JPH10112554A - 半導体光スイッチ集積素子 - Google Patents

半導体光スイッチ集積素子

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JPH10112554A
JPH10112554A JP7574797A JP7574797A JPH10112554A JP H10112554 A JPH10112554 A JP H10112554A JP 7574797 A JP7574797 A JP 7574797A JP 7574797 A JP7574797 A JP 7574797A JP H10112554 A JPH10112554 A JP H10112554A
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JP
Japan
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optical switch
layer
type
integrated device
carrier diffusion
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JP7574797A
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English (en)
Inventor
Kazutoshi Nakajima
和利 中嶋
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Hamamatsu Photonics KK
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Hamamatsu Photonics KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光入力パターンを直接に受光し、閾値処理
し、増幅し、発光し、記憶する機能に加えてノイズ除去
及び平滑化処理を高速に行う機能を有する半導体光スイ
ッチ集積素子を提供する。 【解決手段】 本発明の半導体光スイッチ集積素子は、
P型エミッタ基板11上にN型キャリア拡散層12と、
N型キャリア層12上に分離されたP型バリア層13
と、P型バリア層13上のそれぞれにN型コレクタ層1
4とを有する複数の光スイッチと、各光スイッチのコレ
クタに一端が接続され、エミッタ基板上に形成された抵
抗4とを備える。そして、全ての光スイッチが共有する
N型キャリア拡散層12を設けて、スイッチオン状態に
なった光スイッチから注入された少数キャリアがこのキ
ャリア拡散層を拡散してキャリア拡散長の範囲に隣接す
る光スイッチにも作用するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体光スイッチ
集積素子に関し、特に受光、閾値処理、増幅、発光およ
び記憶等の機能を有する半導体光スイッチ集積素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来は、TVカメラ等によって取り込ま
れた文字や図形などの2次元パターンデータを画像処理
プロセッサ等の外部処理装置を用いて処理するのが一般
的であった。
【0003】また、文献1(石川、ロボット学会誌、vo
l.13、no.3、pp.335〜338、1995)には、受光素子と信号処
理回路とが一対になったものを半導体基板上に2次元ア
レイ化して集積し、これらを外部から個別に制御するこ
とによって2次元パターンデータの並列処理を行う装置
が開示されている。
【0004】また、文献2(K.Kasahara,"VSTEP-based
smart pixels"IEEE J.Quantum Electron.vol.29,no.2,p
p.757-768,1993)や文献3(J.Cheng,et.al.,"Suerface-e
mitting laser-based smart pixels for two-dimension
al optical logic and reconfigurable optical interc
onnections,"IEEE J.Quantum electron.,vol.29,no.2,p
p741-756,1993)には、光サイリスタまたはこれとLED
とを組み合わせた光スイッチをアレイ化して同一半導体
基板上に集積化した空間光変調素子や並列光接続回路が
開示されている。この場合、光スイッチを半導体基板上
に集積化して、配線によって外部から電気的にこれらを
マトリクス制御したり、また光学素子を用いて光学的に
接続することによって光クロスバ−スイッチ等を実現し
ている。そして、この光スイッチは、受光、閾値処理、
増幅、記憶および発光の各機能を持つ。
【0005】さらに、特開平6−123908号公報に
は、外部からクロック転送信号を入力することによって
光スイッチアレイをシフトレジスタまたは信号伝送素子
として利用した例が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、画像プロセッ
サ等を外部処理装置として用いる方法は柔軟で汎用な処
理を行える反面、時系列処理であるため処理時間が長く
なり、工業用ロボット制御等の高速用途には向かない。
【0007】また、文献1に開示され、受光素子と信号
処理回路とを2次元アレイ化した装置は高速処理に適し
ている。しかし、この装置の製造には高度な微細加工技
術が必要である。加えて素子面積のうち信号処理回路や
配線の占める割合が大きくなるため、受光素子を十分に
配置できないので、光入力データの利用効率がよくな
い。
【0008】さらに、文献2および文献3に開示され、
光スイッチを2次元にアレイ化した空間変調素子等で
は、同一半導体基板上に集積された各光スイッチは、閾
値処理、増幅等の機能を有している。しかし、各光スイ
ッチは独立して構成されているため、同一半導体基板上
の集積された他の光スイッチの入力信号やオン−オフ状
態に影響を受けない。したがって、これらは、外部処理
回路を接続して演算処理することなしにノイズ除去、ぼ
け変換のような平滑化処理等の機能までは有していな
い。
【0009】さらに、また、上記公報に開示された例で
は、画像などの光入力パターンを直接処理するような機
能はない。
【0010】一方、特開平8-222718号の公報には、エミ
ッタ側に単一の負荷抵抗が接続され、H−L構造を有す
る光スイッチ素子が開示されている。この素子は、入力
された光パターンを2値化し、これに伴ってノイズ除去
および平滑化処理を行うことができる。しかし、この素
子においては、閾値を制御するための層あるいは電極が
個々のスイッチを取り巻くように配置されているので、
高比抵抗層内におけるキャリアの拡散が必ずしも十分に
行われない場合があった。
【0011】従って、本発明の目的は、光入力パターン
を直接に受光し、閾値処理し、増幅し、発光し、記憶す
る機能に加えてノイズ除去及びぼけ変換のような平滑化
処理を高速に行う機能を有し、かつ光入力データの利用
効率が高い半導体光スイッチ集積素子を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明は次のような構成とした。請求項1に記
載の半導体光スイッチ集積素子では、第1導電型エミッ
タ基板と、第1導電型エミッタ基板の上に設けられた第
2導電型キャリア拡散層と、1次元および2次元のいず
れかに分散して配置され、第2導電型キャリア拡散層の
上に複数設けられた第1導電型バリア層と、第1導電型
バリア層の上のそれぞれに設けられた第2導電型コレク
タ層と、を有し、第2導電型コレクタ層が受光すること
によりオンして発光する複数の光スイッチと、第1導電
型エミッタ基板の上に形成され、第2導電型コレクタ層
のそれぞれに一端が接続された複数の抵抗と、を備え、
抵抗の他端のそれぞれは、第1の電源の一端に接続さ
れ、第1導電型エミッタ基板は、第1の電源の他端に接
続される。
【0013】このように複数の光スイッチを構成するに
当たり、第1導電型エミッタ基板の上に各光スイッチ共
通の第2導電型キャリア拡散層を設けると共に、第2導
電型キャリア拡散層の上に分散して複数設けられた第1
導電型バリア層と、第2導電型コレクタ層とを備えた光
サイリスタ構造の光スイッチを設けた。このために、個
々の光スイッチが光サイリスタとして動作すると共に、
隣接した光スイッチが共通に設けられたキャリア拡散層
を通して相互に作用する。
【0014】つまり、強い光が入射して多くの光励起キ
ャリアがキャリア拡散層とバリア層とによるPN接合で
発生する光スイッチでは、キャリア拡散層に対するバリ
ア層のポテンシャルが低下して、その光スイッチの逆接
合部分がターンオンしてスイッチオン状態となる。そし
て、この光スイッチにはバイアス電源から電流が流れ込
む。この電流により、バリア層とコレクタ層で形成され
る順方向にバイアスされたPN接合で再結合による発光
が生じる。
【0015】また、スイッチオン状態の光スイッチで
は、エミッタ基板からキャリア拡散層に注入された少数
キャリアがキャリア拡散層を拡散して、その一部は横方
向にも拡散していく。このため、スイッチオン状態のス
イッチは、キャリア拡散長の範囲の周囲の光スイッチに
影響を与えるのである。
【0016】一方、それ自身で発光するには十分でない
弱い光が入射している光スイッチでは、隣接する光スイ
ッチから少数キャリアがキャリア拡散層を拡散してくる
と、これらのキャリアは電界によってバリア層に引き込
まれる。引き込まれたキャリアが、入射光によって発生
したキャリアに加わってバリア層のポテンシャルを低下
させるのに十分な程度の数になると、ターンオンして光
スイッチに電流が流れ込む。この電流により、この光ス
イッチのバリア層とコレクタ層からなるPN接合で再結
合による発光が生じる。
【0017】ところが、光が入射していない光スイッチ
では、キャリア拡散層を少数キャリアが拡散してきて
も、その少数キャリアのみではバリア層のポテンシャル
を低下させるには十分ではないので、その光スイッチは
発光はしない。
【0018】しかし、光が入射していない光スイッチで
あっても、キャリア拡散層を少数キャリアが拡散してき
てバリア層のポテンシャルを低下させるほど十分なキャ
リアが注入されると、その光スイッチにも電流が流れ込
んで発光する。
【0019】つまり、本発明に係わる半導体光スイッチ
集積素子では、光スイッチがスイッチオン状態になるか
どうかは、光スイッチ単独の動作によってのみ決まるの
ではなく、共通に形成されたキャリア拡散層を通してキ
ャリア拡散長程度の範囲の光スイッチが相互に影響し合
うのである。
【0020】請求項2に記載の半導体光スイッチ集積素
