JPH10113129A - 飼料組成物とその製造方法およびその給与方法 - Google Patents

飼料組成物とその製造方法およびその給与方法

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JPH10113129A
JPH10113129A JP8271116A JP27111696A JPH10113129A JP H10113129 A JPH10113129 A JP H10113129A JP 8271116 A JP8271116 A JP 8271116A JP 27111696 A JP27111696 A JP 27111696A JP H10113129 A JPH10113129 A JP H10113129A
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fatty acids
fatty acid
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Yoshiyo Tsugami
佳代 津上
Masahide Nakada
正秀 中田
Masahiko Miyama
雅彦 深山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の生理的重要性を示す不飽和脂肪酸より
なる脂肪酸金属塩の酸化安定性を改善し、牛などに対し
上記有益な不飽和脂肪酸を安定な形で給与でき、牛肉の
肉質改善などに寄与する飼料組成物とその製造方法およ
びその給与方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 不飽和脂肪酸を含む脂肪酸の金属塩と、
リン化合物またはこれと抗酸化剤とを用いて、飼料組成
物を構成する。また、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸に、リ
ン化合物またはこれと抗酸化剤を加えて混合したのち、
金属化合物と水を加えて上記の脂肪酸と金属化合物とを
反応させることにより、上記構成の飼料組成物を製造す
る。さらに、上記構成の飼料組成物を0.1〜20重量
%含ませた配合飼料を調製し、この配合飼料を牛1頭あ
たり1〜12kg/日の給与量で牛に給与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の生理生活を
有する不飽和脂肪酸を含む脂肪酸の金属塩を用いた飼料
組成物とその製造方法およびその給与方法に関する。
【0002】
【従来の技術】農産物の輸入自由化に伴い、安価な畜産
物が大量に輸入されるようになり、国内の畜産農家、関
連企業にとつて極めて厳しい情勢となつている。関係す
る畜産業者、飼料会社などでは、国産物の品質向上、生
産技術改善によるコスト低減、新技術開発による差別化
製品、高付加価値製品の創出などによつて、生き残りを
かけた努力がはらわれている。
【0003】牛肉の肉質は、肉の色、脂肪交雑の程度、
脂肪の色などの指標により、格付けされる。従来、これ
らの肉質は遺伝的な系統に支配される割合が高いと考え
られていたため、主として育種学的な手法により肉質を
改善する試みがなされ、飼料の種類、給与方法などによ
り肉質を改善しようとする研究は活発ではなかつた。こ
のため、個々の農家では、種々試行錯誤しながら技術を
確立する場合が多く、広く一般化された方法は知られて
いないのが現状である。
【0004】近年になつて、ル―メンバイパス性の脂肪
酸カルシウムが開発され、主として高泌乳牛のエネルギ
―供給を目的として、広く全世界的に使用されている。
この脂肪酸カルシウムは、すぐれたエネルギ―源である
脂肪酸を、ル―メン発酵を阻害せず同時にル―メン機能
の恒常性を損なうことなく、給与できることから、大量
のミルクを生産する高泌乳牛にとつての効率的なエネル
ギ―供給源として、不可欠のものとなつている。
【0005】最近では、この脂肪酸カルシウムの特性に
着目し、肉牛の育成、飼育、繁殖にも応用しようとする
