方法で二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属化二軸配
向ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサー素子を得
た。この特性を同じく表1に示した。IIおよびmmm
mが本発明の範囲外であり、蒸着加工時に熱負けによる
シワが発生し、コンデンサー素子は100時間後には破
壊が発生していた。特性を表1に示した。
【0074】(比較例2、3)実施例1と同様に製膜し
た二軸配向ポリプロピレンフィルムにコロナ放電処理を
施さず、ぬれ張力を32mN/mとしたものでアルミニ
ウム蒸着で6Ω/□(比較例2)と22Ω/□(比較例
3)の金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムとコンデ
ンサー素子を得た。光学濃度はそれぞれ2.6と0.9
であった。同じく特性を表1に示した。比較例2の二軸
配向ポリプロピレンフィルムは膜形成性が悪く、金属化
二軸配向ポリプロピレンフィルムのセルフヒール性も劣
ったものとなった。またコンデンサー素子も100時間
を待たず破壊した。比較例3の二軸配向ポリプロピレン
フィルムも膜形成性が悪く、金属化二軸配向ポリプロピ
レンの表面抵抗値が大きいためにR・ODが本発明の範
囲を超え、コンデンサー素子とした場合のtanδも大
きくなり、その後125時間で破壊した。
【0075】(比較例4)実施例1と同様に製膜した二
軸配向ポリプロピレンフィルムに60W・min/m2
のコロナ放電処理を施し、ぬれ張力を52mN/mとし
たものでアルミニウム蒸着で6Ω/□の金属化二軸配向
ポリプロピレンフィルムを得ようとしたが、滑り性が悪
くシワが発生し、ブロッキングが発生したために蒸着を
中断し、コンデンサー素子への加工は見合わせた。
【0076】
【発明の効果】本発明による二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムは、蒸着による金属膜の形成性に優れ、シワの発
生の懸念のない蒸着加工性に優れたものとすることがで
きる。さらに本発明の金属化二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムは、セルフヒール性に優れ、コンデンサー素子と
した場合の誘電損失の小さい、高温での長期耐絶縁破壊
特性に優れたコンデンサー素子を作成するために有用で
ある。このことにより本発明によれば、ポリプロピレン
フィルムコンデンサーの最高使用温度を従来の85℃よ
りも最高20℃向上させることができ、これにより電気
装置の小型化、素子の密集化に対応することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向されたポリプロピレンフィルム
    であって、該ポリプロピレンフィルムのアイソタクチシ
    ティが98〜99.5%であり、アイソタクチックペン
    タッド分率が99%を越え、少なくとも一方の面のぬれ
    張力が35〜50mN/mであることを特徴とする二軸
    配向ポリプロピレンフィルム。
  2. 【請求項2】 アイソタクチシティが98〜99.5%
    であり、アイソタクチックペンタッド分率が99%を越
    えた二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方
    の面に金属層が形成され、該金属層の表面抵抗R(Ω/
    □)と光学濃度ODの関係が、 R・OD<15 であることを特徴とする金属化二軸配向ポリプロピレン
    フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の金属化二軸配向ポリプ
    ロピレンフィルムを巻回あるいは積層してなることを特
    徴とするコンデンサー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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