子では、抵抗が、同一値であるようにしてもよい。
【0021】このように抵抗を略同一値にすれば、光ス
イッチの特性を揃えることができるので、半導体光スイ
ッチ集積素子の面内特性を均一にできる。
【0022】請求項3に記載の半導体光スイッチ集積素
子では、第2導電型コレクタ層および第1導電型バリア
層が、直接遷移型半導体であるようにしてもよい。この
ように第2導電型コレクタ層および第1導電型バリア層
が、直接遷移型半導体としたので、発光効率を高くでき
る。
【0023】請求項4に記載の半導体光スイッチ集積素
子では、第2導電型コレクタ層が、抵抗を兼ねるように
してもよい。
【0024】このように第2導電型コレクタ層が、抵抗
を兼ねるので、製造工程を簡素にできる。
【0025】請求項5に記載の半導体光スイッチ集積素
子では、抵抗の他端のそれぞれは、第2の電源の一端に
接続され、第2導電型キャリア拡散層は第2の電源の他
端に接続されること、および第2導電型キャリア層は第
2の電源の一端に接続され、エミッタ層は第2の電源の
他端に接続されること、のいずれかであるようにしても
よい。
【0026】このように、抵抗の他端と第2導電型キャ
リア拡散層間に第2の電源を接続すること、およびエミ
ッタ層と第2導電型キャリア拡散層間に第2の電源を接
続することのいずれかによって、キャリア拡散層の電位
を適当な値に設定すれば、この電圧によって第1導電型
バリア層に蓄積される電荷量を制御することができるの
で、光スイッチの導通入射光量のしきい値を制御でき
る。
【0027】請求項6に記載の半導体光スイッチ集積素
子では、上記複数の光スイッチを囲んで第2導電型キャ
リア拡散層に設けられる閾値制御電極を更に備え、第2
導電型キャリア拡散層は、閾値制御電極を介して第2の
電源の他端に接続されるようにしてもよい。
【0028】このように、第2導電型キャリア拡散層に
上記複数の光スイッチを囲んで閾値制御電極を設けれ
ば、これらの光スイッチ間の相互作用を妨げることなく
スイッチの導通入射光量のしきい値を制御できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下本発明について添付図面を参
照しながら説明する。 (第1の実施の形態)まず、図1及び図2を参照して本
発明の第1の実施の形態の構成について説明する。図1
は、本発明の半導体光スイッチ集積素子の平面構成図で
あり、図2は、図1のA−A’線の断面図である。
【0030】図1によれば、本実施の形態の半導体光ス
イッチ集積素子は、半導体基板11上に円形の複数の光
スイッチ3を2次元にアレイ状に配置したものである。
そして、光スイッチ3のN型オーミック電極22のそれ
ぞれから配線電極24で配線を引き出し、引き出した配
線のそれぞれを抵抗4の一端に接続し、抵抗4の他端を
共通の配線電極24に接続したものである。なお、配線
電極24は、低抵抗にできるので、金属で形成されてい
ることが好ましい。光スイッチ3の直径は25[μm]
〜50[μm]程度が好ましい。なお、光スイッチの大
きさは、光スイッチの発光部面積および受光部面積を決
めている。また、光スイッチ間のピッチは50[μm]
〜100[μm]程度が好ましく、例えば80[μm]
程度が好ましい。特に、このピッチは使用する半導体の
キャリア拡散長よりも短い範囲で半導体光スイッチ集積
素子の特性との関係から決定されることが好ましい。な
お、各光スイッチ3の受光面の形状は円形としたが、こ
れに限るものではなく、楕円形、矩形または多角形等で
あってもよい。
【0031】また、図2によれば、本実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子は、P型GaAs基板(エミッタ
層)11と、このエミッタ層11上に形成されたN型G
aAs層(キャリア拡散層)12と、キャリア拡散層1
2上に分離して形成された複数のP型GaAs層(バリ
ア層)13と、このバリア層13上のそれぞれに形成さ
れたN型GaAs層(コレクタ層)14とを有する光ス
イッチと、このキャリア拡散層12上に絶縁薄膜21を
はさんで形成された抵抗4とを備えている。つまり、各
光スイッチ3は、共通に形成されたエミッタ層11およ
びキャリア拡散層12と、個別に形成されたバリア層1
3およびコレクタ層14とからなる光サイリスタであ
る。そして、各コレクタ層上の絶縁薄膜21の一部は除
かれコレクタ層に対してN型オーミック電極22が形成
されている。抵抗4の一端はN型オーミック電極を介し
てコレクタ層14へ配線電極24により接続され、抵抗
4の他端は共通の配線電極24に接続されている。さら
に、P型半導体基板11に裏面には、P型エミッタ層1
1に対してP型オーミック電極23が形成されている。
【0032】次に、図2に基づいて本実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の製造方法を説明する。
【0033】まず、キャリア濃度1×1019[cmー3
のP型GaAs基板(以下、基板という)11上に、厚
さ1[μm]でキャリア濃度1×1017[cmー3]のN
型GaAs層12、厚さ0.2[μm]でキャリア濃度
2×1017[cmー3]のP型GaAs層13、厚さ0.
5[μm]でキャリア濃度1×1018[cmー3]のN型
GaAs層14を順次形成する。これらの半導体層の形
成はMOCVD法によりP型GaAs基板11上に順次
エピタキシャル成長することが好ましい。エピタキシャ
ル成長後、基板の下方からPNPN構造が形成される。
【0034】次に、フォトリソグラフィ技術を用いてP
型GaAs層13およびN型GaAs層14からなるメ
サ構造を形成する。例えば、基板全面にレジストを塗布
し、さらに露光して、光スイッチ3を形成する領域を残
してレジストを剥離する。そして、化学エッチング法で
P型GaAs層13およびN型GaAs層14を選択的
に化学エッチングする。化学エッチングは、NH4
H:H22:H2O=1:1:20の割合で混合した2
2℃のエッチング溶液を用いることが好ましい。これに
より基板11上全面にN型GaAs層12があり、その
上にP型GaAs層13およびN型GaAs層14から
なる平坦な頂上をもつ島状の孤立した領域が複数形成さ
れる。すなわち、基板11とその上のN型GaAs層1
2からなる単一のPN構造と、その上にP型GaAs層
13およびN型GaAs層14からなる相互に分離され
た複数のPN構造が形成される。つまり、光スイッチと
なるメサ構造が形成される。
【0035】この後に、基板全面に絶縁薄膜21を形成
する。絶縁薄膜21は、Si窒化膜であるSiNx膜を
用いることが好ましい。また、SiNx膜21は、プラ
ズマCVD法で形成することが好ましい。この膜21に
より、基板上に成長した半導体層と後に形成される配線
電極等を絶縁できる。
【0036】Si窒化膜21を形成後に、光スイッチの
メサ上のSi窒化膜21の一部を開口してN型オーミッ
ク電極22を形成する。これは、例えば、フォトリソグ
ラフィ技術を用いてSi窒化膜21を選択的にエッチン
グして、コレクタ層14を一部露出させ、N型オーミッ
ク電極22を形成する方法が好ましい。N型オーミック
電極22は、AuGe/Ni/Auをリフトオフ法を用
いてパターニングして形成することが好ましい。N型オ
ーミック電極22により、それぞれのコレクタ層14に
オーミック接触をとることができる。
【0037】また、基板裏面にもP型オーミック電極2
3を形成する。P型オーミック電極23は、AuZn/
Auを用いて、基板の裏面全面に形成することが好まし
い。P型オーミック電極23により、それぞれのP型G
aAs層11にオーミック接触をとることができる。
【0038】次に、光スイッチのそれぞれに付加される
抵抗4を形成する。この抵抗薄膜は、厚さ20nm〜5
0nmのTi薄膜をリフトオフ法を用いてパターニング
することが好ましく、各抵抗の抵抗値は1kΩ〜10k
Ωが好ましい。
【0039】最後に、基板上面に配線電極24を形成す
る。配線電極24は、Ti/Auをリフトオフ法により
パターニングして形成することが好ましい。これにより
バイアス電圧印加用の配線電極24とボンディングパッ
ド(図示せず)が形成できる。この配線電極24によ
り、各N型オーミック電極22と各抵抗4の一端とがそ
れぞれ接続され、また各抵抗4の他端と共通の配線電極
とが接続される。そして、共通の配線電極はバイアス電
圧印加用のボンディングパッドに接続される。
【0040】以上説明した方法により本発明の半導体光
スイッチ集積素子が製造できる。すなわち、基板11
と、基板11の上に設けられたN型キャリア拡散層12
と、1次元および2次元のいずれかに分散して配置さ
れ、N型キャリア拡散層12の上に複数設けられたP型
バリア層13と、P型バリア層13の上のそれぞれに設
けられたN型コレクタ層14と、を有する複数の光スイ
ッチと、P型GaAs基板の上に形成され、N型コレク
タ層14のそれぞれに一端が接続された同一値の複数の
抵抗4とを備え、抵抗4の他端のそれぞれは、共通の配
線電極24によりバイアス電圧印加用のボンディングパ
ッドに接続された半導体光スイッチ集積素子が製造でき
る。
【0041】また、半導体光スイッチ集積素子は、バイ
アス電圧印加用のボンディングパッドを外部のバイアス
電源5のマイナス側へ、基板裏面の電極をバイアス電源
5のプラス側へ接続して使用する。このバイアス電源5
は、出力電圧が可変であることが好ましく、さらにはパ
ルス的に電圧を変化できることが好ましい。このような
パルス電源を用いると、半導体光スイッチ集積素子の動
作状態とリセット状態の制御が容易になる。
【0042】なお、以上説明した半導体光スイッチ集積
素子は、P型GaAs基板を用いて、NPNP構造を形
成したが、本発明はこれに限ることなくN型GaAs基
板を用いて、PNPN構造を形成してもよい。この場合
には、バイアス電源5も逆向きに接続する必要がある。
【0043】図3は、本発明の半導体光スイッチ集積素
子の構成図である。図3によれば、各光スイッチ3a〜
3nは、NPNP構造を有する光サイリスタである。こ
の光サイリスタ3a〜3nは、コレクタ層14a〜14
nとバリア層13a〜13nをそれぞれ独立して有する
と共に、共通のキャリア拡散層12とエミッタ層11を
有している。抵抗4a〜4nの一端は、光サイリスタ3
a〜3nのコレクタ層14a〜14nのそれぞれに接続
されている。そして、それぞれの抵抗4a〜4nの他端
は、バイアス電源5のマイナス側に接続されている。な
お、この抵抗は、それぞれ負荷抵抗として作用する。ま
た、光サイリスタ3a〜3nのエミッタ層11は、バイ
アス電源5のプラス側に接続されている。そして、バイ
アス電圧の大きさは、光入力がない状態で光スイッチが