試みがなされている。たとえば、パ―ム油由来の脂肪酸
カルシウムを用いて肉質等級が改善されたという報告
(1992年、西日本畜産学会講演要旨集第32頁、1
992年度沖縄畜産試験場研究報告、第47頁)、同じ
くパ―ム油脂肪酸カルシウムの給与による子牛増体の効
率化(1994年、第88回日本畜産学会講演要旨集第
26頁)、パルミトレイン酸とオレイン酸を主成分とす
る脂肪酸カルシウムを給与することにより肉質等級を改
善する方法(特開平6−22704号公報)などが提案
されている。
【0006】また、最近になつて、オレイン酸、パルミ
トレイン酸、リノ―ル酸、α−リノレン酸、γ−リノレ
ン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EP
A)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪
酸が、栄養上や生理作用上、重要であることが明らかに
なつてきた。畜産分野でも、これらの脂肪酸を含んだ油
脂や脂肪酸を肉牛や豚に給与し、肉中に取り込ませるこ
とにより、高付加価値な製品を生み出す試みがなされて
いる。
【0007】しかしながら、不飽和脂肪酸が多量に存在
する魚の脂質などは、その二重結合部位が容易に酸化さ
れて、種々の過酸化物や酸化物などの酸化生成物を生成
しやすい。これらの酸化生成物は動物に対して毒性を示
すことが知られており、家畜用、養殖魚用、家禽用に使
用する際には、酸化の程度が低いか、あるいは酸化安定
性の高い飼料の使用が切望されている。
【0008】そこで、不飽和脂肪酸を原料として各種用
途に使用する場合、これらをいかに酸化から防ぎ安定化
するかが重要な課題となる。このため、トコフエロ―ル
(ビタミンE)などの抗酸化剤の使用や、カプセル化、
包接化合物の形成などが試みられている。しかし、トコ
フエロ―ルも、魚油のように高度不飽和脂肪酸が多く酸
化されやすい油脂に対しては、十分な酸化防止効果が得
られない。
【0009】また、従来の飼料では、BHT、BHA、
エトキシキン、トコフエロ―ルなどの抗酸化剤を添加し
て酸化を防止する(梶本五郎編「抗酸化剤の理論と実
際」、三▲しゅう▼書房、1984年)、微生物を摂取
・培養して酸化脂質の低減を行う(特公昭59−107
88号公報)などの試みがなされている。しかし、これ
らの方法は不飽和脂肪酸を含む脂肪酸や油脂に関するも
のであり、魚油脂肪酸やアマニ油脂肪酸などの高度不飽
和脂肪酸を多量に含む脂肪酸より得られた脂肪酸金属塩
を長期にわたり安定化するには不十分であつた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術に鑑み、種々の生理的重要性を示す不飽和脂肪
酸よりなる脂肪酸金属塩の酸化安定性を改善し、牛など
に対して上記有益な不飽和脂肪酸を安定な形で給与で
き、牛肉の肉質改善に寄与する飼料組成物とその製造方
法およびその給与方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、不飽和脂肪酸金
属塩にリン化合物を配合したとき、またこの配合を特定
の手法で行つたとき、上記金属塩の酸化安定性に好結果
が得られ、不飽和脂肪酸を長期にわたり安定な形で給与
でき、牛肉の肉質改善などに効果があることを究明し
た。
【0012】本発明は、この知見を基にして、さらに研
究を重ねた結果、見い出されたものであり、不飽和脂肪
酸を含む脂肪酸の金属塩とリン化合物またはこれと抗酸
化剤とを含有することを特徴とする飼料組成物(請求項
1)、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸にリン化合物またはこ
れと抗酸化剤を加えて混合したのち、金属化合物と水を
加えて上記の脂肪酸と金属化合物とを反応させることを
特徴とする上記飼料組成物の製造方法(請求項2)、ま
た上記リン化合物またはこれと抗酸化剤を加えて混合す
る際に界面活性剤を添加する上記飼料組成物の製造方法
(請求項3)に係るものである。また、本発明は、上記
構成の飼料組成物を肉牛に給与する方法として、上記構