オンしない閾値以下に設定される。このバイアス状態で
は、各バリア層とキャリア拡散層からなるPN接合は逆
方向バイアスである。
【0044】次に、図4のエネルギーバンド図に基づい
て、図3の光スイッチ3aを例にして単一の光スイッチ
の動作を説明する。図4において、図4(a)は光スイ
ッチのバイアス電圧が0の場合のエネルギーバンド図で
あり、図4(b)は閾値以下のバイアス電圧が印加さ
れ、光信号が入射した場合のエネルギーバンド図であ
り、図4(c)は光スイッチがターンオンした場合のエ
ネルギーバンド図である。図4(a)〜(c)では、左
側から順にP型エミッタ基板11、N型キャリア拡散層
12、P型バリア層13a、N型コレクタ層14aのそ
れぞれに対応した構造となっている。
【0045】本発明の半導体光スイッチ集積素子は、単
体の構造としては通常の光サイリスタと同じ構造をして
いるので、通常の光サイリスタと同一の動作をする。す
なわち、図4(b)において、光61が入射すると、キ
ャリア拡散層12とバリア層13aからなる逆バイアス
されたPN接合の空乏層部分で光励起キャリア71(電
子)、72(正孔)が発生する。特に、バリア層13a
であるP型GaAs層は、0.2[μm]と薄く形成さ
れているため、励起された正孔72がバリア層13aに
蓄積されて、バリア層13aの電子に対するポテンシャ
ルを低下させるように作用する。
【0046】さらに、十分な強度の光が入射されると、
バリア層13aのポテンシャルがさらに低下して、この
逆接合部分がターンオンして大きな順方向電流が流れる
のである(スイッチオン状態)。
【0047】次に、この状態の光スイッチを出力動作に
ついて説明する。図4(c)は光スイッチがターンオン
しスイッチオン状態になった場合を表す。特に、本実施
の形態では、各光スイッチは直接遷移型半導体で構成さ
れているため、LEDとして動作する。すなわち、スイ
ッチオン状態では、バリア層13aとコレクタ層14a
からなる順方向バイアスされたPN接合において、両層
から注入された少数キャリアが再結合することにより発
光62が生じて、これがコレクタ層を通して外部に放出
されて、出力光として観測される。
【0048】さらに、このスイッチオン状態は、入射光
が遮断された後も負性抵抗効果によってバイアス電圧を
所定の値以下に下げるまで保持される。すなわち、記憶
動作が行われる。この記憶動作を解除するには、バイア
ス電圧を所定の値以下に下げて、リセット状態にすれば
よい。つまり、入力光信号の処理速度に合わせてバイア
ス電源5の電圧をパルス的に変化させることによって、
動作状態とリセット状態を交互に繰り返すようにすれ
ば、入力信号の処理を順次行うことができる。
【0049】次に、図5に基づいて、半導体光スイッチ
集積素子全体としての動作を説明する。図5は、3個の
光スイッチX、Y、Zが集積された半導体光スイッチ集
積素子を表した模式図である。
【0050】強い光が入射して多くの光励起キャリアが
発生する光スイッチYでは、バリア層13yの電子に対
するポテンシャルが低下して逆接合部分をターンオンさ
せて電流が流れ込むので、光スイッチYはスイッチオン
状態となる。つまり、抵抗4yの下で光スイッチYに電
流が流れ込む。そして、この電流により、バリア層13
yとコレクタ層14yで形成される順方向にバイアスさ
れたPN接合で再結合による発光を生じる。キャリア拡
散層への少数キャリアの注入は、キャリア濃度の高いエ
ミッタ層11から主に行われる。スイッチオン状態の光
スイッチからキャリア拡散層に注入された少数キャリア
(正孔)は、これらの光スイッチに共通に形成されてい
るキャリア拡散層12を拡散する。そして、その一部は
横方向にも拡散していく。少数キャリアは再結合により
消滅するまでライフタイム程度の時間を拡散できるの
で、横方向の拡散範囲はキャリア拡散長程度まで及ぶ。
このため、光スイッチYのスイッチング動作は、キャリ
ア拡散長の範囲の周囲の光スイッチX、Zにも影響を与
えるのである。
【0051】一方、それ自身で発光するには十分でない
弱い光が入射している光スイッチXでは、隣接する光ス
イッチYから少数キャリア(正孔)がキャリア拡散層1
2を拡散してくると、この正孔は電界によってバリア層
13xに引き込まれる。この正孔がある程度の数になる
と、入射光によって発生してバリア層13xに蓄積され
ている正孔に加わってバリア層13xのポテンシャルを
低下させるのに十分な量となり、抵抗4xを介して電流
が流れ込む。この電流により、バリア層13xとコレク
タ層14xにより形成される順方向にバイアスされたP
N接合で再結合による発光を生じる。このように光スイ
ッチXは、キャリア拡散長の範囲の周囲の光スイッチY
から影響を受ける。
【0052】ところが、光が入射していない光スイッチ
Zでは、キャリア拡散層12を少数キャリア(正孔)が
拡散してきても、その正孔のみではバリア層13zのポ
テンシャルを低下させるには十分ではないので、光スイ
ッチZは発光はしない。
【0053】しかし、光が入射していない光スイッチZ
であっても、バリア層13zの電子に対するポテンシャ
ルを低下させるほど十分なキャリアが、キャリア拡散層
12を通して周囲の光スイッチから供給されるとスイッ
チオン状態になって、その光スイッチは発光する。
【0054】以上の説明より、キャリア拡散長程度の範
囲内の光スイッチが全体として入射光が一定以上であれ
ば、単体ではスイッチオン状態に必要な強度の光が入射
されていない光スイッチであっても、この光スイッチは
スイッチオン状態になるように閾値を設定できる。逆
に、光スイッチ一個分または数個分程度の範囲に限られ
た領域内にある量の光が入射した場合に、十分な入射光
量が得られていないとして、これらの光スイッチがスイ
ッチオン状態にならないように閾値を設定できる。つま
り、本発明の半導体光スイッチ集積素子では、光スイッ
チがスイッチオン状態になるかどうかは、光スイッチ単
独の動作によってのみ決まるのではなく、キャリア拡散
長程度の範囲の光スイッチが共通に設けられたキャリア
拡散層12を通してお互いに影響し合うのである。
【0055】このような特性を十分に引き出すために
は、少数キャリアが光スイッチ間を横方向に有効に拡散
できるようにキャリア拡散層12での少数キャリアの寿
命と各光スイッチ間の距離の関係が適切に設計されてい
ることが重要になる。
【0056】このような設計を行うためデータを収集の
方法を図6および図7に基づいて説明する。図6は、図
1と同じ単体構造の光スイッチ3p〜3sを基板上に4
個を80[μm]ピッチの等間隔で2次元に配置した実
験用半導体光スイッチ集積素子と動作回路の模式図であ
る。各光スイッチのコレクタ層は、同一基板上に形成さ
れた5kΩの負荷抵抗4p〜4sそれぞれの一端が接続
されている。そして、バイアス電源5は各抵抗の他端と
光スイッチのエミッタ層に接続されている。
【0057】この実験素子で、光スイッチ3pに2μ
W、光スイッチ3sに0.2μWの光をそれぞれ入射さ
せ、バイアス電源5の電圧を変化させて光スイッチの動
作を調べた。この結果を図7(a)〜(c)に示す。図
7(a)〜(c)では、発光した光スイッチを実線の丸
印で示し、非発光の光スイッチを破線の丸印で示した。
図7(a)は、バイアス電圧Vb=9[V]の場合の結
果であり、強い光が入射している光スイッチ3pのみが
発光している。図7(b)は、バイアス電圧Vb=9.
5[V]の場合の結果であり、光が入射している光スイ
ッチ3pおよび3sのみが発光している。図7(c)
は、バイアス電圧Vb=10[V]の場合の結果であ
り、全ての光スイッチが発光している。つまり、光スイ
ッチを構成する各半導体層のキャリア濃度と厚さ、光ス
イッチの大きさとその配列のピッチ、抵抗の抵抗値等を
様々に変えた実験素子を用いて、また動作条件としてバ
イアス電圧と入射光量を変化させて動作させれば、設計
データの収集ができる。
【0058】図7の結果は、次のように考えることがで
きる。バイアス電圧Vb=9[V]では、強い光が入射
した光スイッチ3pのみがスイッチオン状態になり、そ
して、光スイッチ3pから少数キャリアが拡散するけれ
ども、他の光スイッチ3q〜3sをスイッチオン状態に
するまでには及んでいない場合である。バイアス電圧V
b=9.5[V]では、強い光が入射した光スイッチ3
pがスイッチオン状態になり、そして、光スイッチ3p
から少数キャリアが拡散して弱い光が入射した光スイッ
チ3sに影響を及ぼしスイッチオン状態になるけれど
も、光が入射していない他の光スイッチ3q、3rをス
イッチオン状態にするまでには及んでいない場合であ
る。バイアス電圧Vb=10[V]では、強い光が入射
した光スイッチ3pがスイッチオン状態になり、そし
て、光スイッチ3pから少数キャリアが拡散して弱い光
が入射した光スイッチ3sに影響を及ぼしスイッチオン
状態になり、さらにこれらの素子からの少数キャリアに
より光が入射していない他の光スイッチ3q、3rまで
スイッチオン状態になった場合である。
【0059】また、図7(a)では、光スイッチ3sに
入射した弱い光は閾値より小さいとして、光スイッチ3
sから出力はない。つまり、閾値処理によってノイズと
みなされたのである。図7(b)では、光スイッチ3
p、3sに入射した光は共に閾値より大きいとして、光
スイッチ3p、3sから光が出力される。つまり、閾値
処理によって2値化されたのである。図7(c)では、
光スイッチ3p、3sに入射した光によって、光が入射
されなかった光スイッチ3q、3rからも光が出力され
る。つまり、平滑化処理(ぼけ変換)が行われたのであ
る。すなわち、本発明の半導体光スイッチ集積素子は、
ノイズ除去処理およびボケ変換のような平滑化処理とい
うパターン処理機能をもつのである。つまり、バイアス
電圧5を変更することにより、同一の半導体光スイッチ
集積素子でも様々な動作をするのである。このために
は、リセット電圧を印加する毎に所望の動作をするよう
にバイアス電圧に設定すればよい。
【0060】以上説明したように、本発明の半導体光ス
イッチ集積素子に文字や図形等の2次元パターンデータ
が入力されると、入力されたパターンデータの2値化と
これにともないノイズ除去処理、さらにボケ変換のよう
な平滑化処理が、各光スイッチの動作によって一括して
行われる。また、これらの処理の結果は、各光スイッチ
が発光することにより発光パターンとして出力される。
さらに、入力パターンが遮断された後も、バイアス電圧
を一定以下の値以下に下げるまでこの発光パターンは記
憶される。 本発明の半導体光スイッチ集積素子のこれ
らの機能を利用して2次元入力パターンのノイズ除去処
理をする場合について、図8を用いて説明する。図8
は、直交する2方向にそれぞれ等間隔で光スイッチを配
置した半導体光スイッチ集積素子の模式図である。ま
た、図8において、各丸印は光スイッチ3であり、光が
入射している光スイッチのみ丸印内に「1」を記載し
た。説明を簡単にするために各光スイッチに入射される
光量は同一とした。図8に示した入射パターン例は、縦
方向の縞状のノイズを伴う「A」なる文字が入力されて
いる場合である。ある光スイッチがスイッチオンするか
の閾値は、その光スイッチおよび最近接4個の光スイッ
チの全てに光が入射されている場合に、その光スイッチ
がスイッチオンするとした。そして、この閾値のもとに
スイッチオン状態になっている光スイッチを太線の丸印
で示した。このようにすると、図7に示す通り入力パタ
ーンが縦方向の縞状ノイズを含んでいるにも係わらず、
本発明の半導体光スイッチ集積素子の処理の結果、その
出力にはノイズが除去されて文字「A」が出力される。
【0061】つまり、本発明の半導体光スイッチ集積素
子においては、光スイッチを構成する各半導体層のキャ
リア濃度と厚さ、光スイッチの大きさとその配列のピッ
チ、抵抗の抵抗値のおよび動作条件としてバイアス電圧
と入射光量を適当に設定することにより、平滑化処理、
例えばボケ変換およびノイズ除去処理が可能となる。
【0062】このように本発明の半導体光スイッチ集積
素子は、P型エミッタ基板と、P型エミッタ基板上方に
分離して形成されたP型バリア層と、それぞれのP型バ
リア層上に形成されたN型コレクタ層とを備えると共
に、P型バリア層とP型エミッタ基板との間に全ての光
スイッチが共有する共通のN型キャリア拡散層とを設け
て複数の光スイッチを構成して、スイッチオン状態にな
った光スイッチから注入された少数キャリアがこのキャ
リア拡散層を拡散して隣接する光サイリスタに作用する
ようにしたので、ノイズ除去処理およびボケ変換のよう
な平滑化処理が可能となる。
【0063】なお、実際、高速処理用途においては、信
号とノイズが図8に示した例ほど混在していることは少
ないので、素子設計および動作条件の設定はそれぞれの
使用環境に応じて設定することが好ましい。また、一般
に、簡単な図形や文字等のパターンマッチングによる認
識のための前処理としては、8×8程度の規模のピクセ
ル数による十分有効であることが知られている。
【0064】以上説明したように本実施の形態では、2
次元に直交する2方向(X方向、Y方向)にそれぞれ等
間隔になるピッチで光スイッチを配置する場合について
説明したが、光スイッチの配置はこれに限られるもので
はない。図9は、本発明の半導体光スイッチ集積素子の
光スイッチ配置図である。光スイッチの配置は、例え
ば、図9(a)に示すようにX方向、Y方向にそれぞれ
異なるピッチX,Yで光スイッチを配置するようにして
もよい。このようにすると、隣接の光スイッチへのキャ
リア拡散による作用に方向によって変化を与えることが
できる。また、図9(b)に示すようにX方向、Y方向
にそれぞれ異なるピッチX,Yで光スイッチを配置し、
さらにこれを2方向それぞれに半ピッチ分ずらしてさら
に光スイッチを配置するようにしてもよい。また、図9
(c)に示すように一辺をXとする正三角形格子上に光
スイッチを配置するようにしてもよい。このようにする
と、最近接に6個の光スイッチを配置できる。なお、こ
れらの光スイッチの配置パターンは例示であり、これら
に限られるものではない。
【0065】さらに、本発明は、光スイッチを1次元に
配列する場合にも適用できる。この場合に、各光スイッ
チは等間隔で設けられていてもよく、また異なる間隔で
設けられていてもよい。負荷抵抗値を素子面内において
同一値すれば、各光スイッチの特性を揃えることがで
き、負荷抵抗値を素子面内において異なる値にすれば、
各光スイッチの特性を素子面内において変化させること
ができる。
【0066】(第2の実施の形態)次に、図10および
図11に基づいて本発明の第2の実施の形態について説
明する。図10は、本発明の第2の実施の形態の半導体
光スイッチ集積素子の平面図である。図11は、本実施
の形態の半導体光スイッチ集積素子の図10のB−B’
線の断面図である。図10および図11において図1お
よび図2と同一の部分には、同一の符号を付した。
【0067】図10によれば、本実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子は、半導体基板11上に円形の複数の
光スイッチ3を2次元にアレイ状に配置したものであ
る。そして、光スイッチ3のN型オーミック電極22の
それぞれから配線電極24を引き出し、引き出した配線
のそれぞれを抵抗4の一端に接続し、抵抗4の他端を共
通の配線電極24に接続したものである。本実施の形態
では、光スイッチ3の直径は25[μm]であり、また
各光スイッチ間のピッチは80[μm]としたが、これ
に限られるものではない。
【0068】また、P型エミッタ基板11の裏面には、
複数の円筒状陥没部20が設けられている。そして、そ
れぞれの円筒状陥没部20は、P型エミッタ基板に垂直
な方向から見たときに、バリア層13のそれぞれをその
内側に含んで設けられている。この陥没部の断面形状
は、バリア層13をその内側に含んで設けられていれ
ば、円形に限られるものではなく、楕円形、矩形または
多角形等であってもよい。また、1個の陥没部が複数の
バリア層13を含んで設けられてもよい。この円筒形陥
没部20は、基板裏面から光スイッチの出力光を取り出
す出力光取出窓となる。
【0069】図11によれば、本実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子は、P型エミッタ基板(第1エミッタ
層)11と、この第1エミッタ層11上に形成されたP
型Ga0.8Al0.2As層(第2エミッタ層)15と、第
2エミッタ層15上に形成されたN型Ga0.8Al0.2
s層(キャリア拡散層)16と、キャリア拡散層16上
に分離して形成された複数のP型バリア層13と、この
P型バリア層13上のそれぞれに形成されたN型コレク
タ層14とを有する光スイッチと、このキャリア拡散層
16上に絶縁薄膜21をはさんで形成された抵抗4とを
備えている。そして、各コレクタ層14上の絶縁薄膜2
1の一部が除かれて、N型オーミック電極22が形成さ
れている。また、抵抗4の一端はN型オーミック電極を
介して配線電極24によりコレクタ層14に接続され、
抵抗4の他端は共通の配線電極24に接続されている。
各光スイッチ3は、共通に形成されたエミッタ層11、
15およびキャリア拡散層16と、個別に形成されたバ
リア層13およびコレクタ層14とからなる光サイリス
タである。また、P型エミッタ基板11の裏面に設けら
れた円筒状陥没部20は、第2エミッタ層15に達して
設けられている。さらに、P型半導体基板11に裏面に
は、P型エミッタ層11に対してP型オーミック電極2
3が形成されている。
【0070】次に、図11に基づいて本発明の半導体光
スイッチの製造方法を概説する。まず、キャリア濃度1
×1019[cmー3]のP型GaAs基板11上に、厚さ
10[μm]でキャリア濃度1×1019[cmー3]のP
型Ga0.8Al0.2As層15、厚さ1[μm]でキャリ
ア濃度1×1017[cmー3]のN型Ga0.8Al0 .2As
層16、厚さ0.2[μm]でキャリア濃度2×1017
[cmー3]のP型GaAs層13、厚さ0.5[μm]
でキャリア濃度1×1018[cmー3]のN型GaAs層
14を順次形成する。これらの半導体層の形成はMOC
VD法によりP型GaAs基板11上に順次エピタキシ
ャル成長することが好ましい。エピタキシャル成長後、
基板上方からNPNP構造が形成された。
【0071】次に、フォトリソグラフィ技術と化学エッ
チングを用いて基板を裏面から選択的にエッチングして
円筒状陥没部20パターンを形成する。このパターン
は、基板半導体層11を貫通し第2エミッタ層15に達
して形成される。そして、そのピッチは光スイッチのピ
ッチに合わせて80[μm]程度が好ましく、また円筒
断面の直径は直径25[μm]の光スイッチを包含でき
るように40[μm]程度が好ましい。
【0072】次に、第1の実施の形態と同様にフォトリ
ソグラフィ技術と化学エッチングを用いてP型GaAs
層13およびN型GaAs層14からなるメサ構造を形
成する。このメサ構造は、裏面の円筒状陥没部20のそ
れぞれに基板上面に投影したときにその内部に含まれて
形成される。エッチング後、基板上方からみたとき、基
板11上全面に第2エミッタ層15とGa0.8Al0.2
s層16があり、その上にP型GaAs層13およびN
型GaAs層14からなる平坦な頂上をもつ島状の孤立
した複数の領域が形成される。すなわち、第2エミッタ
層15とその上のN型Ga0.8Al0.2As層16とから
なる共通した単一のPN構造と、その上にP型GaAs
層13およびN型GaAs層14からなる相互に分離さ
れた複数のPN構造とが形成される。つまり、光スイッ
チとなるPNPN構造が形成され、基板裏面にはメサ構
造に合わせて基板半導体層を貫通して形成された円筒状
陥没部20がある。
【0073】この後の工程は第1の実施の形態の説明と
同じなので概略のみ記す。基板全面にSiNx膜からな
る絶縁薄膜21を形成し、メサ領域上のSiNx膜21
の一部を開口してAuGe/Ni/AuからなるN型オ
ーミック電極22を形成する。また、基板11の裏面に
もAuZn/Auからなるオーミック電極23を形成す
る。次に、光スイッチ3のそれぞれに付加されるTi薄
膜からなり抵抗値1kΩ〜10kΩの抵抗4を形成す
る。最後に、基板11の上面にTi/Auからなるバイ
アス印加用の配線電極24とボンディングパッド(図示
せず)を形成する。以上説明した方法により本発明の半
導体光スイッチ集積素子が製造できる。すなわち、P型
エミッタ基板11およびこの上に形成されたP型エミッ
タ層15と、P型エミッタ層15の上に設けられたN型
キャリア拡散層16と、1次元および2次元のいずれか
に分散して配置され、N型キャリア拡散層の上に複数設
けられたP型バリア層13と、P型バリア層13の上の
それぞれに設けられたN型コレクタ層14と、を有する
複数の光サイリスタと、P型エミッタ基板の上に形成さ
れ、N型コレクタ層14のそれぞれに一端が接続された
同一値の複数の抵抗4と、を備えた半導体光スイッチ集
積素子が製造できる。
【0074】この半導体光スイッチ集積素子は、バイア
ス電圧印加用のボンディングパッドを外部のバイアス電
源5のマイナス側へ、基板裏面の電極をバイアス電源5
のプラス側へ接続して使用する。このバイアス電源5
は、出力電圧が可変であることが好ましく、さらにはパ
ルス的に電圧を変化できることが好ましい。このような
パルス電源を用いると、半導体光スイッチ集積素子の動
作状態とリセット状態の制御が容易になる。
【0075】なお、以上説明した半導体光スイッチ集積
素子は、P型GaAs基板を用いて、NPNP構造を形