成の飼料組成物を0.1〜20重量%含ませた配合飼料
を調製し、この配合飼料を牛1頭あたり1〜12kg/
日の給与量で牛に給与することを特徴とする給与方法に
係るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における不飽和脂肪酸を含
む脂肪酸の金属塩としては、不飽和脂肪酸を50重量%
以上の割合で含有する脂肪酸、たとえば、鯨油、イカ肝
油、魚油、牛脂、豚脂、チキン油などの動物性油脂、ひ
まし油、オリ―ブ油、サフラワ―油、コ―ン油、南京豆
油、菜種油、ゴマ油、綿実油、大豆油、桐油、ホホバ
油、アマニ油、月見草油などの植物性油脂、クモノスケ
カビ、ケカビなどの微生物由来の油脂から得られる脂肪
酸の金属塩が挙げられる。また、オレイン酸、リノ―ル
酸、リノレン酸などの単体不飽和脂肪酸の金属塩を用い
てもよい。金属塩には、カルシウム塩やマグネシウム塩
などが好ましく用いられる。
【0014】本発明におけるリン化合物は、リン酸、ポ
リリン酸などの無機リン酸類、リン酸一水素カリウム、
リン酸二水素カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン
酸二水素ナトリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン
酸カルシウム、第三リン酸カルシウムなどの無機リン酸
塩類、モノオレイルフオスフエ―ト、ジステアリルフオ
スフエ―トなどのリン酸エステル類、大豆レシチン、卵
黄レシチン、ホスフアチジルコリンなどのリン脂質類よ
りなる群から選ばれる一種以上である。
【0015】これらリン化合物の使用量としては、無機
リン酸類、無機リン酸塩類およびリン酸エステル類で
は、金属塩を構成する不飽和脂肪酸を含む脂肪酸100
重量部あたり、0.0001〜1.2重量部、好ましく
は0.01〜1重量部とするのがよい。0.0001重
量部より少ない使用量では、十分な酸化安定性が得られ
ない。また、1.2重量部より多い使用量としても、酸
化安定性のそれ以上の向上効果は認められず、経済的に
不利である。
【0016】また、リン脂質類では、金属塩を構成する
不飽和脂肪酸を含む脂肪酸100重量部あたり、0.0
01〜20重量部、好ましくは0.01〜15重量部と
するのがよい。リン脂質類は、界面活性を有しており、
金属塩を構成する脂肪酸との親和性に好結果を与えるた
め、上記のように、他のリン化合物よりも多く用いてそ
の界面活性を利用することができる。また、リン化合物
の主成分に親水性の強い無機リン酸類や無機リン酸塩類
などを用いる場合に、これらリン化合物の上記脂肪酸に
対する親和性を高める目的で、リン脂質類を併用し、上
記他のリン化合物の可溶化や分散粒子化を容易にするこ
とができる。
【0017】本発明における抗酸化剤としては、エトキ
シキン、BHT(t−ジブチルヒドロキシトルエン)、
BHA(t−ブチルヒドロキシアニソ―ル)、クエン
酸、ビタミンE、ビタミンCよりなる群から選ばれた1
種以上が用いられる。これらの抗酸化剤は、リン化合物
の使用による酸化安定性の向上効果をより高めるため、
飼料組成物の用途目的に応じて必要により用いられる。
【0018】これら抗酸化剤を用いる場合、その使用量
は、金属塩を構成する不飽和脂肪酸を含む脂肪酸100
重量部あたり、0.01〜1.2重量部、好ましくは
0.02〜1重量部とするのがよい。0.01重量部未
満では、酸化安定性の向上効果が十分ではなく、1.2
重量部を超えて用いても効果の増大は認められず、経済
的に不利であり、また動物体内にも悪影響をおよぼすお
それがある。
【0019】本発明の飼料組成物は、上記の不飽和脂肪
酸を含む脂肪酸の金属塩と、上記のリン化合物またはこ
れと抗酸化剤とを含有することを特徴としたものであつ
て、その製造方法については限定されない。しかし、上
記の金属塩とリン化合物またはこれと抗酸化剤との均一
溶解性ないし分散性を高め、所期の目的とする高い酸化
安定性を得るには、以下の製造方法を採用するのが望ま
しい。