成したが、本発明はこれに限ることなくN型GaAs基
板を用いて、PNPN構造を形成してもよい。
【0076】このようにして形成した半導体光スイッチ
集積素子の動作は、出力光が基板裏面からも取り出すこ
とができる点を除いて、第1の実施の形態と同じであ
る。つまり、本実施の形態の半導体光スイッチ集積素子
では、スイッチオン状態でバリア層13とコレクタ層1
4によるPN接合で発生した波長約880nmの光を、
バンドギャップが大きいキャリア拡散層16およびエミ
ッタ層15を通して基板裏面の円筒状陥没部20から取
り出すことができる。
【0077】図12に、本実施の形態の半導体光スイッ
チ集積素子を用いたパターン処理装置の模式図を示す。
図12においては、半導体光スイッチ集積素子1は、光
スイッチが形成されている面をパターン入力面とし、ま
た出力光取出窓が形成されている面をパターン出力面と
する。また、半導体光スイッチ集積素子1には、バイア
ス電源5が接続されている。この状態で、パターン入力
面から入力パターン8が入力されると、半導体光スイッ
チ集積素子1で所定の処理を行った後にパターン出力面
から出力光パターン9が出力される。
【0078】このように半導体光スイッチ集積素子の異
なる面からパターンを入力しまたパターンを出力するよ
うにしたので、透過型半導体光スイッチ集積素子として
使用できるようになり、同一面から入出力を行う煩雑さ
が避けられる。
【0079】(第3の実施の形態)次に、図1および図
13に基づいて本発明の第2の実施の形態について説明
する。図13は、本実施の形態の半導体光スイッチ集積
素子の図1のA−A’線の断面図である。図13におい
て図2と同一の部分には同一の符号を付した。
【0080】図13によれば、本実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子は、P型GaAs基板(エミッタ層)
11と、このエミッタ層11上に形成されたN型GaA
s層12(キャリア拡散層)と、このキャリア拡散層1
2内の上部表層に分離されて複数形成されたN型GaA
s層18(コレクタ層)18と、このコレクタ層18の
側面および底面を囲み、且つキャリア拡散層12内の上
部表層に複数分離されて形成されたP型GaAs層17
(バリア層)とを有する光サイリスタと、キャリア拡散
層12上の絶縁薄膜21上に光サイリスタの対応して形
成された抵抗4とを備え、抵抗の一端は対応する光サイ
リスタのコレクタ層18上形成されたN型オーミック電
極22と配線電極24で接続され、抵抗4の他端は共通
の配線電極24接続されている。
【0081】次に、図13に基づいて本実施の形態の半
導体光スイッチの製造方法の説明する。
【0082】まず、キャリア濃度1×1019[cmー3
のP型GaAs基板11上に、厚さ1[μm]でキャリ
ア濃度1×1017[cmー3]のN型GaAs層12を形
成する。この半導体層の形成はMOCVD法によりP型
GaAs基板11上にエピタキシャル成長することが好
ましい。
【0083】次に、このN型GaAs層12内の上部表
面にN型半導体層18と、このN型半導体層18の底面
および側面を囲んでP型半導体層17を形成する。これ
らの半導体層17、18は、直径25[μm]の円状の
分離された領域として2次元アレイ状に80[μm]ピ
ッチで形成することが好ましい。P型半導体層17は、
キャリア濃度が2×1017[cmー3]で、接合の深さは
基板表面から0.5[μm]程度が好ましい。また、N
型半導体層18、キャリア濃度が2×1018[cmー3
で、接合の深さは基板表面から0.3[μm]程度が好
ましい。このように形成するとバリア層になるP型半導
体層の厚さは、結果として0.2[μm]程度となる。
これらの層17、18は、フォトリソグラフィ技術によ
り2次元アレイ状に80[μm]ピッチで直径25[μ
m]の円形の開口部を有したレジストを基板上に形成し
て、このレジストをマスクにして、まず加速電圧100
[keV]、ドーズ量5×1012[cmー2]でベリリウ
ム(Be+)をイオン注入して、次に加速電圧200
[keV]、ドーズ量5 ×1013[cmー2]でシリコ
ン(Si+)をイオン注入して形成することが好ましい
。さらに、このレジストを除去した後に基板全面にプ
ラズマCVD法で絶縁薄膜21としてSiOxy保護膜
を形成した後に、800℃で20分のアニールを行うこ
とが好ましい。このようにすると、コレクタ層およびバ
リア層がキャリア拡散層に埋め込まれた埋め込み型のN
PNP構造が、光スイッチ部分に形成される。
【0084】この後の工程は第1の実施の形態の説明と
同じなので概略のみ記す。光スイッチ上の保護膜21の
一部を開口してAuGe/Ni/AuからなるN型オー
ミック電極22を形成する。また、基板裏面にはAuZ
n/AuからなるP型オーミック電極23を形成する。
次に、光スイッチのそれぞれに付加されるTi薄膜から
なる抵抗値1kΩ〜10kΩの抵抗4を形成する。最後
に、基板上にTi/Auからなるバイアス印加用の配線
電極24とボンディングパッド(図示せず)を形成す
る。
【0085】以上説明した方法により本発明の半導体光
スイッチ集積素子が製造できる。すなわち、P型エミッ
タ基板11と、P型エミッタ基板11の上に設けられた
N型キャリア拡散層12と、1次元および2次元のいず
れかに分散して配置され、N型キャリア拡散層12の上
に複数設けられたP型バリア層17と、P型バリア層1
7の上のそれぞれに設けられたN型コレクタ層18と、
を有する複数の光サイリスタと、P型エミッタ基板の上
に形成され、N型コレクタ層18のそれぞれに一端が接
続された同一値の複数の抵抗4と、を備えた半導体光ス
イッチ集積素子が製造できる。
【0086】このようにすると、キャリア拡散層12に
おけるキャリアの拡散の高効率化が図られる共に、基板
表面の凹凸がなくなるので配線電極24の自由度が増す
ので、より高密度の光スイッチアレイが形成できる。
【0087】この半導体光スイッチ集積素子は、バイア
ス電圧印加用のボンディングパッドを外部のバイアス電
源5のマイナス側へ、基板裏面の電極をバイアス電源5
のプラス側へ接続して使用する。このバイアス電源5
は、出力電圧が可変であることが好ましく、さらにはパ
ルス的に電圧を変化できることが好ましい。このような
パルス電源を用いると、半導体光スイッチ集積素子の動
作状態とリセット状態の制御が容易になる。
【0088】このようにして形成した半導体光スイッチ
集積素子の動作は、第1の実施の形態と同じであるの
で、その説明は省略する。
【0089】(第4の実施の形態)次に、図14および
図15に基づいて本発明の第4の実施の形態について説
明する。図14は、本実施の形態の半導体光スイッチ集
積素子の平面構成図である。図15は、本実施の形態の
半導体光スイッチ集積素子の図14のC−C’線の断面
図である。
【0090】図14によれば、本実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子は、半導体基板11上に円形の複数の
光スイッチ3を2次元にアレイ状に配置したものであ
る。そして、光スイッチ3のN型オーミック電極22の
それぞれから配線電極24で配線を引き出し、これを共
通の配線電極24に接続したものである。各光スイッチ
に付加される抵抗は、光スイッチ3のコレクタ層に作り
込まれている。コレクタ層は、抵抗としても作用するよ
うにキャリア濃度を上記の実施の形態と異なる濃度にす
ればよい。
【0091】図15によれば、本実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子は、第1に基板上に抵抗がないこと、
メサ部分の最上層にあるコレクタ層のキャリア濃度が異
なること、の2点を除いて第1の実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子と同一の構造である。
【0092】製造方法については、キャリア濃度1×1
19[cmー3]のP型GaAs基板11上に、厚さ1
[μm]でキャリア濃度1×1017[cmー3]のN型G
aAs層12、厚さ0.2[μm]でキャリア濃度2×
1017[cmー3]のP型GaAs層13、厚さ0.5
[μm]でキャリア濃度1×1017[cmー3]のN型G
aAs層19を順次形成した後は、抵抗の形成を行わな
い点を除いて、第1の実施の形態の製造方法と同一であ
るので、以下その内容を概説するのみとする。
【0093】つまり、フォトリソグラフィ技術を用いて
P型GaAs層13およびN型GaAs層14からなる
メサ構造を形成する。この後に、基板全面に絶縁薄膜2
1を形成する。絶縁薄膜21は、プラズマCVD法で形
成するSiNx膜を用いることが好ましい。Si窒化膜
21を形成後に、光スイッチのメサ上のSi窒化膜21
の一部を開口してN型オーミック電極22を形成する。
また、基板裏面にもP型オーミック電極23を形成す
る。最後に、基板上面に配線電極24によりバイアス電
圧印加用の共通の配線電極24とボンディングパッド等
を形成する。
【0094】本実施の形態の半導体光スイッチ集積素子
では、コレクタ層19のキャリア濃度を1×1017[c
ー3]にして、高抵抗化を図ったものである。すなわ
ち、コレクタ層19のキャリア濃度を変更して各光スイ
ッチに付加される抵抗を兼ねて形成したものである。
【0095】このようにすると、Ti薄膜抵抗を形成す
る必要がないので、フォトリソグラフィ工程を1回少な
くすることができ、また半導体光スイッチ集積素子内で
の抵抗の抵抗値のばらつきを小さくできると共に、配線
電極24のパターンも簡略化できる。
【0096】この半導体光スイッチ集積素子は、バイア
ス電圧印加用のボンディングパッドを外部のバイアス電
源5のマイナス側へ、基板裏面の電極をバイアス電源5
のプラス側へ接続して使用する。このバイアス電源5
は、出力電圧が可変であることが好ましく、さらにはパ
ルス的に電圧を変化できることが好ましい。このような
パルス電源を用いると、半導体光スイッチ集積素子の動
作状態とリセット状態の制御が容易になる。
【0097】このようにして形成した本実施の形態の半
導体光スイッチ集積素子の動作は、第1の実施の形態と
同じであるので、その説明は省略する。
【0098】(第5の実施の形態)図16及び図17を
参照して本発明の第5の実施の形態の構成について説明
する。図16は、本発明の半導体光スイッチ集積素子の
平面構成図であり、図17は、図16のD−D’線断面
図である。
【0099】図16、図17に示す半導体光スイッチ集
積素子は、図1に示した半導体光スイッチ集積素子のキ
ャリア拡散層42の電位を外部から制御できるようにし
たものである。図16によれば、半導体基板11上に複
数の円形の光スイッチ3を2次元アレイ状に配置して、
それぞれの光スイッチ3のコレクタ層14にはN型オー
ミック電極22が設けられ、これから配線電極24によ
って配線を引き出す。それぞれの配線は、抵抗4の一端
に接続されると共に、他端は共通の配線電極24によっ
てボンディングパッド27へ引き出される。更に、キャ
リア拡散層42に電圧制御用の電極を設けている。この
電極は、キャリア拡散層42の表層に比較的高濃度のN
型層29(図示せず)を設け、この上にN型オーミック
電極25を形成し、これを配線電極26によってボンデ
ィングパッド28へ引き出すことにより形成されてい
る。
【0100】また、図17によれば、本実施の形態の半
導体光スイッチ集積素子は、P型GaAs基板(エミッ
タ層)11と、このエミッタ層11上に形成されたN型
GaAs層(キャリア拡散層)42と、キャリア拡散層
42上に分離して形成された複数のP型GaAs層(バ
リア層)13と、このバリア層13上のそれぞれに形成
されたN型GaAs層(コレクタ層)14とを有する光
スイッチと、このキャリア拡散層42上に絶縁薄膜21
をはさんで形成された抵抗4と、電圧制御用の電極を備
えている。つまり、各光スイッチ3は、共通に形成され
たエミッタ層11およびキャリア拡散層42と、個別に
形成されたバリア層13およびコレクタ層14とからな
る光サイリスタである。そして、各コレクタ層上の絶縁
薄膜21の一部は除かれコレクタ層に対してN型オーミ
ック電極22が形成されている。抵抗4の一端はN型オ
ーミック電極を介してコレクタ層14へ配線電極24に
より接続され、抵抗4の他端は共通の配線電極24に接
続されている。さらに、P型半導体基板11に裏面に
は、P型エミッタ層11に対してP型オーミック電極2
3が形成されている。加えて、電圧制御用の電極は、絶
縁薄膜21の一部を除いてキャリア拡散層42の表層に
設けられた閾値制御電極であるN型層29と、この上に
設けられたN型オーミック電極25と、更にこの上に設
けられる配線電極26を有する。なお、N型層29は、
近接する光スイッチ3相互間のバルク結合効果が十分に
発揮されるように、つまりキャリア拡散による相互作用
が十分に行われるように、上記複数の光スイッチ群の相
互間に配置することなく、バルク結合効果を期待する複
数の光スイッチの外周部に配置することが好ましい。ま
た、光スイッチを周囲を囲んで設ければ、キャリア拡散
層42の電位を均一にできるので好ましい。更に、これ
らの素子を囲んで外周部に設けてもよい。
【0101】次に、図17に基づいて、本実施の形態の
半導体光スイッチ集積素子の製造方法の概略を説明す
る。
【0102】まず、N型GaAs層42、P型GaAs
層13およびN型GaAs層14をP型基板11上に第
1の実施の形態と同じ仕様でMOCVD法によりエピタ
キシャルに順次形成すると、基板の下方からPNPN構
造が形成される。次に、第1の実施の形態と同様にし
て、光スイッチとなるメサ構造を形成する。これにより
基板11上全面にN型GaAs層42があり、その上に
P型GaAs層13およびN型GaAs層14からなる
相互に分離された複数のPN接合が形成される。すなわ
ち、基板11とその上のN型GaAs層42からなる単
一のPN構造と、その上にP型GaAs層13およびN
型GaAs層14からなる相互に分離された複数のPN
構造が形成される。
【0103】この後に、例えばSiNx膜を用いて、基
板全面に絶縁薄膜21を形成する。この膜21により、
基板上に成長した半導体層と後に形成される抵抗、配線
電極等とが絶縁される。この膜21を形成後に、光スイ
ッチのメサ上にあるSi窒化膜21の一部とアレイ状の
光スイッチの周囲のキャリア拡散層上にあるSi窒化膜
21の一部とをそれぞれ開口して、N型オーミック電極
22、25を形成する。電極22によってそれぞれのコ
レクタ層14へ、また電極25によって光スイッチアレ
イの周囲のキャリア拡散層42へそれぞれオーミック接
触をとることができる。また、P型オーミック電極23
を基板裏面に形成して、P型GaAs層11へオーミッ
ク接触をとる。これらの電極22、23および25は、
第1の実施の形態と同様にして形成できる。
【0104】なお、N型キャリア拡散層42のキャリア
濃度は通常低いので、良好なオーミック電極を形成する
ために、キャリア拡散層42内の表層にあって電極25
下に比較的高濃度の低抵抗部であるN型層29を形成す
ることが好ましい。このようにすると、N型キャリア拡
散層42とオーミック電極25との接触抵抗を低くでき
る。N型層29を形成するには、例えばメサエッチング
後に基板全面にフォトレジストを塗布して、フォトリソ
グラフィ技術によってオーミック電極形成部分を開口し
た後に、N型不純物であるSiをエネルギ150[ke
V]、ドーズ量1×1014の[cmー2]の条件でイオン
注入を行う。続いて、フォトレジストを除去し、基板保
護膜21、例えばSiON薄膜をプラズマCVD法によ
って形成した後に、800[℃]、20[分]の条件で
熱処理を行い、不純物の活性化およびアニールを行うよ
うにすればよい。このようにすると、オーミック電極2
5下が選択的に低抵抗化される。また、この工程を利用
して、N型コレクタ層14上のオーミック電極22下に
もイオン注入を行い、低抵抗部であるN型層を形成して
もよい。
【0105】次に、第1の実施の形態と同様して、光ス
イッチのそれぞれに付加される抵抗4を形成する。な
お、この抵抗値は光スイッチ3の特性、スイッチ3の間
隔、キャリア拡散層42の少数キャリアの拡散特性等に
よって決定されるので、これらを考慮して決定されるこ
とが好ましい。なお、同一の光スイッチ集積素子に集積
される抵抗値が同一値であるようにすると、各光スイッ
チの特性を揃えることができる。
【0106】最後に、バイアス電圧印加用の配線電極2
4、26および電圧供給用のボンディングパッド27、
28を第1の実施の形態と同様にして基板上面に形成す
る。この配線電極24により、各N型オーミック電極2
2と各抵抗4の一端とがそれぞれ接続され、また各抵抗
4の他端のそれぞれと第1のバイアス電圧印加用のボン
ディングパッド27とが接続される。配線電極26によ
って、N型オーミック電極25が第2のバイアス電圧印
加用のボンディングパッドとが接続される。
【0107】以上説明した方法により本発明の半導体光
スイッチ集積素子が製造できる。すなわち、半導体光ス
イッチ集積素子は、基板11と、この上に設けられたN
型キャリア拡散層42と、1次元および2次元のいずれ
かに分散して配置され、N型キャリア拡散層42の上に
複数設けられたP型バリア層13と、P型バリア層13
の上のそれぞれに設けられたN型コレクタ層14と、を
有する複数の光スイッチと、キャリア拡散層42上に絶
縁膜21を挟んで形成され、N型コレクタ層14のそれ
ぞれに一端が接続された複数の抵抗4とを備える。抵抗
4の他端の各々は共通の配線電極24により第1のバイ
アス電圧51の印加用ボンディングパッド27に接続さ
れ、更にN型キャリア拡散層42は配線電極26により
第2のバイアス電圧52の印加用ボンディングパッド2
8に接続される。なお、エミッタ層11とキャリア拡散
層42との間に電圧差を設けることができれば、コレク
タ層14とキャリア拡散層42間に電源を接続する場合
に限られることなく、例えばエミッタ層11とキャリア
拡散層42との間に電源を設けてもよい。
【0108】また、半導体光スイッチ集積素子では、ボ
ンディングパッド27を外部の第1のバイアス電源51
のマイナス側へ、基板裏面の電極23をこのバイアス電
源51のプラス側へ接続して使用する。この電源51
は、出力電圧が可変であることが好ましく、さらにはパ
ルス的に電圧を変化できることが好ましい。このような
パルス電源を用いると、半導体光スイッチ集積素子の動
作状態とリセット状態の制御が容易になる。また、ボン
ディングパッド27を外部の第2のバイアス電源52の
マイナス側へ、ボンディングパッド28をこの電源52
のプラス側へ接続して使用する。
【0109】なお、以上説明した半導体光スイッチ集積
素子は、P型基板を用いて基板上面側からNPNP構造
を形成したが、本発明はこれに限ることなくN型基板を
用いてNPNP構造を形成してもよい。この場合には、
バイアス電源51、52も逆向きに接続する必要があ
る。
【0110】図18は、本発明の半導体光スイッチ集積
素子の構成図である。図18によれば、各光スイッチ3
3a〜33nは、NPNP構造を有する光サイリスタで
ある。この光サイリスタ33a〜33nは、コレクタ層
14a〜14nとバリア層13a〜13nをそれぞれ独
立して有すると共に、共通のキャリア拡散層42とエミ
ッタ層11を有する。抵抗4a〜4nの一端は、光サイ
リスタ33a〜33nのコレクタ層14a〜14nのそ
れぞれに接続される。第1のバイアス電源51のマイナ
ス側は負荷抵抗として作用する抵抗4a〜4nの各々の
他端に接続され、このプラス側は光サイリスタ33a〜
33nのエミッタ層11に接続される。
【0111】バイアス電圧51の大きさは、光入力がな
い状態で光スイッチがオンしない値に設定される。この
バイアス状態では、各バリア層とキャリア拡散層とから
なるPN接合は逆方向にバイアスされる。電源52のマ
イナス側は抵抗4a〜4nの各々の他端に接続され、プ
ラス側はキャリア拡散層42に接続される。バイアス電
源52の電圧は、エミッタ層11とキャリア拡散層42
との間に大きな順方向電流が流れないように設定され
る。この値は、ほぼ第1のバイアス電源51の電圧値よ
りエミッタ層とキャリア拡散層との接合の順方向電圧程
度小さい値を下回らないことが好ましい。また、バイア
ス電源51よりも先に加えられることが好ましい。
【0112】次に、図18を用いて光サイリスタ33a
を例にして、光スイッチの入力動作について説明する。
光スイッチは、一定閾値以上の光を入射しないとスイッ
チが導通しないようにバイアス電源51および52によ
り電圧が印加されている。すなわち、バイアス電源51
はエミッタ層11とコレクタ層14a間に印加され、且
つバイアス電源52はコレクタ層14aとキャリア拡散
層42間に印加されるので、これら電源によってエミッ
タ層11とキャリア拡散層42からなる共通のPN接合
が順方向にバイアスされると共に、バリア層13aとキ
ャリア拡散層42からなる素子個別のPN接合が逆方向
にバイアスされる。共通のPN接合に加わる電圧は、バ
イアス電源51とバイアス電源52との電位差により決
定される。このように、電圧を加えるとエミッタ拡散層
11からキャリア拡散層42に少数の正孔が注入され
る。この一部はバリア層13aに到達して、バリア層1
3aに蓄積される。この蓄積量は上記の接合電位差によ
って制御できる。言い換えれば、光スイッチの入射光量
の閾値をこれらの電源によって制御できる。