【0020】この製造方法とは、金属塩を構成させる不
飽和脂肪酸を含む脂肪酸に、リン化合物またはこれと抗
酸化剤を加えて混合したのち、金属化合物と水とを加え
て、上記の脂肪酸と金属化合物とを反応させることを特
徴としたものであり、上記の反応後、適度な温度で加熱
乾燥したのち、所定の粒度に粉砕することにより、本発
明の飼料組成物を製造することができる。
【0021】この製造方法において、リン化合物または
これと抗酸化剤を加えるにあたり、必要により不飽和脂
肪酸を含む脂肪酸を予め加温して溶融させておき、これ
にリン化合物またはこれと抗酸化剤を加えて撹拌混合す
ることにより、上記脂肪酸に均一に溶解または分散させ
るのがよい。また、リン化合物が親水性の強い無機リン
酸類や無機リン酸塩類などでは、既述のとおり、リン脂
質を併用したり、これ以外の界面活性剤を併用して、脂
肪酸との親和性を高め、均一な可溶化またはより細かな
粒子状態への分散化を促進するのが望ましい。
【0022】リン脂質以外の界面活性剤は、一般に市販
されているものであれば使用でき、たとえば、モノグリ
セリド、シヨ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどを挙
げることができる。これら界面活性剤の使用量は、不飽
和脂肪酸を含む脂肪酸100重量部あたり、0.01〜
15重量部、好ましくは0.1〜12重量部であるのが
よい。0.01重量部未満では、十分な界面活性効果が
得られず、また15重量部を超えて使用しても、界面活
性効果のそれ以上の増加は認められないので、好ましく
ない。
【0023】金属化合物は、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど
が用いられる。これらの使用量は、不飽和脂肪酸を含む
脂肪酸100重量部あたり、2〜50重量部、好ましく
は5〜40重量部とするのがよい。この金属化合物を加
えて撹拌混合したのちに、水を加えて撹拌混合して、脂
肪酸と金属化合物との反応を行わせるのが望ましい。水
の量は、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸100重量部あた
り、5〜50重量部とすればよい。
【0024】本発明の飼料組成物は、これを肉牛に給与
するにあたり、蛋白質飼料、炭水化物飼料などの一般の
飼料成分と配合して用いられる。その際、本発明の飼料
組成物の配合量としては、0.1〜20重量%、好まし
くは1〜15重量%である。このように調製した配合飼
料を、牛1頭あたり1〜12kg/日の給与量で牛に給
与すればよい。最適の給与量は、牛の月令、種類や健康
状態により異なるため、牛の種類に応じて、適宜決める
ことができる。
【0025】牛肉の肥育では、肥育前期、肥育中期およ
び肥育後期の3期に分けて、飼料を設計する考え方が定
着している。本発明の飼料組成物は、肥育前期から肥育
中期にかけて給与するのが望ましい。これは、給与開始
が肥育前期より早くなると、子牛が消化不良を起こしや
すく、不健康な状態となりやすく、また肥育中期を過ぎ
て給与し続けると、肉色(BCS)が黒くなり、枝肉の
肉質評価が低下するおそれがあるためである。本発明の
飼料組成物の給与期間を終えたのちは、一般の飼料を給
与するようにするのが望ましい。
【0026】本発明の給与期間において、肥育前期とは
子牛が離乳した直後、一般に、生後6ケ月から10〜1
2ケ月までの期間を指している。また、肥育中期とは、
上記の前期終了から12〜28ケ月までの期間を指し、
黒毛和牛で生後20〜28ケ月前後まで、去勢ホルスタ
インで生後12〜18ケ月前後まで、F1で20〜24
ケ月前後までといわれている。しかしながら、これらの
期間は、牛の成長の程度や健康状態などによりかなり異
なるため、個々の牛の状態に応じて、適宜判断して決め
られる。
【0027】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。
【0028】実施例1〜13 表1に記載の各種の脂肪酸100重量部に、同表に記載
のリン化合物を加え、よく撹拌して、溶解または均一分
散させた。つぎに、酸化カルシウム30重量部を加え、
よく撹拌して混合したのち、水50重量部を加え、さら
に撹拌しながら反応させた。反応終了後、80℃で3時
間乾燥したのち、乳鉢にて粉砕し、16メツシユの篩い
にかけて、13種の飼料組成物を調製した。
【0029】なお、表1において、脂肪酸の欄における
〔 〕内の数字は、脂肪酸中に含まれる不飽和脂肪酸の
重量%を示したものである。また、リン化合物はすべて
和光純薬工業(株)の製品を使用し、リン化合物の欄に
おける( )内の数字は、リン化合物の使用量(重量
部)を示したものである。
【0030】
【0031】実施例14〜26 脂肪酸100重量部に、リン化合物とともに、表2に示
す抗酸化剤を同表に示す使用量(重量部)で加えるよう
にした以外は、実施例1〜13と同様にして、13種の
飼料組成物を調製した。
【0032】なお、表2中、抗酸化剤として使用したエ
トキシキンはコ―キン化学(株)、BHTは吉富製薬
(株)、クエン酸は扶桑化学工業(株)、ビタミンE、
ビタミンCおよびBHAは和光純薬工業(株)、の製品
である。
【0033】
【0034】実施例27〜35 脂肪酸に対する溶解性の低い親水性のリン化合物を用い
た実施例15〜21および実施例25,26の飼料組成
物の調製において、脂肪酸にリン化合物および抗酸化剤
を加えるにあたり、脂肪酸100重量部に対し、表3に
示す界面活性剤を同表に示す使用量(重量部)で加える
ようにした以外は、上記の各実施例と同様にして、9種
の飼料組成物を調製した。
【0035】なお、表3において、界面活性剤として使
用したポリオキシエチレン(20モル)グリセロ―ルモ
ノステアレ―トは(株)リケン、シユ―クロ―スモノス
テアレ―トは第一工業製薬(株)、ソルビタンモノオレ
―ト、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノ
オレ―トおよびグリセロ―ルモノステアレ―トはいずれ
も日本油脂(株)、の製品である。
【0036】
【0037】比較例1〜13 脂肪酸および抗酸化剤として、表4に示すように、実施
例14〜26と同じものを同じ割合で用い、リン化合物
の使用を省いた以外は、上記の各実施例と同様にして、
比較用の13種の飼料組成物を調製した。
【0038】
【0039】以上の実施例1〜26および比較例1〜1
3の各飼料組成物について、酸化安定性試験を以下の方
法で行つた。室温(25℃)、40℃および60℃の恒
温槽に飼料組成物を保存し、初期(調製直後)、2ケ月
後、4ケ月後、6ケ月後のPOV(過酸化物価)とCO
V(カルボニル価)を測定した。測定は、日本油化学協
会編、基準油脂分析試験法に準じた。結果は、表5〜表
8(POV)および表9〜表12(COV)に示される
とおりであつた。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】上記の表5〜表8において、POVは油
脂、脂肪酸などに含まれる二重結合が酸化を受け、生じ
たパ―オキシド(−OOH基)の量を示しており、酸化
の程度を直接的に示している。また、上記の表9〜表1
2において、COVはパ―オキシドがさらに反応して生
じたカルボニル基(−C=O基)の量を示しており、二
次酸化の程度を示している。いずれも、油脂、脂肪酸な
どの酸化の指標としてよく用いられるものであり、どち
らの指標も数値が大きいほど酸化の程度が大きいことを
意味している。
【0049】これらの表5〜表12の結果より、実施例
1〜35の飼料組成物は、比較例1〜13の飼料組成物
に比べて、POVおよびCOVが低いことから、不飽和
脂肪酸が多く含まれており、不安定な脂肪酸金属塩にお
いて、リン化合物の使用により酸化安定性に大きな効果
が得られている。また、実施例1〜13の飼料組成物と
実施例14〜26の飼料組成物との対比より、リン化合
物とともに抗酸化剤を併用することにより、酸化安定性
にさらに高い効果が得られている。さらに、実施例27
〜35の飼料組成物は、界面活性剤を使用して親水性の