【0113】なお、図18の例にあっては、バイアス電
源52の電圧を大きくしてエミッタ層11に対するキャ
リア拡散層42の電位差を大きくすると光閾値が大きく
なり、導通するためにはより多くの光量が必要である。
また、バイアス電源52とバイアス電源51との電位差
は、上記の共通のPN接合に順方向電流が流れ過ぎない
ように設定される。この電位差の値は、共通のPN接合
の拡散電位の値、あるいはこれより小さい程度が好まし
く、図18の例では1[V]程度よりも小さいことが好
ましい。この電位差が大きすぎると、バリア層の蓄積電
荷を制御するために使われないバイアス電源51からバ
イアス電源52への無駄な順方向電流が流れる。
【0114】上記のように、バイアス電源51、52が
印加された素子に閾値以上の光が入射すると、逆バイア
スされた素子個別のPN接合において、光励起キャリア
が発生する。既に蓄積されている正孔に加えて励起され
た正孔がバリア層13a内に蓄積されて行くと、層13
aは0.2[μm]程度と薄いので、正孔がこの接合部
分のポテンシャルを低下させる。蓄積される正孔量およ
びバイアス電源52の制御に応じてバリア層13aのポ
テンシャルが十分に低下すると、逆バイアス接合部分が
ターンオンして電流が流れる(スイッチオン状態)。こ
の電流のほとんどは共通のPN接合から供給され、ター
ンオンしている素子のバリア層13aを通してコレクタ
層14aに達する。つまり、光スイッチが導通すると、
エミッタ層11とコレクタ層14a間に流れる電流は、
エミッタ層11とキャリア拡散層42間の接合から供給
される。
【0115】光スイッチの出力動作については、第1の
実施の形態と同様に動作する。つまり、発光が生じ、負
性抵抗効果によってバイアス電源の電圧を所定の電圧以
下に下げるまで発光状態が保持されるので、記憶動作が
行われる。動作状態とリセット状態とを交互に繰り返す
ようにするために、少なくとも第1のバイアス電源51
を処理速度に合わせてパルス状の電圧信号を与える。な
お、第2のバイアス電源52も共に変化させてもよい
が、第2のバイアス電源52を第1のバイアス電源51
に先だって加える。
【0116】次に、図19に基づいて、半導体光スイッ
チ集積素子全体としての動作を説明する。図19は、3
個の光スイッチU、V、Wが集積された半導体光スイッ
チ集積素子を表した模式図である。
【0117】強い光が入射して多くの光励起キャリアが
発生する光スイッチVでは、バリア層13Vの電子に対
するポテンシャルが低下し逆接合部分がターンオンして
電流が流れ込むので、光スイッチVはスイッチオン状態
となる。つまり、抵抗4Vの下で光スイッチVに電流が
流れ込む。そして、この電流により、バリア層13Vと
コレクタ層14Vで形成される順方向にバイアスされた
PN接合で再結合による発光が生じる。少数キャリアの
注入は、キャリア濃度の高いエミッタ層11から主に行
われる。これに加えてバイアス電源52からキャリア拡
散層42への正孔の注入が誘起される。スイッチオン状
態の光スイッチからキャリア拡散層に注入された少数キ
ャリア(正孔)は、光スイッチに共通に形成されている
キャリア拡散層42を拡散する。そして、その一部は横
方向にも拡散していく。少数キャリアは再結合により消
滅するまでライフタイム程度の時間を拡散できるので、
横方向の拡散範囲はキャリア拡散長程度まで及ぶ。この
ため、光スイッチVのスイッチング動作は、キャリア拡
散長の範囲の周囲の光スイッチU、Wにも影響を与える
のである。このために、キャリア拡散層42内の表層に
形成される電極等25、29が、この少数キャリアの拡
散を妨げることなく、自由に拡散できるように配置され
る。例えば、少数キャリアの拡散によって相互に影響を
及ぼすことを期待する一群の光スイッチの周囲を囲ん
で、この電極等25、29を配置すれば、電極等25、
29による電界によってスイッチ相互間の相互作用が妨
げられることがない。ところが、この電極を各光スイッ
チに近接して設けたり、また光スイッチ間のキャリアが
拡散する領域上に設けられると、この電極による電界に
よって少数キャリアの拡散が妨げられる。
【0118】それ自身で発光するには十分でない弱い光
が入射している光スイッチUでは、隣接する光スイッチ
Vから少数キャリア(正孔)がキャリア拡散層42を拡
散してくるので、第1の実施の形態と同様にキャリア拡
散長の範囲の周囲の光スイッチVから影響を受ける。
【0119】光が入射していない光スイッチWでは、キ
ャリア拡散層42を正孔が拡散してきても、第1の実施
の形態と同様に光スイッチWは発光はしない。
【0120】しかし、光が入射していない光スイッチW
であっても、バリア層13Wの電子に対するポテンシャ
ルを低下させるほど十分なキャリアが、キャリア拡散層
42を通して周囲の光スイッチから供給されると第1の
実施の形態と同様にその光スイッチも発光する。
【0121】以上の説明より、本実施の形態の光スイッ
チ集積素子においても、キャリア拡散長程度の範囲内の
光スイッチが全体として入射光が一定以上であれば、単
体ではスイッチオン状態に必要な強度の光が入射されて
いない光スイッチであっても、この光スイッチはスイッ
チオン状態になるように閾値を設定できる。逆に、光ス
イッチ一個分または数個分程度の範囲に限られた領域内
にある量の光が入射した場合に、十分な入射光量が得ら
れていないとして、これらの光スイッチがスイッチオン
状態にならないように閾値を設定できる。つまり、本実
施の形態の半導体光スイッチ集積素子では、光スイッチ
がスイッチオン状態になるかどうかは、光スイッチ単独
の動作によってのみ決まるのではなく、キャリア拡散長
程度の範囲の光スイッチが共通に設けられたキャリア拡
散層42を通してお互いに影響し合うのである。
【0122】加えて、キャリア拡散層42の電圧の制御
電極を設けても、スイッチ間のバルク結合効果、つまり
近接するスイッチ間の相互作用が妨害されることなく、
光スイッチの閾値を制御できる。したがって、素子を正
確に動作させるための制御が簡易になると共に、素子の
設計の自由度が大きくなる。また、キャリア拡散層42
の電圧の制御電極を設けると、スイッチオン状態の安定
性が更に良好になるため、電源電圧、温度等の変動に対
しても動作を安定されることができる。
【0123】このような素子の基本動作を図20を用い
て説明する。図20(a)、(b)は、図16と同じ単
体構造の光スイッチを基板上に等間隔で2次元に配置し
た実験用半導体光スイッチ集積素子の模式図である。各
光スイッチのコレクタ層は、同一基板上に形成された負
荷抵抗それぞれの一端が接続されている。そして、第1
のバイアス電源51、Veは各抵抗の他端と光スイッチ
のエミッタ層に接続され、第2のバイアス電源52、V
bは各抵抗の他端と光スイッチのキャリア拡散層に接続
されている。図のように、この配列の素子を30p〜3
0sと命名する。この実験素子において、光スイッチ3
0pおよび30sのそれぞれに同じ光量の光を入射させ
る。図20(a)はVb=5[V]、Ve=5[V]を
印加した場合の発光パターンを示し、図20(b)はV
b=5[V]、Ve=5.5[V]を印加した場合の発
光パターンを示す。Vbを変化させてエミッタ層とキャ
リア拡散層間の電位差を変化させると、光を受ける光ス
イッチ30p、30sが発光すると共に、これらに挟ま
れる光スイッチ30q、30rも発光するようにでき
る。
【0124】図20(c)、(d)は、図20(a)と
同様の実験素子に同じバイアスを印加するのもである。
図のように、この配列の素子を40p〜40vと命名す
る。この実験素子において、光スイッチ40pおよび4
0uにそれぞれ同じ光量の光を入射させる。図20
(c)はVb=5[V]、Ve=5[V]を印加した場
合の発光パターンを示し、図20(d)はVb=5
[V]、Ve=5.5[V]を印加した場合の発光パタ
ーンを示す。Vbを変化させてエミッタ層とキャリア拡
散層間の電位差を変化させると、光が入射している光ス
イッチ40p、40u間に挟まれる光スイッチ40q〜
40t、40vも発光するようにできる。
【0125】図20(e)は、図20(a)と同様の実
験素子に同じバイアスを印加するのもであり、光スイッ
チ40uには40pに照射される光量の10%に当たる
光量を入射した。この場合には、十分な光量を入射させ
た光スイッチ40pのみが発光している。
【0126】上記の実験素子の動作からもわかるよう
に、本実施の形態で説明した光スイッチ集積素子は第1
の実施の形態において説明した光スイッチ集積素子と同
じ動作、すなわちパターン処理機能を有する。つまり、
図20(a)、(c)では、閾値効果によって、光が入
射する光スイッチが等しい光量でオンして発光している
ので、閾値処理が行われている。一方、図20(b)、
(d)では、光が入射する2個のスイッチと共に、これ
らに挟まれた光が入射しないスイッチも発光しているの
で、平滑化処理が行われている。図20(e)では、閾
値効果によって、十分な光量が入射する光スイッチのみ
が発光するするので、画像処理におけるノイズ除去処理
が行われている。
【0127】したがって、本実施の形態の光スイッチ集
積素子は上記のような処理機能を有するので、図8を用
いて説明したパターン処理機能を有することはもはや説
明するまでもない。
【0128】以上、説明したように、本実施の形態の光
スイッチ集積素子は、半導体層のキャリア濃度および厚
さ、光スイッチの大きさおよび配置のピッチ、負荷抵抗
の大きさ、並びに動作条件としてバイアス電圧および入
射光量を適切に設定すると、画像のノイズ除去処理等が
可能である。
【0129】実際、高速処理用途においては、信号とノ
イズが図8に示した例ほど混在していることは少ないの
で、素子設計および動作条件の設定はそれほど厳格なも
のではないと考えられ、それぞれの使用環境に応じて設
定することが好ましい。また、一般に、簡単な図形や文
字等のパターンマッチングによる認識のための前処理と
しては、8×8程度の規模のピクセル数による十分有効
であることが知られている。
【0130】このように本実施の形態の半導体光スイッ
チ集積素子は、P型エミッタ基板と、P型エミッタ基板
上方に分離して形成されたP型バリア層と、それぞれの
P型バリア層上に形成されたN型コレクタ層とを備える
と共に、P型バリア層とP型エミッタ基板との間に全て
の光スイッチが共有する共通のN型キャリア拡散層とを
設けて複数の光スイッチを構成して、スイッチオン状態
になった光スイッチから注入された少数キャリアがこの
キャリア拡散層を拡散して隣接する光サイリスタに作用
すると共に、キャリア拡散層に閾値制御電極を設けてキ
ャリア拡散層の電位を外部から制御するようにしたの
で、更に安定してボケ変換のような平滑化処理、ノイズ
除去処理等が可能となる。なお、本実施の形態の光スイ
ッチ集積素子は、本構造に限られるものではなく、第2
の実施の形態等で説明した構造にも応用できる。
【0131】以上第1の実施の形態から第5の実施の形
態により説明した半導体光スイッチ素子の光スイッチで
は、そのスイッチング時間は10ー9秒オーダーときわめ
て高速である。しかも、全光スイッチが完全に並列動作
するため、入力から出力まで演算過程を要しない。した
がって、半導体光スイッチ集積素子としての処理時間は
光スイッチのスイッチング時間と同程度である。さら
に、出力信号は、各光スイッチからの発光という形で並
列に同時に得られる。すなわち、画像の入力とほぼ同時
に処理されたパターンデータが出力される。加えて、出
力パターンは、入力パターンが遮断された後も、バイア
ス電圧を下げるまで保たれる。つまり、記憶動作を行
う。よって、これをパターンマッチングの前処理として
応用できる。例えば、入力パターンと参照パターンの重
ね合わせによるいわゆるテンプレートマッチングによっ
てパターン認識を行う場合に、双方のパターンの大きさ
の違いや位置ズレを緩和するための前処理として使用で
きる、特に、1[msec]以内に処理する必要がある
工業用ロボット制御等の高速用途に十分有効な効果が期
待できる。例えば、入射パターンと参照パターンとの重
ね合わせる、いわゆるテンプレートマッチングによるパ
ターン認識では、双方のパターンの大きさの違い、位置
ずれ等を緩和するための前処理として利用できる。
【0132】また、第1の実施の形態から第5の実施の
形態により説明した半導体光スイッチ素子に用いられる
半導体材料は、これらの実施の形態に限られるものでは
ない。以上の実施の形態に使用した半導体材料以外に
も、例えば、InP系の半導体基板が使用できる。この
場合、光スイッチの構造として、P型InP基板と、こ
の基板上に形成されたN型InPキャリア拡散層と、こ
のキャリア拡散層上に形成されたメサ構造の複数のP型
In0.53Ga0.47Asのバリア層と、このバリア層のそ
れぞれの上に形成されたN型In0.53Ga0.47Asのコ
レクタ層とを有することが好ましい。このような構造に
すると、波長0.8[μm]〜1.6[μm]程度の光
を受光しまた波長1.3[μm]程度の光を発光する半
導体光スイッチ集積素子を構成できる。この場合は、こ
れらの光がキャリア拡散層および基板に使用されている
InP層を透過するので、円筒状陥没部を基板裏面に設
けることなく光スイッチの発光を基板裏面からも取り出
すことができると共に、製造工程も簡素にできる。な
お、このとき、オーミック電極としてはGaAs基板と
同一の材料が使用することが好ましい。さらに、InP
半導体材料を用いて、以上説明した実施の形態の半導体
光スイッチ集積素子の構造を適用するようにしてもよ
い。
【0133】なお、第1の実施の形態から第5の実施の
形態では、直接遷移型半導体を用いた例について説明し
たが、発光の効率が高くなくてもよいのであれば、本発
明は直接遷移型半導体に限られるものではない。
【0134】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明の半導
体光スイッチ集積素子によって、光スイッチからなるピ
クセル毎に文字や図形などの2次元パターンデータを2
値化およびノイズ除去、ボケ変換のような平滑化処理等
の前処理を高速に行うことができる。
【0135】次に、本発明の半導体光スイッチ集積素子
の作製がきわめて容易であり、半導体ウエハーにおいて
特別な結晶成長処理技術や微細加工技術等を必要としな
いので、素子作製にかかるコストを低くできる。また、
各々の光スイッチのコレクタに負荷抵抗を接続するの
で、入射光量のばらつきに対して光スイッチの動作の許
容度を大きくできる。更に、この負荷抵抗を同一半導体
基板上に集積するので、素子作製の際してスイッチ間の
特性ばらつきに対する許容度を大きくできる。更に、ま
た、複雑な配線が必要ないので、素子の設計の自由度を
大きくできると共に、光スイッチ集積素子の面積の多く
の部分を光スイッチが占めるので、入力データ、つまり
光の利用効率が高い。
【0136】加えて、本発明の半導体光スイッチ集積素
子は単一の電源により動作させてもよいので使用が容易
である。また、キャリア拡散層に制御電極を設けてバイ
アス電圧を印加すると、光スイッチ動作の安定性、動作
の再現性が更に良くできるので、電源電圧、温度等の変
動に対してもスイッチオン状態を安定に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子の平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の半導体光
スイッチ集積素子の断面図である。
【図3】図3は、本発明の半導体光スイッチ集積素子の
構成図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、本発明の半導体光スイ
ッチ集積素子の光スイッチのエネルギバンド図である。
【図5】図5は、本発明の半導体光集積素子の光スイッ
チの相互の作用を説明するための模式図である。
【図6】図6は、実験用半導体光スイッチ集積素子の模
式図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、図6の実験用半導体光
スイッチ集積素子の発光パターン図である。
【図8】図8は、直交する2方向にそれぞれ等間隔で光
スイッチを配置する場合の本発明の半導体光スイッチ集
積素子の模式図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、本発明の半導体光スイ
ッチ集積素子の光スイッチ配置図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の平面図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の断面図である。
【図12】図12は、本実施の形態の半導体光スイッチ
集積素子を用いたパターン処理装置の模式図を示す。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の断面図である。
【図14】図14は、本発明の第4の実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の平面図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の断面図である。
【図16】図16は、本発明の第5の実施の形態の半導
体光スイッチ集積素子の平面図である。
【図17】図17は、第5の実施の形態の半導体光スイ
ッチ集積素子の断面図である。
【図18】図18は、第5の実施の形態の半導体光スイ
ッチ集積素子の構成図である。
【図19】図19は、本発明の半導体光集積素子の光ス
イッチの相互の作用を説明するための模式図である。
【図20】図20(a)〜(e)は、実験用半導体光ス
イッチ集積素子の発光パターン図である。
【符号の説明】
1…半導体光スイッチ集積素子、3、3a〜3n、3p
〜3s…光スイッチ、4…抵抗、5…バイアス電源、8
…入力光パターン、9…出力光パターン、11…P型G
aAs基板、12…N型キャリア拡散層、13…P型G
aAsバリア層、14…N型GaAsコレクタ層、15
…P型Ga0.8Al0.2As層、16…N型Ga0.8Al
0.2As層、17…P型GaAs層、18…N型GaA
s層、19…N型GaAs層、21…絶縁薄膜、22、
25…N型オーミック電極、23…P型オーミック電
極、24、26…配線電極、27、28…ボンディング
パッド、29…N型層、42…N型キャリア拡散層、5
1、52…バイアス電源

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型エミッタ基板と、 前記第1導電型エミッタ基板の上に設けられた第2導電
    型キャリア拡散層と、 1次元および2次元のいずれかに分散して配置され、前
    記第2導電型キャリア拡散層の上に複数設けられた第1
    導電型バリア層と、 前記第1導電型バリア層の上のそれぞれに設けられた第
    2導電型コレクタ層と、を有し、前記第2導電型コレク
    タ層が受光することによりオンして発光する複数の光ス
    イッチと、 前記第1導電型エミッタ基板の上に形成され、前記第2
    導電型コレクタ層のそれぞれに一端が接続された複数の
    抵抗と、を備え、 前記抵抗の他端のそれぞれは、第1の電源の一端に接続
    され、 前記第1導電型エミッタ基板は、前記第1の電源の他端
    に接続される、ことを特徴とする半導体光スイッチ集積
    素子。
  2. 【請求項2】 前記抵抗が、同一値であることを特徴と
    する請求項1に記載の半導体光スイッチ集積素子。
  3. 【請求項3】 前記第2導電型コレクタ層および前記第
    1導電型バリア層が、直接遷移型半導体であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体光スイ
    ッチ集積素子。
  4. 【請求項4】 前記第2導電型コレクタ層が、前記抵抗
    を兼ねることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれ
    かに記載の半導体光スイッチ集積素子。
  5. 【請求項5】 前記抵抗の他端のそれぞれは第2の電源
    の一端に接続され、前記第2導電型キャリア拡散層は前
    記第2の電源の他端に接続されること、および前記第2
    導電型キャリア拡散層は前記第2の電源の一端に接続さ
    れ、前記エミッタ層は前記第2の電源の他端に接続され
    ること、のいずれかであることを特徴とする請求項1〜
    請求項4のいずれかに記載の半導体光スイッチ集積素
    子。
  6. 【請求項6】 前記複数の光スイッチを囲んで前記第2
    導電型キャリア拡散層の表層に設けられる閾値制御電極
    を更に備え、 前記第2導電型キャリア拡散層は、前記閾値制御電極を
    介して前記第2の電源の他端に接続されることを特徴と
    する請求項5に記載の半導体光スイッチ集積素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011033764A1 (ja) * 2009-09-17 2011-03-24 パナソニック株式会社 固体撮像装置
WO2018168597A1 (ja) * 2017-03-17 2018-09-20 国立研究開発法人情報通信研究機構 高速フォトディテクターアレー

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