リン化合物を細かく分散させたことにより、対応する実
施例15〜21および25,26に比べて、酸化安定性
が向上していることも明らかである。
【0050】つぎに、上記の実施例1〜35および比較
例1〜13の各飼料組成物につき、黒毛和牛の肥育試験
を行つた。まず、上記の各飼料組成物5重量%と、一般
飼料として、トウモロコシ44重量%、大豆粕25重量
%、クロ―バ―乾燥10重量%、小麦麦幹5重量%、乾
草ビ―ル粕10重量%およびビタミン・ミネラル添加剤
1重量%とを混合して、配合飼料を調製した。
【0051】肥育試験は、6ケ月令の黒毛和牛240頭
を5頭づつ48群に分けた。これらの牛は各頭毎、繋ぎ
による肥育を行つた。各群にそれぞれ上記調製した配合
飼料を1頭あたり10kg/日給与した。28ケ月令以
後(肥育後期)は、別の飼料として、トウモロコシ49
重量%、大豆粕25重量%、クロ―バ―乾草10重量
%、小麦麦幹5重量%、乾草ビ―ル粕10重量%および
ビタミン・ミネラル添加剤1重量%からなる一般飼料
を、1頭あたり10kg/日給与した。
【0052】34ケ月令で屠殺し、その枝肉を、日本食
肉格付協会の基準により評価した。日本食肉格付協会の
基準は、たとえば、「牛・豚枝肉、牛・豚部分肉取引規
格解説書」日本食肉格付協会(平成元年発行)に記載さ
れるとおり、枝肉の「脂肪交雑」、「肉の光沢」、「肉
の締まりおよび決め」および「脂肪の色沢および質」の
4者項目について、1から5まで5段階で判定し、その
項目別等級のうち、最も低い等級をその枝肉の等級(肉
質等級)として格付けするものである。数字の大きい方
が高品質、高価格であることを意味する。下記の表13
〜表15に、各項目別の等級を5頭の平均値で示した。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】上記の表13〜表15の結果から、実施例
1〜35の各飼料組成物を用いて肥育した牛は、比較例
1〜13の各飼料組成物を用いて肥育した牛に比べて、
枝肉の光沢、肉の締まり、脂肪の色沢および質などの肉
質評価が高くなつており、本発明の飼料組成物を用いる
ことにより、牛肉の肉質改善に好結果が得られ、付加価
値の高い牛肉の生産が可能となることがわかる。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、種々の
生理的活性を示す不飽和脂肪酸よりなる脂肪酸金属塩の
酸化安定性を改善でき、黒毛和牛、ホルスタイン、F1
などの種々の品種の牛などに対して不飽和脂肪酸を安定
な形で給与でき、したがつて、上記脂肪酸金属塩からな
る安価で栄養価の高い素材を用いて、牛肉の肉質改善、
増体効果などに大きく寄与させることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和脂肪酸を含む脂肪酸の金属塩と、
    リン化合物またはこれと抗酸化剤とを含有することを特
    徴とする飼料組成物。
  2. 【請求項2】 不飽和脂肪酸を含む脂肪酸に、リン化合
    物またはこれと抗酸化剤を加えて混合したのち、金属化
    合物と水を加えて上記の脂肪酸と金属化合物とを反応さ
    せることを特徴とする請求項1に記載の飼料組成物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 リン化合物またはこれと抗酸化剤を加え
    て混合する際に、界面活性剤を添加する請求項2に記載
    の飼料組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の飼料組成物を0.1〜
    20重量%含ませた配合飼料を調製し、この配合飼料を
    牛1頭あたり1〜12kg/日の給与量で牛に給与する
    ことを特徴とする給与方法。
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Cited By (9)

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